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JP2001516569A - ママグロビン、分泌された乳腺‐特異乳癌タンパク質 - Google Patents

ママグロビン、分泌された乳腺‐特異乳癌タンパク質

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JP2001516569A
JP2001516569A JP2000511779A JP2000511779A JP2001516569A JP 2001516569 A JP2001516569 A JP 2001516569A JP 2000511779 A JP2000511779 A JP 2000511779A JP 2000511779 A JP2000511779 A JP 2000511779A JP 2001516569 A JP2001516569 A JP 2001516569A
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antigen
seq
mamaglobin
cell
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Abstract

(57)【要約】 精製、分離されたDNA配列及びコード化された乳腺‐特異分泌タンパク質であるママグロビンを開示する。乳癌細胞によるママグロビンの過剰発現及び分泌に基づく乳癌の検出方法をも開示する。その方法は、ママグロビン若しくはママグロビンをコード化するmRNAの有無を検出する、及び/又は定量を行う。乳癌患者をママグロビンを発現する腫瘍で処置をする、免疫療法を基礎とする方法をも開示する。その方法ではママグロビン抗原を利用して、その腫瘍に対する体液及び/又は細胞媒介の免疫応答を誘発させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳癌病原に係り、より詳細には、乳癌の検出及び治療に利用される
cDNA配列及びコード化された乳腺‐特異タンパク質に関する。
【0002】
【従来の技術】
乳癌は多く発症する癌の一つであり、潜在的に死に追いやる癌の一つでもある
【0003】 初期の診断及び治療により、その病気に関係したり病率及び死亡率が減少して
きたが、乳房撮影の陽性予測値は約25%としか評価されていない(Hallらによ
る、N. Emgl. J. Med 337: 319‐328, 1992, 本願の引用文献に編入される)。
したがって、乳房撮影を利用して検出されるよりも早期に、癌を検出する手段が
望まれており、遺伝学的及び生物化学的マーカーがかかる手段を提供し、乳房撮
影の予測値を補完し、さらにその値を改善させるであろう(Hayes, Hematol Onc
ol Clin N Am 8: 485, 1994, 本願の引用文献に編入される)。
【0004】 乳癌の成長は多くの遺伝学的変化により進行する(参考の為に、PortorとJord
anによるHemato Oncol Clin N Am 8:73, 1994を参照、本願の引用文献に引用さ れる)。かかる変化には、全体の染色体変異や遺伝的マーカーの損失がある(De
vileeらによるBiochim Biophys Acta 1198: 113, 1994; Callahanらによる、J C
ell Biochem Suppl 17: 167, 1993, 本願の引用文献に編入される)。乳房新生 物の進行は、結果として成長因子及びそれらの受容体(ZajchowskiらによるCanc
er Res 48: 7041, 1988, 本願の引用文献に編入される)並びに構造タンパク質 (TraskらによるProc Natl Acad Sci 87:2319, 1990, 本願の引用文献に編入さ れる)、第二のメッセンジャータンパク質(OhuchiらによるCancer Res 26: 251
1, 1986, 本願の引用文献に編入される)及び転写因子(Harris, Adv Cancer Re
s 59: 69: 1992, 本願の引用文献に編入される)をコード化する既に確認された
遺伝子の発現において定性的及び定量的変化をもたらすことが判明した。遺伝子
発現における上記変化は乳癌マーカーを開発する基礎を潜在的に形成する。ただ
し、患者の生体組織サンプルでの乳癌の病理における上記遺伝子変化の正確な役
割は十分に理解されていない。
【0005】 乳癌の早期検出のため、乳癌用の遺伝学的又は生物化学的マーカーを提供する
ことに加えて、予測の評価、治療の選択及び評価手段、並びに治療の目標の定め
る手段を提供する腫瘍マーカーが望まれてもいる。多くの組織マーカーが確認さ
れているが、一般的集団の診断又はスクリーニングに理想的に適するものの十分
な感度若しくは腫瘍特異性は全く無い(Id)。よって、患者での乳癌の発症及
び病理学的成長を、特異的にしかも選択的に確認するのに利用され、腫瘍特異な
免疫療法に利用され得る発現タンパク質に沿った遺伝子のような乳癌マーカーへ
の要望が強くある。
【0006】 変形された判別表示ポリメラーゼチェイン反応(differential display polym
erase chain reaction)法を利用して、乳癌から区別して発現された配列tagを 分離し、幾多の配列断片を分離し、正常な組織コントロールと比較して、新生物
乳房上皮組織で特異的に発現される(WatsonとFleming, Cancer Res 54: 4598‐
4602, 1994 本願の引用文献に編入される)。DEST002と識別された上記配列tag の一つの発見により、新規な全長cDNAと、現在ママグロビン(mammaglobin )と呼ばれるコード化されたタンパク質の発見と分離をもたらした。cDNA及
びタンパク質は双方とも新規である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、乳癌で増加する発現の新規な
遺伝子の確認と、前記遺伝子のmRNAからのcDNAの分離を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、新規なcDNAと、コード化された乳房で特異に分泌するタン
パク質であるママグロビンを発見することに成功した。cDNAは精製、分離さ
れた形態で得られ、配列番号(SEQ ID NO):1で識別されるヌクレオチド配 列を有し、コード化されたタンパク質であるママグロビンは精製、分離された形
態で得られ、配列番号(SEQ ID NO):2で識別されるアミノ酸を有する。
【0009】 ママグロビンはステージIの一次乳癌腫瘍の27%で過剰発現される。これに より、ママグロビン遺伝子の調節障害(dysregulation)は早期に、乳癌にて頻 繁に起こることを示唆している。したがって、ママグロビン及びそのcDNAの
発見により、ヒト及び他の動物での検出及び治療への新規な方法と成分の開発の
基礎を提供する。
【0010】 よって、本発明は、サンプル中での乳房新生物の有無の新規な検出方法に関す
る。ある実施態様では、ママグロビンをコード化するcDNAまたは前記cDN
Aの誘導体は、サンプル中のママグロビンmRNAの有無を検出するのに利用さ
れる。その方法は、(a)配列番号(SEQ ID NO):1の配列を有するヌクレ オチド配列を含むポリヌクレオチド又はその誘導体を提供し、(b)配列が乳房
新生物細胞からのmRNAとハイブリダイズする条件下で、サンプルでそのヌク
レオチド配列をインキュベートし、(c)DNA‐RNAハイブリダイゼーショ
ン複合体の存在を検出する工程からなる。
【0011】 本発明の別の態様では、サンプル中での乳房新生物細胞の有無をハイブリダイ
ゼーションにより検出するためのキットを提供する。そのキットは、容器に収納
された配列番号(SEQ ID NO):1の配列を有するヌクレオチド配列を含むポ リヌクレオチド、又はその誘導体を含む。
【0012】 本発明の別の実施態様では、サンプル中でのママグロビン発現は、サンプル中
のママグロビンmRNAから逆転写されたcDNAの存在を検出することにより
測定した。その方法は、(a)患者から得たサンプル中での逆転写方法を利用し
て、mRNAからのママグロビンをコード化するcDNAを生産し、(b)ママ
グロビンをコード化するcDNA内でフランク(flank)又は位置するオリゴマー を含み、ポリメラーゼチェイン反応用の二つのプライマーを提供し、(c)ポリ
メラーゼチェイン反応によりママグロビンをコード化するcDNAを増幅する工
程からなる。その二つのプライマーは配列番号(SEQ ID NO):3及び配列番 号(SEQ ID NO):4を含むヌクレオチド配列を有する。
【0013】 本発明の別の実施態様では、ポリメラーゼチェイン反応によりサンプル中の乳
房新生物細胞の有無を検出するキットを提供する。そのキットは、容器に収納さ
れたママグロビンをコード化するcDNA内にフランク又は位置するオリゴマー
を含み、ポリメラーゼチェイン反応用の二つのプライマーを含む。その二つのプ
ライマーは配列番号(SEQ ID NO):3及び配列番号(SEQ ID NO):4を含
むヌクレオチド配列を有する。
【0014】 本発明の別の実施態様では、腫瘍再発により発現されるママグロビンタンパク
質の有無は、ママグロビンタンパク質に対する特定抗体を利用して、サンプル中
にて検出される。その特定抗体はポリクローナル又はモノクローナル抗体である
【0015】 更に、本発明は、抗体媒介及び/又は細胞媒介、つまりママグロビン発現腫瘍 に対する免疫応答である活性化T細胞により誘発されるママグロビン抗原を利用
して、乳房新生物病気を治療する新規な成分及び方法に関する。
【0016】 本発明による成分の一つの実施態様には、ママグロビン特異B細胞を活性化さ
せることができるママグロビンB細胞抗原が含まれる。そのB細胞抗原はママグ
ロビン特異B細胞エピトープと、Tヘルパー細胞により認識されたTエピトー
プ、つまり決定因子とを含む。
【0017】 別の実施態様では、ママグロビン抗原は、ママグロビン特異細胞毒性Tリンパ
球により認識されたママグロビンT細胞抗原であり、そのリンパ球はT細胞
エピトープと、MHCクラスI分子に対して結合する部位、つまりアグレトープ
(agretope)とを含む。
【0018】 本発明による成分の更に別の実施態様には、B細胞とT細胞抗原とを含む。
【0019】 ママグロビン発現腫瘍で患者を治療する方法には、養子免疫療法が含まれ、そ
の療法は患者から分離されたママグロビン特異リンパ球のママグロビン抗原での
半ビボシミュレーションを含み、続いて患者に活性化リンパ球を投与し、アンチ
ママグロビン免疫応答のインビボシミュレーションを行い、ママグロビン抗原を
含むワクチンを患者に投与することからなる。
【0020】 したがって、本発明により達成されたと判明した幾多の有利な点のうち、ヌク
レオチド配列とコード化されたアミノ酸配列の提供を挙げることでき、それらの
配列は乳癌細胞のマーカーとして役に立つ。乳房新生物細胞の有無の早期検出方
法の提供、乳房撮影を補足し、予測値を増大させる乳癌検出手段の提供、予測評
価を与える方法の提供、治療目標を可能にするマーカーの提供、腫瘍に対する細
胞及び体液免疫応答を刺激する成分の提供がある。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のある態様は、配列番号(SEQ ID NO):2(図2参照)として確認 された乳房特異分泌タンパク質であるママグロビンをコード化する、配列番号(
SEQ ID NO):1として識別されたcDNAの確認と配列決定に基づいている 。後述するように、全長ママグロビンcDNAは、逆転写された腫瘍細胞mRN
Aから出発して、PCR法を利用して増幅され、発現ベクターにサブクローン化
することにより分離された。加えて、cDNAによりコード化されるそのタンパ
ク質であるママグロビンが確認され、その特性を測定した。
【0022】 既にDEST002と指定された無名の配列tagを利用して、現在までのと
ころ未知であるが、本願ではママグロビンとして確認された対応する遺伝子生産
物は、乳癌腫瘍細胞系統MDA‐MB−415に特に富んでいることが判明した
。全長ママグロビンcDNAを分離するために、上記細胞系統からmRNAが逆
転写され、RACE PCR法を利用してクローン化された(EdwardsらによるN
ucleic Acids Research 19: 5227‐32, 1991, 本願の引用文献に編入される)。
この方法は一本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドを一本鎖cDNAの3’末端
へのライゲーションという戦略に基づく。ママグロビンcDNAを分離させる方
法は、図1に模式的に示す。
【0023】 全長503bpのcDNA配列(配列番号(SEQ ID NO):1)は、初期の 我々の研究(上記のWatsonとFlemingの論文)での対応するDEST配列(DE ST002配列((SEQ ID NO):2)(図2参照)から既に得た配列情報に 沿った上記方法により分離された403bp断片(配列番号(SEQ ID NO): 5)(図2参照)から得た配列情報から結論を導き出した。503bpのcDN
A内では、93のアミノ酸のポリペプチドをコード化する279オープンリーデ
ィングフレームがあり、予想された分子質量は10.5kDであった(配列番号
(SEQ ID NO):2)(図2参照)。このオープンリーディングフレームの開 始メチオニンは完全に近いKozakコンセンサス配列内にある(Kozak, Cell 22: 7
‐8, 1980 本願の引用文献に編入される)。この配列の60bp上流には他の インフレームメチオニン又は翻訳停止は含まれない。cDNAの3’の未翻訳配
列は163bpを構成し、ポリアデニル化シグナルAATAAAであるオリジナ
ルのDEST002配列のプライマー部位の12bp上流を含む。上記データか
らは、全長ママグロビンcDNAが分離されていることを示している。コード化
されたポリペプチドの第一の19残基は疎水性ペプチドシグナル配列を予想し、
53‐55及び68−70残基はコンセンサスN結合糖鎖形成部位であり、ママ
グロビンが分泌された糖タンパク質であることを示している。 BLASTアルゴリズム(BensonらによるNucl Acid Res 21: 2963‐2965, 19
93; AltschulらによるJ Mol Biol 215: 403‐410, 1990 本願の引用文献に編入 される)を利用してジーンバンク(Genbank)のママグロビンcDNA配列と類 似するDNAの研究により、明白なDNA配列相同性は確認されなかった。した
がって、ママグロビンcDNAは新規で、今までに知られていなかったDNA配
列であると考える。
【0024】 ママグロビンに関連する配列の他のポリペプチドの研究により、ママグロビン
と他のポリペプチドとの間のアミノ酸配列相同性を示す。ママグロビンは、ラッ
ト前立腺ステロイド結合タンパク質(プロスタテイン(prostatein))サブユニ
ットC3(rPSC3)(図3参照)(配列番号(SEQ ID NO):7)のある 42%のアミノ酸同一性(保存的置換を58%含む)を示す。ラット前立腺ステ
ロイド結合タンパク質は、二つの異なる二量体サブユニットであるC3/C1及 びC3/C2を含む四量体タンパク質からなるラット腹側前立腺での主な分泌タ ンパク質である(ParkerらによるAnn NY Acad Sci 438:115‐124; Parkerらに
よる、J Steroid Biochem 20:67‐71、1984 本願の引用文献に編入される)。
C1、C2及びC3遺伝子は全て約6kDの分泌タンパク質をコード化し、遺伝
子複製から生じるものと考えられるが、C1及びC2遺伝子は相互に密接な相同
性を示し、C3遺伝子とはそれほど類似性を示さない。相応じて、ママグロビン
はC1又はC2タンパク質とは配列相同性を示さない。
【0025】 前述したように、前立腺ステロイド結合タンパク質(プロスタテイン)は、ラ
ット腹側前立腺及びその発現がアンドロゲンステロイドにより調整されるという
点で、主な分泌タンパク質である(Parkerらによる Ann NY Acad Sci 438: 115
‐24, 1984; ParkerらによるJ Steroid Biochem 20: 67‐71, 1984 本願の引用 文献に編入される)。他のタンパク質であるヒトエストラムスチン(estramusti
n)結合タンパク質(hEMBP)は、ヒト前立腺、ヒト乳癌及びヒト悪性メラ ノーマにおいて発現されることが報告されている(BjorkらによるCancer Res 42
: 1935‐1942, 1982; Bjorkらによる Anticancer Res 11: 1173‐82, 21991 本
願の引用文献に編入される)。ヒトエストラムスチン結合タンパク質は、免疫化
学的にはラットエストラムスチン結合タンパク質と類似しており、そのラットエ
ストラムスチン結合タンパク質はラットステロイド結合タンパク質であるプロス
タテインと同じであると仮定されている。前述したように、ママグロビンのアミ
ノ酸配列は、プロスタテインのC3サブユニットによる保存的置換を含み、42
%のアミノ酸同一性と58%の相同性を示した。よって、ママグロビンはhEM
BPとある程度関連しているものと思われる。しかしながら、プロスタテインと
hEMBP双方は前立腺にて検出され、ママグロビンmRNAはこの組織には全
く存在しない。よって、ママグロビンは同じタンパク質でも、hEMBPのサブ
ユニットでもなく、更に、hEMBPの配列は決定されていないので、ある断片
と、又はhEMBPのサブユニットとママグロビンの類似性はあるのか否かは明
らかではない。
【0026】 最近の研究結果によると、SV40T抗原に融合したrPSC3プロモータか
ら、トランスゲニックマウスにおいて前立腺及び乳房カルチノーマが生じること
が判明したが(MaroulakouらによるProc Nat Acad Sci U.S. 91: 11236‐11240, 1994; SandmollerらによるOncogene 9: 2805‐2815, 1994 本願の引用文献に 編入される)、このタンパク質の真実の生物学的機能が未知である。更に、ラッ
ト前立腺ステロイド結合タンパク質とヒトhEMBPとの仮説の関係にもかかわ
らず、rPSC3に相当するヒトポリペプチド又はヒト遺伝子は確認されていな
い。したがって、ママグロビン及びママグロビンをコード化するcDNAは今ま
でに知られていなかった新規な配列を表わす。
【0027】 ママグロビン及びrPSC3タンパク質配列の双方にあるそれ程重要でないB
LASTスコアを有する他の配列と手動アライメントを利用して、我々はヒトク
ラーラ細胞10kDタンパク質(hCC10)(配列番号(SEQ ID NO):8 )との他の相同性を確認し(Periらによる J Clin Invest 92: 2099‐2109, 199
3 本願の引用文献に編入される)(図3参照)、加えて、ラビット及びマウスユ
ータログロビン(uteroglobin)タンパク質との他の相同性も確認した(Mieleら
によるEndocrine Rev 8: 474‐90, 1987; CatoとBeato, Anticancer Res 5: 65 ‐72; MieleらによるJ Endocrinol Invest 17: 679‐692, 1994 本願の引用文 献に編入される)。種に依存する上記相同性は26%の同一性又は保存的置換を
含む40%の同一性であった。特に、多くのアミノ酸は全てのタンパク質の間で
完全に保存されており、そのタンパク質にはCys‐3及びCys‐69が含ま
れ、ユータログロビンサブユニット間でジスルフィド結合形成におけるある役割
を担っていることは周知である(以下、参照)。上記相同性からは、ママグロビ
ンは上皮細胞により分泌される小さなファミリーのタンパク質の新規なメンバー
であることを示唆している(Mieleらによる1994の上記文献)。
【0028】 hCC10遺伝子はラビット及びマウスユータログロビン遺伝子のヒトホモロ
グである(PeriらによるJ Clin Invest 92: 2099‐2109, 1993 本願の引用文献 に編入される)。ユータログロビンはラビット子宮で分泌されるタンパク質とし
て元来特性が確認されたが、それ以来、肺、胸部及び前立腺を含む他の上皮器官
においても発見されている。ラットのプロスタテインとは異なり、ユータログロ
ビンは、保存残基Cys‐2とCys‐69で二つのジスルフィド連結により結
合されたホモ二量体タンパク質である(Mieleらによる1994の上記文献)。ユー タログロビン遺伝子転写はステロイドホルモンにより調整されるが、プロゲステ
ロン又は他のステロイドホルモンと結合するタンパク質自身の能力は、議論の的
となっており、このタンパク質の本当の生物学的機能は未知である(Mieleらに よる1994の上記文献)。
【0029】 ママグロビン発現は乳腺により制限される。これは、rPSC3がラットの腹
側前立腺にて発現される(ParkerらによるAnn NY Acad Sci 438: 115‐1124, 19
84)、及び、肺、子宮、前立腺及び胸部を含む数多の組織でのhCC10/ユー タログロビンの発現(Mieleらによる1987の上記文献; CatoとBeatoらによる上記
文献;Mieleらによる1994の上記文献)という観察結果とは対照的である。ママ グロビンと上記タンパク質との間の配列相同性のため、我々は組織特異発現のパ
ターンを測定した。
【0030】 500bpママグロビンmRNAは腫瘍試料2410(オリジナル配列tagが 分離された組織から)にて容易に検出され、あまり多くないが正常なヒト胸部組
織にて検出された(図4A参照)。ママグロビンmRNAは不変胸部上皮細胞系 統B5‐589にて検出されなかった。更に、ママグロビンの発現は、ユータロ
グロビンの二つの発現部位であるヒトの子宮及び肺にて検出されなかった。
【0031】 RT/PCRを利用した増幅では腫瘍2410と正常胸部組織の双方でママグ ロビンmRNAが検出されたが、rPSC3及びユータログロビン(肺、子宮、
前立腺)を正常に発現させ、正常に応答したステロイド産性組織(卵巣、精巣、
胎盤)と、他の分泌上皮器官(結腸)(図4B)を含む生存した他の15の組織
では検出されなかった。したがって、ママグロビンmRNAの発現は乳房組織に
対して比較的特異である。
【0032】 上記報告の研究に基づき、ママグロビンは相対的に乳房特異タンパク質である
ことが分かる。乳癌にて過剰発現されるとして知られている二つの他の遺伝子は
、erb‐BとサイクリンDである(JardinesらによるPathobiology 61: 268‐
282,1994; KeyomarsとPardee, Proc Nat Acad Sci U.S. 90: 1112‐1116, 本 願の引用文献に編入される)。erb‐B又はサイクリンDの過剰発現とは異な
り、ママグロビンの過剰発現は、一般の成長可能性又は分裂速度よりもむしろ乳
房上皮細胞の特定変異を反映している。同じように、ママグロビン遺伝子の調整
障害の出現には、腫瘍の治療危険度又は臨床コースに特異な移入をもたらす。
【0033】 ママグロビン発現は正常なリンパ節、又はRT/PCRアッセイの単一の工程 により与えられた感度レベルでの周辺リンパ球には検出されなかった。これによ
り、抹消リンパ節でのママグロビン転写物の分析は、他の上皮特定遺伝子に提案
させたように、潜伏乳癌転移を検出するのに有用である(Schoenfeldらによる
Cancer Res 54: 2986‐90 本願の引用文献に編入される)。
【0034】 ママグロビンcDNAが翻訳可能なタンパク質をコード化することを説明する
ために、cDNAクローンがインビトロ翻訳アッセイにて利用された。図5はマ
マグロビンcDNAでプログラム処理されたラビット網状赤血球溶解産物からの
タンパク質生成物を示す。約6kDのタンパク質が、ママグロビンcDNAを利
用して生じた。見かけ上の分子量はオープンリーディングフレームの概念翻訳か
ら予想されたものより小さいが、この事実はラビット及びヒトユータログロビン
翻訳生成物にも共通に観察された。
【0035】 我々はある腫瘍試料(つまり、2410)にてママグロビンRNAの過剰発現
を検出したが、他の乳癌で上記過剰発現がどの程度頻繁に観察されるかは定かで
ない。したがって、我々は15のパネルで、ママグロビンcDNAプローブでの
ノーザンブロットハイブリダイゼーションによる組織タイプの異なるステージI
の一次乳癌を調査した。環境の影響(患者のホルモン状態)に起因した発現での
潜在的変異性のため、更に、我々は患者に一致した(patient‐matched)正常乳
房組織サンプルで直接腫瘍試料を比較することにした。ただし、これは多くの場
合、可能ではなかった。図6に示すように、500bpママグロビンmRNAが
正常乳房組織及び腫瘍2410で再び検出された。更に、ママグロビンは他の3
つの腫瘍で検出され、そのうち2つは患者に一致した正常組織(BO15とBO
22)で発現は殆ど又は全く示さなかった。全てにおいて、調査した15のうち
4つはママグロビンmRNAを過剰発現させた(27%)。上記データからは、
ママグロビンの過剰発現は単一の腫瘍試料に独特のものではなく、実際には主な
乳房腫瘍間の頻繁に発生するものであることを示唆している。更に、調査した全
ての腫瘍がステージIであったという事実から、この調整障害は乳房新生物の進
行の比較的初期に発生していることを示唆している。
【0036】 出願人らはママグロビンは分泌タンパク質と考えているので、その存在により
、腫瘍が上記遺伝子生成物を過剰発現させる患者からの血清で検出可能であると
予想される。同様に、ママグロビンは前立腺特異抗原(PSA)、及び乳癌を有
する患者を管理するための他の固体腫瘍マーカーとして、臨床的に有用である傾
向がある(診断病理学での腫瘍マーカー(Tumor markers in diagnostic pathol
ogy, Clin Lab Med 10: 1‐250, 1990 本願の引用文献に編入される)。
【0037】 我々は、一般的な乳癌の集団での腫瘍マーカーとしてのママグロビンの普及率
を、数多の一次乳癌でのママグロビンの発現を調べることにより測定した。本研
究において調べた試料の数は少ないが、評価した腫瘍の27%はママグロビンm
RNAを過剰発現させた。この割合は、erb‐B増幅及びp53突然変異のよ
うな他の遺伝的変異の普及率に匹敵する(SlamonらによるSci 244: 707‐712,19
89; ThorらによるJ Nat’l Cancer Inst 84: 845‐855, 1992 本願の引用文献に
編入される)。更に、我々は分析をステージI腫瘍に制限したので、ママグロビ
ンの過剰発現は、実際には、腫瘍のこのサブグループで報告された他の遺伝的変
異よりも最も有力であろう(AllerdらによるJ Nat’l Cancer Inst 85: 200‐20
6, 1993 本願の引用文献に編入される)。
【0038】 乳癌マーカーとしてのママグロビンの確認により、本発明の別の態様の基礎が
提供され、患者の乳癌の存在の検出方法をも提供する。乳房新生物病気の検出の
意味にて本願で利用する用語「検出」とは、患者の乳癌の有無を測定し、他の病
気と乳癌の違いを区別して、その病気の発症及び回復の見込みの点で、病気の予
知をし、その病気の状態又は再発を監視し、患者への好適な療法を決定し、坑腫
瘍治療の目標を立てることを含むことを意図している。
【0039】 乳癌の検出方法は、乳房新生物細胞からのmRNAへポリヌクレオチドをハイ
ブリダイズすることを含む。そのポリヌクレオチドは配列番号((SEQ ID NO ):1)、又は配列番号((SEQ ID NO):1)の誘導体を含む。ヌクレオチ ド配列の誘導体とは、誘導されたヌクレオチド配列が十分に配列相補性を有する
という点で、その配列と実質的に同じヌクレオチド配列であることを意味し、 十分な配列相補性のある配列とは、その配列が乳房新生物細胞からのmRNAと
ハイブリダイズして誘導されるという同じストリジェンシー条件下で乳房新生物
細胞からのmRNAとハイブリダイズするように誘導される。誘導されたヌクレ
オチド配列は、必ずしも物理的にその配列から誘導される必要はないが、例えば
、化学合成又はDNA複製、若しくは逆転写又は転写を含む方法で生じる。
【0040】 乳癌検出システムにおいて、ママグロビンをコード化するmRNAの有無を検
出するために、サンプルを患者から入手した。そのサンプルは生体組織サンプル
又は血液、血漿、血清などのサンプルである。そのサンプルはサンプルに含まれ
る核酸を抽出するように処理される。サンプルから得られた核酸はゲル電気泳動
又は他のサイズ分離法にさらされる。
【0041】 検出するには、サンプルの核酸、特にmRNAをDNA配列と接触させる。そ
のDNA配列はハイブリッド二本鎖を形成するためのプローブとしての働きがあ
る。用語「プローブ」とは、ターゲット領域での配列とプローブ配列との相補性
により、ターゲット配列とハイブリッド構造を形成するポリヌクレオチドを含む
構造のことをいう。
【0042】 得られた二本鎖の検出は、通常、標識されたプローブの使用により実行される
。あるいは、そのプローブは標識されないが、標識されたリガンドと、直接又は
間接的に特異的に結合させることにより検出可能となる。プローブ及びリガンド
を標識化するのに適するラベル及び方法は、本技術分野では公知であり、例えば
、周知な方法(例えば、ニックトランスレーションやキナージング)、ビオチン
、蛍光基、化学発光基(例えば、ジオキセタン、特にトリガーされるジオキセタ
ン)、酵素、抗体などで導入可能である放射能を有するラベルを含む。
【0043】 プローブとしてママグロビンをコード化するcDNA又はその誘導体を利用し
た際に、高いストリジェンシー条件が用いられ、間違った陽性を防止する。ママ
グロビンから誘導された配列を利用した際に、あまり高くないストリジェンシー
条件が利用された。ハイブリダイゼーションのストリジェンシーは、温度、イオ
ン強度、時間の長さ、ホルムアルデヒドの濃度を含むハイブリダイゼーション中
及び洗浄手順中の多くの因子により決定される。上記因子は、例えば、Sambrook
らの刊行物に概説されている(Milecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d e
d., 1989)。
【0044】 サンプル中でのママグロビンmRNAの検出感度を改善させるために、逆転写
/ポリメリゼーションチェイン反応(RT/PCR)法が利用され、ママグロビン
をコード化するmRNAから転写されたcDNAを増幅させる。RT/PCR法 は本技術分野では周知な方法である(例えば、WatsonとFlemingの上記文献参照 )。
【0045】 RT/PCR法は以下のように実行される。全細胞RNAを、例えば、標準グ アナジウムイソチオシアネート法により分離され、全RNAは逆転写される。逆
転写法には、逆転写酵素と3’末端プライマーを利用して、RNAのテンプレー
トにDNAを合成することが含まれる。典型的には、そのプライマーはオリゴ(
dT)配列を含む。このようにして得られたcDNAは、その後、PCR法とマ
マグロビン特異プライマーとを利用して増幅される(BelyavskyらによるNucl Ac
id Res 17: 2919‐2932, 1989; KrugとBerger, Method in Enzymology, Academi
c Press, NY., Vol. 152, pp. 316‐325, 1987 本願の引用文献に編入される) 。
【0046】 ポリメラーゼチェイン反応法は、増幅されるべきDNAセグメントの二つのフ
ランキング領域に相補的である二つのオリゴヌクレオチドプライマーを利用して
実行される。上流及び下流プライマーは、通常、長さにして20〜30の塩基対
であり、ヌクレオチド配列の複製のフランキング領域とハイブリダイズする。そ
のプライマーは、増幅されるべきcDNAの鎖に実質的に相補的であるように選
択される。したがって、プライマーはテンプレートの正確な配列を反映する必要
は無いが、増幅される鎖と選択的にハイブリダイズするように十分に相補的でな
ければならない。
【0047】 プライマーからの重合は、デオキシヌクレオチド三リン酸又はヌクレオチド類
似体の存在下でのDNAポリメラーゼにより触媒作用が働き、二本鎖DNA分子
が生じる。次いで、二本鎖は物理的、化学的又は触媒を含む変性方法により分離
される。通常、物理的変性方法は核酸を加熱させ、典型的には約80〜105℃
の温度で、1分〜10分の範囲の時間加熱する。その工程は所望のサイクル数繰
り返される。
【0048】 増幅に続いて、PCR生成物は臭化エチジウム染色により検出した(Sambrook
らによる上記文献)。
【0049】 本発明の別の実施態様では、ママグロビンcDNA配列又はその誘導体は、乳
癌患者からの試料におけるママグロビン遺伝子(つまり、遺伝子再配列、遺伝子
増幅、又は遺伝子欠失)の変異の特性を確認するために利用され得る。これによ
り、無傷のmRNAを含有しない患者試料又はサンプルが遺伝子構造における変
化を調べる方法が提供される。
【0050】 上記技術のある応用では、ママグロビンcDNA配列又はその誘導体は、患者
の腫瘍、正常組織又はリンパ球から分離され、一つ以上の制限エンドヌクレアー
ゼで消化された患者のゲノムDNAとハイブリダイズする。本技術分野では周知
であるサザンブロットプロトコルを利用して、このアッセイにより患者又は患者
の乳房腫瘍が、欠失、再配列又は増幅したママグロビン遺伝子を有しているか否
かを測定する。上記変化の検出により、病気の予知と患者の管理に有用な重要情
報を提供する。
【0051】 上記技術の第二の応用では、ママグロビンcDNA配列又はその誘導体を基礎
とする一つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーペアが、ポリメラーゼチェイン
反応にて利用され、患者サンプルからのママグロビン遺伝子のセグメントを増幅
させる。得られたPCR生成物の解析により、ママグロビン遺伝子の特定のセグ
メントは欠失され、又は再配列されているかが判明する。かかる情報は病気の予
知及び患者の管理にとって有用である。
【0052】 乳癌の別の検出方法には、患者から得られたサンプル中でのママグロビンポリ
ペプチドの前駆体及び/又は分泌体の有無を検出することを含む。タンパク質を 検出する技術分野で周知な方法が利用できる。かかる方法には、免疫拡散に限定
されないが、免疫電気泳動、免疫化学的方法、バインダー‐リガンドアッセイ、
免疫組織学的技法、凝集反応及び補体アッセイなど含まれる(例えば、Basic an
d Clinical Immunology, Sites and Terr eds, Appleton&Lange, ノーウォーク 、コネチカット州 pp217‐262, 1991 本願の引用文献に編入される)。好適な
方法としては、バインダー‐リガンドイムノアッセイ法であり、エピトープ又は
ママグロビンのエピトープと抗体を反応させ、標識されたポリペプチド又はその
誘導体を完全に置換する工程を含む。
【0053】 本願で利用するように、用語「ママグロビンポリペプチド」とは、天然のママ
グロビンを意味し、糖鎖形成されていない及び糖鎖形成された前駆体、並びに糖
鎖形成された分泌体、それらの誘導体及びフラグメントとも含む。「天然に」と
は、自然のソース、例えば、正常及び/又は病気の器官から分離されたポリペプ チドを意味し、人間により意図的に変異させたものは含まない。
【0054】 ママグロビンの誘導体は、天然のママグロビンの部分と実質的に同一である少
なくとも10のアミノ酸のセグメントを含むポリペプチドのことをいう。実質的
に同一であるセグメントは、少なくとも約20のアミノ酸であることが好ましく
、より好ましくは少なくとも約50のアミノ酸であり、更に好ましくは少なくと
も約75のアミノ酸である。二つのポリペプチドは、BLASTのようなシーケ
ンスアライメントプログラムにより最適アライメントされた際に、実質的に同一
であり、少なくとも80%の配列同一性を、好ましくは95%の配列同一性を、
より好ましくは99%の配列同一性を有する。同じでない残基の位置は保存的ア
ミノ酸置換により異なる。
【0055】 保存的アミノ酸置換とは、類似の側鎖を有する残基の相互交換のことをいう。
例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸のグループには、グリシン、アラニン、バ
リン、ロイシン及びイソロイシンがあり、脂肪族水酸基側鎖を有するアミノ酸の
グループにはセリン及びスレオニンがあり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の
グループには、アスパラギン及びグルタミンがあり、芳香族側鎖を有するアミノ
酸のグループには、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンがあり、塩
基性側鎖を有するアミノ酸のグループには、リシン、アルギニン及びヒスチジン
があり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸のグループには、システイン及びメチオ
ニンがある。好適な保存的アミノ酸置換グループは、バリン‐ロイシン‐イソロ
イシン、フェニルアラニン‐チロシン、リシン‐アルギニン、アラニン‐バリン
及びアスパラギン‐グルタミンである。
【0056】 ママグロビンポリペプチド誘導体は、アンチママグロビン抗体、モノクローナ
ル又はポリクローナルと交差反応することが好ましく、そのモノクローナル又は
ポリクローナルは天然のママグロビン又はそのフラグメントに特異的である。
【0057】 本願で利用する用語「フラグメント」及び「ペプチド」とは、全長ママグロビ
ンcDNA(例えば、配列番号(SEQ ID NO):1)又はその誘導体からの結 論として導き出されたアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有するママグロビンポ
リペプチドのことをいうが、アミノ末端及び/又はカルボキシル末端の欠失があ る。典型的には、ママグロビンフラグメント又はペプチドは、少なくとも3つの
アミノ酸の長さである。好ましくは、ママグロビンフラグメント又はペプチドは
、長さで少なくとも6つのアミノ酸残基であり、より好ましくは長さで約12の
アミノ酸残基であり、更に好ましくは長さで約25のアミノ酸残基であり、最も
好ましくは50以上のアミノ酸残基である。
【0058】 多くの競合及び非競合タンパク質結合イムノアッセイは、本技術分野では周知
である。かかるアッセイに利用される抗体は、標識化されていないものは、例え
ば、凝集テストに利用され、標識化されているものは幅広く多くのアッセイ法に
利用される。利用されるラベルには、放射性核種、酵素、蛍光体、化学発光体、
酵素基質又は補助因子、酵素阻害剤、粒子、色素などがあり、ラジオイムノアッ
セイ(RIA)、酵素イムノアッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(EL
ISA)、蛍光イムノアッセイなどに利用される。
【0059】 B細胞エピトープを含むママグロビンポリペプチドのポリクローナル又はモノ
クローナル抗体は、本技術分野では周知な多くの方法によりイムノアッセイに利
用できるように作られる。本願で利用するように、「B細胞エピトープ」とは、
ママグロビンポリペプチドの抗原決定因子のことをいう。B細胞エピトープは、
そのエピトープに独特である空間的コンフォメーションにて3つのアミノ酸を含
む。一般には、B細胞エピトープは少なくとも5つのアミノ酸から構成される。
アミノ酸の空間的コンフォメーションを決定する方法には、本技術分野では周知
であり、例えば、X線結晶学と2次元核磁気共鳴がある。
【0060】 タンパク質への抗体を調製する一つのアプローチは、タンパク質の全て又は部
分のアミノ酸配列の選択と調製であり、配列を化学的に合成して適当な動物、通
常、ラビットやマウスへ注入する。
【0061】 化学合成に限定されないが、ママグロビンポリペプチドの調整方法には、組換
えDNA法や生物学的サンプルからの分離がある。エピトープを含むペプチドの
化学合成は、例えば、固相ペプチド合成の古典的メリフィールド法(Merrifeld,
J. Am. Chem. Soc 85: 2149, 1963 本願の引用文献に編入される)又はラピッ ドオートメーティドマルチプルペプチド合成システム(Dupont Company, Wilmin
gton, デラウエア)により実行することができる(CaprinoとHan, J. Org. Chem
37: 3404, 1972 本願の引用文献に編入される)。
【0062】 ポリクローナル抗体は、抗原をしつかリンパ節に注入し、続いて2週間間隔で
抗原の腹腔内注射を行いブーストさせて、ラビットを免疫処置させることにより
調製させることができる。その動物は出血し、血清を通常ELISAにより、精
製されたママグロビンタンパク質に対してアッセイした。
【0063】 モノクローナル抗体は、骨髄腫又はリンパ腫細胞のような腫瘍細胞を連続的に
複製する免疫処理されたマウスからのスプレノサイト(splenocyte)を融合させ
ることによりミルステインとコーラー(Milstein and Kohler)の方法後に調製 された(MilsteinとKohler Nature 256: 495‐497; GulfreとMilstein, Method i
n Enzymology: Immunochemical Techniques 73: 1‐46, LangoneとBanatis eds,
Academic Press, 1981 本願の引用文献に編入される)。そのように形成された ハイブリドーマ細胞は制限希釈法によりクローン化され、その上澄液はELIS
A又はRIAによる抗体生産で検定された。
【0064】 ママグロビンのこのようにして調製したポリクローナル又はモノクローナル抗
体は、ママグロビンを発現する細胞からのママグロビンの前駆体及び分泌体を分
離、精製させるために利用できる。例えば、以下に示すように、ママグロビンc
DNAから予想された16のC末端アミノ酸(GLU‐Val‐Phe‐Met‐Gln‐Leu‐
Ile−Tyr‐Asp‐Ser‐Ser‐Leu‐Cys‐Asp‐Leu‐Phe,配列番号(SEQ ID NO ):14))に対して生じたポリクローナル抗体は、ママグロビンの前駆体及び
分泌体に結合するだけでなく、インビトロ翻訳システムで合成されたママグロビ
ンにも結合する。アンチ‐ママグロビン抗体を利用するママグロビンの分離は、
アフィニティクロマトグラフィのような、本技術分野では周知な方法を利用して
実行された。
【0065】 腫瘍細胞により発現されるターゲット抗原を認識し、特別に結合する抗体の独
特な能力により、癌の処置のアプローチが提供される(概観のためには、LoBugl
ioとSaleh, Am J Med Sci 304: 214‐224, 1992; Bagshawe, Adv Pharmacol 24: 99 ‐121, 1993を参照。本願の引用文献に編入される)。したがって、本発明 の別の実施態様では、乳癌細胞により過剰発現されたと発見された、ママグロビ
ンへの抗体の使用を基礎とする動物での乳癌の始まりの防止とその処置の方法を
提供する。
【0066】 ポリクローナル又はモノクローナルに何れでも、特定抗体は本技術分野では公
知な方法により生産される。例えば、マウス又はヒトモノクローナル抗体はハイ
ブリドーマ技術により生産できる。あるいは、ママグロビン、又は免疫的に活性
な誘導体若しくはそのフラグメント、或いは坑イディオ抗体又はそのフラグメン
トを動物に投与して、ママグロビン発現細胞が認識可能な抗体のB細胞生産を導
き出す。
【0067】 このように生産された抗体又はそのフラグメントは、放射性核種、毒素又は細
胞毒性薬のような一つ以上の腫瘍崩壊物質で標識され、乳癌の疑いがある患者に
投与される。乳癌細胞により過剰発現されたママグロビンへの標識化された抗体
の結合により、癌細胞の死が引き起こされるであろう。
【0068】 本技術分野で公知である任意の多種多様な腫瘍崩壊物質は、標識化された抗体
を生産するのに利用される。例えば、免疫毒素は抗体へ植物及びバクテリア毒素
を結合させることにより作出される。かかる毒素には、例えば、リシン、ジフテ
リア毒素、プセウドモナスエキソトキシンA(Pseudomonas exotoxin A)などが
ある。薬‐抗体複合体は、化学療法剤が抗体に結合する際に作られる。かかる使
用に適する化学療法剤には、例えば、トモキシフェン(tomoxifen)、ドキソル ビシン(doxorubicin)、メトトレキセート、クロラムブシル(chlorambucil)、 ビンカアルカロイド(Vinca alkaloid)及びミトマイシン(mitomycin)がある 。加えて、ラジオイムノ複合体は、放射核種が抗体と安定して結合する際に作ら
れる。ラジオイムノ複合体を作るのに適する放射核種には、例えば、131I、 188 Re、186Re、67Cu、90Y及び47Scのようなβ‐エミッタ
や、211At、212Bi及び212Pbのようなα‐エミッタ、125I及
77Brのようなオージェ電子エッミタや、10Bのような核分裂可能な核種
がある。
【0069】 乳房腫瘍のかなりの割合はママグロビンタンパク質を発現するという発見は、
本発明の別の実施例の基礎となっていおり、ママグロビン抗原のあるママグロビ
ン特異B及び/又はT細胞リンパ球(TC)の活性化を含んでいる。したがって、 本発明はママグロビンB細胞抗原とTC細胞抗原を提供し、ワクチンは、ママグロ
ビン発現腫瘍に対する抗原及び/又は細胞媒介免疫応答を誘発する、少なくとも 一つのB細胞ママグロビン抗原及び/又は少なくとも一つのTCママグロビン抗原
を含み、ママグロビン発現腫瘍で乳癌患者を処置する方法を提供する。本発明に
よる一つの方法には、活性化させたママグロビン特異リンパ球を患者に投与する
ことを含む。別の方法は、ママグロビン特異ワクチンを患者に投与することを含
む。
【0070】 本願で利用するように、「ママグロビン抗原」とは天然のママグロビンポリペ
プチド、その誘導体とフラグメントを含み、ママグロビン特異B細胞又はT
胞により認識されたB細胞又はT細胞エピトープを含む。
【0071】 ママグロビンB細胞抗原は、ママグロビン特異B細胞エピトープと、T細胞
エピトープとを含む。用語「B細胞エピトープ」とは、抗原、ハプテン、エピウ
トープ又は抗原決定因子のことをいい、その決定因子はB細胞のアンチママグロ
ビン免疫グロブリンレセプタにより認識され、動物に投与した際にT細胞から
適当な手助けのある抗体の生産を導き出すことが可能である。B細胞エピトープ
は、少なくとも4つのアミノ酸のアミノ酸配列を含む。好ましくは、B細胞エピ
トープは、長さで少なくとも6つと25のアミノ酸の間であり、より好ましくは
、長さで約15と22のアミノ酸の間である。B細胞エピトープを構成するアミ
ノ酸配列は天然に存在するママグロビンのフラグメントの連続するアミノ酸配列
と同じ、若しくは実質的に同じである。あるいは、B細胞エピトープを構成する
アミノ酸配列は、ママグロビンの集合した局所決定因子を表わす不連続なアミノ
酸配列と同じ、若しくは実質的に同じである。
【0072】 用語「T細胞エピトープ」とは、MHCクラスII分子との集合によるTヘプ
パー細胞により認識された何れかの抗原決定因子のことをいう。Tヘルパー細胞
の活性化には、高い親和性のIgG分泌細胞へママグロビン特異B細胞を休止させ るという分化を誘発する、つまり二次的抗体応答を誘発する。T細胞ヘルパーに
よりB細胞を生産する特定後退の高いタイターが生じるように、B及びTH細胞 を含む免疫原生ペプチドの調製及び使用は、本技術分野では公知である。例えば
、Cheronisらによる米国特許第5,573,916号や、DentonらによるCancer
Letters 70: 143‐150 (1993), Borras‐CuestaらによるEur. J. Immunol. 17,
1213‐1215 (1987), GoodらによるScience 235: 1059‐1062 (1987) があり、
各文献は本願の引用文献に編入される。TH細胞エピトープはママグロビン又は 異種タンパク質からのアミノ酸配列を含む。例えば、Dentonらは、ムチンへ抗体
応答を導入することを開示しており、そのムチンは分泌上皮で発現され、公知な
ヘルパーT細胞の決定因子であるインフルエンザ赤血球凝集A/X‐31の配列1 11−120に結合するムチンMUC−1のコアからのB細胞決定因子を含む合成 ペプチドで免疫処理されたマウスで乳房及び他のカルチノーマと関連した複雑な
糖鎖形成である。TH細胞エピトープは約6から約20のアミノ酸残基のアミノ 酸配列を、好ましくは約8つの残機と18残基との間、更に好ましくは9の残基
と15の残基との間のアミノ酸配列を含むことが好ましい。
【0073】 ママグロビンT細胞抗原は、T細胞エピトープとMHCクラスIアグレト
ープとを含む。用語「T細胞エピトープ」とは、任意の抗原、エピトープ、又
は抗原提示細胞の表面のMHCクラスI分子により提供された際にママグロビン
特異T細胞により認識される抗原決定因子をいう。用語「MHCクラスIアグ
レトープ」とは、MHCクラスIにより認識されるアミノ酸配列のことをいい、
抗原提示細胞(APC)のMHCクラスI分子によりママグロビン特異T細胞
にママグロビン抗原が提示され得る。T細胞エピトープ及びMHCクラスI分
子は、天然のママグロビンのフラグメントのアミノ酸配列と同一又は実質的に同
一である約6から約11の間のアミノ酸配列内に含まれる。好ましくは配列は、
長さで8若しくは9のアミノ酸である。
【0074】 タンパク質抗原のT細胞エピトープを確認する方法は、本技術分野では公知
である。例えば、合成ペプチドスパニング分泌ママグロビンが重なるのに応答す
る分離ママグロビン特異B細胞又はママグロビン特異T細胞の能力は、標準的
な免疫生物学的技法を利用して決定できる。抗原として確認されたペプチドは、
その能力を一度に最適化させるように、変質させた一つの又は数アミノ酸であり
、ママグロビン特異B又はT細胞を刺激する。
【0075】 B細胞エピトープは、例えば、ケンブリッジリサーチバイオケミカルスのC末
端に結合したランダムペプチドをポリエチレンマルチピンサポートへスクリーニ
ングすることを含む市販のエピトープマッピングキットを利用してマップ化され
る。
【0076】 あるいは、予測されたママグロビンアミノ酸配列は、MHCクラスI若しくは
MHCクラスII分子の公知の結合モチーフに一致する配列に対して研究される。
本願の引用文献に編入されるHillらによるNature 360:434 (1992), Pamerらによ
るNature 360:852 (1992)とHammerらによるJ. Exp. Med. 176: 1007 (1992)と、
FalkらによるNature 351: 290‐296 (1991)を参照。例えば、乳癌特異CTLにより
認識可能な抗原ペプチドは、本願の引用文献に編入されるPeoplesらによるProc.
Natl. Acad. Sci. 92:432‐436 (1995)により説明された、HLA‐A2結合ペプチ
ドのママグロビンアミノ酸配列を調査することにより確認される。抗原提示分子
としてのHLA‐A2の選択は、患者がHLA‐A2を発現させる場合には適している(約
50%の白人はHLA‐A2を発現する)。予想されたHLA‐A2結合ペプチドは合成さ
れ、T2細胞系統である抗原提示での欠陥を含むヒトT細胞/B細胞融合生成物に
その合成ペプチドを負荷させて(loaded)抗原性をテストし、T2細胞の表面の
HLA‐A2分子は外因性HLA−A2結合ペプチドにより効果的に負荷される(本願の引
用文献に編入されるHendersonらによるScience 255: 1264‐1266 (1992))。標 準的な細胞毒性アッセイが実行され、ママグロビン発現乳腫瘍から分離された腫
瘍浸潤リンパ球(TIL)から誘導された乳房特異CTLでペプチド負荷(peptide‐lo
aded)T2細胞をインキュベートすることを含む。本願の引用文献に編入されるP
eoplesらの432‐433頁とTosoらによるCancer Research 56: 16‐20 (1996)を参 照。
【0077】 更に、T細胞エピトープを含有する抗原ママグロビンペプチドは、腫瘍細胞
表面のHLAクラスI分子により提示された酸溶出外因性ペプチドにより確認さ
れる(Peoplesらによる上記文献の433頁を参照)。溶出ペプチドは、HPLC分
画を含む本技術分野では公知の多くの技法により分離される。さまざまなペプチ
ド分画はT2細胞に負荷され、その負荷T2細胞は乳癌特異CTLでインキュベ
ートされ、標準免疫生物学的技法を利用して、CTLによりペプチドが認識決定
される。
【0078】 本発明によるママグロビン抗原の一回の使用は、養子免疫療法にて行われる。
この療法には、インビトロ活性化と、ママグロビン発現腫瘍のある患者から分離
されたアンチママグロビン抗体生成B細胞及び/又はママグロビン特異細胞毒性 Tリンパ球(CTL)のママグロビン抗原による拡大を含む。更に、その方法は
、ママグロビンB細胞及びT細胞抗原の双方を含む成分で実行される。その後
、活性化されたリンパ球は養子療法の患者に戻される。
【0079】 本発明によるママグロビン抗原は、ママグロビン特異ワクチンの成分としても
有用である。そのワクチンはママグロビン抗原の免疫原性刺激量を含む。本願で
利用するように、免疫刺激量とは、乳癌の改善若しくは処置のため、レシピエン
トでの所望免疫応答を刺激することが可能である抗原の量のことをいう。上記量
は、過度の実験をすることなしに、本技術分野の通常の知識を有する者によって
は周知である標準的手順により、実験的に求めることができる。
【0080】 抗原は多くのワクチン配合の何れかで提供され、その配合により所望タイプの
免疫応答を誘発するように設計されており、例えば、抗体及び/又は細胞を媒介 とする免疫応答である。かかる配合は本技術分野では公知であり、例えば、本願
の引用文献に編入されるA. LanzavecchiaのScience 260: 937‐944 (1993)やRay
chandhuriへの米国特許第5,585,103号を参照すること。免疫応答を刺 激するために利用されるワクチンの配合の例には、アルミニウム塩のような薬剤
学的に許容なアジュバント、スクアレンのエマルジョン、スクアレン及びムラミ
ルジペプチド、リポソーム、安定化洗剤とミセル形成剤と生分解性及び生物適合
性オイルとを含む成分を包含する(Raychandhuriの上記文献)。
【0081】 ママグロビン特異ワクチンは、ママグロビン抗原で負荷させたキャリア細胞を
も含む。好ましくは、そのキャリア細胞は、マクロファージ、樹状細胞又は活性
B若しくはTリンパ球のようなオートロガスプロフェッショナル抗原提示細胞(
APC)から調製される。例えば、Lanzavecchiaの上記文献の937頁を参照。プ ロフェッショナルAPCは、T細胞のCD28若しくはCTLA4に結合するリ
ガンドを発現し、T細胞アメルギー又は不活性化を防止するシグナル2として公
知である抗原‐非特異共同刺激因子シグナルを伝達する。よって、ワクチンはイ
ンターロイキン‐2若しくはアネルギー誘導を打ち消す別の共同刺激因子シグナ
ルをも含む(Lanzavecchiaの上記文献の938頁)。
【0082】 ママグロビン特異ワクチンの別の配合は、発現のためのママグロビン抗原をコ
ード化するヌクレオチド配列を含む組換えベクターを含む。細胞毒性Tリンパ球
を刺激するための病原菌の使用は本技術分野では公知である(Raychandhuriの上
記文献を参照)。キメラベクターはワクチニア、ポリオ、アデノ及びレトロウイ
ルスだけでなく、リステリアやBCGのようなバクテリアを利用して説明される
。例えば、カナリア痘ウイルスベクターであるALVACは、コード化された異
種遺伝子に対して強い細胞免疫応答を導き出すことが分かっている(本願の引用
文献に編入されるTaylorらによるVirology 187: 321‐328 (1991))。加えて、 MAGE‐1遺伝子によりコード化されたMZ2‐Eヒトメラノーマ拒絶抗原を
発現する組換えALVACは、MAGE‐1mRNAを発現する乳癌から誘導さ
れたTIL集団でのインビトロMAGE‐1CTL活性を刺激することができる
(Tosoらによる上記文献)。Weinerらへの米国特許第5593972号(本願の
引用文献に編入される)にて説明された別のアプローチでは、目標とすべき免疫
原性タンパク質の抗原をコード化する組換え発現ベクターは、細胞へのDNAの
摂取を容易にする薬剤とともに、例えば、筋肉細胞のようなインビトロ、又は個
々の半ビボ細胞の何れかで、個体へ直接投与される。
【0083】 当業者によっては、所望の免疫応答を達成させるのに適するワクチンをどのよ
うに配合させるかを求めることは容易である。例えば、アンチママグロビン抗体
のインビトロ生産を誘発させるためには、ママグロビン特異ワクチンはB細胞エ
ピトープとT細胞エピトープとを含有する少なくとも一つのママグロビンB細
胞抗原を含む。そのT細胞エピトープは、目的ワクチンレシピエントの適当な
MHCクラスIIハプロタイプと適合していことが好ましい。あるいは、T細胞
エピトープが利用され、破傷風トキソイドからの「ユニバーサル」T細胞エピト
ープのようなHLAタイプと関係のないヒトにより普遍的に認識されることが公
知である(本願の引用文献に編入されるPanina‐BordignonらによるEur. J. Imm
unol 19: 2237 (1989))。好ましくは、そのワクチンは、さまざまなHLAタイ
プのMHCクラスIIにより認識されたTHエピトープのある複数のママグロビン B細胞抗原を含む。
【0084】 ママグロビン特異ワクチンの別の実施態様には、細胞媒介応答を誘発し、ママ
グロビン特異T細胞を活性化させることが可能である少なくとも一つのママグ
ロビンT抗原を含む。好ましくは、そのワクチンは数多のT細胞抗原を含む
【0085】 ママグロビン特異ワクチンは抗体及び細胞媒介応答の双方を誘発させるように
、配合させることも可能である。この実施態様では、ママグロビンB細胞及びT 細胞抗原の双方が含まれる。
【0086】 ママグロビン発現腫瘍のある患者は、本発明によるママグロビン特異ワクチン
の免疫刺激性のある量を、患者に投与することにより処置される。そのワクチン
の投与は公知若しくは標準的な技法により行われる。上記には、以下に限定され
ないが、静脈注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射若しくは乳内注射を含む
【0087】 本発明の好適な実施態様は、以下の実施例にて説明される。本願の特許請求の
範囲内の別の実施態様は、本願で開示する本発明の明細書又はその実施を考慮す
れば、当業者には明白であろう。実施例とともに、以下の例に従う特許請求の範
囲により限定される本発明の範囲とその精神内で、本明細書では模範的であると
考えるものを示す。
【0088】 後述の実施例では、細胞系統はアメリカンタイプカルチャーコレクションから
入手し、10%のウシ胎児血清で補給させたDulbeccoの最小エッセンシャル培地
にて成長させた。生体組織試料はヒューマンコーオペレイティブティシューネッ
トワークから入手した(本願の引用文献に編入されるLiVolsiらによるCancer 71
: 1391‐1394, 1993)。
【0089】 実施例1 本例では、ママグロビンcDNAの分離を説明する。
【0090】 細胞系統MDA‐MB415からの全細胞のRNAは、標準グアニジニウムイ
ソチオシアネート法を利用して分離した(Belyavskyらによる上記文献)。この RNAはアンプリファインダーキット(Amplifinder kit, クロンテック社)を 利用したRACE PCR手順にて利用され、以下の製造者プロトコルを利用し
た。
【0091】 第一の鎖のcDNAの合成は、1μgのRNA、10μMの特異ママグロビン
プライマーD2R(5’‐ATAAGAAAGAGAAGGTGTGG‐3’)
(配列番号(SEQ ID NO):4)、4μlの5XRT緩衝液(250mMのTri
sCL pH 8.3, 375mMのKcL, 15mMのMgCl2)、2μlの100mMのDTT、1μlの1 0mMのdNTPと、反応体積20μlでの200ユニットのスーパスクリプト(登録商
標)リバーストランスクリプターゼ(Gibco/BRL)とを含む標準反応にて実行し た。その反応は45℃で1時間進行し、95℃で5分間インキュベートさせるこ
とにより停止させた。RNAは65℃で30分間400μMの水酸化ナトリウムに て加水分解させ、400μMの酢酸にて中和させた。
【0092】 その後、反応混合液を6MNaIの3体積と10μlの処理済ガラスビーズに添 加した。ビーズを80%のエタノールで3回洗浄し、核酸を45μlの水中でビ
ーズから溶出させた。それから核酸を沈殿させて、10μlの水に再懸濁させた
。精製させた第一の鎖のcDNAを、27℃20時間で、T4RNAリガーゼを利 用して、製造者から提供されたアンカーオリゴヌクレオチド(配列番号(SEQ I
D NO):9、5’‐CACGAATTCACTATCGATTCTGGAAC CTTCAGAGG‐3’)へライゲート(ligate)させた。連結反応の10分
の1は、1μMの製造者アンカープライマー(配列番号(SEQ ID NO):10 、5’‐CTGGTTCGGCCCACCTCTGAAGGTTCCAGAAT
CGATAG‐3’)、1μMのママグロビン特異プライマーD2Rb(配列番
号SEQ ID NO):11、5’‐AATCCGTAGTTGGTTTCTCAC C‐3’)、200μlのdNTP、5ユニットのヴェント(登録商標)DNAポリメ
ラーゼと1Xポリメラーゼ緩衝液(10mMのKcl、20mMのTrisCl、10mMの(NH SO、2mMのMgSO、0.1%のTrionX−100)とを含む50μlの反応
液でPCR増幅に利用した。その反応液を94℃で2分間、次いで94℃で45
秒間、50℃で1分間、更に72℃で90秒間でインキュベートし、全体で40
回繰り返した。
【0093】 二つの下流ママグロビン特異ネストオリゴヌクレオチドは、D2R(配列番号
(SEQ ID NO):4)とD2Rb(配列番号(SEQ ID NO):11)であった
。上流のママグロビン特異コントロールオリゴヌクレオチドは、製造者推薦によ
り利用され、D2F(5’‐CTTTCTGCAAGACCTTTGGC‐3’
、配列番号(SEQ ID NO):12)であった。全てのPCR増幅はヴェントD NAポリメラーゼ(ニューイングランドのバイオラブ)で実行された。増幅RA
CE生産物はEcoRIで消化され、プラスミドベクターpGEM7Z(プロメ
ガ、マディソン、ワイオミング州)のEcoRIとSmaI部位にライゲートさ
れた。
【0094】 全ての配列決定は、製造者プロトコル(プロメガ)によるTaqDNAポリメラ ーゼサーマルサイクルシークエンシングキットを利用して実行された。簡単に、
その手順を以下に示す。
【0095】 配列特定オリゴヌクレオチドの10pmolは、10μl反応液のT4ポリヌクレ
オチドキナーゼを利用して、37℃で30分間、10pmolの32P−γATP(
3,000Ci/mmolと10mCi/ml)で末端標識化された。100ngのプラスミド
テンプレート、1.5pmolの標識化されたシークエンシングプライマーと、
5ユニットのシークエンシンググレードTaqポリメラーゼを含む重合反応液を
、17μlの製造者提供のシークエンシング緩衝液に生じさせた。この反応液を
、製造者提供のデオキシヌクレオチドと、ジデオキシA、C、G又はTの何れか
との混合物を含む一組の4つの反応管に分けた。一組の4つの管を95℃で2分
間インキュベートし、次いで、95℃で45秒間、45℃で30秒間、72℃で
1分間インキュベートし、30回繰り返した。反応を終了させた後、3μlの8
0%のホルムアミド/ブロモフェノールブルー色素を各管に添加した。サンプル を70℃で2分間加熱し、6%のアクリルアミド/7.5M尿素シークエンシン グゲルに添加し、2〜4時間、60Wの一定電力で実験を行った。そのゲルを乾
燥させ、2〜24時間コダックXAR5X線フィルムに晒した。
【0096】 このようにして得られた配列は、図2で実線で示す403bpフラグメント(
配列番号(SEQ ID NO):5)であった。初期の研究では、DEST002T ag配列が分離された(WatsonとFlemingの上記文献)。この配列は、図2のオ ープンバーで示す206bpフラグメント(配列番号(SEQ ID NO):6)で あった。上記二つの配列からの情報を組合わせることにより、ママグロビンの全
長503bpのcDNAを導き出すことが可能となった(図2)。
【0097】 実施例2 本例では、ママグロビン発現は乳腺腫瘍細胞と、比較的少ないが正常乳腺細胞
に制限されていることを示す。
【0098】 全細胞RNAサンプルは、標準的グアニジウムイソチオシアネート法を利用し
て分離され、RNaseフリーのDNase(プロメガ社)で処理された。RT
/PCR分析では、1μgの指定した全RNAは、オリゴdT21(配列番号(S
EQ ID NO):13)と製造者プロトコルによるスーパスクリプトIIリバースト
ランスクリプターゼ(Gibco/BRL)で逆転写された。
【0099】 200ngのオリゴdT21(配列番号(SEQ ID NO):13)と1μgの全R NAを10μlの体積中で、65℃5分間インキュベートさせた。サンプルを氷
上で冷却し、4μlの5XRT緩衝液(250mMのTrisCl pH8.3、3.75mMのKc l、15mMのMgCl)と、2μlの100mM DTT、1μlの10mMdNTPと200ユニ
ットのスーパスクリプト(登録商標)IIリバーストランスクリプターゼ(Gibco/
BRL)に添加した。その反応を45℃で1時間進行させて、95℃で5分間イン キュベートさせて停止させた。
【0100】 各RT反応の10分の1を、ママグロビン特異プライマーD2R(5’‐AT
AAGAAAGAGAAGGTGTGG‐3’)(配列番号(SEQ ID NO): 4)とd2102(5’‐CAGCGGCTTCCTTGATCCTTG‐3’
)(配列番号(SEQ ID NO):3)と、94℃で30秒間、55℃で1分間、 72℃で1分間の40サイクルで、PCR分析を行った。
【0101】 ノーザン分析では、20μgの全RNAを前述したように(WatsonとFleming の上記文献)、全長ママグロビンcDNAプローブを利用して分析した。各RN
Aサンプルの完全性と同等な負荷は、臭化エチジウム染色により評価した。
【0102】 図4Aに示すように、500bpのママグロビンメッセージは、腫瘍試料24
10(分離されたオリジナルDESTからの組織)で容易に検出され、わずかで
はあるが正常なヒト乳房組織でも検出されたが、不変(immortalized)乳房上皮
細胞系統B5‐589、つまり、ヒトの肺、胎盤、子宮及び卵巣では検出されな
かった(図4A)。RT/PCR分析を利用した増幅に続いて、ママグロビン発 現は、調査した15の組織では依然として検出されなかった(図4B)。上記反
応でのグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)メッセー
ジ(図4B)とEGFレセプタメッセージ(図示せず)の検出により、発現がな
いことは分解RNA又は他のありふれた説明のせいではないことを証明した。よ
って、ママグロビンmRNAの発現は乳房組織に相対的に特異である。
【0103】 実施例3 本例では、ママグロビンcDNAは、適当に予想された分子質量のタンパク質
生成物が結果生じる翻訳可能なヌクレオチド配列をコード化することを示す。イ
ンビトロ翻訳は、製造者プロトコルによるT7RNAポリメラーゼ(プロメガ社
)と35S−メチオニン(>1000Ci/mmol;10mCi/ml,Amersh
am)で、TNT(登録商標)ラビット網状赤血球翻訳キットを利用して実行した
【0104】 2μlの製造者調製済反応緩衝液、T7 RNAポリメラーゼ、メチオニンの
ない20μMのアミノ酸混合物、40μCi35S‐メチオニン(1000Ci
/mmol;10mCi/ml)、40ユニットのリボヌクレアーゼ阻害剤、1μ
gのママグロビン/pGEM7プラスミドと十分にDEPC処理した水に、25 μlのTNT(登録商標)ラビット網状赤血球溶解産物を添加し、体積50μl
の最終反応液を得た。この反応液を30℃で60分間インキュベートさせた。5
μlの上記反応液を取除き、20μlのSDSゲル緩衝液に移し、2分間煮沸し
、17.5%のSDS‐ポリアクリルアミドゲルに添加した。
【0105】 ママグロビンcDNAでプログラム処理されたラビット網状赤血球溶解産物か
らは、6kDのタンパク質が生じ、cDNAでプログラム処理しなかったものか
らは何のタンパク質生成物も生じなかった。
【0106】 実施例4 本例では、一次乳癌でのママグロビンの過剰発現の普及率を示す。
【0107】 乳癌でのママグロビンの過剰発現の頻度を測定するために、我々はさまざまな
組織タイプの15のステージIの一次乳癌のパネルを、ママグロビンcDNAプ
ローブによるノーザンブロットハイブリダイゼーションを利用して調査した。患
者に一致した正常乳房組織サンプルを二人の患者からの組織とで比較した(図6
)。500bpのママグロビンmRNAが正常乳房組織と、3つの他の腫瘍にて
検出され、3つのうちの2つは患者に一致した正常組織では殆ど又は全く発現し
なかった(BO15v、BO16;BO22V.BO23)(図6)。全体にお いて、調べた腫瘍の15のうちの4つは、ママグロビンmRNAを過剰発現させ
た。
【0108】 上記データから、ママグロビンの過剰発現は単一の腫瘍試料に特有のものでは
なく、実際には、一次乳癌の中で相対的に頻繁に起こっていることを示している
。更に、調べた全ての腫瘍はステージIであったという事実は、調整障害が乳房
新生物の進行中の比較的早期に起こっていることを示唆している。
【0109】 実施例5 以下の例では、アンチ‐ママグロビンポリクローナル抗体を利用したママグロ
ビンタンパク質の検出を説明する。
【0110】 アンチ‐ママグロビンポリクローナル抗体は、ママグロビンcDNA(Glu‐V
al‐Phe‐Met‐Gln‐Leu‐Ile‐Tyr‐Asp‐Ser‐Ser‐Leu‐Cys‐Asp‐Leu‐Phe
、配列番号(SEQ ID NO):14)から予想された16のC末端アミノ酸に相 当するペプチドをキーホールリンフェトヘモシアニン(Keyhole Lymphet Hemocy
anin)と結合させ、フロイトアジュバントでラビットへ注入することにより調整
させた。接種ラビットは3週間間隔でブーストされ(boosted)、12週間目に 、そのラビットは出血し、その血清の能力を検定して、乳癌細胞系統MDA‐M
B‐415及びMCF‐7の培養からの血清のない調製済培地でのママグロビン
を検出した。MDA‐MB‐415はママグロビンメッセージを過剰発現する細
胞系統として早期に確認され、MCF‐7は検出可能なママグロビンmRNAを
全く生じさせない細胞系統であると確認された。
【0111】 調製済培地は24時間調製した培養から収穫され、還元条件(reducing condi
tion)下で12%のSDSアクリルアミドで分解させ、(つまり、ジチオスレイ
トール(DTT)と2‐メルカプトエタノール(BME)とを含有する緩衝液中
でサンプルを煮沸させジスルフィド結合を還元させた)、ナイトラン(Nytran)
フィルタでブロットし、本アッセイの一次抗体としてC末端ペプチドへの前述の
抗体を利用して、標準ウエスタンブロットプロトコルにより分析した。一次抗体
の結合の後、ブロットを洗浄し、二次抗体(ヤギアンチラビット)を添加した。
ママグロビン‐抗体複合体は酵素結合化学発光により可視化させた(ECLウエ
スタンブロッティング検出薬、Amersham、アーリントンハイツ、イリノイ州)。
【0112】 アンチ‐ママグロビンポリクローナル抗体により、MDA‐MB‐415細胞
系統の調製済培地において、見かけ上約21kDの分子量のバンドを検出した(
データを図示せず)。MCF−7細胞培養の調製済培地にてバンドは全く検出さ
れなかった(データを図示せず)。よって、mRNAデータと一致して、MDA
‐MB‐415細胞はママグロビンタンパク質を分泌するが、MCF‐7細胞で
はそのタンパク質を分泌しない。
【0113】 MDA‐MB‐415培養培地へ分泌するママグロビンの見かけ上の分子量は
、配列番号(SEQ ID NO):2の予想されたアミノ酸配列から計算された10 .5kDa分子量以上であった。ほとんど全ての分泌タンパク質は糖鎖形成され
ているので、MDA‐MB‐415細胞のシトゾルはアンチ‐ママグロビンポリ
クローナル抗体で分析され、分泌ママグロビンの前駆体が検出されたか否かを確
かめる。
【0114】 MDA‐MG‐415細胞は血清のない培地で24時間成長させ、その培養培
地を集め、回転させ、得られた上澄液を集めた。付着細胞をホスフェート緩衝生
理食塩水(PB)で洗浄し、1Xラエムリ(Laemmli)サンプル緩衝液(2%の SDS、10%のグリセロール、100mMのDDT、60mMのTris、pH6.8、0.001%
のブロモフェノールブルー)で溶解させた。その溶解混合液を5分間煮沸させ、
10,000gで5分間回転させて細胞片を小さくまとめた。その細胞溶解物を 新しい管に移動させ、後述するウエスタンブロット分析に利用した。
【0115】 培養上澄液と細胞溶解物とを、還元条件下(つまりDTTとBMEとを含有す
る緩衝液でサンプルを煮沸させる)で12%のSDSポリアクリルアミドゲルで
展開させ、標準的な技法を利用して、PVDF膜にブロットさせた。そのブロッ
トを、抗体を生じさせるのに利用された競合ペプチドの存在下及び不存在下で、
C末端ペプチドへのポリクローナル抗体で調べた。
【0116】 ママグロビン‐抗体複合体の可視化は、前述した通りである。図7から分かる
ように競合ペプチド(‐)が存在しないと、調製済培地(S)は分泌ママグロビ
ンタンパク質を表わす21kDのバンドを示す。細胞溶解物(C)は約14kD
に顕著なバンドを示し、約21kDのバンドを含む数多の高い分子量のバンドを
も示した。ウエスタンブロットを競合ペプチド(+)存在下で実行すると、ママ
グロビンの分泌形と細胞内形は可視化されず、上記タンパク質は合成された抗体
のペプチドを包含することを示している。
【0117】 細胞溶解物のみにて検出された14kDはママグロビンの前駆体又は未処理形
を表わしているのであろう。ママグロビンの予想されたアミノ酸配列は、配列番
号(SEQ ID NO):2の残基53−55と残基68−70に位置するコンセン サスN糖鎖形成部位であるAsn‐X‐Thrを有し、観察された分泌21kD形はその
タンパク質の幾多の糖鎖形成形態を表わしているであろう。
【0118】 この仮定は、チュニカマイシン(tunicamycin)である真核生物のタンパク質 のN結合糖鎖形成をグロックする薬が存在するとき、及び存在しないときにMD
A‐MB‐415細胞を培養することによりテストした。チュニカマイシンを二
つの同じ培養の一つに1μg/mlで添加し、双方の培養を一晩インキュベート した。培養場位置及び処理したコントロール培養からの細胞溶解物を調製し、前
述のウエスタンブロット分析により解析した。
【0119】 図8に示すように、チュニカマイシン(+)で処理した培養(S)からの培地
では、分泌ママグロビンの検出可能なレベルには達しておらず、分泌ママグロビ
ンが糖鎖形成されていることを示唆している。驚いたことに、ママグロビンの細
胞シトゾル形(14kD)はチュニカマイシンで処理したMDA‐MB‐415 細胞では検出できなかったことである(最も右側のレーン)。我々は、早期糖鎖
形成をチュニカマイシンでブロッキングすることにより、ママグロビンの前駆体
の不安定化と分解を生じさせ、よってチュニカマイシンで処理した細胞のシトゾ
ルでは検出可能な14kDのタンパク質が発生しなかったことが説明できると仮
定した。
【0120】 ママグロビンのC末端ペプチドへのポリクローナル抗体は、一次ヒト乳癌試料
からの細胞溶解物でのママグロビンの14kDa前駆体をも検出させた。図9に
示すように、ママグロビンの前駆体は腫瘍試料BO23に存在するが、同じ患者
からの正常乳房組織サンプルでは検出されなかった(BO22)。興味深いこと
に、ママグロビン転写物を発現する幾多の腫瘍サンプル(つまり、087R、0
14、75A及び2410)は、ウエスタンブロット分析により検定されたよう
に、ママグロビンタンパク質の検出可能なレベルを含んでいなかった。上記デー
タと一致するある仮説は、ママグロビン発現は転写及び翻訳のレベルで、異なっ
て調節され、しかもこの異なる調節は腫瘍の成長段階を決定づけるというもので
ある。
【0121】 アンチ‐ママグロビンポリクローナル抗体は増幅する乳腺からの乳分泌物での
分泌ママグロビンを調べるためにも利用された。初乳、つまり成熟したミルク液
体(500μlサンプル)を、第一、第三の3ヶ月間中での妊婦からの、誕生、産 後3日、14及び21日後でのマニュアル発現により集めた。そのサンプルは同
体積の2Xラエムリサンプル緩衝液(4%のSDS、20%のグリセロール、20
0mMのDTT、120mMのTris、pH6.8、0.002%のブロムフェノールブルー)で希 釈した。希釈したサンプルを5分間煮沸し、10,000gで5分間回転させ、
4℃で細胞片を小さくまとめた.変性サンプルを新しい管に移動し、前述のよう
に、ウエスタンブロット分析前に、‐20℃で保存させた。
【0122】 図10に示すように、21kDを検出した抗体は、乳房上皮細胞の高い増殖時 期である妊娠中のサンプルからの乳分泌物にママグロビンを分泌させた。しかし
ながら、泌乳の開始である乳房上皮分化の段階では、ママグロビンレベルは産後
3日目に著しく減少し、産後14日目にはもはや観測されなかった。上記結果は
、分泌ママグロビンは増殖する乳房上皮細胞と関連していることが分かり、観察
結果はヒト乳癌での分泌ママグロビンの検出と一致する。
【0123】 ママグロビンペプチドの抗体との反応性から、更に、乳癌患者試料のパラフィ
ン固定の免疫組織化学的染色により乳癌細胞を示す(図11)。免疫組織化学的
染色は一次抗体として、ママグロビンペプチドの抗体を利用して実行し、ホース
ラディッシュペルオキシダーゼと、基質として3、3’ジアミノベンゼンテトラ
ヒドロクロリドとで標識させたヤギアンチラビット抗体を利用して、ママグロビ
ン‐抗体複合体を検出した。ママグロビンタンパク質を発現する細胞は茶色の染
まった。
【0124】 上記結果から、ママグロビンタンパク質は前駆体タンパク質として合成され、
N結合糖鎖形成のような翻訳後の変質は、分泌に先立ち、見かけ上の分子量を増
大させる。ママグロビンの前駆体の安定性はN結合糖鎖形成に依存し、しかもマ
マグロビンタンパク質は増殖する乳癌細胞により分泌される。ママグロビンタン
パク質の検出は乳癌マーカーとして、ママグロビンタンパク質を利用して癌診断
に応用可能であり、更に乳癌再発の評価、腫瘍細胞を汚染するオートロガス骨髄
/幹細胞移植組織の監視、抗体‐媒介複合体を介した治療関与のための乳癌細胞 をターゲットにすることに応用できる。精製、分離されたママグロビンポリペプ
チドは、乳癌に対する抗体を発生させるのに、並びに他の腫瘍特異免疫治療法の
開発にとって有用である。
【0125】 上記説明を考慮するに、本発明の数他の利点が得られ、他の有利な結果も得ら
れることが理解させるであろう。
【0126】 関連出願 本出願は、1995年5月31に出願された米国特許出願第08/455,8 96号の一部継続出願である、1996年5月31日に出願されたPCT/US 96/08235号の一部継続出願である。
【0127】 多種多様な変更は、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び成分
にて行うことが可能であり、上記記載に含まれ、添付図面に示した全ての事項は
本発明を説明するためのものであり、限定された意味で解釈すべきでない。 配列リスト (1)一般情報: (i) 出願人:ワシントン大学 (ii) 発明の名称:ママグロビン、分泌された乳腺‐特異乳癌タンパク質 (iii) 配列の数:14 (iv) 通信住所: (A) 名宛人:HOWELL & HAFERKAMP, L.C. (B) 通り:7733 FORSYTH BOULEVARD, SUITE 1400 (C) 市:セント・ルイス (D) 州:MISSOURI (E) 国:USA (F) 郵便番号:63105‐1817 (v) コンピュータ読取り形式: (A) 媒体タイプ:フロッピーディスク (B) コンピュータ:IBM PC互換機 (C) オペレーションシステム:PC-DOS/MS-DOS (D) ソフトウエア:パテントインリリース#1.0, バージョン#1.25 (vi) 出願データ: (A) 出願番号: (B) 出願日: (C) 分類: (viii) 弁護人/代理人情報: (A) 名前:HENDERSON, MELODIE W. (B) 登録番号:37,848 (C) 参照/名簿番号:6029-6443 (ix) 通信情報: (A) 電話:(314)727-5188 (B) ファックス:(314)727-6092 (2)配列情報:配列番号1 (i) 配列の特性: (A) 長さ:503塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNAからmRNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号1
【0128】
【表1】 (2)配列情報:配列番号2 (i) 配列の特性: (A) 長さ:93アミノ酸 (B) タイプ:アミノ酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:タンパク質 (iii) 仮説:ナシ (xi) 配列情報:配列番号2
【0129】
【表2】 (2)配列情報:配列番号3 (i) 配列の特性: (A) 長さ:21塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号3
【0130】
【表3】 (2)配列情報:配列番号4 (i) 配列の特性: (A) 長さ:20塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号4
【0131】
【表4】 (2)配列情報:配列番号5 (i) 配列の特性: (A) 長さ:403塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNAからmRNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号5
【0132】
【表5】 (2)配列情報:配列番号6 (i) 配列の特性: (A) 長さ:206塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNAからmRNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号6
【0133】
【表6】 (2)配列情報:配列番号7 (i) 配列の特性: (A) 長さ:95アミノ酸 (B) タイプ:アミノ酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:タンパク質 (iii) 仮説:ナシ (xi) 配列情報:配列番号7
【0134】
【表7】 (2)配列情報:配列番号8 (i) 配列の特性: (A) 長さ:91アミノ酸 (B) タイプ:アミノ酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:タンパク質 (iii) 仮説:ナシ (xi) 配列情報:配列番号8
【0135】
【表8】 (2)配列情報:配列番号9 (i) 配列の特性: (A) 長さ:35塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号9
【0136】
【表9】 (2)配列情報:配列番号10 (i) 配列の特性: (A) 長さ:38塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号10
【0137】
【表10】 (2)配列情報:配列番号11 (i) 配列の特性: (A) 長さ:22塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号11
【0138】
【表11】 (2)配列情報:配列番号12 (i) 配列の特性: (A) 長さ:20塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号12
【0139】
【表12】 (2)配列情報:配列番号13 (i) 配列の特性: (A) 長さ:21塩基対 (B) タイプ:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:cDNAからmRNA (iii) 仮説:ナシ (iv) アンチ‐センス:ナシ (xi) 配列情報:配列番号13
【0140】
【表13】 (2)配列情報:配列番号14 (i) 配列の特性: (A) 長さ:16アミノ酸 (B) タイプ:アミノ酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖 (ii) 分子タイプ:ペプチド (iii) 仮説:ナシ (xi) 配列情報:配列番号14
【0141】
【表14】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 cDNA末端(RACE)ポリメラーゼチェイン反応(PCR)法と、その後
のpGEM7ZとpCEV27ベクターへのサブクローン化を含む全長ママグロ
ビンcDNAを分離させるのに利用した戦略を示す。
【図2】 配列番号(SEQ ID NO):1(ヌクレオチドの上に番号付け)のヒトcDN A配列とコード化された乳房特異タンパク質のアミノ酸配列と、ママグロビン(
配列番号(SEQ ID NO):2)(アミノ酸の下に番号付け)を示し、実線はR ACE PCR法により分離された403bpフラグメント(配列番号(SEQ I
D NO):5)を表わし、空洞のある線206bpDEST002配列(配列番 号(SEQ ID NO):6)を表わす。
【図3】 ラット前立腺ステロイド結合タンパク質サブユニットC3(rPSC)(配列
番号(SEQ ID NO):7)と比較した乳房特異タンパク質、ママグロビン(h MAM)のアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):2)と、強調文字と二重 線で表わされ、一重線により表わされる構造的に類似したアミノ酸のあるヒトク
ラーラ細胞10kDタンパク質(hCC10)(配列番号(SEQ ID NO):8 )とを示す。
【図4】 (A) 乳房特異タンパク質をコード化するヒトcDNA配列を有するママグ
ロビン(hMAM)と、乳房新生物、正常乳房と他の大人組織により発現された
mRNAとのハイブリダイゼーションのノーザンブロット解析を示し、 (B) 乳房新生物、正常乳房及び他の大人組織のRT/PCR増幅サンプル の解析を示す。
【図5】 インビトロラビット網状赤血球溶解産物アッセイシステムでの乳房特異cDN
A配列の翻訳を示す。
【図6】 ママグロビンをコード化するcDNAでのノーザンブロットハイブリダイゼー
ションを示し、腫瘍2410でのmRNAが検出され、8人の他の患者の3つの
腫瘍において強調して示し、あまり検出されていない正常な乳房組織はイタリッ
ク体で示し、二つの場合では(右の4つのレーン)、腫瘍組織と患者に一致した
正常組織とにおけるママグロビンmRNAを比較する。
【図7】 免疫ペプチドの存在しない場合(−)及び存在する場合(+)での、調製済培
地(S)及びMDA‐MB‐415乳房腫瘍細胞からの細胞溶解産物のママグロ
ビンC末端(配列番号(SEQ ID NO):14)へのポリクローナル抗体を利用 したウエスタンブロッティング分析を示し、そのペプチドはそれぞれ細胞培地と
細胞溶解産物でのママグロビンタンパク質の前駆体及び分泌形の検出を示す。
【図8】 チュニカマイシンが存在しない場合(−)及び存在する場合(+)で成長した
MDA‐MB‐415乳房腫瘍細胞からの調製済培地(S)及び細胞溶解産物の
アンチママグロビンポリクローナル抗体を利用したウエスタンブロット分析を示
し、そのチュカマイシンは糖鎖形成をブロックし、N−結合糖鎖形成が阻害され
る溶解産物又は細胞の培地での検出可能なママグロビンタンパク質の欠如を示す
【図9】 アンチママグロビンポリクローナル抗体と酵素結合化学発光により視覚化され
たヤギアンチラビット抗体とを利用して、ママグロビンタンパク質前駆体の検出
を示すヒト乳房腫瘍細胞からの細胞溶解産物のウエスタンブロッティング分析を
示す。
【図10】 妊娠中のヒト乳房からの液体分泌のアンチママグロビンポリクローナル抗体を
利用した、ウエスタンブロッティング分析を示し、増殖乳腺において分泌された
ママグロビンタンパク質の検出を示す。
【図11】 (A) アンチママグロビンポリクローナル抗体と、ホースラディッシュペル
オキシダーゼで標識(tagged)されたヤギアンチラビット抗体と、ママグロビンタ
ンパク質を発現する細胞の茶染色を示す基質としてのDABとを利用して免疫組
織化学的に染色された患者試料からの乳癌細胞のパラフィン固定部分の色を示し
、 (B) アンチママグロビンポリクローナル抗体と、ホースラディッシュペル
オキシダーゼで標識(tagged)されたヤギアンチラビット抗体と、基質としてのD
ABとを利用して免疫組織化学的に染色された患者試料からの乳癌細胞のパラフ
ィン固定部分を白黒で示し、ママグロビンタンパク質を発現する細胞の茶染色を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61P 35/00 A61P 35/00 C07K 14/47 C07K 14/47 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 フレミング ティモシー ピイ アメリカ合衆国 ミズーリ州 63021 セ ント・ルイス イーグルブルック・ドライ ヴ 743

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号(SEQ ID NO):2の少なくとも6つの隣接アミ ノ酸を含む少なくとも一つのママグロビン抗原の免疫原性に有効な量を含むママ
    グロビン特異ワクチン。
  2. 【請求項2】 前記ママグロビン抗原はキャリア細胞に負荷された請求項1
    記載のワクチン。
  3. 【請求項3】 更に薬剤学的に許容なアジュバントを含む請求項1記載のワ
    クチン。
  4. 【請求項4】 ママグロビンB細胞抗原とママグロビンT細胞抗原との混
    合物を含む請求項1記載のワクチン。
  5. 【請求項5】 発現のためにママグロビンB細胞抗原及び/又はママグロビ ンT細胞抗原とをコード化するヌクレオチド配列を有する組換えベクターを含
    むママグロビン特異ワクチン。
  6. 【請求項6】 ママグロビン発現腫瘍のある患者を、ママグロビン抗原の免
    疫原性に有効な量を含むママグロビン特異ワクチンを投与することからなる処置
    方法。
  7. 【請求項7】 前記抗原はキャリア細胞に負荷される請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記ワクチンは薬剤学的に許容なアジュバントを更に含む請
    求項5記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記ママグロビン抗原は組換えベクターにおけるヌクレオチ
    ド配列による発現に対してコード化されるアミノ酸配列を含む請求項5記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 ママグロビン発現乳癌のある患者を処置する方法であって
    、 腫瘍からママグロビン特異リンパ球を分離し、 少なくとも一つのママグロビン抗原で前記リンパ球を活性化させ、 前記活性化させたリンパ球を患者に投与することからなる方法。
  11. 【請求項11】 配列番号(SEQ ID NO):2の少なくとも6つの隣接ア ミノ酸を含む少なくとも一つのママグロビン抗原を含み、前記ママグロビン抗原
    は、糖鎖形成され、配列番号(SEQ ID NO):2のアミノ酸20−93を含む 天然に存在し、分泌されたママグロビンポリペプチドに対して特異であるB細胞
    及び/又はT細胞により認識される、分離、精製されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 前記ママグロビン抗原は配列番号(SEQ ID NO):2の 少なくとも12の隣接するアミノ酸を含む請求項11記載の分離、精製されたポ
    リペプチド。
  13. 【請求項13】 前記ママグロビン抗原は配列番号(SEQ ID NO):2の 少なくとも25の隣接するアミノ酸を含む請求項12記載の分離、精製されたポ
    リペプチド。
  14. 【請求項14】 前記ママグロビン抗原は糖鎖形成され、配列番号(SEQ I
    D NO):2のアミノ酸20−93からなる請求項13記載の分離、精製された ポリペプチド。
  15. 【請求項15】 前記ママグロビン抗原は糖鎖形成され、配列番号(SEQ I
    D NO):2からなる請求項13記載の分離、精製されたポリペプチド。
  16. 【請求項16】 前記ママグロビン抗原は乳癌患者からのB細胞のインビト
    ロ活性化及び拡大を誘発するママグロビンB細胞抗原である請求項11記載の分
    離、精製されたポリペプチド。
  17. 【請求項17】 前記ママグロビンB細胞抗原は異種タンパク質からのT 細胞エピトープを含む請求項16記載の分離、精製されたポリペプチド。
  18. 【請求項18】 前記ママグロビン抗原は乳癌患者からのT細胞のインビ
    トロ活性化及び拡大を誘発するママグロビンT細胞抗原である請求項11記載
    の分離、精製されたポリペプチド。
  19. 【請求項19】 前記ママグロビンT細胞抗原は配列番号(SEQ ID NO ):2の8若しくは9の隣接するアミノ酸を含む請求項18記載の分離、精製さ
    れたポリペプチド。
  20. 【請求項20】 ママグロビンB細胞抗原とママグロビンT細胞抗原とを
    含む請求項11記載の分離、精製されたポリペプチド。
JP2000511779A 1997-09-18 1998-09-18 ママグロビン、分泌された乳腺‐特異乳癌タンパク質 Pending JP2001516569A (ja)

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