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JP2002001966A - 記録ヘッドと記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

記録ヘッドと記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置

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Publication number
JP2002001966A
JP2002001966A JP2000187178A JP2000187178A JP2002001966A JP 2002001966 A JP2002001966 A JP 2002001966A JP 2000187178 A JP2000187178 A JP 2000187178A JP 2000187178 A JP2000187178 A JP 2000187178A JP 2002001966 A JP2002001966 A JP 2002001966A
Authority
JP
Japan
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nozzle
layer
hole
substrate
communication hole
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000187178A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Mochizuki
栄二 望月
Takeshi Nanjo
健 南條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2000187178A priority Critical patent/JP2002001966A/ja
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】インクの貯蔵部分に気泡の滞留部が生じること
を防いで安定してインクを吐出させて良質な画像を安定
して形成する。 【解決手段】ノズル基板12を複数回の電鋳により形成
するときに、第1層21にインク液滴を吐出するノズル
孔23を形成した後、第2層22でノズル孔23に連通
するノズル連通孔24を第1層21から90度以上の角度
で立ち上げノズル孔23に対して先細形状に形成し、か
つノズル孔23とノズル連通孔24を形成する各層のノ
ズル孔23とノズル連通孔24の内周面の界面に隙間が
ないように形成し、ノズル連通孔24に気泡が滞留する
ことを防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はノズルからインク
液滴を噴射して印字する記録ヘッドと記録ヘッドの製造
方法及びインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置に使用する静電
型方式の記録ヘッドは、例えば特開平5−50601号
公報や特開平9−39229号公報,特開平9−392
35号公報等に示されているように、ノズルを有する加
圧液室の一面に設けた振動板に一定間隔をおいて設けた
個別電極と振動板の間に電圧を印加して振動板を個別電
極側に静電的吸引又は反発させて変形させ、加圧液室の
インクをノズルから吐出させて記録紙に印字する。この
静電型方式の記録ヘッドは薄型で高密度,高品質の印字
を行なえるとともに長寿命であるという利点を有してい
る。
【0003】この記録ヘッドのノズルを有するノズル基
板を作製するときは、例えば特開平5−4346号公報
や特開平7−156389号公報に示すように、2層以
上の複数層を電鋳により形成している。このように複数
層を電鋳により形成するのは、各ノズル孔に対向して設
けられる振動板との間に所定の間隙を作り、インクを充
填する加圧液室を形成するとともに加圧液室にインクを
供給するインク供給溝を形成するためである。
【0004】この複数層の電鋳により形成してノズル基
板を作製する従来の製造方法を図8の工程図を参照して
説明する。図8(a)に示すように、ステンレス板等の
導電性基板からなるマスター基板30にポジ型レジスト
を塗布して露光,現像し、所定の形状例えば直径が80μ
mで厚さが1μmの円形パターン31を形成した後、例
えばNi電鋳液中で電鋳によりマスター基板30と円形
パターン31の表面にNiを30μm析出させて第1層2
1を形成する。このとき第1層21は円形パターン31
に約30μmオーバーハングしてくるので直径約20μmの
ノズル孔23が形成される。次ぎに、図8(b)に示す
ように、第1層21の上にポジ型レジストを塗布して露
光,現像し、ノズル孔23に連通するノズル連通孔を形
成する連通孔パターン41とインク供給溝を形成する供
給溝パターン42を形成する。次ぎに、図8(c)に示
すように、第1層21と連通孔パターン41と供給溝パ
ターン42の上にNi電鋳によりNiを例えば25μm析
出させて第2層22を形成する。その後、第1層21か
らマスター基板30を遊離させて、円形パターン31と
連通孔パターン41と供給溝パターン42を剥離除去し
てノズル基板43を完成する。
【0005】また、ノズル基板を作製する他の製造方法
は、図9の工程図の(a)に示すよう、マスター基板3
0にポジ型レジストを塗布して露光,現像して所定の形
状の円形パターン31を形成した後、Ni電鋳法により
マスター基板30と円形パターン31の表面にNiを30
μm析出させて第1層21を形成する。次ぎに、図9
(b)に示すように、第1層21の上に例えば厚さ30μ
mのネガ型ドライフィルムレジスト(以下、ネガ型DF
Rという)を熱圧着ローラによりラミネートした後、フ
ォトリソグラフィの手法を用いてノズル孔23に連通す
るノズル連通孔を形成する連通孔パターン44とインク
供給溝を形成する供給溝パターン45を形成する。次ぎ
に、図9(c)に示すように、第1層21の上にNi電
鋳によりNiを例えば25μm析出させて第2層22を形
成する。その後、第1層21からマスター基板30を遊
離させて、円形パターン31と連通孔パターン43と供
給溝パターン44を剥離除去してノズル基板46を完成
する。
【0006】このようにして作製したノズル基板43,
46を用いた記録ヘッドによりインク滴の吐出特性を良
好にするためには、ノズル孔23やノズル連通孔とイン
ク供給溝の内面のインクとの親水性を高くする必要があ
り、かつ、インク滴が形成されるノズルの外周部に位置
する表面はインクとの撥水性が高い必要がある。このた
めノズル基板のインク吐出側の表面に撥水層を形成して
いる。この撥水層を形成したノズル基板の製造方法を図
10の工程図を参照して説明する。
【0007】図10(a)に示すように、マスター基板
30にポジ型レジストを塗布して露光,現像して所定の
形状の円形パターン31を形成した後、Ni電鋳法によ
りマスター基板30と円形パターン31の表面にNiを
30μm析出させて第1層21を形成する。次ぎに図10
(b)に示すように、第1層21をマスター基板30か
ら遊離させて、円形パターン31を剥離除去する。次ぎ
に図10(c)に示すように、第1層21の円形パター
ン31で形成された円形部とは反対側の下面に例えば厚
さ70μmのネガ型DFRを熱圧着ローラ(温度60℃)に
よりラミネートしてネガ型DFRをノズル孔23内へ潜
り込ませてレジスト層47を形成する。また、図10
(d)に示すように、第1層21の上面に例えば厚さ20
μmのネガ型DFRを熱圧着ローラー(温度60℃)によ
りラミネートしてレジスト層48を形成し、第1層21
をレジスト層47とレジスト層48で挾み込んだ後に、
下面のレジスト層47側から全面露光を行なう。その
後、現像してリンスを行うことにより、図10(e)に
示すように、光の当たった第1層21の下面のレジスト
層47とノズル孔23から突出した円柱状のレジスト部
49が残存する。次ぎに、フッ素系樹脂例えばポリテト
ラフルオロエチレン(以下、PTFEという)の粒子を
含有したNiの電鋳液中にて電解共析メッキ法により、
第1層21の上面(インク吐出面)にのみPTFE−N
i層の撥水層50を形成する。その後、レジスト層47
とレジスト部49を第1層21から剥離して洗浄し、例
えば350℃で1時間熱処理を行ない、ノズル孔以外の吐
出面に良好な撥水性を示す撥水層50を形成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら図8の工
程図に示す製造方法により作製したノズル基板43は第
2層22を形成するときに連通孔パターン41と供給溝
パターン42にNiメッキ層がオーバーハングするた
め、第1層21と第2層22の界面の第2層端面には連
通孔パターン41と供給溝パターン42の厚さの空間5
1が存在する。このような空間51は記録ヘッドとして
組み立て後、インクを充填するときに、インクの流れが
発生しないため、この空間51は気泡を抱える危険性が
高い。また、真空充填などにより気泡が無いようにイン
クを充填した場合でも、供給されたインク中に混入した
気泡が空間51に滞留する危険性がある。このような気
泡は振動板を作動させてインク圧力を高めノズルからよ
りインクを吐出させる一連の動作において、インク圧力
を減じる作用を生じると共にガスキャビテーションの発
生源になる。ガスキャビテーションとはエアレーション
とも呼ばれ、液中の気泡が加圧,減圧の繰り返しを受け
ることにより液中に溶解する気体を取り込み、成長,分
解することをいう。この振動板の動作により発生させる
圧力を減らすことはインク滴の吐出速度と吐出量を減少
させることになり、印字品質を劣化させ、甚だしい場合
にはインク滴の吐出そのものを阻害する場合もある。
【0009】また、図9に示す工程図に示す製造方法で
作製されたノズル基板46は、図8で作製されたノズル
基板46のように第1層21と第2層22の界面に気泡
を滞留することはないが、第2層22で形成したノズル
連通孔52が第1層21の表面から垂直に立ち上がって
いるため、このノズル基板46に撥水層50を形成する
場合には次ぎのような問題点がある。すなわち、図11
の工程図の(a)に示すように、ノズル基板46を作製
した後、図11(b)に示すように、例えば厚さ70μm
のネガ型DFR53をノズル基板46の吐出面と反対側
の下面から熱圧着ローラによりラミネートするとき、ノ
ズル孔23及びノズル連通孔52内に存在する気泡はノ
ズル孔方向Aとノズル連通孔方向Bの2方向から完全に
排出されることが望ましい。しかしながら、ノズル連通
孔52が第1層21の表面から垂直に立ち上がっている
ため、ノズル連通孔方向Bからの排気が十分に行なわれ
ず、ネガ型DFR53をラミネートして第1層21の下
面にレジスト層47を形成したとき、図11(c)に示
すように、第1層21と第2層22の界面近傍に気泡部
54が残留する。この状態でノズル基板46の吐出面に
レジスト層48を形成して、第1層21の下面のレジス
ト層47側から全面露光すると、図11(d)に示すよ
うに、残留した気泡部54により散乱光が発生し、ノズ
ル孔23の気泡部54と反対側方向に進む。その後、現
像してリンスを行なうと、図11(e)に示すように、
光の当たった第1層21の下面のレジスト層47とノズ
ル孔23から突出した円柱状のレジスト部49が形成さ
れるが、形成された円柱状のレジスト部49の残留した
気泡部54による散乱光が入射した部分55にはノズル
孔23よりも大きい面積が残る。その後、図11(f)
に示すように、第1層21の表面に撥水層50を形成
し、レジスト層47とレジスト部49を剥離,洗浄して
熱処理を行なうと、図11(g)に示すように、ノズル
孔23の外周部の気泡部54による散乱光が入射した部
分55には撥水層50のない部分が生じる。このように
ノズル孔23の外周部に撥水層50が局部的になく親水
性の状態となっていると、インク滴の吐出を行なったと
きに、親水性の状態になっている側にインク液滴が引き
寄せられ吐出曲がりの不良が発生してしまい、安定した
吐出特性が得られなくなる。この現象はネガ型DFR5
3を使用した場合以外にも液状レジストのような感光性
材料等を充填する場合にも同様に発生する。
【0010】この発明はかかる短所を改善し、インクの
貯蔵部分に気泡の滞留部が生じることを防いで安定して
インクを吐出することができるとともに、インク吐出側
の表面に均質な撥水層を形成でき、安定した吐出特性で
インクを吐出させて良質な画像を安定して形成すること
ができる記録ヘッドと記録ヘッドの製造方法及びインク
ジェット記録装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明に係る記録ヘッ
ドは、複数回の電鋳により第1層目にインク液滴を吐出
するノズル孔を形成した後、第2層目以降でノズル孔に
連通するノズル連通孔を形成したノズル基板と振動板基
板とが積層され、ノズル基板と振動板基板でノズルに連
通する加圧液室を形成し、加圧液室の一面には振動板を
有し、振動板を変位させて加圧液室内のインクをノズル
から吐出させる記録ヘッドにおいて、ノズル基板のノズ
ル連通孔が第1層から90度以上の角度で立ち上がりノズ
ル孔に対して先細形状になっており、かつノズル孔とノ
ズル連通孔を形成する各層のノズル孔とノズル連通孔の
内周面の界面には隙間がないことを特徴とする。
【0012】上記ノズル基板のノズル孔を有する第1層
の少なくともノズル孔の外周を含むインク吐出面側に撥
水層を有することが望ましい。
【0013】この発明に係る記録ヘッドの製造方法は、
複数回の電鋳により第1層目にインク液滴を吐出するノ
ズル孔を形成した後、第2層目以降でノズル孔に連通す
るノズル連通孔を形成したノズル基板と振動板基板とが
積層され、ノズル基板と振動板基板でノズルに連通する
加圧液室を形成し、加圧液室の一面には振動板を有し、
振動板を変位させて加圧液室内のインクをノズルから吐
出させる記録ヘッドの製造方法において、ノズル基板の
ノズル連通孔を第1層から90度以上の角度で立ち上げノ
ズル孔に対して先細形状に形成し、かつノズル孔とノズ
ル連通孔を形成する各層のノズル孔とノズル連通孔の内
周面の界面に隙間がないように形成したことを特徴とす
る。
【0014】上記ノズル基板の第1層目に、第2層の形
成面側の開口端がラウンド形状のノズル孔を形成し、第
2層目以降で形成するノズル連通孔の開口端をノズル孔
の開口端のラウンド形状に倣ったラウンド形状に形成す
ると良い。
【0015】また、ノズル基板の第1層目に、第2層の
形成面側の開口端がラウンド形状の孔を形成し、第1層
目の開口端がラウンド形状の孔の内周面に第2層目以降
を形成してノズル孔と開口端がラウンド形状のノズル連
通孔を形成しても良い。
【0016】さらに、ノズル孔を形成した第1層の少な
くともノズル孔の外周を含むインク吐出面側に撥水層を
形成することが望ましい。
【0017】この発明に係るインクジェット記録装置は
上記製造方法で作製した記録ヘッドを有することを特徴
とする。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明の記録ヘッドは、ノズル
基板と振動板基板と電極基板が接合されて積層されてい
る。ノズル基板には複数のノズルがアレイ状に設けられ
ている。この記録ヘッドは各ノズル毎に、ノズル基板と
振動板基板で個々のノズルに連通する加圧液室と流体抵
抗路を形成し、流体抵抗路は共通液室に連通している。
加圧液室の一面には振動板を有する。電極基板には振動
板と対向して個別電極が設けられ、各個別電極にはコン
タクト部を介してプリント配線板であるFPCが接続さ
れている。
【0019】ノズルを有するノズル基板は複数回の電鋳
により複数層、例えば、第1層と第2層の2層で形成さ
れ、第1層にインク液滴を吐出するノズル孔を形成した
後、第2層でノズル孔に連通するノズル連通孔と流体抵
抗路を形成するインク供給溝を形成している。このノズ
ル連通孔の形状はノズル孔に対して先細形状になってい
る。また、ノズル孔とノズル連通孔の内周面の第1層と
第2層の界面には隙間がないように形成されている。
【0020】このノズル基板の製造方法を製造するとき
は、例えばステンレス板等の導電性材料からなるマスタ
ー基板の各ノズルに対応した位置にポジ型レジストを塗
布して露光,現像し、所定の形状の円形パターンを形成
する。この円形パターンを有する表面に、例えばNi電
鋳によりNiメッキを所定厚さ析出させて第1層を形成
する。このときNiメッキは円形パターンに一定量オー
バーハングして開口端がラウンド形状をした一定直径の
ノズル孔が形成される。次ぎに、電鋳マスク材、例えば
ネガ型ドライフイルムレジスト(以下、ネガ型DFRと
いう)を熱圧着ローラによりラミネートした後、フォト
リソグラフィの手法を用いて、ノズル孔に連通するノズ
ル連通孔を形成する連通孔パターンとインク供給溝を形
成する供給溝パターンをパターンニングする。このと
き、連通孔パターンと供給溝パターンは逆テーパ形状に
パターンニングする。次ぎに、連通孔パターンと供給溝
パターンをマスクとして第1層の表面に電鋳によりNi
メッキを一定厚さ析出させて第2層を形成する。その
後、第1層をマスター基板から遊離させ、円形パターン
と連通孔パターン及び供給溝パターンを剥離除去してノ
ズル基板を完成する。
【0021】
【実施例】図1はこの発明の一実施例の構成図である。
図に示すように、インクジェットプリンタ1はシアン
C,マゼンタM、イェロY,ブラックBkの各色のイン
クをそれぞれ収納した4個のインクカートリッジ2と、
複数のノズルを有し各インクカートリッジ2からインク
が供給される4個の記録ヘッド3と、インクカートリッ
ジ2と記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4と、記録紙
を収納した給紙トレイ5a,5bや手差しテーブル6か
ら記録紙を印字部7に搬送する搬送ローラ8と、印字し
た記録紙を排紙トレイ9に排出する排出ローラ10を有
する。そしてホスト装置から送られる画像データを記録
紙に印字するときは、キャリッジ4をキャリッジガイド
ローラ11に倣って走査しながら、搬送ローラ8により
印字部7に送られた記録紙に記録ヘッド3のノズルから
画像データに応じてインクを噴射して文字や画像を記録
する。
【0022】記録ヘッド3は、図2の分解斜視図と図3
の断面図に示すように、ノズル基板12と振動板基板1
3と電極基板14が接着剤や陽極接合などにより接合さ
れて積層されている。ノズル基板12には複数のノズル
15がアレイ状に設けられている。この記録ヘッド3は
各ノズル15毎に、ノズル基板12と振動板基板13で
ノズル15に連通する加圧液室16と流体抵抗路17を
形成し、流体抵抗路17は共通液室18に連通してい
る。加圧液室16の一面には振動板19を有する。電極
基板14には振動板19と対向して個別電極20が設け
られ、各個別電極20にはコンタクト部を介してプリン
ト配線板であるFPCが接続されている。
【0023】ノズル15を有するノズル基板12は複数
回の電鋳により複数層、例えば、図4の断面図に示すよ
うに、第1層21と第2層22の2層で形成され、第1
層21にインク液滴を吐出するノズル孔23を形成した
後、第2層22でノズル孔23に連通するノズル連通孔
24と流体抵抗路17を構成するインク供給溝25を形
成している。このノズル連通孔24の形状はノズル孔2
3に対して先細形状になっている。また、ノズル孔23
とノズル連通孔24の内周面の第1層21と第2層22
の界面には隙間がないように形成されている。
【0024】このノズル基板12の製造方法を図5の工
程図を参照して説明する。図5(a)に示すように、例
えばステンレス板等の導電性材料からなるマスター基板
30のノズル基板12のノズル孔23とノズル連通孔2
4を有するノズル15に対応した位置にポジ型レジスト
を塗布して露光,現像し、所定の形状例えば直径が80μ
mで厚さ1μmの円形パターン31を形成する。この円
形パターン31を有する表面に、例えばNi電鋳液中
で、電鋳法によりNiメッキを所定厚さ例えば30μm析
出させて第1層21を形成する。このときNiメッキは
円形パターン31にほぼ30μmオーバーハングしてくる
ので、直径が約20μmのノズル孔23が形成される。次
ぎに、図5(b)に示すように、第1層21の上に電鋳
マスク材、例えば厚さ30μmのネガ型ドライフイルムレ
ジスト(以下、ネガ型DFRという)を熱圧着ローラに
よりラミネートした後、フォトリソグラフィの手法を用
いて、ノズル連通孔24を形成する連通孔パターン32
とインク供給溝25を形成する供給溝パターン33をパ
ターンニングする。このとき、連通孔パターン32と供
給溝パターン33は逆テーパ形状にパターンニングす
る。次ぎに図5(c)に示すように、連通孔パターン3
2と供給溝パターン33をマスクとして第1層21の表
面に電鋳によりNiメッキを例えば25μm析出させて第
2層22を形成する。このNiメッキの第2層22を電
鋳により形成するときに、ネガ型DFRを電鋳マスク材
として使用しているが、厚膜型レジストを用いても良
い。微細パターン形成には液状である厚膜型レジストが
有利であるが、取り扱いやコストの面でネガ型DFRが
有利である。その後、図5(d)に示すように、第1層
21と第2層22をマスター基板30から遊離させて、
円形パターン31と連通孔パターン32及び供給溝パタ
ーン33を剥離除去してノズル基板12を完成する。
【0025】このように第1層21の表面に電鋳により
Niメッキを析出して第2層22を形成するから、第1
層21と第2層22の界面に隙間ができることを防ぐこ
とができる。また、連通孔パターン32の表面に連続し
て、かつ逆テーパ形状に形成された円形パターン31を
マスクとして第2層22を形成することにより、ノズル
孔23に向かって先細形状となり、第1層21から90度
以上の角度で立ち上がったノズル連通孔24を形成する
ことができる。このノズル基板12を使用して記録ヘッ
ド3を作製し、インクを充填すると、流体抵抗路17を
通るインクは開口端が90度以上の角度をしたインク供給
溝25を通ってインクが流れるから、流体抵抗路17に
気泡が滞留することを防ぐことができる。また、第1層
21と第2層22の界面に隙間がないとともにノズル連
通孔24がノズル孔23に向かって先細形状となり、第
1層21から90度以上の角度で立ち上がっているいるか
ら、ノズル連通孔24に気泡が滞留することを防ぐこと
ができる。したがって、ノズル15からインクを吐出す
るときに気泡の影響を受けずに安定した吐出圧力でイン
クを吐出させることができ、インク滴の吐出速度と吐出
量の変動を防止して良質な印字を安定して行なうことが
できる。
【0026】さらに、第1層21の表面の吐出面に撥水
層を形成するため、第2層22の下面にネガ型DFRを
ラミネートするときに、ノズル連通孔24が第1層21
から90度以上の角度で立ち上がっているいるから、ノズ
ル連通孔24から気泡を安定して排出することができ、
ノズル連通孔24に気泡溜りが生じることを防いでノズ
ル孔23の外周面に均質な撥水層を形成でき、安定した
吐出特性でインクを吐出させることができる。
【0027】次ぎにノズル基板12の第2の製造方法を
図6の工程図を参照して説明する。図6(a)に示すよ
うに、例えばステンレス板等の導電性材料からなるマス
ター基板30のノズル基板12のノズル孔23とノズル
連通孔24を有するノズル15に対応した位置にポジ型
レジストを塗布して露光,現像し、所定の形状例えば直
径が80μmで厚さ1μmの円形パターン31を形成す
る。この円形パターン31を有する表面に、例えばNi
電鋳液中で、電鋳法によりNiメッキを所定厚さ例えば
30μm析出させて第1層21を形成する。このときNi
メッキは円形パターン31にほぼ30μmオーバーハング
してくるので、直径が約20μmのノズル孔23が形成さ
れる。次ぎに、図6(b)に示すように、第1層21の
上に電鋳マスク材、例えば厚さ30μmのネガ型DFRを
熱圧着ローラによりラミネートした後、フォトリソグラ
フィの手法を用いて、連通孔パターン32と供給溝パタ
ーン33をパターンニングする。このとき連通孔パター
ン32は第1層21のラウンド形状の上に形成する。こ
の連通孔パターン32と供給溝パターン33は垂直形状
でも良いが逆テーパ形状に形成することが好ましい。次
ぎに図6(c)に示すように、連通孔パターン32と供
給溝パターン33をマスクとして第1層21の表面に電
鋳によりNiメッキを例えば25μm析出させて第2層2
2を形成する。この形成された第2層22の連通孔パタ
ーン32をマスクとした部分の上部開口端は第1層21
のラウンド形状を反映させたラウンド形状になる。その
後、図6(d)に示すように、第1層21と第2層22
をマスター基板30から遊離させて、円形パターン31
と連通孔パターン32及び供給溝パターン33を剥離除
去してノズル基板12を完成する。
【0028】このように連通孔パターン32を第1層2
1のラウンド形状の上に形成し、第2層22に形成する
ノズル孔23に連通するノズル連通孔24の開口端をラ
ウンド形状にするから、インクに含まれる気泡の排出性
能が高く、気泡の滞留確率が低い形状にすることができ
とともに第1層21の表面の吐出面に均質な撥水層を形
成することができる。
【0029】次ぎにノズル基板12の第3の製造方法を
図7の工程図を参照して説明する。図7(a)に示すよ
うに、例えばステンレス板等の導電性材料からなるマス
ター基板30のノズル基板12のノズル孔23と連通孔
24を有するノズル15に対応した位置にポジ型レジス
トを塗布して露光,現像し、前記第1の製造方法と第2
の製造方法で形成した円形パターン31より大きな直
径、例えば直径が130μmで厚さ1μmの円形パターン
34を形成する。この円形パターン34を有する表面
に、例えばNi電鋳液中で、電鋳法によりNiメッキを
所定厚さ例えば30μm析出させて第1層21を形成す
る。このときNiメッキは円形パターン31にほぼ30μ
mオーバーハングしてくるので、直径が約70μmの孔3
5が形成される。次ぎに、図7(b)に示すように、第
1層21の上に電鋳マスク材、例えば厚さ30μmのネガ
型DFRを熱圧着ローラによりラミネートした後、フォ
トリソグラフィの手法を用いて、インク供給溝25を形
成する供給溝パターン33を形成する。次ぎに図7
(c)に示すように、供給溝パターン33をマスクとし
て第1層21の表面に電鋳によりNiメッキを例えば25
μm析出させて第2層22を形成する。このとき第1層
21の孔35の部分には電鋳マスク材が存在しないため
に、第1層21の孔35の部分に連続してNiメッキが
されて第2層22を形成する。この孔35の部分にはN
iメッキが25μmオーバーハングしてノズル径が約20μ
mのノズル孔23が形成され、かつ第2層22の上部開
口端は第1層21のラウンド形状を反映したラウンド形
状となる。その後、図7(d)に示すように、第1層2
1と第2層22をマスター基板30から遊離させて、円
形パターン34と供給溝パターン33を剥離除去してノ
ズル基板12を完成する。
【0030】このように第1層21の孔35の部分に連
続してNiメッキをして第2層22を形成することによ
り、ノズル孔23に連通するノズル連通孔24の形状
を、ノズル孔23に向かい先細りとなるホーン形状にす
ることができ、インクに混在する気泡の排出性能を高め
ることができるとともに、第1層21の表面の吐出面に
均質な撥水層を形成することができる。
【0031】このようにインクに混在する気泡の排出性
能を高めることができるとともに、第1層21の表面の
吐出面に均質な撥水層を形成することができるから、高
密度の記録ヘッド3を安定して製造することができ、こ
の記録ヘッド3をインクジェットプリンタ1等の画像形
成装置に使用することにより安定した吐出特性で高密度
の画像を形成することができる。
【0032】上記実施例は静電型方式の記録ヘッド3に
ついて説明したが、圧電素子を用いた記録ヘッドやバブ
ルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドにも同様にし
て適用することができる。
【0033】
【発明の効果】この発明は以上説明したように、複数回
の電鋳により第1層目にインク液滴を吐出するノズル孔
を形成した後、第2層目以降でノズル孔に連通するノズ
ル連通孔を形成するときに、ノズル連通孔を第1層から
90度以上の角度で立ち上げノズル孔に対して先細形状に
形成し、かつノズル孔とノズル連通孔を形成する各層の
ノズル孔とノズル連通孔の内周面の界面に隙間がないよ
うに形成したから、ノズル連通孔に気泡が滞留すること
を防ぐことができ、ノズルからインクを吐出するときに
気泡の影響を受けずに安定した吐出圧力でインクを吐出
させてインク滴の吐出速度と吐出量の変動を防止して良
質な印字を安定して行なうことができる。
【0034】また、第1層の表面の吐出面に撥水層を形
成するときに、第2層以降で形成したノズル連通孔が第
1層から90度以上の角度で立ち上がっているいるから、
ノズル孔とノズル連通孔をマスキングする場合に、ノズ
ル連通孔の気泡を安定して排出することができ、ノズル
連通孔に気泡溜りが生じることを防いで吐出面のノズル
孔の外周面に均質な撥水層を形成することができ安定し
た吐出特性でインクを吐出させることができる。
【0035】さらに、ノズル基板の第1層目に、第2層
の形成面側の開口端がラウンド形状のノズル孔を形成
し、第2層目以降で形成するノズル連通孔の開口端をノ
ズル孔の開口端のラウンド形状に倣ったラウンド形状に
形成することにより、ノズル連通孔に気泡が滞留するこ
とを防ぐことができるとともに、第1層の表面の吐出面
に撥水層を形成するために、ノズル孔とノズル連通孔を
マスキングするときのノズル連通孔からの気泡の排出性
能をより高めることができる。
【0036】また、ノズル基板の第1層目に、第2層の
形成面側の開口端がラウンド形状の孔を形成し、第1層
目の開口端がラウンド形状の孔の内周面に第2層目以降
を形成してノズル孔と開口端がラウンド形状のノズル連
通孔を形成することにより、ノズル孔とノズル連通孔を
連続したホーン形状にすることができ、気泡の排出性能
をより高めることができる。
【0037】さらに、この気泡の排出性能を高めたノズ
ル基板を有する記録ヘッドをインクジェット方式のプリ
ンタや複写機,ファクシミリ等の記録装置に使用するこ
とにより、安定した噴射特性でインク滴をノズルから吐
出させることができ、高画質の画像を安定して形成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例のインクジェットプリンタの
構成図である。
【図2】記録ヘッドの構成を示す分解斜視図である。
【図3】記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図4】ノズル基板の構成を示す断面図である。
【図5】ノズル基板の製造方法を示す工程図である。
【図6】ノズル基板の第2の製造方法を示す工程図であ
る。
【図7】ノズル基板の第3の製造方法を示す工程図であ
る。
【図8】従来のノズル基板の製造方法を示す工程図であ
る。
【図9】従来のノズル基板の第2の製造方法を示す工程
図である。
【図10】従来のノズル基板の第3の製造方法を示す工
程図である。
【図11】従来のノズル基板の第4の製造方法を示す工
程図である。
【符号の説明】
1;インクジェットプリンタ、2;インクカートリッ
ジ、3;記録ヘッド、4;キャリッジ、12;ノズル基
板、13;振動板基板、14;電極基板、15;ノズ
ル、16;加圧液室、19;振動板、20;個別電極、
21;第1層、22;第2層、23;ノズル孔、24;
ノズル連通孔、25;インク供給溝、30;マスター基
板、31;円形パターン、32;連通孔パターン、3
3;供給溝パターン。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF78 AF80 AF93 AG04 AG07 AG08 AG14 AG30 AN01 AP02 AP13 AP25 AP28 AP38 AP60 AQ06 BA03 BA15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数回の電鋳により第1層目にインク液
    滴を吐出するノズル孔を形成した後、第2層目以降でノ
    ズル孔に連通するノズル連通孔を形成したノズル基板と
    振動板基板とが積層され、ノズル基板と振動板基板でノ
    ズルに連通する加圧液室を形成し、加圧液室の一面には
    振動板を有し、振動板を変位させて加圧液室内のインク
    をノズルから吐出させる記録ヘッドにおいて、 ノズル基板のノズル連通孔が第1層から90度以上の角度
    で立ち上がりノズル孔に対して先細形状になっており、
    かつノズル孔とノズル連通孔を形成する各層のノズル孔
    とノズル連通孔の内周面の界面には隙間がないことを特
    徴とする記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 上記ノズル基板のノズル孔を有する第1
    層の少なくともノズル孔の外周を含むインク吐出面側に
    撥水層を有する請求項1記載の記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 複数回の電鋳により第1層目にインク液
    滴を吐出するノズル孔を形成した後、第2層目以降でノ
    ズル孔に連通するノズル連通孔を形成したノズル基板と
    振動板基板とが積層され、ノズル基板と振動板基板でノ
    ズルに連通する加圧液室を形成し、加圧液室の一面には
    振動板を有し、振動板を変位させて加圧液室内のインク
    をノズルから吐出させる記録ヘッドの製造方法におい
    て、 ノズル基板のノズル連通孔を第1層から90度以上の角度
    で立ち上げノズル孔に対して先細形状に形成し、かつノ
    ズル孔とノズル連通孔を形成する各層のノズル孔とノズ
    ル連通孔の内周面の界面に隙間がないように形成したこ
    とを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記ノズル基板の第1層目に、第2層の
    形成面側の開口端がラウンド形状のノズル孔を形成し、
    第2層目以降で形成するノズル連通孔の開口端をノズル
    孔の開口端のラウンド形状に倣ったラウンド形状に形成
    する請求項3記載の記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記ノズル基板の第1層目に、第2層の
    形成面側の開口端がラウンド形状の孔を形成し、第1層
    目の開口端がラウンド形状の孔の内周面に第2層目以降
    を形成してノズル孔と開口端がラウンド形状のノズル連
    通孔を形成する請求項3記載の記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ノズル孔を形成した第1層の少なく
    ともノズル孔の外周を含むインク吐出面側に撥水層を形
    成する請求項3,4又は5記載の記録ヘッドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項3乃至6のいずれかの製造方法で
    作製した記録ヘッドを有することを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
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