JP2002085963A - プラズマ発生装置並びにこの装置を利用した緻密な硬質薄膜の形成装置及び硬質薄膜の形成方法 - Google Patents
プラズマ発生装置並びにこの装置を利用した緻密な硬質薄膜の形成装置及び硬質薄膜の形成方法Info
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Abstract
構造を多く含んだBN膜のような緻密で硬質の膜を形成
できる方法及び装置を提供する。 【解決手段】高真空状態にでき、内部に基板を配置した
成膜室に隣接してプラズマ発生室を設け、プラズマ発生
室の内部にはプラズマ発生用の高周波アンテナ及び緻密
な硬質薄膜を構成する材料のターゲットをそれぞれ配置
し、高密度のプラズマを発生し、ターゲットからスパッ
タされたターゲット材の原子を電離した状態で基板へ導
入するように構成される。
Description
並びにこの装置を利用して金属材料の上にボロン・ナイ
トライド膜やボロン・カーボン・ナイトライド膜或いは
カーボン・ナイトライド膜やボロン或いはダイヤモンド
ライクカーボン膜などのような緻密な硬質薄膜を形成す
る装置及び方法に関するものである。
は、工具、金型コーティング及び磁気ヘッドの保護膜、
絶縁膜を必要とする部品に成膜するために広く利用され
る。
従来例として添付図面の図2を参照してボロンナイトラ
イド膜(以下単にBN膜と記載する)の形成について説
明する。従来のBN薄膜形成装置は一般にスパッタリン
グ法を用いて実施されてきた。図2に示す装置におい
て、Aは成膜室であり、真空環境を形成できるように構
成されている。すなわち成膜室A排気系ポートA1には
仕切バルブB1を介して高真空ポンプC1(例えばター
ボ分子ポンプ、油拡散ポンプ)が接続され、そしてこの
高真空ポンプC1は仕切バルブB2を介して油回転ポン
プC2に接続されている。また成膜室Aの別のポートに
はリークバルブB3が接続されている。
れ、この基板ホルダーD上には成膜すべき試料基板Eが
装着されている。成膜室Aはその前方にはターゲット取
付け室Fが画定され、このターゲット取付け室F内に
は、ボロン製の円筒状ターゲットGが成膜室Aとは電気
的に絶縁されて配置されている。ターゲットGはターゲ
ット用バイアス電源H(以下、単にバイアス電源と記載
する)のマイナス端子に接続され、バイアス電源HFの
プラス端子は接地されている。
発生室を形成する絶縁体製の放電管Iが設けられてい
る。この絶縁体製の放電管Iの外側には、二つの環状の
磁場発生用コイルJが同軸上に設けられている。これら
のコイルJには同じ方向の電流を流してミラー磁場型の
磁場を形成している。Kはヘリカルコイルであり、絶縁
体製の放電管Iの外側に巻回(3ターン)されて取り付
けられている。このヘリカルコイルKはマッチングボッ
クスLを介してRF発振器Mに接続されている
統が接続され、すなわち仕切バルブNを介して放電ガス
導入系と反応ガス導入系とが接続され、放電ガス導入系
はマスフローコントローラO、仕切バルブP、圧力調整
器Q及びアルゴンガスボンベRを備えている。一方、反
応ガス導入系はマスフローコントローラS、仕切バルブ
T、圧力調整器U及び窒素ガスボンベVを備えている。
各ガス導入系はリークタイトな継ぎ手及びガス配管で接
続されている。
て、仕切ハルブB1、B2を開状態にし、油回転ポンプ
C2を作動させて、成膜室Aを0.1Torr程度に真空引
きを行った後に、高真空ポンプC1により真空排気をさ
らに行い、10−7Torr台まで圧力を減圧する。この状
態で図示されていない電源よりコイルJを励磁した状態
において、放電ガス導入系仕切バルプPを開放し、圧力
調整器Qで圧力を1気圧より少し高めに設定し、マスフ
ローコントローラOによりアルゴンガスを3〜4scc
m流す。この状態でRF発振器MからRF電力を供給
し、さらにマノチングボックスLで反射を低減させるよ
うに調整する。それにより、絶縁体製の放電管Iの内部
でアルゴンのプラズマが発生する。発振器Mの出力を徐
々に高くして約1kWになったところで、バイアス電源
Hから接地に対してマイナスの電圧を夕一ゲットGに印
加する。
し、圧力調整器Uで圧力を1気圧より少し高めに設定
し、マスフローコントローラSにより窒素ガスを1〜2
sccm流す。それにより、絶縁体製の放電管Iの内部
に発生したブラズマ中のアルゴンイオンと窒素イオン
は、マイナスの電圧の印加されているタ一ゲットGに吸
引されて衝突し、ターゲットGの表面からボロンの原子
が飛び出し、試料基板Eに付着する。また同時に、窒素
イオンやArイオンも試料基板E上に付着し試料基板E
上でボロンと窒素が反応し、ボロンナイトライドが生成
される。さらにアルゴンイオンもボロンナイトライド膜
上に衝突し、運動エネルギーを膜に付与することで緻密
なBN膜が形成される。こうして、ボロンナイトライド
膜の形成された試料基板Eは、仕切りバルブB1を閉
し、RF発振器Mの出力を停止させ、そしてリ一クバル
ブB3を開いて空気を導入し成膜室Aを大気圧に戻すこ
とにより成膜室Aから取り出される。
ッタリング成膜方法では、ダイヤモンドの構造に近い膜
つまりSP3構造を多く含んだ膜ができない。すなわ
ち、アシスト照射イオン(Ar、N)と共に、ターゲッ
ト材のイオン化あるいは原子状窒素及び窒素イオンの供
給がないとsp3構造を多くすることはできないことが
実験的に立証されている。そのため、硬質な膜を得るこ
とができないという問題があった。また上述のように従
来の装置においては、絶縁体製の放電管でチャンバーを
画定すると共にその外側にヘリカルコイルを設けている
ため、石英管が大気圧に抗する強度を保つために石英管
の冷却が不可欠であり、このために石英管の内面にター
ゲット材が付着しやすいという問題があった。このた
め、石英管の汚れにつれてRF電力の吸収効率が悪くな
るという問題もあった。
収効率の低下を防止でき、SP3構造を多く含んだBN
膜のような緻密で硬質の膜を形成するのに利用できるプ
ラズマ発生装置を提供することにある。また本発明の別
の目的は、RF電力の吸収効率の低下を防止でき、SP
3構造を多く含んだBN膜のような緻密で硬質の膜を形
成できる方法及び装置を提供することを目的としてい
る。
ために、本発明の第1の発明による、高周波放電による
誘導結合方式のプラズマ発生装置は、高周波電力を印加
して誘導電界を発生させる高周波アンテナをプラズマ発
生室である真空容器の内部に配置し、高周波アンテナの
内側に絶縁体製の放電管を配置し、プラズマ発生室の内
面と放電管の外側とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体
表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、誘電体物質
を充填したことを特徴としている。
電によるヘリコン波励起方式のプラズマ発生装置は、プ
ラズマ発生室の外部に磁場発生コイルを配置し、また高
周波電力を印加してヘリコン波を励起する高周波アンテ
ナをプラズマ発生室である真空容器の内部に配置し、高
周波アンテナの内側に絶縁体製の放電管を配置し、プラ
ズマ発生室の内面と放電管の外側とで囲まれ且つ高周波
アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域
に、誘電体物質を充填したことを特徴としている。
ラズマ発生室の内部に充填される該誘電体物質として、
誘電体粉末、モノリシックな誘電体バルク材、棒形状の誘
電体、管形状の誘電体又は球形状誘電体のいずれか1つ
又は2つ以上を組み合わせて用いられ得る。
の第3の発明によれば、高真空状態にでき、内部に、緻
密な硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成
膜室と、成膜室に隣接して設けられたプラズマ発生室を
有し、プラズマ発生室には請求項1又は2に記載のプラ
ズマ発生装置及び緻密な硬質薄膜を構成する材料のター
ゲットを配置し、プラズマ発生室に放電ガス及び窒素ガ
スを導入し、高密度のプラズマを発生し、ターゲットか
らスパッタされたターゲット材の原子を励起及び電離し
た状態で基板へ導入し、プラズマ発生室に導入した窒素
ガスを解離及び電離させて発生した原子状窒素及び窒素
イオンを基板へ導入するように構成したことを特徴とす
る緻密な硬質薄膜の形成装置が提供される。
プラズマ発生室の内部に配置されたプラズマ発生用の高
周波アンテナの内側に絶縁体製の放電管が配置され得
る。また、プラズマ発生室の内面と放電管の外側とで囲
まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる
真空状態の領域に、誘電体物質が充填され得る。さら
に、ターゲット材は、成膜室から離れた側のプラズマ発
生室の端部に配置され得る。
テナを真空中に設けたことにより、RF電力の吸収効率
を上げることができる。また、プラズマ発生室の内部に
配置されたプラズマ発生用の高周波アンテナの内側に放
電管を配置することにより、放電管の強制冷却が不要と
なり、放電管を高温に保つことが可能となり、ターゲッ
ト材からスパッタされた粒子がプラズマ発生室の内部の
放電管の内面に付着するのを低減できる。
薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高
真空状態にし、外部に磁場発生コイルを配置し、また内
部にプラズマ発生用の高周波アンテナ及びターゲット材
をそれぞれ配置したプラズマ発生室に放電ガスを導入し
て高密度プラズマを発生し、ターゲット材としてボロン
材を使用し、プラズマ発生室に窒素ガスを導入し電離さ
せて生成した原子状窒素及び電離させて生成した窒素イ
オン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電離
させて生成したボロンイオンより成膜室内の基板表面上
に硬質なsp3構造の結合を多く含んだボロン・ナイト
ライド膜を形成することを特徴とする緻密な硬質薄膜の
形成方法が提供される。
薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高
真空状態にし、外部に磁場発生コイルを配置し、また内
部にプラズマ発生用の高周波アンテナ及びターゲット材
をそれぞれ配置したプラズマ発生室に放電ガスを導入し
て高密度のプラズマを形成し、ターゲット材としてグラ
ファイト材を使用し、ターゲット材から飛び出したカー
ボン原子を電離させて生成したカーボンイオンより成膜
室内の基板表面上に緻密なダイヤモンドライクカーボン
膜を形成することを特徴とする緻密な硬質薄膜の形成方
法が提供される。
薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高
真空状態にし、外部に磁場発生コイルを配置し、また内
部にプラズマ発生用の高周波アンテナ及びターゲット材
をそれぞれ配置したプラズマ発生室に放電ガスを導入し
て高密度プラズマを発生し、ターゲット材としてカーボ
ン材を使用し、プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離
させて生成した原子状窒素およ電離させて生成した窒素
イオン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電
離させて生成したボロンイオンより成膜室内の基板表面
上に緻密なカーボ・ナイトライド膜を形成することを特
徴とする緻密な硬質薄膜の形成方法が提供される。
薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高
真空状態にし、外部に磁場発生コイルを配置し、また内
部にプラズマ発生用の高周波アンテナ及びターゲット材
をそれぞれ配置したプラズマ発生室に放電ガスを導入し
て高密度のプラズマを形成し、ターゲット材としてボロ
ンカーバイド材を使用し、プラズマ発生室に窒素ガスを
導入し解離させて生成した原子状窒素及び電離させて生
成した窒素イオン及びターゲット材から飛び出したボロ
ン原子を電離させて生成したボロンイオン及びターゲッ
ト材から飛び出したカーボン原子を電離させて生成した
カーボンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なボロ
ン・カーボン・ナイトライド膜を形成することを特徴と
する緻密な硬質薄膜の形成方法が提供される。
を励起して生成したプラズマを閉じこめるための磁場を
発生させる磁場発生コイルによりプラズマ発生室の軸線
方向に磁力線を発生するようにされる。
マ発生室に設置することで、ターゲット材がスパッタさ
れた後でもそのターゲット材自体をイオン化(電離)さ
せた状態で基板上に付着させることができる。これによ
り、ダイヤモンドの構造に近い膜つまりsp3構造を多
く含んだ緻密な硬質膜を基板上に形成することができる
ようになる。
本発明の実施の形態について説明する。なお、図1には
便宜上、本発明の1実施例装置の構成が示されている
が、本発明はこれに限定されるものではない。図1に
は、本発明による高密度ヘリコンプラズマを用いたBN
薄膜形成装置の一つの実施の形態を示す。図1におい
て、1は真空チャンバーであり、この真空チャンバー1
は成膜室1aと、中間室1bと、プラズマ発生室1cと
から成っている。真空チャンバー1の成膜室1aには、
仕切りバルブ2と、高真空ポンプ(例えばターボ分子ポ
ンプ、油拡散ポンプ)3と、仕切バルブ4と、油回転ポ
ンプ5とを備えた真空排気系が接続され、真空チャンバ
ー1内を所望の高真空にできるように構成されている。
また成膜室1aはリークバルブ6を介して大気に解放で
きるようにされている。
され、基板ホルダー7には試料基板8が装着されてい
る。プラズマ発生室1cの端部には、成膜室1a内の試
料基板8に対向して、ボロン製の円板状ターゲット9が
配置され、この円板状ターゲット9は絶縁体10により
プラズマ発生室1cとは電気的に絶縁されており、そし
てターゲット用バイアス電源11のマイナス端子に接続
され、バイアス電源11のプラス端子は接地されてい
る。
には二つの磁場発生用の環状コイル12が配置され、こ
れらのコイル12は、軟磁性体で作られたヨーク13の
内側に同軸状に設けられ、そして同じ方向の電流を流す
ことによりミラー磁場型の磁場を発生する。プラズマ発
生室1cの内部には絶縁体製の放電管14が同軸的に配
置され、絶縁体製の放電管14の外側には高周波アンテ
ナとしてヘリカルコイル15が巻回(3ターン)されて
取り付けられている。放電管に用いる絶縁体の材質並び
に厚さの選択にあたっては、プラズマシースの等価イン
ピーダンスよりも十分(例えば一桁以上)大きいインピ
ーダンスを有することと、プラズマに直接曝されて高温
(例えば1000℃)となる場合でも問題を生じない耐
熱性、電気絶縁性、化学的安定性を有することを要件と
する。このため、石英、高純度アルミナ、ボロンナイト
ライド等の高抵抗、高絶縁性及び耐熱性を満たすセラミ
ックス誘電体群の材質で、厚みは2〜5mm程度であれば
よい。なお、本実施例では高純度アルミナ管を用いた。
このヘリカルコイル15はマッチングボックス16を介
してRF発振器17に接続されている。また、プラズマ
発生室1cの内壁と絶縁体製の放電管14との隙間には
誘電体物質18が充填されている。充填用の誘電体物質
の材質ならびに形状の選択にあたっては、高周波アンテ
ナに発生する高周波電圧により誘電体物質の充填領域で
の放電を抑止するための電気絶縁性を有することと、プ
ラズマに直接曝されて高温(例えば1000℃)となる
放電管に接触した状態でも問題を生じない耐熱性及び化
学的安定性を有することを要件とする。このため、石
英、高純度アルミナ、ボロンナイトライド等の高絶縁性
及び耐熱性を満たすセラミックス誘電体群の材質で、形
状は粉末状、モノリシックなバルク状、棒状、管状或い
は球状のいずれでもよい。なお、本実施例では高純度ア
ルミナを材質とする管状のセラミックパイプ及び球形状
のセラミックビーズの両方を組み合わせて用いた。
フローコントローラ20、仕切バルブ21、圧力調整器
22及び窒素ガスボンベ23を備えた反応ガス導入系が
接続されている。また、プラズマ発生室1cには、仕切
バルブ24、マスフローコントローラ25、仕切バルブ
26、圧力調整器27及びアルゴンガスボンベ28を備
えた放電ガス導入系が接続されている。各ガス導入系は
リークタイトな継ぎ手及びガス配管で接続されている。
薄膜を形成する実施例について以下説明する。まず、排
気系の仕切バルブ2、4を開状態にし、油回転ポンプ5
を作動させて、真空チャンバー1を0.1Torr程度に真
空引きを行った後に、高真空ポンプ3により真空排気を
さらに行い、10-7Torr台まで圧力を減圧する。次に図
示していないコイル電源により磁場発生用コイル12を
励磁した状態において放電ガス導入系の仕切バルブ2
4、26を開放し、圧力調整器27によって圧力を1気
圧より少し高めに設定し、マスフローコントローラ25
でアルゴンガスボンベ28からのアルゴンガスの流量を
3〜4sccmに制御してプラズマ発生室1cへ流す。
F電力を発振させ、そしてマッチングボックス16で反
射を低減させるように調整して、ヘリカルコイル15に
供給される。これにより、プラズマ発生室1cの絶縁体
製の放電管14の内部でアルゴンのプラズマが発生され
る。バイアス発振器17の出力を徐々に高くして約1k
Wになったところで、バイアス電源11から接地に対し
てマイナスの電圧を夕一ゲット9に印加する。
開放し、圧力調整器22により圧力を1気圧より少し高
めに設定し、マスフローコントローラ20によって窒素
ガスボンベ23からの窒素ガスの流量を1〜2sccm
に設定して中間室1bに流す。その結果、プラズマ発生
室1cの絶縁体製の放電管14の内部で発生されたプラ
ズマ中のアルゴンイオンと窒素イオンは、ターゲット9
にマイナスの電圧が印加されているためターゲット9に
吸引されて衝突し、それにより、ターゲット9の表面か
らボロンの原子が飛び出し、プラズマ発生室1cの絶縁
体製の放電管14の内部でアルゴンイオンや電子と衝突
し電離する。こうして電離したボロンはプラズマ流又は
ガス流により成膜室1a内の試料基板8上に付着する。
これと同時に、中間室1bに導入された窒素もアルゴン
プラズマにより電離され、窒素イオンも成膜室1a内の
試料基板8上に付着し、そして試料基板8上でボロンと
窒素が反応しボロンナイトライド膜が形成される。この
場合、 アルゴンイオンも基板8上のボロンナイトライ
ド膜上に衝突して、運動エネルギーを膜に付与すること
で緻密なBN膜が形成される。
板8は、排気系の仕切りバルブ2を閉にし、RF発振器
17の出力を停止させた後、リークバルブ6を開いて空
気を導入し成膜室1aを大気圧に戻すことにより成膜室
1aから取り出すことができる。
ト9としてグラファイト製のターゲットを使用し、中間
室1bに窒素ガス導入系から窒素を導入せずに放電室す
なわちプラズマ発生室1cにアルゴンガスだけを導入す
る。その場合には、試料基板8上には硬質で緻密なダイ
ヤモンド・ライク・カーボン(DLC)膜を形成するこ
とができる。
ーゲット9としてグラファイト製のターゲットを使用
し、中間室1bに窒素ガス導入系から窒素を導入し、そ
してプラズマ発生室1cにアルゴンガスを導入する。こ
の場合には、試料基板8上には硬質で緻密なカーボンナ
イトライド膜 (CN膜) を形成することができる。
によれば、高真空状態にでき、内部に基板を配置した成
膜室に隣接してプラズマ発生室を設け、プラズマ発生室
の内部にはプラズマ発生用の高周波アンテナ及び緻密な
硬質薄膜を構成する材料のターゲットをそれぞれ配置
し、高密度のプラズマを発生し、ターゲットからスパッ
タされたターゲット材の原子を電離した状態で基板へ導
入するように構成し得るので、sp3構造を多く含んだ
緻密で硬質の膜を形成することができ、その結果、工
具、金型コーティング及び磁気ヘッドの保護膜、絶縁膜
を必要とする部品に成膜するのに有利に使用できる。
プラズマ発生用の高周波アンテナの内側に放電管を配置
することにより、放電管を高温に保っても問題を生じな
いため、ターゲット材からスパッタされた粒子がプラズ
マ発生室の内部の放電管の内面に付着するのが低減さ
れ、その結果、長期間に亘って安定した成膜動作が保証
される。
膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置して設
置しているので、ターゲット材がスパッタされた後でも
そのターゲット材自体をイオン化させた状態で基板上に
付着させることができ、SP3構造を多く含んだ緻密で
硬質の膜を形成することができるようになる。そして使
用するターゲット材及び反応ガスを選択することによ
り、硬質なSP3構造の結合を多く含んだボロン・ナイ
トライド膜、緻密なダイヤモンド・ライク・カーボン膜
或いは緻密なカーボン・ナイトライド膜ないしボロン・
カーボン・ナイトライド膜のような緻密で硬質の薄膜を
形成することができるようになる。
N成膜装置の一実施の形態を示す概略線図。
示す概略線図。
Claims (10)
- 【請求項1】高周波放電による誘導結合方式のプラズマ
発生装置において、高周波電力を印加して誘導電界を発
生させる高周波アンテナをプラズマ発生室である真空容
器の内部に配置し、高周波アンテナの内側に絶縁体製の
放電管を配置し、プラズマ発生室の内面と放電管の外側
とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆
われる真空状態の領域に、誘電体物質を充填したことを
特徴とするプラズマ発生装置。 - 【請求項2】高周波放電によるヘリコン波励起方式のプ
ラズマ発生装置において、プラズマ発生室の外部に磁場
発生コイルを配置し、また高周波電力を印加してヘリコ
ン波を励起する高周波アンテナをプラズマ発生室である
真空容器の内部に配置し、高周波アンテナの内側に絶縁
体製の放電管を配置し、プラズマ発生室の内面と放電管
の外側とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべ
てが覆われる真空状態の領域に、誘電体物質を充填した
ことを特徴とするプラズマ発生装置。 - 【請求項3】プラズマ発生室の内部に充填される該誘電
体物質として、誘電体粉末、モノリシックな誘電体バル
ク材、棒形状の誘電体、管形状の誘電体又は球形状誘電体
のいずれか1つ又は2つ以上を組み合わせて用いたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ発生装
置。 - 【請求項4】高真空状態にでき、内部に、緻密な硬質薄
膜の形成されることになる基板を配置した成膜室と、成
膜室に隣接して設けられたプラズマ発生室を有し、プラ
ズマ発生室には請求項1又は2に記載のプラズマ発生装
置及び緻密な硬質薄膜を構成する材料のターゲットを配
置し、プラズマ発生室に放電ガス及び窒素ガスを導入
し、高密度のプラズマを発生し、ターゲットからスパッ
タされたターゲット材の原子を励起及び電離した状態で
基板へ導入し、プラズマ発生室に導入した窒素ガスを解
離及び電離させて発生した原子状窒素及び窒素イオンを
基板へ導入するように構成したことを特徴とする緻密な
硬質薄膜の形成装置。 - 【請求項5】ターゲット材が、成膜室から離れた側のプ
ラズマ発生室の端部に配置されていることを特徴とする
請求項4に記載の緻密な硬質薄膜の形成装置。 - 【請求項6】内部に硬質薄膜の形成されることになる基
板を配置した成膜室を高真空状態にし、外部に磁場発生
コイルを配置し、また内部にプラズマ発生用の高周波ア
ンテナ及びターゲット材をそれぞれ配置したプラズマ発
生室に放電ガスを導入して高密度プラズマを発生し、タ
ーゲット材としてボロン材を使用し、プラズマ発生室に
窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及び電
離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から飛び
出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオンよ
り成膜室内の基板表面上に硬質なsp3構造の結合を多
く含んだボロン・ナイトライド膜を形成することを特徴
とする緻密な硬質薄膜の形成方法。 - 【請求項7】内部に硬質薄膜の形成させることになる基
板を配置した成膜室を高真空状態にし、外部に磁場発生
コイルを配置し、また内部にプラズマ発生用の高周波ア
ンテナ及びターゲット材をそれぞれ配置したプラズマ発
生室に放電ガスを導入して高密度プラズマを発生し、タ
ーゲット材としてカーボン材を使用し、ターゲット材か
ら飛び出したカーボン原子を電離させて生成したカーボ
ンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なダイヤモン
ド・ライク・カーボン膜を形成することを特徴とする緻
密な硬質薄膜の形成方法。 - 【請求項8】内部に硬質薄膜の形成されることになる基
板を配置した成膜室を高真空状態にし、外部に磁場発生
コイルを配置し、また内部にプラズマ発生用の該高周波
アンテナ及びターゲット材をそれぞれ配置したプラズマ
発生室に放電ガスを導入して高密度プラズマを発生し、
ターゲット材としてカーボン材を使用し、プラズマ発生
室に窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及
び電離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から
飛び出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオ
ンより成膜室内の基板表面上に緻密なカーボン・ナイト
ライド膜を形成することを特徴とする緻密な硬質薄膜形
成方法。 - 【請求項9】内部に硬質薄膜の形成されることになる基
板を配置した成膜室を高真空状態にし、外部に磁場発生
コイルを配置し、また内部にプラズマ発生用の該高周波
アンテナ及びターゲット材をそれぞれは位置したプラズ
マ発生室に放電ガスを導入して高密度プラズマを発生
し、ターゲット材としてボロンカーバイド材を使用し、
プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離させて生成した
原子状窒素及び電離させて生成した窒素イオン及びター
ゲット材から飛び出したボロン原子を電離させて生成し
たボロンイオン及びターゲット材から飛び出したカーボ
ン原子を電離させて生成したカーボンイオンより成膜室
内の基板表面上に緻密なボロン・カーボン・ナイトナイ
ド膜を形成することを特徴とする緻密な硬質薄膜の形成
方法。 - 【請求項10】ヘリコン波を励起して生成したプラズマ
を閉じこめるための磁場を発生させる磁場発生コイルに
より、プラズマ発生室の軸線方向に磁力線を発生するよ
うにしたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項
に記載の緻密な硬質薄膜の形成方法。
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