JP2002177889A - 回転式穀粒選別装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】穀粒がくまなく攪拌され、選別処理能力が大き
く、傷が生じにくい米麦且つ大豆等にも利用できる回転
式穀粒選別装置を提供する。 【解決手段】回転する選別筒内に攪拌翼等を設けること
なく、夾雑物との混合割合が大きい選別筒の穀粒供給口
近傍では攪拌性能を向上し、排出口付近では攪拌を緩や
かにして損傷を防止するため、穀粒供給口側の回転中心
を選別筒の中心より偏芯させ、穀粒排出口側の回転中心
をほぼ選別筒の中心に設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、周囲に多数の孔
または長孔を形成する選別筒を回転させ、筒内に供給さ
れた穀粒の大小を該孔によって選別する穀粒選別装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、穀粒選別装置において、選別筒の
回転中心を選別筒の中心より偏芯させたものとして実開
昭５８−１８３２９１号公報があるが、この公報に開示
された構成は回転軸の軸芯を穀粒供給側、穀粒排出側い
ずれも選別筒の中心よりも偏芯したものである。しか
し、選別が終了間近の排出口においては、過剰の攪拌は
選別筒からの穀粒の排出範囲が広くなり、このための集
穀板を必要としたり、大豆等では選別筒との衝突回数が
増大し傷が生じる畏れがある。また、選別筒外周面に刺
さった穀粒を除去する回転式スクレーパを配設した例と
して実開昭５６−１０６８７１号公報があるが回転式ス
クレーパの回転軸はスクレーパの中心に位置している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】米麦用で、なお且つ大
豆等にも利用できる回転式穀粒選別装置は、選別筒内の
穀粒が隈無く攪拌され、選別処理能力が大きく、特に大
豆では選別筒内に設けた攪拌促進用の攪拌翼等により傷
が生じないことが望ましい。

【０００４】また、選別筒周面の選別孔に刺さった穀粒
を除去して選別処理能力を維持するためのスクレーパは
メンテナンスが簡単で、常時選別筒外周面に接している
必要がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、請求項１記載の発明は、周面に多数の孔を形成して
回転しながら穀粒を篩い選別する選別筒を備えた穀粒選
別装置において、この選別筒の穀粒供給側の回転中心を
選別筒の中心より偏芯させ、穀粒排出側の回転中心を選
別筒のほぼ中心に設けたことを特徴とする。

【０００６】また、請求項２記載の発明は、周面に多数
の孔を形成して回転しながら穀粒を篩い選別する選別筒
を複数横架した穀粒選別装置において、複数の前記選別
筒のうち、いずれかの選別筒の回転軸芯と他方の選別筒
の回転軸芯とのほぼ等距離位置に回転式スクレーパの回
転軸を配置し、該回転式スクレーパは前記選別筒の外周
面と接する弾性体を該回転式スクレーパの中心軸に対し
て放射状に配置したことを特徴とする。

【０００７】さらに、請求項３記載の発明は、前記選別
筒の外周面と接する弾性体を中心線（Ａ）に対して放射
状に配置した回転式スクレーパにおいて、穀粒供給側の
回転中心を該スクレーパ中心より偏芯させ、穀粒排出側
の回転中心を該スクレーパの中心とほぼ等しくし、該ス
クレーパの回転数を前記選別筒の回転数とほぼ同じくし
たことを特徴とする。

【０００８】

【発明の作用および効果】請求項１記載の発明にする
と、選別筒内に供給された穀粒は上下左右に大きく攪拌
される穀粒供給側から、比較的小さく上下左右に攪拌さ
れる穀粒排出側へと粒径選別されながら搬送される。こ
れにより、選別筒内に攪拌翼等を設けることなく、選別
筒の穀粒供給口近傍では夾雑物との混合割合が大きく、
攪拌性能が向上し、排出口付近では攪拌が緩やかになる
ため損傷が防止される。

【０００９】また、請求項２記載の発明にすると、選別
筒を上下、左右、斜め方向に二基並設させた場合や三基
あるいは四基並設させた場合でも、単一のスクレーパの
弾性体が前記いずれかの選別筒の外周面と常時接し、選
別筒周面の孔または長孔に刺さった穀粒を掻き出す。こ
れにより、該回転式スクレーパは単一にして、複数の選
別筒を清掃でき、摩耗後のスクレーパの交換が単一のス
クレーパで済み、点検、保守が容易になるばかりでな
く、選別筒それぞれにスクレーパを配置する場合に比べ
伝動構成が簡略になる。

【００１０】さらに、請求項３記載の発明にすると、偏
芯して回転するスクレーパの弾性体が、偏芯して回転す
る選別筒の外周面に常時接する。これにより、偏芯して
回転する選別筒にあっても、偏芯して回転するスクレー
パが常時各選別筒外周面と接するため、穀粒の詰まり防
止ができ、選別処理能力を維持できる。

【００１１】

【発明の実施の形態】この発明の一実施例を図面に基づ
いて説明する。図１は四基の選別筒２を配置した場合の
穀粒選別装置１の正面図であり、図２は側面断面図を示
す。両端が開放し、周面に多数の孔または長孔を形成し
た多角形状の筒体である選別筒２は、穀粒供給側３の回
転中心が選別筒２の中心よりも距離εだけ偏芯し、穀粒
排出側７の回転中心が選別筒２のほぼ中心に設けられる
よう支架されている。このため、選別筒２の回転軸は選
別筒２の中心線Ａに対して角度θだけ傾斜している。

【００１２】選別筒２を回転駆動する断面が多角形状の
駆動軸４は、選別筒２の周面から内に向かって延出され
た複数本のアーム５を介して、メタル６により支架さ
れ、穀粒排出側７の軸は穀粒供給側３と同じく複数本の
アーム５を介して自動調心またはボール軸受け等の回動
自在な軸受け８により支架されている。

【００１３】穀粒供給側３の方が穀粒排出側７よりもや
や高く支架された選別筒２は着脱または開閉自在な蓋９
を設けたケーシング１０により覆われており、選別筒２
の穀粒供給側上部には穀粒の供給ホッパ１９、該供給ホ
ッパ１９下部には穀粒を定量繰出しをする定量繰出し装
置２０、該定量繰出し装置２０下部には前記各選別筒２
の穀粒供給側３の開放部へ穀粒を定量供給するための分
配器２１をそれぞれ設けている。

【００１４】なお、定量繰出し装置２０は内部の複数枚
の繰出し羽根を所定回転で回転させ、前記供給ホッパ１
９内の穀粒を下方の分配器２１に分配供給し、繰出し羽
根の正面視全幅Ｗ１が前記分配器２１の供給口幅Ｗ２に
略等しくしたことを特徴とし、分配器２１は供給口を各
選別筒２の個数（本実施例では４列）に等分したことを
特徴としており、これにより、各選別筒２への穀粒供給
量の均一化を図っている。

【００１５】前記ケーシング１０下部には選別筒２の孔
または長孔から落下した穀粒を搬送するための搬送螺旋
１１と所定粒径にて回収、排出するための排出口１２、
２２を設けている。また、穀粒供給側３のケーシング１
０には前記選別筒２の駆動軸４と嵌合するカップリング
１３を有す軸１４が軸受１５を介して取り付けられてお
り、該軸１４にはスプロケット１６が設けられ、モータ
１７、チエン１８を介して、全ての選別筒２が回転駆動
するように構成されている。

【００１６】次に上例の作用について説明する。荷受け
れた穀粒は移送用コンベア、昇降機（図示せず）を介し
て、供給ホッパ１９に供給され、定量繰出し装置２０に
より、分配器２１を介して前記選別筒２の穀粒供給側３
に定量ずつ移送、供給される。供給された穀粒は一方の
回転中心がε偏芯している選別筒２により図３に示すよ
うに穀粒供給側３（図３−（１））では大きく上下左右
に隈無く攪拌され、排出側（図３−（２））では小さく
上下左右に攪拌されながら排出側へ搬送される。

【００１７】選別筒２の周面に設けた孔または長孔径よ
りも小さい穀粒または夾雑物は該孔から落下し、搬送方
向の第一番目の排出口２２から前記搬送螺旋１１により
搬送排出され、周面に設けた孔または長孔径よりも大き
い穀粒は該孔から落下することなく選別筒２の穀粒排出
口２３から排出、落下し、前記搬送螺旋１１の終端部の
排出口１２から後工程に搬送され、処理される。

【００１８】この様にすると、選別筒２において、穀粒
供給側３では、穀粒は偏芯した駆動軸４により上下左右
に大きく攪拌され、米麦では穀粒表面に付着している糠
や付着物が容易に除去されると共に、外周面に設けた孔
または長孔への刺さりが生じ難くなるため刺さり粒が減
少し、この結果、選別性能を向上できる。また、穀粒排
出側７では上下左右の攪拌が小さいため、所定粒径以上
の穀粒が互いに、あるいは選別筒２と衝突する回数が減
るため、穀粒の損傷を低減できる。

【００１９】図４、図５は、複数の選別筒を配設した回
転式穀粒選別装置において、複数の前記選別筒２のう
ち、いずれかの選別筒の回転軸芯と他方の選別筒の回転
軸芯とのほぼ等距離位置に、回転式スクレーパ２５の回
転軸を配置した実施例を示す。回転式スクレーパ２５は
ドラム形状のスクレーパ軸３０と断面多角形状の駆動軸
（図示省略）と軸受け２６を嵌合したメタル２７とを有
し、スクレーパ軸３０にはゴム、プラスチック等の弾性
体からなる帯状の複数のスクレーパ２５ａがボルト、ナ
ット等により挟み板２５ｂを介して放射状に固定されて
いる。

【００２０】なお、前記挟み板２５ｂのスクレーパ軸３
０および選別筒２に対する配置を、いずれかのスクレー
パ２５ａの一端部が任意の選別筒２に接している間は、
他方のスクレーパ２５ａ端部はいずれの選別筒２とも接
しないようにしてもよい。この様にすると、複数の選別
筒２に対して単一の回転式スクレーパ２５により選別筒
２外周面に刺さった穀粒を除去でき、伝動構成が簡略に
なる。また、図５ではスクレーパ２５ａによる回転負荷
は交互になり、スクレーパ軸３０の負荷はスクレーパ２
５ａが同時に選別筒２に接する場合に比べて小さくなる
ため消費動力を低減させることができる。

【００２１】図６は穀粒供給側３のスクレーパ３１の回
転中心を該スクレーパ中心よりε偏芯させ、穀粒排出側
７の該スクレーパ３１の回転中心を該スクレーパ中心と
ほぼ等しくし、該スクレーパ３１の回転数を選別筒２の
回転数とほぼ同じくした実施例を示し、図７は運転中の
選別筒２と回転式スクレーパ３１相互の関係を示す。ス
クレーパの中心線Ａに対してスクレーパの回転軸がθ傾
斜する構成である。

【００２２】回転式スクレーパ３１を回転駆動する断面
が多角形状の駆動軸（図示省略）がスクレーパ３１の穀
粒供給側３に設けられ、前方のケーシング１０には該駆
動軸に嵌合うカップリング２９が設けられている。穀粒
排出側７には回動自在の軸受け２６が設けられ、該軸受
け２６は取付板を固定したメタル２７に嵌合され、回転
式スクレーパ３１の後方のケーシング１０には穴２８が
設けられている。

【００２３】前記回転式スクレーパ３１を取り外す際
は、前記蓋９を外し、取付板と共に前記メタル２７の付
いたスクレーパ３１を穴２８から抜き取ればよい。取り
付ける際は、前記穴２８から、回転式スクレーパ３１を
挿入し、前記ケーシング１０に設けたカップリング２９
に前記駆動軸を差し込み、後端のメタル２７の取付板を
ナット等により固定する。

【００２４】この様にすると、摩耗したスクレーパ２５
ａを交換する場合においても単一のスクレーパ３１のみ
交換するだけでよく、交換時間の短縮が図れ、選別筒２
および回転式スクレーパ３１の穀粒供給側３の回転中心
が偏芯していても、スクレーパ３１は選別筒２の外面に
常時接しており、選別筒２周面に設けた孔または長孔に
刺さった穀粒を掻き出し、前記孔が詰まること無く安定
した選別性能を維持できる。

【００２５】図８は前記穀粒選別装置１の排出口２２ま
たは排出口１２から排出された穀粒を供給するコンベア
４１と、該穀粒を荷受け後、乾燥するための乾燥装置４
０の縦断面図を示す。乾燥装置４０は穀粒を供給する均
分配穀装置４２、穀粒を貯留する貯留装置４３、穀粒を
貯留装置４３に案内する流下樋４４、熱風を吸引する吸
引フアン４５、熱風を発生する熱風装置４６を有する乾
燥装置であって、均分配穀装置４２は流下樋４４上部に
配置され、流下樋４４は貯留装置４３内において、上部
を軸支され、他端を垂下し、任意の中間位置に回動自在
な接合部４７を有し、貯留装置４３外部から前記流下樋
４４の接合部４７を吊り上げる吊上手段４８を設けたこ
とを特徴とする。荷受け時に、穀粒の種別を判断し、大
豆の場合は図８の実線で図示した如く、流下樋４４を垂
下しておき、米麦の場合は、前記吊上手段４８により接
合部４７を吊り上げる（図８鎖線部）構成にしている。
この様にすると、単一の乾燥装置４０にして種々の穀粒
に対応した乾燥が行える効果があり、米麦の場合は、乾
燥ムラを無くすために攪拌螺旋装置（図示省略）を貯留
装置４３内部において移動することができ、大豆等の割
れやすい穀粒の張込時は、穀粒の落下の衝撃を緩衝する
流下樋４４を設け、攪拌螺旋装置を停止することで割れ
粒を防止できる。

【００２６】また、図９は前記乾燥装置４０にあって、
張込量を検出する張込量検出装置５０を装備した例を示
す。単一または複数本の多孔５１ａを有したパイプ５
１、送風機５２、風速または圧力を検出するセンサ５
３、制御装置５４、張込量算出手段５５を有した張込量
検出装置５０であって、パイプ５１を貯留装置４３内に
配置し、複数本の場合は上端を一箇所にまとめ、該上端
を前記送風機５２の吸入部と連通し、前記センサ５３を
前記送風機５２の吸入部または排出部に設け、該センサ
５３は制御装置５４内の張込量算出手段５５と通信さ
れ、張込量算出手段５５は前記センサ５３の検出信号に
基づいて予め設定している張込量と風速または圧力の検
出信号との関係から張込量を算出することを特徴とす
る。

【００２７】従来の張込量検出装置５０としては、貯留
装置４３内において、満量と見なされる箇所に回転羽根
を有し、負荷が大きくなったときにスイッチが動作して
満量を検知したり、静電容量型でプローブの電気抵抗の
検出により穀粒の有無を検出するものがあるが、いずれ
も穀粒の検出位置範囲は小さかった。

【００２８】上記課題を解決するため、前記手段を講じ
ることにより、穀粒がまだ張り込まれていないときは、
パイプ内の通気抵抗が小さいため、風速（風量を含む）
が速く、または圧力が小さいが、張込後、徐々に穀粒が
貯留装置４３に堆積し、前記パイプ５１が埋まってくる
とパイプ５１に設けた吸気孔５１ａが塞がれ、通気抵抗
が増大するため風速や風量は小さくなり、反対に圧力は
増加してくる。この風速または圧力をセンサ５３により
検出し、検出信号として張込量算出手段５５へ出力し、
予め設定している穀粒の張込量と前記風速または圧力の
検出信号との関係から張込量算出手段５５は張込量を算
出する。

【００２９】この様にすると、穀粒に直接センサ５３が
接触しないため、衝撃等による機械的損傷が発生せず、
また、穀粒の付着による誤動作を生ずることがなく、安
定した測定が行え、乾燥条件を設定するために重要な張
込量を精度良く算出できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の形態に係わる正面図

【図２】本発明の一実施例の形態に係わる側面縦断面図

【図３】本発明の一実施例の形態に係わる穀粒の攪拌状
態図

【図４】本発明の一実施例の形態に係わる正面断面図

【図５】図４に係わる他の実施例

【図６】本発明の一実施例の形態に係わる側面縦断面図

【図７】本発明の一実施例の形態に係わる運転状態図

【図８】要部の正面断面図

【図９】要部の説明図

【符号の説明】

１…穀粒選別機 ２…選別筒 ４…駆動軸 １０…ケーシング １２…排出口 １３…カップリング １６…スプロケット １７…モータ １９…供給ホッパ ２０…定量繰出し装置 ２１…分配器 ２５…回転式スクレーパ ３１…回転式スクレーパ ４０…乾燥装置 ４３…貯留装置 ４７…接合部 ５０…張込量検出装置 ５１…パイプ ５２…送風機 ５３…センサ ５４…制御装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 定和 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 是久 正喜 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内 Ｆターム(参考） 4D021 AA13 AB01 CA11 DA09 EA02

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】周面に多数の孔を形成して回転しながら穀
   粒を篩い選別する選別筒を備えた穀粒選別装置におい
   て、この選別筒の穀粒供給側の回転中心を選別筒の中心
   より偏芯させ、穀粒排出側の回転中心を選別筒のほぼ中
   心に設けたことを特徴とする回転式穀粒選別装置。
2. 【請求項２】周面に多数の孔を形成して回転しながら穀
   粒を篩い選別する選別筒を複数横架した穀粒選別装置に
   おいて、複数の前記選別筒のうち、いずれかの選別筒の
   回転軸芯と他方の選別筒の回転軸芯とのほぼ等距離位置
   に回転式スクレーパの回転軸を配置し、該回転式スクレ
   ーパは前記選別筒の外周面と接する弾性体を該回転式ス
   クレーパの中心軸に対して放射状に配置したことを特徴
   とする回転式穀粒選別装置。
3. 【請求項３】前記選別筒の外周面と接する弾性体を中心
   線（Ａ）に対して放射状に配置した回転式スクレーパに
   おいて、穀粒供給側の回転中心を該スクレーパ中心より
   偏芯させ、穀粒排出側の回転中心を該スクレーパの中心
   とほぼ等しくし、該スクレーパの回転数を前記選別筒の
   回転数とほぼ同じくしたことを特徴とする請求項１記載
   の回転式穀粒選別装置。