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JP2001510031A - ワクチンとしての修飾された免疫原ニューモリシン組成物 - Google Patents

ワクチンとしての修飾された免疫原ニューモリシン組成物

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JP2001510031A
JP2001510031A JP2000503106A JP2000503106A JP2001510031A JP 2001510031 A JP2001510031 A JP 2001510031A JP 2000503106 A JP2000503106 A JP 2000503106A JP 2000503106 A JP2000503106 A JP 2000503106A JP 2001510031 A JP2001510031 A JP 2001510031A
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JP
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pneumolysin
polypeptide
modified
modified pneumolysin
nucleic acid
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JP2000503106A
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ミネッティ,コンセイカオ
ミチョン,フランシス
プーレン,ジェフリー・ケイ
ポルヴィノ−ボドナー,マリリン
リアン,シュ−メイ
タイ,ジョーゼフ・ワイ
Original Assignee
ノース・アメリカン・ヴァクシン・インコーポレーテッド
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ニューモリシン免疫原性を保持するが、天然型ニューモリシンに比較して減弱した又は検出不能な溶血活性を有する修飾ニューモリシンペプチドに関する。また、本発明は、このような望ましい特性を有する新規なニューモリシン変種を得るための方法を提供する。さらに、本発明は、ワクチンを含む医薬組成物として有用あん免疫原性組成物を提供する。ここで、非毒性、修飾ニューモリシンはストレプトコッカス ニュウモニアに対して防御免疫を刺激するのに使用されている。ワクチンは、修飾ニューモリシンが細菌多糖類と結合されている組成物であっても良く、また減弱されたウイルスベクターに乗せても良い。更に、本発明は、処置された個体におけるストレプトコッカス ニュウモニアに対する抗体を刺激するために、非毒性、修飾ニューモリシントキソイドを使用する方法を提供する。この抗体は単離され、第2の個体に移植され、それによって第2の個体においてストレプトコッカス ニュウモニアに対する防御が与えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野: 本発明は、ワクチンの分野、特に修飾形ニューモリシン(pneumolys
in)、および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoni
ae)を含めた細菌がひき起こす感染症に対し哺乳動物を免疫感作するための組
成物の調製にそれらを使用することに関する。
【0002】 発明の背景: 肺炎連鎖球菌は、細菌性肺炎、菌血症、髄膜炎および中耳炎の主因である(B
altimoreら,Bacterial infections of hu
mans:Epidemiology and Control,Evansお
よびBrachman編,プレナム・プレス,ニューヨーク,1989,p.5
25−546;Schuchatら,N.Engl.J.Med.,1997,
337,970−976)。適切な抗生物質療法よってすら、肺炎球菌(pne
umococcal)感染症は米国内で年間40,000人に及ぶ死者を生じる
と推定される(Fedsonら,Archives of Internal
Medicine,1994,154,2531−2535;Fiebachら
,Archives of Internal Medicine,1994,
154,2545−2557)。さらに、肺炎球菌はペニシリンその他の抗生物
質に対し獲得する耐性が増し、肺炎球菌感染症の予防に有効なワクチンの開発が
公衆衛生上重要になっている(Farrら,Archives of Inte
rnal Medicine,1995,155,2336−2340)。現在
の23価の肺炎球菌莢膜多糖ワクチンは2歳未満の小児には無効である(Dou
glasら,J.Infect.Dis.,1983,148,131−137
;Leinonenら,Pediatric Infectious Dise
ase Journal,1986,5,39−44)ので、多数のグループが
この年齢群の主適応症である中耳炎を予防するための多価複合体ワクチンを開発
しようとしている。
【0003】 スルフヒドリル活性化された細胞溶解毒素であるニューモリシン(PLY)は
あらゆるタイプの肺炎連鎖球菌が産生し(Kanclerskiら,J.Cli
n.Microbiol.,1987,25,222−225)、肺炎球菌感染
症の主な病原因子であると考えられている(Boulnois,Journal
of General Microbiology,1992,138,24
9−259)。遺伝子工学的に形成されたPLY陰性の肺炎連鎖球菌変異株は、
マウスにおいて有意に病原性が低いことが示された(Berryら,Micro
b.Pathog.,1992,12,87−93;Berryら,Infec
tion and Immunity,1989,57,2037−2042)
。肺の内皮細胞および上皮細胞に対するPLYの細胞毒性は、インビトロで十分
に証明されている(Rubinsら,Infection and Immun
ity,1992,60,1740−1746)。さらにモルモットの肺炎球菌
性髄膜炎モデルにおいては、PLYが聴覚喪失および蝸牛損傷の主因らしい(W
interら,Infection and Immunity,1997,6
5,4411−4418)。
【0004】 1985年以来、今世紀は毎年5歳未満の小児500万人が肺炎連鎖球菌によ
る肺炎のため死亡したと推定される。Lancet(1985)9月28日,2
(8457):699−701。肺炎連鎖球菌は多数の病原因子を用いて初期感
染を確立し、次いで浸潤性疾患を生じる。種々の血清型の肺炎連鎖球菌がひき起
こす全身性感染症を予防するために、安全で有効な長期持続性免疫を誘発できる
適切な交差反応性ワクチンで子供や成人を免疫感作する必要がある。
【0005】 子供における肺炎球菌の定着と感染の計画調査で、肺炎球菌血清型6、14、
19および23が乳児感染症、主に中耳炎において、最も一般的に保有され、か
つ最も頻度の高い病因であると報告された(Grayら,J.Infect.D
is.,1988,158,948−955)。さらに、これらの同じ菌株がペ
ニシリン耐性の臨床分離株中で最も頻度が高いことが最近見出された(Nesi
nら,J.Infect.Dis.,1998,177,707−713)。上
記の型を含む4価肺炎球菌複合体ワクチンを用いて乳児で行った臨床試験では、
ワクチン関連株の保有が減少したと報告された(Daganら,Infect.
Dis.J.,1997,16,1060−1064)。
【0006】 肺炎連鎖球菌のほとんどすべての分離株が、反復オリゴ糖から構成される外莢
膜を示す。糖配列の相異による莢膜多糖類の抗原性の相異が、異なる肺炎連鎖球
菌血清型の特徴である。血清型特異性莢膜多糖類は、肺炎球菌の病原性に関与す
る主な因子である。既存の抗肺炎球菌ワクチンは、現在確認されている血清学的
に異なる84の型から選ばれた23の莢膜多糖類から調合される。残念ながらこ
れらのワクチンはすべての集団に有効というわけでない(特にアジアの集団につ
いて)。現在のワクチンの第2の欠点は、多糖類自体は、特に乳児および老人に
ついて免疫原性が低いことである。
【0007】 肺炎連鎖球菌が発現するポリペプチドも重要な病原性をもつ。この生物の病原
性に関与すると思われる幾つかの特定のポリペプチドには、ニューモリシン、オ
ートリシン、ニューモアミダーゼ、肺炎球菌表面ポリペプチドA(PspA)、
37kDaポリペプチド、細胞接着分子、ヒアルロニダーゼ、およびIgA1プ
ロテアーゼが含まれる。
【0008】 実質的にすべての血清型の肺炎連鎖球菌が、主な病原性因子の1つであるニュ
ーモリシンを産生する。ニューモリシンはこのように種々の肺炎連鎖球菌血清型
により発現することから、その毒性を変化させられれば肺炎球菌感染症の予防ワ
クチンに使用できるものとしての第1候補となった。
【0009】 ニューモリシンは分子量約53kDの細菌細胞内ポリペプチドである(Kan
clerskiら,J.Clin.Microbiol.,1987,25,2
22−225)。それはチオール活性化溶血素の一員であり、真核細胞に対しさ
まざまな影響をもつ。ニューモリシンは真核細胞膜中のコレステロール分子に結
合し、オリゴマーを形成して膜貫通細孔を生成することが知られている。白血球
のレスピラトリーバースト、走化性および食作用などの機能(これらはすべて、
侵入する肺炎球菌を排除するのにきわめて重要である)がニューモリシンの存在
下では著しく損なわれることも証明されている。
【0010】 ニューモリシンは細胞溶解性および細胞毒性の両方をひき起こし、補体活性化
経路で炎症反応を刺激する可能性がある。補体が非特異的に活性化されると補体
ポリペプチドが枯渇し、非特異的炎症が起きる。被験動物の肺にニューモリシン
を接種すると、肺炎様症状が起きる。しかしニューモリシンによる予備免疫感作
は、肺炎球菌による攻撃に対し被験動物を保護する。Pantonら,Infe
ct.Immun.,40:548−552。
【0011】 ニューモリシンで免疫感作した個体においてニューモリシンは免疫原活性およ
び保護応答誘発能をもつので、ニューモリシンをワクチンの成分として用いるこ
とが示唆された。国際特許出願第AU89/00539号参照。しかしニューモ
リシンをヒト用ワクチンに含有させる前に、保護抗体を誘発する能力を維持しな
がら実質的に無毒性であるように、この毒素を修飾しなければならない。
【0012】 毒性をもたない修飾ニューモリシンは、チオール含有ポリペプチドに関連する
類似の機能をもつと考えられる領域のニューモリシンアミノ酸を同定することに
基づいて形成されたと報告されている(国際特許出願公開第WO90/0695
1号)。報告された変異は例外なくポリペプチドのC−末端部分にあり、ターゲ
ティングした変異形成技術により形成された。N−末端領域の特定の特異的アミ
ノ酸を含めた他の変異が溶血活性を低下させると報告された。最も著しい溶血活
性低下は、位置156のヒスチジン修飾の結果であろうと報告されている。Hi
llら(1994)Infection and Immunity,62,7
57−758。これらの置換ニューモリシンのいずれについても、適正にリフォ
ールディングしたか否かについてはデータが示されていない。Thr−172→
Ileの単一変異がニューモリシンの溶血活性低下に関与すると報告された。し
かし異常な電気泳動移動性は、そのタンパク質が不適正に折りたたまれているこ
とを示す。Lockら,Microb.Pathog.(1996),21,7
1−83。
【0013】 発明の概要: 本発明は、ランダムPCR変異形成法を用いて、安定な、遺伝子修飾による実
質的に無毒性の免疫原性ニューモリシンポリペプチドを生成および同定するため
の新規方法を提供する。肺炎連鎖球菌その他の細菌による感染症に対するワクチ
ン中に免疫原として使用でき、または多糖類複合体ワクチンの免疫原キャリヤー
ポリペプチドとして使用できる修飾ニューモリシン(ニューモリソイド(pne
umolysoid))も提供される。本発明の修飾ニューモリシンポリペプチ
ドは毒素の毒性が実質的に低下するか、または毒性を全く示さないが、天然毒素
が誘発するものと交差反応性の抗体を誘発する。
【0014】 本発明はまた、修飾ニューモリシンをコードする核酸配列、それらを含有する
ベクター、および本発明の核酸分子を発現しうる形質転換宿主細胞に関する。
【0015】 本発明の他の態様は、本発明の修飾ニューモリシンが細菌性多糖類に共有結合
して複合体を形成した多糖類−ポリペプチド複合体分子である。そのような複合
体分子は、修飾ニューモリシンに結合した細菌性多糖類に対するT細胞依存性免
疫原応答を誘発するための免疫原として有用である。
【0016】 本発明はさらに、免疫応答を誘発する本発明の修飾ニューモリシンポリペプチ
ドを含有する医薬組成物を目的とする。
【0017】 本発明はさらに、修飾ニューモリシンポリペプチド反応性抗体の産生を誘発す
る方法に関する。そのような抗体は能動免疫および受動免疫の両方を誘発するの
に使用できる。本発明の修飾ニューモリシンは、反応性抗体の同定および単離に
も使用できる。
【0018】 したがって本発明の目的は、天然毒素分子にも結合する抗体を産生させるエピ
トープを維持しながら、実質的に弱毒化されるか、または毒性のない、遺伝学的
に安定な修飾された肺炎連鎖球菌ニューモリシンポリペプチドを提供することで
ある。
【0019】 本発明の他の目的は、遺伝子修飾されたニューモリシン(ニューモリソイド)
の生成方法を提供することである。
【0020】 本発明の他の目的は、感受性哺乳動物に送達した場合に肺炎連鎖球菌に対する
抗体を誘発し、保護免疫を誘導しうる修飾ニューモリシンポリペプチドを含むワ
クチン製剤を提供することである。そのようなワクチンは、ニューモリソイド自
体、または本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドに共有結合した1種類以上
の細菌性多糖類を含む複合体に基づく。
【0021】
【詳細な説明】
ニューモリシン(pneumolysin)は、実質的にすべての既知の肺炎連鎖球菌(S
. pneumoniae)株に見られる。その広い分布は、異なる肺炎連鎖球菌血清型間の
実質的な交差防御(cross-protection)を得る能力を提供する。本発明は、遺伝
子的に修飾されたニューモリシンポリペプチドであって、トキソイド(ニューモ
リソイド)として作用し、そしてしたがって抗体誘発および肺炎連鎖球菌に対す
るワクチンにおける使用に有用である前記ポリペプチドを提供する。修飾ニュー
モリシンをコードする核酸配列、ベクターおよび修飾ニューモリシンをコードす
る核酸を含むベクターで形質転換されている宿主細胞もまた、本発明の態様であ
る。
【0022】 少なくとも1つのアミノ酸が置換されている、本発明の修飾ニューモリシンポ リペプチドは、免疫原性であるために十分なエピトープを保持し、そして野生型
ニューモリシンと交差反応する抗体を誘発する。さらに、こうした修飾ポリペプ
チドの毒性は十分に減少しており、危険な副作用の実質的なリスクを伴わず、哺
乳動物に投与するのを可能にする。
【0023】 本発明の態様において、多糖に共有結合し複合体を産生する、特定の修飾ニュ
ーモリシンポリペプチドが提供される。本発明の修飾ニューモリシンポリペプチ
ドを異なる多糖に結合することにより、本発明は、広範囲の血清学的に異なる病
原体に対する抗体を誘発することが可能な組成物を提供する。特定の細菌由来の
莢膜多糖を選択することにより、本発明は、髄膜炎菌(meningococcus)、肺炎 球菌(pneumococcus)、インフルエンザ菌(haemophilus influenzae)b型およ びB群連鎖球菌(streptococcus)と共に他の細菌に対する免疫感作を提供するの
に用いてもよい。
【0024】 本発明の別の態様において、ニューモリシンゲノムにおける遺伝子修飾は、無
作為突然変異誘発技術を用いて生成される。 A. 修飾ニューモリシンを産生しそして同定する方法 本発明の遺伝子的に修飾されたニューモリシンポリペプチドは、慣用的な組換
え方法論(Sambrookら(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd
ed., Cold Spring Harbor Laboratory PressおよびAusubelら監修(1997) Curr
ent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.)を用いて産 生される。ニューモリシンポリペプチドの少数の変異体型が報告されてきており
、これらはアミノ酸および核酸配列の高い度合いの保存を示す。例えば、本明細
書に援用され、そして1型肺炎連鎖球菌のニューモリシンの153位のイソロイシン
が2型のメチオニンに置換されていることを報告する、Mitchellら(1990) Nucl
eic Acid Res. 18:4010を参照されたい。同様に153位にイソロイシンを有する14
型は、380位にアスパラギン酸ではなくアスパラギンを有する。これらの変異は また、少なくとも1つのエピトープが保存される修飾ニューモリシンを提供する 、本発明の核酸およびアミノ酸組成物における他の置換に含まれてもよい。
【0025】 本発明により、野生型と比較して溶血活性が減少したまたは溶血活性を持たな
い、そして天然または野生型ニューモリシンと交差反応する抗体を産生するのに
十分な数のエピトープを保持する、修飾ニューモリシンポリペプチドが提供され
る。こうしたポリペプチドの同定は、まずニューモリシンをコードする遺伝子に
無作為突然変異を挿入し、そしてその後、発現されたポリペプチド産物を、毒性
に関与する活性の欠失または減少に関しスクリーニングすることにより達成され
る。 1. ニューモリシンを修飾する方法 肺炎連鎖球菌感染に対し免疫化するのに有用な、実質的に免疫原性であるが、
毒性がないかまたは毒性が最小限であるニューモリシンを作成しそして同定する
のに有用な新規スクリーニング系が、本発明により提供される。
【0026】 本方法は2つの基本的な段階を含む:(1)無作為突然変異誘発および(2)選 択である。
【0027】 無作為突然変異誘発は、ニューモリシンに突然変異を導入するのに適切な技術
の1つである。標準的突然変異誘発法は、本発明に使用するのに適している。1つ
の態様において、14型ニューモリシンゲノムに無作為にヌクレオチド変化を取り
込むため、無作為PCRが行われる。続く選択により、望ましい変化が同定される であろう。本方法はいかなる単離ニューモリシン遺伝子にも適用可能である。好
ましくは、オリゴヌクレオチドプローブの産生を可能にするために、十分な核酸
配列が同定される。こうしたニューモリシン遺伝子の限定されない例は、2およ び14型ニューモリシンをコードするものである。14型をコードするヌクレオチド
配列は、図1に示される。
【0028】 PCR、または核酸増幅は、本明細書に援用される米国特許第4,183,195号、第4,
965,188号および第5,176,995号に記載される。一般的に、PCRは、各配列が2つの
別個の相補鎖からなる、1つまたはそれ以上の特定の核酸配列を増幅する方法で ある。PCRは各鎖が相補的なオリゴヌクレオチドプライマーとハイブリダイズす ることを必要とする。これらの核酸は、以下に記載されるように、プライマーを
用い相補鎖を合成するためのテンプレートである。各核酸鎖に相補的である、各
プライマーの伸長産物をその後合成する。次に、伸長産物をそれらが合成された
テンプレートから分離し、一本鎖分子を産生する。最後に、第二の段階で産生さ
れた一本鎖分子の各々に対し伸長産物が合成されるような条件下で、一本鎖分子
を再び、第一の段階のプライマーで処理する。元来の核酸の最適な増幅および産
物合成のため、これらの段階を繰り返してもよい。
【0029】 PCR突然変異誘発は、伸長鎖(growing strand)への「ミスマッチ」ヌクレオ チドの取り込みを伴い、そして通常用いられるPCRポリメラーゼの高いエラー率 に依存することにより容易にすることも可能である。例えば、化学突然変異誘発
(Eichenleub, R(1979) J. Bacteriol. 138:559-566)などの、無作為突然変 異を生成するのに関し当業に知られる他の方法もまた用いてもよい。あるいは、
1つまたは両方のプライマーがヌクレオチドの無作為な組を含むが、1つまたは両
方のプライマーの一部が相補的であり、そしてしたがって少なくとも1つの既知 のニューモリシン配列に「固定される(anchored)」、「半無作為」法を用いる
PCRにより、突然変異誘発段階を達成してもよい。
【0030】 「プライマー」という用語は本明細書において、精製された制限酵素消化物に
おけるように天然発生するものであれ、または合成により産生されるものであれ
、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下、すなわちヌ
クレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下に、並びに適切な温度 およびpH下に置かれたとき、核酸合成の開始点として作用することが可能なオリ
ゴヌクレオチドを指す。プライマーは、好ましくは、最大の増幅効率のため、一
本鎖であるが、また別に二本鎖であってもよい。二本鎖である場合、増幅産物を
調製するのに用いる前に、鎖を分離するため、まずプライマーを処理する。好ま
しくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドであるが、誘導剤の存在
下で伸長産物の合成を導く(prime)ために十分に長くなければならない。プラ イマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給源および方法の使用を含む、多
くの要因に依存するであろう。プライマーは、典型的には10またはそれ以上のヌ
クレオチドを含む。
【0031】 合成オリゴヌクレオチドプライマーは、例えば、ホスホトリエステルおよびホ
スホジエステル法(Narang, S.A.ら(1979) Meth. Enzymol. 68:90;Brown E.L
.ら(1979) Meth. Enzymol. 68:109)またはその自動化態様など、いかなる適 切な方法を用いて調製してもよい。こうした自動化態様の1つにおいて、ジエチ ルホスホロアミダイトを出発原料として用い、そしてBeaucaugeら(1981) Tetr
ahedron Let. 22:1859-1962に記載されるように合成してもよい。修飾固体支持 体上でオリゴヌクレオチドを合成する1つの方法が、本明細書に援用される米国 特許第4,458,066号に記載されている。
【0032】 生物学的供給源から単離されているプライマーを用いることもまた可能である
。1つのこうした例は、ニューモリシン配列にハイブリダイズするために十分に 相補的である、ニューモリシンをコードする大きな核酸分子の制限エンドヌクレ
アーゼ消化物である。化学合成中、プライマーにヌクレオチド置換をまた挿入し
てもよい。
【0033】 本発明のヌクレオチド配列は、修飾ニューモリシンポリペプチドをコードする
いかなる既定の分子でもよい分子内の単一の突然変異に限定される必要がないこ
とが理解されるべきである。天然ニューモリシンポリペプチド(図2を参照され たい)の免疫原性特性を保持する一方、その毒性特性の1つまたはそれ以上を減 弱するまたは除去場合には、多数の突然変異もまた可能である。したがって、多
数の修飾が単一のポリペプチド分子内に含まれてもよい(図4を参照されたい) 。多数の修飾は、毒性のある天然配列への逆戻りの可能性を減じる可能性がある
ため、有用である可能性がある。しかし、本発明の好ましい態様は、単一のアミ
ノ酸置換を生じる、核酸配列における単一の突然変異である。
【0034】 修飾ニューモリシンをコードする無作為または半無作為PCR産物を、当業に知 られる標準的クローニング技術を用い、適切な発現ベクターにクローンしてもよ
い。
【0035】 1つの態様において、ベクターは少なくとも1つのクローニング可能な部位、少
なくとも1つの抗生物質選択マーカー遺伝子、転写プロモーターおよび複製起点 を含む。ベクターは、多様な適合した宿主細胞で増殖させ、高い度合いの発現を
可能にしてもよい。好ましい宿主には、大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. subtil
is)などの細菌またはS.セレビシエ(S. cerevisiae)などの酵母が含まれる。 酵母に加え、他の真核細胞、例えば哺乳動物細胞もまた用いてもよい。クローニ
ングプラスミドベクター/宿主細胞の組み合わせは、いかなる適合したベクター
および宿主細胞であってもよい。いかなる適切な発現ベクターおよび宿主細胞も
、修飾ニューモリシンの発現を支持することが可能であるならば、許容しうる。
クローニングおよび発現の標準的プロトコルは、本明細書に援用されるAusubel,
F.M.ら監修(1997) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley &
Sons, Inc.に記載されるように用いてもよい。 2. 修飾ニューモリシンのスクリーニング 適切な読み枠での修飾ニューモリシンヌクレオチド配列のベクターへの連結お
よび宿主細胞への形質転換に続き、毒性が減少したまたは毒性がない修飾ニュー
モリシンポリペプチドを発現する細胞クローンを同定するため、スクリーニング
を行う。
【0036】 無作為に突然変異したニューモリシンポリペプチドを発現する、適切に形質転
換された宿主を同定する方法が、本発明により提供される。好ましい修飾ニュー
モリシンポリペプチドは、天然ニューモリシンと比較した際、同様の構造的特徴
、例えば大きさを有するであろう。したがって、SDS-PAGEおよびゲル浸透クロマ
トグラフィーなどポリペプチドの大きさを解析する選択方法を用いてもよい。修
飾ニューモリシンを発現する形質転換宿主は、SDS-PAGEを用い、そして同一のベ
クターだがニューモリシンまたは修飾ニューモリシンをコードする核酸配列を含
まないベクターで形質転換された宿主(「標準宿主」)から得られたSDS-PAGEゲ
ルと、前記ゲルを比較することにより、宿主により発現されたタンパク質を解析
することにより、同定してもよい。ニューモリソイドを発現する形質転換宿主は
、SDS-PAGEにより調べる際、新たなバンドを生じるであろうし、そしてニューモ
リソイドに対応する大きなバンドを生じる形質転換宿主を、候補として選択して
もよい。これらのクローンにより発現される修飾ニューモリシンポリペプチドを
、その後、細胞抽出物における溶血活性に関しスクリーニングし、減弱した溶血
活性を有する修飾ニューモリシンポリペプチドを同定してもよい。修飾されてい
ないまたは修飾されたがまだ毒性のある活性ニューモリシンを産生する形質転換
宿主は、この単純なスクリーニング段階により除去することが可能である。
【0037】 あるいは、修飾ニューモリシンは、限定されるわけではないが、SDS-PAGE後の
エレクトロブロットまたはウェスタンブロット解析、または総細胞抽出物のドッ
トブロット法、あるいは可溶性分画の限定タンパク質分解およびSDS-PAGEまたは
ウェスタンブロット法による消化物のさらなる解析などの、一般の当業者に知ら
れる他の方法により、同定してもよい。
【0038】 ニューモリシン精製および単離の方法を選択するのに考慮すべき要因には、修
飾ニューモリシンが可溶性タンパク質として存在するか、またはそれが封入体(
inclusion body)内に不溶性化しているかが含まれる。一般的な規則ではないが
、ニューモリシンのフォールディング(folding)特性に影響する突然変異は、 封入体内へのその集積を支持するようである。
【0039】 細胞抽出物の可溶性分画に同定されている修飾ニューモリシンは、限定される
わけではないが:核酸沈澱、塩分画あるいはイオン交換クロマトグラフィーまた
は疎水性相互作用クロマトグラフィーなどの捕捉法など、精製の慣用法により単
離しそして精製してもよい。ゲル浸透クロマトグラフィーは、前述のクロマトグ
ラフィー法の1つに続いて、特に洗練段階として用いてもよい。あるいは、組換 え修飾ニューモリシンは、アフィニティークロマトグラフィーにより、またはチ
オール含有タンパク質の単離に用いられる方法により、それと共に一般の当業者
に知られる他の方法により(Current Protocols in Molecular Biology, 1995 J
ohn Wiley & Sons, Inc.)、単離してもよい。
【0040】 また別に、封入体由来の修飾ニューモリシンは、封入体を数回洗浄し、核酸お
よび他の細菌細胞壁混入物を除去した後、単離してもよい。この方法は、限定さ
れるわけではないが、通常の緩衝液、または通常の緩衝液および界面活性剤添加
物でペレットを洗浄することを含む。洗浄された封入体を尿素またはグアニジン
HClに溶解した後、ゲル濾過クロマトグラフィーにより、タンパク質を変性条件 下でさらに精製してもよい。この方法は、タンパク質のリフォールディングの前
に行ってもよい。しかし、リフォールディングに続くイオン交換クロマトグラフ
ィーが、リフォールディングしそして精製されるタンパク質の最大収量を達成す
るのに好ましい方法を代表する。
【0041】 天然ニューモリシンは、記載される方法により得てもよく、そして基準として
用いてもよい。天然対応物の溶血活性および移動または溶出プロフィールは、し
たがって、可溶性または封入体分画からの修飾ニューモリシンの単離に関し、基
準として用いてもよい。
【0042】 適切な修飾ニューモリシンポリペプチドを発現するクローンを選択する、好ま
しい規準には:(1)修飾ニューモリシン発現;(2)全長でのまたはそれに近い
発現(天然ニューモリシンの分子量約53,000に基づく);(3)可溶性分画にお けるニューモリソイドの存在;(4)低溶血活性;および(5)発現されたポリペ
プチドの高収量の1つまたはそれ以上が含まれる。
【0043】 スクリーニングプロトコルに上記の規準をすべて含むと、有用な修飾ニューモ
リシンポリペプチドを発現する、最も効率的でそして有用である可能性が高いク
ローンが同定されるであろうが、より効率の低いクローンもまた、本発明におけ
る使用が適切である修飾ニューモリシンを産生する可能性があり、これには、全
長ではないかもしれないが、天然ニューモリシンと交差反応する抗体の産生を誘
発するおよび/または多糖・ポリペプチド結合分子のキャリアーポリペプチドと
して機能するために十分に長い、いくつかのものが含まれる。
【0044】 上記の望ましいクローンを同定するのに好ましい方法は、大きさおよび溶血活
性を含む、発現されたタンパク質の特性を直接アッセイするが、天然ニューモリ
シンに対して向けられる抗体との交差反応の検出または核酸プローブへのハイブ
リダイゼーションなどの、他の方法もまた用いてもよい。1つの態様において、 修飾ニューモリシン核酸配列を含むプラスミドで形質転換された宿主細胞クロー
ンの最初の同定は、当業者に知られるように、標準的ハイブリダイゼーション解
析を用い、行ってもよい。修飾ニューモリシン遺伝子に対するプローブには、天
然ニューモリシン核酸配列あるいは増幅プライマーまたは増幅配列の存在を示す
他のプライマーが含まれる。好ましくはこうしたハイブリダイズするプローブは
、長さ30から40ヌクレオチドであり;より好ましくは長さ10から20ヌクレオチド
である。厳密性(stringency)は、プローブが改変された塩基を含む配列にハイ
ブリダイズする可能性もあるため、比較的低くあるべきである。
【0045】 ハイブリダイゼーションの好ましい方法は、ブロットハイブリダイゼーション
である。ブロットハイブリダイゼーションに関するさらなる詳細に関しては、本
明細書に援用されるSambrookら(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Man
ual 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。プローブ
はDNAまたはRNAであってもよく、そして容易に入手可能であり、そして当業者に
知られる多くの標識技術のいずれにより検出可能にしてもよい。こうした方法に
は、限定されるわけではないが、放射標識、ジゴキシゲニン標識、およびビオチ
ン標識が含まれる。DNAを標識する周知の方法は、DNAポリメラーゼ、クレノウ酵
素またはポリヌクレオチドキナーゼを用いた32Pである。さらに、化学部分をピ リミジンおよびプリン環に結合させる方法(Dale, R.N.K.ら(1973) Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 70:2238-42)、化学発光による検出を可能にする方法(Bart
on, S.K.ら(1992) J. Am. Chem. Soc. 114:8736-40)およびビオチン化核酸プ
ローブを利用する方法(Johnson, T.K.ら(1983) Anal. Biochem. 133:125-131
;Erickson, P.F.ら(1982) J. Immunol. Methods 51:241-49;Matthaei, F.S.
ら(1986) Anal. Biochem. 157:123-28)並びに商業的に入手可能な製品を用い
る、蛍光による検出を可能にする方法を含む、シグナル増幅のための既知の非放
射能技術がある。
【0046】 スクリーニング過程には、当業に知られる方法による、低溶血活性に関するニ
ューモリソイド発現細胞の試験が含まれる(Bernheimer, A.(1988) Meth. Enz
ymol. 165:213-217)。上述のように測定されたニューモリシン(天然または修 飾)発現に関し陽性のコロニーから増殖させた培養のアリコットを用い、96ウェ
ルU底マイクロタイタープレートで、微量アッセイを行ってもよい。アリコット を抽出し、そしてポリペプチド含量に関し規準化してもよい。抽出物をさらに遠
心分離してもよく、そして生じたペレット細胞破片および上清を別々に解析して
もよい。上清中のニューモリソイド発現のさらなる同定は、可溶性分画における
入手可能性を示す。
【0047】 細胞溶解物のアリコットを得て、遠心分離により沈澱させ、そして上清または
ペレットを活性に関し解析してもよい。活性に関するペレットのスクリーニング
は、尿素などの変性剤による可溶化の後、可溶性種に関し記載されたように行わ
れる連続希釈を伴う。この方法を用い、タンパク質はリフォールディングを経験
し、そしてもし存在するならば活性を検出することが可能である。
【0048】 陰性活性結果は、不活性リフォールディングポリペプチドまたは不適切にリフ
ォールディングしたポリペプチドを暗示する。これらの2つの状態の間を区別す るため、第二のスクリーニング過程を用いてもよい。活性陰性クローンを変性さ
せ、イオン交換クロマトグラフィーカラムに装填する前にリフォールディングさ
せる。野生型ニューモリシンと同様の溶出パターンを有する突然変異体を、さら
にゲル濾過クロマトグラフィーにより解析し、そして野生型ニューモリシンと同
様のストークス半径(Stokes radius)の単量体種を選択する。
【0049】 選択されたクローンの修飾ニューモリシンをコードする挿入核酸配列を、従来
技術において通常用いられるいかなる方法により配列決定してもよく、そして対
応するアミノ酸配列を推定してもよい。 B. 修飾ニューモリシンポリペプチド 1. 溶血活性の減少 本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドは、非溶血性または実質的に非溶血
性であり、そしてなお天然ポリペプチドに対して向けられる抗体に結合する、少
なくとも1つのエピトープを維持する、ポリペプチドである。こうした溶血活性 は、ニューモリシンの毒性に関与するため、したがって修飾ニューモリシンは、
天然ニューモリシンより毒性が低いとも予想されるであろう。本発明の修飾ニュ
ーモリシンポリペプチドは、肺炎連鎖球菌14型野生型ニューモリシン(図3)と 比較して、好ましくはN末端から始まる最初の257アミノ酸内に、少なくとも1つ の突然変異を含む。溶血アッセイにより測定されるように、1つのアミノ酸のよ うに少ない修飾がほとんどまたは顕著でない毒性を有する修飾ニューモリシンポ
リペプチドを生じるために必要とされる。したがって、61、148および195位のい
かなる1つまたはそれ以上の置換も、減少した溶血活性を有するポリペプチドを 生じる可能性がある。アミノ酸61、148および195に対する好ましい置換は、以下
の表1に示される。
【0050】
【表1】
【0051】 これらの好ましい位での好ましいもの以外のアミノ酸、例えば中性pHで同様の
電荷を有するものでの置換もまた、本発明の範囲内である。したがって、61位の
セリンのヒドロキシプロリンでの置換;148位のメチオニンのアルギニンまたは ヒスチジンでの置換;195位のフェニルアラニンのロイシン、グリシンまたはア ラニンでの置換が、他の可能な置換の限定されない例である。
【0052】 単一置換は溶血活性を減弱するのに十分である可能性があるが、こうした減少
はまた、単一のポリペプチドのアミノ酸の特定の群において置換することにより
達成してもよい。例えば、33、46、83、239および257位のアミノ酸の単一ポリペ
プチドにおける集団置換は、ニューモリシンの特性を有するが、減少した溶血活
性を持つポリペプチドを生じる。好ましい置換が表2に示される。
【0053】
【表2】
【0054】 上述の電荷に関する同様の考慮に基づき、単一置換と同様、好ましいものに加
え、他のアミノ酸でもまた置換してもよく、セリンおよびスレオニンを互いに置
換してもよく、そして上に列挙されたものなど他の中性アミノ酸を257位のAspに
対し置換してもよい、さらなる限定されない例がある。
【0055】 溶血活性を減少するまたは除去するのに効果的である、上に開示された置換に
加え、天然ニューモリシンに結合する抗体に結合することが可能である、少なく
とも1つのエピトープが保持されているならば、他の置換もまた作成されてもよ いことが理解されなければならない。置換されてもよいが、単独では溶血活性を
減少させないアミノ酸残基の限定されない例には、17、18、33、41、45、46、63
、66、83、101、102、127、128、172、189、239、255および257位のものが含ま れる。これらの位での置換の例には、限定されるわけではないが、表3に示され るものが含まれる。これらの部位は、溶血活性の減少に関与しないため、これら
の位は、大きさおよび電荷をあまり考慮せず、より自由に置換してもよいことが
期待される。
【0056】
【表3】
【0057】 上述のアミノ酸置換は、包括的ではなく、そして本発明の方法にしたがい同定
される他の修飾ニューモリシンポリペプチドもまた、本発明の範囲内であること
が理解されるべきである。
【0058】 天然ニューモリシンポリペプチドの抗原性特性が、単一点修飾型により保持さ
れる可能性がより高いため、天然ニューモリシン配列の単一点突然変異が好まし
い。あるいは、多数の突然変異の組み合わせを用いてもよい。
【0059】 しかし、多数の突然変異はときに、予測不可能である。該突然変異は、ある場
合には、共同で作用し、活性を阻止する可能性があるか、またはフォールディン
グ中の補償(compensation)機構に関与する可能性がある。これらの理由により
、単一点突然変異は有利であると見なされる。
【0060】 スクリーニング過程は実質的に全長である修飾ニューモリシンポリペプチドを
同定することに基づくが、本発明はまた、成熟ニューモリシンに結合する抗体に
より認識される、少なくとも1つのエピトープを保持するならば、修飾ニューモ リシンポリペプチドの断片または一部切除(truncated)型も含む。さらに、こ うした断片または一部切除型が、T細胞依存性免疫反応を生じる多糖・ポリペプ チド複合体を産生するために十分な大きさであることが好ましい。
【0061】 本発明のニューモリソイドタンパク質の溶血活性は、ニューモリソイドが実際
どのように用いられたかに依存して、広範囲に渡り異なる可能性がある。例えば
、減少した溶血活性のニューモリソイドの結合は、こうした活性を、許容される
レベルまでさらに減少させる可能性がある。逆に、別の構成要素と結合していな
いかまたは切断されている可能性があるニューモリソイドが個体に導入される場
合、可能な限り最低検出可能レベルに近いように、溶血活性が減少されているこ
とが望ましいであろう。こうした目的には、約0.2%および約0.5%の間の溶血活性
レベル、またはより好ましくは約0.2%が適当である。ある程度の溶血活性が許容
される場合、またはこうした活性が、例えば多糖への結合により、さらに減弱さ
れる可能性がある場合、より高い溶血活性レベル、すなわち約0.5%から約25%、 またはより好ましくは約1%および約10%の間が許容される可能性がある。 2. タンパク質構造 以前の研究は、PLYのC末端が細胞結合部位を含むことを報告している(Owenら
, 1994 FEMS Microbiol. Let. 121, 217-221)。本発明の突然変異誘導研究は、
オリゴマー化ドメインを含むと報告されているN末端に重点を置いていた。赤血 球を特定の突然変異体とプレインキュベーションすると、野生型溶血活性が濃度
依存的様式で阻止されたという知見は、これらの突然変異体が実際、細胞結合部
位に関し、野生型対応物と競合することが可能であることを示す。該突然変異体
は野生型活性を阻害するため、これらの突然変異体は、野生型ニューモリシンの
構造的特徴を保持している可能性がある。突然変異型における細胞結合ドメイン
の保存は、特にpNV103およびpNV207の場合、ELISA阻害アッセイで立証されるよ うに、これらの突然変異体がまた野生型分子の免疫学的特性も示すため、重要で
ある。さらに、これらの突然変異体に対して生成された抗体は、野生型対応物の
溶血活性を中和する能力を持つことも、これらが天然に似た構造を持つ、さらな
る証拠である。
【0062】 野生型ニューモリシンおよび選択された突然変異体の構造的特徴および完全性
(integrity)はまた、円二色性および蛍光分光学によっても評価されてきてい る。これらの技術は、これらのタンパク質の二次および三次構造に対する定性的
および定量的情報の両方を提供するという特有の利点を提供する。野生型ニュー
モリシンは、β−シート構造の高い含量、本研究において選択されたすべての突
然変異体の遠紫外線CDスペクトルにおける主要な特徴により特徴付けられる。ス
ペクトルの形状およびデコンボリューション(deconvolution)解析は、天然肺 炎球菌ニューモリシンと構造的および機能的に同等であった、大腸菌の可溶性分
画から精製された組換えニューモリシンに対する以前の研究と一致している(Mi
ctchellら, 1989 Biochem. Biophys. Acta 1007, 67-72)。同様に、近紫外線CD
および蛍光スペクトルは、Trp残基を含む天然構造と一致しており(Morganら, 1
993 Biochem. J. 296, 671-674)、290 nmの励起に際し、〜345 nmでの発光最大
により立証されるように、側鎖が部分的に溶媒に曝露されている。〜280 nmでの
最小楕円率および〜290 nmでの最大楕円率により特徴付けられる特有の近紫外線
CDスペクトルは、この(Morganら, 1993)および他の細胞溶解素(cytolysin) 、例えばパーフリンゴリシン(perfringolysin)(Nakamuraら, 1995 Biochemis
try 34, 6513-6520)の指紋を代表する。こうしたもののように、この特徴的な 分光学的指紋は、特にワクチン候補の構成要素として選択される突然変異体に関
し、バッチ間の一致の続く評価に関する有用な基準測定を代表する可能性がある
。 C. 修飾ニューモリシンをコードする核酸分子 本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドは、好ましくは、修飾ポリペプチド
をコードする核酸分子で形質転換された宿主微生物において、該核酸分子を発現
することにより、合成される。したがって、本発明はまた、上に論じられた修飾
ニューモリシンをコードするDNAおよびRNAを含む、核酸分子もまた含む。
【0063】 本発明のポリペプチドをコードするDNAを用い、多様なベクターを用い多様な 宿主細胞において組換えポリペプチドを発現してもよい。宿主細胞は原核でも真
核でもよい。天然野生型ニューモリシンに対するDNAを、肺炎連鎖球菌などの天 然供給源から得てもよいし、またあるいは合成してもよい。野生型DNAをその後 、上述のように、修飾の出発原料として用い、本発明の修飾ニューモリシンポリ
ペプチドをコードするDNAを得てもよい。ひとたび望ましい修飾ニューモリシン ポリペプチドをコードすると同定されたら、こうしたポリペプチドをコードする
DNAをその後、発現のため、多様なベクターにクローンしてもよい。あるいは、 こうしたポリペプチドをコードする遺伝子はまた、全体的または部分的に合成し
てもよい。
【0064】 1つの態様において、本発明は、微生物において修飾ニューモリシンポリペプ チドを発現する方法であって、産生されるポリペプチドが形質転換微生物におい
て発現される総タンパク質の約2%より多くを構成するように、微生物を修飾ニ ューモリシンポリペプチドをコードする遺伝子を含むベクターにより形質転換す
る前記方法に関する。さらに別の態様において、発現される修飾ニューモリシン
ポリペプチドは、大腸菌で発現される総タンパク質の約40%より多くを構成する
【0065】 クローニングベクターは、染色体、非染色体および合成DNA配列の部分を含ん でもよい。いくつかの適切な原核ベクターの限定されない例には、大腸菌由来の
プラスミド、例えばcolE1、pCR1、pBR322、pMB9、およびRP4が含まれる。原核ベ
クターにはまた、ファージDNA、例えばM13、fd、および他の繊維状一本鎖DNAフ ァージの誘導体もまた含まれる。
【0066】 修飾ニューモリシンポリペプチドは直接または融合構築物として発現させても
よい。融合構築物の2つの限定されない例は、慣用法により単離しそして精製す ることが可能な、チオ融合(Thiofusion)およびHisタグである。細菌、特に大 腸菌でタンパク質を発現するためのベクターもまた知られている。こうしたベク
ターには、限定されるわけではないが、pK233(またはプラスミドのtacファミリ
ーのいかなるものでもよい)、pT7、およびラムダpSKFが含まれる。融合タンパ ク質を発現するベクターの例には、J. Biol. Chem. 260:1513-1520にDieckmann およびTzagoloff(1985)により記載されるPATHベクターが含まれる。これらの ベクターは、アントラニル酸合成(TrpE)をコードするDNA配列の後にカルボキ シ末端のポリリンカーを含む。融合構築物の2つの限定されない例は、慣用法に より単離しそして精製することが可能な、チオ融合およびHisタグである。他の 発現ベクター系はβ−ガラクトシダーゼ(pEX);マルトース結合タンパク質(p
MAL);およびグルタチオンS−トランスフェラーゼ(pGST)に基づく((1988)
Gene 67:31および(1990) Peptide Research 3:167を参照されたい)。Ausube
lら、上記を参照されたい。
【0067】 酵母で有用なベクターもまた、入手可能である。適切な例は、YIp、YRp、YCP 、YEpおよびYLpプラスミドである。Ausubel、同上を参照されたい。
【0068】 哺乳動物細胞で用いるのに適したベクターもまた知られている。こうしたベク
ターには、SV-40、アデノウイルス、レトロウイルス由来DNA配列の周知の誘導体
並びにプラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクターが含まれ る。真核発現ベクターに関するさらなるベクターが、例えば、P.J. Southernお よびP. Berg(1982) J. Mol. Appln. Genet. 1:327-341;S. Subramaniら(198
1) Mol. Cell. Biol. 1:854-864;R.J. KaufmannおよびP.A. Sharp(1982) J.
Mol. Biol. 159:601-621;R.J. KaufmannおよびP.A. Sharp(1982) Mol. Cell
. Biol. 159:601-664;S.I. Scahillら(1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
0:4654-4659;G. UrlaubおよびL.A. Chasin(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 77:4216-4220に報告されている。
【0069】 好ましいベクターの例はプラスミドであり、そしてT7誘導可能プロモーターを
含むプラスミドのいくつかの限定されない例には、発現プラスミドpET-17b、pET
-11a、pET-24a-d(+)およびpET-9aが含まれ、これらはすべてNovagen(565 Scien
ce Drive, Madison, Wis 53711)から商業的に入手可能である。これらのプラス
ミドは、機能可能であるように連結された、T7プロモーター、所望によりlacオ ペレーター、リボソーム結合部位、構造遺伝子の挿入を可能にするための制限部
位およびT7ターミネーター配列を順に含む。Novagenカタログ(1993)の36−43 を参照されたい。
【0070】 有用な発現宿主には、周知の原核および真核細胞が含まれる。いくつかの適切
な原核宿主には、例えば、大腸菌BL21(DE 3)、大腸菌SG-936、大腸菌HB 101、
大腸菌W3110、大腸菌X1776、大腸菌X2282、大腸菌DHI、および大腸菌MRC1などの
大腸菌、シュードモナス属(Pseudomonas)、および緑膿菌などのバチルス属(B
acillus)、およびストレプトミセス属(Streptomyces)が含まれる。適切な真 核細胞には、サッカロミセス属(Saccharomyces)などの酵母および他の真菌、 昆虫、COSおよびCHO細胞などの動物細胞、ヒト細胞および組織培養中の植物細胞
が含まれる。
【0071】 好ましい態様において、大腸菌株BL21(DE3)を使用する。上述のプラスミド は、本株に形質転換してもよい。
【0072】 望ましいベクターで形質転換された大腸菌の選択は、非形質転換細胞には有毒
な選択培地での増殖を含む、標準的選択プロトコルを用い、達成してもよい。例
えば、大腸菌を、例えばアンピシリンなどの大腸菌が感受性であるいかなるβ−
ラクタムでもよい選択剤を含む培地で増殖させる。pET発現ベクターは、形質転 換生物に抗生物質耐性を与える選択可能マーカーを提供する。
【0073】 修飾ニューモリシンポリペプチドの高レベル発現は、大腸菌に毒性がある可能
性がある。驚くべきことに、本発明は、大腸菌において、総細胞タンパク質の少
なくとも約40%のレベルまで発現する可能性がある修飾ニューモリシンポリペプ
チドの選択を可能にする。
【0074】 特に、翻訳されるアミノ酸が、選択されるクローンの配列に基づいて予測され
る、同定されるアミノ酸と同一である場合、選択過程で同定されなかった、さら
なるヌクレオチド突然変異を作成してもよい。さらに、特に同定されるポリペプ
チドが他のアミノ酸置換を示す場合、保存的アミノ酸置換をコードするヌクレオ
チド変化を作成してもよい。保存的アミノ酸置換は当業に知られ、そして「同様
の」アミノ酸の置換を代表する。考慮には、限定されるわけではないが、極性、
疎水性、大きさおよび側鎖構造が含まれる。
【0075】 本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドは、毒性がなく、または実質的に毒
性がなく、そしてなお天然ニューモリシンに向けられる抗体に結合する、少なく
とも1つのエピトープを保持するポリペプチドである。本発明の修飾ニューモリ シンは、野生型ニューモリシンと比較して、好ましくはN末端から始まる最初の2
57アミノ酸内に、少なくとも1つの突然変異を含む。修飾ニューモリシンは改変 されていてもよく、ここで野生型ニューモリシンの残基部位17、18、33、41、45
、46、61、63、66、83、101、102、127、128、148、172、189、195、239、243、
255、257、286または446の1つ、または1つ以上に存在するアミノ酸が置き換えら
れ、除去され、または遮断される。上に論じられるように、本明細書に援用され
るPCT WO 90/06951に開示される、残基部位367、379、384、385、397、428、433
、434または435でのものなど、他の既知の修飾ニューモリシンポリペプチドから
、さらなる修飾を組み込んでもよい。本明細書に開示される、本発明のアミノ酸
置換に加え、ニューモリシンに関し報告されている他のアミノ酸置換(Hillら(
1994) Infection and Immunity 62, 757-758)もまた、本明細書に記載される 方法により決定されるように、それらがニューモリシンのリフォールディングを
可能にするならば、本発明に用いてもよい。Hillらは、各々75%、100%、75% および2%の溶血活性を生じる、4つのN末端領域突然変異、Arg-31→Cys、Leu-75
→Phe、Val-127→GlyおよびHis-156→Tyrを報告している。彼らはまた、各々100
%、<1%、50%および100%の溶血活性を生じる、4つのC末端領域突然変異、Ala
-432→Val、Trp-433→Arg、Trp-436→ArgおよびVal-468→Leuも報告している。 しかし、これらのいかなる突然変異でもよい突然変異が不適切にリフォールディ
ングしたニューモリソイドを生じたならば、これらが用いられないことが好まし
い。ニューモリシンの好ましい修飾は残基部位61、148または195でのものであり
、そして最も好ましいのは残基195でのものである。さらに、部位33、46、83、2
39および257での修飾の組み合わせもまた、好ましい。
【0076】 特定の変化を、当業に知られる部位特異的突然変異誘発のいかなる方法により
、天然ニューモリシン配列に導入してもよい。好ましい態様において、配列内に
望ましいヌクレオチド置換をコードするオリゴヌクレオチド増幅プライマーを用
い、PCRを行ってもよい。
【0077】 あるいは、化学合成により、修飾ニューモリソイドポリペプチドを構築しても
よい。(Kentら, Adv. Exp. Med. Biol., 1995, 362, 425-438)。こうした合成
を用い、ニューモリソイドのすべてまたは一部を作成してもよい。部分的合成の
場合、当業に知られる、または本明細書に解説される方法により調製された、ニ
ューモリソイドペプチドの適切な部分に、合成ペプチドを共有結合させ、半合成
ニューモリソイドを生成してもよい。 D. ワクチンおよび抗体調製 本発明はまた、ワクチンおよび抗体調製にも向けられる。本発明にしたがい、
上述の発現された修飾ニューモリシンあるいはその誘導体またはその断片を免疫
原として用い、ニューモリシンに対し反応性である抗体を生成してもよい。 1. 抗体 上述のポリペプチド発現に関する組換え技術は、本発明の核酸配列に基づき、
豊富な量の本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドの産生に備える。これによ
り、修飾ニューモリシンポリペプチドに対して反応性である抗体の生成が容易に
なる。しかし、該ポリペプチドはまた、化学的方法またはそれらの組み合わせに
より合成してもよいことが理解されなくてはならない。
【0078】 別の態様において、修飾ニューモリシンポリペプチドに対して向けられる抗体
は、当業に周知のいかなる技術により生成されてもよい。1つのアプローチによ れば、抗体は、宿主動物に、単離修飾ニューモリシンポリペプチド調製あるいは
その誘導体または断片を注射することにより、生成してもよい。宿主動物は、限
定されるわけではないが、ラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、またはヒト
であってもよい。免疫学的反応を、当業に知られるアジュバントの使用により、
増加させてもよい。
【0079】 修飾ニューモリシンポリペプチドに対して向けられるモノクローナル抗体もま
た、当業に周知のいかなる技術により調製してもよい。1つの方法によれば、連 続ハイブリドーマ細胞株の培養が用いられる(KohlerおよびMilstein(1975) N
ature 256:495-497)。修飾ニューモリシンポリペプチドに対して向けられるモ ノクローナル抗体は、当業に周知のいかなる技術であってもよい技術により作成
される、ヒトモノクローナル抗体でも、またはキメラモノクローナル抗体でもよ
い。1つのアプローチによれば、ヒト定常部と組み合わせた非ヒト(例えばマウ ス)抗原結合ドメインを有するキメラモノクローナル抗体を生成してもよい(Ta
kedaら(1985) Nature 314:452)。
【0080】 修飾ニューモリシンポリペプチドに対して向けられる抗体は、当業に周知のい
かなる技術により精製してもよく、これには限定されるわけではないが、免疫吸
着または免疫アフィニティークロマトグラフィー、あるいは他のクロマトグラフ
ィー法(例えば、HPLC、ゲル濾過またはイオン交換)が含まれる。抗体はまた、
血清、血漿または細胞培地から免疫グロブリン分画として精製してもよい。
【0081】 本発明の抗体分子は、損なわれていない(intact)免疫グロブリン分子、実質
的に損なわれていない免疫グロブリン分子、または抗原結合部位を含む免疫グロ
ブリン分子の一部、例えばFab断片であってもよい。
【0082】 修飾ニューモリシンポリペプチドに対して向けられる抗体断片は、当業に周知
のいかなる技術により生成してもよい。(Campbell(1985) Laboratory Techni
ques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 13, Burdonら(監修), E
lsevier Science Publishers, アムステルダム)。 2. 複合体分子 本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドを用い、単独でまたは多糖などの他
の免疫原性分子に結合している際、個体において肺炎連鎖球菌に対する抗体反応
を誘発してもよい。他の免疫原性分子は、肺炎連鎖球菌から、またはそれに対し
免疫反応を生成するのが望ましい異なる感染病原体から由来してもよい。好まし
くは、修飾ニューモリシンが結合する他の免疫原性分子は、病原性細菌由来の莢
膜または非莢膜多糖である。こうした細菌には、好ましくは1−23型の肺炎連鎖 球菌の多様な血清型と共に、例えば:インフルエンザ菌b型;髄膜炎菌A、Bまた はC群;B群型Ia、Ib、II、III、V、およびVIIIを含む多様な血清型のBまたはA群
連鎖球菌;が含まれる。肺炎連鎖球菌血清型3、4、6b、9v、14、18c、19fおよび
23が最も好ましい。ニューモリソイドに結合するのに用いるこうした多糖はまた
、より効果的にするため、または内因性エピトープへの交差反応性を減少させる
ため、それ自体修飾されてもよい。例えば、B群髄膜炎菌多糖への修飾に関し本 明細書に援用される、Jenningsら、米国特許第4,727,136号、第5,576,002号、国
際出願第WO 96/40239号として公表されている米国特許出願第08/484,569号を参 照されたい。
【0083】 どのような結合方法を使用して、多糖構成要素を修飾ニューモリシンポリペプ
チドと結合してもよい。好ましい方法は、米国特許第4,356,170号に記載される ものであり、すなわち、末端アルデヒド基を(シスに隣接した水酸基の酸化を介
し)多糖内に導入し、そして還元性アミノ化によりアルデヒド基をポリペプチド
のアミノ基にカップリングすることによる。それにより、多糖および修飾ニュー
モリシンポリペプチドは、−CH2−NH−ポリペプチド連結を通じ連結される。
【0084】 しかし、本発明の複合体ワクチンは、還元性アミノ化を介し産生されるものに
限定されないことが理解されるべきである。したがって、ワクチンはまた、Schn
eerson, R.ら(1980) J. Exp. Med. 1952:361-476により、そして米国特許第4,
644,059号に記載されるように、アジピン酸ジヒドラジドスペーサーを用い、多 糖を修飾ニューモリシンポリペプチドに結合させることにより、産生してもよい
。あるいは、Marburg, S.ら(1986) J. Am. Chem. Soc. 108:5282-5287に記載 されるように、Merckにより開発されたバイナリースペーサー技術を用いてもよ いし、または、還元末端方法論を用いることも可能である。
【0085】 本発明にしたがい調製された複合体分子は、典型的には、少なくとも1つの多 糖構成要素が結合している、少なくとも1つの本発明の修飾ニューモリシンポリ ペプチドを含む。したがって、本発明は、複合体分子を産生する能力を提供し、
ここで、ポリペプチドは少なくとも2つの部位を通じ多糖と連結し、架橋(cross
-linked)複合体を生成する。
【0086】 本発明のワクチンは、能動または受動免疫を提供してもよい。能動免疫を提供
するワクチンは、本発明の精製修飾ニューモリシンポリペプチドを含む。好まし
くは、本ワクチンのポリペプチドは、表1に示されるような野生型ニューモリシ ンアミノ酸配列におけるアミノ酸置換の少なくとも1つを含む。
【0087】 本発明の別の態様において、本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドに対し
て向けられる抗体は、宿主個体から別の個体に免疫を与えるため(すなわち肺炎
連鎖球菌に対する個体の免疫反応を増大するため、またはAIDS患者を含む免疫無
防備または免疫喪失個体において反応を提供するため)、治療的または予防的適
用の薬剤調製として用いてもよい。抗体の受動移植(passive transfer)が当業
に知られ、そしていかなる既知の方法により達成されてもよい。1つの方法によ れば、本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドまたはその複合体は、免疫適格
宿主(「ドナー」)動物において生成され、該宿主動物から採取され、そしてレ
シピエント個体に移入される。例えば、ヒトドナーを用い、本発明の修飾ニュー
モリシンポリペプチドまたは複合体に対して反応性である抗体を生成し、治療の
必要があるヒトレシピエントに治療的にまたは予防的に有効な量で抗体を移入し
、それにより、ドナーが複合体で免疫されていたならば、ニューモリシン毒素に
対してだけでなく、肺炎連鎖球菌および多糖構成要素により誘発される抗体に結
合する細菌に対する耐性をレシピエントに与えてもよい。 E. 薬剤組成物 本発明の薬剤組成物は、修飾ニューモリシンポリペプチド、修飾ポリペプチド
を含む複合体分子または本発明の修飾ニューモリシンポリペプチド組成物の1つ により誘発される抗体を含む組成物を含んでもよい。これらの薬剤組成物は、ワ
クチンとして特に有用である。
【0088】 受動免疫を誘発するためには、薬剤組成物は、ポリクローナル抗体またはモノ
クローナル抗体あるいは上述のようなそれらの誘導体または断片からなってもよ
い。抗体、断片、または誘導体の量は、標準的臨床技術により決定されるように
、治療的または予防的に有効な量であろう。
【0089】 本発明の薬剤調製は、効果的であることが当業に知られる方法により、個体に
導入してもよい。皮内、腹腔内、静脈内、皮下、筋内、経口、または鼻腔内が含
まれるが、導入経路はこれらのみではない。
【0090】 本発明の組成物は、限定されるわけではないが、生理的食塩水または他の注射
可能液体など、いかなる適切な薬学的に許容されるキャリアーであってもよいも
のを含む、当業者に知られる標準的キャリアー、緩衝液または保存剤を含んでも
よい。例えば、ラクトースまたはソルビトールなどの安定剤、およびリン酸、水
酸化、または硫酸アルミニウムおよびステアリルチロシンなど免疫原性反応を高
めるアジュバントなど、ワクチンに慣例である添加物もまた存在してもよい。本
発明にしたがい産生されるワクチンはまた、多数の感染性病原体に対する免疫反
応を誘発する、多価ワクチンの構成要素として用いてもよい。
【0091】 本発明のワクチンは、免疫原性反応の一部として、抗体の産生を誘発するのに
十分な量で投与される。投薬量は、ワクチンを受ける個体の大きさ、体重または
年齢に基づき調整してもよい。個体における抗体反応を、抗体力価または殺細菌
活性に関しアッセイすることによりモニターし、そして反応を高める必要があれ
ば追加免疫してもよい。典型的には、単回用量は約0.1から10μg/kgである。 F. 診断キット 別の好ましい態様において、本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドあるい
はその誘導体または断片を用い、ニューモリシン毒素を含まないが、なお肺炎連
鎖球菌に対して向けられる抗体の存在を示すことが可能である、より安全な診断
キットを産生してもよい。こうした抗体の存在は、病原体に以前曝露されたこと
を示し、そして感染に耐性である可能性がある個体を予測することが可能である
。抗体反応は、限定されるわけではないが、ELISAアッセイを含む、当業に記載 されるいかなる方法により、同定してもよい。こうした知識は重要であり、そし
て不必要なワクチン接種を避けることが可能である。診断キットは、本発明の修
飾ニューモリシンポリペプチドあるいはその誘導体または断片の少なくとも1つ 、および該修飾ポリペプチドあるいは誘導体または断片がニューモリシンに対し
て向けられる抗体を含む試料と混合された際の、抗体反応の検出に適した試薬を
含んでもよい。
【0092】 あるいは、診断キットはさらに、固体支持体あるいは磁気ビーズまたはプラス
チックマトリックス、および本発明の修飾ニューモリシンポリペプチドあるいは
その誘導体または断片の少なくとも1つを含んでもよい。
【0093】 ある場合には、該ポリペプチドあるいは誘導体または断片が標識されているこ
とが好ましい可能性がある。標識剤は当業に周知である。例えば、標識剤には、
限定されるわけではないが、放射能、化学発光、生物発光、発光、または慣用的
な解析のための他の同定「タグ」が含まれる。体液または組織試料(例えば血液
、血清、唾液)を回収し、そして精製し、そして診断キットに適用してもよい。
ニューモリシンポリペプチド、誘導体(ニューモリソイド)または断片は精製し
ても、精製しなくてもよく、そして分子の混合物からなってもよい。試料中の抗
体は、ニューモリシンと反応してもしなくてもよい。
【0094】 固体支持体は当業に知られ、そして入手可能であり、そして限定されるわけで
はないが、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、
あるいは試験管、ビーズ、微小粒子、ディップスティック(dip-stick)、プレ ートまたはそれらに匹敵するものの形状のいかなる固体プラスチック成分も含む
。さらなるマトリックスには、限定されるわけではないが、96ウェルマイクロタ
イタープレート、試験管およびエッペンドルフチューブが含まれる。一般的に、
こうしたマトリックスは、リガンド結合剤が結合している可能性があるいかなる
表面を含んでもよいし、またはそれ自体がリガンド結合部位を提供する表面を含
んでもよい。
【0095】 本明細書に引用されるすべての刊行物、特許および論文は、完全に本明細書の
一分に含まれるものとする。以下の実施例は本発明を例示するために示され、ど
のような意味でも本発明の範囲に対する限定として見なされるべきではない。当
業者は、本発明の範囲内の他の置換を容易に認識するであろう。
【0096】
【実施例】
材料および方法 細菌株およびプラスミド。
【0097】 肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型
14(ATCC,ロックビル,MD)を、ゲノムDNAを単離するこの実験で用
いた。大腸菌(E.Coli)菌株DH5α(Life Technologi
es,ゲイサーズバーグ,MD)を、プラスミドDNAの最初のクローニングお
よび製造に用いた。タンパク質発現に用いられた大腸菌株BL21(DE3)Δ
ompAは、BL21(BE3)(Novagen)に由来した(詳細について
は米国特許第5,439,808号を参照されたい)。肺炎連鎖球菌を37℃の
Todd−Hewitt(TH)ブイヨン中において7.5%CO2下で振とう することなく増殖させた。大腸菌株を、必要に応じてカルベニシリン(50−1
00μg/ml)またはカナマイシン(50μg/ml)を補足したLuria
−Bertani(LB)ブイヨン中で増殖させた。プラスミドベクターpUC
−19および/またはpBluescriptII SK+(Stratage
ne)を、配列決定されるフラグメントをクローニングするのに用い、プラスミ
ドpET−17bおよびpET−24a(Novagen)を、発現されるフラ
グメントをクローニングするのに用いた。
【0098】 SDS−PAGE。 タンパク質試料を次のように調製した。1.5ml画分を培養物から集め、細
胞を遠心分離によって採取した。それら細胞を150μlのタンパク質負荷緩衝
液中に再懸濁させ、5分間沸騰させて細胞を溶解させた。細胞破片を遠心分離に
よって除去し、それぞれの上澄み10μlを、低分子量標準(Bio−Rad)
と一緒に8−16%勾配のトリス−グリシン“Laemmli”ポリアクリルア
ミドゲル(Novex)によって電気泳動させた。或いは、溶血活性の分析用に
調製された粗製抽出物をタンパク質負荷緩衝液で1:1に希釈し、10〜15μ
lをそのゲル上に載せた。タンパク質バンドは、クーマシーブルー染色で可視化
された。 実施例1 ニューモリシンの発現 所望の遺伝子を含有するpET−17bまたはpET−24aで形質転換され
た大腸菌株BL21(DE3)Δompaを、0.4%グルコースおよび100
μg/mlのカルベニシリン(pET−17b構築物のために)または50μg
/mlのカナマイシン(pET−24a構築物のために)を補足したLB中にお
いて30℃で中程度に通気しながら増殖させた。OD600が0.6に達した時点 で、IPTGを0.4mM(pET−17b構築物のために)1mM(pET−
24a構築物のために)の最終濃度まで加え、それら細胞をスクリーニングする
ために更に2時間、またはより大規模に生産するために5時間インキュベートし
た。ニューモリシンレベルについて検定するために、誘導の前および誘導後の様
々な時点で1.5mlアリコートを取出し、SDS−PAGEによって調べた。 実施例2 肺炎連鎖球菌血清型14のニューモリシン遺伝子のクローニング。
【0099】 ゲノムDNAを、上記の方法を用いて約0.5gの肺炎連鎖球菌血清型14か
ら単離した。このDNAは、標準的なPCR反応で2種類のニューモリシン特異
的オリゴヌクレオチドの鋳型として役立つ。これらオリゴヌクレオチドは、肺炎
連鎖球菌血清型2からのニューモリシン遺伝子の5′および3′フランキング領
域に相補的であるように、しかも所望ならば、そのフラグメントのクローニング
を容易にするXbaI制限部位を含有するように設計された。前進オリゴヌクレ
オチドの配列は、5′ AAC CTT GAT TGA TCT AGA T
AA GGT ATT TAT GTT GG 3′であり、復帰オリゴヌクレ
オチドは、5′ TCT TTT TGT CTC TAG AAT TCT
CCT CTC CTA GTC 3′の配列を有した。PCR反応条件は次の
ようであった。200ngの肺炎連鎖球菌14型ゲノムDNA、各1μMの上記
の2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、200μMの各dNTP、PCR反
応緩衝液(10mMトリスHCl,50mM KCl,pH8.3)、1.5m
M MgCl3および2.5単位のTaqポリメラーゼ、およびdH2Oで100
μlまでの十分量。次に、この反応混合物に、95℃で1分間、50℃で2分間
および72℃で1.5分間を25サイクル施した。サイクル時間の最後に、その
反応混合物を1.0%アガロースゲル上に載せ、その材料を2時間電気泳動させ
、その後、1.7kbのバンドを取出し、そのDNAを、GeneClean(
登録商標)(Bio 101)を用いて回収した。次に、このDNAをXbaI
で消化し、再度精製し、そしてT4 DNAリガーゼを用いてXbaI消化pU
C−19に連結させた。その連結混合物を用いてコンピテント大腸菌DH5αを
形質転換させた。組換え体プラスミドを確認し、配列決定したが、多くは、ニュ
ーモリシンをコードしている遺伝子のDNA配列と一致するDNA配列を有する
ことが判明した。 実施例3 大腸菌でのニューモリシンの発現。
【0100】 成熟ニューモリシンタンパク質を発現できるプラスミドを、ニューモリシンコ
ーディング領域を単離するように設計された重なりオリゴヌクレオチドを用いて
、完全長さニューモリシン遺伝子(pST20、pST85または14型ゲノム
DNA)を含有するDNAを増幅させることによって構築した。前進オリゴヌク
レオチドは、NdeI部位を含有するように設計されており、コーディング領域
の5′末端に出発コドンを備えていると考えられる。このプライマーは、5′
TAT TAG GAG GAG CAT ATG GCA AAT AAA
GCA GTA AAT G 3′の配列を有した。復帰オリゴヌクレオチドは
、XhoI部位を含有するように設計されており、5′ GGC CTC TT
T TTG TCT CGA GCA TTC TCC TCT CCT AG
T C 3′の配列を有した。この戦略は、成熟ニューモリシンをコードしてい
るフラグメントを、pET−17bかまたはpET−24aのNdeIおよびX
hoI部位中にクローニングすることを可能にした。標準的なPCRは、完全な
ニューモリシン遺伝子(1型、2型および14型)を含有する鋳型および上記2
種類のオリゴヌクレオチドを用いて行なわれた。このPCR反応は、1.0%ア
ガロースゲル上で分析した場合に1.6kb産物を生じた。そのPCR反応から
得られたDNAをゲル精製し、制限酵素NdeIおよびXhoIで消化した。そ
の1.6kb産物を再度ゲル精製し、そしてNdeIでおよびXhoIで消化さ
れたpET−17bまたはpET−24aにT4 DNAリガーゼを用いて連結
した。次に、この連結混合物を用いてコンピテント大腸菌DH5αを形質転換さ
せた。1.6kbインサートを含有するコロニーを、更に分析するために選択し
た。DH5αクローンからのDNAを制限地図作成によって分析し、それら選択
されたプラスミドのクローニング連結部を配列決定した。この分析後、DH5α
クローンから得られたDNAを用いて大腸菌BL21(DE3)ΔompAを形
質転換させた。形質転換された細菌を、100μg/mlのカルベニシリン、ま
たはpET−24aプラスミドを用いる場合は50μg/mlのカナマイシンを
含有するLB寒天上で選択した。典型的には、いくつかのクローンを、成熟ニュ
ーモリシンタンパク質を生産するそれらの能力についてスクリーニングした。 実施例4 変性ニューモリシンを生じるランダム突然変異誘発。
【0101】 アミノ酸残基1−257を含むニューモリシンをコードしている遺伝子の一部
分に、記載された技法の変法を用いてランダム突然変異誘発を行なった。(Ca
dwell,R.C.およびJoyce,G.F.(1994) PCR Me
thods Appl.3:pS136−40;Cadwell,R.C.およ
びJoyce,G.F.(1992) PCR Methods Appl.2
:28−33)。pET−24aプラスミドのT7プロモーター領域(図1aを
参照されたい)に相補的な配列5′ ATT ACG CGA CTC ACT
ATA GGG 3′を有するオリゴヌクレオチドおよび約1250bpのニ
ューモリシン遺伝子の領域(図1を参照されたい)に相補的な配列5′ ATT
ACG AAC ATT CCC TTT AGG 3′を有するオリゴヌク
レオチドを用いて、突然変異する遺伝子の領域を決定した。ランダム突然変異誘
発PCR反応条件は次のようであった。精製プラスミドpNV−19.2(10
0ng)、各1μMの上記2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、不均衡dN
TP濃度の0.2mM dGTP、0.2mM dATP、1mM dCTPお
よび1mM dTTP、PCR反応緩衝液(19mMトリス−HCl,50mM
KCl,pH8.3)、8.0mM MgCl2、0.5mM MnCl2、6
単位のTaqポリメラーゼ、およびdH2Oで100μlまでの十分量。次に、 この反応混合物に、95℃で1分間、40℃で2分間および72℃で3分間を4
0サイクル施した。PCR反応後、フラグメントをフェノール/クロロホルムで
抽出し、エタノール沈降させた。次に、そのフラグメントをNdeIおよびHi
ndIIIで消化し、ゲル精製し、そして同酵素で消化されたpNV−19.2
に連結させた。それらフラグメントを連結させた後、コンピテントBL21(D
E3)大腸菌中に形質転換した。 実施例5 毒性作用のない変性ニューモリシンを発現する変性ニューモリシンの選択。
【0102】 実施例4で記載された形質転換細胞は多数のコロニー(約104個)を生じた が、この内の400個を、評価するために無作為に選択した。この実施例で記載
の新規スクリーニング法を用いて、次の特徴を有する、すなわち、(1)溶血活
性のない、(2)実質的に完全長さ、(3)部分可溶性、および(4)封入体か
ら単離された場合にモノマーで且つリフォールディング可能である変性ニューモ
リシンポリペプチドを発現するコロニーを識別した。このスクリーニング法は、
次の工程を含んだ。
【0103】 (a)低溶血活性の存在について調べること: 微量溶血検定法を用いてクローンを評価した。溶血活性検定は、U底微量滴定
プレート中においてインキュベーション緩衝液としてTBS(トリス緩衝化食塩
水,pH7.4)を用いて行なった。1mM DTTを用いて5分間のプレイン
キュベーション時間後、2倍連続希釈を行ない、それら試料を、同一容量の同緩
衝液中に再懸濁された洗浄ヒツジ赤血球の1%懸濁液(Cappel)と一緒に
インキュベートした。それら反応は室温で時間の関数として行なわれ(速度論的
実験)、赤血球溶解の程度を目視検査によって監視した。評価されたクローンを
それぞれ0−5に評点した。ゼロの等級は溶血活性のないことを示すが、4−5
の等級は、野生型レベル以上の溶血活性を示した。0、1、2の評点を有する2
00クローンを選択し、他の所望の性質について再度スクリーニングした。
【0104】 (b)完全長さニューモリシンポリペプチドの発現について調べること: ポリペプチド発現検定は96ウェル形式で行なった。低溶血活性を有するコロ
ニーを、SDS−PAGEによって約53,000ダルトンの分子量を有する強
いバンドの存在について評価した。完全長さニューモリシンは、約53kDの分
子量を有する。200クローンの内58がこの検定で陽性であると判明した。こ
れらクローンを更に選択するために集めた。
【0105】 (c)可溶性画分中の変性ニューモリシンポリペプチドの発現について調べる
こと: 可溶性画分および封入体の双方で発現された変性ニューモリシンポリペプチド
は、リフォールディング可能であると考えられる。溶血活性を欠いたまたは低活
性を示した突然変異体ニューモリシン配列を含有するプラスミドを含んでいる2
時間IPTG誘導された大腸菌細胞からの培養物10mlを採取し、TEN緩衝
液1.5ml中に再懸濁させたが、それら細胞を、その上澄みが、満足すべき溶
解を示すBradfordタンパク質検定によって示される有意のタンパク質レ
ベルを示すまで、逐次的な凍結/融解/音波処理手順によって溶解させる。溶解
した細胞懸濁液を遠心分離し(14,000rpm/10分)、そのペレットお
よび上澄み双方のアリコートをSDS−PAGEによっで分析する。可溶性画分
のアリコートの溶血活性について調べ、その溶血力価を測定して、初期のスクリ
ーニングで行なわれる速度論的定性実験で認められる低活性を確認する。クロー
ンは、溶血活性のほどんどない可溶性変性ニューモリシンポリペプチドを含有す
ることが判明した。
【0106】 (d)リフォールディング可能で且つモノマーの変性ニューモリシンポリペプ
チドの高収率: 可溶性ニューモリシンを含有するクローンを、スクリーニング手順の次の工程
のために選択するが、これは、上澄みを吸引によって捨てること、そのペレット
をTEN緩衝液で2回洗浄すること、およびそのペレットを、TEN緩衝液中で
調製された8M尿素5ml中に可溶化させることから成る。2分間の音波処理後
、その尿素溶液を速やかに遠心分離して凝集物を除去し、リフォールディング溶
液45mlに4℃で絶えず撹拌しながら滴加する。次に、そのリフォールディン
グ溶液を、緩衝液A(25mMトリス.HCl,pH8.0)でプレ平衡された
2mlのDEAE−Sepharose−EFカラム上に加える。そのカラムを
緩衝液Aで洗浄し、結合したタンパク質を0−1M NaClの勾配で溶離する
。適当にリフォールディングされたニューモリシン突然変異体は、野生型につい
て認められるのと同様に、13−20%緩衝液B(25mMトリス.HCl,1
M NaCl,pH8.0)で単一ピークとして溶離するはずである。そのタン
パク質ピークをSuperose12カラム上のHPLCによって更に分析し、
双方の溶離時間、凝集体/モノマー比および溶血活性を評価する(表4を参照さ
れたい)。1種類または複数の選択された突然変異体は、野生型と同様のストー
クス半径を有する単一モノマー種を示すはずである。高収率のモノマー変性ポリ
ペプチドを有する5種類のクローン(pNVJ1、pNVJ20、pNVJ22
、pNVJ45、pNVJ56)を、核酸配列決定を含めた更に別の分析のため
に選択した。これらクローンのアミノ酸および核酸置換を表5Aおよび6で示す
。明細書および請求の範囲を通じて、タンパク質はそれらをコードするベクター
の名称で示される。
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【0110】
【表7】
【0111】 実施例6 単一突然変異によるニューモリシン遺伝子の指定部位突然変異誘発。
【0112】 特定のペプチドでの溶血活性の減少(表4)に単一突然変異が関与しているの
かまたは多重突然変異が関与しているのか細かく調べるために、それぞれの突然
変異を、オリゴヌクレオチド指定突然変異誘発を用いて単一部位突然変異として
野生型対立遺伝子中に導入した。表7は、これら特定の突然変異を導入するのに
用いられたオリゴヌクレオチドを示す。望ましい突然変異を有するポリペプチド
を識別し、それらの核酸配列を確認した。これら部位指定ポリペプチドから溶血
活性を減少させた単一塩基変化を有するポリペプチドが識別された(表5Aを参
照されたい)。核酸配列103は、583位に野生型Tから修飾Gへの単一塩基
変化を含有し(195−Phe→Val);核酸配列207は、583位に野生
型Tから修飾Aへの単一塩基変化を含有し(195−Phe→Ile);核酸配
列111は、443位に野生型Tから修飾Aへの単一塩基変化を含有し(148
−Met→Lys);核酸配列211は、181位に野生型Tから修飾Cへの単
一塩基変化を含有する(61−Ser→Pro)。
【0113】 表5Bで示されたポリペプチドは、不十分なリフォールディング収率を示し、
それらの低下した溶血活性が説明された。ニューモリシンポリペプチド中の24
3位、286位および446位に導入された単一突然変異、または243位およ
び446位に導入された置換の組合せは、封入体として不溶性画分中で独占的に
見出された種を生じた。これら突然変異体の試みられたリフォールディングは、
主に、凝集した種を生じた。
【0114】
【表8】
【0115】 実施例7 変性ポリペプチドの発現および精製 これら単一突然変異した遺伝子を、別個に発現ベクター(pET−24a)中
にクローン化して、大腸菌中で変性ポリペプチドを過発現させた。その発現レベ
ルは約40%である。これら組換え体変性ニューモリシンを精製するための新規
の精製およびリフォールディング法を開発した。発現ベクターpNV19を含ん
でいる大腸菌細胞中で発現されたニューモリシンは、空気駆動細胞破壊器(St
ansted Fluid Power Ltd.)を用いて8,000psi
の圧力下でそれら細胞をTEN緩衝液(50mMトリス−HCl,100mM
NaCl,10mM EDTA,pH8.0)中に再懸濁させ且つ溶解させるこ
とによって封入体から単離された。その細胞溶解産物を4℃において13,00
0rpmで20分間遠心分離し;ペレットおよび上澄み両方を、可溶性および凝
集ニューモリシンそれぞれの単離用に貯蔵した。封入体は、TEN緩衝液で3回
洗浄し、−70℃で貯蔵した。精製および引続きのリフォールディングは、それ
ら封入体を8M尿素溶液(TEN緩衝液中で新たに調製される)中に可溶化後、
PEGに助けられるリフォールディングによって行なわれた。8M尿素中のポリ
ペプチド溶液(200μg/ml)を、25mMトリス−HCl,pH8.0中
の20μMのPEG8,000から成るリフォールディング溶液に4℃で撹拌し
ながら滴加することによって10倍に希釈した。その試料を清澄化し、25mM
トリス−HCl,pH8.0中で平衡にされたDEAE−Sepharose
Fast Flowイオン交換カラム(Pharmacia)中に加えた。0−
1M NaClの勾配を与え、ニューモリシン含有画分を下記のような溶血活性
の検出によっておよびSDS−PAGEによって識別した。精製された画分をA
micon濃縮器およびPM30膜を用いることによって濃縮した。精製された
ポリペプチドのアリコートの溶血活性を調べ、SDS−PAGEおよびサイズ排
除クロマトグラフィーによってSuperose 12カラムを用いて分析した
【0116】 溶血活性検定は、U底微量滴定プレート中においてインキュベーション緩衝液
としてTBS(トリス緩衝化食塩水,pH7.4)を用いて行なった。1mM
DTTを用いて5分間のプレインキュベーション時間後、基準化タンパク質の2
倍連続希釈を行ない、それら試料を、同一容量の同緩衝液中に再懸濁された洗浄
ヒツジ赤血球の1%懸濁液(全容量200μl)(Cappel)と一緒にイン
キュベートした。それら反応は37℃で30分間行なわれ、赤血球溶解の程度は
、それらUプレートを回転させてその上澄みを平底プレートに移し、ヘモグロビ
ン放出の程度を450nmで測定することにより分光測光によって監視した。終
点は、50%の溶解が起こる濃度であると設定されたが、低張によって溶解した
0.5%細胞懸濁液との比較に基づいた(表4および5Bを参照されたい)。
【0117】 変性ニューモリシンポリペプチドを検定するもう一つの方法は、変性ポリペプ
チドの溶血阻害検定を行なうことである。この検定は、赤血球を変性ニューモリ
シンポリペプチドと一緒にプレインキュベートすることによって野生型タンパク
質の溶血活性を低下させるまたはなくする突然変異タンパク質の能力を測定する
ことおよびその野生型ニューモリシンの前処理済み赤血球に対する溶血力価を評
価することから成る。この検定を用いた4種類の変性ポリペプチドによる結果を
表8で示すが、その手順の詳細な説明は実施例11で明らかである。
【0118】
【表9】
【0119】 選択された単一部位ニューモリシン突然変異体の抗原交差反応性は、慣用的な
免疫感作法によって表9で示された突然変異タンパク質それぞれでウサギ(n=
2)を免疫感作することによって測定した。ウサギの免疫感作:体重2−3kg
のニュージーランドホワイトウサギ(Covance,デンバーズ,PA)を、
フロイント完全アジュバントで乳化させた野生型または突然変異体のニューモリ
シン(容量/容量)100μgで皮下に免疫感作した。フロイント不完全アジュ
バントと混合されたワクチンのブースター量を同経路によって初回投与後21日
および42日投与した。血清を0日目、21日目、42日目および52日目に集
めた。それら血清を、野生型ニューモリシンに対する抗体の存在について調べた
。14型ニューモリシンに対するプールされた血清(n=2)の抗原力価をEL
ISAによって測定した。簡単にいうと、プレートを野生型ニューモリシンで被
覆し、抗突然変異ニューモリシン血清のそれぞれの連続希釈と一緒にインキュベ
ートした。変性ニューモリシンポリペプチドによって引出された抗体への野生型
ニューモリシンの有意の結合は、表9で示されるように認められた。
【0120】
【表10】
【0121】 表9で理解されうるように、上のポリペプチドのそれぞれの抗血清は、ELI
SAによって測定される野生型ニューモリシンとの強い交差反応に加えて、溶血
阻害検定で測定されるような有意の中和性の抗溶血力価を有する。 実施例8 結合用多糖のニューモリソイド(Pneumolysoid) 複合体調製品の調製 PnC14型多糖(ATCCロット#2016107)(390mg)を16
mlの0.5N NaOHに溶解し、その溶液を70℃で3時間加熱した。溶液
を冷却した後、1.93mlの氷酢酸を添加してpHを4にした。3mlの5%
(w/v)NaNO2を添加した後、その反応混合液を4℃で2時間攪拌したま
まにした。次に、その試料を脱イオン水で50mlに希釈し、0.5N NaO
HでpHを7に調整した。過剰の試薬を、DI水を用いるダイアフィルトレーシ
ョンによりSpectra/Por分子多孔性(molecularporou
s)膜管(MWCOL:3、500)を通して透析し、保持されたものを凍結乾
燥した。次いで、この脱アミノ化14型多糖を、Superdex G−200
(Pharmacia)カラムでPBSを溶離液として用いて分子ふるい処理し
た。Superose 12カラム(Pharmacia)を用いるクロマトグ
ラフィー/マルチアングル・レーザ光散乱による決定で5000ないし15,0
00の分子量を有する、カラムから溶出する画分をプールし、Spectra/
Por分子多孔性膜管(MWCOL 3、500)を通してDI水に対して透析
し、凍結乾燥した。 複合体の調製 まず各々のPnCPSを脱重合し、メタ過ヨウ素酸ナトリウムを用いる酸化に
より官能性アルデヒドを分画CPSに導入した。この酸化プロセスの後、過剰の
過ヨウ素酸塩をエチレングリコールで破壊し、酸化多糖をDI水に対して透析し
て凍結乾燥した。
【0122】 0.2Mリン酸バッファ(pH8)中に5mg/mlの濃度の修飾ニューモリ
シンポリペプチドを2.5当量(重量基準)のPnC14多糖断片と、2当量(
重量基準)の再結晶化水素化シアノホウ素ナトリウムと共に混合した。反応混合
物を37℃で24時間インキュベートした。次に、0.01%チメロサールを含
むPBSを溶離液として用いてSuperdex G200(Pharmaci
a)を通すことにより、複合体を遊離成分から精製した。カラムから溶出する画
分をWaters R403示差屈折計で、及びUV分光法により280nmで
監視した。複合体を含む画分をプールし、0.22μm Millipore膜
を通して無菌濾過した後、4℃で保存した。ポリペプチド及び炭水化物含量を、
それぞれ、Bradford及びDuboisの方法によって測定した。得られ
た複合体における多糖含量は約30%であった。
【0123】 対照として用いるための破傷風トキソイド複合体も上述の通りに、及び下記の
通りに生成した:まず、破傷風トキソイド(Serum Statens In
stitute)を、このトキソイドの単量体形態を得るために分子ふるいカラ
ム(Superdex G−200 Pharmacia)に通した。結合させ
るため、この単量体12mg及び36mgのPnC14多糖断片を600μlの
0.2Mリン酸バッファpH7.2に溶解した。次いで、再結晶化水素化シアノ
ホウ素ナトリウム(24mg)をこの溶液に添加した後、溶液を37℃で3日間
インキュベートした。複合体を上述の通り精製した。これらの複合体は25−3
0%の範囲の多糖含量を有していた(表10を参照)。
【0124】
【表11】
【0125】 実施例9 修飾ニューモリシン複合体での免疫 Charles River Laboratoriesからの20匹のCD
1雌マウス(年齢6−8週)の群を、皮下(S.C.)投与により、アルミニウ
ム(水酸化アルミニウム、Superfos、デンマーク)に吸着させた実施例
8の複合体化多糖2μgを用いて、0.01%チメロサールを含むPBSのml
当たり元素アルミニウム1mgの濃度で免役した。第0日、28日、及び49日
に、マウスにワクチンを投与した。第0日、42日、及び59日に血清を集め、
−70℃で保存した。 ELISA マイクロタイタープレート(Nunc Polysorb ELISAプレー ト)を、PBS中の14型多糖断片(MW約10,000)/HSA複合体(2
.5μg/ml)100μlを添加することにより感作した。これらのプレート
を密封し、37℃で1時間インキュベートした。0.05%ツィーン20を含む
PBS(PBS−T)でこれらのプレートを洗浄し、PBS中に0.5%(w/
v)BSAを用いて室温で1時間ブロックした。次に、それらのウェルにPBS
−Tプレートでの連続2倍希釈液100μl、100μlのペルオキシダーゼ標
識ヤギ抗マウスIgG(H+L)(Kirkegaard and Perry
Laboratories)を充填した後、PBS−Tで5回洗浄した。最後
に、50μlのTMBペルオキシダーゼ基質(Kirkegaard and
Perry Laboratories)を各々のウェルに添加した後、プレー
トを室温で10分間インキュベートし、50μlの1M H3PO4を添加する
ことにより反応を停止させた。これらのプレートを、Molecular De
vice Amexマイクロタイター読取り機を用い、650nmを参照波長と
して使用して450nmで読み取った。 阻害ELISA検定 マイクロタイタープレート(NUNC Polysorb)をPBS(50m
Mリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.4)中のPLY(各々の
ウェル当たり100μL中に20ng)を用いて37℃で1時間コートした。こ
れらのプレートをPBS+0.05%ツィーン20(PBST)で洗浄した後、
150μLのPBS+0.1%BSAで後コートし、再洗浄して使用するまで4
℃で保存した。
【0126】 過免疫ウサギ抗PLYをPBSTで希釈し、これらのPLYコート済プレート
に添加して室温で1時間インキュベートした。洗浄した後、製造者の指示に従っ
てPBSツィーンで希釈したヤギ抗ウサギIg−HRP複合体(KPS)100
μLを各々のウェルに添加した。これらのプレートを室温で1時間インキュベー
トした後、再度洗浄した。100μLのTMBマイクロウェル基質(KPL)を
各々のウェルに添加した。10分後にTMB一成分停止液(KPL)を添加する
ことにより反応を停止させ、直ちにOD450nmを読み取った。最大信号の1
/2に相当する希釈液を阻害研究用に選択した。PLYD変異体に加えて対照と
してのPLYを、最終混合物が最大活性の半分をもたらす希釈液を含むように希
釈されたウサギ抗血清を含むPBSTで3倍の増分(ingrements)で連続的に希
釈し、直ちにコート済マイクロタイタープレートに2回塗布した。これらのプレ
ートを室温で1時間インキュベートして処理した。阻害を、いかなる阻害剤も存
在しない状態において希釈抗血清で達成される最大信号のパーセントとして決定
した。 複合抗血清のオプソニン活性 PnC14型複合体に対するマウス抗血清のオプソニン能を、ヒト前骨髄球性
白血病HL−60細胞系(ATCC#CCL240)を用いるイン・ビトロ・オ
プソノファゴスティック殺傷検定(opsonophagocytic killing assay)において試験した。簡単に述べると、200cf
uのPnC14型(12−8−95CB)細胞を連続的に希釈した抗体と等容量
混合し、5%CO2インキュベーターにおいて振盪しながら37℃で15分イン キュベートした。幼児ウサギ補体、及び90mMジメチルホルムアミドの存在下
で5日培養したHL−60細胞(5×106)をその混合物に添加し、次にそれ を振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。一定分量を定量的培養のた
めに取り出し、チョコレート寒天で平板培養した。50%生菌に相当する抗体希
釈を外挿することにより力価を決定した。
【0127】
【表12】
【0128】 表11のデータからわかるように、全ての修飾ニューモリシン複合体は補体の
存在下においてオプソノ食作用能を有する抗体を誘発した。上記複合体の全てで
免疫したマウスは、強力なIgG抗PS応答に加えて、ニューモリソイド担体に
対する非常に強力なIgG応答を複合野生型ニューモリシンに対して生じるもの
と同程度まで高める。 実施例10 四価6B/14/19F/23Fニューモリソイドワクチンの調製 複合体の調製 多糖の加水分解は以下の通りに行った:6B型PSは0.1N HClを用い
て60℃で3時間45分間脱重合した;14型は0.1N HClを用いて60
℃で7時間脱重合した;19F型はpH4.1の10mM NaOAcバッファ
を用いて70℃で2時間20分間脱重合した;及び23F型は0.2M酢酸溶液
を用いて100℃で30分間脱重合した。
【0129】 酸化6B PSは以下のように調製した:部分的に脱重合したPS(35mg
)を1750mlのDI水に溶解し、暗所において室温で2時間、250mlの
10mM NaIO4で処理した。過剰のNaIO4をエチレングリコールで破壊
し、徹底的に透析した後、酸化PSを凍結乾燥した。酸化14 PSは6B型に
ついて上述される通りに調製した。酸化19Fは以下の通りに調製した:50m
gの脱重合PSを0.2Mリン酸ナトリウムバッファpH7.5(5ml)に溶
解し、暗所において4℃で一晩、41mlの100mM NaIO4で処理した 。過剰のNaIO4をエチレングリコールで破壊し、徹底的に透析した後、酸化 19F PSを凍結乾燥した。酸化23Fは以下の通りに調製した:68mgの
部分的に脱重合したPSを暗所において室温で1時間、3.4mlの3mM N
aIO4溶液に溶解した。エチレングリコールを添加することにより過剰のNa IO4を破壊し、徹底的に透析した後、酸化PSを乾燥状態まで凍結乾燥した。
【0130】 これらの酸化PSを、アミノ酸Phe残基195がIleで置換されている組
換えニューモリソイド変異体207に別々に結合させた。簡単に述べると、酸化
PS及び0.2Mリン酸ナトリウムバッファ中のタンパク質(5mg/ml)を
、室温で、重量基準で約2.5:1のPS/タンパク質比で合わせ、次に水素化
シアノホウ素ナトリウム(重量基準で2当量)を添加した。これらの結合混合物
を37℃で2日間インキュベートした。複合PSの残留アルデヒドを過剰のNa
BH4で還元した後、複合体をQ Sepharose Fast Flowカ ラムに加えて10mMトリス−HCl、pH7.5で0.5M NaClの勾配
を用いて溶離する23型複合体を除いて、0.01%チメロサールを含むPBS
で溶離してSuperdex 200 PG(Pharmacia)のカラムを通過させ ることにより複合体を反応混合物から精製した。複合体に相当する画分をプール
し、実施例8に記載されるようにタンパク質及び炭水化物の含量について分析し
た(表12を参照)。
【0131】
【表13】
【0132】 実施例11 ニューモリソイド四価ワクチンでの免疫 マウスの免疫 6匹の8週齢の雌非近交系CD−1マウス(Charles River、R
aleigh)を一価又は四価ワクチンで免疫した。ストレプトコッカス・ニュ
ーモニエ6B、14、19、及び23型多糖を1mg/ml 1ミョウバン中で
破傷風トキソイド又はニューモリシン変異体に結合させた(0.5μg PS/
0.2mlから2μg PS/0.2ml)。これらのワクチンを第0日、28
日、及び49日に皮下投与し、第0日、14日、28日、38日及び59日に血
液試料を採取した。多糖及び担体タンパク質に対するELISA力価を、HSA
−PS結合体及び野生型ニューモリシンを用いて決定した(図8、9及び10)
。実施例9に記載されるHL−60細胞系を用いる食作用検定において血清のオ
プソニン活性を決定した(図11)。 溶血検定 ニューモリシンの活性を、幾つかの修正を施したPatonら(1993)I
nfect.Immun.40:548に従って検定した。簡単に述べると、標
準U底マイクロタイタープレート上で、野生型及び変異体ニューモリシンタンパ
ク質をTBS(15mMトリス、0.15N NaCl、pH7.5)に加えて
補因子としての1mM DTTで最終容積100μlとして2倍連続希釈した。
100μlの1%ヒツジ赤血球TBS懸濁液を添加し、37℃で30分間反応を
行った。非溶解細胞を回転沈降させた後、上清における赤血球溶解の程度をマイ
クロタイタープレート読取り機を用いて405nmで監視した。低張溶解した0
.5%細胞懸濁液に基づいて50%の赤血球が溶解したウェルを検定の最終点と
した。 ネズミ抗血清の溶血阻害検定 溶血活性の阻害を、幾つかの変更を施したPatonら(1993)Infe
ct.Immun.40:548に従って試験した。希釈に先立ち、マウス抗血
清をクロロホルムで2回処理してコレステロールを除去した。50μlのマウス
抗血清の2倍連続希釈を行い、4HU(溶血単位)の毒素貯蔵溶液50μlを添
加した。これらの毒素の溶血活性を中和検定の直前に評価した。37℃で15分
インキュベートして血清抗体をニューモリシンに結合させた後、100μlのヒ
ツジ赤血球(TBS中1%)(ICN、Costa Mesa、CA)を各ウェ
ルに添加した。プレートを37℃で30分インキュベートし、遠心により非溶解
細胞をペレット化した。上清に放出された赤血球溶解物をマイクロタイタープレ
ート読取り機を用いて405nmで監視した。溶血の完全な阻害をもたらす血清
の最大希釈を抗体力価として採用した(図12)。 修飾ニューモリシンによる溶血阻害検定 修飾ニューモリシンポリペプチドを、赤血球と予備インキュベートしたときの
野生型ニューモリシンの溶血活性を阻害するそれらの能力について試験すること
ができる。赤血球の懸濁液(3ml)を各々の修飾ニューモリシンポリペプチド
1μl(1mg/ml)と共に10分間インキュベートし、野生型ニューモリシ ンの連続希釈液を収容するマイクロタイタープレートのウェルに加えた。このプ
レートを37℃で30分間インキュベートし、その溶血力価を正常赤血球で行っ
た対照インキュベーションと比較した。選択された変異体は赤血球との予備イン
キュベーションの際に野生型の溶血活性を様々な程度に阻害し(図13)、これ
らの変異体が結合部位に対して野生型と競合することが可能であるものの、膜に
挿入して溶解性チャンネルを形成することはできないことが示唆される。変異体
pNV103及びpNV207が最も有効な阻害を示し、pNV111がこれら
に続く。変異体pNV211は明らかにそのような阻害特性を示すことがない。
PLYD変異体の構造的完全性及び同一性のさらなる裏付けは、図14に示され
るように本来のPLYと比較したときにそれらの抗原性の大部分が保持されるこ
とである。 円二色性(CD)分光法 遊離野生型及び変異体ニューモリシン並びにそれぞれの複合体の二次及び三次
構造を、それぞれ、遠UV(180ないし250nm)及び近UV(250ない
し350nm)領域における円二色性(CD)分光法によって評価した。タンパ
ク質の濃縮貯蔵溶液を、10mM NaPO4を含むバッファ系(pH8.0) に対して徹底的に透析した。1.0mg/mlのタンパク質を含む試料のスペク
トルを、5nm/分の走査速度及び1秒の平均応答時間を用いるJASCOモデ
ル710円二色分光偏光計(JASCO、Easton、MD)で、0.1nm
の波長間隔で記録した。最低で4回の連続走査を累積し、平均スペクトルを保存
した。試料の温度は、遠及び近UVにおいてそれぞれ水ジャケット装着0.01
cm及び1.0cm光路長セルを用いることで25℃に維持した。 蛍光分光法 蛍光測定はSLM AMINCO−Bowman 8100シリーズ2分光蛍
光光度計で行った。10mM NaPO4(pH7.5)中に100μg/ml タンパク質を含む試料の蛍光スペクトルを、290nmの励起波長及び2nmの
スリット幅を用いて300ないし500nmの範囲にわたって記録した。温度安
定性は、サーモスタットで25℃に調節された水ジャケット装着1.0cm石英
キュベットを用いることで維持した。
【0133】 野生型ニューモリシン及び選択された変異体の蛍光スペクトルの比較が、これ
らのタンパク質が本来の折り畳まれた形態に適合する実験条件下で行われている
。図15において立証されるように、全てのタンパク質の蛍光スペクトルは〜3
45nmでの最大放射強度を特徴とし、野生型と比較したときに幾らか大きい振
幅が変異体タンパク質について観察される。全体的には、これらの結果は全ての
タンパク質が本来の立体配座を取ることを示し、これはかなりの数のTrp残基
が溶媒に対して露出していることを特徴とする。これらの結果は従来ペルフリン
ゴリシン(perfringolysin)について観察されており、これらの細胞溶解素のC
末端におけるTrpに富む細胞結合ドメインの存在に一致する。
【0134】 円二色性による評価でのニューモリシン(PLY)、ニューモリソイド(PL
YD)及びCPS−PLYD複合体の基本的構造及び免疫学的特徴 大腸菌において過剰発現し、包接体から再度折り畳まれたPLYは、最小が〜
215nmで観察されるβシートの含量が多いという典型的な遠UV CDスペ
クトルの特性を示し(Minettiら、Biophys.J.、1998、7
4、A233)、これは単一点変異PLYDにおいても大きく変化しない。同様
に、PLY又はPLYDのいずれかとPnCPSとの化学的結合はそれらのタン
パク質の全体的な二次構造に影響を及ぼさない(図16A)。タンパク質中のチ
ロシル及びトリプトファニル残基の相対的な非対称性から誘導される近UV C
Dスペクトル(図16B)も遊離対結合タンパク質において評価されており、野
生型遊離タンパク質に類似する高度に順序付けられた構造が明らかになっている
。しかしながら、複合体は、これらの複合体の表面上に多糖が存在し、これが特
には特定のTyr信号を妨害し(すなわち、最小が〜280nmを中心とする負
の楕円率)、それぞれの複合体において減少する結果として、近UV CDプロ
フィールにおける小さな変化を示す。PLYD変異体の構造的完全性及び同一性
のさらなる裏付けは、図14に示されるように本来のPLYと比較したときにそ
れらの抗原性の大部分が保持されることである。
【0135】 分光学的方法はタンパク質の完全性の評価における強力なツールを代表する。
タンパク質を担体として用いる複合ワクチンの場合には、これらの方法は、機能
的及び免疫学的技術と共に、バッチからバッチでの変動に加えてワクチン効力の
分子的基礎の監視を容易にし得る(Craneら、Eur.J.Biochem
.1997、246、320−327;Jonesら、Dev.Biol.St
and.1996、87、143−151)。これらの突然変異はタンパク質を
無毒にするが、親分子と区別することができない本来のものに類似する構造に再
度折り畳む能力を保持する。振幅及び交点の両者によってわかるように、遊離変
異体タンパク質(すなわち、pNV207)と対応するPn14複合体とのほぼ
重なる遠UV CDスペクトルは、この巨大分子複合体内のタンパク質の二次構
造が原型のままであることを示すものである。これらの結果は、結合後に二次構
造における小さな変動を認めることができる他の多糖−タンパク質複合体で行わ
れた従来の研究(Craneら、Eur.J.Biochem.1997、24
6、320−327)と対照をなすものである。
【0136】 結合部位近傍のチロシル残基は、近UV CDスペクトルにおいて280nm
周辺の領域で観察される差によって示されるように、多糖の存在によって攪乱さ
れることがある。しかしながら、290nmに特徴的なトリプトファニルピーク
は結合による影響を受けないままであり、これはTyr含有領域が還元性アミノ
化手順によって影響を受けないことを別に示すものである。
【0137】 全体的には、これらの分光学的結果に血清学的結果を絡めることで、PLYD
−CPS複合体が肺炎球菌疾患を予防するのに適切なワクチン候補であることを
示す優れた証拠が提供される。 免疫原性の時間経過研究 四価PLYD−PnCPSについての免疫原性の時間経過研究を行い、それが
図17Aに示されている。動物に第0日、28日及び49日の3回注射し、血液
試料を第0日、14日、28日、38日、及び59日に得た。各々の用量には0
.5μgの各型のPnCPSが含まれていた。各型に対するPnCPS特異的I
gGの応答は第2注射直後のピークまで全時間にわたって増加し(20,000
ないし50,000の範囲の力価)、次いでプラトーに到達した。第2注射の後
、有意の追加免疫効果が観察された。
【0138】 図17Bには、四価TT複合体のPnCPS特異的IgG応答の時間経過が示
されている。PLYD組み合わせワクチンと同様に、同じスケジュール及び同じ
ワクチン用量を用いて動物を同様に免疫した。ここでもやはり、各型の多糖に対
するIgG応答は、有意に低い力価(約5,000)をもたらす23F型を除い
て、同様の程度(50,000ないし200,000の最終力価)で各々の注射
の後に増加した。追加免疫効果もまた、明白な効果がほとんど見られない23を
除いて、第2注射後に各々の型で観察された。
【0139】 上記PLYD−PnCPS組み合わせワクチンとの比較のため、一価PLYD
−PnCPS複合体の免疫原性の時間経過を図17Cに示す。動物には同じ用量
である0.5μgのPnCPSを投与し、上記と同じ免疫スケジュールを施した
。一価複合体におけるPnCPSに対するIgG応答の時間経過は23型PnC
PSを除いて組み合わせについて観察されるものとほぼ同一であり、23型Pn
CPSはより緩やかな時間経過曲線で上昇し、その抗体力価は他の3つの型より
も一桁小さい。
【0140】 これらの前臨床研究は、4種類の肺炎球菌株(6、14、19、及び23)か
ら誘導される多糖及びPLYDからなる複合体が動物において高度に免疫原性で
あり、それらがTT四価複合体で誘発されるものに十分匹敵するPnCPS特異
的抗体力価を誘発することを示す。加えて、このPLYD四価複合体は、野生型
PLYの溶血活性を中和する高レベルのPLY特異的IgG抗体を産生すること
が可能であった。肺炎球菌実験的髄膜炎モデルでの聴力喪失及び蝸牛損傷におけ
るPLYの明瞭な病原的役割に関する近年公表された報告を考慮すると、PLY
Dワクチン誘発抗体が、中耳炎に関連して心配される合併症を緩和し、予防さえ
もするカプセル化抗体の有用な補助剤であることが明らかである(Winter
ら、Infection and Immunity 1997、65、441
1−4418)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 14型ニューモリシンの野生型核酸配列。
【図2】 14型ニューモリシンの核酸の変形(限定ではない)。溶血活性を弱毒化する
残基位置と核酸置換の例は、181,C;443,A;583,AまたはGであ
る。溶血活性の弱毒化がみられなかった残基位置と核酸置換の例は以下のもので
ある:
【化7】
【図3】 14型ニューモリシンのアミノ酸配列。
【図4】 14型ニューモリシンのアミノ酸の変形(限定ではない)。溶血活性を弱毒化
する残基位置とアミノ酸置換の例は61,Pro;148,Lys;195,I
leまたはVal;243,Arg,Val,GluまたはSer;286,A
sp;446,Serである。溶血活性の弱毒化がみられなかった残基位置とア
ミノ酸置換の例は以下のものである:
【化8】
【図5】 野生型ニューモリシン核酸配列を含有するプラスミドpNV−19の地図。p
NV系列のプラスミドは、pET−24aから修飾ニューモリシン核酸配列のク
ローニングにより得られた。
【図6】 特異的修飾ニューモリシンポリペプチドpNVJ1、pNVJ45、pNVJ
20、pNVJ22、pNVJ56、pNV103、pNV207、pNV11
1、pNV211の核酸およびアミノ酸の置換位置を示す図。
【図7】 IPTG誘導後の組換えニューモリシン発現を示すSDS−PAGE。
【図8】 マウスに1価または4価肺炎球菌ニューモリソイドワクチンを2回注射した後
の多糖類特異性IgGの多糖類用量応答の比較。
【図9】 ニューモリソイドまたは破傷風毒素キャリヤーに結合した4価肺炎球菌ニュー
モリシンワクチンをマウスに2回注射した後の多糖類特異性IgGの比較。
【図10】 マウスに1価または4価肺炎球菌多糖類−ニューモリシンワクチンを2回注射
した後に誘発されるニューモリソイド特異性IgG。
【図11】 4価肺炎球菌PS−ニューモリソイドおよびPS−破傷風毒素複合体ワクチン
をマウスに2回注射した後に誘発される多糖類特異性オプソニン食作用(ops
onophagocytic)活性。
【図12】 マウスに1価または4価肺炎球菌複合体を3回注射した後に誘発される抗溶血
性ニューモリソイド特異性活性。
【図13】 溶血阻害アッセイ。図示した変異体と共にプレインキュベートした際の野生型
ニューモリシンの溶血力価。棒は、図示した変異体で予備処理した赤血球に対し
試験した野生型の最終溶血力価を表す。
【図14】 野生型PLYに対するウサギポリクローナル抗体と野生型PLYタンパク質と
の競合阻害ELISA試験。可溶性野生型PLY、PLYD変異体pNV207
(A)およびPLYD変異体pNV103(B)を使用。
【図15】 野生型ニューモリシンおよび変異体の蛍光スペクトル。10mMリン酸ナトリ
ウム(pH7.5)中、励起波長290nmおよびモノクロメータースリット2
nmを用いて記録した、野生型ニューモリシンおよび特定の変異体の蛍光発光ス
ペクトル。〇はpNV207、●はpNV111、◇はpNV211、+はpN
V103、□は野生型を表す。
【図16】 (A)変異体ニューモリシンpNV207(上図)および14型CPS複合変
異体ニューモリシンpNV207(下図)の遠紫外CDスペクトル;(B)変異
体ニューモリシンpNV207(上図)および14型CPS複合変異体ニューモ
リシンpNV207(下図)の近紫外CDスペクトル;
【図17】 (A)マウスにおける4価肺炎球菌ニューモリソイドpNV207複合体ワク
チン:多糖類特異性IgGの経時応答;(B)マウスにおける4価肺炎球菌TT
複合体ワクチン:多糖類特異性IgGの経時応答;(C)マウスにおける1価肺
炎球菌ニューモリソイドpNV207複合体ワクチン:多糖類特異性IgGの経
時応答。
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月26日(2000.10.26)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図17
【補正方法】変更
【補正内容】
【図17】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 プーレン,ジェフリー・ケイ アメリカ合衆国メリーランド州21045,コ ロンビア,ガーランド・レイン 6928 (72)発明者 ポルヴィノ−ボドナー,マリリン アメリカ合衆国メリーランド州21401,ア ナポリス,ローリング・デイル・ロード 621 (72)発明者 リアン,シュ−メイ アメリカ合衆国メリーランド州20817,ベ セスダ,リバー・ロード 6627 (72)発明者 タイ,ジョーゼフ・ワイ アメリカ合衆国ペンシルバニア州19034, ポート・ワシントン,シナモン・ドライブ 1370 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA80 CA06 DA02 DA05 DA11 EA04 GA11 HA20 4B065 AA01X AA01Y AA57X AA87X AB01 AC14 BA02 CA24 CA45 4H045 AA10 BA10 CA11 EA31 FA72 FA74

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶血活性を弱毒化した修飾ニューモリシンポリペプチドであっ
    て、 a)野生型ニューモリシンをコードする核酸分子をランダムに変異させて、修
    飾ニューモリシンポリペプチドをコードする変異核酸分子を生成させ、これらの
    変異核酸分子を宿主細胞中で発現させ; b)宿主細胞が発現した修飾ポリペプチドの溶血活性をアッセイし; c)野生型ニューモリシンと実質的に類似の分子量を有するリフォールディン
    グ可能な修飾ニューモリシンポリペプチドを同定する ことにより得られる修飾ニューモリシンポリペプチド。
  2. 【請求項2】 溶血活性を弱毒化した修飾ニューモリシンポリペプチドであっ
    て、14型ニューモリシンのアミノ酸配列を含み、アミノ酸残基1〜257を含
    む領域の少なくとも1個のアミノ酸が置換されており、かつこの少なくとも1個
    のアミノ酸の置換により溶血活性が弱毒化された修飾ニューモリシンポリペプチ
    ド。
  3. 【請求項3】 溶血活性が野生型ニューモリシンと比較して25%未満である
    、請求項2記載の修飾ニューモリシンポリペプチド。
  4. 【請求項4】 式Iのアミノ酸配列において残基位置61、148もしくは1
    95における少なくとも1つのアミノ酸置換または残基位置33、46、83、
    239および257における組合わせ置換を含む、請求項2記載の修飾ニューモ
    リシンポリペプチド: (式I) 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
  5. 【請求項5】 置換アミノ酸が、位置61に関してプロリンまたはヒドロキシ
    プロリン;位置148に関してリシン、アルギニンまたはヒスチジン;位置19
    5に関してロイシン、グリシン、アラニン、イソロイシンまたはバリンよりなる
    群から選択される、請求項2記載の修飾ニューモリシン。
  6. 【請求項6】 置換アミノ酸が、位置33、46、83に関してセリン、トレ
    オニン、アスパラギン、グルタミン、チロシンまたはシステイン;位置239に
    関してリシン、アルギニンまたはヒスチジン;位置255に関してロイシン、グ
    リシン、アラニン、イソロイシンまたはバリンよりなる群から選択される、請求
    項2記載の修飾ニューモリシン。
  7. 【請求項7】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNVJ1。
  8. 【請求項8】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNVJ20。
  9. 【請求項9】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNVJ22。
  10. 【請求項10】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNVJ45。
  11. 【請求項11】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNVJ56。
  12. 【請求項12】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNV103。
  13. 【請求項13】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNV207。
  14. 【請求項14】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNV111。
  15. 【請求項15】 修飾ニューモリシンポリペプチドpNV211。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項記載の修飾ニューモリシンポ
    リペプチドをコードする配列を含む、組換え核酸分子。
  17. 【請求項17】 下記のニューモリシン核酸配列: 【化5】 【化6】 を含み、この核酸配列が下記よりなる群から選択される1以上のヌクレオチド置
    換を含む、請求項2記載の修飾ニューモリシン: A−50→G、G−54→T、T−181→C、A−196→T、およびT−3
    02→C; または A−122→G、A−514→G、T−583→A、およびA−764→G; または A−187→T、T−380→A、A−382→C、およびT−443→A; または T−98→C、T−137→C、T−248→C、T−717→A、およびA−
    770→G; または T−134→C、A−305→G、A−566→G、およびT−583→G。
  18. 【請求項18】 図1に示した配列を含み、さらに下記の置換を含む組換え核
    酸分子:T−583→G。
  19. 【請求項19】 図1に示した配列を含み、さらに下記の置換を含む組換え核
    酸分子:T−583→A。
  20. 【請求項20】 図1に示した配列を含み、さらに下記の置換を含む組換え核
    酸分子:T−443→A。
  21. 【請求項21】 図1に示した配列を含み、さらに下記の置換を含む組換え核
    酸分子:T−181→C。
  22. 【請求項22】 プラスミド、コスミド、バクテリオファージまたは酵母人工
    染色体などのベクター中に含有される、請求項16〜21のいずれか1項記載の
    組換え核酸分子。
  23. 【請求項23】 請求項16〜22のいずれか1項記載の核酸分子を含む微生
    物。
  24. 【請求項24】 微生物が細菌、酵母、哺乳動物または昆虫の細胞よりなる群
    から選択される、請求項23記載の微生物。
  25. 【請求項25】 微生物が大腸菌(E.coli)である、請求項23記載の
    微生物。
  26. 【請求項26】 ポリペプチドが細菌性多糖類と結合した、請求項1〜15の
    いずれか1項記載の修飾ニューモリシンポリペプチド。
  27. 【請求項27】 細菌性多糖類がヘモフィルス・インフルエンザ(Haemo
    philus influenzae)b型;髄膜炎菌A、BまたはC群;B群
    連鎖球菌Ia、Ib、II、III、VまたはVIII型、および肺炎球菌より
    なる群から選択される細菌に由来する、請求項26記載の修飾ニューモリシン複
    合体。
  28. 【請求項28】 請求項1〜15のいずれか1項記載の少なくとも1種類のポ
    リペプチドおよび医薬的に許容しうるキャリヤーを含むワクチン。
  29. 【請求項29】 ポリペプチドが細菌性多糖類と結合した、請求項28記載の
    ワクチン。
  30. 【請求項30】 細菌性多糖類がヘモフィルス・インフルエンザb型;髄膜炎
    菌A、BもしくはC群;A群連鎖球菌もしくはB群連鎖球菌Ia、Ib、II、
    III、VもしくはVIII血清型;または肺炎連鎖球菌(S.pneumon
    iae)血清型1〜23のうちの1種類以上よりなる群から選択される、請求項
    29記載のワクチン。
  31. 【請求項31】 細菌を、補体の存在下で請求項1〜15のいずれか1項記載
    の修飾ニューモリシンを含む免疫原分子に対する抗体と接触させることを含む、
    細菌を死滅させる方法。
  32. 【請求項32】 免疫原分子が多糖類−ポリペプチド複合体であり、多糖類が
    細菌莢膜多糖類である、請求項31記載の方法。
  33. 【請求項33】 請求項28〜30のいずれか1項記載のワクチンを哺乳動物
    に投与することを含む、哺乳動物の免疫感作方法。
  34. 【請求項34】 溶血活性を弱毒化した、野生型ニューモリシンと交差反応性
    の免疫原応答を誘発するのに適した修飾ニューモリシンポリペプチドを得る方法
    であって、 a)野生型ニューモリシンをコードする核酸分子をランダムに変異させて、修
    飾ニューモリシンポリペプチドをコードする変異核酸分子を生成させ、これらの
    変異核酸分子を宿主細胞中で発現させ; b)宿主細胞が発現した修飾ポリペプチドの溶血活性をアッセイし; c)野生型ニューモリシンと実質的に類似の分子量を有するリフォールディン
    グ可能な修飾ニューモリシンポリペプチドを同定する 工程を含む方法。
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