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JP2001051150A - 偏波保持光ファイバカプラの製造方法 - Google Patents

偏波保持光ファイバカプラの製造方法

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Publication number
JP2001051150A
JP2001051150A JP2000089814A JP2000089814A JP2001051150A JP 2001051150 A JP2001051150 A JP 2001051150A JP 2000089814 A JP2000089814 A JP 2000089814A JP 2000089814 A JP2000089814 A JP 2000089814A JP 2001051150 A JP2001051150 A JP 2001051150A
Authority
JP
Japan
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polarization
optical fiber
maintaining optical
fiber coupler
manufacturing
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000089814A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Sasaki
佐々木  秀樹
Ryozo Yamauchi
良三 山内
Hiromi Hidaka
啓▲視▼ 日高
Kenji Nishide
研二 西出
Shigefumi Yamazaki
成史 山崎
Ryokichi Matsumoto
亮吉 松本
Yoji Suzuki
洋二 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2000089814A priority Critical patent/JP2001051150A/ja
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも延伸長が短く、結合度の偏波依存
性が大きい偏波保持光ファイバカプラを得る。 【解決手段】 2本の偏波保持光ファイバを並列させ、
その長さ方向の一部を加熱し、この長さ方向に延伸して
融着延伸部を形成する偏波保持光ファイバカプラの製造
方法において、使用波長において、延伸長に伴う2つの
偏波の結合度の変化の周期が、いずれも2周期以内の時
点で延伸を終了し、一方の偏波の結合度が10%以下
で、他方の偏波の結合度が90%以上の偏波保持光ファ
イバカプラを製造することを特徴とする偏波保持光ファ
イバカプラを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ通信分
野、光ファイバを利用したセンサ分野などにおいて有用
な、光ファイバ中の光の偏波状態を保持したままで光の
合流、分岐を行う新規な偏波保持光ファイバカプラを提
供するものである。
【0002】
【従来の技術】光のモードは電界の向きが直交するX偏
波とY偏波とから構成されている。これらの偏波を合
流、分岐させることができるデバイスを偏波ビームスプ
リッタ(以下、PBSと略記する)という。PBSは、
例えば光の干渉を利用して角加速度を測定する光ファイ
バジャイロや、直線偏波を持つ光源からの光を合流、分
岐したりするのに有用である。PBSとしての特性を実
現するためには、X偏波−Y偏波間で異なる結合特性を
有する必要がある。
【0003】このような光デバイスとして、偏波保持光
ファイバを用いた偏波保持光ファイバカプラが提案され
ている。偏波保持光ファイバは、種々のものが提案され
ているが、代表的なものとしてPANDA型光ファイバ
(Polalization maintaining AND Absorption reducedf
iber)が知られている。
【0004】図12はPANDA型光ファイバの一例を
示したもので、このPANDA型光ファイバ10は、中
心に設けられたコア11と、このコア11の周囲に、こ
のコア11と同心円状に設けられ、かつこのコア11よ
りも低屈折率のクラッド12と、このクラッド12内
に、前記コア11を中心に対称配置され、かつこのクラ
ッド12よりも低屈折率の断面円形のふたつの応力付与
部13,13とから構成されている。この例において、
コア11はゲルマニウム添加石英ガラス、クラッド12
は純石英ガラス、応力付与部13はホウ素が比較的大量
に添加された石英ガラスからそれぞれ構成されている。
コア11の外径、応力付与部13の外径、コア11とク
ラッド12の比屈折率差、クラッド12と応力付与部1
3の比屈折率差は所望の特性などによって適宜設定され
る。クラッド12の外径は通常約125μmとされる。
【0005】前記応力付与部13は、クラッド12より
も大きな熱膨張係数を有している。そのため、光ファイ
バの製造時に線引きした光ファイバが冷却される過程
で、ファイバ断面において、応力付与部13に起因する
歪みを生じる。そして、この歪みはコア11に対して異
方性歪みを発生させ、その結果、偏波の縮退が解け、X
偏波の伝搬定数とY偏波の伝搬定数が異なる値となり、
当然、これらの偏波の電磁界の分布も異なるものとな
る。その結果、X偏波とY偏波が保存された状態で伝搬
する特性が得られる。
【0006】図13は偏波保持光ファイバカプラの一例
を示したもので、この偏波保持光ファイバカプラ14
は、2本のPANDA型光ファイバ10、10を、各々
の偏波軸が平行になるように並列させ、これらPAND
A型光ファイバ10、10の途中のクラッド12,12
を接触させ、加熱、溶融するとともに、その長さ方向に
延伸することによって融着延伸部(光結合部)3を形成
したものである。なお、偏波軸とは、各々のPANDA
型光ファイバ10において、応力付与部13、13の中
心を通る線をいう。この偏波保持光ファイバカプラにお
いては、X偏波はPANDA型光ファイバ10,10の
偏波軸方向に電界ベクトルを保持して伝搬し、Y偏波は
これと直行する電界ベクトルを保持してPANDA型光
ファイバ10,10内を伝搬する。そして、途中の融着
延伸部3において、X偏波とY偏波の合流、分岐が行わ
れる。
【0007】従来の偏波保持光ファイバカプラにおいて
は、融着延伸部3を形成する際に光ファイバ(PAND
A型光ファイバ10)を延伸する長さ、すなわち延伸長
を長くすることによってX偏波の結合度とY偏波の結合
度との差を実現し、PBSとしての特性を付与すること
ができる。図14(a)は、延伸長と使用波長の光の結
合度との関係を示したグラフである。破線はX偏波の結
合特性、実線はY偏波の結合特性である。従来の偏波保
持光ファイバカプラの融着延伸部の製造においては、X
偏波とY偏波をともに一方の偏波保持光ファイバ(第1
の光ファイバ)から他方の偏波保持光ファイバ(第2の
光ファイバ)に結合させた後、さらに延伸を進めること
によって、再びそれぞれの偏波を第1の光ファイバに移
行(結合)させ、さらに第2の光ファイバに移行させる
操作を繰り返す。通常の偏波保持光ファイバを用いて融
着延伸部3を形成するにおいては、Y偏波の結合がX偏
波の結合のよりもわずかに小さいため、Y偏波とX偏波
の結合度の変化の周期(移行周期)にわずかな差が生じ
ている。ここで、便宜上、はじめに結合度が0%から増
加して100%に至り、さらに結合度が減少して0%に
至る変化を1周期、再び結合度が増加して100%に至
り、さら0%に至る変化を2周期と数える。そして、延
伸長が長くなり、この周期が数周期から数十周期になる
と、X偏波とY偏波の結合度の差が大きくなる。そし
て、グラフ中矢印で示した結合度の差が大きくなる付近
まで延伸して融着延伸部3を形成すると、図14(b)
に示したように、出力側のポートAと同じファイバから
なる入力側のポートから使用波長のX偏波とY偏波とを
入力したときに、出力側のポートAからはX偏波が出力
し、ポートBからはY偏波が出力するPBSとしての特
性が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
偏波保持光ファイバカプラにおいて、X偏波とY偏波と
を合流、分岐させるためには、素子長が長くなるという
問題があった。例えば外径125μmの偏波保持光ファ
イバを用いた場合、延伸長が60mm以上、ときには1
00mm程度になることがあった。その結果、融着延伸
部が非常に細くなり、機械的な強度が低下し、補強が必
要となる。しかし、融着延伸部に補強材を接触させると
光学特性が変化するため、補強は困難であった。また、
X偏波とY偏波とを合流、分岐可能な波長帯域が極端に
狭く、例えば10nm程度であるという問題があった。
【0009】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、従来よりも延伸長が短く、結合度の偏波依存性の大
きい偏波保持光ファイバカプラを得ることを目的とす
る。そして、機械的な強度を向上させることができる偏
波保持光ファイバカプラを提供することを目的とする。
さらには、広い波長帯域で使用可能な偏波依存性を有す
る偏波保持光ファイバカプラを提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の偏波保持光ファイバカプラの製造方法は、
2本の偏波保持光ファイバを並列させ、その長さ方向の
一部を加熱し、この長さ方向に延伸して融着延伸部を形
成する偏波保持光ファイバカプラの製造方法において、
使用波長において、延伸長に伴う2つの偏波の結合度の
変化の周期が、いずれも2周期以内の時点で延伸を終了
し、一方の偏波の結合度が10%以下で、他方の偏波の
結合度が90%以上の偏波保持光ファイバカプラを製造
することを特徴とする。この製造方法においては、2本
の偏波保持光ファイバのコアをできるだけ近づけないよ
うにして融着延伸部を形成することにより、光の結合が
生じる時点から前記偏波保持光ファイバ中の2つの偏波
の結合度の差を大きくすると好ましい。また、一方の偏
波の結合度が10%以下で、他方の偏波の結合度が90
%以上の範囲が維持される波長帯域が30nm以上の偏
波保持光ファイバカプラを製造すると好ましい。さら
に、コアを囲むクラッド内にコアに対して対称的に配さ
れた応力付与部を有し、コアの同心円であって、応力付
与部にかからず、かつその内部に応力付与部を含まない
円のうち、最大の円の直径が20μm以上である偏波保
持光ファイバを用いて偏波保持光ファイバカプラを製造
すると好ましい。また、前記直径は、さらに好ましくは
25〜30μmとされる。また、この前記直径が20μ
m以上の偏波保持光ファイバの複屈折率は、好ましくは
5×10-5〜5×10-4である。また、この偏波保持光
ファイバの偏波クロストークは、好ましくは−20dB
/km以上である。また、この偏波保持光ファイバの損
失は、好ましくは1dB/km以上である。また、この
偏波保持光ファイバを用いて偏波保持光ファイバカプラ
を製造するにおいては、リードファイバの長さを10m
以下とすると好ましい。また、本発明においては、偏波
保持光ファイバとして、PANDA型偏波保持光ファイ
バを用いると好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は第1の実施例における、融
着延伸部形成時の延伸長と、波長1550nm(使用波
長)の光の結合度の関係を示したグラフである。
【0012】この実施例において用いた偏波保持光ファ
イバは、以下のようなPANDA型光ファイバである。
【0013】 (PANDA型光ファイバの特性) コア径(コア半径) 6.5μm(3.25μm) クラッド径 125μm コアクラッド間の比屈折率差 0.35% 応力付与部の外径 35μm 応力付与部の中心間の距離 55μm 直径A 20μm 使用波長 1550nm 使用波長におけるモード複屈折率 4×10-4
【0014】得られた偏波保持光ファイバカプラの融着
延伸部の最小径は61μm、同形状(アスペクト比)は
1.89、延伸長は17.8mmである。なお、前記同
形状(アスペクト比)とは融着延伸部の中央部の最大外
径と最小外径の比である(最大外径/最小外径)。この
偏波保持光ファイバカプラの特性を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】上述のように、融着延伸部を形成するにお
いては、延伸長が長くなるにしたがって、X偏波とY偏
波のそれぞれにおいて、結合度が0%から100%に至
り、再び0%に至るという変化が繰り返される。本発明
においては、できるだけ2本の偏波保持光ファイバのコ
アが近づかないように(コアの中心間の距離が小さくな
りすぎないように)、加熱、溶融させて融着延伸部を形
成することにより、結合度が増加し始める時点からX偏
波−Y偏波間に大きな結合度の差を生じさせることがで
きる。その結果、図1に示したように、Y偏波に対して
は、結合度が増加してはじめに100%に達した時点
(1/2周期)で延伸を終了し、X偏波に対しては、ほ
とんど結合度が増加しない時点で延伸を終了することに
より、例えば1本の偏波保持光ファイバから他方の偏波
保持光ファイバに対して、主にY偏波のみが結合し、X
偏波がほとんど結合しないような状態で融着延伸部を形
成することができる。
【0017】そして、このように融着延伸部における2
つのコアの近接度を調整することにより、図2に示した
ように、広い波長域でX偏波とY偏波の十分な結合度の
差を実現することができる。この例において、Y偏波の
結合度が90%以上で、かつX偏波の結合度が10%以
下の範囲は58nmであり、非常に広くなっている。ま
た、長波長側においてX偏波の結合度がやや上昇するた
め、X偏波の波長依存性は短波長側の方が小さい。
【0018】具体的な融着延伸部の製造操作において
は、2本の偏波保持光ファイバのコアの中心間の距離が
近づきすぎないように、光ファイバの外形が保たれ易い
加熱条件を設定すると好ましい。例えばバーナーなどの
加熱源の温度を従来より低く設定したり、加熱源からの
距離を大きくするなどの方法が例示できる。また、延伸
を高速に行い、単位時間あたりの熱量を少なくする方法
などが例示できる。実際は入力側のポートから使用波長
の光を入力し、出力側のふたつのポートから出力する光
をモニターしながら加熱、延伸を行い、所望の結合度が
得られた時点で作業を終了する。
【0019】図3は第2の実施例における、融着延伸部
形成時の延伸長と、波長1550nm(使用波長)の光
の結合度の関係を示したグラフである。第2の実施例に
おいても、上述の第1の実施例と同様に、できるだけ2
本の偏波保持光ファイバのコアが近づきすぎないよう
に、加熱、溶融させて融着延伸部を形成することによ
り、融着延伸部において、ふたつのコアの中心間の距離
を維持し、結合度が増加し始める時点からX偏波−Y偏
波間に大きな結合度の差を生じさせている。この第2の
実施例においては、図3に示したように、Y偏波に対し
ては、その結合度が増加して一度100%に至り、つい
で減少して0%に至った時点(1周期)で延伸を終了し
ている。一方、X偏波に対しては、その結合度がはじめ
に100%に至った時点(1/2周期)で延伸を終了し
ている。
【0020】その結果、この第2の実施例においても、
図4に示したように、広い波長域でX偏波とY偏波の結
合度の差を実現することができる。この偏波保持光ファ
イバカプラの融着延伸部の最小径は41μm、同形状
(アスペクト比)は1.98、延伸長は24.2mmで
ある。この偏波保持光ファイバカプラの特性を表2に示
す。
【0021】
【表2】
【0022】この例において、X偏波の結合度が90%
以上で、かつY偏波の結合度が10%以下である範囲は
35nmであり、従来は10nm程度であったのに対し
て3倍以上広くすることができる。
【0023】ついで、本発明に好適な偏波保持光ファイ
バについて説明する。図5は本発明に好適な偏波保持光
ファイバの一例を示した断面図であって、この例の偏波
保持光ファイバはPANDA型光ファイバである。この
PANDA型光ファイバ10の特徴は応力付与部13、
13の間の距離が大きい点である。この距離は、コア1
1またはクラッド12の同心円で、応力付与部13、1
3にかからず、かつその内部に応力付与部13、13を
含まない最大の円15の直径Aを基準に定められてい
る。直径Aは20μm以上、好ましくは、25〜30μ
mとされる。このPANDA型光ファイバ10を用い
て、図13に示したような偏波保持光ファイバカプラを
構成した場合、融着延伸部3において、コア11から光
が染み出しても、通常の使用波長での使用であれば、こ
の光の多くは応力付与部13、13間に位置し、応力付
与部13にかかることがない。そのため、光信号(コア
10を伝搬するモード:伝搬光)が高次モードに結合し
にくくなり、過剰損失の増加を抑制することができる。
直径Aが20μm未満の場合は過剰損失が大きくなる傾
向がある。30μmをこえるとX偏波の伝搬定数とY偏
波の伝搬定数の差が小さくなり、X偏波−Y偏波間のク
ロストーク(偏波クロストーク)が劣化し、X偏波とY
偏波の保存状態が低下する場合がある。
【0024】なお、通常の通信用などの偏波保持光ファ
イバの直径Aは12〜17μm程度である。これに対し
て上述のように応力付与部13が離れていると、応力付
与部13がコア11に与える応力が低下し、通常の偏波
保持光ファイバと比較して複屈折率が低くなり、また、
fast軸(Y偏波軸)とslow軸(X偏波軸)との
間のクロストーク(X偏波−Y偏波間のクロストーク)
が劣化する傾向がある。さらに損失も若干大きくなる場
合がある。しかし、偏波保持光ファイバカプラのファイ
バの使用長さは短いため、偏波保持光ファイバ自体の複
屈折率、クロストークおよび損失の条件を通信用などの
通常のものよりも緩和しても、使用上は特に問題はな
い。
【0025】具体的には、本発明に好適な偏波保持光フ
ァイバの複屈折率は5×10-5〜5×10-4の範囲とさ
れる。なお、通常の通信用などの偏波保持光ファイバの
複屈折率は5×10-4 程度である。また、単位長さ当
たりのクロストークは−20dB/km以上、実質的に
は−20〜−10dB/kmの範囲となる。なお、通常
の偏波保持光ファイバのクロストークは−25dB/k
m程度である。また、単位長さ当たりの損失は1dB/
km以上とされる。実質的には1〜10dB/kmとさ
れる。なお、通常の偏波保持光ファイバの損失は0.2
〜0.3dB/km程度である。
【0026】また、この偏波保持光ファイバを用いた偏
波保持光ファイバカプラのリードファイバは10m以下
とすると好ましい。実質的には0.5〜10mとされ
る。なお、リードファイバとは、例えば図13に示した
ように、融着延伸部3の両端から2本ずつ伸び、入出力
ポートを構成する偏波保持光ファイバ(PANDA型光
ファイバ)10のことである。リードファイバが長すぎ
ると偏波保持光ファイバカプラを透過するときに光信号
のクロストークや損失が大きくなるためである。
【0027】なお、コア11、クラッド12、応力付与
部13は、例えば従来と同様の材料から形成される。ま
た、応力付与部13の外径、コア11とクラッド12と
の比屈折率差、クラッド12と応力付与部13の比屈折
率差は、それぞれ所望の特性などによって適宜設定され
る。通常コア11のモードフィールド径は、コア11の
直径、使用波長などによって異なるが、4〜10μm程
度とされる。また、クラッド12の外径は125μm程
度とされる。
【0028】図6は第3の実施例における、融着延伸部
形成時の延伸長と、波長980nm(使用波長)の光の
結合度の関係を示したグラフである。この実施例におい
ては、Y偏波に対しては、結合度が増加してはじめに1
00%に達した時点(1/2周期)で延伸を終了し、X
偏波に対しては、ほとんど結合度が増加しない時点で延
伸を終了している。図7は延伸長の増加に伴うX偏波と
Y偏波の過剰損失の変化をそれぞれ示したもので、X偏
波の過剰損失は殆ど変化せず、Y偏波の過剰損失は一度
増加した後に減少し、ゼロに近くなっていることがわか
る。そして、Y偏波の結合度が十分に増加した点と、Y
偏波の過剰損失がゼロ付近になった点とが一致してお
り、この時点で延伸を停止することにより、X偏波とY
偏波の結合度の差が大きく、かつ過剰損失が小さいとい
う特性を実現することができる。そして、この第3の実
施例においても、図8に示したように、広い波長域でX
偏波とY偏波の結合度の差を実現することができる。融
着延伸部の最小径は58μm、同形状(アスペクト比)
は1.92、延伸長は22mmである。この偏波保持光
ファイバカプラの特性を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】一方、図9は、以下のような直径Aが小さ
い通常のPANDA型光ファイバを用い、第3の実施例
と同様にして偏波保持光ファイバカプラを製造したとき
の延伸長と波長980nm(使用波長)の結合度の関係
を示したグラフである。図10はこのときの延伸長とX
偏波とY偏波の過剰損失との関係を示したグラフであ
る。
【0031】 (PANDA型光ファイバの特性) コア径(コア半径) 6.5μm(3.25μm) クラッド径 125μm コアクラッド間の比屈折率差 0.35% 応力付与部の外径 35μm 応力付与部の中心間の距離 51μm 直径A 16μm 使用波長 980nm 使用波長におけるモード複屈折率 5×10-4
【0032】図6、図7と比較すると明らかなように、
図10においては、延伸長が長くなると、X偏波の過剰
損失は殆ど変化しないが、Y偏波の過剰損失は大きく増
加し、ついで減少するが、ゼロ付近に至らないうちに再
び増加する。そして、図9からわかるように、結合度は
この過剰損失の変動の影響により増加、減少を繰り返
す。したがって、Y偏波の過剰損失をゼロ付近にするこ
とができないため、どのような条件で延伸を中止しても
第1〜第3の実施例の偏波保持光ファイバカプラと比較
すると特性が劣ることは否めない。また、Y偏波の結合
度が大きく、かつ過剰損失が小さい時点で延伸を中止す
れば、ある程度実用可能なものが得られるが、これらの
条件を満足する延伸長の範囲は狭く、製造性が低い場合
が多い。なお、使用波長などの条件によってはこの例の
ように通常の偏波保持光ファイバを用いても、本発明の
効果をある程度得ることができる。
【0033】このように、本発明においては、融着延伸
部の形成において、結合度が増加し始める時点(光の結
合が生じる時点)からX偏波−Y偏波間に大きな結合度
の差が生じているため、それぞれの偏波の結合度の変化
の周期が2周期以内の範囲で、以下に示す偏波保持光フ
ァイバカプラにおける好ましい結合度の範囲を実現する
ことができる。本発明の製造方法で製造する偏波保持光
ファイバカプラにおいては、使用波長において、一方の
偏波に対する結合度が10%以下で、他方の偏波に対す
る結合度が少なくとも90%以上であり、かつ、これら
の結合度が維持される波長帯域が少なくとも30nm以
上であると好ましい。このような結合度の範囲を実現す
ることにより、優れたPBSとしての特性が得られる。
また、直径Aが20μm以上の偏波保持光ファイバを用
いることにより、過剰損失が小さい偏波保持光ファイバ
カプラを提供することができる。
【0034】これらの結合度の範囲は、上述のように融
着延伸部の作製時に使用波長の光を一方の偏波保持光フ
ァイバに入射し、ふたつの偏波の結合度をモニターし、
所望の特性が得られた時点で作業を終了することによっ
て、設定可能である。図2、図4、図6、図9に示した
グラフのように、本発明においては、結合度が増加し始
める時点からX偏波−Y偏波間に大きな結合度の差が生
じているため、ふたつの偏波の結合度の変化の周期が2
周期以内の範囲でX偏波とY偏波の結合度の差を実現す
ることにより、延伸長が長くならず、上述の結合度の範
囲を維持できる波長帯域を30nm以上とすることがで
きる。特にこのように広い波長帯域におけるPBSとし
ての特性の実現は、従来の技術ではなし得なかったもの
である。
【0035】ふたつの偏波の結合度が上述の範囲外であ
ると、X偏波、Y偏波の合流、分岐を行うことが困難と
なる。また、前記波長帯域が30nmよりも狭いと、偏
波の結合度の波長依存性が大きくなり、使用波長が限ら
れる。また、使用波長は通常偏波保持光ファイバカプラ
を使用する波長帯である0.6〜1.7μmの範囲内で
あると好ましい。また前記波長帯域もこの範囲内である
と好ましい。
【0036】上述の実施例はPANDA型光ファイバを
用いたものであるが、これに限定するものではなく、ボ
ータイファイバ、楕円ジャケットファイバなどをの偏波
保持光ファイバを用いることもできる。ただし、図13
に示した断面図のように、コア11,11間に、できる
だけ応力付与部13などのクラッド12以外の部分が位
置しないようにすると、応力付与部13の吸収による損
失が小さく好ましい。最も望ましくは、この断面図のよ
うに、2本の偏波軸が平行になるようにする。
【0037】上述のように、本発明においては、短い延
伸長で結合度の偏波依存性の大きい偏波保持光ファイバ
カプラを得ることができる。そのため、PBSを作製す
ると有効である。また、延伸長が短いため、機械的強度
を向上させることができる。また、X偏波あるいはY偏
波が、一方の偏波保持光ファイバから他方の偏波保持光
ファイバに結合する回数(移行回数)を少なくすること
ができるため、低損失である。さらに、広い波長帯域で
結合度の偏波依存性の大きい偏波保持光ファイバカプラ
が得られる。このため、例えば多波長の光を入力し、同
時に偏波分離、もしくは、偏波合成するような光回路の
作製に有用なPBSを提供することができる。
【0038】ところで、光ファイバカプラにおける2本
の光ファイバのそれぞれの長さ方向の位置Zにおける伝
搬光のパワーPA(Z),PB(Z)は、式(1)で示され
る。
【0039】
【数1】
【0040】ここで、2本の光ファイバが有するコア
径、コアクラッド間の比屈折率差が等しければβ1=β
2となり、δ=0、F=1となるので、式(1)は、以
下の式(2)のように簡略化される。
【0041】
【数2】
【0042】偏波保持光ファイバにおいては、X偏波と
Y偏波のそれぞれに式(2)が成立する。このとき、偏
波方向によって結合係数κが偏波に依存しなければ、所
定波長において、偏波に依存した結合特性は得られな
い。図11(a)は、κが光ファイバの構造に依存する
ことを示したグラフである(参考文献:コロナ社刊、フ
ォトニクスシリーズ「光導波路の基礎」 岡本勝就著
p151)。横軸D/aのDは、図11(b)に示した
ように、融着延伸部におけるふたつのコアA,コアBの
中心間の最小距離、aはコアA,コアBの共通の半径で
ある。縦軸は正規化された光の結合係数である。グラフ
中に示されたVは光ファイバのコアの正規化周波数であ
って、以下の式(3)で示される。
【0043】
【数3】
【0044】式(3)中のΔは以下の式(4)で示され
る。
【0045】
【数4】
【0046】このグラフは、簡単のため、2本の光ファ
イバの正規化周波数Vが等しい場合を示したものであ
る。図11(a)より、正規化周波数Vによって、結合
係数κが大きく変動することがわかる。また、正規化周
波数Vは、光ファイバカプラを構成する光ファイバにお
いて、シングルモード伝搬を保証する値としなければな
らない。ステップ型の屈折率分布を有する光ファイバに
おいては、V<=2.405を満足する場合にシングル
モード条件が保証される。偏波保持光ファイバにおいて
は、シングルモード条件はそれぞれの偏波に対して考慮
されている。
【0047】偏波保持光ファイバカプラにおいては、ふ
たつのコア間のX偏波どうしの結合と、Y偏波どうしの
結合を考える。図13に示したように、2本の偏波保持
光ファイバ(PANDA型光ファイバ)10,10の偏
波軸が平行である場合は、理論的にはX偏波とY偏波と
の結合(偏波クロストーク)を考慮する必要はない。
【0048】図11(a)に示したグラフより、コアの
中心間の距離がある程度大きい場合、各々のコアにおい
て、X偏波の正規化周波数とY偏波の正規化周波とが異
なる値をとれば、X偏波−Y偏波間において、結合係数
κの差が大きくなることがわかる。通常の偏波保持光フ
ァイバにおいては、X偏波とY偏波の光学特性は、両者
を区別可能な程度にわずかに異なっている。
【0049】例えば、D/aが12で、X偏波の正規化
周波数VXが1.6、Y偏波の正規化周波数VYが1.4
のとき、X偏波の結合係数はY偏波の結合係数の10倍
程度の値をとる。このとき、Y偏波に対して、式(2)
中のκzがπ/2となる結合長L(融着延伸部の長さ)
に対して、Y偏波の結合係数κYとLの積は以下のよう
になる。
【0050】
【数5】
【0051】X偏波の結合係数κXとLの積は以下のよ
うになる。
【0052】
【数6】
【0053】そして、図14(b)に示したように出力
側のポートAと同じ光ファイバからなる入力側のポート
にX偏波とY偏波とを入力すると、Y偏波はポートBに
100%結合する。一方、入力したX偏波のパワーを1
としたときのポートBから出力するX偏波のパワーの割
合は、以下に示す値となる。
【0054】
【数7】
【0055】したがって、X偏波の98%がポートAか
ら出力し、Y偏波が100%ポートBから出力する。す
なわち、まさにPBSとしての特性が得られる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては以
下のような効果を得ることができる。短い延伸長で結合
度の偏波依存性の大きい偏波保持光ファイバカプラを得
ることができる。このため、PBSを作製すると有効で
ある。また、延伸長が短いため、機械的強度の大きい偏
波保持光ファイバカプラが得られる。また、X偏波ある
いはY偏波が、一方の偏波保持光ファイバから他方の偏
波保持光ファイバに結合する回数(移行回数)を少なく
することができるため、低損失である。さらに、広い波
長帯域で結合度の偏波依存性の大きい偏波保持光ファイ
バカプラが得られる。このため、例えば多波長の光を同
時に偏波分離、もしくは、偏波合成するような光回路の
作製に有用なPBSを提供することができる。また、直
径Aが大きい偏波保持光ファイバを用いることにより、
過剰損失の小さい偏波保持光ファイバカプラを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例の偏波保持光ファイバカプラの
延伸長と結合度との関係を示したグラフである。
【図2】 第1の実施例の偏波保持光ファイバカプラの
波長と結合度との関係を示したグラフである。
【図3】 第2の実施例の偏波保持光ファイバカプラの
延伸長と結合度との関係を示したグラフである。
【図4】 第2の実施例の偏波保持光ファイバカプラの
波長と結合度との関係を示したグラフである。
【図5】 本発明に適した偏波保持光ファイバの一例を
示した断面図である。
【図6】 第3の実施例の偏波保持光ファイバカプラの
延伸長と結合度との関係を示したグラフである。
【図7】 第3の実施例の偏波保持光ファイバカプラの
延伸長と過剰損失との関係を示したグラフである。
【図8】 第3の実施例の偏波保持光ファイバカプラの
波長と結合度との関係を示したグラフである。
【図9】 通常のPANDA型光ファイバを用いた場合
の偏波保持光ファイバカプラの延伸長と過剰損失との関
係を示したグラフである。
【図10】 通常のPANDA型光ファイバを用いた場
合の偏波保持光ファイバカプラの延伸長と過剰損失との
関係を示したグラフである。
【図11】 図11(a)はコア半径で正規化されたふ
たつのコア間の中心間の距離と正規化された結合係数
と、正規化周波数との関係を示したグラフ、図11
(b)は、グラフ横軸の値の説明図である。
【図12】 PANDA型光ファイバの一例を示した断
面図である。
【図13】 偏波保持光ファイバカプラの一例を示した
説明図である。
【図14】 図14(a)は、延伸長と結合度との関係
を示したグラフ、図14(b)は偏波保持光ファイバカ
プラの動作を示した説明図である。
【符号の説明】
3…融着延伸部、10…PANDA型光ファイバ(偏波
保持光ファイバ)、14…偏波保持光ファイバカプラ。
フロントページの続き (72)発明者 日高 啓▲視▼ 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 西出 研二 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 山崎 成史 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 松本 亮吉 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 鈴木 洋二 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 Fターム(参考) 2H050 AA02 AB03Z AB05X AC44 AC83

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本の偏波保持光ファイバを並列させ、
    その長さ方向の一部を加熱し、この長さ方向に延伸して
    融着延伸部を形成する偏波保持光ファイバカプラの製造
    方法において、 使用波長において、延伸長に伴う2つの偏波の結合度の
    変化の周期が、いずれも2周期以内の時点で延伸を終了
    し、一方の偏波の結合度が10%以下で、他方の偏波の
    結合度が90%以上の偏波保持光ファイバカプラを製造
    することを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の偏波保持光ファイバカ
    プラの製造方法において、2本の偏波保持光ファイバの
    コアをできるだけ近づけないようにして融着延伸部を形
    成することにより、光の結合が生じる時点から2つの偏
    波の結合度の差を大きくすることを特徴とする偏波保持
    光ファイバカプラの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の偏波保持光フ
    ァイバカプラの製造方法において、一方の偏波の結合度
    が10%以下で、他方の偏波の結合度が90%以上の範
    囲が維持される波長帯域が30nm以上の偏波保持光フ
    ァイバカプラを製造することを特徴とする偏波保持光フ
    ァイバカプラの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏
    波保持光ファイバカプラの製造方法において、 偏波保持光ファイバが、コアを囲むクラッド内にコアに
    対して対称的に配された応力付与部を有し、コアの同心
    円であって、応力付与部にかからず、かつその内部に応
    力付与部を含まない円のうち、最大の円の直径が20μ
    m以上であることを特徴とする偏波保持光ファイバカプ
    ラの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記直径が25〜30μmであることを
    特徴とする請求項4に記載の偏波保持光ファイバカプラ
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の偏波保持光フ
    ァイバカプラの製造方法において、偏波保持光ファイバ
    の複屈折率が5×10-5〜5×10-4であることを特徴
    とする偏波保持光ファイバカプラの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれか一項に記載の偏
    波保持光ファイバカプラの製造方法において、偏波保持
    光ファイバのクロストークが−20dB/km以上であ
    ることを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれか一項に記載の偏
    波保持光ファイバカプラの製造方法において、偏波保持
    光ファイバの損失が1dB/km以上であることを特徴
    とする偏波保持光ファイバカプラの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項4〜8のいずれか一項に記載の偏
    波保持光ファイバカプラの製造方法において、偏波保持
    光ファイバカプラのリードファイバの長さが10m以下
    であることを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか一項に記載の
    偏波保持光ファイバカプラの製造方法において、偏波保
    持光ファイバがPANDA型偏波保持光ファイバである
    ことを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製造方
    法。
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