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JP2001048939A - ポリマーおよびそれを用いた眼用レンズ - Google Patents

ポリマーおよびそれを用いた眼用レンズ

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JP2001048939A
JP2001048939A JP11222466A JP22246699A JP2001048939A JP 2001048939 A JP2001048939 A JP 2001048939A JP 11222466 A JP11222466 A JP 11222466A JP 22246699 A JP22246699 A JP 22246699A JP 2001048939 A JP2001048939 A JP 2001048939A
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JP11222466A
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Masataka Nakamura
正孝 中村
Naoki Shimoyama
直樹 下山
Mitsuru Yokota
満 横田
Tadahiro Uemura
忠廣 植村
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Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Prostheses (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高酸素透過性、高含水率かつ低弾
性率を有し、しかも物性のロット変動の小さいポリマー
およびそれを用いた眼用レンズを提供することを目的と
する。 【解決手段】下記の(ア)および(イ)を必須の構成成
分として含み、かつシロキサンマクロモノマーを構成成
分として実質的に含まないことを特徴とするポリマー。 (ア)ケイ素基含有モノマーであって分子量が1000
未満のもの。 (イ)N−ビニルカルボン酸アミド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリマーに関するも
のである。該ポリマーはコンタクトレンズ、眼内レン
ズ、人工角膜などの眼用レンズとして好適に用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】眼用レンズ、特にソフトコンタクトレン
ズは高酸素透過性を有するとともに高含水率かつ低弾性
率であることが求められる。
【0003】高酸素透過性を付与するためには、用いら
れるポリマーはその構成成分にケイ素基含有モノマーを
有することが好ましい。ケイ素基はポリマーの酸素透過
性を向上させる作用を有するものである。しかしながら
ケイ素基は疎水性が強く、ケイ素基含有モノマーを使用
する場合は親水性モノマーとの共重合無くしては含水率
が低すぎて眼用レンズとして使用しにくいものである。
ところが、N,N−ジメチルアクリルアミドや2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートなどの眼用レンズ用として
一般的な親水性モノマーをケイ素基含有モノマーと共重
合した場合には、十分に弾性率が低くならないために好
ましくない。また、例えば特表平8−507798号公
報や特許第257842号公報にはシロキサンマクロモ
ノマーとN−ビニルカルボン酸アミドを共重合させるこ
とが提案されている。しかしシロキサンマクロモノマー
は分子量、分子量分布、重合性基含有率などを正確にコ
ントロールして製造することは難しく、製造ロットによ
る品質のバラつきが大きくなるという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題
を解決し、高酸素透過性、高含水率かつ低弾性率を有
し、しかも物性のロット変動の小さいポリマーおよびそ
れを用いた眼用レンズを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の眼用レンズ用モノマーは、下記の構成を
有する。 「(1)下記の(ア)および(イ)を必須の構成成分と
して含み、かつシロキサンマクロモノマーを構成成分と
して実質的に含まないことを特徴とするポリマー。 (ア)ケイ素基含有モノマーであって分子量が1000
未満のもの。 (イ)N−ビニルカルボン酸アミド。 (2)上記(1)に記載のポリマーを用いてなる眼用レ
ンズ。」
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0007】上記のとおり、本発明のポリマーは、下記
の(ア)および(イ)を必須の構成成分として含み、か
つシロキサンマクロモノマーを構成成分として実質的に
含まないことを特徴とする。 (ア)ケイ素基含有モノマーであって分子量が1000
未満のもの。 (イ)N−ビニルカルボン酸アミド。
【0008】(ア)ケイ素基含有モノマーであって分子
量が1000未満のものについて以下に説明を加える。
【0009】(ア)のケイ素基含有モノマーは、重合可
能な炭素炭素不飽和結合およびケイ素基を有し、分子量
が1000未満のものであればよい。
【0010】分子量が1000を超えると、製造、精製
が難しくなり、製造ロットによる品質のバラつきが大き
くなる傾向があるため好ましくない。
【0011】ケイ素基としては、下記式(A1)で示さ
れる置換基が好適である。
【0012】
【化6】
【0013】[式(A1)中、A1〜A11はそれぞれが
互いに独立にH、置換されていてもよいアルキル基、置
換されていてもよいアリール基を表す。
【0014】kは0〜10の整数を表し、a、b、cは
それぞれが互いに独立に0〜10の整数を表す。] ケイ素基としてさらに好ましいのは、下記式(A2)で
示される置換基である。
【0015】
【化7】
【0016】[式(A2)中、R2〜R5はそれぞれ独立
にH、置換されていてもよいアルキル基および置換され
ていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表す。
【0017】iは0〜3の整数を表す。]これらのケイ
素基の中で、工業的に比較的安価に入手できることから
特に好適なものは、トリス(トリメチルシロキシ)シリ
ル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、ト
リメチルシロキシジメチルシリル基、トリメチルシリル
基などである。
【0018】(ア)ケイ素基含有モノマーであって分子
量が1000未満のものとして好適なものの構造を例示
すると、下記式(a)〜(c)である。
【0019】
【化8】
【0020】[式(a)中、R1はHまたはメチル基を
表す。
【0021】R2〜R5はそれぞれ独立にH、置換されて
いてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリ
ール基から選ばれた置換基を表す。
【0022】gは0〜3の整数を表す。
【0023】iは0〜3の整数を表す。]
【0024】
【化9】
【0025】[式(b)中、R1はHまたはメチル基を
表す。
【0026】R2〜R5はそれぞれ独立にH、置換されて
いてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリ
ール基から選ばれた置換基を表す。
【0027】hは1〜10の整数を表す。
【0028】iは0〜3の整数を表す。]
【0029】
【化10】
【0030】[式(c)中、R2〜R5はそれぞれ独立に
H、置換されていてもよいアルキル基および置換されて
いてもよいアリール基から選ばれた置換基を表す。
【0031】Xは重合可能な炭素炭素不飽和結合を有す
る基を表す。
【0032】Yは水素原子、置換されていてもよいアル
キル基および置換されていてもよいアリール基からなる
群から選ばれた置換基を表す。
【0033】hは1〜10の整数を表す。
【0034】iは0〜3の整数を表す。]以下、式
(a)〜(c)における各置換基について説明する。
【0035】R1はHまたはメチル基を表す。
【0036】R2〜R5はそれぞれ独立にH、置換されて
いてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリ
ール基から選ばれた置換基を表すが、その好適な例とし
てはH、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オク
チル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタ
デシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル
基、ナフチル基などである。中でも好ましいのはH、メ
チル基、エチル基、フェニル基であり、最も好ましいの
はメチル基である。
【0037】Xは重合可能な炭素炭素不飽和結合を有す
る基を表すが、その好適な具体例を例示すれば、下記式
(x1)〜(x6)で表される置換基である。
【0038】
【化11】
【0039】[式(x1)〜(x6)中、R1は水素原
子またはメチル基を表す。] Yは水素原子、置換されていてもよいアルキル基および
置換されていてもよいアリール基からなる群から選ばれ
た置換基を表す。
【0040】以下にYとして好適な置換基の例を挙げ
る。
【0041】置換されていてもよいアルキル基としては
直鎖状であっても分枝状であっても特に限定されるもの
ではないが、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキ
シエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキ
シプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−
ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒ
ドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−
ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3
−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ
−2−ヒドロキシプロピル基、3−[トリス(トリメチ
ルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチ
ルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[トリメ
チルシロキシジメチルシリル]プロピル基、シアノエチ
ル基および下記式(y1)および(y2)で表される置
換基を挙げることができる。
【0042】
【化12】
【0043】[式(y1)および(y2)中、R22〜R
24はそれぞれ独立に、H、置換されていてもよいアルキ
ル基および置換されていてもよいアリール基からなる群
から選ばれた置換基を表す。またR23とR24は互いに結
合してN原子を含む環を形成してもよい。
【0044】fは1〜10の整数を表す。
【0045】R31およびR32はそれぞれ独立に、H、置
換されていてもよいアルキル基および置換されていても
よいアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。
fが2以上の場合、f個のR31はそれぞれ独立の置換基
を表してもよく、f個のR32はそれぞれ独立の置換基を
表してもよい。] 置換されていてもよいアリール基としては特に限定され
るものではないが、炭素数6〜20のものが好ましく、
具体的にはフェニル基、ナフチル基、4−ヒドロキシフ
ェニル基、2−ヒドロキシフェニル基などが挙げられ
る。
【0046】一般式(a)〜(c)で表されるモノマー
の中でも、酸素透過性、含水率および弾性率のバランス
の点で好適なものを例示すると、下記式(m1)〜(m
22)で表されるモノマーである。これらのなかでもよ
り好適なものは式(m1)および(m3)で表されるモ
ノマーである。
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】[式(m1)〜(m22)中、R11はHま
たはメチル基を表す。
【0054】R12はH、置換されていてもよいアルキル
基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた
置換基を表す。
【0055】R13およびR14はそれぞれ独立にH、置換
されていてもよいアルキル基および置換されていてもよ
いアリール基から選ばれた置換基を表し、R13とR14
互いに結合してNを含む環を形成していてもよい。
【0056】iは0〜3の整数を表す。
【0057】hは1〜10の整数を表す。] 以下に式(m1)〜(m22)中における、各置換基の
具体例を述べる。
【0058】R11はHまたはメチル基を表す。
【0059】R12はH、置換されていてもよいアルキル
基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた
置換基を表すが、好適な具体例としては、メチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデ
シル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジ
ル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、
2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル
基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ
ブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペ
ンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシ
ヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ
−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒド
ロキシプロピル基、フェニル基、4−ヒドロキシフェニ
ル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニ
ル基、2−メトキシフェニル基および下記式(d1)〜
(d10)で表される置換基が挙げられる。
【0060】
【化19】
【0061】[式(d1)〜(d10)中、mは2〜2
0の整数を表す。] R13およびR14はそれぞれ独立にH、置換されていても
よいアルキル基および置換されていてもよいアリール基
から選ばれた置換基を表し、R13とR14が互いに結合し
てNを含む環を形成していてもよいが、好適な具体例と
しては、前述のR12の好適な具体例と同様の置換基を挙
げることができる。また、R13とR14が互いに結合して
Nを含む環を形成している場合、下記構造(E2)で示
される部分の具体例としては、
【0062】
【化20】
【0063】下記式(e1)〜(e7)を挙げることが
できる。
【0064】
【化21】
【0065】次に、(イ)N−ビニルカルボン酸アミド
について以下に説明を加える。
【0066】N−ビニルカルボン酸アミドとして、合成
の容易さ、もしくは工業的な意味での入手の容易さから
好適なものは、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルア
セトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N
−エチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−
ビニルホルムアミド、N−エチル−N−ビニルホルムア
ミドである。これらの中で、ポリマーへの親水性付与、
低弾性率化の点で優れているものは、N−ビニルホルム
アミドおよびN−ビニルアセトアミドであり、最も好ま
しいものはN−ビニルホルムアミドである。
【0067】本発明のポリマーは、前記(ア)および
(イ)を必須の構成成分として含み、かつシロキサンマ
クロモノマーを構成成分として実質的に含まないことを
特徴とする。シロキサンマクロモノマーについて以下に
説明を加える。
【0068】本発明においてシロキサンマクロモノマー
とは、重合可能な炭素炭素不飽和結合およびシロキサン
部分を含有し、シロキサン部分の割合が分子量の3%以
上を占め、分子量が1500以上のものを示す。また、
「実質的に含まない」とは、全ポリマー重量中、3重量
%以下であることを意味する。なお、シロキサン部分と
は、例えば下記式(F1)や(F2)で示される部分で
ある。
【0069】
【化22】
【0070】[式(F1)および(F2)中、A1〜A
11はそれぞれが互いに独立にH、置換されていてもよい
アルキル基、置換されていてもよいアリール基を表す。
【0071】k、a、b、cはそれぞれが互いに独立に
0以上の整数を表す。] 本発明のポリマーは、(ア)ケイ素基含有モノマーであ
って分子量が1000未満のものおよび(イ)N−ビニ
ルカルボン酸アミド以外のモノマーを構成成分として含
んでもよい。その場合のモノマーとしては、共重合さえ
可能であれば何ら制限はなく、(メタ)アクリロイル基、
スチリル基、アリル基、ビニル基およびその他の重合可
能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを使用するこ
とができる。以下、その例をいくつか挙げるがこれらに
限定されるものではない。(メタ)アクリル酸、イタコ
ン酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの
アルキル(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコ
ールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ
アルキレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレートなど
の多官能(メタ)アクリレート類、トリフルオロエチル
(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メ
タ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アク
リレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
などの水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリ
レート類、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−
ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルア
クリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミ
ド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N−アク
リロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N
−アクリロイルピロリジン、N−メチル(メタ)アクリ
ルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニ
ルモノマー、マレイミド類、N−ビニルピロリドンなど
のヘテロ環ビニルモノマーなどである。これらは複数種
類を同時に使用してもよい。
【0072】本発明のポリマーにおいては、良好な機械
物性が得られ、消毒液や洗浄液に対する良好な耐性が得
られるという意味で、1分子中に2個以上の重合可能な
炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを構成成分として
含むことが好ましい。1分子中に2個以上の重合可能な
炭素炭素不飽和結合を有するモノマーの共重合比率は
0.01重量%〜10重量%が好ましい。
【0073】本発明のポリマーにおける(ア)のケイ素
基含有モノマーの共重合比率は、高酸素透過性と高親水
性を両立させるという点から、好ましくは30重量%〜
99重量%、より好ましくは50重量%〜98重量%、
最も好ましくは60重量%〜95重量%である。(ア)
のケイ素基含有モノマーは複数種類を同時に使用しても
よい。
【0074】本発明のポリマーにおける(イ)のN−ビ
ニルカルボン酸アミドの共重合比率は、高酸素透過性と
高親水性を両立させるという点から、好ましくは1重量
%〜70重量%、より好ましくは2重量%〜50重量
%、最も好ましくは5重量%〜40重量%である。
(イ)のN−ビニルカルボン酸アミドは、複数種類を同
時に使用してもよい。
【0075】本発明のポリマーは、紫外線吸収剤や色
素、着色剤などを含むものでもよい。また重合性基を有
する紫外線吸収剤や色素、着色剤を、共重合した形で含
有してもよい。
【0076】本発明のポリマーを共重合により得る際
は、重合をしやすくするために過酸化物やアゾ化合物に
代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加するこ
とが好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に
対して最適な分解特性を有するものを選択して使用す
る。一般的には10時間半減期温度が40〜120℃の
アゾ系開始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光
重合開始剤としてはカルボニル化合物、過酸化物、アゾ
化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩な
どを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独ま
たは混合して用いられ、およそ1重量%くらいまでの量
で使用される。
【0077】本発明のポリマーを共重合により得る際
は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては有
機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に制限は無
い。例を挙げれば、水、メチルアルコール、エチルアル
コール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアル
コール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系
溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロ
ピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチル
エーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ト
リエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール
エーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミ
ル、乳酸エチル、安息香酸メチル等のエステル系溶剤、
ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタ
ン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロへキサン、エチル
シクロへキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶剤、石油系溶剤等各種のものであり、これら
は単独あるいは混合して使用することができる。
【0078】本発明のポリマーの重合方法、成形方法と
しては、公知の方法を使用することができる。例えば、
一旦、丸棒や板状等に重合、成形しこれを切削加工等に
よって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、お
よびスピンキャスト重合法などである。
【0079】一例として本発明の眼用レンズ用モノマー
を含むモノマー組成物をモールド重合法により重合して
眼用レンズを得る場合について、次に説明する。
【0080】モノマー組成物を一定の形状を有する2枚
のモールドの空隙に充填する。そして光重合あるいは熱
重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは、
樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されている
が、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通
常は樹脂またはガラスが使用される。ポリマーを製造す
る場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドによ
り空隙が形成されており、その空隙にモノマー組成物が
充填されるが、モールドの形状やモノマーの性状によっ
ては眼用レンズに一定の厚みを与えかつ充填したモノマ
ー組成物の液モレを防止する目的を有するガスケットを
併用してもよい。空隙にモノマ組成物を充填したモール
ドは、続いて紫外線のような活性光線を照射されるか、
オーブンや液槽に入れて加熱されて重合される。光重合
の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合する両
者を併用する方法もありうる。光重合の場合は、例えば
水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を
短時間(通常は1時間以下)照射するのが一般的であ
る。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温
し、数時間ないし数十時間かけて60℃〜200℃の温
度まで高めて行く条件が、眼用レンズの光学的な均一
性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好まれ
る。
【0081】本発明のポリマーは、含水率向上、表面の
水濡れ性向上、弾性率低下などの目的で、種々の方法で
改質処理を行うことができる。
【0082】ポリマーの具体的な改質方法としては、電
磁波(光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着およびスパ
ッタリングなどケミカルベーパーデポジション処理、加
熱、煮沸処理、塩基処理、酸処理、その他適当な表面処
理剤の使用、およびこれらの組み合わせを挙げることが
できる。これらの改質手段の中で、簡便であり好ましい
のは塩基処理と煮沸処理である。
【0083】以下、塩基処理について説明する。
【0084】塩基処理の一例としては、ポリマーを塩基
性溶液に接触させる方法、ポリマーを塩基性ガスに接触
させる方法等が挙げられる。そのより具体的な方法とし
ては、例えば塩基性溶液にポリマーを浸漬する方法、ポ
リマーに塩基性溶液または塩基性ガスを噴霧する方法、
ポリマーに塩基性溶液をヘラ、刷毛等で塗布する方法、
ポリマーに塩基性溶液をスピンコート法やディップコー
ト法で塗布する方法などを挙げることができる。最も簡
便に大きな改質効果が得られる方法は、ポリマーを塩基
性溶液に浸漬する方法である。
【0085】ポリマーを塩基性溶液に浸漬する際の温度
は特に限定されないが、通常−50℃〜300℃程度の
温度範囲内で行われる。作業性を考えれば−10℃〜1
50℃の温度範囲がより好ましく、−5℃〜60℃が最
も好ましい。
【0086】ポリマーを塩基性溶液に浸漬する時間につ
いては、温度によっても最適時間は変化するが、一般に
は100時間以内が好ましく、24時間以内がより好ま
しく、12時間以内が最も好ましい。接触時間が長すぎ
ると、作業性および生産性が悪くなるばかりでなく、酸
素透過性の低下や機械物性の低下などの悪影響が出る場
合がある。
【0087】塩基としてはアルカリ金属水酸化物、アル
カリ土類金属水酸化物、各種炭酸塩、各種ホウ酸塩、各
種リン酸塩、アンモニア、各種アンモニウム塩、各種ア
ミン類などが使用可能である。
【0088】塩基性溶液の溶媒としては、無機、有機の
各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール
類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭
化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油
エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各
種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル
などの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキル
エーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、
トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエ
チレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレング
リコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチ
ル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキ
サメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシ
ドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、ク
ロロホルム、ジクロロエタントリクロロエタン、トリク
ロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶
媒などである。中でも経済性、取り扱いの簡便さ、およ
び化学的安定性などの点で水が最も好ましい。溶媒とし
ては、2種類以上の物質の混合物も使用可能である。
【0089】塩基処理において使用される塩基性溶液
は、塩基性物質および溶媒以外の成分を含んでいてもよ
い。
【0090】ポリマーは、塩基処理の後、洗浄により塩
基性物質を除くことができる。洗浄溶媒としては、無
機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、
ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種ア
ルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種
芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィン
などの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢
酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオ
クチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジア
ルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエー
テル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テ
トラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチ
レングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N
−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノ
ン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルス
ルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチ
レン、クロロホルム、ジクロロエタントリクロロエタ
ン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、および
フロン系溶媒などである。洗浄溶媒としては、2種類以
上の溶媒の混合物を使用することもできる。洗浄溶媒
は、溶媒以外の成分、例えば無機塩類、界面活性剤、お
よび洗浄剤を含有してもよい。
【0091】以下、煮沸処理について説明する。
【0092】煮沸処理は、ポリマーを水、または各種水
溶液に浸漬し、80℃〜200℃程度の温度に加熱する
方法である。100℃以上の温度での加熱はオートクレ
ーブ等を使用することにより可能である。ポリマーを煮
沸処理する時間については、温度によっても最適時間は
変化するが、一般には100時間以内が好ましく、24
時間以内がより好ましく、12時間以内が最も好まし
い。煮沸処理時間が長すぎると、作業性および生産性が
悪くなるばかりでなく、機械物性の低下などの悪影響が
出る場合がある。
【0093】煮沸処理に用いられる水溶液としては、p
H緩衝液やタンパク質水溶液などを挙げることができ
る。pH緩衝液としては弱アルカリ性のものが好まし
い。
【0094】本発明のポリマーを眼用レンズとして使用
する場合は、水濡れ性は純水に対する動的接触角(前進
時、浸漬速度0.1mm/sec)が110゜以下が好
ましく、90゜以下がより好ましく、70゜以下が最も
好ましい。含水率は5%〜70%が好ましく、10%〜
65%がより好ましく、20%〜60%が最も好まし
い。酸素透過性は、酸素透過係数[ml(STP)cm
・cm-2・sec-1・mmHg-1]60×10-11以上
が好ましく、70×10-11以上がより好ましく、80
×10-11以上が最も好ましい。引張弾性率は0.1〜
2MPaが好ましい。
【0095】本発明のポリマーは、コンタクトレンズ、
眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適
である。
【0096】
〔測定方法〕
本実施例における各種測定は、以下に示す方法で行っ
た。 (1)プロトン核磁気共鳴スペクトル 日本電子社製のEX270型を用いて測定した。溶媒に
クロロホルム−dを使用した。 (2)動的接触角 サンプルとして、コンタクトレンズ形状のものから切り
出した5mm×10mm×0.2mm程度のサイズのフ
ィルム状のものを使用し、レスカ社製のWET−600
0型を用いて、純水に対する前進時の動的接触角を測定
した。浸漬速度は0.1mm/秒、浸漬深さは7mmと
した。 (3)酸素透過係数 理化精機工業社製の製科研式フィルム酸素透過率系を用
いて35℃の水中にてフィルム状サンプルの酸素透過係
数を測定した。 (4)弾性率(引張弾性率) 規定の打抜型を用いてコンタクトレンズ形状のものから
切り出したサンプル〔幅(最小部分)5mm、長さ14
mm、厚さ0.2mm程度〕を使用し、オリエンテック
社製のテンシロンRTM−100型を用いて測定した。
引張速度は100mm/minとし、つかみ間距離は5
mmとした。 (5)含水率 サンプルとしてコンタクトレンズ形状のものを使用し
た。サンプルを真空乾燥器で40℃、16時間乾燥し、
サンプルの重量(Wd)を測定した。その後、純水に浸
漬して40℃恒温槽に一晩以上おいて含水させた後、表
面水分をキムワイプで拭き取って重量(Ww)を測定し
た。次式にて含水率を求めた。
【0097】含水率(%)=100×(Ww−Wd)/
Ww 〔合成例1〕 (1)冷却管、撹拌装置および滴下ロートを備えた20
0ml三ツ口フラスコに、式(J1)の化合物(信越化
学工業社製、101.0g)、ハイドロキノン(0.2
4g)および水酸化カリウム(1.95g)を入れ、こ
こへ窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらメタクリル酸
(51.7g)を約30分間かけて滴下した。滴下終了
後撹拌しながら100℃で8時間反応を行った。一晩放
置した後、ヘキサン(50ml)を加えて室温で2時間
撹拌した。不溶物をろ過で除き、ヘキサン溶液を0.5
M水酸化ナトリウムで数回洗浄後、さらに飽和食塩水で
3回洗浄した。無水硫酸マグネシウムを加えて脱水を行
った後、硫酸マグネシウムを濾過で除き、ロータリーバ
キュームエバポレーターによって溶媒を留去した。さら
に減圧下60℃で4時間かけて揮発成分を除去し、無色
透明液体(57.7g)を得た。プロトン核磁気共鳴ス
ペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(2
1H)、0.4ppm付近(2H)、1.6ppm付近
(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.6ppm付
近(1H)、3.3〜4.3ppm付近(7H)、5.
6ppm付近(1H)および6.1ppm付近(1H)
にピークが検出されたことから主成分は式(M1)で表
されるケイ素基含有モノマーであることを確認した。
【0098】
【化23】
【0099】〔合成例2〕 (1)冷却管、撹拌装置および滴下ロートを備えた50
0ml三ツ口フラスコに、トルエン(100ml)、ア
リルグリシジルエーテル(120.0g)、塩化白金酸
・6水和物(5mg)および2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−メチルフェノール(50mg)を入れた。こ
こへ70℃において撹拌しながらトリス(トリメチルシ
ロキシ)シラン(59.34g)を40分間かけて滴下
した。滴下終了後、撹拌しながら100℃で50時間反
応を行った。反応終了後、ロータリーバキュームエバポ
レーターを用いて溶媒を除去した後、減圧蒸留を行ない
無色透明液体(51.6g)を得た。この液体のプロト
ン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1
ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、
1.6ppm付近(2H)、2.6ppm付近(1
H)、2.8ppm付近(1H)、3.2ppm付近
(1H)、3.4ppm付近(3H)および3.7pp
m付近(1H)にピークが検出されたことから式(J
2)で表される化合物であることを確認した。
【0100】
【化24】
【0101】(2)冷却管、撹拌装置および滴下ロート
を備えた200ml三ツ口フラスコに、式(J2)の化
合物(15.0g)、ハイドロキノン(0.03g)お
よび水酸化カリウム(0.24g)を入れ、ここへ窒素
雰囲気下、室温で撹拌しながらメタクリル酸(6.29
g)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後撹拌しな
がら100℃で8時間反応を行った。一晩放置した後、
ヘキサン(50ml)を加えて室温で2時間撹拌した。
析出物をろ過で除き、ヘキサン溶液を0.5M水酸化ナ
トリウムで数回洗浄後、さらに飽和食塩水で3回洗浄し
た。無水硫酸マグネシウムを加えて脱水を行った後、硫
酸マグネシウムを濾過で除き、ロータリーバキュームエ
バポレーターによって溶媒を留去した。さらに減圧下6
0℃で4時間かけて揮発成分を除去し、無色透明液体
(15.0g)を得た。プロトン核磁気共鳴スペクトル
を測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、
0.4ppm付近(2H)、1.6ppm付近(2
H)、1.9ppm付近(3H)、2.6ppm付近
(1H)、3.3〜4.3ppm付近(7H)、5.6
ppm付近(1H)および6.1ppm付近(1H)に
ピークが検出されたことから主成分は式(M2)で表さ
れるケイ素基含有モノマーであることを確認した。
【0102】
【化25】
【0103】〔合成例3〕 (1)1Lのナス型フラスコにメチルアクリレート(4
8.0g)、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシ
ロキシ)シラン(200.0g)、酢酸エチル(250
ml)を加えて室温で7日間撹拌した。反応終了後、ロ
ータリーバキュームエバポレーターを用いて溶媒を除去
した後、減圧蒸留を行ない透明な液体を得た。この液体
のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結
果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近
(2H)、1.5ppm付近(3H)、2.6ppm付
近(4H)、2.9ppm付近(2H)および3.7p
pm付近(3H)にピークが検出されたことから式(J
3)で表される化合物であることを確認した。
【0104】
【化26】
【0105】(2)200mlのナス型フラスコに、式
(J3)の化合物(88.0g)およびグリシジルメタ
クリレート(29.9g)を加えて60℃で18時間撹
拌した。反応終了後、減圧下、60℃で5時間かけて揮
発成分を除去した。得られた液体のプロトン核磁気共鳴
スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近
(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm
付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.3〜
4.3ppm付近(15H)、5.6ppm付近(1
H)および6.1ppm付近(1H)にピークが検出さ
れたことから主成分は式(M3)で表されるケイ素基含
有モノマーであることを確認した。
【0106】
【化27】
【0107】〔実施例1〕合成例1で得たケイ素基含有
モノマー(60重量部)、アクリロキシプロピルトリス
(トリメチルシロキシ)シラン(信越化学工業社製、2
0重量部)、N−ビニルホルムアミド(20重量部)、
アクリル酸(1重量部)、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート(日本油脂社製ブレンマーPDE600、
1重量部)およびジエチレングリコールジメチルエーテ
ル(20重量部)を均一に混合し、重合開始剤としてダ
ロキュア1173(CIBA社製、0.5重量部)を添
加した後、このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱
気した。窒素雰囲気のグローブボックス中で透明樹脂
(ポリ4−メチルペンテン−1)製のコンタクトレンズ
用モールドに注入し、捕虫灯を用いて光照射(1mW/
cm2、10分間)して重合し、レンズ状サンプルを得
た。
【0108】得られたレンズ状サンプルを純水中に室温
で24時間浸漬した後、0.25M水酸化ナトリウム水
溶液に室温で24時間浸漬した。該レンズ状サンプルを
純水で洗浄した後、バイアル瓶中のホウ酸緩衝液(pH
7.1〜7.3)に浸漬し、バイアル瓶を密封した。該
バイアル瓶をオートクレーブに入れ、120℃で30分
間煮沸処理した。放冷後、レンズ状サンプルをバイアル
瓶から取出し、純水に浸漬した。得られたサンプルの各
種物性値を表1に示した。該サンプルは高酸素透過性、
高含水率、および低弾性率を有していた。
【0109】
【表1】
【0110】表中の略号 合成例1 :合成例1で得たケイ素基含有モノマー 合成例2 :合成例2で得たケイ素基含有モノマー 合成例3 :合成例3で得たケイ素基含有モノマー TRISA :アクリロキシプロピルトリス(トリメチ
ルシロキシ)シラン(信越化学工業社製) NVF :N−ビニルホルムアミド PDE600:ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト(日本油脂社製ブレンマーPDE600) DMAA :N,N−ジメチルアクリルアミド 〔実施例2〜4〕それぞれ表1中に示した組成でモノマ
ーを混合し、実施例1と同様に重合および後処理を行っ
てレンズ状サンプルを得た。得られた各サンプルの各種
物性値を表1に示した。各サンプルは高酸素透過性、高
含水率、および低弾性率を有しており、眼用レンズ、特
にソフトコンタクトレンズとして好適であった。 〔比較例1〕N−ビニルホルムアミドのかわりにN,N
−ジメチルアクリルアミドを使用する以外は実施例2と
同様に行った。得られたサンプルの各種物性値を表1に
示した。該サンプルは弾性率が高く含水率も低いため眼
用レンズ、特にソフトコンタクトレンズとして好ましく
なかった。 〔比較例2〕N−ビニルホルムアミドのかわりにN,N
−ジメチルアクリルアミドを使用する以外は実施例4と
同様に行った。得られたサンプルの各種物性値を表1に
示した。該サンプルは弾性率が高く含水率も低いため眼
用レンズ、特にソフトコンタクトレンズとして好ましく
なかった。 〔実施例5〕合成例1の操作を3回行いケイ素基含有モ
ノマーを得た。また3種類の製造ロットのアクリロキシ
プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランを用意し
た。これらのケイ素基含有モノマーを用いて実施例3の
操作を3ロット行った。各ロットでは、合成例1のケイ
素基含有モノマーおよびアクリロキシプロピルトリス
(トリメチルシロキシ)シランは、すべて異なるロット
のものを使用した。得られたサンプルの弾性率を表2に
示した。ロットによる弾性率のバラつきはほとんど見ら
れなかった。
【0111】
【表2】
【0112】表中の略号 合成例2 :合成例2で得たケイ素基含有モノマー 比較合成例1:比較合成例1で得たシロキサンマクロモ
ノマー TRISA :アクリロキシプロピルトリス(トリメチ
ルシロキシ)シラン(信越化学工業社製) NVF :N−ビニルホルムアミド PDE600:ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト(日本油脂社製ブレンマーPDE600) 〔比較合成例1〕メタクリロキシプロピルトリス(トリ
メチルシロキシ)シラン(信越化学工業社製、100
g)、チオグリコール酸(6.64g)およびアゾビス
イソブチロニトリル(0.40g)を250mL丸底フ
ラスコに入れた。この混合物を約10分間の窒素バブリ
ングにより脱酸素した。次いで混合物を窒素気流下にて
16時間で60℃まで加熱した。次いでポリマーをジエ
チルエーテルに溶解し、そして脱イオン水で3回洗浄し
た。次いで、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。硫
酸マグネシウムを濾過により除去し、ロータリーバキュ
ームエバポレーターで溶媒を留去して中間体ポリマーを
得た。
【0113】得られた中間体ポリマー(47.2g)、
グリシジルメタクリレート(5.82g)、2,6−ジ
−t−ブチル−4−メチルフェノール(5mg)および
N,N−ジメチルドデシルアミン(1滴)をトルエン
(200mL)に溶解した。この溶液を窒素気流下で5
時間還流した。次いで、トルエンをロータリーバキュー
ムエバポレーターで留去した。次いで試料を真空(0.
25mmHg)下で24時間置き、目的のシロキサンマ
クロモノマーを得た。〔比較例3〕 比較合成例1の操
作を3回行いシロキサンマクロモノマーを得た。アクリ
ロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランの
かわりに比較合成例1のシロキサンマクロモノマーを使
用する以外は実施例3と同様の操作を3ロット行った。
各ロットでは、合成例1のケイ素基含有モノマーはすべ
て同一のロットのものを、比較合成例1のシロキサンマ
クロモノマーはすべて異なるロットのものを使用した。
得られたサンプルの弾性率を表2に示した。ロットによ
る弾性率のバラつきが大きく、好ましくなかった。
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、高酸素透過性、高含水
率かつ低弾性率を有し、しかも物性のロット変動の小さ
いポリマーおよびそれを用いた眼用レンズを得ることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植村 忠廣 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4C097 AA25 DD01 EE13 SA10 4J100 AB07P AL08P AM21P AN04Q BA02P BA03P BA12Q BA20P BA27P BA28P BA34P BA35P BA38P BA72P BA75P CA04 DA36 DA37 DA49 JA34

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の(ア)および(イ)を必須の構成成
    分として含み、かつシロキサンマクロモノマーを構成成
    分として実質的に含まないことを特徴とするポリマー。 (ア)ケイ素基含有モノマーであって分子量が1000
    未満のもの。 (イ)N−ビニルカルボン酸アミド。
  2. 【請求項2】構成成分(ア)が、下記一般式(a)〜
    (c)で表される群から選ばれた少なくとも1種のモノ
    マーであって分子量が1000未満のものであることを
    特徴とする請求項1に記載のポリマー。 【化1】 [式(a)中、R1はHまたはメチル基を表す。R2〜R
    5はそれぞれ独立にH、置換されていてもよいアルキル
    基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた
    置換基を表す。gは0〜3の整数を表す。iは0〜3の
    整数を表す。] 【化2】 [式(b)中、R1はHまたはメチル基を表す。R2〜R
    5はそれぞれ独立にH、置換されていてもよいアルキル
    基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた
    置換基を表す。hは1〜10の整数を表す。iは0〜3
    の整数を表す。] 【化3】 [式(c)中、R2〜R5はそれぞれ独立にH、置換され
    ていてもよいアルキル基および置換されていてもよいア
    リール基から選ばれた置換基を表す。Xは重合可能な炭
    素炭素不飽和結合を有する基を表す。Yは水素原子、置
    換されていてもよいアルキル基および置換されていても
    よいアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。
    hは1〜10の整数を表す。iは0〜3の整数を表
    す。]
  3. 【請求項3】構成成分(ア)が、一般式(c)で表され
    る少なくとも1種のモノマーであって分子量が1000
    未満のものであることを特徴とする請求項2に記載のポ
    リマー。
  4. 【請求項4】一般式(c)中のXが、下記(x1)〜
    (x6)から選ばれることを特徴とする請求項3に記載
    のポリマー。 【化4】 [式(x1)〜(x6)中、R1はHまたはメチル基を
    表す。]
  5. 【請求項5】構成成分(ア)が、一般式(a)および
    (b)で表される群から選ばれた少なくとも1種のモノ
    マーであって分子量が1000未満のものであることを
    特徴とする請求項2に記載のポリマー。
  6. 【請求項6】構成成分(ア)が、下記一般式(m1)お
    よび(m3)で表される群から選ばれた少なくとも1種
    のモノマーであることを特徴とする請求項2に記載のポ
    リマー。 【化5】 [式(m1)および(m3)中、R11はHまたはメチル
    基を表す。iは0〜3の整数を表す。]
  7. 【請求項7】構成成分(ア)を50重量%以上含有し、構
    成成分(イ)を5重量%以上含有することを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載のポリマー。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー
    を用いてなる眼用レンズ。
  9. 【請求項9】請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー
    を用いてなるコンタクトレンズ。
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