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JP2001164508A - 舗装面改修方法および運動競技場 - Google Patents

舗装面改修方法および運動競技場

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Publication number
JP2001164508A
JP2001164508A JP34588099A JP34588099A JP2001164508A JP 2001164508 A JP2001164508 A JP 2001164508A JP 34588099 A JP34588099 A JP 34588099A JP 34588099 A JP34588099 A JP 34588099A JP 2001164508 A JP2001164508 A JP 2001164508A
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Japan
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protective layer
pavement surface
layer
aggregate
flat
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JP34588099A
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Tomoyuki Nishikawa
知幸 西川
Hiroshi Hasegawa
浩 長谷川
Yoshihiko Baba
吉彦 馬場
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クレー系などの既設舗装面上に、人工芝運動
競技場の下地として必要な強度と平坦性を備えた保護層
をより簡便に構築する。 【解決手段】 クレー系もしくは砕石系などの既設舗装
面1上に、複数本のレール3をその各レール天端がほぼ
同一平面内に分布する高さとして平行に設置した後、隣
り合う2本のレール3間に撒布された骨材21をそのレ
ール間に掛け渡した定木4により平坦に敷き均してから
転圧することにより安定した骨材層とし、この骨材層に
固着液を塗布して既設舗装面1上に平坦かつ強固な保護
層2を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は舗装面改修方法およ
び運動競技場に関し、さらに詳しく言えば、クレー系も
しくは砕石系などの既設舗装面を人工芝舗装面に改修す
るのに好適な改修方法と、これにより改修された運動競
技場に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばクレー系舗装からなるテニスコー
トなどの運動競技場を人工芝舗装に改修する場合、その
既設舗装面上にアスファルトコンクリートやセメントコ
ンクリートなどにより保護層を形成し、その保護層上に
人工芝を敷設する改修方法があるが、これによると新設
された保護層によって人工芝面が嵩上げるため、周囲の
既存設備との収まりが悪くなるという不都合が生ずる。
【0003】別の改修方法として、クレー系舗装面の表
層を掘り起こしてセメント系や樹脂系の固化材を投入し
て攪拌混合した後、その表層を平坦に均して固化させる
改修方法がある。これによれば、改修面が元の舗装面と
ほぼ同一面に仕上げられるが、表層の掘り起こし作業が
大変で工費がかかるばかりでなく、固化材を均一に混合
することが難しく、改修面に強度的なばらつきが生ずる
おそれが多分にある。
【0004】そこで、これらの問題を解決するため、本
出願人は、既設舗装面上に固着液をあらかじめ塗布して
おき、この固着液上に例えば砕石などからなる骨材を所
定厚さに撒布して保護層を設けた後、この保護層上に平
坦層を積層して人工芝を敷設するという改修方法を提案
している(特開平10−219618号公報参照)。
【0005】これによれば、既設の舗装面の掘り起こし
が不要であるため、その分工費を安価にできるととも
に、既設舗装面の転圧と保護層上に形成されている平坦
層により、運動競技場に必要な平坦性および強度を確保
することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、その後
において、この改修方法にもいくつかの課題が提起され
た。すなわち、固着液の塗布後に骨材を撒布する手順を
踏むため、骨材の撒布および固着液の塗布の仕方によっ
ては、骨材の厚さや固着液の塗布量にばらつきが生じる
ことは否めない。
【0007】したがって、固着液が少なく骨材が多い部
分では、固着強度が低下し結果として表面強度不足とな
る。また、骨材の撒布量のばらつきにより不陸を生じる
おそれもある。また、この改修方法では平坦性を確保す
るために、保護層の上にさらに平坦層を必要としてお
り、その分工期が長くかかることになる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するためになされたものであって、その目的は、運
動競技場の下地として必要な強度と平坦性を備えた保護
層をより簡便に構築することができるようにした舗装面
の改修方法を提供することにある。
【0009】また、本発明の別の目的は、保護層がしっ
かりしており、長期にわたって平坦性を維持できる人工
芝舗装による運動競技場を提供することにある。
【0010】上記第1の目的を達成するため、本発明
は、既設舗装面を均一な所定強度を有する平坦面に改修
する舗装面改修方法において、上記既設舗装面上に複数
本のレールをその各レール天端がほぼ同一平面内に分布
する高さとして平行に設置した後、隣り合う2本のレー
ル間に撒布された骨材をそのレール間に掛け渡した定木
により平坦に敷き均してから転圧することにより安定し
た骨材層とし、上記骨材層に固着液を塗布して上記既設
舗装面上に保護層を形成することを特徴としている。
【0011】これによれば、既設舗装面上に運動競技場
の下地として必要な強度と平坦性を備えた保護層を熟練
作業を要することなくより簡便に構築することができ、
特に平坦層を必要とすることなく、保護層上にそのまま
人工芝を敷設することが可能となる。なお、保護層は必
要に応じて複数層としてもよい。使用する骨材は、平均
粒径が0.1〜15mm、特には2.5〜5mmのもの
が好ましく、入手の容易さからすれば7号砕石が好適で
ある。
【0012】なお、本発明により改修される既設舗装面
は、主にクレー系もしくは砕石系のテニスコート面など
であるが、いわゆる更地であってもよい。より具体的に
例示すれば、クレーやアンツーカなどのクレー系舗装面
およびそのクレー系舗装面の勾配修正のため砕石層が積
層された舗装面、テニスコートその他運動場として使わ
れていないが、平坦にすればそれに用いるだけの広さを
持った空き地およびその空き地に勾配修正のため砕石層
が積層された舗装面などが本発明の改修対象となり得
る。
【0013】本発明において、上記固着液として、比較
的粘性の高い第1固着液と、比較的浸透性の高い第2固
着液を用い、上記骨材層に上記第1固着液を塗布した
後、上記第2固着液を塗布することが好ましい。これに
よれば、まず第1固着液によって骨材層の表面側が結合
されるため、外力による骨材の脱落、遊離が防止でき、
その後に塗布される第2固着液の高い浸透性によって骨
材層全体の結合が図られることになる。
【0014】本発明の好ましい態様によれば、保護層の
平坦性をより向上させる目的で、上記保護層の形成に先
立って、上記既設舗装面の平坦化処理が行なわれる。こ
の平坦化処理はマカダムローラーによる転圧であってよ
い。
【0015】本発明は、上記保護層の上に、高い平坦性
を得るための平坦層を塗布式工法によりさらに形成する
ことを排除するものではない。例えば、保護層が1層だ
けである場合のときなどに、この平坦層が追加的に設け
られてよい。
【0016】本発明には、上記保護層上に直接もしくは
平坦層を介して人工芝を敷設する態様も含まれ、これに
よりクレー系もしくは砕石系などの既設舗装面が人工芝
舗装面に改修される。
【0017】上記第2の目的を達成するため、本発明の
運動競技場は、クレー系もしくは砕石系もしくは更地な
どの既設舗装面を下地として、その下地上に平坦に敷き
均され、かつ、転圧された骨材層に固着液を塗布してな
る保護層を備えていることを特徴としており、この保護
層上に直接もしくは所定の平坦層を介して砂入り人工芝
を敷設することにより、保護層がしっかりしており、長
期にわたって平坦性を維持できる人工芝舗装による運動
競技場が得られる。
【0018】なお、砂入り人工芝は、芝目内に粒状物を
所定の厚さに層状に充填してなる人工芝の総称であり、
充填される粒状物は、例えば砂、ゴムチップ、コルクチ
ップ、樹脂粉砕物などの単体もしくはこれらの混合物で
あってよい。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0020】図1の斜視図およびその断面図である図2
を参照して、既設舗装面1を改修するにあたって、その
作業治具として、まずレール3と定木4とが用いられ
る。なお、この実施例で改修しようとする既設舗装面1
は、クレー系からなるすでに使い古されたテニスコート
である。
【0021】本発明の改修方法において、レール3と定
木4は既設舗装面1上に保護層2を平坦に敷き均してそ
のレベル出しを行なうためのものである。レール3に
は、保護層2を敷き均す際に所定の負荷がかかるため、
その負荷に対抗して直線性を維持できる強固さが要求さ
れる。
【0022】レール3は、実際には複数本のレール材3
1をつなぎ合わせることにより、既設舗装面1上に設置
されるが、そのレール材31としては、入手の容易さの
点からすれば、直径が30〜50mm程度の円形鋼管も
しくは断面の縦×横が30×50mm〜50×50mm
程度の角形鋼管が好適である。長さは取扱性を考慮して
3〜5m程度のものが好ましい。
【0023】このレール材31を繋げて1本のレール3
とする場合、各レール材31の接続に市販されている入
れ子式の継手(図示しない)を用いることにより、接続
部分で折れ曲がることがないとともに、段差も生ずるこ
とがなく直線性を維持することができる。
【0024】このように複数本の各レール材31を繋げ
たレール3を既設舗装面1上に互いに平行に設置する場
合、各レール3は、その天端(上面)がほぼ同一平面内
に分布(存在)するように、その高さが調整される。す
なわち、既設舗装面1に不陸がある場合には、その高い
所は削られ、低い所には例えば支え木などを噛ませるこ
とにより、各レール3の高さ調整が行なわれる。なお、
レール3は保護層2の構築後に撤去される場合と、既設
舗装面1に埋め込まれてそのまま使用される場合とがあ
る。
【0025】ここで、各レール3の高さ調整について、
それらの天端がほぼ同一平面内に分布(存在)すると
は、必ずしも各レール天端が同一高さ(同一水平面)に
ある場合のみを意味するものではない。例えば、テニス
コート面には排水性を考慮して所定の勾配が付けられ
る。このような場合、各レール3の天端は、その勾配面
を基準平面として、その基準平面から測った高さがほぼ
同一となるように高さ調整されることになる。
【0026】定木4は、保護層2を敷き均す際に容易に
は変形せず、かつ、下縁が平坦面41に仕上げられてい
る例えば鋼板などの長尺な板状体からなり、レール3,
3間に掛け渡される長さを備えているものであればよ
い。この定木4のレール3に支持される部分の形状は、
レール3の設置高さと、形成しようとする保護層2の厚
さとのかねあいで適宜決められる。
【0027】すなわち、保護層2の構築後にレール3を
撤去することを前提する場合、好ましくは定木4の両端
にレール3に対する係合段差部42,42が設けられ、
得ようとする保護層2の厚さに応じて、係合段差部4
2,42の深さhが選択されることになる。
【0028】例えば、レール3に50×50mmの角形
鋼管が用いられている場合、係合段差部42,42の深
さhをそのレール上面(天端)から例えば40mmとす
ることにより、厚さ10mmの保護層2が得られること
になる。このように、レール3の設置高さに対して保護
層2の厚さを低くすることにより、レール3の撤去時に
保護層2の破壊を最小限にとどめることができる。
【0029】なお、レール3を撤去することなくそのま
ま埋め込むことを前提とする場合には、レール3の設置
高さが保護層2の仕上げ高さとなるため、定木4には上
記のような係合段差部42,42は必要でなく、定木4
は平坦面41のみを有する単なる板状もしくは棒状であ
ってよい。
【0030】この保護層2には、平均粒径0.1〜15
mm、好ましくは平均粒径2.5〜5.0mmの砕石か
らなる骨材21が用いられるが、定木4により敷き均さ
れた骨材21は動きやすい状態にあるため、次の固着液
塗布工程での塗布作業において平坦性が損なわれるおそ
れがある。
【0031】そこで転圧を行ない骨材21同士を絡み合
わせて、保護層2に固着液の塗布作業時に平坦性が損な
われないような強度を付与することが好ましい。この転
圧には特殊な機械は必要でなく、道路舗装工事用のマカ
ダムローラーなどの転圧機械が用いられてよい。
【0032】この転圧後、保護層表面からの骨材21の
脱落(遊離)を防止すること、骨材21同士を強固に結
合させること、および保護層2と既設舗装面1とを一体
化させることなどを目的として保護層2上に固着液22
が塗布される。すなわち、ここで使用する固着液には、
骨材21の間に浸透して既設舗装面1と保護層2をつな
ぐ役目を持ちながら、保護層2の表面に膜を作って骨材
21の脱落を防止する機能が要求される。
【0033】このため、固着液22には浸透性と粘性の
双方を適度に兼ね備えていることが必要とされる。しか
しながら、このような両方の性質を兼ね備えた固着液は
入手が容易ではない。そこで、比較的粘性の高い第1固
着液と、比較的浸透性の高い第2固着液とを併用するこ
とが好ましい。これによれば、まず最初に第1固着液で
保護層2の表面を結合させ、次に第2固着液で保護層2
内部の骨材21同士を結合させるとともに、保護層2と
既設舗装面1とを結合させることができる。
【0034】なお、この2種類の固着液がイオン結合な
どの反応性が高い材料であれば硬化が促進されるのでよ
り好ましい。このような性質を有し、ある一定時間で固
まるものであれば、各種エマルジョン、溶剤、無溶剤系
の液状樹脂などその材料は特に限定されない。コスト面
からすれば、第1固着液として例えばアスファルト乳剤
PK−3を用いた後、第2固着液として例えばセメント
ミルクを用いることが好ましい。
【0035】次に、図3ないし図8により、既設舗装面
1(例えば、クレー系テニスコート)を砂入り人工芝に
改修する一連の手順について説明する。なお、この例は
保護層形成後、レールを撤去する場合のものである。
【0036】まず、図3を参照して、レール3を設置す
る前の準備工程として、あらかじめ既設舗装面1をマカ
ダムローラーによって入念に転圧する。一つの目安とし
て、転圧後490kPa(5hgf/cm)の静的な
載荷重により既設舗装面1に沈下が認められないまでに
転圧する。
【0037】なお、既設舗装面1にテニスコートとして
必要な勾配(1/150〜1/200)が維持されてい
ない場合には、図4に示すように、既設舗装面1上に砕
石層11を設けてその勾配を修正する。この砕石層11
を構築するには、例えば調粒砕石M−30などの転圧に
より締まりやすく、平坦性の出しやすい砕石が好適であ
る。
【0038】次に、図5に示すように、既設舗装面1上
に複数のレール3を互いに平行に設置する。なお、作図
の都合上図5には2本のレール3,3しか示されていな
いが、実際にはより多くのレールが設置される。レール
3,3間の間隔は、定木4がたわまないことや、固着液
の塗布作業の行ないやすさなどを考慮すると、2〜4m
が適当である。
【0039】また、各レール3が所定の基準面(この例
では砕石層11の勾配面)に対して、ほぼ同一高さとな
るように高さ調整する。すなわち、レール3のジョイン
ト部分やその間のレベルを測定して、レール3を部分的
に嵩上げしたり、もしくは既設舗装面1を部分的に削っ
て、各レール3の天端が基準面からほぼ同一高さとなる
ようにする。
【0040】次に、レール3,3のレーン内に骨材21
(例えば7号砕石)をシャベルなどを用いて一様に撒布
し、好ましくはレーキなどを用いて簡単に敷き均した
後、定木4をレール3,3間に掛け渡してレーン方向に
移動させて骨材21の敷き均しを行なう。この場合、骨
材21より定木4が受ける抵抗をより少なくするには、
定木4をレーン方向と直交する方向に小刻みに動かしな
がら敷き均し作業を行なうとよい。
【0041】なお、レール3に例えば50×50mmの
角形鋼管を用いて、骨材21を10mm厚で敷き均すに
は、先に図2で説明したように、両端に深さ40mmの
係合段差部42,42を有する定木4を用いればよい。
【0042】定木4にて骨材21を敷き均した後、図6
に示すように、転圧手段としてマカダムローラー5を使
用して骨材21を転圧する。これにより、骨材21間の
空隙が押し潰され、骨材21同士に噛み合わせ効果が生
じて、高い表面強度が得られる。
【0043】次に、図7に示すように、固着液22を一
様に塗布する。この固着液22としてアスファルト乳剤
PK−3を用いる場合、その塗布量は、1平方mあたり
0.5〜3.0リットル程度が好ましい。塗布量が0.
5l/mより少ないと、アスファルト乳剤が骨材層に
容易に浸透しないため、骨材21同士および既設舗装面
1との固着不良が生じ、新設するテニスコートの下地と
しての必要な強度が得られないおそれがある。
【0044】また、アスファルト乳剤の粘性を考慮する
と、その塗布量が3.0l/m以上の場合には、骨材
層の表面に乳剤が浮いて膜を張る状態となり、内部にま
で浸透して行かない事態が容易に予想される。特に、気
温が高い場合には浸透する前にアスファルト乳剤が乾い
て硬化し、骨材層の表面に乳剤の膜が張るだけとなって
しまう。
【0045】なお、この点を改善する方法として、骨材
21にあらかじめ水分を与えておく方法がある。これに
よれば、その水分の存在により骨材層内にアスファルト
乳剤が浸透しやすくなる。この場合、水分により乳剤が
若干薄められるため、アスファルト乳剤の塗布量を上記
の塗布量よりも増やす(1.0〜3.0l/m)こと
が望ましい。
【0046】既設舗装面1の平坦性および支持強度によ
っては、上記固着液塗布までの一連の作業を1回行なう
だけで、新設するテニスコートの下地としての必要な強
度と平坦性を有する保護層が得られる場合もあるが、既
設舗装面1の平坦性や支持強度にばらつきがあっても、
上記の骨材層の敷き均し、転圧および固着液塗布の一連
の作業を少なくとも2回行なうことにより、新設するテ
ニスコートの下地としての十分な平坦性と強度が得られ
る。この場合には、薄い層を2回にわたって施工するこ
となるため、固着液の浸透不足による問題はより少なく
なる。
【0047】なお、固着液としてアスファルト乳剤を用
いる場合、塗布時の気温やその他の条件によっては、浸
透不足による強度不足が生ずるおそれがある。また、塗
布硬化後においても、熱によりアスファルト乳剤が軟化
し強度劣化が懸念される場合がある。
【0048】これを未然に防止するには、別の第2固着
液を併用するとよい。先に塗布した固着液(アスファル
ト乳剤)によって骨材層の表面強度はある程度確保され
ているため、この第2固着液としては浸透性が良好で、
かつ、浸透してもすぐに固化するように、先に塗布した
固着液と例えばイオン結合などの反応を起こしやすいも
のが好ましい。
【0049】具体的な例として、アスファルト乳剤PK
−3に対しては、普通ポルトランドセメントに体積比で
5〜10倍の水を加えたセメントミルクが好適である。
このセメントミルクは水とほとんど変わらない低粘性で
あるため、ジョーロなどで撒布したり、あるいは流し延
べにより骨材層内に浸透させることができる。
【0050】なお、希釈したセメントミルクは硬化後の
強度が小さく、その厚みが厚くなると硬化後にクラック
が発生するおそれがある。この舗装面改修方法において
は、セメントミルクが厚塗りとなることはほとんどない
が、そのクラックが不陸発生の原因とならないようにす
るには、EVA系エマルジョンをセメントミルクに少量
添加すればよい。
【0051】既設舗装面1の透水性が良く、この性能を
生かしたい場合には、透水性人工芝が好ましく採用され
るが、これに伴なって、保護層2を透水性にすることも
できる。この場合、アスファルト乳剤は0.5〜2l/
,セメントミルクは0.5〜2l/mの範囲とす
る。これにより、運動競技場全体の排水能力を高めるこ
とができる。
【0052】逆に、既設舗装面1の透水性が悪く水分を
含んで軟弱になりやすい場合は、保護層2および人工芝
ともに非透水仕様がよい。このような理由で、保護層2
を非透水性とする場合には、例えばアスファルト乳剤量
を2.5l/m,セメントミルク量を1.5l/m
とすることにより保護層2を非透水性にすることができ
る。
【0053】なお、固着液の塗布量のばらつきで保護層
2が部分的に透水性を持つ場合がある。しかしながら、
積層する人工芝を非透水仕様とすることにより、その透
水性を持った部分から既設舗装面への水の浸入を防ぐこ
とができる。すなわち、非透水性仕様の人工芝を用いる
場合には、保護層2の非透水性に厳密さは求められな
い。
【0054】上述した一連の作業により、固着液22に
より結合された骨材21による保護層2を形成すること
ができる。実際の施工現場では、図8に示すように、複
数本のレール3…を設置して、そのレール3,3間の各
レーンL1,L2,…ごとに保護層2が形成されること
になるが、隣接するレーンに平行して保護層を構築しよ
うとすると、作業者が隣の保護層設置面に入り込まなく
てはならない場合があり、設置途中の保護層が荒らされ
てしまうことがある。
【0055】そこで、最初に例えば奇数レーンL1,L
3…について保護層2を構築し、その固着液が硬化する
のをまって、偶数レーンL2,L4…に保護層2を構築
することが好ましい。これによれば、偶数レーンの施工
時に作業者が奇数レーンに乗っても、奇数レーンの保護
層が荒らされることはない。
【0056】すべてのレーンについて保護層2を構築し
た後、レーン3を撤去し上記の保護層形成と同じ作業を
繰り返してレーン跡を埋める。すなわち、そのレーン跡
に骨材を充填し転圧した後、固着液を塗布する。必要に
応じて、この一連の作業を繰り返す。
【0057】なお、奇数レーンL1,L3…に保護層2
を構築した後、各レール3を撤去して偶数レーンL2,
L4…に保護層2を構築することもできる。この方法を
図9の断面図により説明する。すなわち、偶数レーンL
2について言えば、その両側の奇数レーンL1,L3の
保護層2をレールの代わりに利用する。
【0058】まず、両側の保護層2,2の上にスペーサ
ー6,6を設置する。スペーサー6は単なる帯板であっ
てよく、その厚さは骨材21を敷き詰め転圧したときの
沈み量を勘案して選択する。例えば、骨材層が敷き均し
後の転圧により5mm程度沈むとすれば、スペーサー6
には板厚5mmのものを用いればよい。また、この場合
に用いられる定木4aは、下縁が平坦な単なる板材や棒
材であってよい。
【0059】そして、偶数レーンL2に骨材21を敷き
詰め、定木4aによって平坦に敷き均した後、スペーサ
ー6,6を取り去り、マカダムローラーなどの転圧手段
によって骨材21を転圧する。このようにして、レーン
の境界で段差を生ずることなく保護層2を形成すること
ができる。
【0060】なお、上記実施例とは異なり、図11に示
すように、レール3を撤去することなく既設舗装面1に
設置したまま、保護層2を形成することもできる。すな
わち、所定高さに張った水糸などを目安にして、既設舗
装面1上にコンクリートブロックを設置するか、あるい
はコンクリートを打設してレール3aとする。
【0061】この場合、レール3aの高さがそのまま保
護層2の厚さとなる。このレール3aの断面形状は、そ
の設置性や骨材の敷き均し作業性を考慮すると、幅10
0〜200mm,深さ(縦)30〜100mm程度が好
適である。
【0062】このレール3a,3a間に、その上面(天
端)と同じ高さになるように保護層2を設けることによ
り、レール3aを撤去することなく、保護層2の一部と
して使用することができる。なお、このようにレール3
aをいわゆる埋め殺しとする場合にも、保護層2は上記
実施例と同様にして形成される。
【0063】本発明による保護層2は、人工芝が敷設さ
れる下地としての十分な強度と平坦性を備えている。し
たがって、図11に示すように、保護層2上に砂入り人
工芝7を敷設することにより、既設舗装面(例えば、ク
レー系テニスコート)1が、長期にわたって平坦性を維
持できる人工芝テニスコートに改修される。
【0064】なお、本発明による保護層2は、それ自体
で十分な平坦性を有しているが、人工芝7を敷設するに
あたって、より精度の高い平坦性が求められる場合に
は、保護層2上に塗布式工法による平坦層をさらに設け
てもよい。この場合、保護層2のほとんどの部分は平坦
性が確保されているので、特に平坦性が要求される部分
のみに追加的に平坦層を形成してもよい。
【0065】
【実施例】次に、施工後5年を経過したクレー系テニス
コートを実際に改修した本発明の実施例とその比較例に
ついて説明する。
【0066】《実施例1》10.5m×16m=168
のクレーコート(図12参照)を2tのタンデムロ
ーラーで十分に転圧した後、このクレーコート上にテニ
スコートとして必要な勾配を付けるため、砕石M−30
を100〜0mmの厚みで敷き均し、転圧してコートの
短手方向(10.5m方向)に1/200の勾配を持つ
路盤層を設けた。次に、50×50mm角で長さ4mの
角形鋼管4本を専用治具で接続して、長さ16mとした
レールを4本用意し、図12に示すように、これら4本
のレール3をクレーコートの長手方向(勾配と直角方
向)に3.5mの間隔で平行に敷設し、クレーコートを
3つのレーンL1〜L3に区画した。このとき、各レー
ル3の両端および接続部分の高さをレベルで確認して、
適宜嵩上げ、食い込ませを行なってレール3の天端が計
画高さ+35mmになるように高さ調整した。ここで図
13を参照して、計画高さとはクレーコート上に敷き均
される骨材層の表面高さ位置である。次に、50×50
mm角で長さ3.6mの直線性を有する角形鋼管の両端
に、図13に示すように、段差35mmの係合段差部を
形成して定木4とした。そして、3つのレーンL1〜L
3の内、まず、左右両側のレーンL1,L3について、
骨材として7号砕石を撒布した後、厚み15mmとなる
ように余分な砕石をかき取る定木ズリを行なった。定木
4はレール3と直角方向に往復運動しながらレール3に
沿って徐々に動かした。このようにして、定木ズリで砕
石を敷き均した後、マカダムローラーで転圧してからア
スファルト乳剤PK−3を1平方mあたり1.0リット
ルとしてエンジンスプレヤーで散布した。次に、転圧で
生じた凹部を修正するため、もう一度7号砕石を撒布
し、定木ズリ、転圧、乳剤散布を行なった。最後に、普
通ポルトランドセメント1リットルに水道水5リットル
を混合、攪拌したセメントミルクを柄杓で散布した後、
ゴムレーキで塗り拡げた。なお、ゴムレーキにより7号
砕石の粒がわずかにかき起こされたので、振動プレート
で再度転圧した。このようにして、レーンL1,L3に
保護層を形成し1晩養成した後、レール3を除去した。
そして、レーンL1,L3の保護層のレーンL2側の端
部に沿って、厚み3mm,長さ2m,幅5cmの鉄板を
多数設置した。これをレールとして、残されたレーンL
2について上記と同じ要領で保護層を施工した(図9参
照)。このときの定木は、50×50mm角で長さ3.
6mの角形鋼管を端部に係合段差部を形成することなく
そのまま使用した。1晩養成して、レーンL2の保護層
を完成させた。3日目に、保護層に沿って水糸を2mピ
ッチで勾配方向(コートの短手方向)に張り、水糸を張
った部分を2m間隔で保護層の下がり具合を不陸として
測定し、その不陸が5mm以上の範囲を、アスファルト
乳剤系不陸修正剤(住友ゴム工業株式会社製、商品名S
L910A)に0.1〜0.6mmの粒径の砂を適当に
混合したモルタルで修正した後、砂入り人工芝を置き敷
き施工してテニスコートを完成させた。用いた人工芝
は、ポリプロピレン製、太さ8400デシテックスのス
プリットヤーンを1平方mあたり約1kgとしてポリプ
ロピレン製の基布に植設したもので、そのパイル長は1
9mmである。植設したパイルは裏面からラテックスバ
ッキングで裏止め加工されている。この人工芝を保護層
全面に敷設した後、芝目内に0.2〜0.8mmの粒径
の乾燥した珪砂を1平方mあたり25〜26kg充填し
て砂入り人工芝とした。全施工日数は3日であった(保
護層の形成に2日、不陸修正および人工芝の敷設に1
日)。不陸修正範囲は、約25mで全体の約15%で
あった。この新設されたコート面で実際にプレーを行な
ってもらい、施工後3ヶ月の状況を観察したところ、平
坦性、強度ともに良好であった。また、散水して水溜ま
り状態の有無をテストしたところ、施工当初のまま水溜
まり箇所はなかった。
【0067】〈比較例1〉10.5m×16m=168
のクレーコートを2tのタンデムローラーで十分に
転圧した後、このクレーコート上にテニスコートとして
必要な勾配を付けるため、砕石M−30を100〜0m
mの厚みで敷き均し、転圧してコートの短手方向に1/
200の勾配を持つ路盤層を設けた(この工程までは上
記実施例1と同じ)。次に、アスファルト乳剤PK−3
を1平方mあたり1.0リットルとしてエンジンスプレ
イヤーで散布した後、骨材としての7号砕石を均一に敷
き均した。そして、乳剤散布を行ない、凹部を目視で確
認しながら7号砕石を敷き均して保護層を形成した。次
に、保護層に沿って上記実施例1と同じ方法で不陸測定
を行い、不陸が5mm以上の範囲を上記実施例1と同じ
方法で不陸の修正を行なった。この保護層の上に塗布式
工法により平坦層を形成してから、最後に、上記実施例
1と同じ仕様の砂入り人工芝生を敷設した。全施工日数
は5日を要した(保護層の形成に2日、不陸修正および
平坦層の形成に2日、人工芝の敷設に1日)。不陸修正
範囲は、約160mで全体の約95%にもおよんだ。
この新設されたコート面で実際にプレーを行なってもら
った施工後3ヶ月の状況は、上記実施例1と同じく、平
坦性、強度ともに良好で、散水テストにおいても、施工
当初のまま水溜まり箇所はなかった。
【0068】〈比較例2〉上記実施例1では保護層上に
砂入り人工芝を敷設したが、この比較例2では保護層上
に砂なし人工芝を敷設した。保護層の施工方法は上記実
施例1と同じ。用いた人工芝は、ナイロン66製、太さ
660デシテックスのモノフィラメントヤーンを1平方
mあたり約1kgとしてポリプロピレン製の基布に植設
した人工芝で、パイル長は8mmである。植設したパイ
ルは裏面からラテックスバッキングで裏止め加工されて
いる。全施工日数は上記実施例1と同じく3日であった
(保護層の形成に2日、不陸修正および人工芝の敷設に
1日)。不陸修正範囲は、約29mで全体の約17%
であった。この新設されたコート面で実際にプレーを行
なってもらった施工後3ヶ月の状況は、平坦性、強度と
もに良好であったが、散水テストでは2箇所に水溜まり
が発生した。
【0069】〈比較例3〉10.5m×16m=168
のクレーコートに、上記実施例1と同じ要領で保護
層を設けた後、表面コート層としてアクリル系樹脂を厚
さ1.5mmで塗り広げてテニスコートを完成させた。
全施工日数は4日を要した(保護層の形成に2日、不陸
修正に1日、表面コート層に1日)。不陸修正範囲は、
約32mで全体の約19%であった。この新設された
コート面で実際にプレーを行なってもらった施工後3ヶ
月の状況は、平坦性、強度ともに良好であったが、保護
層の7号砕石脱落による陥没箇所が多数認められた。
【0070】参考として、上記実施例1および比較例1
〜3の対比を表1に示す。工期としては、上記実施例1
と上記比較例2がともに3日でもっとも短いが、比較例
2は砂なし人工芝であるため、踏厚が分散されず保護層
が局所的に凹んで、その部分に水溜まりが発生した。
【0071】上記実施例1と上記比較例1は、施工後3
ヶ月の状況において遜色はないが、全施工日数におい
て、上記実施例1は3日であるのに対し、上記比較例1
では5日を要する点で顕著な相違がある。また、上記比
較例3については、表面コート層が塗布式工法であるた
め、上記比較例2よりも踏厚が分散されず、したがって
保護層の損傷が激しい。よって、本発明により構築され
た保護層と砂入り人工芝との組み合わせが最適であると
言うことが結論づけられる。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が奏さ
れる。 改修厚さが小さいため、周囲の既存設備との収まりが
よい。 既設の舗装面を掘削、除去しないため、工期が短く経
済的である。 骨材を平坦に敷き均すため、きわめて平坦性が高い。 骨材の厚さが均一であるため、固着液が一様に浸透す
る。なお、比較的粘性の高い固着液と、それと反応性が
良好である比較的浸透性の高い固着液を併用することに
より、骨材の固着強度も均一となる。 保護層上に人工芝を敷設するにあたって、基本的には
平坦層が不要である。仮に、平坦層が必要な場合であっ
ても、極く限られた範囲で済ませられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による舗装面改修方法の一実施例を示す
斜視図。
【図2】上記実施例の断面図。
【図3】上記実施例の施工工程を説明するための模式
図。
【図4】上記実施例の施工工程を説明するための模式
図。
【図5】上記実施例の施工工程を説明するための模式
図。
【図6】上記実施例の施工工程を説明するための模式
図。
【図7】上記実施例の施工工程を説明するための模式
図。
【図8】実際の施工現場での施工例を説明するための斜
視図。
【図9】実際の施工現場での他の施工例を説明するため
の断面図。
【図10】本発明の他の実施例を説明するための断面
図。
【図11】本発明により改修された人工芝運動競技場を
示した断面図。
【図12】本発明の具体的な実施例1を説明するための
模式的斜視図。
【図13】本発明の具体的な実施例1を説明するための
模式的要部斜視図。
【符号の説明】
1 既設舗装面 11 砕石層 2 保護層 21 砕石 22 固着液 3,3a レール 31 レール部材 4,4a 定木 41 平坦面 42 係合段差部 5 転圧手段(マカダムローラー) 6 スペーサー 7 人工芝 L レーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 吉彦 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 2D051 AA00 AB02 AB04 AC00 AF01 AF02 AG01 AG11 AH01 DB02 DC05 EA01 EA06 EB06 HA10 2D053 AA13 AA15 AA20 AA21 AD01 AD03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設舗装面を均一な所定強度を有する平
    坦面に改修する舗装面改修方法において、 上記既設舗装面上に複数本のレールをその各レール天端
    がほぼ同一平面内に分布する高さとして平行に設置した
    後、隣り合う2本のレール間に撒布された骨材をそのレ
    ール間に掛け渡した定木により平坦に敷き均してから転
    圧することにより安定した骨材層とし、上記骨材層に固
    着液を塗布して上記既設舗装面上に保護層を形成するこ
    とを特徴とする舗装面改修方法。
  2. 【請求項2】 上記固着液として、比較的粘性の高い第
    1固着液と、比較的浸透性の高い第2固着液を用い、上
    記骨材層に上記第1固着液を塗布した後、上記第2固着
    液を塗布することを特徴とする請求項1に記載の舗装面
    改修方法。
  3. 【請求項3】 上記保護層の形成に先立って、上記既設
    舗装面をあらかじめ平坦化処理することを特徴とする請
    求項1または2に記載の舗装面改修方法。
  4. 【請求項4】 上記保護層の上に、高い平坦性を得るた
    めの平坦層を塗布式工法によりさらに形成することを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の舗装
    面改修方法。
  5. 【請求項5】 上記保護層上に直接もしくは平坦層を介
    して人工芝を敷設し、上記既設舗装面を人工芝舗装面に
    改修することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    1項に記載の舗装面改修方法。
  6. 【請求項6】 既設舗装面を下地として、その下地上に
    平坦に敷き均され、かつ、転圧された骨材層に固着液を
    塗布してなる保護層を備えていることを特徴とする運動
    競技場。
  7. 【請求項7】 上記保護層上に直接もしくは平坦層を介
    して砂入り人工芝が敷設されていることを特徴とする請
    求項6に記載の運動競技場。
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