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JP2002090086A - 内面溝付伝熱管及びそれを用いた熱交換器の製作方法 - Google Patents

内面溝付伝熱管及びそれを用いた熱交換器の製作方法

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JP2002090086A
JP2002090086A JP2000284832A JP2000284832A JP2002090086A JP 2002090086 A JP2002090086 A JP 2002090086A JP 2000284832 A JP2000284832 A JP 2000284832A JP 2000284832 A JP2000284832 A JP 2000284832A JP 2002090086 A JP2002090086 A JP 2002090086A
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heat transfer
groove
heat exchanger
fin
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Naoe Sasaki
直栄 佐々木
Takashi Kondo
隆司 近藤
Shiro Kakiyama
史郎 柿山
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械拡管時のフィン潰れやフィン倒れ等のフ
ィン変形を効果的に抑制することの出来る内面溝付伝熱
管の提供。 【解決手段】 管内面に多数の溝12を管周方向に又は
管軸に対して所定のリード角をもって延びるように形成
すると共に、それら溝12間に、所定高さの内面フィン
14を形成してなる内面溝付伝熱管2であって、管外径
を4mm〜10mmとし、且つ前記溝の溝深さを0.1
0mm〜0.30mmとすると共に、前記溝の形成部位
における管壁厚となる底肉厚(t)が、次式:t≦0.
1248×D0.32782 (但し、Dは管外径を示す)を満
足するように、構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、エアコンに代表される冷凍空調
機器に用いられる熱交換器を構成する内面溝付伝熱管及
びそれを用いた熱交換器の製作方法に係り、特に、内面
溝付伝熱管における機械拡管時の内面フィンの変形を抑
制する技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、エアコンに代表される冷凍空調
機器に用いられる内面溝付伝熱管としては、管軸に対し
て所定のリード角をもって延びるように螺旋状の溝を多
数形成して、それらの溝間に、所定高さの内面フィンが
形成されるようにした構造のものが知られている。そし
て、そのような内面溝付管は、多数の伝熱管が水平方向
に延びる状態において、管外にアルミニウム製の放熱フ
ィンを拡管装着した構造の熱交換器として用いられてい
るのである。
【0003】ところで、近年、かかる熱交換器の高性能
化の目的から、上記した内面溝付伝熱管において、その
内面溝の深溝化や内面フィンの細フィン化が図られ、ま
た溝深さ、溝深さ/内径、フィン頂角、リード角及び溝
部断面積/溝深さ等の最適化により、更なる高性能化を
追求したものが、特開平7−12483号公報等におい
て明らかにされている。また、上述した内面螺旋溝付管
に、その一次溝とは逆方向の二次溝を更に形成して、そ
れら二種の溝を交差させることにより、伝熱性能の向上
を図るようにしたクロス溝付管も、特開平3−2343
02号公報や特開平8−303905号公報等に提案さ
れている。更に、最近では、V字状の溝パターンを組み
合わせた松葉溝付管が、特開平9−26279号公報等
に提案されている。
【0004】而して、かくの如き内面溝付管を、従来か
ら採用されている機械拡管手法によって、放熱フィンに
組み付け、目的とする熱交換器を組み立てるに際して、
その機械拡管作用にて、管内面に形成された内面フィン
が、径方向外方に、また管軸方向に押圧されて、内面フ
ィンが変形作用を受け、フィン先端部のフィン潰れやフ
ィン倒れ等の問題が惹起され、それは、従来の内面溝付
管では、その解消の困難なものであった。更に、近年に
おいては、高性能化のために、内面溝付管における内面
フィンを高く、またフィン頂角を小さく、更に溝リード
角を大きくする傾向があり、そのために、機械拡管時の
フィン変形を抑制乃至は阻止することが、より困難な状
況になりつつあるのである。
【0005】特に、そのような機械拡管時におけるフィ
ン変形が、熱交換器性能に及ぼす影響は、凝縮運転時に
顕著であって、それ故に、暖房性能を重視するルームエ
アコンの室内機に用いられる熱交換器用伝熱管にとって
は、致命的な性能不足を招く要因となることとなるので
ある。中でも、内面溝付管の場合には、従来から蒸発性
能を向上するよりも、凝縮性能を向上する方が難しいと
されている状況からしても、前記した機械拡管時のフィ
ン変形による凝縮性能の低下は、大きな問題である。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、機械拡管時のフィン潰れやフィン倒れ等のフィ
ン変形を効果的に抑制することの出来る内面溝付伝熱管
を提供することにあり、また、他の課題とするところ
は、熱交換器組立時の機械拡管によるフィン変形を抑制
することにより、フィン変形が著しい場合に比べて、特
に熱交換器の凝縮性能を向上することの出来る内面溝付
伝熱管を提供することにあり、更に、内面溝付管を熱交
換器に組み込むに際し、機械拡管操作において惹起され
るフィン形状の変形を効果的に抑制して、内面溝付管自
身の有する管内熱伝達伝熱特性を、熱交換器性能に充分
に活かすようにした熱交換器の有効な製作方法を提供す
ることをも、その課題とするものである。
【0007】
【解決手段】そして、本発明は、上記せる課題のうち、
伝熱管に係る課題の解決のために、管内面に多数の溝が
管周方向に又は管軸に対して所定のリード角をもって延
びるように形成されていると共に、それら溝間に、所定
高さの内面フィンが形成されてなる内面溝付伝熱管にし
て、管外径が4mm〜10mmとされ、且つ前記溝の溝
深さが0.10mm〜0.30mmとされると共に、前
記溝の形成部位における管壁厚となる底肉厚(t)が、
次式:t≦0.1248×D0.32782 (但し、Dは管外
径を示す)を満足するように、構成されていることを特
徴とする内面溝付伝熱管を、その要旨とするものであ
る。
【0008】すなわち、従来における、内面溝付伝熱管
を機械拡管して、放熱フィンに組み付ける場合には、伝
熱管の溝形成部位における管壁厚となる底肉厚の変化が
殆どない状態において、内面フィンの変形及び管軸方向
の縮みを伴なう拡管が行なわれているのであるが、上記
した構成の本発明にあっては、かかる底肉厚を、従来よ
りも適度に削減した状態において、薄くすることによ
り、拡管時に、底肉厚の変化(減少)を優先させ、フィ
ン変形を極限まで抑制しながら拡管することが可能とな
ったのである。そして、このようにして、フィン変形を
抑制することにより、内面溝付管が本来有する管内熱伝
達特性を、熱交換器性能に充分に活かすことが可能とな
ったのである。つまり、内面溝付伝熱管の溝形成部位に
おける底肉厚を調整して、それを適度に削減するだけ
で、従来よりも高い熱交換器性能を有する内面溝付管を
得ることが出来ることとなったのである。
【0009】なお、かかる本発明に従う内面溝付伝熱管
の好ましい態様の一つによれば、前記溝のリード角は1
0°〜30°、前記内面フィンの頂角は20°〜40°
であり、且つ溝数が30〜80となるように構成されて
いる。そして、このような構成の採用によって、本発明
の目的がより一層良好に達成され得ることとなるのであ
る。
【0010】また、本発明に従う内面溝付伝熱管の他の
好ましい態様によれば、前記溝は、逆台形形状の横断面
形状において形成されることとなる。そして、そのよう
な溝形状の採用によって、それら溝間に形成される内面
フィンは、有利には、三角形形状の横断面を有するもの
とされるのである。
【0011】ところで、本発明は、また、前記した課題
のうち、熱交換器の製作方法に係る課題の解決のため
に、上述せる如き内面溝付伝熱管を用い、それを機械拡
管手法にて、板状の放熱フィンに設けられた取付孔に拡
管装着せしめる工程を有することを特徴とする熱交換器
の製作方法をも、その要旨とするものである。
【0012】このような本発明に従う熱交換器の製作方
法によれば、機械拡管操作にて惹起されるフィン形状の
変形が効果的に抑制され得て、内面溝付管自身の有する
管内熱伝達特性を、熱交換器性能に充分に活かした熱交
換器が有利に製作され得ることとなるのである。
【0013】なお、このような本発明に従う熱交換器の
製作方法の好ましい態様の一つによれば、前記伝熱管の
底肉厚が、機械拡管後において、拡管前に比べて8μm
以上減少せしめられることとなる。このように、伝熱管
の管肉厚を減少せしめることにより、機械拡管時のフィ
ン潰れやフィン倒れ等のフィンの変形が効果的に抑制さ
れ得ることとなるのである。
【0014】また、本発明に従う熱交換器の製作方法に
あっては、有利には、前記機械拡管操作が、3〜8%の
拡管率において実施され、これによって、伝熱管と放熱
フィンとの間の有効な組付けが実現せしめられ得るので
ある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより具体的に明ら
かにするために、本発明に係る内面溝付伝熱管及びそれ
を用いた熱交換器の製作方法の具体的構成について、図
面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】先ず、図1には、プレートフィンチューブ
式熱交換器を製造するに際して、内面溝付伝熱管を機械
拡管して、放熱フィンに一体的に組み付ける工程が示さ
れている。即ち、図1において、2は、要求される伝熱
性能や採用される伝熱媒体の種類等に応じて、銅や銅合
金等の中から適宜に選択された金属材質にて構成される
内面溝付伝熱管であって、ここでは、そのような伝熱管
2は、U字形状において用いられているのである。一
方、板状の放熱フィンであるプレートフィン4は、従来
と同様に、アルミニウム若しくはその合金等の金属材料
にて形成されていると共に、伝熱管2の外径よりも所定
寸法大きな取付孔6が、その周りにフィンカラー8を一
体的に立設せしめてなる構造において、形成されてい
る。そして、そのようなプレートフィン4が、それぞれ
の取付孔6を一致させた状態下において重ね合わされ、
更にその一致した取付孔6内に、伝熱管2が挿入、配置
せしめられているのである。
【0017】そして、機械拡管操作は、プレートフィン
4の取付孔6内に伝熱管2を挿入せしめた状態下におい
て、かかる伝熱管2内に、従来と同様にして、拡管プラ
グ10を挿入せしめ、伝熱管2の拡径を行ないつつ、前
進せしめることにより、伝熱管2を取付孔6内に、具体
的にはフィンカラー8の内面に密着させて(図におい
て、拡管プラグ10が通過した状態を示す右側の取付孔
6内における伝熱管2の固定状態を参照のこと)、伝熱
管2とプレートフィン4との一体化を実現し、以て一体
的な熱交換器とされるのである。
【0018】ここにおいて、本発明では、かかる機械拡
管手法によって、伝熱管2とプレートフィン4とを組み
付けるに際して惹起される、フィン潰れやフィン倒れ等
のフィン変形を効果的に抑制すべく、前述せる如き構成
を採用することとしたのである。即ち、図2に示される
如く、管内面に多数の溝12が管周方向に又は管軸に対
して所定のリード角をもって延びるように形成されてい
ると共に、それら溝12、12間に、所定高さの内面フ
ィン14が形成されてなる内面溝付伝熱管2において、
管外径(D)が4mm〜10mmとされ、且つ溝深さ
(d)が0.10mm〜0.30mmとされると共に、
溝形成部位における底肉厚(t)が、t≦0.1248
×D0.32782 を満足するように構成したのであって、こ
れにより、機械拡管操作を施しても、その拡管作用が、
底肉厚(t)の変化(減少)として優先的に現出せしめ
られるようにして、内面フィン14の変形を極力抑制す
るようにしたのである。
【0019】このように、本発明にあっては、内面溝付
伝熱管2の溝形成部位における管壁厚となる底肉厚
(t)を、上記の不等式にて示される如く、所定厚さ以
下に削減することによって、フィン変形よりも底肉厚の
減少を優先させるようにしたものであるところから、そ
のような底肉厚(t)は、本発明の目的を達成する上に
おいて、0.1248×D0.32782 よりも厚くならない
ようにしなければならず、これに反して厚くなり過ぎる
と、内面フィン14の変形が大きくなって、フィン潰れ
やフィン倒れ等の問題が惹起されるようになって、本発
明の目的を達成し得なくなるのである。
【0020】また、かくの如き溝底肉厚(t)の制御に
関連して、本発明にあっては、拡管前の管外径(D)や
溝深さ(d)も規制する必要があるのであり、そのため
に、かかる管外径(D)は、4〜10mm、溝深さ
(d)は、0.10〜0.30mmとされることとな
る。けだし、かかる管外径(D)が、4mmよりも小さ
くなると、実用上において内面溝付管を作製することが
困難となる他、機械拡管も困難となる等の問題があり、
一方、10mmを越えるようになると、強度上の問題か
ら、底肉厚(t)を厚くしなければならず、そのため
に、本発明の実現が困難となるからである。また、溝深
さ(d)についても、それが0.10mmよりも浅い場
合には、伝熱性能が低下する問題があり、一方、0.3
0mmよりも深くなると、必然的に内面フィン14の高
さも高くなるために、フィン潰れやフィン倒れ等が発生
し易くなるのであり、そのために、フィン変形の効果的
な抑制が困難となる問題を生じる。
【0021】また、かくの如き本発明に従う内面溝付伝
熱管2においては、その管軸に対する溝12のリード角
としては、有効な伝熱性能を確保する上において、10
°〜30°の範囲内の角度が有利に採用され、更に、内
面フィン14のフィン頂角(α)としては、転造による
溝形成の容易性や有効な伝熱性能の確保等の点からし
て、20°〜40°の範囲内の角度が採用されるのであ
り、更にまた、管内面に形成される溝12の数として
は、30〜80の範囲内の数において、伝熱面積を考慮
して、適宜に決定されることとなる。
【0022】そして、かかる本発明に従う内面溝付伝熱
管2にあっては、それが、例えば、図1に示される如
く、機械拡管されて、その径(具体的には外径:D)が
増大せしめられる際に、その拡管作用が底肉厚(t)の
変化(減少)として現れ、以てフィン変形が効果的に抑
制され得ることとなるのである。従って、図2(b)に
示される如く、内面フィン14の高さの減少(δf )が
小さくなる一方、底肉厚(t)の減少(δt )が惹起さ
れることとなるのであるが、特に本発明にあっては、そ
のような底肉厚(t)の減少量(δt )が拡管前に比べ
て8μm以上減少せしめられるようにされ、これによっ
て有効なフィン変形の抑制が実現されることとなる。
【0023】また、かくの如き機械拡管操作にて、伝熱
管2を拡管して、放熱フィンたるプレートフィン4に組
み付けるに際して、かかる伝熱管2の拡管の程度として
は、内面フィン14の大きな変形を回避しつつ、プレー
トフィン4に対する有効な組付けを行なうために、(拡
管後の管外径/拡管前の管外径)×100にて規定され
る拡管率(%)は、適宜に設定されることとなるが、一
般に、3〜8%の拡管率において実施されることとな
る。この拡管率が8%を越えるようになると、フィン変
形が著しくなり、本発明の目的が充分に達成され得なく
なるからであり、また3%よりも拡管率が低くなると、
伝熱管2の有効な拡管装着が困難となるからである。
【0024】なお、本発明に従う内面溝付伝熱管2にお
いて、その内面に形成される溝12の形状としては、一
般に、図2に示される如き、管軸に対して直角な断面に
おいて、底部に向かうに従って次第に狭幅となるよう
な、略逆台形形状の横断面形状が好適に採用されること
となるが、本発明が、そのような溝形状のみに限定され
るものでは決してなく、公知の各種の形状が採用され得
るものである。また、そのような溝12は、管軸に対し
て所定のリード角、望ましくは10°〜30°の角度を
もって延びるように、螺旋状に設けられる他、管周方向
に互いに平行に設けられた周溝であっても何等差し支え
なく、また二次溝を交差するように設けたクロス溝付管
やV字状の溝パターンを組み合わせた松葉溝付管等に
も、本発明は適用可能である。
【0025】その他、本発明は、各種の形態において実
施され得るものであって、当業者の知識に基づいて採用
される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係
る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱し
ない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであるこ
とが、理解されるべきである。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明の特
徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのよう
な実施例の記載によって、何等の制約をも受けるもので
ないことは、言うまでもないところである。
【0027】実施例 1 先ず、管外径(D)が4〜10mm、溝深さ(d)が
0.1〜0.3mm、溝リード角が10〜30°、フィ
ン頂角(α)が20〜40°、溝数が30〜80の範囲
内にある、種々の内面螺旋溝付管(2)を、従来と同様
な銅管の転造加工により、それぞれ試作した後、図1と
同様にして、4〜7%の拡管率において機械拡管して、
アルミニウムプレートフィン(4)に組み付け、それぞ
れ、熱交換器を製作した。
【0028】次いで、この得られた熱交換器から、アル
ミニウムプレートフィン(4)を取り外して、拡管後の
各内面螺旋溝付管(2)をサンプリングし、それぞれの
底肉厚(t)を調査した。その結果、拡管前の底肉厚
(t)よりも拡管後の底肉厚が8μm以上減少したもの
において、フィン潰れやフィン倒れ等のフィン変形が効
果的に抑制されていることを認め、更にそのようなフィ
ン変形の抑制された溝付管(2)について、拡管前の管
外径:Dに対する、拡管前の底肉厚:tの関係をプロッ
トして、その結果を、図3に示した。
【0029】また、かかる図3におけるプロットデータ
を結ぶ回帰曲線を示す式を求めた結果、t=0.124
8×D0.32782 となり、更に本回帰式の寄与率は、0.
999であった。このことから、拡管後の底肉厚が拡管
前の底肉厚よりも8μm以上低減させて、フィン変形を
効果的に抑制するには、底肉厚(t)は、0.1248
×D0.32782 の値以下であることが必要であることを認
めた。
【0030】実施例 2 実施例1と同様にして、銅管の転造加工により、外径
(D)が6〜9.52mmの内面螺旋溝付管について、
その底肉厚(t)を変化させたものを試作し、更に機械
拡管により2列8段の熱交換器を作製した。機械拡管に
よる内面フィン(14)のフィン変形形態を示す図2
(b)において定義されるフィン高さ(d)の減少量:
δf と、底肉厚(t)の減少量(δt )を用いて、各試
作管の拡管前寸法諸元と共に、拡管後のフィン高さの減
少量(δf )及び底肉厚の減少量(δ t )を測定し、そ
の結果を下記表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】かかる表1の結果から明らかなように、本
発明例1〜4に係る試作管は、何れも、拡管後の底肉厚
減少量(δt )が8μm以上となっていることにより、
拡管後のフィン潰れ(δf )が9μm以下となっている
のであり、このことから、底肉厚の変形(減少)が優先
する程度まで拡管前の底肉厚を低減することにより、充
分なフィン変形防止効果が奏され得ることが認められ
る。
【0033】実施例 3 拡管時のフィン変形防止効果が熱交換器性能に及ぼす影
響を確認するために、先の表1に示した本発明例4と比
較例6の試作管を用いて、それぞれ製作した熱交換器の
単体性能評価を実施した。即ち、下記表2に示される測
定条件を採用して、図4又は図5に示される如き冷媒の
流通下において、熱交換器単体性能における蒸発試験又
は凝縮試験を公知の方法に従って実施し、それら各種熱
交換器単体における蒸発能力(冷房能力)と凝縮能力
(暖房能力)とを調べ、その結果を熱交換量−前面風速
線図として、図6及び図7に、それぞれ、示した。
【0034】
【表2】
【0035】図6には、本発明例4の試作管と比較例6
に係る試作管で構成された熱交換器の蒸発能力が前面風
速に対してプロットしたかたちで示されている一方、図
7には、それら熱交換器の凝縮能力が前面風速に対して
プロットしたかたちで示されているが、それらの図から
明らかなように、本発明例4に係る試作管を用いた熱交
換器の蒸発能力は、比較例6の試作管を用いた場合に比
べて2%程度上回っているのである。これは、フィン先
端部のフィン潰れ抑制により、伝熱面積が増加した影響
が現れたものと考えられる。一方、本発明例4の試作管
を用いた熱交換器の凝縮能力は、比較例6に係る試作管
を用いた場合に比べて6%程度上回っているのである。
これは、内面フィン(14)におけるフィン先端部のフ
ィン潰れ抑制により伝熱面積が増加したことに加えて、
フィン先端部での凝縮促進効果が現れたものと考えられ
る。これらの事実から、本発明に従う構造の内面溝付伝
熱管(本発明例4に係る試作管)を用いることにより、
熱交換器単体能力に優れた熱交換器が得られることは、
容易に理解され得るのである。
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う内面溝付伝熱管にあっては、その溝底肉厚が制御
されて、適度に削減されていることにより、機械拡管時
に、内面フィンにおけるフィン変形よりも、底肉厚変化
(減少)を優先させることが可能となり、そのために、
フィン変形を極限まで抑制した拡管を実施することが出
来る特徴があり、また、フィン変形を抑制することによ
って、内面溝付管が本来有する管内熱伝達特性を熱交換
器単体性能に充分に活かすことが可能である特徴があ
り、更に、特にフィン先端での伝熱促進効果を有効に発
揮することが出来ることから、凝縮性能を向上すること
にも大いに寄与し得るという利点を有しているのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】内面溝付伝熱管を、機械拡管により、放熱フィ
ンに組み付ける工程を示す説明図である。
【図2】本発明に従う内面溝付伝熱管の機械拡管に際し
ての形状変化を示す断面部分説明図であり、(a)は機
械拡管の前後の内面溝付伝熱管の横断面部分図であり、
(b)は機械拡管後の内面フィン及び底肉厚の変化の形
態を示す断面部分図である。
【図3】実施例1において得られた拡管前の管外径
(D)に対する拡管前の底肉厚(t)の関係をプロット
した図である。
【図4】実施例3における熱交換器の蒸発時の単体性能
を測定するために用いられる試験装置において、冷媒の
流通状態を示す説明図である。
【図5】実施例3における熱交換器の凝縮時の単体性能
を測定するために用いられる試験装置において、冷媒の
流通状態を示す説明図である。
【図6】実施例3において得られた熱交換器単体蒸発能
力を示すグラフである。
【図7】実施例3において得られた熱交換器単体凝縮能
力を示すグラフである。
【符号の説明】
2 内面溝付伝熱管 4 プレー
トフィン 6 取付孔 8 フィン
カラー 10 拡管プラグ 12 溝 14 内面フィン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管内面に多数の溝が管周方向に又は管軸
    に対して所定のリード角をもって延びるように形成され
    ていると共に、それら溝間に、所定高さの内面フィンが
    形成されてなる内面溝付伝熱管にして、管外径が4mm
    〜10mmとされ、且つ前記溝の溝深さが0.10mm
    〜0.30mmとされると共に、前記溝の形成部位にお
    ける管壁厚となる底肉厚(t)が、次式:t≦0.12
    48×D0.32782 (但し、Dは管外径を示す)を満足す
    るように、構成されていることを特徴とする内面溝付伝
    熱管。
  2. 【請求項2】 前記溝のリード角が10°〜30°、前
    記内面フィンの頂角が20°〜40°であり、且つ溝数
    が30〜80となるように構成されている請求項1に記
    載の内面溝付伝熱管。
  3. 【請求項3】 前記溝が、逆台形形状の横断面形状にお
    いて形成されている請求項1又は請求項2に記載の内面
    溝付伝熱管。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の
    内面溝付伝熱管を用いて、機械拡管手法にて、板状の放
    熱フィンに設けられた取付孔に拡管装着せしめる工程を
    有することを特徴とする熱交換器の製作方法。
  5. 【請求項5】 前記伝熱管の底肉厚が、機械拡管後にお
    いて、拡管前に比べて8μm以上減少せしめられる請求
    項4に記載の熱交換器の製作方法。
  6. 【請求項6】 前記機械拡管操作が、3〜8%の拡管率
    において実施される請求項4又は請求項5に記載の熱交
    換器の製作方法。
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