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JP2002144128A - スクロール状工作物の加工方法及び装置 - Google Patents

スクロール状工作物の加工方法及び装置

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Publication number
JP2002144128A
JP2002144128A JP2000337066A JP2000337066A JP2002144128A JP 2002144128 A JP2002144128 A JP 2002144128A JP 2000337066 A JP2000337066 A JP 2000337066A JP 2000337066 A JP2000337066 A JP 2000337066A JP 2002144128 A JP2002144128 A JP 2002144128A
Authority
JP
Japan
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scroll
workpiece
involute
wall surface
axis direction
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000337066A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiji Aoki
省二 青木
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Toyo Advanced Technologies Co Ltd
Original Assignee
Toyo Advanced Technologies Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Advanced Technologies Co Ltd filed Critical Toyo Advanced Technologies Co Ltd
Priority to JP2000337066A priority Critical patent/JP2002144128A/ja
Publication of JP2002144128A publication Critical patent/JP2002144128A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Milling Processes (AREA)
  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工作物の回転中心とインボリュート基礎円の
中心との偏心の有無にかかわらず、当該工作物における
スクロール状壁のインボリュート曲線部分を高精度で加
工する。 【解決手段】 インボリュート曲線部35の壁面形状を
円弧補間する。この壁面と工具16との接触点における
当該壁面の法線方向が常に一定のX軸方向を向くよう
に、スクロール状工作物を回転させ、かつ、工具を前記
円弧に沿うように前記工作物に対して前記X軸方向及び
これと直交するY軸方向に相対移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空調機器における
圧縮機等に用いられるスクロール状工作物の加工方法及
び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スクロール状工作物を加工する方
法として、例えば特開昭62−88507号公報に示さ
れるようなものが知られている。この方法は、前記工作
物におけるインボリュート曲線状の内壁面もしくは外壁
面に対し、前記インボリュート曲線の基礎円の中心から
その径方向と合致するY軸方向に前記基礎円の半径分だ
け工具の中心位置をずらした状態で、この工具を前記Y
軸方向と直交するX軸方向に当て、このX軸方向に工具
と工作物とを相対移動させながら工作物を前記基礎円の
中心回りに回転させることにより、前記壁面の加工を行
うようにしたものである。
【0003】このような方法によれば、前記X軸方向の
工具と工作物との相対移動、及び工作物の回転によっ
て、前記壁面の加工を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記スクロール加工に
おいて、インボリュート曲線状のスクロール状壁を高精
度で加工するためには、工作物の回転中心とインボリュ
ート曲線の基礎円の中心とが正確に合致していなければ
ならない。換言すれば、工作物の回転中心とインボリュ
ート基礎円の中心との間にずれがある場合(例えばチャ
ック等への工作物のセット位置に誤差がある場合やチャ
ック自体の回転中心のずれがある場合)には、その回転
中心のずれがインボリュート曲線加工の精度に著しい悪
影響を及ぼす欠点がある。
【0005】また近年は、工作物全体のコンパクト化を
図るため、前記インボリュート基礎円の中心を円形工作
物の中心から意図的にずらしたスクロール状工作物も実
用化されているが(例えば特開昭55−37537号公
報)、このような偏心軸をもつ工作物を前記方法によっ
て加工するためには、当該工作物をその外形円の中心か
ら外れた偏心軸回りに回転させるために複雑な機構のチ
ャックを用いなければならず、コストの増大は免れ得な
い。
【0006】本発明は、このような事情に鑑み、工作物
の回転中心とインボリュート基礎円の中心との偏心の有
無にかかわらず、当該工作物におけるスクロール状壁の
インボリュート曲線部分を高精度で加工することができ
る方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段として、本発明は、スクロール状壁を有し、この
スクロール状壁にその壁面がインボリュート曲線状をな
すインボリュート曲線部が形成されたスクロール状工作
物の当該インボリュート曲線部の壁面を加工するための
方法であって、前記インボリュート曲線部における壁面
の形状を円弧補間し、当該壁面と工具との接触点におけ
る当該壁面の法線方向が常に一定のX軸方向を向くよう
に、前記スクロール状工作物を前記インボリュート曲線
の基礎円の中心またはその近傍点を中心に回転させなが
ら、前記工具を前記円弧に沿うように前記スクロール状
工作物に対して前記X軸方向及びこれと直交するY軸方
向に相対移動させるものである。
【0008】また本発明は、スクロール状壁を有し、こ
のスクロール状壁にその壁面がインボリュート曲線状を
なすインボリュート曲線部が形成されたスクロール状工
作物の当該インボリュート曲線部の壁面を加工するため
の装置において、前記工作物を前記基礎円の中心または
その近傍の点を中心に回転させる回転駆動手段と、前記
工具と工作物とを前記インボリュート曲線の基礎円の直
径と平行なX軸方向に相対移動させるX軸駆動手段と、
前記工具と工作物とを前記インボリュート曲線の基礎円
の直径と平行でかつ前記X軸方向と直交するY軸方向に
相対移動させるY軸駆動手段と、前記インボリュート曲
線部における壁面の形状を円弧補間する補間演算手段
と、この補間演算された壁面と工具との接触点における
当該壁面の法線方向が常に一定のX軸方向を向くよう
に、前記スクロール状工作物を前記インボリュート曲線
の基礎円の中心またはその近傍点を中心に回転させなが
ら、前記工具を前記円弧に沿うように前記スクロール状
工作物に対して前記X軸方向及びこれと直交するY軸方
向に相対移動させるように前記各駆動手段を作動させる
加工制御手段とを備えたものである。
【0009】これらの方法及び装置では、インボリュー
ト曲線部の壁面形状を円弧補間し(すなわち複数の円弧
をつなぎ合わせた形状に近似し)、この円弧に沿うよう
に工具を工作物に対して相対移動させるので、工作物の
回転中心がインボリュート基礎円の中心に合致している
か否かにかかわらず、前記インボリュート曲線部の壁面
を高精度で加工することができる。従って、前記工作物
を前記インボリュート基礎円の中心から当該基礎円の半
径以下の範囲でずれた位置にある軸を中心に回転させな
がら前記インボリュート曲線部の壁面を加工することも
可能となる。しかも、前記工具と円弧との接触点におけ
る法線が常に一定のX軸方向を向くように工作物を回転
させるので、工作物に対する工具の相対運動も複雑とな
らない。
【0010】前記インボリュート曲線部の壁面の曲線を
円弧補間するには、例えば当該曲線を同じピッチ角度
(インボリュート曲線の伸開角)で分割し、その分割さ
れた各曲線について当該曲線と近似する円弧を割り当て
るようにすればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0012】図1は、本発明を実施するための加工装置
の一例を示したものである。図において、べッド10上
にはY軸コラム12が立設され、このY軸コラム12に
沿って昇降可能、すなわち、上下方向であるY軸方向に
沿って移動可能に工具台14が装着されている。この工
具台14は、工具(ここではエンドミル)16を着脱可
能に把持する図略のチャックを備え、前記Y軸コラム1
2内に設けられたボールねじ機構及び図3に示すY軸モ
ータ(Y軸駆動手段)13によって昇降駆動されるよう
になっている。
【0013】前記べッド10上には、前記工具16の中
心軸と平行なZ軸方向に延びるレール18が設置され、
このレール18に沿ってスライド可能にZ軸テーブル2
0が装着されている。このZ軸テーブル20は、Z軸モ
ータ22及び図略のボールねじ機構によって前記Z軸方
向にスライド駆動されるようになっている。
【0014】このZ軸テーブル20上には、前記Z軸方
向とY軸方向とに直交するX軸方向にスライド可能にX
軸テーブル24が装着されている。このX軸テーブル2
4は、図3に示すX軸モータ(X軸駆動手段)25及び
図略のボールねじ機構によって前記X軸方向にスライド
駆動されるようになっている。
【0015】このX軸テーブル24上には主軸台26が
立設されている。この主軸台26は、前記Z軸と平行な
C軸回りに回転可能に図略の主軸を支持している。この
主軸は、C軸モータ(回転駆動手段)28によってC軸
回りに回転駆動されるとともに、図略のチャックを介し
てスクロール状工作物30を着脱可能に把持するように
構成されている。
【0016】図2は、前記スクロール状工作物30の一
例を示したものである。この工作物30は円形の外周面
を有し、その前側面(図2では手前側面)から前方にス
クロール状壁32が突出している。このスクロール状壁
32は、中心部34及びインボリュート曲線部35から
なっている。中心部34は、スクロール状壁32の内壁
面と外壁面との境界点を挾む所定領域に形成されてお
り、円弧、直線等、インボリュート曲線以外の形状に形
成されている。インボリュート曲線部35は、前記中心
部34を挾む外壁面35A及び内壁面35Bを有し、本
発明による加工の前の状態で、両壁面35A,35Bは
凡そ互いに同一の円を基礎円とするインボリュート曲線
状に形成されている。従って、前記X軸方向及びY軸方
向はともに前記基礎円の半径方向と合致する方向に設定
されている。
【0017】この加工装置は、図3に示すようなNC制
御装置(駆動制御手段)40を備えている。このNC制
御装置40は、前記Z軸モータ22を作動させることに
より、工具16に対する工作物30の位置決めを行うと
ともに、前記X軸モータ25、Y軸モータ13、及びC
軸モータ28の作動制御により前記工作物30における
スクロール状壁32の壁面加工を実行させるものであ
り、この加工制御に関与する機能として、データ読取り
部42、補間データ演算部44、及びパルス分配部46
を備えている。
【0018】データ読取り部42は、外部から入力され
るNCデータ(スクロール状壁32の加工形状や送り速
度等)を読取り、記憶するものである。補間データ演算
部44は、データ読取り部42で読み取られたデータに
基づき、前記スクロール状壁32を加工するための補間
データ(詳細後述)を演算し、出力するものである。パ
ルス分配部46は、前記補間データからX軸、Y軸、C
軸の各軸にパルスを分配し、各軸モータ25,13,2
8に出力するものである。
【0019】次に、この装置により実行されるスクロー
ル状壁32の加工方法を説明する。
【0020】まず、前記インボリュート曲線部35A,
35Bの壁面を円弧補間する。その具体的方法として
は、例えば前記壁面の形状を図4に示すように同じピッ
チ角度(インボリュート曲線の伸開角)φで分割し、そ
の分割した各インボリュート曲線について図5に示すよ
うな近似円弧Cを割り当てるようにすればよい。このよ
うな近似円弧Cを決定するには、例えば前記分割をした
インボリュート曲線I(同図破線)の中点Mにおける曲
率中心Oc及び曲率半径Rを求め、その曲率中心Oc及
び曲率半径Rをもつ円弧C(同図実線)を割り当てると
いった手法をとることができる。
【0021】前記図4に示すように、インボリュート曲
線に割り当てられる円弧C1,C2,C3,C4,C
5,C6,…の曲率半径R1,R2,R3,R4,R
5,R6,…は中心部から離れるに従って大きくなって
いく。また、各円弧C1,C2,C3,C4,C5,C
6,…の曲率中心はインボリュート基礎円に近似した円
Aの上に乗ることになる。
【0022】なお、本発明では中心部34の加工の有無
を問わないが、もし中心部34もインボリュート曲線部
35と続けて加工する場合には、前記と同様にして中心
部34の形状を円弧補間(形状によっては局所的に直線
補間)したデータを用意しておけばよい。
【0023】実際の加工においては、図6(a)に示す
ように、工具16の中心をインボリュート曲線の基礎円
BCの中心に対しY軸方向に沿って負の向き(下方)に
基礎円半径roとほぼ等しい分だけ相対的にずらし、こ
のY軸位置で工具16をインボリュート曲線部35の内
壁面35Bの径方向外側部に対して図の右側から左側に
向かって接触させる。この時、X軸、C軸の動きによ
り、スクロール状壁の最外端を加工しながら所定の位置
に接触させることも可能である。この状態で、工具16
と内壁面35Bとの接触点におけるこの内壁面35Bの
法線方向はX軸方向と合致している。
【0024】次に、この状態から、前記法線方向が常に
X軸方向に向くように、工作物30をC軸回りに回転さ
せながら、各円弧に工具16が沿うように当該工具を工
作物30に対してX軸方向及びY軸方向に相対移動させ
る(すなわち各軸モータ25,13,28を同時に作動
させる。)。このような制御により、工具16は、Y軸
方向に微小振幅で振動しながら、巨視的に見てX軸方向
にほぼ直線移動することになる(図6(b)(c))。
【0025】このような加工が進むうち、工具16が前
記インボリュート曲線状内壁面35Bから中心部34に
さしかかり、さらに図7(a)に示すように中心部34
を加工する領域では、前記のように補間演算されたデー
タに基づき、両者の接触点における中心部34壁面の法
線方向を常にX軸方向に保つようにして中心部34を続
けて加工するようにしてもよいし、この中心部34につ
いては別途加工するようにしてもよい。
【0026】前記のように中心部34の加工を進めた場
合、この中心部34の終点に達した時点では、工具16
は基礎円中心に対してY軸方向に前記と逆向き(すなわ
ち正の向き)にほぼ基礎円半径ro分だけずれた位置に
自動的に位置することとなる。この状態から、前記図6
(a)〜(c)に示したと同様に、インボリュート曲線
部35と工具16との接触点における法線方向をX軸方
向に維持するようにして、工作物30を回転させながら
工具16を工作物30に対してX軸方向及びY軸方向に
相対移動させる。これにより、図7(b)(c)に示す
ように、インボリュート曲線部35の外壁面35Aをそ
の径方向内側部分から径方向外側部分に向かって連続加
工することができる。
【0027】以上のようなインボリュート加工を実行す
るには、例えば次に示すような演算制御動作を行うよう
にNC制御装置40を構成すればよい。
【0028】まず、NCデータを読み込んで、スクロー
ル状壁32の加工図形を把握する(図8のステップS
1)。また、実際に加工装置に工作物30をセットした
状態での当該工作物30の中心と実際に工作物30が回
転駆動されるときの回転中心とのずれ量を検出しておく
(ステップS2)。このずれ量は、例えば、工作物また
は工作物に対応させて製作したマスターワークをチャッ
クに把持し、当該工作物またはマスターワークの外周面
にテスターを当てた状態で前記チャックを回転させたと
きの前記外周面の振れを測定するといった方法によって
検出することが可能である。
【0029】次に、前記図4に示したように、インボリ
ュート曲線部35における内外壁35A,35Bのイン
ボリュート曲線を複数の円弧をつなぎ合わせた形状に近
似する。すなわち、インボリュート曲線を同じピッチ角
度で分割して各分割曲線にこれに近似した円弧を割り当
てる(ステップS3)。さらに、各円弧を予め設定され
た道程Sだけ相互離間した複数の点群P1,P2,…で
分割する(ステップS4)。
【0030】このようにして点群分割した後、外部から
入力された指定送り速度F(mm/min)に基づき、点Pn
から点Pn+1に移動するまでの所要移動時間Tnを次式に
より演算する(ステップS5)。
【0031】
【数1】Tn=α・S/F(msec) α:係数 なお、前記道程Sをnに関係なくすべて一定とする場合
には、Tnもすべて等しい値となるが、道程Sをnによ
って変化する値Snとする場合には、Tnもnによって
変化することとなる。
【0032】次に、この移動時間Tnで工具16と工作
物30とをX,Y両方向に相対移動させる距離、及びC
軸回りに工作物30を回転させる角度についての組合せ
データである補間データDnを算出する(ステップS
6)。
【0033】そのデータの演算には、例えば図9に示す
ような手法を用いればよい。
【0034】まず、工具16が点P1で円弧と接触して
いる状態での当該接触点P1における法線(すなわち工
具16の中心A1と前記接触点P1とを通る直線)を引
き、この法線に対して工作物30の回転中心Oから垂線
を下ろしたときの当該垂線と前記法線との交点をB1と
する。これにより、前記工作物回転中心Oと工具中心A
1とを結ぶ線分OA1を斜辺とする直角三角形OA1B
1が形成されることになる。
【0035】同様にして、工具16が前記点P1から道
程Sだけ工作物30に対して相対移動して点P2に至っ
たときの当該点P2における法線を引き、この法線に対
して工作物30の回転中心Oから垂線を下ろしたときの
当該垂線と前記法線との交点をB2として、前記工作物
回転中心Oと工具中心A2とを結ぶ線分OA2を斜辺と
する直角三角形OA2B2を形成する。
【0036】ここで、各直角三角形に着目すると、本発
明方法では常に法線方向をX軸方向に維持するのである
から、点P1での法線である直線A1B1と点P2での
法線である直線A2B2とのなす角度γ12が道程Sにお
いて工作物30を回転させなければならない角度(すな
わちC軸回転角度)となる。そして、線分A1B1の長
さと線分A2B2の長さとの差X12が道程Sで工具16
を工作物30に対してX軸方向に相対移動させなければ
ならない量であり、線分OB1の長さと線分OB2の長
さとの差Y12が工具16を工作物30に対してY軸方向
に相対移動させなければならない量ということになる。
【0037】このようにして、各道程SについてX軸,
Y軸,C軸についての補間データを演算することができ
る。さらに、前記ステップS2において工作物中心と実
際の工作物回転中心とのずれ量が検出された場合には、
そのずれ量に基づいて前記各補間データを補正する。そ
して、この補間データDnに基づき、X,Y,Cの各軸
にパルスを分配し、各軸モータ25,13,28に出力
することにより(ステップS7)、前記のような加工方
法、すなわち、工具16と壁面との接触点におけるスク
ロール状壁32の法線方向を常にX軸方向に保ちながら
インボリュート曲線部35の内外壁35A,35Bを加
工する方法を実現することができる。
【0038】以上示した加工及び装置では、従来のよう
にインボリュート曲線に沿って加工を行うのではなく、
当該インボリュート曲線を円弧補間し、その円弧に沿っ
て工具16を工作物30に対して相対移動させるように
しているので、実際の工作物30の回転中心がインボリ
ュート基礎円の中心から偏心している場合でも、高い加
工精度を維持することができ、さらには、意図的に前記
両中心をずらした加工物についても、従来のように工作
物30を偏心回転させることなく、単純な回転のみでス
クロール状壁32の加工をすることができる。しかも、
工具16と各円弧との接触点における法線が常にX軸方
向を向くように工作物30を回転させるので、従来のイ
ンボリュート加工と比べても、工具16の動きはさほど
複雑とならず、円滑な動きで加工を進めることができ
る。
【0039】図10は、工作物の回転中心とインボリュ
ート基礎円中心とが合致している工作物を本発明によっ
て加工するときの当該工作物に対する工具のX軸方向及
びY軸方向の相対移動を巨視的に示したものである。図
示のように、インボリュート曲線部では、工具回転中心
(Y=0)からインボリュート基礎円半径roにほぼ等
しい寸法だけY軸方向にずれた位置で、当該Y軸方向に
は大きな動きを生ずることなく(すなわちX軸方向への
ほぼ直線的な動きのみで)加工をすることができる。
【0040】このインボリュート曲線部での動きを微視
的にみると図11(a)のようになる。すなわち、工具
16は、割り当てられた各円弧についてY軸方向に微小
振幅(約26μm)で往復動し、その振動中心はインボリ
ュート基礎円の半径(3.0mm)よりも僅かに中心よりの
位置となっている。
【0041】これに対し、基礎円半径は同じ3.0mmであ
っても、その工作物回転中心がインボリュート基礎円中
心から僅かに15μmだけ偏心している工作物を加工する
場合には、図11(b)に示すように、工具16は、Y
軸方向に微小振動するだけでなく、そのY軸方向に360
°の周期でうねることになる。
【0042】さらに、偏心量が基礎円半径3.0mmの1/
2を超える1.8mmである工作物(例えばカーエアコンの
コンプレッサ)では、図11(c)に示すように、工具
16の動きは巨視的に見てもかなり大きな振幅でY軸方
向に振動することになる(振幅約3.5mm)。
【0043】いずれの加工物についても、本発明によれ
ば、単純な動き及び制御で精度の高い加工を実現するこ
とができる。
【0044】なお、本発明はこのような実施の形態に限
定されるものでなく、例として次のような態様をとるこ
とも可能である。
【0045】(1) 前記実施の形態では、工作物30をX
軸方向に移動させ、工具16をY軸方向に移動させるも
のを示したが、工具16をX軸方向に移動させても良い
し、工作物30をY軸方向に移動させるようにしてもよ
い。また、本発明におけるX軸方向、Y軸方向は、互い
に直交する方向であって、インボリュート曲線の基礎円
の直径と平行な方向であれば、自由に設定が可能であ
る。
【0046】(2) 本発明において、工具16の種類は問
わず、エンドミル、砥石をはじめとして壁面加工に適し
た種々の工具が適用可能である。
【0047】(3) 本発明は、スクロール状壁32の少な
くとも一部における内外壁面がインボリュート形状に形
成されたものに対して広く適用可能であり、それ以外の
部分、例えばスクロール最外端36(図2)等の形状は
どのような形状であってもよい。その加工については、
中心部34と同様、本発明による加工方法もしくは他の
加工方法を適宜用いればよい。
【0048】(4) 本発明において、インボリュート曲線
を同じピッチ角度で分割する場合、そのピッチ角度は任
意に設定可能である。ただし、その分割ピッチ角度を小
さくするほど、加工精度が高まることはいうまでもな
い。
【0049】図12は、分割ピッチ角度(5°,10°,
15°,20°,25°)及び基礎円半径と理論誤差量と
の関係をグラフに示したものである。図示のように、分
割ピッチ角度を15°以下に設定すれば、基礎円半径が
3.50mmであっても理論上誤差量を0.50μm以下に抑える
ことができる。一方、前記図1に示したような加工装置
において、主軸に装着される工作物30の芯出しのずれ
(目標回転中心と実際の回転中心とのずれ)は一般に10
μmを超えるから、本発明方法が従来方法よりも高い精
度でインボリュート曲線部の加工をすることができるこ
とは明らかである。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明は、インボリュート
曲線部の壁面形状を円弧補間し、当該壁面と工具との接
触点における当該壁面の法線方向が常に一定のX軸方向
を向くように、スクロール状工作物を回転させ、かつ、
工具を前記円弧に沿うように前記スクロール状工作物に
対して前記X軸方向及びこれと直交するY軸方向に相対
移動させるものであるので、工作物の回転中心とインボ
リュート基礎円の中心との偏心の有無にかかわらず、当
該工作物におけるスクロール状壁のインボリュート曲線
部分を高精度で加工することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるスクロール加工装
置の全体斜視図である。
【図2】前記加工装置により加工されるスクロール状工
作物の一例を示す正面図である。
【図3】前記加工装置に備えられるNC制御装置の機能
構成を示すブロック図である。
【図4】前記スクロール状工作物におけるインボリュー
ト曲線部の壁面形状を円弧補間する方法を示す図であ
る。
【図5】前記円弧の曲率を決定する方法の一例を示す図
である。
【図6】(a)(b)(c)は前記スクロール状工作物
におけるインボリュート曲線部の内壁面を加工する様子
を示す正面図である。
【図7】(a)は前記スクロール状工作物における中心
部を加工する様子を示す正面図、(b)(c)は前記ス
クロール状工作物におけるインボリュート曲線部の外壁
面を加工する様子を示す正面図である。
【図8】前記NC制御装置の行う演算制御動作を示すフ
ローチャートである。
【図9】前記NC制御装置において補間データを演算す
る原理の一例を示す図である。
【図10】本発明にかかる加工中での工作物に対する工
具のX軸方向及びY軸方向の巨視的な相対移動量を示す
グラフである。
【図11】(a)〜(c)は本発明にかかる加工中での
工作物に対する工具のX軸方向及びY軸方向の微視的な
相対移動量を示すグラフである。
【図12】本発明方法での曲線分割ピッチ角度及び基礎
円半径と理論誤差量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
13 Y軸モータ(Y軸駆動手段) 25 X軸モータ(X軸駆動手段) 28 C軸モータ(回転駆動手段) 30 スクロール状工作物 32 スクロール状壁 34 中心部 35 インボリュート曲線部 35A インボリュート曲線部の外壁面 35B インボリュート曲線部の内壁面 40 NC制御装置(駆動制御手段) BC インボリュート曲線の基礎円 C1,C2,C3,C4,C5,C6,… 円弧 ro 基礎円半径

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクロール状壁を有し、このスクロール
    状壁にその壁面がインボリュート曲線状をなすインボリ
    ュート曲線部が形成されたスクロール状工作物の当該イ
    ンボリュート曲線部の壁面を加工するための方法であっ
    て、前記インボリュート曲線部における壁面の形状を円
    弧補間し、当該壁面と工具との接触点における当該壁面
    の法線方向が常に一定のX軸方向を向くように、前記ス
    クロール状工作物を前記インボリュート曲線の基礎円の
    中心またはその近傍点を中心に回転させながら、前記工
    具を前記円弧に沿うように前記スクロール状工作物に対
    して前記X軸方向及びこれと直交するY軸方向に相対移
    動させることを特徴とするスクロール状工作物の加工方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスクロール状工作物の加
    工方法において、前記インボリュート曲線部の壁面の曲
    線を同じピッチ角度で分割し、その分割された各曲線に
    ついて当該曲線と近似する円弧を割り当てることを特徴
    とするスクロール状工作物の加工方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のスクロール状工
    作物の加工方法において、前記工作物を前記インボリュ
    ート基礎円の中心から当該基礎円の半径以下の範囲でず
    れた位置にある軸を中心に回転させながら前記インボリ
    ュート曲線部の壁面を加工することを特徴とするスクロ
    ール状工作物の加工方法。
  4. 【請求項4】 スクロール状壁を有し、このスクロール
    状壁にその壁面がインボリュート曲線状をなすインボリ
    ュート曲線部が形成されたスクロール状工作物の当該イ
    ンボリュート曲線部の壁面を加工するための装置におい
    て、前記工作物を前記基礎円の中心またはその近傍の点
    を中心に回転させる回転駆動手段と、前記工具と工作物
    とを前記インボリュート曲線の基礎円の直径と平行なX
    軸方向に相対移動させるX軸駆動手段と、前記工具と工
    作物とを前記インボリュート曲線の基礎円の直径と平行
    でかつ前記X軸方向と直交するY軸方向に相対移動させ
    るY軸駆動手段と、前記インボリュート曲線部における
    壁面の形状を円弧補間する補間演算手段と、この補間演
    算された壁面と工具との接触点における当該壁面の法線
    方向が常に一定のX軸方向を向くように、前記スクロー
    ル状工作物を前記インボリュート曲線の基礎円の中心ま
    たはその近傍点を中心に回転させながら、前記工具を前
    記円弧に沿うように前記スクロール状工作物に対して前
    記X軸方向及びこれと直交するY軸方向に相対移動させ
    るように前記各駆動手段を作動させる加工制御手段とを
    備えたことを特徴とするスクロール状工作物の加工装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のスクロール状工作物の加
    工装置において、前記インボリュート曲線部の壁面の曲
    線を同じピッチ角度で分割し、その分割された各曲線に
    ついて当該曲線と近似する円弧を割り当てるように前記
    補間演算手段が構成されていることを特徴とするスクロ
    ール状工作物の加工装置。
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