【発明の詳細な説明】
座席に着座した人間についてのいくつかのパラメータを決定するための方法及
び装置
(発明の属する技術分野)
本発明は座席に着座した人間についてのいくつかのパラメータ、例えば搭乗者の
寸法及び/又は重量及び/又は着座した搭乗者の向きを決定するための方法及び
装置に関する。このような装置は、特に自動車における防護システムの制御を含
む領域において適用可能である。
(従来の技術)
交通事故において搭乗者の生命を守るために、現代の自動車では複数のエアバ
ッグ及びシート・ベルト式プリテンショナーからなる防護システムを装備するこ
とが一般的であり、このようなシステムにより交通事故における衝突時に生じる
搭乗者のエネルギーを吸収する。このようなシステムでは、各搭乗者についての
個別の事項、即ち、搭乗者の重量及び/又は寸法によりよく適合することにより
さらに効率的なものとなることは明らかである。このため、いくつかの動作モー
ド、例えばエアバッグを作動させるタイミング及びその容積、並びに衝突後に安
全ベルトをリリースするタイミング等を搭乗者の身長及び座席上の搭乗者の向き
に応じてマイクロプロセッサによって制御するシステムがいくつか開発されてい
る。
制御用のマイクロプロセッサにより特定の搭乗者についての最適な動作モード
を選択するためには、搭乗者の寸法を決定する搭乗者の身長及び/又は重量及び
/又は向きを決定する装置を利用して、その情報を防護システムの制御回路に供
給する必要がある。このような目的を達成しようとするものとして、米国特許第
5,232,243号には、自動車の座席のクッションにいくつかの独立した力
センサをマトリクス状に配置した装置が記載されている。このような力センサは
、加えられる力に応じて電気抵抗が変化するものでありFSR(force sensing
resistor)の略称で知られている。各センサの抵抗値は個別に計測され、これら
の抵抗値に対応する力を合計することにより、加えられた力の合計、即ち搭乗者
の重量を示す値が得られる。
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、搭乗者の体重の一部は、自動車の床に接する搭乗者の足により
、また、他の一部は、座席の背もたれの部分によって支えられるため、搭乗者の
重量は座席に表面だけに作用するわけではない。さらに、各部分に加えられる力
の割合は、座席上の搭乗者の位置によって大きく変化するため、個別の力センサ
による測定値の合計は搭乗者の実際の重量と一致せず、搭乗者の座席における姿
勢により大きな変化を生じる。
さらに、座席に用いられている詰め物の特性が温度により変化するため、個別
のセンサによる独立した測定結果は自動車内部の雰囲気温度に大きく依存する。
実際、温度が非常に低い場合には、例えば発泡材を使った詰め物は非常に硬くな
り、センサによる力の測定結果は実際に加えられた力よりも小さくなる。これに
対し、温度が非常に高い場合には、発泡材からなる詰め物は膨張してセンサにか
かる力が増大し、センサによる力の測定結果は実際に加えられた力よりも大きく
なる。このような事情から、上記の文献に記載された搭乗者の体重を測定するた
めの装置は、気温の条件に無関係に動作すべき現代の防護システムの要求事項を
真に満足するものではない。
本発明の目的は、従って、着座した人間についてのいくつかのパラメータを決
定するための装置であって、その動作の大部分が温度や座席に着座した人間の姿
勢の影響を受けないものを提供することにある。
(課題を解決するための手段)
本発明によれば、この目的は、着座した人間の寸法及び/又は重量を決定する
ことができる、既存の重量検出器とは異なった原理によって動作する装置によっ
て達成される。着座した人間についてのいくつかのパラメータを決定するための
方法には、座席の表面を少なくとも2つのセクションに分割し、各セクションに
対して作用する重量の重心を決定し、決定された前記位置から前記人間の前記パ
ラメータを評価する段階を含む。従って、測定は搭乗者が座席に及ぼす力の大き
さについてではなく、このような力が作用する位置について行なわれる。換言す
れは、力の絶対値ではなく相対値を測定することとなる。このようして力が作用
する位置を決定する手法によれば、搭乗者の姿勢や雰囲気温度といった力の絶対
値に影響を与える要因の影響をほとんど排除することができる。座席上の異なる
セクションにおける各重心の位置により、人間の寸法及び/又は重量及び人間の
位置及び/又は座席上における向きを決定することができる。
座席を例えば隣接する複数のセクションに分割し、各セクションに作用する重
量の位置を決定することにより、重量が加えられている領域の全体、即ち、搭乗
者が座席上に占めている領域を決定することができる。さらに、異なる重心位置
の分布から座席における搭乗者の位置を容易に決定することができ、これにより
、搭乗者が座席の中央に座っているかどうかの評価を行うことができる。側方に
隣接する異なるセクションにつおける重心の前後方向の位置を比較することによ
り、座席上における搭乗者の向き、即ち搭乗者が前方を向いているか他の方向を
向いているかを決定することができる。この場合には、同じセンサによって異な
るパラメータを順次評価することが望ましい。
この方法の好ましい実施の形態においては、座席は側方に隣接する2つのセク
ションに分割され、寸法及び/又は重量の評価は、前記2つのセクションにおけ
る2つの重心位置間の距離を決定することにより行う。このように決定されたパ
ラメータは、座席の左側において重量が作用する位置と座席の右側において重量
が作用する位置との間の側方距離、即ち搭乗者の身長に相関した距離となる。こ
うして測定された距離から、統計的な測定結果に基づいた人間の身体についての
モデルを利用して搭乗者の重量及び/又は寸法を評価することができる。
人体モデルを利用して決定方法では、着座した乗員の真の重量についての正確
な測定結果を得ることはできない。しかしながら、自動車のエアバッグ又はプリ
テンショナーの限定された(例えば3つの)作動状態を考えると、防護システム
の制御装置においては、真の重量を正確に測定することは副次的な意義を持つに
すぎない。このような測定は、個別の搭乗者を重量及び寸法に関する限定された
数のカテゴリーに分けて、制御装置によって適正な動作モードを選択することだ
けが必要とされるのである。防護システムが3つの動作モードを持っている場合
には、重量についての3つのカテゴリーは、例えば0〜100kgの全範囲をカ
バーするものでなければならない。すなわち、各区分が約30kgの範囲をカバ
ーしなければならない。このような広範な区分への分類に対しては、人体モデル
を使った重量及び/又は寸法の評価結果は、システムにおける精度についての要
求を十分に満たしていることは明らかである。
上述した方法による動作のためには、着座した人間の寸法及び/又は重量を決
定するための装置は、座席の少なくとも2つの異なるセクションにおいて加えら
れている重量のそれぞれの重心位置を決定するための手段を備えていなければな
らない。このようにして決定された重心によって、例えば、重量が加えられてい
る領域の全体、即ち搭乗者によって占められている座席上の領域を知ることがで
きる。このためには、座席面を多くのセクションに分割しなければならない。し
かしながら、好ましい実施の形態としては、重心位置を決定するための前記手段
は、座席の第一のセクションにおける第一の重心と座席の第二のセクションにお
ける第二の重心との間の距離を検出する手段を有し、これらのセクションは側方
に隣接している。換言すれば、側方の距離は、重量が作用する位置の距離を測定
することにより、例えば、座席の左側において及び座席の右側において重量が作
用する位置、即ち、搭乗者によって占められる座席上の領域の幅に関連づけられ
る距離を測定することにより行う。こうして測定された距離に基づいて、上述の
方法により重量及び/又は寸法を評価することができる。
重心の位置を測定するための手段は、座席の表面にわたって設けられた位置決
定用力検出器(position-defining force detector)であることが好ましい。こ
のような検出器は例えば座席の隣接する複数のセクションに複数のスイッチング
部材を配置することによって構成することができる。これらのスイッチング部材
は、nxmのマトリクス配置で相互に接続することによって個別に認識できるよ
うになる。しかしながら、このような検出器では、外部との接続部の数、即ち、
防護システムの制御装置との接続部の数が大きくなって(≧n*m)、制御装置
内部に各スイッチング部材からのn*m個の信号をリアルタイムで処理するため
の複雑な電子システムを必要とする。
好ましい実施の形態においては、前記位置決定用力検出器は、複数の帯状のア
クティブ領域を有しており、これらのアクティブ領域は、分割線の両側でこれと
平行に延びている。この帯状のアクティブ領域は、座席の表面にその長さの大部
分にわたって延びるのが好ましく、これによって搭乗者が座席の前後方向のどの
位置に着座していても、搭乗者によって占められている領域の幅の決定に影響を
与えない。このような実施形態では、検出器の外部との接続部の数を大幅に減ら
すことができ、また、アクティブ領域からの信号をリアルタイムで処理するため
の電子システムをより簡単な構成とすることができる。
上記の力検出器は、加えられた力に応じて電気抵抗が変化する力センサを有す
るのが有利である。このような力センサはFSR(force sensing resistors)
の略称で知られ、アクティブ領域に加えられた力の値を直接に検出することがで
きる。このように加えられた力を直接測定することにより、本発明に係る装置を
座席の使用状熊の検出器として使用することができる。換言すれば、FSRによ
って測定された力の値が、座席に加えられる最小限の力を表わす一定の値よりも
小さい場合には、その座席について防護システムは動作しない。事故における衝
突では、搭乗者の重量カテゴリーの決定が行われ、力の限界値を超えた場合にの
み防護システムが作動する。
安全上の理由から、装置が導体のインテグリティー(integrity)を監視するた
めの回路を有しているのが有利である。この回路は、自動車を始動させた場合な
どに導体のインテグリティーを監視し、接続部や導体の切断を発見すると、これ
を防護システムの制御装置に通知する。検出装置の正常な動作に影響を与えるこ
のような切断が生じた場合には、制御装置は、すべての重量カテゴリーについて
の妥協策として、防護システムの標準動作モードを選択する。
本発明の他の特徴及び特性は、添付の図面を参照した、例示としての以下のい
くつかの好ましい実施の形態についての詳細な説明からより明らかとなるであろ
う。図面は以下を示している。
(図面の簡単な説明)
図1は、重量及び/寸法を検出するための本発明による装置の第一の実施形態
を示すものである。
図2は、位置決定用検出器の動作を示した図である。
図3は、重量及び/寸法を検出するための本発明による装置の第二の実施形態
を示すものである。
図4は、インテグリティーの監視を可能とした、重量及び/寸法を検出するた
めの本発明の第三の実施形態を示すものである。
図5は、着座した人間の座席の前後方向における位置及び/又は着座の向きを
も検出可能とした、重量及び/寸法を検出するための本発明の装置の第四の実施
形態を示すものである。
図6は、アクティブ領域の様々な接続モードによって、図5の検出器で可能と
なるな測定を要約した図である。
図7は、図5に記載した装置においてインテグリティーの監視を可能とした実
施形態を示すものである。
(発明の実施の形態)
図1に自動車の座席4の詰め物内に入れ込まれた重量及び/又は寸法を測定す
るための装置2の好ましい実施の形態を示す。これは、可撓性の支持部材(図示
しない)の上に配置したFSR型の可変抵抗式力検出器6を用いた位置限定式力
検出器2についての実施形態を示したものである。これらのFSRセンサ6は、
図中では可変抵抗器として表わされている。
FSRセンサは、例えば米国特許第4,489,302号に記載されたような
ものであり、半導体素子から形成される第一の層と2つの櫛歯状のインターデジ
タル導体からなる第二の層の2層により構成される。力が加えられていない場合
には、FSRセンサの2つの層は分離しており、2つの導体間における抵抗は非
常に大きい。力が加わると2つの導体間に半導体層を経由した電流の分流路が形
成され、2つの導体間の抵抗は加えられる力が増大するとともに減少する。別の
種類のFSRセンサでは、任意の形状の2つの導体が挿入半導体層によって分離
されている。力が加えられると2つの導体と半導体層が互いに押し付けられて、
2つの導体間における抵抗は加えられる力が増大するとともに減少する。このよ
うなFSRセンサは、例えば、米国特許第4,315,238号に記載されてい
る。
図1に示す実施例では、いくつかのFSRセンサ6が同時に接続されて座席面
の長さの大部分にわたり延びるいくつかの帯状のアクティブ領域8を形成してい
る。FSRセンサ6は広範囲でさまざまな寸法における製造が可能であり、単一
1の帯状のFSRセンサによって帯状のアクティブ領域8を形成することもでき
る。
アクティブ領域8は座席表面の分割線10の両側に配置され、その表面におい
て対称に配置されている。この分割線10は座席の表而を側方に隣接する2つの
セクション12、14に分割するものであり、座席4の対称線であることが好ま
しい。各セクションにおける重心の位置の測定が可能となるように、各セクショ
ン12、14における力検出器2のアクティブ領域8の数は2以上とする。
図1に例示した装置は、座席4の各セクション12,14に3つのアクティブ
領域を有しており、アクティブ領域は側方にほぼ一定の間隔で設けられている。
座席4のセクション12,14のアクティブ領域8には異なるもの毎に異なる電
圧が供給されており、一つのアクティブ領域における各FSRセンサの第一の導
体は対応する電源電圧に接続されている。アクティブ領域8の電源電圧は座席4
の内側から外側へいくにしたがって増加する。換言すれば、対称線10に近い座
席の内側に配置されたアクティブ領域8,は第一の電源電圧T1に接続されており
、各セクション12、14の中央に位置するアクティブ領域82は第二の電源電
圧T2に接続され、座席の縁部に近い外側に配置されたアクティブ領域83は第三
の電源電圧T3に接続されており、ここでT1<T2<T3である。外部接続部の数
を減らすためには、各セクション12,14の3つのアクティブ領域81、82、
83に、線形の抵抗器16,18又は直列に接続された抵抗列を介して電源を供
給し、これらの端子には電位差を与えて電位勾配をつくることが好ましい。異な
るアタティブ領域81、82、83は、これによって、抵抗器16、18への接続
位置に応じた異なる電源電圧に接続される。
FSRセンサ6の第二の導体は検出器2の出力線20又は22に接続される。
このようにして形成された回路は、線形のポテンショメータに相当し、そのスラ
イダは線形の抵抗器16、18の端子間の電位デバイダとして機能する。アクテ
ィブ領域81,82,83に作用する力が大きくなるとそのアクティブ領域の抵抗
が小さくなるため、出力20又は22における電圧は、アクティブ領域の相対的
な抵抗値で重みづけをした、電源電圧であるT1,T2、T3の加重平均に対応し
た値となる。換言すれば、アクティブ領域にかかる圧力が大きくなると、対応す
る電
源電圧が出力電圧に与える影響が大きくなる。このような重みづけについては、
長さにわたる重量分布、即ち、アクティブ領域のそれぞれが応力を受ける長さが
影響を与えることを考慮しなければならない。実際には、応力を受けているFS
Rセンサの数が増えるとアクティブ領域の抵抗値が減少するため、アクティブ領
域は本質的に力の作用している領域にわたる力の積分を行うものである。このた
め、出力20又は22において測定される電圧は、各セクションに加えられる力
の重心の位置を与える。電源電圧は、座席の内側から外側に向かってT1<T2<
T3となるように増加するため、出力20又は22における電圧は重心が外側へ
移動するにつれて高くなる。換言すれば、搭乗者が座席に占める領域が大きくな
ると、出力線20及び22における電圧が高くなる。
2つの出力線20及び22の電圧を測定することにより、座席4の2つのセク
ションにおける重心を知ることができ、これから2つの重心の距離を容易に計算
することができる。さらに、2つの出力線20及び22を接続して、座席の2つ
のセクションからの出力電圧を加算することができることにも注目されたい。こ
れにより、2つの重心の間の距離に正比例した出力信号を得ることができる。本
実施形態によって外部接続の数を減らすことができる。しかしながら、2つのセ
クション12、14にわたって占められた領域の分布についての情報は失われる
こととなる。
図2は、3つのアクティブ領域を線形のポテンショメータを構成するように接
続した概略図である。最初の例として、1つのFSRカセンサによって単一の線
形のポテンショメータを構成する場合を示す(図2a)。このような線形のポテ
ンショメータは、例えば文献米国特許第4,810,992号に記載されている
。これは線形の抵抗器24の端子に異なる電圧を印加することによって電位勾配
を生じさせるものである。側方に一定の間隔をおいて配されるコネクタ26は、
前記線形の抵抗器24に接続されている。ポテンショメータのスライダ28は、
その歯がコネクタ26の間を延びるくし形の第二の導体によって構成されている
。ある1点においてコネクタ26及び28を短絡すると、導体28は線形な抵抗
器24の上での導体26の位置に応じて線形に変化する電圧を受ける。互いに分
離した複数のアクティブ領域を設けるためには、ポテンショメータのアクティブ
領域30をいくつかのゾーン301、302、303(図2b)に分割する。これ
らのアクティブゾーン301、302、303は、座席のほぼ全長にわたって延び
る帯状のアクティブ領域を構成するようにし(図2c)、直列に接続された可変
抵抗器によって表わされる(図2d)。導体のインテグリティーを監視する必要
がある場合には、上記導体を外部との接続部を持ったループを形成するように変
形を加える(図2e)。
図3は図1の検出器をより簡単な構成とした実施形態を示すものであり、必要
な外部接続部の数をさらに減らすことができるようにしたものである。検出器2
は、1つの線形抵抗器16のみにより構成され、その端子には座席4の2つのセ
クション12,14の異なるアクティブ領域81,82,83に供給するための電
位差が与えられている。座席4のセクション14の各アクティブ領域81,82,
83は、この目的のため、セクション12の対応するアクティブ領域81,82,
83に接続され、2つの領域81には同一の電圧T1が、2つの領域82には同一の
電圧T2が、2つの領域83は同一の電圧T3が供給されている。
この実施形態では、外部との接続部の数は4つに減らされており、そのうちの
2つは線形の抵抗器16の2つの端子であり、残りの2つは出力線である20及
び22である。2つの出力20及び22を接続すれば外部接続の数を3つまで減
らすことができる。しかしながら、上述したように、この接続を行うと2つのセ
クション12,14についての重量分布についての情報が失われる。
本発明に係る寸法及び/又は重量を決定するためのもう1つの実施形態を図4
に示す。この実施例では様々な導体のインテグリティーを監視することができる
。このために様々なFSRセンサ6を相互に又は線形の抵抗器16と接続する導
体のすべて外部接続を含んだループを形成している。このような外部接続の数を
制限するために、線形の抵抗器16を、例えば、いくつかの独立した抵抗器161
、162、163、164に分割してセクションの分割線の両側に配置することに
より、セクション12及び14のすべてのアクティブ領域81、82、83に対し
単一のループによって電源が供給されるようになっている。2つの出力線20、
22のそれぞれが1つのループによって形成され、それぞれが2つの接続部20
、20’及び22,22’を持つとすれば、外部接続部は合計6つとなる。
導体のインテグリティーは、各ループの第一の接続部に信号を送出し、第二の
接続部においてこの信号を検出することによりモニターすることができる。これ
は自動車の防護システムの制御装置によって行うことが望ましい。様々なループ
の出力接続部のうちの1つにおいて制御装置が他の接続部から入力した信号を検
出できないときは、すべての重量カテゴリーについての妥協的な解決策を与える
標準動作モードが選択される。
この実施形態では、2つの出力線20及び22を接続し、システムからの出力
を接続部20’及び22’のみとすることによって、重量分布についての情報の
喪失とひきかえに外部接続部の数をさらに減らすことができることに注意された
い。
図5には座席4に着座した人間についてのいくつかのパラメータを検出するた
めの装置2の実施形態が示されており、この実施形態では、座席の様々なセクシ
ョンに加えられた力の重心を横方向(x軸方向)及び前後方向(y軸方向)に連
続的に検出することができる。従って、この装置は動作モードに応じて、人間の
重量及び/又は寸法と、前後方向の位置及び/又は座席上における人間の着座の
向きとの双方を検出することができる。
この目的を達成するために、各アクティブ領域81、82、83は、座席の前後
方向に一つが他の後方に位置するように配置されたいくつかの独立したセンサ81,1
、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1、83,2、
83,3、83,4を有し、これらのセンサの一方の端子は、線形の抵抗器32の中間
部分又は直列に接続された独立した抵抗器列を介して互いに接続されている。ま
た、各アクティブ領域81、82、83の独立したセンサ81,1、81,2、81,3、81,4
又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1、83,2、83,3、83,4の他方の
端子は、導体341、342又は343の中間部分を介して互いに接続されている
。
寸法/重量の決定を行う第一の動作モードでは、異なる電圧T1、T2、T3が
座席4の各セクション12、14にある異なるアクティブ領域81、82、83の
導体341、342又は343にT1<T2<T3となるように印加され、線形の抵抗
器32の端子36又は38の一つにおける出力信号が測定される。異なる独立の
センサ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1
、83
,2、83,3、83,4を相互に接続する抵抗器32が測定電圧に与える影響を軽減す
るためには、端子36と端子38とを接続して抵抗器32が閉じたループに接続
されるようにする。
このように接続された検出器2は、図1の検出器によく似た動作をする。この
ように形成された回路は、スライダが電圧T1、T2及びT3の分圧器として機能
する線形のポテンショメータに相当する。アクティブ領域81、82、83の抵抗
値は該アクティブ領域に加えられる力が強くなるにつれ減少し、出力36又は3
8における電圧は、アクティブ領域の相対的な抵抗値で重みづけをした場合の、
3つの電源電圧T1、T2、T3の加重平均に相当する値となる。
この動作モードでは、3つの電源電圧T1、T2、T3は導体341、342、3
43にシステムの制御装置(図示しない)から直接に供給するか、線形の抵抗器
又は直列に接続された抵抗器列から供給することにより、電圧が供給される端子
において電位勾配を生じるように接続する必要があることに注意されたい(図1
参照)。異なるアクティブ領域81、82、83は、こうして線形の抵抗器に対す
る接続位置に応じた異なる電圧に接続される。
位置/向きを決定するためにの第二の動作モードでは、各アクティブ領域の個
々のセンサ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1
、83,2、83,3、83,4には異なる電圧が供給されて、電源電圧は座席の後方
へいくにつれ増加する。このような異なる電圧は、抵抗器32の端子36及び3
8に異なる電位差を印加することにより提供することが望ましい。異なる個別の
センサ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1
、83,2、83,3、83,4は、こうして線形の抵抗器32に対する接続位置に応じ
た異なる電圧に接続される。アクティブ領域81、82、83の対応する個別のセ
ンサ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1、
83,2、83,3、83,4の接続位置は同じとするのが有利であり、これによって、
対応する個々のセンサ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、
82,4又は83,1、83,2、83,3、83,4に同じ電圧が供給される。
この動作モードでは、異なるアクティブ領域81、82、83からの導体341,
342、343のそれぞれへの出力電圧が測定される。このため、各セクション1
2又は14のアクティブ領域81、82、83は、マトリクス状に接続され、各ア
クティブ領域81、82、83の各出力線341,342,343への出力電圧が個別
に測定される。各アクティブ領域81、82、83についてこのように形成された
回路は、スライダが線形の抵抗器32の端子間の分圧器として作用するポテンシ
ョメータに相当する。個別のセンサ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82 ,2
、82,3、82,4又は83,1、83,2、83,3、83,4の抵抗値はそのセンサに加わ
る力が強くなるにつれて減少し、導体341、342、343の電圧は、各アクテ
ィブ領域の個別のセンサ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3
、82,4又は83,1、83,2、83,3、83,4の電圧を各センサの相対的な抵抗値で
加重平均した値となる。換言すれば、あるセンサにかかる圧力が増大すると、そ
のセンサの電源電圧は対応する導体341、342、343における出力電圧に影
響しやすくなる。
各センサの電源電圧は座席の前方から後方に向かって増加するため、各導体3
41、342、343における出力電圧は、人がより座席の後方に着座するほど高
くなる。これらの出力電圧は、従って、帯状のアクティブ領域81、82、83に
おいて作用している力の重心の前後方向の位置を表わす。これらの座席における
前後方向の位置の分布により、容易に搭乗者の前後方向における着座位置とその
方向を決定することができる。これにより、2つのセクションの導体について測
定された電圧が非常に低い場合には、搭乗者は座席4のより前縁に着座していこ
とを示すこととなる。座席の2つのセクションにおける位置の測定結果の対称性
が非常に悪い場合には、前方を向いた着座状態にないと推論することができ、そ
の結果として、自動車のエアバッグに対してコマンドを送ることもできる。
検出器の2つの動作モードに応じて測定を順次行うことにより、単一の検出器
によって、着座した人間の寸法及び/又は重量及び着座した人間の位置及びシー
トに対する向きの双方を測定することができる。2つの動作モードの切り替えは
、1秒間に何度も行うこと、搭乗者の着座位置のあらゆる変化をほとんどリアル
タイムで検出することができ、エアバッグの展開に応用できる。
代わりの位置/向きの検出モードとして3つの導体341、342、343を相
互に接続してその結果として出力される電圧のみを測定する方法がある。この代
替
方法は、主に、寸法/重量の検出モードにおいて、図1の実施形態と同様、上述
した線形の抵抗器の中間より3つのアクティブ領域に電源の供給がされている場
合に適用される。この場合には、アクティブ領域を相互に接続する線形の抵抗器
の端子を一緒に接続して、各閉じたループに加わる電圧を測定する。アクティブ
領域を接続する方法によっては、図6において模式的に示すように2つの位置の
測定結果を区別することも依然として可能である。
線形の抵抗器によってアクティブ領域への電力供給を行う場合には(図6a)
、測定はアクティブ領域81、82、83に加わる重量の重心の相対的な位置につ
いてではなく、各セクション12、14に加わる重量の重心についてのみ行う。
しかしながら、この手法によれば、それらの前後方向の位置を考慮することによ
り、2つのセクションに加わる重量の2つの重心の間の実際の距離を測定するこ
とができる。これに対し、図1に示す装置では、(X1−X2)cosαを計測
しうるにすぎない(X1及びX2は座席の2つのセクションの重心G1及びG2
の横方向位置を示す)。さらに、前後方向での位置の差異から搭乗者の着座の向
きを決定することができ、この場合には、正面から角度αだけずれた向きに着座
していることとなる。
位置/向きの測定モードにおいて、アクティブ領域相互をマトリクス状に接続
する場合には(図6b)、各アクティブ領域81、82、83に加わる重量の重心
G1・・・Gnの相対位置が測定される。座席におけるこれらの位置G1・・・Gn
の分布によっても着座した搭乗者の位置及び向きを決定することができる。この
動作モードでは、子供が座席上に手をついている場合や補助シートの側面が足に
触れている場合などの異常な状況を検出できるという利点がある。この場合には
、外側のアクティブ領域83のみについて圧力が検出され、内側のアクティブ領
域81及び82は信号を送出しないため、エアバッグの展開は防止される。
図7に、図5に示す検出器において導体のインテグリティーを監視できるよう
にした実施形態を示す。この目的のため、各セタション12,14の別個のセン
サ81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1、83 ,2
、83,3、83,4を相互に接続し又はこれらを線形な抵抗器32に接続する導体
は全て、例えば端子36及び38のような外部との接続部を含むループを形成す
るように配線される。これは、線形の抵抗器32をいくつかの独立した抵抗器3
21、322、323、324、325に分割して、これらを各センサに電源を供給
する導体によって互いに接続することによって実現できる。
導体のインテグリティーの監視は、抵抗器32の端子36又は38の一方に信
号を送出して端子36又は38のうちの他方の端子で信号を検出することにより
行う。この作業は自動車の防護システムの制御装置によって行うことが望ましい
。制御装置が送出した信号を検出できないときは、装置はすべての重量カテゴリ
ーについての妥協的な解決策を与える、防護システムの標準動作モードを選択す
る。
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月6日(1999.4.6)
【補正内容】
(1)明細書を下記のとおり補正します。
a)明細書第2頁第24行の「いくつかのパラメータ」を「寸法及び/又は重
量」と補正します。
b)同第2頁第26行〜第27行の「前記パラメータ」を「寸法及び/又は重
量」と補正します。
c)同第4頁第6行の「・・決定するための手段」と「を備えていなければ・
・」との間に以下の文言を挿入します。
「と、前記の決定された位置から前記人間の寸法及び/又は重量を評価するため
の手段と」
d)同第4頁第28行の「アクティブ領域は、」と「分割線」の間に「前記二
つのセクションの」の文言を挿入します。。
(2)請求の範囲を別紙のとおり補正します。
請求の範囲
1.座席(4)に着座した人間の寸法及び/又は重量を決定するための装置であ って、前記座席(4)の少なくとも2つの異なるセクション(12,14)に作 用する重量の重心の各位置を決定するための手段と、決定された各位置から前記 人間の寸法及び/又は重量を評価するための手段とを有することを特徴とする装 置。
2.重心の位置を決定するための前記手段が、座席(4)の第一のセクション( 12)に作用する重量の第一の重心と座席(4)の第二のセクション(14)に 作用する重量の第二の重心との間の距離を検出する手段を有しており、前記2つ のセクションは座席(4)に横方向に隣接して設けられていることを特徴とする 請求項1に記載の装置。
3.重心の位置を決定するための前記手段が、座席(4)の表面にわたって延び る位置決定用力検出器(2)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の 装置。
4.前記位置決定用力検出器(2)が複数の帯状のアクティブ領域(81,82, 83)を有しており、前記アクティブ領域(81,82,83)が前記2つのセクシ ョン(12,14)の分割線(10)の両側に配置されて該分割線と平行に延び ていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
5.第一の動作モードでは、座席(4)の各セクション(12,14)の異なる アクティブ領域(81,82,83)に対して異なる電圧が供給されることを特徴 とする請求項4に記載の装置。
6.座席(4)の前記第一のセクションの各アクティブ領域と座席(4)の前記 第二のセクションの対応する各アクティブ領域に対して同一の電圧が供給される ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
7.あるセクションのアクティブ領域には直列に接続された複数の抵抗器により 電位勾配が与えられており、アクティブ領域の回路が線形のポテンショメータ回 路として機能することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の装置。
8.各アクティブ領域(81,82,83)が座席の前後方向に一列に配された複 数の独立したセンサ(81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、 82,4又は83,1、83,2、83,3、83,4)を有していることを特徴とする請求項 4〜7のいずれかに記載の装置。
9.第二の動作モードでは、各アクティブ領域の独立したセンサ(81,1、81,2 、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1、83,2、83,3、83 ,4)に異なる電圧が供給されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
10.あるセクションの異なるアクティブ領域にある対応する独立したセンサ( 81,1、81,2、81,3、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,183,2、 83,3、83,4)に同一の電圧が供給されることを特徴とする請求項9に記載の装 置。
11.あるセクション(12,14)の独立したセンサ(81,1、81,2、81,3 、81,4又は82,1、82,2、82,3、82,4又は83,1、83,2、83,3、83,4)に 線形の抵抗器(32)又は直列に接続された複数の抵抗器(321、322、32 3、324、325)を介して電圧勾配が与えられており、これらの独立したセン サの回路が線形のポテンショメータ回路として機能することを特徴とする請求項 9又は10のいずれかに記載の装置。
12.前記力検出器(2)が加えられる力によって電気抵抗が変化する力センサ (6)を有することを特徴とする請求項3〜11のいずれかに記載の装置。
13.導体のインテグリティーを監視する回路を有することを特徴とする請求項 1〜12のいずれかに記載の装置。
14.前記重心の位置を決定するための手段が座席(4)のクッションに入れ込 まれていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
15.座席に着座した人間についてのいくつかのパラメータを決定するための方 法であって、 座席(4)を少なくとも2つのセクションに分割し、 各セクションに作用する重量の重心の位置を決定し、 前記決定された位置から前記人間の寸法及び/又は重量の評価をする、 段階を有することを特徴とする方法。
16.座席の表面が横方向に隣接する2つのセクションに分割され、寸法及び/ 又は重量の評価が前記2つのセクションに加えられた重量の2つの重心の位置間 の距離の決定を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
17.座席上における複数の重心位置の分布から前記人間の着座位置を評価する 段階をさらに有することを特徴とする請求項15もしくは16のいずれかに記載 の方法。
18.各セクションに作用する重量の重心の前後方向における位置から前記人間 の着座の向きを評価する段階をさらに有することを特徴とする請求項15〜17 のいずれかに記載の方法。
19.異なる前記パラメータの評価を連続的に行うことを特徴とする請求項17 もしくは18のいずれかに記載の方法。
21.自動車のエアバッグの制御に利用される請求項1〜14のいずれかに記載 の装置。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG
,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,
LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,
UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 セルバン,ボッドガン
ルクセンブルグ国 L―4610 ニーデルコ
ーン,リュ・ドゥ・ロングウィ 4
(72)発明者 ウィッテ,ミッチェル
ルクセンブルグ国 L―8077 ベルトラン
ゲ,リュ・ドゥ・ルクセンブルグ 248