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JP2002103390A - 加圧流体注入用ノズル、熱可塑性樹脂から成る成形品の成形方法、及び、熱硬化性樹脂から成る成形品の成形方法 - Google Patents

加圧流体注入用ノズル、熱可塑性樹脂から成る成形品の成形方法、及び、熱硬化性樹脂から成る成形品の成形方法

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Publication number
JP2002103390A
JP2002103390A JP2000303090A JP2000303090A JP2002103390A JP 2002103390 A JP2002103390 A JP 2002103390A JP 2000303090 A JP2000303090 A JP 2000303090A JP 2000303090 A JP2000303090 A JP 2000303090A JP 2002103390 A JP2002103390 A JP 2002103390A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressurized fluid
resin
nozzle
fluid injection
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000303090A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Kayano
義弘 茅野
Hiroyuki Imaizumi
洋行 今泉
Kazuaki Ochiai
和明 落合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Engineering Plastics Corp filed Critical Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority to JP2000303090A priority Critical patent/JP2002103390A/ja
Publication of JP2002103390A publication Critical patent/JP2002103390A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/1734Nozzles therefor

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Nozzles (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】キャビティ内に射出された熱可塑性樹脂の内部
に加圧流体を確実に注入することができ、しかも、加圧
ガス注入用ノズルを何ら問題無く後退させ得る加圧流体
注入用ノズルを提供する。 【解決手段】加圧流体注入用ノズル10は、金型に設け
られたキャビティ内に射出された溶融樹脂の内部に加圧
流体を注入するためのものであって、キャビティ内に射
出された溶融樹脂と接する先端部分12を冷却するため
の冷却手段20が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空部を有し、ひ
けや反りのない外観の美麗な成形品を射出成形するため
の射出成形装置にて使用される加圧流体注入用ノズル、
かかる加圧流体注入用ノズルを使用した熱可塑性樹脂か
ら成る成形品の成形方法、及び、かかる加圧流体注入用
ノズルを使用した熱硬化性樹脂から成る成形品の成形方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融熱可塑性樹脂を射出成形法に基づき
成形する際、ひけや反りのない外観の美麗な成形品を得
るために、金型に設けられたキャビティ内に溶融熱可塑
性樹脂を射出し、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内
部に加圧ガスを注入して熱可塑性樹脂内に中空部を形成
し、型開きを行う前に中空部内の加圧ガスを系外に解放
する熱可塑性樹脂製成形品の製造装置が、特開昭64−
14012号公報等に開示されている。また、この特許
公開公報には、加圧ガスを注入するために、中心孔を有
し、中心孔の出口端に逆止弁が配設された加圧ガス注入
用ノズルも開示されている。中心孔を通って加圧ガスが
キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂中に注入される。そし
て、逆止弁を配設することによって、熱可塑性樹脂が加
圧ガス注入用ノズルへ逆流することを防止でき、また、
中空部内の加圧ガスが加圧ガス注入用ノズルへ逆流する
ことを防止できる。
【0003】キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に対して
加圧ガスを注入する際に、加圧ガス注入用ノズルの逆止
弁部分を含むノズル先端部を加熱装置によって加熱する
方法が、特開平4―31015号に開示されている。ま
た、加圧ガス注入用ノズルのノズル先端部をキャビティ
内に射出された溶融樹脂で覆い、溶融樹脂の熱でノズル
先端部を加熱する方法が、特開平4―31016号に開
示されている。
【0004】一般に、キャビティ内に射出された溶融熱
可塑性樹脂に加圧ガスを注入する際、加圧ガス注入用ノ
ズルのノズル先端部を、金型温度に等しい温度、あるい
は、それ以上の温度に保持することによって、加圧ガス
の溶融熱可塑性樹脂内部への注入を容易ならしめてい
る。具体的には、加圧ガス注入用ノズルのノズル先端部
の温度は、使用する熱可塑性樹脂によって異なるが、ポ
リカーボネート樹脂の場合、金型温度を80゜Cとした
とき、260゜C〜320゜Cであり、ポリアセタール
樹脂の場合、金型温度を60゜Cとしたとき、160゜
C〜240゜Cである。即ち、ノズル先端部の温度は、
金型温度より高い温度に制御される。
【0005】熱可塑性樹脂の射出成形においては、射出
成形機に備えられた可塑化装置によって熱可塑性樹脂を
加熱・溶融・混練し、金型に設けられたキャビティ内に
射出し、金型へ熱を移動させ、溶融熱可塑性樹脂を冷却
・固化し、賦形する。即ち、熱可塑性樹脂の冷却に伴っ
て、熱可塑性樹脂の粘度が上昇し、固化する。
【0006】従って、キャビティ内に射出された溶融熱
可塑性樹脂の内部に加圧ガスを容易に、且つ、確実に注
入するためには、加圧ガス注入用ノズルのノズル先端部
の温度を、ノズル先端部近傍の熱可塑性樹脂の軟化点温
度(TMP)以上に保持する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、加圧ガス注
入用ノズルのノズル先端部の温度をこのような温度に保
持したままの場合、例えば、キャビティ内の熱可塑性樹
脂の内部に形成された中空部内の加圧ガスを大気中に解
放するために、あるいは又、型開きを行うために、加圧
ガス注入用ノズルを後退させたとき、ノズル先端部近傍
の熱可塑性樹脂が加圧ガス注入用ノズルの後退に伴い変
形するといった問題が生じる。
【0008】このような問題は、金型温度が高く、しか
も、熱可塑性樹脂の軟化点温度が低い場合に顕著に発生
する。このような問題を解消するために、加圧ガスの注
入時には、ノズル先端部の温度を比較的高温としてお
き、加圧ガス注入用ノズルを後退させる前にノズル先端
部の温度を下げ、ノズル先端部近傍の熱可塑性樹脂を固
化させ、変形を防止する方法が知られている。具体的に
は、ノズル先端部の加熱を停止することで、ノズル先端
部からの熱を金型に迅速に移動させ、ノズル先端部の温
度を低下させる。
【0009】それ故、この方法は、金型温度と加圧ガス
注入時のノズル先端部温度の差が大きい場合にのみ適用
することができる。一方、金型温度とガス注入時のノズ
ル先端部の温度の差が小さい場合、あるいは又、熱可塑
性樹脂の軟化点温度が低い場合、この方法では加圧ガス
注入用ノズルの後退に伴う加圧ガス注入用ノズル近傍の
熱可塑性樹脂の変形を防止することは困難である。
【0010】また、熱硬化性樹脂の射出成形において
は、射出成形機の加熱装置にて熱硬化性樹脂を予熱し、
金型に設けられたキャビティ内に射出し、金型から溶融
熱硬化性樹脂へ熱を移動させて加熱し、熱硬化性樹脂を
反応・硬化させる。従って、キャビティ内に射出された
熱硬化性樹脂の内部に加圧ガスを、容易に、且つ、確実
に注入するためには、加圧ガス注入時における熱硬化性
樹脂の反応・硬化を抑制する必要がある。
【0011】従来の技術においては、加圧ガス注入用ノ
ズルのノズル先端部を、伝熱によって降温させることは
可能である。しかしながら、加圧ガス注入用ノズルのノ
ズル先端部の昇温及び降温といった温度制御を行うこと
によって、キャビティ内に射出された熱可塑性樹脂ある
いは熱硬化性樹脂の内部に加圧ガスを確実に注入し、ま
た、加圧ガス注入用ノズルを何ら問題無く後退させる技
術は、本発明者が調べた限りでは、知られていない。
【0012】従って、本発明の第1の目的は、キャビテ
ィ内に射出された熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を確実
に注入することができ、しかも、加圧ガス注入用ノズル
を何ら問題無く後退させ、加圧流体注入用ノズルの後退
に伴う加圧流体注入用ノズル近傍の熱可塑性樹脂の変形
を確実に防止できる加圧流体注入用ノズル、及び、かか
る加圧流体注入用ノズルを使用した熱可塑性樹脂から成
る成形品の成形方法を提供することにある。
【0013】また、本発明の第2の目的は、キャビティ
内に射出された熱硬化性樹脂の内部に加圧流体を確実に
注入することができ、しかも、加圧ガス注入用ノズルを
何ら問題無く後退させることができる加圧流体注入用ノ
ズル、及び、かかる加圧流体注入用ノズルを使用した熱
硬化性樹脂から成る成形品の成形方法を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の第1の目的を達成
するための本発明の加圧流体注入用ノズルは、金型に設
けられたキャビティ内に射出された溶融樹脂の内部に加
圧流体を注入するための加圧流体注入用ノズルであっ
て、キャビティ内に射出された溶融樹脂と接する先端部
分を冷却するための冷却手段が設けられていることを特
徴とする。
【0015】本発明の加圧流体注入用ノズルにおいて
は、冷却手段を、加圧流体注入用ノズルに配設された配
管、及び、配管内を流れる冷却媒体から構成することが
できる。尚、配管は、加圧流体注入用ノズルの先端部分
あるいはその近傍に配設されていることが好ましいが、
加圧流体注入用ノズルの先端部分の温度を確実に制御で
きる限りにおいて、このような位置に限定するものでは
ない。そして、この場合、冷却手段を構成する冷却媒体
を、外部に設置された温度調節装置によって所望の温度
に制御することが好ましい。冷却媒体として、液体又は
気体、具体的には、水、加圧水、油、加圧空気、加圧窒
素ガスを挙げることができる。尚、金型温度及び要求さ
れる加圧流体注入用ノズルの温度に基づき、冷却媒体を
適宜選択すればよい。冷却媒体を、常時、配管内を流し
ていてもよいし、断続的に流してもよい。常時、冷却媒
体を流す場合には、冷却媒体の温度及び流量を制御する
ことによって加圧流体注入用ノズルの先端部分の温度制
御を行うことができる。一方、冷却媒体を断続的に流す
場合には、冷却媒体の温度、及び、断続的に冷却媒体を
流す時間を制御することによって、加圧流体注入用ノズ
ルの先端部分の温度制御を行うことができる。尚、温度
制御は、加圧流体注入用ノズルに配設された温度測定手
段に基づくフィードバック制御によることが望ましい
が、これに限定するものではない。
【0016】あるいは又、本発明の加圧流体注入用ノズ
ルにおいて、金型と接触する加圧流体注入用ノズルの部
分を構成する材料の熱伝導率は、加圧流体注入用ノズル
と接触する金型の部分を構成する材料の熱伝導率よりも
低いことが好ましい。このような構成とすることによっ
て、加圧流体注入用ノズルの温度制御を一層確実に行う
ことができる。具体的には、(金型と接触する加圧流体
注入用ノズルの部分を構成する材料)/(加圧流体注入
用ノズルと接触する金型の部分を構成する材料)の組合
せとして、(ベークライト:熱伝導率=0.233/炭
素鋼[0.5%炭素]:熱伝導率=53.5)、(ジル
コニアセラミックス:熱伝導率=2.5/炭素鋼[0.
5%炭素]:熱伝導率=53.5)、(チタン合金:熱
伝導率=29.3/炭素鋼[0.5%炭素]:熱伝導率
=53.5)を例示することができる。尚、熱伝導率の
単位は、W/m・kである。
【0017】尚、加圧流体注入用ノズルの先端には、加
圧流体注入用ノズルの内部への溶融樹脂の流入を防止す
る逆流防止手段、具体的には、例えば逆止弁、が設けら
れていることが望ましい。
【0018】本発明の加圧流体注入用ノズルにおける樹
脂として熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0019】上記の第2の目的を達成するために、各種
の形態を含む本発明の加圧流体注入用ノズルには、更
に、加熱手段が備えられていることが好ましい。そし
て、この場合には、樹脂として熱硬化性樹脂を挙げるこ
とができる。
【0020】加熱手段としては、加圧流体注入用ノズル
に配設された、冷却手段を構成する配管、あるいは、加
熱手段専用の別の配管、及び、配管内を流れる熱媒体か
ら構成することができる。そして、この場合、加熱手段
を構成する熱媒体を、外部に設置された温度調節装置に
よって所望の温度に制御することが好ましい。そして、
この場合、熱媒体は、液体又は気体、具体的には、加圧
空気、加圧窒素ガス、加熱油、水であることが好まし
い。あるいは又、冷却手段とは別に、例えばヒータから
成る加熱手段を加圧ガス注入用ノズルの外側あるいは内
部に配設してもよい。
【0021】本発明の加圧流体注入用ノズルにあって
は、溶融樹脂の内部に注入される加圧流体は加圧ガスか
ら成ることが好ましく、具体的には、窒素ガス、炭酸ガ
ス、空気、ヘリウムガス等、常温でガス状の物質を挙げ
ることができるが、中でも、窒素ガスやヘリウムガス等
の不活性ガスが好ましい。尚、注入する加圧流体は、成
形品の中空部に断熱圧縮による焼けが生じないような不
活性な加圧流体であることが、一層好ましく、窒素ガス
を用いる場合、純度90%以上のものを使用することが
望ましい。
【0022】上記の第1の目的を達成するための本発明
の熱可塑性樹脂から成る成形品の成形方法は、金型に設
けられたキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出した
後、先端部分を冷却するための冷却手段が設けられた加
圧流体注入用ノズルを使用し、キャビティ内の溶融熱可
塑性樹脂の内部に該加圧流体注入用ノズルの先端から加
圧流体を注入し、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却・
固化した後、加圧流体注入用ノズルを後退させ、以て、
中空部が形成された熱可塑性樹脂から成る成形品を成形
する方法であって、加圧流体注入用ノズルを後退させる
ときの加圧流体注入用ノズルの熱可塑性樹脂と接してい
る先端部分の温度を、冷却手段の動作によって、概ね、
熱可塑性樹脂の軟化点温度以下の温度とすることを特徴
とする。
【0023】熱可塑性樹脂から成る成形品の成形方法に
おいては、加圧流体注入用ノズルを後退させるときの加
圧流体注入用ノズルの熱可塑性樹脂と接している先端部
分の温度をT(゜C)、熱可塑性樹脂の軟化点温度をT
MP(゜C)、室温をTRT(゜C)としたとき、温度T
は、TRT≦T≦(TMP+10)、好ましくは、(TMP
30)≦T≦(TMP−10)を満足することが望まし
い。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂から成る成形品の成
形方法において使用される加圧流体注入用ノズルは、本
発明の加圧流体注入用ノズルである。所望に応じて、加
熱手段を更に備えていてもよい。
【0025】上記の第2の目的を達成するための本発明
の熱硬化性樹脂から成る成形品の成形方法は、金型に設
けられたキャビティ内に溶融熱硬化性樹脂を射出した
後、先端部分を冷却及び加熱するための冷却/加熱手段
が設けられた加圧流体注入用ノズルを使用し、キャビテ
ィ内の溶融熱硬化性樹脂の内部に該加圧流体注入用ノズ
ルの先端から加圧流体を注入し、キャビティ内の熱硬化
性樹脂を硬化させた後、加圧流体注入用ノズルを後退さ
せ、以て、中空部が形成された熱硬化性樹脂から成る成
形品を成形する方法であって、キャビティ内に溶融熱硬
化性樹脂を射出する前に、溶融熱硬化性樹脂と接する加
圧流体注入用ノズルの先端部分の温度を、冷却/加熱手
段によって熱硬化性樹脂の反応開始温度未満とし、キャ
ビティ内の溶融熱硬化性樹脂の内部に加圧流体を注入し
た後、溶融熱硬化性樹脂と接している加圧流体注入用ノ
ズルの先端部分の温度を、冷却/加熱手段によって熱硬
化性樹脂の反応開始温度以上とすることを特徴とする。
【0026】本発明の熱硬化性樹脂から成る成形品の成
形方法においては、熱硬化性樹脂の反応開始温度をTCT
(゜C)、キャビティ内に溶融熱硬化性樹脂を射出する
前に溶融熱硬化性樹脂と接する加圧流体注入用ノズルの
先端部分の温度をT1(゜C)、キャビティ内の溶融熱
硬化性樹脂の内部に加圧流体を注入した後の溶融熱硬化
性樹脂と接している加圧流体注入用ノズルの先端部分の
温度をT2(゜C)、熱硬化性樹脂の分解温度をTd(゜
C)、室温をTRT(゜C)としたとき、温度T1は、T
RT≦T1≦TCT、好ましくは(TCT−30)≦T1≦(T
CT−10)を満足し、温度T2は、TCT≦T2≦Td、好
ましくはTCT≦T2≦(TCT+30)を満足することが
望ましい。
【0027】本発明の熱硬化性樹脂から成る成形品の成
形方法において使用される加圧流体注入用ノズルは、加
熱手段を備えた本発明の加圧流体注入用ノズルである。
【0028】加圧流体注入用ノズルの先端を、キャビテ
ィを構成する金型の面に概ね位置させてもよいし、キャ
ビティ内に位置させてもよい。前者の場合、加圧流体注
入用ノズルの先端部分はキャビティの外に位置する。一
方、後者の場合、加圧流体注入用ノズルの先端部分はキ
ャビティ内に位置する。
【0029】キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂あるいは
溶融熱硬化性樹脂の内部への加圧流体注入用ノズルの先
端からの加圧流体注入開始の時期は、キャビティ内への
溶融熱可塑性樹脂あるいは溶融熱硬化性樹脂の射出中で
もよいし、射出完了と同時でもよいし、射出完了後でも
よい。
【0030】キャビティ内へ射出すべき溶融熱可塑性樹
脂あるいは溶融熱硬化性樹脂の量は、キャビティを完全
に充填するだけの量であってもよいし、キャビティを不
完全に充填するだけの量であってもよい。
【0031】本発明における熱可塑性樹脂として、通常
使用されている熱可塑性樹脂の全てを用いることができ
る。具体的には、非晶性の熱可塑性樹脂として、ポリス
チレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といっ
たスチレン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート
樹脂;変性PPE樹脂;ポリアリレート樹脂を挙げるこ
とができる。また、結晶性の熱可塑性樹脂として、ポリ
エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン
系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドM
XD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポ
リアセタール)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(P
ET)樹脂、ポリブチレンエチレンテレフタレート(P
BT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスル
ホン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド
樹脂を挙げることができる。更には、ポリマーアロイ材
料から成る熱可塑性樹脂を用いることもできる。ここ
で、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑
性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の
熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若
しくはグラフト共重合体から成る。ここで、少なくとも
2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材
料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、
ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリ
オレフィン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMX
D6等のポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂、ポリブチ
レンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート
樹脂等のポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、
ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルス
ルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエ
ーテルケトン樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、液
晶ポリマー、エラストマーを挙げることができる。2種
類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料と
して、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマー
アロイ材料を例示することができる。尚、このような樹
脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表
記する。以下においても同様である。更に、少なくとも
2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材
料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/
ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂
/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性P
PE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT
樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD
6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、
PBT樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/液晶
ポリマーを例示することができる。また、少なくとも2
種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重
合体若しくはグラフト共重合体から成るポリマーアロイ
材料として、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、
AAS樹脂を例示することができる。
【0032】尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂
に、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加す
ることができるし、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、
炭酸カルシウム等の無機充填材、あるいは有機充填材を
添加することもできる。また、以上に説明した各種の熱
可塑性樹脂に、無機繊維を添加したものを用いることも
できる。無機繊維として、ガラス繊維、カーボン繊維、
ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊
維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグ
ネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊
維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選
択された少なくとも1種の材料を挙げることができる。
尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維は1種類に限定
されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑性樹脂に含有さ
せてもよい。
【0033】本発明における熱硬化性樹脂として、射出
成形にて従来から使用されている樹脂であれば、如何な
る樹脂をも使用することができる。即ち、例えば、フェ
ノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹
脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂、フラン樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹
脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂で例示される熱硬化性樹
脂を挙げることができる。
【0034】本発明の加圧流体注入用ノズルあるいは熱
可塑性樹脂から成る成形品の成形方法にあっては、キャ
ビティ内に射出された溶融樹脂と接する先端部分を冷却
するための冷却手段が設けられているので、加圧ガス注
入用ノズルを後退させる際に、加圧ガス注入用ノズルの
先端部分を熱可塑性樹脂の軟化点温度TMP以下の温度と
することができる。その結果、加圧ガス注入用ノズルの
先端部分近傍の熱可塑性樹脂が変形することを確実に防
止でき、例えば、中空部内の加圧ガスを大気中に確実に
解放することが可能となる。尚、所望に応じて、加熱手
段を更に備えていれば、キャビティ内に溶融熱可塑性樹
脂を射出したときの加圧ガス注入用ノズルの先端部分の
温度を確実に熱可塑性樹脂の軟化点温度TMP以上とする
ことができ、キャビティ内に射出された熱可塑性樹脂の
内部に加圧流体を確実に注入することができる。
【0035】本発明の本発明の加圧流体注入用ノズルに
あっては更に加熱手段を備えることによって、また、本
発明の熱硬化性樹脂から成る成形品の成形方法にあって
は加圧流体注入用ノズルに冷却/加熱手段が設けられて
いるので、加圧流体注入用ノズルの先端部分近傍の熱硬
化性樹脂の反応を確実に制御することができる。即ち、
キャビティ内に溶融熱硬化性樹脂を射出する前に、溶融
熱硬化性樹脂と接する加圧流体注入用ノズルの部分を、
熱硬化性樹脂の反応開始温度TCT未満とすることによっ
て、キャビティ内に射出された直後の加圧流体注入用ノ
ズルの先端部分近傍の溶融熱硬化性樹脂の反応・硬化を
抑制することができ、キャビティ内の溶融熱硬化性樹脂
の内部に加圧流体を確実に注入することができる。一
方、キャビティ内の溶融熱硬化性樹脂の内部に加圧流体
を注入した後、溶融熱硬化性樹脂と接している加圧流体
注入用ノズルの部分を、熱硬化性樹脂の反応開始温度T
CT以上とすることによって、加圧流体注入用ノズルの先
端部分近傍の溶融熱硬化性樹脂の反応・硬化を促進する
ことができ、加圧ガス注入用ノズルを確実に後退させる
ことができる。その結果、例えば、キャビティ内の熱硬
化性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を大気
中に確実に解放することができる。
【0036】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明を説明する。
【0037】(実施例1)実施例1の加圧流体注入用ノ
ズルの先端部分の模式的な側面図を図1の(A)に示
し、図1の(B)に模式的な正面図を示し、模式的な一
部断面図を図1の(C)に示す。尚、図1の(C)にお
いては、配管の図示を省略した。この加圧流体注入用ノ
ズルは、金型に設けられたキャビティ内に射出された溶
融樹脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流体注入
用ノズル10であって、キャビティ内に射出された溶融
樹脂と接する先端部分11を冷却するための冷却手段が
設けられている。冷却手段は、具体的には、先端部分1
1の外周に螺旋状に巻き付けられ、先端部分11の外周
にロウ付けされた配管20、及び、この配管20内を流
れる油から成る冷却媒体から構成されている。冷却媒体
は、配管入口部20Aから配管20を通り、配管出口部
20Bから系外に排出される。排出された冷却媒体は、
外部に設置された温度調節装置(図示せず)によって所
望の温度に制御される。
【0038】図1の(C)に模式的な一部断面図を示す
ように、加圧流体注入用ノズル10の先端12には中心
孔14が設けられており、中心孔14の下流端部は、加
圧流体吐出孔13となっている。中心孔14の上流端部
には凸部15が設けられている。凸部15の上流には、
逆止弁が更に配設されている。逆止弁は、逆止弁ケーシ
ング部16と、逆止弁ケーシング部16内に配置された
金属製のボール17から構成されている。尚、参照番号
18は、逆止弁ケーシング部16の上流に設けられた加
圧流体流路であり、この加圧流体流路18中を、図1の
(C)の左手方向から右手方向へと加圧流体が流れる。
加圧流体流路18は、加圧流体用配管52を介して、加
圧流体源(図示せず)に接続されている。加圧流体流路
18中を経由して逆止弁に到達した加圧流体は、ボール
17を図1の(C)の右手方向に移動させ、逆止弁、中
心孔14、加圧流体吐出孔13を通って吐出される。溶
融樹脂の射出中に溶融樹脂が中心孔14を逆流して逆止
弁に到達すると、溶融樹脂によってボール17は図1の
(C)の左手方向に付勢され、ボール17は逆止弁ケー
シング部16の左側の壁に押し付けられる。その結果、
逆止弁が閉じた状態となり、逆止弁は溶融樹脂等の逆流
を防止することが可能になる。
【0039】加圧流体注入用ノズルが、射出成形装置に
取り付けられた金型に配設された状態を図2に模式的に
示す。図2に示すように、金型は、可動金型部42及び
固定金型部46から構成されている。加圧流体注入用ノ
ズル10は、例えば、可動金型部42に配置することが
できる。加圧流体注入用ノズル10は、可動金型部42
に取り付けられたピストン及びシリンダー等から成る移
動手段50によって往復運動(図2の上下方向の移動)
させられ得る。尚、加圧流体用配管52の一端はガス注
入ノズル10の加圧流体流路18に取り付けられ、他端
は加圧流体源(図示せず)に取り付けられている。尚、
参照番号40は射出成形装置の射出用シリンダーであ
り、参照番号48は金型に設けられたキャビティであ
り、参照番号60は溶融樹脂である。
【0040】図3の(A)及び(B)に、実施例1の加
圧流体注入用ノズルの変形例の一部分の側面図及び正面
図を示す。図3に示した加圧流体注入用ノズルが、図1
に示した加圧流体注入用ノズルと異なる点は、冷却配管
が先端部分11に取り付けられたスリーブ21にロウ付
けされており、先端部分11から配管20を取り外すこ
とが可能な構造となっている点にある。
【0041】図4の(A)及び(B)にも、実施例1の
加圧流体注入用ノズルの変形例の一部分の模式的な断面
図及び正面図を示す。図4に示した加圧流体注入用ノズ
ルが、図1に示した加圧流体注入用ノズルと異なる点
は、配管20を囲むように、断熱部材22から成るスリ
ーブが配設されている点にある。このような断熱部材2
2を配設することによって、金型から加圧流体注入用ノ
ズル10への熱の移流を抑制することができる。即ち、
図4に示した加圧流体注入用ノズルにおいては、金型と
接触する加圧流体注入用ノズルの部分を構成する材料
(ここでは、断熱部材22を構成する材料であり、具体
的には、ジルコニアセラミックスである)の熱伝導率
(2.5W/m・K)は、加圧流体注入用ノズルと接触
する金型の部分を構成する材料(具体的には、例えば、
炭素鋼[0.5%炭素])の熱伝導率(53.5W/m
・K)よりも低い。
【0042】図5にも、実施例1の加圧流体注入用ノズ
ルの変形例の一部分の模式的な側面図を示す。図5に示
した加圧流体注入用ノズルが、図1に示した加圧流体注
入用ノズルと異なる点は、配管20が、先端部分の軸線
と略平行に配置されている点にある。
【0043】図6にも、実施例1の加圧流体注入用ノズ
ルの変形例の一部分の模式的な側面図を示す。図6に示
した加圧流体注入用ノズルが、図1に示した加圧流体注
入用ノズルと異なる点は、加熱手段である電気ヒータ3
0が配設されている点にある。尚、図6においては、配
管入口部20A及び配管出口部20Bの図示を省略し
た。
【0044】尚、図1〜図6に示した加圧流体注入用ノ
ズルにおいては、冷却媒体の流量、又は、断続的な流れ
を制御するために、加圧流体注入用ノズルの先端部分の
温度を測定する手段として温度センサーが設置されてい
るが、温度センサーの図示は省略した。また、図6に示
したと同様に、電気ヒータを、図2〜図5に示した加圧
流体注入用ノズル10に配設することもできる。
【0045】(実施例2)実施例2は、本発明の熱可塑
性樹脂から成る成形品の成形方法に関する。実施例2に
おいては、図6に示した加圧流体注入用ノズル10を使
用した。
【0046】そして、金型を加圧水型金型温調装置によ
って120゜Cに温度調節した。射出成形開始時、配管
20には冷却媒体である冷却油を循環させず、電気ヒー
タ30から構成された加熱手段によって、加圧流体注入
用ノズル10の先端部分11の温度を280゜Cに温度
調節した。
【0047】そして、熱可塑性樹脂であるポリカーボネ
ート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会
社製、商品名:ユーピロン S3000R)を、熱可塑
性樹脂射出成形機にて280゜Cにて溶融・混練後、射
出圧力7.8×107Pa(800kgf/cm2−G)
にてキャビティ48を約80%充満するだけの量をキャ
ビティ48内に射出した(図7の模式図を参照)。尚、
使用したポリカーボネート樹脂の軟化点温度TMPは16
0゜Cである。尚、図7〜図9においては、配管20及
び電気ヒータ30を概念的に示した。また、参照番号4
4は、可動金型部42に設けられたガス注入部44であ
り、金型に形成されたキャビティ48内に向かって開口
している。移動手段50によって加圧流体注入用ノズル
10を図7の右手方向に移動させると、加圧流体注入用
ノズル10の先端12がガス注入部44と密着し、金型
のキャビティ48内に射出された溶融樹脂60が先端1
2と可動金型部42との間の隙間から外部へ流出するこ
とを防止できる。
【0048】射出開始後3秒後に射出動作を完了させ、
その後、0.2秒経過後に、加圧流体注入用ノズル10
から加圧流体(圧縮窒素ガスであり、圧力は3×106
Pa)をキャビティ48内の溶融熱可塑性樹脂60内に
注入した(図8の模式図を参照)。これによって、キャ
ビティ48内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部62が
形成された、加圧流体の注入完了後、30秒間、キャビ
ティ48内の熱可塑性樹脂60内部における加圧流体の
圧力を保持した。中空部62内の加圧流体の大気への解
放を行う10秒前に、加熱手段の作動を停止させ、30
゜Cの冷却油を配管20内を循環させ、加圧流体注入用
ノズル10の先端部分11を冷却した。実測によれば、
先端部分11の温度は約45゜Cとなった。先端部分1
1の冷却後、加圧流体注入用ノズル10を移動手段50
によって後退させ、中空部62内の加圧流体の大気への
解放を行った(図9の模式図を参照)。
【0049】先端部分11の冷却後、加圧流体注入用ノ
ズル10を移動手段50によって後退させる際、加圧流
体注入用ノズルの先端部分11の近傍の熱可塑性樹脂は
十分に固化しており、成形品に変形は生じなかった。
【0050】(比較例1)金型を加圧水型金型温調装置
によって120゜Cに温度調節した。射出成形開始時、
配管20には冷却媒体である冷却油を循環させず、電気
ヒータ30から構成された加熱手段によって、加圧流体
注入用ノズル10の先端部分11の温度を280゜Cに
温度調節した。
【0051】そして、実施例2と同じ熱可塑性樹脂を使
用し、実施例2と同じ射出成形条件にて射出成形を行っ
た。但し、中空部内の加圧流体の大気への解放を行う1
0秒前に、加熱手段の作動を停止させたのみとし、冷却
油を配管20内を循環させなかった。実測によれば、加
圧流体注入用ノズル10の先端部分11の温度は約18
0゜Cであった。その後、加圧流体注入用ノズル10を
移動手段50によって後退させ、中空部内の加圧流体の
大気への解放を行った。
【0052】加圧流体注入用ノズル10を移動手段50
によって後退させる際、加圧流体注入用ノズルの先端部
分11の近傍の熱可塑性樹脂は十分には固化しておら
ず、成形品に変形が生じ、加圧流体の大気への解放が不
良であった。
【0053】(実施例3)実施例3は、本発明の熱硬化
性樹脂から成る成形品の成形方法に関する。実施例3に
おいても、図6に示した加圧流体注入用ノズル10を使
用した。
【0054】カートリッジヒータを使用して、金型を1
80゜Cに温度調節した。そして、30 ゜Cに温度制
御された冷却油を配管20内を循環させた。加圧流体注
入用ノズル10の先端部分11の温度(T1)は、実測
で約70゜Cであった。
【0055】そして、熱硬化性樹脂であるフェノール樹
脂(フドー株式会社製、商品名:フドーライト)を、熱
硬化性樹脂射出成形機にて90゜Cに予熱し、180゜
Cに温度調節された金型のキャビティ48内に、射出圧
力1.18×108Pa(1200kgf/cm2−G)
にてキャビティ48内にキャビティ48を約80%充満
するだけの量を射出した。尚、使用したフェノール樹脂
の反応開始温度TCTは150゜Cである。
【0056】射出開始後6.0秒後に射出動作を停止
し、同時に、加圧流体注入用ノズル10から7.8×1
6Pa(80kgf/cm2−G)の圧縮窒素ガスをキ
ャビティ48内の溶融熱可塑性樹脂の内部に注入した。
その後、直ちに、配管20内における冷却油の循環を停
止し、同時に加熱ヒータ30を作動させた。そして、加
圧流体注入用ノズル10の先端部分11の温度T2が1
80゜Cとなった後、この温度状態を20秒間保持し
た。その後、加熱ヒータ30の作動を停止させ、10秒
経過後に加圧流体注入用ノズル10を移動手段50によ
って後退させ、中空部内の加圧流体の大気への解放を行
った。
【0057】出し得られた成形品には、厚肉部に貫通し
た中空部が形成されており、キャビティ内の溶融熱硬化
性樹脂内部に加圧流体が確実に注入され、加圧流体注入
用ノズル10はその機能を充分果たしていた。
【0058】(比較例2)実施例3と同様の金型を用
い、冷却手段を持たない加圧流体注入用ノズルを使用
い、実施例3と同じ条件で射出成形を行った。その結
果、加圧流体注入用ノズルの先端部分の温度も、熱硬化
性樹脂の射出開始前に金型温度と同様の180゜Cとな
っていた。そしため、キャビティ内に射出された溶融熱
硬化性樹脂の内部に加圧流体注入用ノズルから加圧流体
を注入しようとしたが、反応・硬化した熱硬化性樹脂に
よって加圧流体注入用ノズルの先端から加圧流体を注入
することができなかった。
【0059】以上、本発明を、好ましい実施例に基づき
説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。実施例にて説明した加圧流体注入用ノズルの構造、
金型の構造、使用した樹脂、射出成形条件は例示であ
り、適宜変更することができる。実施例においては、先
端がキャビティを構成する金型の面に概ね位置した加圧
流体注入用ノズルを使用したが、その代わりに、先端が
キャビティ内に位置する加圧流体注入用ノズルを使用し
てもよい。この場合、加圧流体注入用ノズルの先端部分
はキャビティ内に位置するので、配管20がキャビティ
内の溶融樹脂と接触しない構造とすることが望ましい。
【0060】
【発明の効果】本発明の加圧流体注入用ノズルあるいは
熱可塑性樹脂から成る成形品の成形方法にあっては、加
圧ガス注入用ノズルを後退させる際に、加圧ガス注入用
ノズルの先端部分を熱可塑性樹脂の軟化点温度以下の温
度とすることができるので、加圧ガス注入用ノズルの先
端部分近傍の熱可塑性樹脂が変形することを確実に防止
でき、例えば、中空部内の加圧ガスを大気中に確実に解
放することが可能となる。
【0061】本発明の本発明の加圧流体注入用ノズルに
更に加熱手段を備えることによって、キャビティ内に射
出された、加圧流体注入用ノズルの先端部分近傍の溶融
熱硬化性樹脂の硬化を容易に抑制・制御することができ
る。
【0062】また、本発明の熱硬化性樹脂から成る成形
品の成形方法にあっては、加圧流体注入用ノズルの先端
部分近傍の熱硬化性樹脂の反応を確実に抑制・制御する
ことができ、キャビティ内の溶融熱硬化性樹脂の内部に
加圧流体を確実に注入することができる。一方、キャビ
ティ内の溶融熱硬化性樹脂の内部に加圧流体を注入した
後、溶融熱硬化性樹脂と接している加圧流体注入用ノズ
ルの部分を、熱硬化性樹脂の反応開始温度以上とするこ
とによって、加圧流体注入用ノズルの先端部分近傍の溶
融熱硬化性樹脂の反応・硬化を促進することができ、加
圧ガス注入用ノズルを確実に後退させることができる。
その結果、例えば、キャビティ内の熱硬化性樹脂の内部
に形成された中空部内の加圧流体を大気中に確実に解放
することができる。
【0063】以上の結果として、熱可塑性樹脂を使用し
た場合であっても、熱硬化性樹脂を使用した場合であっ
ても、中空部を有し、ひけや反りのない外観の美麗な成
形品を確実に射出成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の加圧流体注入用ノズルの先端部分の
模式的な側面図、模式的な正面図、及び、模式的な一部
断面図である。
【図2】加圧流体注入用ノズルが、射出成形装置に取り
付けられた金型に配設された状態を模式的に示す図であ
る。
【図3】実施例1の加圧流体注入用ノズルの変形例にお
ける先端部分の模式的な側面図及び模式的な正面図であ
る。
【図4】実施例1の加圧流体注入用ノズルの別の変形例
における先端部分の模式的な側面図及び模式的な正面図
である。
【図5】実施例1の加圧流体注入用ノズルの更に別の変
形例における先端部分の模式的な側面図及び模式的な正
面図である。
【図6】実施例1の加圧流体注入用ノズルの更に別の変
形例における先端部分の模式的な側面図及び模式的な正
面図である。
【図7】実施例2において、キャビティ内に溶融熱可塑
性樹脂を射出したときの加圧流体注入用ノズルの先端部
分の状態を示す模式的な一部断面図である。
【図8】実施例2において、キャビティ内の溶融熱可塑
性樹脂の内部に加圧流体を注入したときの加圧流体注入
用ノズルの先端部分の状態を示す模式的な一部断面図で
ある。
【図9】実施例2において、加圧流体注入用ノズルを移
動手段によって後退させ、中空部内の加圧流体の大気へ
の解放を行う状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10・・・加圧流体注入用ノズル、11・・・先端部
分、12・・・先端、13・・・加圧流体吐出孔、14
・・・中心孔、15・・・凸部、16・・・逆止弁ケー
シング部、17・・・ボール、18・・・加圧流体流
路、20・・・配管、20A・・・配管入口部、20B
・・・配管出口部、21・・・スリーブ、22・・・断
熱部材、30・・・加熱手段、40・・・射出用シリン
ダー、42・・・可動金型部、44・・・ガス注入部、
46・・・固定金型部、48・・・キャビティ、50・
・・移動手段、52・・・加圧流体用配管、60・・・
溶融樹脂、62・・・中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今泉 洋行 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 落合 和明 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4F033 AA00 BA03 CA04 DA01 EA01 HA02 HA05 LA13 NA01 4F202 AA03 AA13 AA36 AG07 AJ12 AK02 AM34 AM35 AR06 CA11 CD27 CK06 CK17 CN05 4F206 AA03 AA13 AA36 AG07 AJ12 AK02 AM34 AM35 AR067 JA05 JL02 JN14 JN27 JQ81

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金型に設けられたキャビティ内に射出され
    た溶融樹脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流体
    注入用ノズルであって、 キャビティ内に射出された溶融樹脂と接する先端部分を
    冷却するための冷却手段が設けられていることを特徴と
    する加圧流体注入用ノズル。
  2. 【請求項2】冷却手段は、加圧流体注入用ノズルに配設
    された配管、及び該配管内を流れる冷却媒体から構成さ
    れていることを特徴とした請求項1に記載の加圧流体注
    入用ノズル。
  3. 【請求項3】冷却手段を構成する冷却媒体は、外部に設
    置された温度調節装置によって所望の温度に制御される
    ことを特徴とする請求項2に記載の加圧流体注入用ノズ
    ル。
  4. 【請求項4】冷却媒体は、液体又は気体であることを特
    徴とする請求項2に記載の加圧流体注入用ノズル。
  5. 【請求項5】金型と接触する加圧流体注入用ノズルの部
    分を構成する材料の熱伝導率は、加圧流体注入用ノズル
    と接触する金型の部分を構成する材料の熱伝導率よりも
    低いことを特徴とする請求項1に記載の加圧流体注入用
    ノズル。
  6. 【請求項6】加圧流体注入用ノズルの先端には、加圧流
    体注入用ノズルの内部への溶融樹脂の流入を防止する逆
    流防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1
    に記載の加圧流体注入用ノズル。
  7. 【請求項7】樹脂は熱可塑性樹脂から成ることを特徴と
    する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の加圧
    流体注入用ノズル。
  8. 【請求項8】加熱手段を更に備えていることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の加圧流
    体注入用ノズル。
  9. 【請求項9】樹脂は熱硬化性樹脂から成ることを特徴と
    する請求項8に記載の加圧流体注入用ノズル。
  10. 【請求項10】溶融樹脂の内部に注入される加圧流体
    は、加圧ガスから成ることを特徴とする請求項1乃至請
    求項9のいずれか1項に記載の加圧流体注入用ノズル。
  11. 【請求項11】金型に設けられたキャビティ内に溶融熱
    可塑性樹脂を射出した後、先端部分を冷却するための冷
    却手段が設けられた加圧流体注入用ノズルを使用し、キ
    ャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に該加圧流体注入
    用ノズルの先端から加圧流体を注入し、キャビティ内の
    熱可塑性樹脂を冷却・固化した後、加圧流体注入用ノズ
    ルを後退させ、以て、中空部が形成された熱可塑性樹脂
    から成る成形品を成形する方法であって、 加圧流体注入用ノズルを後退させるときの加圧流体注入
    用ノズルの熱可塑性樹脂と接している先端部分の温度
    を、冷却手段の動作によって、概ね、可塑性樹脂の軟化
    点温度以下の温度とすることを特徴とする熱可塑性樹脂
    から成る成形品の成形方法。
  12. 【請求項12】加圧流体注入用ノズルを後退させるとき
    の加圧流体注入用ノズルの熱可塑性樹脂と接している先
    端部分の温度をT(゜C)、熱可塑性樹脂の軟化点温度
    をTMP(゜C)、室温をTRT(゜C)としたとき、温度
    Tは、TRT≦T≦(TMP+10)を満足することを特徴
    とする請求項11に記載の熱可塑性樹脂から成る成形品
    の成形方法。
  13. 【請求項13】金型に設けられたキャビティ内に溶融熱
    硬化性樹脂を射出した後、先端部分を冷却及び加熱する
    ための冷却/加熱手段が設けられた加圧流体注入用ノズ
    ルを使用し、キャビティ内の溶融熱硬化性樹脂の内部に
    該加圧流体注入用ノズルの先端から加圧流体を注入し、
    キャビティ内の熱硬化性樹脂を硬化させた後、加圧流体
    注入用ノズルを後退させ、以て、中空部が形成された熱
    硬化性樹脂から成る成形品を成形する方法であって、 キャビティ内に溶融熱硬化性樹脂を射出する前に、溶融
    熱硬化性樹脂と接する加圧流体注入用ノズルの先端部分
    の温度を、冷却/加熱手段によって熱硬化性樹脂の反応
    開始温度未満とし、 キャビティ内の溶融熱硬化性樹脂の内部に加圧流体を注
    入した後、溶融熱硬化性樹脂と接している加圧流体注入
    用ノズルの先端部分の温度を、冷却/加熱手段によって
    熱硬化性樹脂の反応開始温度以上とすることを特徴とす
    る熱硬化性樹脂から成る成形品の成形方法。
  14. 【請求項14】熱硬化性樹脂の反応開始温度をTCT(゜
    C)、キャビティ内に溶融熱硬化性樹脂を射出する前に
    溶融熱硬化性樹脂と接する加圧流体注入用ノズルの先端
    部分の温度をT1(゜C)、キャビティ内の溶融熱硬化
    性樹脂の内部に加圧流体を注入した後の溶融熱硬化性樹
    脂と接している加圧流体注入用ノズルの先端部分の温度
    をT2(゜C)、熱硬化性樹脂の分解温度をTd(゜
    C)、室温をTRT(゜C)としたとき、温度T1は、T
    RT≦T1≦TCTを満足し、温度T2は、TCT≦T2≦Td
    満足する特徴とする請求項13に記載の熱硬化性樹脂か
    ら成る成形品の成形方法。
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