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JP2001030018A - スピニング加工による有底筒体の製造方法及び装置 - Google Patents

スピニング加工による有底筒体の製造方法及び装置

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Publication number
JP2001030018A
JP2001030018A JP11205372A JP20537299A JP2001030018A JP 2001030018 A JP2001030018 A JP 2001030018A JP 11205372 A JP11205372 A JP 11205372A JP 20537299 A JP20537299 A JP 20537299A JP 2001030018 A JP2001030018 A JP 2001030018A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spinning
cylindrical body
bottomed cylindrical
main shaft
rollers
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP11205372A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Irie
入江  徹
Shinji Ota
真志 太田
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Sango Co Ltd
Original Assignee
Sango Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sango Co Ltd filed Critical Sango Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、板状素材に対し絞りスピニン
グ加工及びしごきスピニング加工を円滑且つ適切に行な
い、所望の有底筒体に加工する。 【解決手段】 加工目標の有底筒体の外形と同形状に形
成した芯金3の底部と、この芯金に対して同軸上で対峙
する押え棒41とにより板状素材の被加工物4を回転不
能に挾持する。そして、芯金及び押え棒の周囲を同径円
周軌跡にて等間隔で公転可能な複数のローラ28を公転
軌道径を同時に変化させつつ芯金及び押え棒の軸心方向
に移動させ板状素材の被加工物を押圧変形して、絞りス
ピニング加工を行なうと共にしごきスピニング加工を行
ない、芯金の外形形状に内面が合致するように有底筒体
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスピニング加工によ
る有底筒体の製造方法及び装置に関し、特に、金属製の
板状素材に対し絞りスピニング加工及びしごきスピニン
グ加工を行ない、有底筒体形状に形成する有底筒体の製
造方法及び装置に係る。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種の回転対称部品の製造に
スピニング加工が用いられている。これは、板材等を回
転させローラ工具を押し付けて成形する方法で、例えば
書籍「回転加工−転造とスピニング−」(塑性加工技術
シリーズ11、日本塑性加工学会偏、1990年12月
20日初版第1刷、コロナ社発行)の第143頁乃至第
199頁に記載されている。同書籍には、ブランクをマ
ンドレルに押圧した状態で、これらを回転させながらロ
ーラをブランクに押圧して絞り成形を行なう絞りスピニ
ングと、外径は変化しないが壁厚を薄くするしごきスピ
ニングと、円筒状のブランクの壁をしごく回転しごきス
ピニングの三つの加工法が開示されている。更に、加工
の初めは絞りスピニングで右側の逆向き円錐を作り、途
中からしごきスピニングによって左側の円錐を作り、メ
ガホン状のランプシェードを加工する例が示されている
(同書籍の第145頁)。
【0003】上記の書籍においても最も困難な加工と記
載されている板材から有底筒体を形成する方法の一例と
して、特許登録2673810号公報には、回転主軸に
取り付けられたマンドレルと、このマンドレルに沿って
被加工物を絞り加工する絞りローラを用いたスピニング
マシンによる絞り加工法が開示されている。また、特開
平9−239472号公報には、中空円筒素材に対し、
中央円筒部をへら絞り加工にて所定の肉厚及び所定長さ
のベロー成形部に圧延するベロー管素材の絞り成形方法
(寧ろ、しごきスピニング加工に相当)が開示されてい
る。特に、特公平3−1089号公報には、素材板をプ
レス成形して底部と筒部を備えた容器体を形成し、筒部
をスピニング成形(しごきスピニング加工に相当)して
長筒部を形成する水差しの製法が開示されている。
【0004】更に、特開平10−296365号公報に
は、絞りスピニング加工としごきスピニング加工の両加
工法を組合せたドラム成形方法が開示されている。同公
報には、歯の傾き防止と、内歯と外歯の軸心ズレ防止と
を達成しながら、短時間成形による一体型ドラムの成形
方法を提供することを目的とし、マンドレルとプレッシ
ャプレートとの軸心を一致させて円形板材のボス部を挟
圧固定したままで、フローフォーミングによる冷間塑性
変形で第1ドラム部の内面に内歯を形成し、転造による
冷間塑性変形で第2ドラム部の外面に外歯を形成するワ
ンクランプの加工方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】金属製の板状素材に対
しスピニング加工を行ない有底筒体を製造する方法とし
て、従来の絞りスピニング加工は、板状素材をマンドレ
ル(芯金)と共に軸心回りに回転させ、芯金の軸心回り
には回転しない1個のローラを芯金の軸心方向及び径方
向に駆動して板状素材を加工しているが、ローラに押圧
される反力によって材料が後方(回転後方)へ塑性流動
するのと、加工対象の素材全体も反対側へ押されるた
め、ローラの押圧力が塑性流動に有効に変換されず、所
定の外形、肉厚を確保することが困難で、形状精度の維
持が困難という問題がある。
【0006】一方、板状素材に対し1台の機械によって
絞りスピニング加工から側壁のスピニング加工までを連
続して行なうこととすれば効率的であるので、この実現
が望まれていた。特に、前掲の特公平3−1089号に
記載のような形状の物品の製造に有効である。前述の問
題を解決し、連続加工という要請に応えるには、複数の
ローラを、素材の軸を中心に常に相対するように配置す
ればよく、これによって複数の押圧力が常に軸心方向に
印加される。また、1台の機械によって実現するという
要請に応えるには、絞りスピニング加工用の設備としご
きスピニング加工用の設備を1台の機械に組込めばよい
が、単に両設備を組み込んだだけでは所望の効果は得ら
れない。
【0007】前掲の特開平10−296365公報にお
いては、2つのローラによって軸を挟んで両側から(ロ
ーラ用のアームのレバー比を利用して)押圧するように
構成されているが、ローラの軌跡はアーム端の支点を中
心とする弧状となるため、常に2つのローラが素材の軸
を挟んで対向する状態を維持しながら加工を行なうこと
ができるというものではない。つまり、依然として上記
の要請に応え得るものではない。また、絞り加工用のロ
ーラとしごき加工用のローラの2組のローラが用いられ
ているが、各組のローラを素材回りで常に相対して径方
向移動(押圧作動)及び軸方向移動させることは、構造
上不可能である。これを行うには、複数のローラをそれ
ぞれ個別に、放射状の軌跡に沿って移動し得るように制
御する装置が必要となり、非常に複雑且つ大型の装置と
なることは不可避である。
【0008】更に、素材側を回転させ、ローラを素材回
りには回転させない構造(非公転式)の絞りスピニング
加工装置及び/又はしごきスピニング加工装置に共通す
る問題として、加工対象の素材を2つの押さえ具(マン
ドレル)で強固に両側から挾持した状態で回転駆動する
だけでなく、更に軸方向移動まで行なわなければなら
ず、両押え具の回転強度、剛性の確保が必須であり、そ
の結果、重量及びコストが増大するとともに、それらの
制御装置も複雑化、大型化するという問題も避けられな
い。更には、全長の長い両押え具(及び挾持されている
加工対象の素材)が高速で回転すると素材部分がマスと
なって振動し、高精度の加工が困難となるという問題も
内包する。
【0009】そこで、本発明は、簡単な構成で、板状素
材に対し絞りスピニング加工及びしごきスピニング加工
を円滑且つ適切に行ない、所望の有底筒体に加工し得る
有底筒体の製造方法及び装置を提供することを課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の有底筒体の製造方法は、請求項1に記載の
ように、加工目標の有底筒体の外形と同形状に形成した
芯金の底部に、板状素材を回転不能に密着保持する第1
の工程と、前記芯金の軸心周囲を同径円周軌跡にて公転
する複数のローラを、公転軌道径を変化させつつ前記芯
金の軸心方向に移動させ前記板状素材を押圧変形して、
絞りスピニング加工を行なうと共にしごきスピニング加
工を行ない、前記芯金の外形形状に内面が合致するよう
に前記有底筒体を形成する第2の工程とを有することと
したものである。
【0011】前記有底筒体の製造方法において、請求項
2に記載のように、前記第2の工程は、前記板状素材が
押圧変形して前記芯金の外形形状に合致した後に、前記
有底筒体の側壁部を、前記複数のローラによって前記芯
金の軸心方向に押圧し、所定の肉厚及び長さまで圧延す
る工程を含むこととしてもよい。
【0012】また、前記有底筒体の製造方法において、
請求項3に記載のように、前記芯金の外周面を所望の表
面形状に刻設して成り、前記第2の工程時に前記有底筒
体の内面に前記表面形状が転写されるように構成しても
よい。
【0013】あるいは、有底筒体の製造方法として、請
求項4に記載のように、加工目標の有底筒体の外形と同
形状に形成した芯金の底部と、該芯金に対して同軸上で
対峙する押え棒とにより前記板状素材を回転不能に挾持
する第1の工程と、前記芯金及び前記押え棒の周囲を同
径円周軌跡にて等間隔で公転可能な三個のローラを公転
軌道径を同時に変化させつつ前記芯金及び押え棒の軸心
方向に移動させ前記板状素材を押圧変形して、絞りスピ
ニング加工を行なうと共にしごきスピニング加工を行な
い、前記芯金の外形形状に内面が合致するように前記有
底筒体を形成する第2の工程とを有することとしてもよ
い。
【0014】一方、本発明の有底筒体の製造装置は、請
求項5に記載のように、中空の主軸と、該主軸の先端部
に装着する支持手段と、該支持手段の前面に、前記主軸
と同軸の円周軌跡上に等間隔で公転可能且つ半径方向に
移動可能に設けた複数のローラと、前記主軸内に、前記
主軸とは独立して進退可能で回転不能に支持する押え棒
と、加工目標の有底筒体の外形と同形状に形成し、前記
押え棒及び前記支持手段の前面と同軸上に対峙するよう
に配置する芯金と、該芯金と前記押え棒との間に前記板
状素材を回転不能に挾持した状態で、前記支持手段を回
転駆動すると共に前記板状素材と前記支持手段の少なく
とも一方を前記主軸の軸方向に駆動し、前記支持手段の
回転駆動に応じて前記複数のローラを、公転軌道径を同
時に変化させつつ前記芯金及び押え棒の軸心方向に移動
させ前記板状素材を押圧変形して、絞りスピニング加工
を行なうと共にしごきスピニング加工を行なう駆動手段
とを備えたものである。
【0015】また、前記有底筒体の製造装置において、
請求項6に記載のように、前記主軸が内管及び外管の二
重管から成り、前記内管及び外管の回転速度が相互に異
なるように回転駆動する回転駆動手段と、前記支持手段
内に内蔵し、前記複数のローラを前記主軸と共に回転し
た状態で、前記複数のローラの公転軌道径を前記内管と
外管との相対速度差に応じて制御する伝達制御手段を備
えたものとするとよい。
【0016】
【発明の実施の形態】上記の構成になるスピニング加工
による有底筒体の製造方法及び装置の実施形態を図面を
参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るス
ピニング加工装置を示し、最終製品は、軸回転対称で、
軸に垂直な壁部を一体的に有する有底筒体となる。例え
ば、ボトル状の容器、アキュムレータをはじめ、プーリ
あるいはギヤ、各種ハウジング、更にはホイール、魔法
瓶、鍋、消火器等、種々の製品となる。尚、本実施形態
において、原素材(加工前の素材)は金属製の板状素材
であるが、その材料の種類は問わない。
【0017】図1に示すように、ベ−スBS上に一対の
ガイドレール5が固定され、このガイドレール5に沿っ
て筐体20が移動可能に配置されている。この筐体20
の下部にはボールソケット7が固定され、これに螺合す
る螺子軸(ボールスクリュー)8が、ベ−スBS上にガ
イドレール5と平行に配置され、サーボモータ9によっ
て回動可能に支持されている。而して、サーボモータ9
によって螺子軸8が回転駆動されると、筐体20はガイ
ドレール5に沿って移動するように構成されている。
【0018】筐体20には、主軸2がガイドレール5と
平行に配置され、ベアリング20a,20bを介して回
動自在に支持されている。本実施形態の主軸2は、円筒
状の外管21と内管23によって二重管に構成されてお
り、後述する変速機構50に連結されている。更に、内
管23の中空部を貫通するように押え棒41が配設さ
れ、主軸2とは独立して軸方向に進退可能に支持されて
いる。即ち、押え棒41は主軸2の内管23に対し軸受
を介してフローティング支持されており、従って主軸2
の回転及び軸方向移動に拘らず軸方向に移動し得るよう
に構成されている。押え棒41の基端部は進退駆動用の
シリンダ42に支持され、シリンダ42はブラケット4
3を介してベースBSに支持されている。
【0019】主軸2の外管21は歯車列22aを介して
プーリ22bに連結され、このプーリ22bがベルト
(図示せず)を介して回転駆動手段のモータ等(図示せ
ず)等に連結されており、外管21はこのモータ等によ
って回転駆動される。外管21の先端にはフランジ24
が固定されており、外管21が回転駆動されるとフラン
ジ24が主軸2の軸心を中心に回転する。一方、内管2
3は、外管21及びフランジ24に対して回動可能に支
持されている。そして、内管23の先端部には支持板2
5が固定されており、支持板25は内管23と共に主軸
2の軸心を中心に回転駆動される。
【0020】支持板25には、図2に示すような3条の
螺旋状の案内溝25aが形成されており、これらの案内
溝25aの各々に、支持板25の回転に伴い径方向に移
動する案内ピン26が配置されている。これらの案内ピ
ン26は3個の支持部材27に夫々保持されており、各
支持部材27には、図1に示すようにローラ28が回動
自在に支持されている。而して、支持板25及び支持部
材27によって本発明の支持手段が構成され、内管23
が回転駆動されると、ローラ28が主軸2の軸心を中心
に回動(公転)すると共に、支持板25の回転に応じて
支持部材27が案内溝25aに沿って径方向に駆動さ
れ、ローラ28が主軸2の軸心に対して近接、離隔する
ように駆動される。つまり、ローラ28の作動は支持板
25の回転中に行なわれ、ローラ28は公転しながらそ
の公転軌道径を変化させることとなる。
【0021】上記の外管21及び内管23が連結される
変速機構50は、本発明の伝達制御手段を構成し、本実
施形態では撓み噛み合い式駆動装置を用いたもので、外
管21と内管23に夫々係合される一対の外輪51,5
2と、これらの内面に形成された同一の歯数の歯溝に噛
合し、これらと異なる歯数の歯形が形成された可撓性の
歯車輪53と、この歯車輪53を回動可能に支持し外輪
51,52の歯溝と相対する2箇所で噛合するように配
置するウェーブ形成輪54が設けられている。このウェ
ーブ形成輪54は駆動用減速モータ55によって回転駆
動される。外輪51,52は夫々支持歯車56,57に
支持され、支持歯車56と噛合する駆動歯車58が外管
21に取付けられ、支持歯車57と噛合する従動歯車5
9が内管23に取付けられている。
【0022】上記の撓み噛み合い式駆動装置は、例えば
ハーモニックドライブとして知られているので(例え
ば、インターネット情報http://www.hds.co.jp/hdss.ht
m )、作動原理の説明は省略するが、外管21の回転駆
動に応じて外輪51,52間に相対速度差が生ずる差動
機構が構成されている。而して、外管21が回転駆動さ
れると、外輪51,52間の差動により内管23を介し
て支持板25が回転駆動され、各支持部材27、ひいて
は各ローラ28が主軸2の軸心に対し径方向移動するこ
ととなる。
【0023】このローラ28は断続的な衝撃を和らげる
ため複数個設けられるが、本実施形態のように三個のロ
ーラ28を等間隔に配置するのが理想的である。また、
ローラ28は径方向に変位可能であればどのような移動
経路としてもよい。ローラ28の駆動手段及び差動機構
としては遊星歯車機構等、他の手段を用いることとして
もよい。尚、上記モータ9,55等及びシリンダ42等
の各駆動手段はコントローラ(図示せず)に電気的に接
続され、このコントローラから各駆動手段に対し制御信
号が出力され、数値制御されるように構成されている。
【0024】一方、図1の左側のベ−スBSには、押え
棒41、ローラ28等と対向するようにクランプ装置1
2が固定されている。クランプ装置12は、加工目標の
有底筒体の外形と同形状に形成された芯金3の軸部3a
を回転及び移動不能に強固に保持するように構成されて
いる。芯金3の中心軸は押え棒41の中心軸上に位置す
るように固定され、押え棒41の先端部と芯金3との間
に板状素材の被加工物4が配置されている。従って、主
軸2と押え棒41の中心軸は同一であり、これらと芯金
3の中心軸が一致するように配置される。この被加工物
4は、その中心が押え棒41の軸心(主軸2の軸心)に
位置するように保持される。
【0025】尚、クランプ装置12は、その構造の図示
は省略するが、芯金3を脱着可能に保持するように構成
されており、芯金3の交換(段替)を容易に行ない得
る。更に、芯金3に対し軸方向に位置調節可能に構成す
れば、被加工物4の軸方向の位置決めを適切且つ容易に
行なうことができる。あるいは、筐体20をベ−スBS
に固定し、クランプ装置12を移動可能に支持すること
としてもよい。
【0026】上記スピニング加工装置により被加工物4
に対し絞りスピニング加工及びしごきスピニング加工を
行なう場合の一例を図1乃至図5を参照して説明する。
図1において、先ず、原素材である板状素材の被加工物
4の中心が芯金3の底面(図1の右側の面)の中心に合
致するように配置され、被加工物4が芯金3に当接した
状態でシリンダ42が駆動される。これにより、押え棒
41が前進し(図1の左方向に移動)、被加工物4は芯
金3と押え棒41の先端部との間に挟持され、図1に示
すように回転不能の状態で保持され、本発明にいう第1
の工程が終了する。尚、押え棒41は前述のように主軸
2に対しフローティング支持されているので、主軸2の
回転及び軸方向移動に拘らず被加工物4を挟持した状態
に維持することができる。
【0027】次に、筐体20がガイドレール5に沿って
前進駆動され(図1の左方向に移動)、図4に示すよう
に各ローラ28が芯金3の底面周縁で被加工物4に当接
する状態となる。この状態から、主軸2がその軸心(=
芯金3の軸心)を中心に回転駆動され、各ローラ28が
主軸2の軸心を中心に回動すると共に、変速機構50を
介して支持板25が回転駆動され、各ローラ28が主軸
2の軸心(=芯金3の軸心)方向に移動する。同時に、
各ローラ28がガイドレール5に沿って前進駆動される
(図1の左方向に移動)。この回転駆動及び前進駆動に
伴い、各ローラ28は、被加工物4の表面に圧接された
状態で、それ自体回転(即ち、自転)すると共に主軸2
の軸心を中心に回転(即ち、公転)しながら、芯金3の
軸心から離隔する方向(公転軌道径が拡大する方向)に
径方向駆動され、図5に示すように絞りスピニング加工
が行なわれる。
【0028】この絞りスピニング加工によって、被加工
物4のうち、芯金3の底面に密着した面以外の部分がロ
ーラ28によって変形され、最終的に図3に示すように
被加工物4の内面が芯金3の外周面に密着する。このと
き、ローラ28は常に被加工物4に当接するように制御
することが望ましい。尚、ローラ28の公転軌道径を増
減させつつ、ローラ28の軸方向の前進あるいは後退
(図1の左右方向の移動)を繰り返して、徐々に被加工
物4が変形するようにしてもよい。このようにして板状
素材の被加工物4が芯金3の外形と略同一形状に変形
し、有底筒体に形成される。
【0029】更に、上記のように有底筒体に形成された
被加工物4に対し、図3に示すようにローラ28が常に
当接するように、ローラ28は軸心方向に押圧駆動され
ると共に、前進駆動(図1の左方向に移動)される。こ
の押圧及び前進駆動に伴い、被加工物4は、その側壁部
の板厚が減少すると共に軸方向に延出し、圧延加工が行
なわれる。即ち、しごきスピニング加工が行なわれる。
このとき、被加工物4の側壁部においては、ローラ28
の公転運動と軸方向移動によって、螺旋状に材料が塑性
流動する。
【0030】本実施形態においては、3個のローラ28
が被加工物4の外径より若干小さい値に設定された公転
軌道径で、被加工物4の外周面に当接した状態で自転
し、同時に図2の紙面に対し表裏方向(図1の左右方
向)に移動する。そして、被加工物4の開口端に達する
と、ローラ28が芯金3の軸心から離隔する方向に駆動
され(公転軌道径が拡大され)、被加工物4から離脱し
開始位置(被加工物4の底面側)に復帰する。以上の工
程が1回のしごきスピニング加工とされる。そして、2
回目のしごきスピニング加工においては、1回目よりも
小さい公転軌道径に設定されて同様の作動が行なわれ
る。このようにしてn回のしごきスピニング加工が行な
われると、被加工物4は所定の肉厚、長さの有底筒体に
形成され、本発明にいう第2の工程が終了する。
【0031】以上のように、本実施形態によれば、同径
の円周軌跡上を等間隔で公転する複数のローラ28によ
って、軸心方向に常に押圧力が付加されるので、被加工
物4に対し円周方向において均一且つスムーズな塑性流
動をしつつ絞りスピニング加工及びしごきスピニング加
工が行なわれる。また、芯金3(及び被加工物4)の軸
心を中心として(軸心の周囲で)押圧力がバランスする
ので、被加工物4が片側に傾いたり芯金3から離れたり
することがなく、ローラ28による押圧力を無駄なく効
率的に塑性流動に変換することができる。
【0032】更に、芯金3、被加工物4及び押え棒41
の何れも回転しないため、被加工物4を強固に押圧する
構造を容易に構成することができると共に、回転に起因
する被加工物4のブレ等の不具合を回避できる。もちろ
ん、これらの部材の低強度化、低剛性化による軽量化、
低コスト化も可能となり、その結果、装置全体の構造も
簡略化が可能となる。また、量産工程においては、ロー
ラ28の回転を停止させることなく被加工物4の交換を
容易に行なうことができるので、タクトタイムを低減で
きるとともに、エネルギー効率も向上する。
【0033】上記の装置においては、一つの剛体の支持
板27に複数のローラ28が円周上等間隔に装着され、
これらが支持板27と共に回転するので、各ローラ28
が被加工物4から受ける反力が他のローラ28の押圧力
として一義的に作用するため、一層効率的に押圧力を塑
性流動に変換することができる。このように効率的な塑
性流動が可能であるので、絞りスピニング加工用及びし
ごきスピニング加工用のどちらが大きな加工力を必要と
しても、従来のような専用の大きなローラを必要とする
ことなく、1種類の通常のスピニング加工用のローラ3
個で対応することができ、小型軽量化が可能となる。
【0034】図6及び図7は、他の実施形態を示すもの
で、板状素材から最終製品として所謂内歯プーリを製造
するものである。この実施形態においては、芯金3の外
周面に、その軸と平行に複数の突条3bが形成されてお
り、芯金3が歯車形状に形成されている。また、被加工
物4の原素材である板状素材の中心に孔4aが形成され
ている。而して、この被加工物4に対し、上記と同様に
絞りスピニング加工及びしごきスピニング加工を行なう
ことにより、被加工物4は、底面に孔(4a)を有する
有底筒体に形成される。しかも、芯金3の外周面に形成
された突条3bによる歯車形状が、しごきスピニング加
工時の素材流動によって被加工物4の内面に転写、刻設
され、図7に示すように内歯4bを有する内歯プーリP
Lが形成される。
【0035】尚、芯金3の外周面は所望の表面形状に刻
設することができる。従って、有底筒体の被加工物4の
内面に転写、形成し得るのは、内歯に限らず、図8に示
すような長手方向に延在する複数のフィン4fでもよ
く、螺旋形状の突条(図示せず)とすることもでき、任
意の形状、配置とすることができる。図8に示す複数の
フィン4fは、チューブTBの回り止め用に形成するも
ので、従来は一般的にブローチ加工が用いられていた。
この加工には刃具が必要とされ、しかも別工程となるた
め、フィン形成に別途費用と時間が必要であった。これ
に対し、本実施形態によればスピニング加工と同時にフ
ィン4fが形成されるので、工程の短縮とコストダウン
が可能となる。
【0036】上記のように有底筒体形状に形成された被
加工物4に対し、更に一連の加工工程の延長として、そ
の開口部をネッキング加工することができる。即ち、図
9に示すように、芯金3に代えて、有底筒体形状に形成
された被加工物4を把持するためのチャック装置13を
装着することによって、上記の絞りスピニング加工及び
しごきスピニング加工に連続して、スピニングによるネ
ッキング加工を行ない、被加工物4の開口部4cに小径
の首部を形成することができる。
【0037】この場合のチャック装置13は、図示は省
略するが、例えば被加工物4の軸心に向かって径方向に
移動可能な一対のチャックによって被加工物4を保持し
得るように構成される。クランプ装置12に対する芯金
3とチャック装置との交換(段替)は手操作によって行
なうことができるが、ロボット(図示せず)によって自
動的に行なうように構成することもできる。更に、例え
ば特開平11−147138号及び特開平11−151
535号公報に記載のように、偏心スピニング加工ある
いは曲げスピニング加工を行ない、偏心首部あるいは湾
曲首部を形成することもできる。
【0038】このように、被加工物4に対する絞りスピ
ニング加工及びしごきスピニング加工を一工程中で連続
して行なうことができるだけでなく、チャック装置13
を用意しこれを芯金3と交換可能としておけば、ネッキ
ング加工も連続して行なうことができ、加工時間の一層
の短縮が可能となる。
【0039】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下に記載の効果を奏する。即ち、請求項1,2,4
及び請求項5,6に記載のスピニング加工による有底筒
体の製造方法及び装置によれば、同径の円周軌跡上を等
間隔で公転する複数のローラによって、被加工物の軸心
方向に常に押圧力が付加されるので、被加工物は円周方
向において均一かつスムーズな塑性流動をしつつスピニ
ング加工及びしごきスピニング加工が行なわれ、迅速且
つ容易に、高精度で所望の形状に形成することができ
る。また、ローラの回転を停止させることなく被加工物
を容易に交換することができるので、加工時間を短縮で
き、エネルギー効率も向上する。
【0040】更に、請求項3に記載の方法によれば、ス
ピニング加工と同時に有底筒体の内面に芯金の表面形状
が転写されるので、工程の短縮及びコストダウンが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスピニング加工装置
の一部を破断した状態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスピニング加工装置
の支持部材の正面図で、図3のA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるしごきスピニング
加工状況を示す部分断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における絞りスピニング加
工状況を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態における絞りスピニング加
工状況を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態における芯金の例を示す
正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態における加工後の内歯プ
ーリを示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態における加工後のチュー
ブを示す側面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係るスピニング加
工装置の一部を破断した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
2 主軸, 3 芯金, 4 板状素材,12 クラン
プ装置, 21 外管, 23 内管,25 支持板,
25a 案内溝, 27 支持部材,28 ローラ,
41 押え棒, 50 変速機構

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工目標の有底筒体の外形と同形状に形
    成した芯金の底部に、板状素材を回転不能に密着保持す
    る第1の工程と、前記芯金の軸心周囲を同径円周軌跡に
    て公転する複数のローラを、公転軌道径を変化させつつ
    前記芯金の軸心方向に移動させ前記板状素材を押圧変形
    して、絞りスピニング加工を行なうと共にしごきスピニ
    ング加工を行ない、前記芯金の外形形状に内面が合致す
    るように前記有底筒体を形成する第2の工程とを有す
    る、スピニング加工による有底筒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の工程は、前記板状素材が押圧
    変形して前記芯金の外形形状に合致した後に、前記有底
    筒体の側壁部を、前記複数のローラによって前記芯金の
    軸心方向に押圧し、所定の肉厚及び長さまで圧延する工
    程を含むことを特徴とする請求項1記載の有底筒体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記芯金の外周面を所望の表面形状に刻
    設して成り、前記第2の工程時に前記有底筒体の内面に
    前記表面形状が転写されることを特徴とする請求項2記
    載の有底筒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 加工目標の有底筒体の外形と同形状に形
    成した芯金の底部と、該芯金に対して同軸上で対峙する
    押え棒とにより前記板状素材を回転不能に挾持する第1
    の工程と、前記芯金及び前記押え棒の周囲を同径円周軌
    跡にて等間隔で公転可能な三個のローラを公転軌道径を
    同時に変化させつつ前記芯金及び押え棒の軸心方向に移
    動させ前記板状素材を押圧変形して、絞りスピニング加
    工を行なうと共にしごきスピニング加工を行ない、前記
    芯金の外形形状に内面が合致するように前記有底筒体を
    形成する第2の工程とを有する、有底筒体のスピニング
    加工による製造方法。
  5. 【請求項5】 中空の主軸と、該主軸の先端部に装着す
    る支持手段と、該支持手段の前面に、前記主軸と同軸の
    円周軌跡上に等間隔で公転可能且つ半径方向に移動可能
    に設けた複数のローラと、前記主軸内に、前記主軸とは
    独立して進退可能で回転不能に支持する押え棒と、加工
    目標の有底筒体の外形と同形状に形成し、前記押え棒及
    び前記支持手段の前面と同軸上に対峙するように配置す
    る芯金と、該芯金と前記押え棒との間に前記板状素材を
    回転不能に挾持した状態で、前記支持手段を回転駆動す
    ると共に前記板状素材と前記支持手段の少なくとも一方
    を前記主軸の軸方向に駆動し、前記支持手段の回転駆動
    に応じて前記複数のローラを、公転軌道径を同時に変化
    させつつ前記芯金及び押え棒の軸心方向に移動させ前記
    板状素材を押圧変形して、絞りスピニング加工を行なう
    と共にしごきスピニング加工を行なう駆動手段とを備え
    たことを特徴とするスピニング加工による有底筒体の製
    造装置。
  6. 【請求項6】 前記主軸が内管及び外管の二重管から成
    り、前記内管及び外管の回転速度が相互に異なるように
    回転駆動する回転駆動手段と、前記支持手段内に内蔵
    し、前記複数のローラを前記主軸と共に回転した状態
    で、前記複数のローラの公転軌道径を前記内管と外管と
    の相対速度差に応じて制御する伝達制御手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項5記載のスピニング加工による有
    底筒体の製造装置。
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