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JP2001215093A - 積層式熱交換器およびその製造方法 - Google Patents

積層式熱交換器およびその製造方法

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JP2001215093A
JP2001215093A JP2000025003A JP2000025003A JP2001215093A JP 2001215093 A JP2001215093 A JP 2001215093A JP 2000025003 A JP2000025003 A JP 2000025003A JP 2000025003 A JP2000025003 A JP 2000025003A JP 2001215093 A JP2001215093 A JP 2001215093A
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flow path
heat exchanger
plate
plates
flow
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Satoshi Matsumoto
松本  聡
Yoshitsugu Nishiyama
吉継 西山
Takeji Watanabe
竹司 渡辺
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層式熱交換器の高性能化と小型化を図るこ
と。 【解決手段】 板面を貫通する複数の流路34と35が
形成された流路プレート31を複数枚積層し、一対のエ
ンドプレート32と33間に配置した構成であって、流
路34と35が互いに隣り合い並行する位置に設けら
れ、流路34を流れる熱交換流体Aと流路35を流れる
熱交換流体Bとが対向して流れる構成とたものである。
したがって、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交
換を行うことができるため、積層式熱交換器の高性能化
と小型化を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体として液体お
よび相変化を伴う気液2相流の熱交換に用いる積層式熱
交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、熱交換器の小型・軽量化を目的
に、特開昭63−137793号公報に開示されている
ような積層式熱交換器が提案されている。この積層式熱
交換器は、金属平板を打ち抜いて流路を形成したものを
積み重ねて構成したもので、流体が流れる流路が平板の
厚み内に形成されるものである。積層式熱交換器は、体
積当たりの表面積が大きく、コンパクトであり、使用材
料が少なくすむため、従来のシェルアンドチューブ式や
プレート式の熱交換器に置き換わる特長を有する。
【0003】図10は、この積層式熱交換器の内部構成
が説明できるように、一部を切断して示したものであ
る。積層式熱交換器は、板面を貫通する流路86が形成
された流路プレート81と、同様に流路87が形成され
た流路プレート82とを、隔壁プレート83を介して交
互に複数枚積み重ね、一対のエンドプレート84と85
の間に配置した構成である。
【0004】流路プレート81には流路86以外に貫通
孔92aと92bが、流路プレート82には流路87以
外に貫通孔95aと95bが、隔壁プレート83には貫
通孔93a、93b、94aおよび94bが、それぞれ
設けられている。また、エンドプレート84には、熱交
換流体Aの入口管88と出口管89、熱交換流体Bの入
口管90と出口管91が植立されている。ここで、流路
86と流路87は、図10に示したように、隔壁プレー
ト83を介して、流路内の流れが直交する位置関係にあ
る。
【0005】熱交換流体Aは、エンドプレート84に設
置された入口管88より熱交換器内部に流入し、貫通孔
94aおよび95aを経由して、流路プレート81に形
成された流路86に入る。流路86を流れた熱交換流体
Aは、貫通孔95bおよび94bを経由して、出口管8
9より熱交換器外部に流出する。一方、熱交換流体B
は、エンドプレート84に設置された入口管90より熱
交換器内部に流入し、貫通孔92aおよび93aを経由
して、流路プレート82に形成された流路87に入る。
流路87を流れた熱交換流体Bは、貫通孔93bおよび
92bを経由して、出口管91より熱交換器外部に流出
する。このとき、流路86を流れる熱交換流体Aは、そ
の上下に位置する2つの隔壁プレート83を介して、流
路87を流れる熱交換流体Bと熱交換を行うことにな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の積層式熱交換器では、以下のような課題が生
じている。
【0007】まず、熱交換流体AとBとの伝熱形態が、
一般的に対向流よりも伝熱性能に劣る直交流となってい
る。したがって、所定の伝熱特性を得るためには、対向
流型の熱交換器よりも伝熱面積が多く必要となり、熱交
換器の大型化を招く。また、例えば、熱交換器の熱交換
流体A側の伝熱特性を向上するために、流路86を長く
し伝熱面積を増大する場合、隔壁プレート83を介して
対向する流路87は、流路数を増加するあるいは流路幅
を拡大する必要が生じる。いずれの場合も、流路87の
断面積が増加し、熱交換流体Bの流速が低減するため、
熱交換流体Bの伝熱特性が劣化してしまうという課題が
あった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路B
が形成された流路プレートを複数枚積層し、一対のエン
ドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流
路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられた構成と
するものである。
【0009】上記発明によれば、熱交換流体AとBとが
対向流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対
向流は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流
や並行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態で
ある。したがって、熱交換流体AとBとが対向流の形態
で熱交換を行う具体構成を提供できるため、積層式熱交
換器の高性能化と小型化を実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の積層式熱交換器は、各請
求項に記載した具体的な形態とすることにより、所定の
効果を実現するものである。
【0011】すなわち、請求項1の積層式熱交換器は、
板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された
流路プレートを複数枚積層し、一対のエンドプレート間
に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに
隣り合い並行する位置に設けられた構成とするものであ
る。これによれば、熱交換流体AとBとが対向流の形態
で熱交換を行うことができるため、積層式熱交換器の高
性能化と小型化を実現できる。
【0012】また、請求項2の積層式熱交換器は、板面
を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路
プレートを複数枚積層し、前記流路プレートの複数枚お
きに隔壁プレートを挿入し、一対のエンドプレート間に
配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣
り合い並行する位置に設けられた構成とするものであ
る。これによれば、流路プレートの積層枚数が多く流路
高さが高くなる場合においても、複数枚の流路プレート
間に隔壁プレートを挿入することにより、圧力容器とし
ての機械強度が向上するため、請求項1の効果に加え、
積層式熱交換器の信頼性向上を実現できる。
【0013】また、請求項3の積層式熱交換器は、板面
を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路
プレートを隔壁プレートを介して交互に複数枚積層し、
一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路
Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けら
れた構成とするものである。これによれば、流路プレー
トの積層枚数が多く流路高さが高くなる場合において
も、流路プレートを隔壁プレートを介して交互に積層す
ることにより、圧力容器としての機械強度が向上すると
ともに、各流路が分割され熱交換流体の分流の均一化が
図れるため、請求項1の効果に加え、積層式熱交換器の
より一層の高性能化と信頼性向上を実現できる。
【0014】また、請求項4の積層式熱交換器は、請求
項1ないし3のいずれか1項記載の発明に加え、流路A
と流路Bが略U字形状の折り返し部を有するものであ
る。これによれば、流路長に対して熱交換器の縦方向あ
るいは横方向の長さを十分に小さくすることができるた
め、積層式熱交換器のより一層の小型化を実現できる。
【0015】また、請求項5の積層式熱交換器は、請求
項4記載の発明に加え、流路Aと流路Bの少なくとも一
方の流路の幅が、前記流路の長手方向で略同一であるも
のである。これによれば、各流体が流路内を円滑に流れ
ることが可能になり、流体の滞留による伝熱性能の劣化
が排除されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能
化を実現できる。
【0016】また、請求項6の積層式熱交換器は、請求
項4または5記載の発明に加え、流路プレート上の互い
に隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに
隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大き
いものである。これによれば、隣接する同一流体の流路
間の熱抵抗が、隣接する異なる流体の流路間の熱抵抗よ
りも大きくなり、同一流体間の熱の移動が低減されるた
め、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現でき
る。
【0017】また、請求項7の積層式熱交換器は、請求
項4ないし6のいずれか1項記載の発明に加え、流路プ
レート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間
に貫通孔を設け、他のプレート上にも前記貫通孔に対向
する位置に前記貫通孔と連通する貫通孔を設けるもので
ある。これによれば、互いに隣り合う流路における同一
流体間の熱の移動が完全に遮断されるため、積層式熱交
換器の格段の高性能化を実現できる。
【0018】また、請求項8の積層式熱交換器は、請求
項1ないし7のいずれか1項記載の発明に加え、各プレ
ートがプレス加工により成形され、前記プレス加工の打
ち抜き方向が一致するように積層されるものである。こ
れによれば、各プレートを積層する際、プレス加工によ
り各プレートに発生するバリ同士の当接が回避され、プ
レート間の密着性が良好になるため、積層式熱交換器の
製造時の歩留まりが向上する。
【0019】また、請求項9の発明は、請求項1ないし
8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製造方法に関
するものであり、各プレートがプレス加工により成形さ
れる工程と、流路プレートがその両面に鍍金処理を施さ
れる工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜
き方向が一致するように積層される工程と、前記積層さ
れたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる
製造方法である。これによれば、各プレートを積層する
際、プレス加工により各プレートに発生するバリ同士の
当接が回避され、プレート間の密着性が良好になるとと
もに、プレート間の接合が鍍金を使用したロウ付けによ
り確実に保証されるため、積層式熱交換器の製造時の歩
留まりと信頼性が向上する。
【0020】また、請求項10の発明は、請求項1ない
し8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製造方法に
関するものであり、各プレートがプレス加工により成形
される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち
抜き方向の上流側の面にペースト状のロウ材を塗布され
る工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き
方向が一致するように積層される工程と、前記積層され
たプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製
造方法である。これによれば、鍍金に比べて安価なペー
スト状のロウ材を使用するため、プレート熱交換器の製
造コストの低減が図れる。また、各プレートに対して、
プレス加工の打ち抜き方向の上流側の面、つまり、バリ
の突出していない面にロウ材を塗布するため、ロウ材塗
布に使用するマスク等の治具のバリによる損傷が低減さ
れ、積層式熱交換器の製造時の信頼性向上が実現され
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。
【0022】(実施例1)図1は本発明の実施例1の積
層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できる
ように一部を分解している。
【0023】本実施例の積層式熱交換器は、図1に示し
たように、板面を貫通する複数の流路34と35が形成
された流路プレート31を複数枚積層し、一対のエンド
プレート32と33間に配置した構成である。このと
き、流路34と35が互いに隣り合い並行する位置に設
けられ、流路34を流れる熱交換流体Aと流路35を流
れる熱交換流体Bとが対向して流れる構成としている。
【0024】流路プレート31には、流路34の長手方
向両端にこれと連通する入口ヘッダー部40および出口
ヘッダー部41と、流路35の長手方向両端にこれと連
通する入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43
が、それぞれ設けられている。
【0025】また、エンドプレート32には、熱交換流
体Aの入口管36と出口管37、熱交換流体Bの入口管
38と出口管39が植立されている。入口管38と出口
管39は、それぞれ熱交換流体Aの入口ヘッダー部40
と出口ヘッダー部41に連通している。同様に、入口管
38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Bの入口ヘッ
ダー部42と出口ヘッダー部43に連通している。
【0026】熱交換流体Aは、図中実線の矢印で示すよ
うに、エンドプレート32に設置された入口管36より
入口ヘッダー部40に流入し、流路プレート31に形成
された流路34に入る。流路34を流れた熱交換流体A
は、出口ヘッダー部41に集められ、出口管37より外
部に流出する。一方、熱交換流体Bは、図中点線の矢印
で示すように、エンドプレート32に設置された入口管
38より入口ヘッダー部42に流入し、同じく流路プレ
ート31に形成された流路35に入る。流路35を流れ
た熱交換流体Bは出口ヘッダー部43に集められ、出口
管39より外部に流出する。このとき、流路34を流れ
る熱交換流体Aは、流路34と35の間に位置する仕切
部44を介して、流路35を流れる熱交換流体Bと熱交
換を行うことになる。
【0027】図1に示すように、流路34と35が、仕
切部44を介して各ヘッダー近傍を除いて全て対向する
位置に設けられているため、熱交換流体AとBとが対向
流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対向流
は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流や並
行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態であ
る。また、従来例で示したような隔壁プレートを排除
し、流路プレート31のみから構成することができるた
め、プレート構成を簡略化することができる。また、薄
板状の流路プレート31を複数枚積層することにより流
路を形成するため、厚板に比べて流路の成形加工が容易
であり、製造コストが低減される。
【0028】したがって、上記した構成により、積層式
熱交換器の高性能化、小型化、製造コストの低減を実現
できる。
【0029】(実施例2)図2は本発明の実施例2の積
層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できる
ように一部を分解している。
【0030】本実施例の積層式熱交換器は、図2に示し
たように、板面を貫通する複数の流路34と35が形成
された流路プレート31を複数枚積層し、流路プレート
31の複数枚おきに隔壁プレート59を挿入し、一対の
エンドプレート32と33と間に配置した構成である。
このとき、流路34と35が互いに隣り合い並行する位
置に設けられ、流路34を流れる熱交換流体Aと流路3
5を流れる熱交換流体Bとが対向して流れる構成として
いる。
【0031】流路プレート31には、流路34の長手方
向両端にこれと連通する入口ヘッダー部40および出口
ヘッダー部41と、流路35の長手方向両端にこれと連
通する入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43
が、それぞれ設けられている。
【0032】一方、隔壁プレート59には、各プレート
を積層したとき、流路34の入口ヘッダー部40および
出口ヘッダー部41と連通する貫通孔60および61
と、流路35の入口ヘッダー部42および出口ヘッダー
部43と連通する貫通孔62および63が、それぞれ設
けられている。
【0033】また、エンドプレート32には、熱交換流
体Aの入口管36と出口管37、熱交換流体Bの入口管
38と出口管39が植立されている。入口管38と出口
管39は、それぞれ熱交換流体Aの入口ヘッダー部40
と出口ヘッダー部41に連通している。同様に、入口管
38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Bの入口ヘッ
ダー部42と出口ヘッダー部43に連通している。
【0034】熱交換流体Aは、図中実線の矢印で示すよ
うに、エンドプレート32に設置された入口管36より
入口ヘッダー部40に流入し、貫通孔60を経由して、
流路プレート31に形成された流路34に入る。流路3
4を流れた熱交換流体Aは、出口ヘッダー部41に集め
られ、貫通孔61を経由して、出口管37より外部に流
出する。一方、熱交換流体Bは、図中点線の矢印で示す
ように、エンドプレート32に設置された入口管38よ
り入口ヘッダー部42に流入し、貫通孔62を経由し
て、同じく流路プレート31に形成された流路35に入
る。流路35を流れた熱交換流体Bは出口ヘッダー部4
3に集められ、貫通孔63を経由して、出口管39より
外部に流出する。このとき、流路34を流れる熱交換流
体Aは、流路34と35の間に位置する仕切部44を介
して、流路35を流れる熱交換流体Bと熱交換を行うこ
とになる。
【0035】図2に示すように、流路34と35が、仕
切部44を介して各ヘッダー近傍を除いて全て対向する
位置に設けられているため、熱交換流体AとBとが対向
流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対向流
は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流や並
行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態であ
る。
【0036】ここで、実施例1の構成において、積層式
熱交換器の熱交換性能を拡大するために、流路プレート
31の積層枚数を多くする場合を考える。このとき、流
路プレートの積層高さが高くなり、流路34と35との
間の仕切部44の伝熱方向の総面積が広くなる。仕切部
44は、流路34と35とを流れる熱交換流体の伝熱面
となると同時に、熱交換流体AとBとの間に圧力差があ
る場合においても流路の変形を防止するための圧力隔壁
としての機能を有する。この仕切部44の面積が拡大す
ると、圧力を受ける面積も拡大するため、その機械強度
は小さくなる。本実施例では、複数枚の流路プレート3
1間に隔壁プレート59を挿入することにより、仕切部
44を積層高さ方向に細かく分割し、圧力を受ける面積
を小さくすることにより、熱交換器の圧力容器としての
機械強度を向上させる。
【0037】したがって、上記した構成により、積層式
熱交換器の高性能化に加え、信頼性向上を実現できる。
【0038】(実施例3)図3は本発明の実施例3の積
層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できる
ように一部を分解している。
【0039】本実施例の積層式熱交換器は、図3に示し
たように、板面を貫通する複数の流路34と35が形成
された流路プレート31を隔壁プレート59を介して交
互に複数枚積層し、一対のエンドプレート32と33間
に配置した構成である。このとき、流路34と35が互
いに隣り合い並行する位置に設けられ、流路34を流れ
る熱交換流体Aと流路35を流れる熱交換流体Bとが対
向して流れる構成としている。
【0040】流路プレート31には、流路34の長手方
向両端にこれと連通する入口ヘッダー部40および出口
ヘッダー部41と、流路35の長手方向両端にこれと連
通する入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43
が、それぞれ設けられている。
【0041】一方、隔壁プレート59には、各プレート
を積層したとき、流路34の入口ヘッダー部40および
出口ヘッダー部41と連通する貫通孔60および61
と、流路35の入口ヘッダー部42および出口ヘッダー
部43と連通する貫通孔62および63が、それぞれ設
けられている。
【0042】また、エンドプレート32には、熱交換流
体Aの入口管36と出口管37、熱交換流体Bの入口管
38と出口管39が植立されている。入口管38と出口
管39は、それぞれ熱交換流体Aの入口ヘッダー部40
と出口ヘッダー部41に連通している。同様に、入口管
38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Bの入口ヘッ
ダー部42と出口ヘッダー部43に連通している。
【0043】熱交換流体Aは、図中実線の矢印で示すよ
うに、エンドプレート32に設置された入口管36より
入口ヘッダー部40に流入し、貫通孔60を経由して、
流路プレート31に形成された流路34に入る。流路3
4を流れた熱交換流体Aは、出口ヘッダー部41に集め
られ、貫通孔61を経由して、出口管37より外部に流
出する。一方、熱交換流体Bは、図中点線の矢印で示す
ように、エンドプレート32に設置された入口管38よ
り入口ヘッダー部42に流入し、貫通孔62を経由し
て、同じく流路プレート31に形成された流路35に入
る。流路35を流れた熱交換流体Bは出口ヘッダー部4
3に集められ、貫通孔63を経由して、出口管39より
外部に流出する。このとき、流路34を流れる熱交換流
体Aは、流路34と35の間に位置する仕切部44を介
して、流路35を流れる熱交換流体Bと熱交換を行うこ
とになる。
【0044】図3に示すように、流路34と35が、仕
切部44を介して各ヘッダー近傍を除いて全て対向する
位置に設けられているため、熱交換流体AとBとが対向
流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対向流
は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流や並
行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態であ
る。
【0045】ここで、実施例1の構成において、積層式
熱交換器の熱交換性能を拡大するために、流路プレート
31の積層枚数を多くする場合を考える。このとき、流
路プレートの積層高さが高くなり、熱交換流体が流れる
流路の高さが極めて高くなる。この流路高さが高いと、
流体の流れに偏りが生じ、熱交換特性を劣化させる原因
となる。特に、熱交換流体が、熱交換を行う過程で、液
体から気体もしくは気体から液体への相変化を伴う場
合、その密度差により流体の流れに著しい偏りが生じる
可能性がある。本実施例では、流路プレート31の間に
隔壁プレート59を設け、流路高さを流路プレート31
の1枚分の厚さとした構成であるため、特に相変化を伴
う熱交換においても、流体の流れに偏りが生じにくく、
各流路への熱交換流体の分流の均一化が図れる。
【0046】したがって、上記した構成により、積層式
熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0047】(実施例4)図4は本発明の実施例4の積
層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できる
ように一部を分解している。本発明の積層式熱交換器
は、図1と同様な構成を有し、特に、流路プレート31
の流路34および35が、それぞれ略U字形状の折り返
し部45および46を有するものである。
【0048】流路に略U字形状の折り返し部を設けるこ
とにより、プレート上に直線状の流路だけではなく、矩
形状や渦巻き状等の任意の形状の流路を構成することが
できる。これは、流路長の極めて長い流路に対して、熱
交換器の縦方向あるいは横方向の長さを十分に小さくで
きることを意味する。
【0049】したがって、上記した構成により、積層式
熱交換器のより一層の小型化を実現できる。
【0050】なお、図2および図3に示した構成の積層
式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ
略U字形状の折り返し部を有するものとすれば、同様の
効果が得られる。
【0051】(実施例5)本発明の実施例5は、図4に
示した構成の積層式熱交換器において、流路34および
35が、それぞれ略U字形状の折り返し部45および4
6を有するとともに、流路34と35の少なくとも一方
の流路の幅が、その長手方向で略同一であるものであ
る。
【0052】図5は、流路プレート31の構成図であ
り、流路34の形状を詳細に示すものである。流路34
は、熱交換流体Aの入口および出口ヘッダーの一部を形
成するヘッダー部40および41を両端に備え、これら
と連通する直行部47および折り返し部45から構成さ
れる。この直行部47の流路幅T1と折り返し部45の
流路幅T2はほぼ同一である。なお、熱交換流体Bの流
路35についても、同様の形状を有する。
【0053】流路幅が流路の長手方向で略同一ではない
場合、特に、流路の折り返し部が矩形状となる場合を考
えると、この流路には角部が存在することになる。熱交
換流体がこの流路角部を通過するとき、角部近傍の流体
は円滑な流れを阻害され、流体の滞留を引き起こしやす
い。この流体の滞留は、仕切部44を介した流路間の熱
交換を阻害し、熱交換器全体の性能を劣化させる要因と
なる。
【0054】本実施例では、流路34の幅が、流路の長
手方向、特に直行部47と折り返し部45においてほぼ
同一となっているため、熱交換流体Aが流路34の折り
返し部45を滞留することなく円滑に流れることが可能
になる。流路34と対向する流路35についても、同様
である。
【0055】したがって、上記した構成により、積層式
熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0056】なお、図2および図3に示した構成の積層
式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ
略U字形状の折り返し部を有するとともに、流路34と
35の少なくとも一方の流路の幅がその長手方向で略同
一であるとすれば、同様の効果が得られる。
【0057】(実施例6)本発明の実施例6は、図4に
示した構成の積層式熱交換器において、流路34および
35が、それぞれ略U字形状の折り返し部45および4
6を有するとともに、流路プレート31上の互いに隣り
合う位置にある同一流体、例えば熱交換流体Aの流路3
4間の距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体、
熱交換流体AとBの流路34と35との距離よりも大き
いものである。
【0058】図6は、流路プレート31の構成図であ
り、流路34と35の形状を詳細に示すものである。例
えば、流路34は折り返し部45を備えるため、同一流
体の流路でありながら互いに隣り合う位置を流れる部分
を有する。よって、熱交換流体Aは仕切部44を介して
熱交換流体Bと熱交換するとともに、流路34の隣り合
う部分を流れる同じ熱交換流体Aとも熱交換する可能性
がある。本実施例は、この流路34間の距離T3を、流
路34と35との距離T4よりも大きくするものであ
る。これによれば、隣接する流路34間の熱抵抗が、隣
接する流路34と35との間の熱抵抗よりも大きくな
り、熱交換流体A同士の熱の移動が低減される。これ
は、同じく折り返し部46を備える流路35側について
も、同様である。
【0059】したがって、上記した構成により、熱交換
流体の同一流路間での熱交換が低減されるため、積層式
熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0060】なお、図2および図3に示した構成の積層
式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ
略U字形状の折り返し部を有するとともに、流路プレー
ト31上の互いに隣接する同一流体の流路間距離が、互
いに隣接する異なる流体の流路間距離よりも大きいもの
とすれば、同様の効果が得られる。
【0061】(実施例7)図7は本発明の実施例7の積
層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できる
ように一部を分解している。
【0062】本実施例の積層式熱交換器は、図4で示し
た構成と同様に、流路34および35が、それぞれ略U
字形状の折り返し部45および46を有するとともに、
流路プレート31上の互いに隣り合う位置にある流路3
4の間に貫通孔48aを設けた点である。なお、エンド
プレート32と33にも、貫通孔48aと対向する位置
に、貫通孔48bと48cが設けられている。
【0063】図7に示すように、流路34が略U字状の
折り返し部45を有する場合、熱交換流体Aは仕切部4
4を介して熱交換流体Bと熱交換するとともに、流路3
4の隣り合う部分を流れる同じ熱交換流体Aとも熱交換
する可能性がある。しかし、本実施例によれば、互いに
隣り合う位置にある流路34の間に貫通孔48aが形成
されるため、この部分における同一流路間の熱の移動が
完全に遮断される。流路35側についても、流路35の
互いに隣り合う位置にある同一流路間に貫通孔を設けれ
ば、同様の効果が得られる。
【0064】したがって、上記した構成により、熱交換
流体の同一流路間での熱交換が完全に遮断されるため、
積層式熱交換器の格段の高性能化を実現できる。
【0065】なお、図2および図3に示した構成の積層
式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ
略U字形状の折り返し部を有するとともに、流路プレー
ト31上の互いに隣り合う位置にある流路34の間に貫
通孔を設け、さらに隔壁プレート59上にもこの貫通孔
と対向する位置にこの貫通孔と連通する貫通孔を設けれ
ば、同様の効果が得られる。
【0066】(実施例8)本発明の実施例8は、図1に
示した積層式熱交換器において、流路プレート31の流
路34と35、外周形状等がプレス加工により成形さ
れ、このプレス加工の打ち抜き方向が一致するように積
層されるものである。
【0067】一般に、プレス加工によりプレートに貫通
孔を成形すると、この貫通孔の輪郭部に突起状のバリが
形成される。このバリはプレス加工の打ち抜き方向の下
流側のプレート面に形成される。各プレートを積層する
際、このバリ同士が当接すると、プレート間の密着性を
損ない接合不良の原因となる。本実施例のように、各プ
レートをプレス加工の打ち抜き方向が一致するように積
層すれば、バリ同士が当接が回避され、プレート間の密
着性が良好なものになる。
【0068】したがって、上記した構成により、積層式
熱交換器の製造時の歩留まりが向上する。
【0069】なお、図2および図3に示した構成の積層
式熱交換器についても、流路プレート31、隔壁プレー
ト59の流路、貫通孔、外周形状がプレス加工により成
形され、このプレス加工の打ち抜き方向が一致するよう
に積層すれば、同様の効果が得られる。
【0070】(実施例9)次に、実施例1から8で説明
した積層式熱交換器の製造方法を具体的に説明する。本
実施例は、特に各プレートが全てステンレス鋼、銅、ア
ルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料からなること
を想定している。
【0071】図8は、図1に示した積層式熱交換器の矢
印CCにおける断面を示しており、積層時のロウ材の設
置状態をわかりやすく示したものである。上下のエンド
プレート32と33の間に、ロウ材51に示す鍍金層を
全面に設けた流路プレート31が順次積層されている。
【0072】まず、流路プレート31への流路34と3
5、入口ヘッダー部40等の貫通孔の加工は、量産性に
優れたプレス加工により行われる。
【0073】次に、流路やヘッダー部等の貫通孔が形成
された流路プレート31に対して、その表面に鍍金加工
が施される。流路プレート31の材質が耐食性に優れた
ステンレス鋼である場合は、例えばニッケルとリンを主
成分とした鍍金を施せばよい。この鍍金加工は、通常、
無電解鍍金法により行われる。また、流路プレート31
の材質が熱伝導率の高い銅である場合は、例えば銀を主
成分とした鍍金を施せばよい。
【0074】さらに、全てのプレートは、図中に矢印で
示した方向にプレス加工の打ち抜き方向が一致するよう
に、積層される。
【0075】最後に、積層された各プレートを密着した
状態で加熱することにより、鍍金層を溶融させ一体的に
接合する。
【0076】このとき、プレス加工された各プレート
が、そのバリ方向を一致させるように積層されているた
め、バリ同士の当接による密着性の悪化が回避されると
ともに、プレート間の接合が鍍金を使用したロウ付けに
より確実に保証される。
【0077】したがって、歩留まりに優れ、信頼性の高
い積層式熱交換器を提供することができる。
【0078】なお、本実施例では、全ての流路プレート
31の表面に鍍金加工が施されるとしたが、鍍金加工を
施した流路プレートと鍍金加工を施さない流路プレート
とを交互に積層し、接合を行うものとしても良い。この
場合、ロウ材としての鍍金加工量が低減されるため、熱
交換器の製造コストが低減される。また、ロウ材量が過
剰な場合に生じるロウ材による流路の閉塞が回避される
ため、熱交換器の信頼性が向上する。
【0079】また、図2および図3に示した構成の積層
式熱交換器についても、流路プレート31および隔壁プ
レート59がプレス加工により成形される工程と、流路
プレート31がその両面に鍍金処理を施される工程と、
前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致
するように積層される工程と、前記積層されたプレート
が密着した状態で加熱される工程からなる製造方法によ
り製造を行えば、同様の効果が得られる。
【0080】(実施例10)次に、実施例1から8で説
明した積層式熱交換器の製造方法を具体的に説明する。
本実施例は、特に各プレートが全てステンレス鋼、銅、
アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料からなるこ
とを想定している。
【0081】図9は、図1に示した積層式熱交換器の矢
印CCにおける断面を示しており、積層時のロウ材の設
置状態をわかりやすく示したものである。上下のエンド
プレート32と33の間に、上面のみにロウ材52を塗
布した流路プレート31が順次積層されている。
【0082】まず、流路プレート31への流路34と3
5、入口ヘッダー部40等の貫通孔の加工は、量産性に
優れたプレス加工により行われる。
【0083】次に、流路プレート31に対してロウ材を
塗布する。ロウ材としては、パウダー状のロウ材にバイ
ンダを配合させたペーストロウを用いる。ペーストロウ
の塗布は、例えばシルクスクリーンプロセス等の印刷方
法により、塗布用のマスクを用いて行う。本実施例で
は、流路プレート31と略同一形状の開口部を有するマ
スクにより、流路プレート31の上面にロウ材52を塗
布する。ここで、ロウ材の塗布は、各プレートのプレス
加工の打ち抜き方向の上流側の面(図中では上面)に対
して行う。なお、ロウ材としては、各プレートの材質が
ステンレス鋼である場合は例えばNi系のものを使用
し、銅である場合は例えば銀あるいはリン銅系のものを
使用することが望ましい。
【0084】さらに、全てのプレートは、図中に矢印で
示した方向にプレス加工の打ち抜き方向が一致するよう
に、積層される。
【0085】最後に、ロウ材を塗布され積層された各プ
レートを密着した状態で加熱することにより、ペースト
ロウのロウ材成分を溶融させ一体的に接合する。
【0086】したがって、プレート間の接合がペースト
ロウを使用したロウ付けにより確実に保証される。ま
た、鍍金に比べて安価なペースト状のロウ材を使用する
ため、熱交換器の製造コストの低減が図れる。さらに、
各プレートのバリの突出していない面にロウ材を塗布す
るため、ロウ材塗布に使用するマスク等の治具のバリに
よる損傷が低減され、製造時の信頼性向上が実現され
る。
【0087】なお、図2および図3に示した構成の積層
式熱交換器についても、流路プレート31および隔壁プ
レート59がプレス加工により成形される工程と、前記
各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向の上流側の
面にペースト状のロウ材を塗布される工程と、前記各プ
レートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するよう
に積層される工程と、前記積層されたプレートが密着し
た状態で加熱される工程からなる製造方法により製造を
行えば、同様の効果が得られる。
【0088】なお、本発明の実施例1、2、3では、流
路34を流れる熱交換流体Aと流路35を流れる熱交換
流体Bとが対向して流れるものとしたが、伝熱特性が著
しく低減しない場合は、熱交換流体AとBとが互いに並
行して流れるものとしても構わない。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
の積層式熱交換器は、板面を貫通する複数の流路Aおよ
び流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、一
対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路A
と前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ
た構成とするので、熱交換流体AとBとが対向流の形態
で熱交換を行うことができるため、積層式熱交換器の高
性能化と小型化を実現できる。
【0090】また、請求項2の積層式熱交換器は、板面
を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路
プレートを複数枚積層し、前記流路プレートの複数枚お
きに隔壁プレートを挿入し、一対のエンドプレート間に
配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣
り合い並行する位置に設けられた構成とするので、流路
プレートの積層枚数が多く流路高さが高くなる場合にお
いても、複数枚の流路プレート間に隔壁プレートを挿入
することにより、圧力容器としての機械強度が向上する
ため、請求項1の効果に加え、積層式熱交換器の信頼性
向上を実現できる。
【0091】また、請求項3の積層式熱交換器は、板面
を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路
プレートを隔壁プレートを介して交互に複数枚積層し、
一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路
Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けら
れた構成とするので、流路プレートの積層枚数が多く流
路高さが高くなる場合においても、流路プレートを隔壁
プレートを介して交互に積層することにより、圧力容器
としての機械強度が向上するとともに、各流路が分割さ
れ熱交換流体の分流の均一化が図れるため、請求項1の
効果に加え、積層式熱交換器のより一層の高性能化と信
頼性向上を実現できる。
【0092】また、請求項4の積層式熱交換器は、請求
項1ないし3のいずれか1項記載の発明に加え、流路A
と流路Bが略U字形状の折り返し部を有するので、流路
長に対して熱交換器の縦方向あるいは横方向の長さを十
分に小さくすることができるため、積層式熱交換器のよ
り一層の小型化を実現できる。
【0093】また、請求項5の積層式熱交換器は、請求
項4記載の発明に加え、流路Aと流路Bの少なくとも一
方の流路の幅が、前記流路の長手方向で略同一であるの
で、各流体が流路内を円滑に流れることが可能になり、
流体の滞留による伝熱性能の劣化が排除されるため、積
層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0094】また、請求項6の積層式熱交換器は、請求
項4または5記載の発明に加え、流路プレート上の互い
に隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに
隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大き
いので、隣接する同一流体の流路間の熱抵抗が、隣接す
る異なる流体の流路間の熱抵抗よりも大きくなり、同一
流体間の熱の移動が低減されるため、積層式熱交換器の
より一層の高性能化を実現できる。
【0095】また、請求項7の積層式熱交換器は、請求
項4ないし6のいずれか1項記載の発明に加え、流路プ
レート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間
に貫通孔を設け、他のプレート上にも前記貫通孔に対向
する位置に前記貫通孔と連通する貫通孔を設けるので、
互いに隣り合う流路における同一流体間の熱の移動が完
全に遮断されるため、積層式熱交換器の格段の高性能化
を実現できる。
【0096】また、請求項8の積層式熱交換器は、請求
項1ないし6のいずれか1項記載の発明に加え、各プレ
ートがプレス加工により成形され、前記プレス加工の打
ち抜き方向が一致するように積層されるので、各プレー
トを積層する際、プレス加工により各プレートに発生す
るバリ同士の当接が回避され、プレート間の密着性が良
好になるため、積層式熱交換器の製造時の歩留まりが向
上する。
【0097】また、請求項9の発明は、請求項1ないし
8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製造方法に関
するものであり、各プレートがプレス加工により成形さ
れる工程と、流路プレートがその両面に鍍金処理を施さ
れる工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜
き方向が一致するように積層される工程と、前記積層さ
れたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる
製造方法であるので、各プレートを積層する際、プレス
加工により各プレートに発生するバリ同士の当接が回避
され、プレート間の密着性が良好になるとともに、プレ
ート間の接合が鍍金を使用したロウ付けにより確実に保
証されるため、積層式熱交換器の製造時の歩留まりと信
頼性が向上する。
【0098】また、請求項10の発明は、請求項1ない
し8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製造方法に
関するものであり、各プレートがプレス加工により成形
される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち
抜き方向の上流側の面にペースト状のロウ材を塗布され
る工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き
方向が一致するように積層される工程と、前記積層され
たプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製
造方法であるので、鍍金に比べて安価なペースト状のロ
ウ材を使用するため、プレート熱交換器の製造コストの
低減が図れる。また、各プレートに対して、プレス加工
の打ち抜き方向の上流側の面、つまり、バリの突出して
いない面にロウ材を塗布するため、ロウ材塗布に使用す
るマスク等の治具のバリによる損傷が低減され、積層式
熱交換器の製造時の信頼性向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、8の積層式熱交換器の構成
【図2】本発明の実施例2の積層式熱交換器の構成図
【図3】本発明の実施例3の積層式熱交換器の構成図
【図4】本発明の実施例4、5、6の積層式熱交換器の
構成図
【図5】本発明の実施例5の積層式熱交換器の流路プレ
ートの構成図
【図6】本発明の実施例6の積層式熱交換器の流路プレ
ートの構成図
【図7】本発明の実施例7の積層式熱交換器の構成図
【図8】本発明の実施例9の積層式熱交換器の断面図
【図9】本発明の実施例10の積層式熱交換器の断面図
【図10】従来の積層式熱交換器の構成図
【符号の説明】
31 流路プレート 32、33 エンドプレート 34、35 流路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 竹司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3L103 AA05 CC18 CC30 DD13 DD57 DD58

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板面を貫通する複数の流路Aおよび流路B
    が形成された流路プレートを複数枚積層し、一対のエン
    ドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流
    路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられた積層式
    熱交換器。
  2. 【請求項2】板面を貫通する複数の流路Aおよび流路B
    が形成された流路プレートを複数枚積層し、前記流路プ
    レートの複数枚おきに隔壁プレートを挿入し、一対のエ
    ンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記
    流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられた積層
    式熱交換器。
  3. 【請求項3】板面を貫通する複数の流路Aおよび流路B
    が形成された流路プレートを隔壁プレートを介して交互
    に複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成
    を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行
    する位置に設けられた積層式熱交換器。
  4. 【請求項4】流路Aと流路Bが略U字形状の折り返し部
    を有する請求項1ないし3のいずれか1項記載の積層式
    熱交換器。
  5. 【請求項5】流路Aと流路Bの少なくとも一方の流路の
    幅が、前記流路の長手方向で略同一である請求項4記載
    の積層式熱交換器。
  6. 【請求項6】流路プレート上の互いに隣り合う位置にあ
    る同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある
    異なる流体の流路間距離よりも大きい請求項4または5
    記載の積層式熱交換器。
  7. 【請求項7】流路プレート上の互いに隣り合う位置にあ
    る同一流体の流路間に貫通孔を設け、他のプレート上に
    も前記貫通孔に対向する位置に前記貫通孔と連通する貫
    通孔を設けた請求項4ないし6のいずれか1項記載の積
    層式熱交換器。
  8. 【請求項8】各プレートがプレス加工により成形され、
    前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層さ
    れた請求項1ないし7のいずれか1項記載の積層式熱交
    換器。
  9. 【請求項9】各プレートがプレス加工により成形される
    工程と、流路プレートがその両面に鍍金処理を施される
    工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方
    向が一致するように積層される工程と、前記積層された
    プレートが密着した状態で加熱される工程からなる請求
    項1ないし8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製
    造方法。
  10. 【請求項10】各プレートがプレス加工により成形され
    る工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き
    方向の上流側の面にペースト状のロウ材を塗布される工
    程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向
    が一致するように積層される工程と、前記積層されたプ
    レートが密着した状態で加熱される工程からなる請求項
    1ないし8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製造
    方法。
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