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JP2000513588A - Dna配列、これらのdnaの発現、該dnaによってコードされる好熱性ラッカーゼならびにその使用 - Google Patents

Dna配列、これらのdnaの発現、該dnaによってコードされる好熱性ラッカーゼならびにその使用

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JP2000513588A
JP2000513588A JP11501520A JP50152099A JP2000513588A JP 2000513588 A JP2000513588 A JP 2000513588A JP 11501520 A JP11501520 A JP 11501520A JP 50152099 A JP50152099 A JP 50152099A JP 2000513588 A JP2000513588 A JP 2000513588A
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dna
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gene
sequence
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JP11501520A
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プファラー ルーペルト
ヴィッヒ ギュンター
Original Assignee
コンゾルティウム フュール エレクトロケミッシェ インズストリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
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Abstract

(57)【要約】 本発明はDNA配列(SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2)の1つを有し、ラッカーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA配列に関する。また本発明はこれらのDNA配列の発現、前記のDNAにコードされる好熱性ラッカーゼならびにセルロースの脱リグニン、高分子凝集物の解重合、古紙の脱インキ、廃液、特にセルロースの漂白からの廃液中の芳香族化合物の重合、着色剤の酸化および顔料の生成のための着色剤の活性化、ならびに芳香族化合物のカップリング反応もしくは芳香族側鎖の酸化における有機合成でのその使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 DNA配列、これらのDNAの発現、該DNAによってコードされる好熱性ラッ カーゼならびにその使用 本発明はラッカーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA配列、これら のDNA配列の発現、該DNA配列によってコードされる好熱性ラッカーゼなら びにその使用に関する。 工業的使用に非常に関心を持たれている酵素の種類は、ラッカーゼ酵素(p− ヒドロキシフェノールオキシダーゼ、EC 1.10.3.2)の種類である。 ラッカーゼは“青色銅タンパク質”と称されるファミリーに属し、一般に4個の 銅イオンを有し、これらはタイプ1〜タイプ3を示す3つの銅中心に配置されて いる。ラッカーゼは一般に分泌タンパク質であり、かつ場合により分子量の10 〜45%のグリコシル化含有率を有していることが特徴である。ラッカーゼは酸 化する芳香族化合物に対して非常に広範な基質特異性を有している。この酸化に おいて生ずる電子を使用して酸素を還元する。これにより水が生じる。ホワイト ロットフンギ(white rot fungi)に存在するラッカーゼの機能は就中リグニンの 分解である。これはパルプの脱リグニンに関する製紙工業でのラッカーゼの使用 への関心の理由でもある。 高分子化合物、例えばリグニンの分解の他に、ラッカーゼは、特に芳香族化合 物の重合を触媒することもできる。この例は、植物に存在するラッカーゼに関連 する植物におけるリグニンの生合成である。従って、ラッカーゼの可能な工業的 適用は、例えば廃水処理のあらゆる種類の重合反応が挙げられる。有機化学合成 におけるラッカーゼの使用は、例えば芳香族化合物のカップリング反応もしくは 側鎖酸化においても公知である。しかしながらこれらの多くの可能な適用に関し ては、殆どの公知のラッカーゼが中温性である、すなわち低温至適および限られ た熱安定性を有することである。 ラッカーゼ酵素の工業的使用のための予備条件は、該酵素を廉価な費用で製造 できることである。一般にこのことは組み換え技術によって製造される酵素の使 用によってのみ可能である。種々の原核性および真核性の発現系がタンパク質製 造のために使用可能である。原核性発現系の例はEscerichia.col iおよびBacillus subtilisである。広範に使用される真核性 発現系は哺乳類細胞および昆虫細胞の両者細胞培養系ならびに真核微生物、例え ば酵母もしくは糸状菌である。 WO96/00290号は不完全菌類のサブクラスの糸状菌Polyporu s pinsitusからの5種のラッカーゼ遺伝子を記載している。これらの ラッカーゼ遺伝子の1つ(LCC1)は組み換えタンパク質として製造される。 この酵素の好熱特性は更には調査されていないが、記載されている染髪の目的の ためのLCC1ラッカーゼの使用はこの酵素が中温性特性を有しているというこ とを暗示している。 不完全菌類のサブクラスの糸状菌Scytalidium thermoph ilumからの好熱特性を有する組み換えラッカーゼの製造はWO95/338 37号に記載されている。この酵素がパルプの漂白に適当であるかどうかは知ら れていない。 今までのところ、不完全菌類のサブクラスの糸状菌からの好熱性ラッカーゼを 組み換えタンパク質として製造するための方法は記載されていない。 CA:AN96−203142号は好熱性ラッカーゼの種々の特性を開示して いる。この種のタンパク質のDNAまたはタンパク質配列は開示されていない。 本発明は、ラッカーゼ活性を有するタンパク質をコードし、SEQ ID N O:1の位置76から位置1572を含めた位置までのDNA配列もしくはSE Q ID NO:2の位置76から位置1572を含めた位置までのDNA配列 または前記DNAに80%以上の配列ホモロジーを有しているDNA配列を有す るDNA配列に関する。 SEQ IDNO:1およびSEQ IDNO:2の位置1から位置75まで はタンパク質の分泌のため のシグナル配列をコードするDNA配列を表す。このシグナル配列はタンパク質 分泌のための他の任意のシグナル配列と交換することができる。 新規DNA配列は、例えば不完全菌株Trametes versicolo r TV−1 (DSMZ(Mikroorganismen und Zellkulturen)GmbH(D −38124ブラウンシュヴァイク)に番号DSM11523で寄託)からのク ローニングによって得ることができる。この目的のためにTrametes v ersicolor TV−1から自体公知の方法によって遺伝子バンクを作成 する。 遺伝子バンクにおいて新規DNA配列を単離するために、ラッカーゼ特異的D NA配列を有するDNAプローブを使用する。この種のDNAプローブは、例え ばTrametes versicolor TV−1からのゲノムDNAから のDNAプライマーを使用するPCR反応によって得ることができる。 使用されるプライマーは、有利には14〜27bpの長さを有する縮重(dege netrate)DNA配列であり、これらの配列は公知のラッカーゼ遺伝子との比較 によって得られる。 有利にはプライマーとして適当なDNA切片は確立したDNA切片のオリゴヌ クレオチド合成によって得られる。 新規のラッカーゼ遺伝子は、例えば例1〜5に記載 のように単離できる。 例の方法によって単離されるラッカーゼ遺伝子を当業者に公知の技術、例えば 部位特異的突然変異によって配列中の任意の所望の位置において改変することが できる。従って本発明はラッカーゼ活性を有するタンパク質をコードし、SEQ ID NO:1の位置76から位置1572を含めた位置までのDNA配列も しくはSEQ ID NO:2の位置76から位置1572を含めた位置までの DNA配列または該DNA配列に80%より高い配列ホモロジーを有するDNA 配列を含むDNA配列を含んでいる。 新規DNAを発現するために、後者のものを自体公知の方法において発現ベク ターにクローニングし、このラッカーゼ遺伝子を有する発現ベクターを微生物中 に導入し、該微生物中で発現させる。 発現ベクターは宿主生物のゲノムDNA中に組み込まれ、ゲノムDNAと一緒 に複製されるDNA構成体であってよい。選択的に宿主ゲノムに組み込まれない 自己複製性のDNA構成体、例えばプラスミド、人工染色体または匹敵する染色 体外遺伝因子であってもよい。 適当な発現ベクターは有利には以下の遺伝因子を有するべきである: 宿主生物においてラッカーゼ遺伝子の発現を促進するプロモーター。有利には プロモーターは高い発現効 率を保証できるように強力なプロモーターであるべきである。有利にはプロモー ターはラッカーゼ遺伝子の5’末端に機能的に(functionally)に結合する。 適当かつ有利なプロモーターはtacプロモーター、サブチリシンプロモータ ー、GALプロモーター、TAKAアミラーゼプロモーター、ポリヘドリンプロ モーター、グルコアミラーゼプロモーター、gapDHプロモーターおよびアル コールオキシダーゼプロモーターの群から選択される。 E.coliにおける発現にはtacプロモーターが、Bacillusに おける発現にはサブチリシンプロモーターが、酵母Saccharomyces cerevisiaeにおける発現にはGALプロモーターが、Aspergi llus nigerにおける発現にはTAKAアミラーゼプロモーターが、バ キュロウイルスを感染させた昆虫細胞における発現のためにはポリヘドリンプロ モーターが、またはAspergillus nigerからのグルコアミラー ゼプロモーターもしくは酵母Pichia pastorisからのアルコール オキシダーゼプロモーターが適当かつ有利である。 Aspergillus nigerからのグルコアミラーゼプロモーターま たは酵母Pichia pastorisからのアルコールオキシダーゼプロモ ーターが新規の好熱性ラッカーゼの発現のために特に 適当である。 有利には発現ベクターは、宿主生物に適当な転写終結のためのシグナルおよび 真核生物においては更にポリアデニル化のためのシグナルを有しているべきであ り、これらはラッカーゼ遺伝子の3’末端に機能的に結合するべきである。 有利には発現させたタンパク質は宿主生物によって培地に分泌されるべきであ る。宿主生物による分泌はN−末端シグナル配列によって媒介される。シグナル 配列はラッカーゼ遺伝子中に存在する天然のシグナル配列であるか、または異種 のシグナル配列であり、これらのコード化DNAは発現ベクター中でラッカーゼ 遺伝子の5’末端に機能的に結合する。 以下の分泌タンパク質のシグナル配列が有利である:Klebsiella oxytocaからのα−シクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼ、 Bacillus subtilisからのサブチリシン、Saccharom yces cerevisiaeからのα因子、Pichia pastori sからの酸ホスファターゼ、Aspergillus nigerからのα−ア ミラーゼ、Aspergillus nigerもしくはAspergillu s awamoriからのグルコアミラーゼまたはラッカーゼ遺伝子中に天然に 存在するシグナル配列。 特に適当なものはラッカーゼ遺伝子中に天然に存在 するシグナル配列および以下の異種のシグナル配列である:Aspergill us nigerまたはAspergillus awamoriからのグルコ アミラーゼのシグナル配列、Saccharomyces cerevisia eからのα因子のシグナル配列またはPichia pastorisからの酸 ホスファターゼのシグナル配列。 またラッカーゼの分泌は、分泌タンパク質もしくは該タンパク質の分泌される 断片のための遺伝子を発現ベクター中でラッカーゼ遺伝子に機能的に結合させた 融合タンパク質の発現によって達成することができる。この点において特に有利 なものはAspergillus nigerからのグルコアミラーゼのN−末 端断片および好熱性ラッカーゼからなる融合タンパク質の発現である。 更に有利にはグルコアミラーゼとラッカーゼとの結合点は、この結合点のアミ ノ酸配列が宿主細胞の分泌装置におけるプロセシングペプチダーゼのための認識 部位となるように選択され、その際、発現した融合タンパク質は生体内で分解さ れ、ラッカーゼが放出される。 また有利には発現ベクターは選択マーカーのための遺伝子を有する。遺伝子に よってコードされる選択マーカーは宿主生物に抗生物質耐性を付与するか、また は宿主生物の欠陥を補足してもよい。 有利な選択マーカーは抗生物質、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラ ムフェニコール、テトラサイクリン、ハイグロマイシン、ゼオシン(zeocin)も しくはバイアラホス(bialaphos)に耐性を付与する遺伝子である。生育の欠陥 を補足するために有利な選択マーカーは遺伝子、例えばamdS、pyrG、t rpC、His4、niaD、argB、またはhygBである。 選択マーカーとして特に適当なものはamdSおよびpyrG遺伝子ならびに His4遺伝子および抗生物質ゼオシンのための耐性遺伝子である。 更に選択マーカ一遺伝子は1個のDNA分子中にラッカーゼ遺伝子と一緒に存 在するか、またはこれらの2個の遺伝子は異なるDNA分子中に別々に存在して もよい。後者の場合には、両者のDNA分子を一緒に同時形質転換する。 またこのように本発明は新規のDNA配列を有する発現ベクターに関する。 新規の発現ベクターを発現させるための適当かつ有利な微生物は、細菌由来の 微生物、例えばE.coliもしくはBacillus subtilis、真 核生物由来の微生物、例えば属SaccharomycesもしくはPichi aの酵母、あるいは属Aspergillus、Trichoderma、Ne urosporaもしくはSchyzophillum の糸状菌または真核性の細胞培養、例えばバキュロウイルスを感染させた昆虫細 胞である。 特に適当なものは属Aspergillusの糸状菌、例えばAspergi llus nigerもしくはAspergillus awamoriまたは 酵母、例えばSaccharomyces cerevisiaeもしくはPi chia pastorisである。 新規DNAによってコードされるタンパク質は以下の生物化学的特性を有して いる: 該タンパク質はラッカーゼの酵素活性を有している。該酵素活性の至適pHは 酸性の範囲であり、かつpH2.0で最大であり、pH4.0で最大の酵素活性 の半分を有する。45℃およびpH4.5〜6.0の該酵素の安定性は2時間ま での時間で100%である。 45℃およびpH3.0での該酵素の安定性は1時間までの時間で50%であ る。pH4.5での至適温度は70℃である。65〜75℃での酵素活性は依然 として最大活性の80%である。50〜80℃での酵素活性は依然として最大活 性の50%である。pH4.5および温度55℃以下での酵素安定性は2時間ま での時間で90%である。pH4.5および温度65℃での酵素安定性は1時間 までの時間で50%である。 新規のタンパク質はタンパク質配列SEQ ID NO:3を含んでいる。 有利には新規タンパク質を前記の微生物における新規DNA配列の発現によっ て製造する。 有利にはDNAを前記の発現ベクターの1種を使用して微生物中で発現させる 。 このように本発明は新規DNA配列または新規発現ベクターを有する微生物に も関する。 微生物からのタンパク質の分泌を可能にする微生物と発現系との組合せを使用 することが特に有利である。かかる有利な組合せの例は: Aspergillus nigerまたはAspergillus awa moriにおける新規DNA配列を発現するためのグルコアミラーゼプロモータ ーの使用。この発現系において有利に使用される分泌シグナルは好熱性ラッカー ゼ自体のシグナル配列またはグルコアミラーゼ−ラッカーゼ融合タンパク質のグ ルコアミラーゼ部分のシグナル配列である。 Pichia pastorisにおける新規DNA配列を発現するためのア ルコールオキシダーゼプロモーターの使用。この発現系において使用される分泌 シグナルは有利には好熱性ラッカーゼ自体のシグナル配列またはSacchar omyces cerevisiaeからのα因子のシグナル配列またはPic hia pastorisからの酸ホスファターゼの シグナル配列である。 新規のタンパク質はラッカーゼに関する公知の全ての適用に適当である。これ らはパルプの脱リグニンならびに高分子量の凝集物(aggregate)の解重合のため に特に適当である。ラッカーゼは古紙の脱インキ、廃水の処理、特にこの点につ いてはパルプの漂白からのリグニン含有廃水における芳香族化合物の重合におい てもしくは汚染された土壌の解毒における広範な適用において更に使用される。 他の使用範囲は前駆成分との反応によって染料の酸化および染料の活性化をし、 顔料を形成することに関する。有機合成での使用範囲は芳香族化合物のカップリ ング反応または芳香族置換基の酸化を含んでおり、この点については例えばベン ジルアルコールの相応のアルデヒドへの酸化を更なる酸化によるカルボン酸の形 成を回避して実施することを含んでいる。前記の使用において、ラッカーゼは関 連の反応においてそれ自体で、あるいは反応促進メデイエーター(reaction-prom oting mediator)と組み合わせて使用することができる。かかるメディエーター の例はABTSもしくはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールである。 このように本発明は、パルプの脱リグニン、高分子量凝集物の解重合、古紙の 脱インキ、廃水、特にパルプの漂白からのリグニン含有廃水中の芳香族化合物の 重合、染料の酸化、もしくは顔料形成のための染料の 活性化のための新規タンパク質の使用、芳香族化合物のカップリング反応もしく は芳香族側鎖の酸化のための有機合成での使用に関する。 前記の使用は新規ラッカーゼをそれ自体もしくは反応促進メディエーターとの 組合せで使用することによって実施できる。 図1はDNAベクターpANlac1Sの構造を示している。 図2はDNAベクターpANlac2Sの構造を示している。 図3はDNAベクターpL512の構造を示している。 図4はDNAベクターpL532の構造を示している。 図5は新規のラッカーゼの活性のpHによる依存を示している。 図6は新規のラッカーゼのpH安定性を示している。 図7は新規のラッカーゼの活性の温度による依存を示している。 図8は新規のラッカーゼの温度安定性を示している。 以下の実施例は本発明を更に詳細に説明している。DNAもしくはRNAの処 理のために実施例中で使用される標準的な方法、例えば制限エンドヌクレアーゼ 、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素等による処理、ならびに標準的な方法、例え ば菌の形質転換、サザンおよびノーザン分析、DNA塩基配列決定、放射線標識 およびPCR技術は特に記載がない限り使用されるキットの製造者によって推奨 されるように実施するか、または製造者の説明書を使用できない場合には標準的 な教本から公知の従来の技術に従って実施する。 例1Trametes versicolor TV−1からのcDNAバンクの作 Trametes versicolor TV−1株を使用した。まず麦芽 寒天プレート(3%麦芽抽出物、0.3%ペプトン(大豆ミール)、1.5%寒 天、pH5.0)上の28℃での7日間の培養によってTrametes ve rsicolorから菌糸体を得た。3片を麦芽寒天プレートから採り、これを 使用して500mlエルレンマイヤーフラスコ中の100mlの滅菌麦芽抽出物 培地(3%麦芽抽出物、0.3%ペプトン(大豆ミール)、pH5.0)に植え た。該培養を28℃で100rpmで振盪しながら7日間インキュベートした。 このようにして製造した菌糸体の懸濁液を磁製漏斗で吸引濾過し、0.9%の生 理食塩水で洗浄し、菌糸体を液体窒素中で凍結させ、乳鉢および乳棒を使用して 破砕した。RNAをRNeasyキット(Qiagen)を使用して単離した。 菌 糸体200mgからの収量はRNA100μgであった。 RNA600μgを使用してmRNAを単離した。これはオリゴ−dTセファ ロース(mRNA単離キット、ファルマシア)上でのクロマトグラフィーによっ て実施した。mRNAの収量は26μgであった。単離したmRNA7.25μ gを使用してcDNAを合成した。このためにストラタジーンからのcDNA合 成キットを使用した。分別後に、アガロースゲル電気泳動によってcDNAを0 .8〜2.1kbおよび2.1〜5kbの大きさの範囲で分別した。両画分のc DNAをアガロース(Qiagen ゲル抽出キット)から単離し、単離したc DNAを使用してcDNAバンクを作成した。cDNAバンクはラムダファージ (ストラタジーン、ZAP発現クローニングシステム)において作成した。0. 8〜2.1kbの画分からは4×105ファージ/ベクターDNA(μg)が得 られた。2.1〜5kbの画分からは1×105ファージ/ベクターDNA(μ g)が得られた。得られたファージをE.coli XL Blue MRF’ 株(ストラタジーン)に感染させることによって増幅させた。 例2Trametes versicolorからの染色体遺伝子バンクの作成 Trametes versicolor TV−1 からの菌糸体を例1に記載のように調製した。菌糸体を磁製漏斗で吸引濾過し、 0.9%の生理食塩水で洗浄し、次いで液体窒素中で凍結させ、乳鉢および乳棒 を使用して破砕し、1g部に分けた。破砕した菌糸体の各1g部を滅菌試料容器 中に取り、直ちに抽出溶液(0.1Mトリス塩酸、pH8.0、0.1MEDT A、0.25MのNaCl、0.6mg/mlのプロテアーゼK)5mlおよび ナトリウムラウロイルサルコシンの10%(w/v)溶液0.5mlと混合した 。50℃で少なくとも2時間のインキュベーション後に、混合物を5MのNaC l0.85mlおよび0.7MのNaCl中の10%(w/v)のCTAB溶液 0.7mlと混合し、65℃で30分間インキュベートした。クロロホルム/イ ソアミルアルコール混合物(24:1)7mlの添加後に、混合物を振盪し、遠 心分離によって2相を分離させた。水相を分離し、イソプロパノール0.6容量 部の添加によって染色体DNAが沈殿した。引き続き沈殿したDNAをカラム( Qiagen Genomic Tip)上で精製した。このようにして16g の菌糸体から染色体DNA0.5mgを単離できた。 染色体遺伝子バンクを作成するために、Trametes versicol or TV−1からの染色体DNA90μgをEcoRIで完全に切断し、アガ ロースゲル電気泳動によって分離した。染色体DNA断 片を2〜4kbおよび4〜10kbの大きさの範囲で単離し、それぞれの場合に おいてラムダファージ(ストラタジーン、ZAPクローニングシステム)にクロ ーニングした。2〜4kbのDNA画分からは1×105ファージ/ベクターD NA(μg)が得られ、4〜10kbのDNA画分からは5.4×104ファー ジ/ベクターDNA(μg)が得られた。ファージをE.coli XL−1 Blue MRF’株に感染させることによって増幅させた。 例3Trametes versicolorからのゲノムDNAからのラッカーゼ 特異的DNAプローブの調製 ラッカーゼ遺伝子を単離するためのDNAプローブをT.versicolo rのゲノムDNAからの縮重プライマーでのPCR増幅によって調製した。縮重 プライマーは公知のラッカーゼ遺伝子の配列の比較に基づいて構築された。EM BL遺伝子データバンクに含まれるNeurospora crassa、Co riolus hirsutus、Phlebia radiata、Agar icus bisporusおよび不完全菌類のサブクラスから詳細に分類され ていない糸状菌からのラッカーゼ遺伝子のアミノ酸配列を比較した。配列の比較 によって、全てのラッカーゼで完全に保存されている5〜7アミノ酸長を有する 4種の ペプチドを同定することが可能である。これらのペプチドを、縮重プライマーの 調製のために縮重コドンを考慮してDNAに翻訳し直した。該プライマーは以下 の配列を有する: プライマーCおよびDは5’末端にBamHI開裂部位(下線部)を有し、そ こにその都度適当な縮重ラッカーゼ配列が結合する。 T.versicolorからのゲノムDNAを例2に記載のような振盪フラ スコ培養の菌糸体から単離した。PCR増幅を当業者に公知の方法で実施した。 第1のPCR反応においては、T.versicolorの染色体DNA200 ngを、更にTaqポリメラーゼ1.25U、1.25mMのMgCl2、各4 種のdNTP0.2mM、およびそれぞれの場合にプライマーAおよびB100 ピコモルを含有させて100μlのPCR反応に使用した。必要なPCR生成物 の特異的増幅のための他の条件は:94℃で5分間、その後に94℃で0.5分 間、40℃で1分間および60℃で2.5分間を7サイクル、ならびに94℃で 0.5分間、50℃で1分間および72℃で2.5分間を30サイクルである。 第1のPCR反応からの1μlを、更にTaqポリメラーゼ1.25U、MgC l2 1.25mM、各4種のdNTP0.2mM、それぞれの場合にプライマーCお よびD100ピコモルを含有させて第2のPCR反応に使用した。必要なPCR 生成物の特異的増幅のための更なる条件は:94℃で5分間、その後に94℃で 0.5分間、40℃で1分間および60℃で2.5分間を7サイクル、ならびに 94℃で0.5分間、50℃で1分間および72℃で2.5分間を30サイクル である。約1.1kbのPCR生成物が得られた。PCR生成物をアガロースゲ ル電気泳動によって精製し、制限酵素BamHIで切断し、BamHIで切断し たpUC18ベクター中にクローニングし、E.coliに形質転換した。形質 転換したE.coliの培養からプラスミドを単離した。5’末端および3’末 端のDNA配列分析によってクローニングしたDNA配列がラッカーゼ遺伝子の 断片であることが示された。 ラッカーゼ遺伝子をスクリーニングするためのDNAプローブを調製するため に、ラッカーゼ特異的PCR断片をBamHIでの処理によって切断し、アガロ ース電気泳動によって単離し、α−[32P]−dATP(ランダムプライミング キツト(random priming kit)、ベーリンガーマンハイム)で放射線標識した。 遊離放射能をセファデックスG25(ファルマシア)上でのクロマトグラフィー によって除去した。放射線標識したDNAプローブの特異的活性は1×107c pm/DNA(μg)であった。 例4Trametes versicolor TV−1からのラッカーゼのcDN A遺伝子の単離 例1に記載したTrametes versicolor TV−1からのc DNA遺伝子バンクを使用した。ラッカーゼcDNA遺伝子のためのスクリーニ ングを従来の技術に従って実施した。第1のスクリーニング段階において、まず E.coli XL−1 Blue MRF’の細胞を10個のペトリ皿上で培 養し、次いでペトリ皿1個あたりcDNAバンク(0.8〜2.1kbの画分、 例1参照)の50000ファージを感染させた。37℃での一晩のインキュベー ション後に、新たに形成したファージをナイロンフィルター(ストラタジーン) に移した。次いで該フィルターを、放射線標識したラッカーゼ特異的プローブ( 例3参照)を使用して製造者の説明書に従ってハイブリダイズさせた。ハイブリ ダイゼーション温度は50%のホルムアミドを含有するハイブリダイゼーション 緩衝液中で45℃であった。陽性のクローンを採り、スクリーニング工程の反復 によって精製した。単離の第3段階後に、20個の強力にハイブリダイズするフ ァージクローンを前記のスクリーニングで単離し、インビボ切り出し(in vivo excision)によって製造者(ストラタジーン)のプロトコールに従ってpBK CM Vベクター(ストラタジーン)に再クローニング(reclone)した。制限エンド ヌクレアーゼ消化およびDNA塩基配列決定によるクローンの分析は、DNAレ ベルで実質的に同一の2種のラッカーゼ遺伝子が単離されたことを示した。2種 のクローンの完全なDNA塩基配列決定は、これらがアミノ酸配列において同一 のラッカーゼ遺伝子の対立遺伝子であることを示した。2種のラッカーゼcDN A遺伝子をLac5.5およびLac5.6と呼ぶ。同様に該ラッカーゼcDN A遺伝子を有するプラスミドをpLac5.5およびpLac5.6と呼ぶ。 例5Trametes versicolor TV−1からのラッカーゼの染色体 遺伝子の単離 Trametes versicolor TV−1からの例2に記載される 染色体遺伝子バンク(2〜10kb画分、例2参照)における染色体のラッカー ゼ遺伝子のためのスクリーニングを例4に記載のcDNAクローンのためのスク リーニングと類似に実施した。例3に記載の放射線標識されたラッカーゼ特異的 プローブを再度使用した。ハイブリダイゼーション温度は50%ホルムアミドを 含有するハイブリダイゼーション緩衝液中で45℃であった。スクリーニングに おいて3個の強力にハイブリダイズしたファージクローンを単離し、インビボ切 り出しによって製造者(スト ラタジーン)のプロトコールに従ってpBKCMVベクター(ストラタジーン) に再クローニングした。制限エンドヌクレアーゼでの分析は全ての3クローンは 同一であり、約7kbの長さを有しているという結論を導いた。DNA塩基配列 決定による分析は、全ての3クローンがラツカーゼLac5.6の染色体遺伝子 に相当することを示した。クローンのコーディング領域およびその都度5’およ び3’領域中の約1kbの末端配列の塩基配列決定をした(SEQ ID NO :8)。 例6AspergillusのラッカーゼLac5.5の発現のためのDNA構成体 の調製 Trametes versicolorのラッカーゼLac5.5のcDN Aを、Aspergillusファミリーからの糸状菌に特異的な発現シグナル に機能的に結合させた。Aspergillusからの以下の遺伝子発現エレメ ントを使用した: a)Aspergillus nigerからのグルコアミラーゼ遺伝子(gl aA)のためのプロモーター(J.C.Verdoes,P.J.Punt,J.M.Schrickx,H.M.van Verseveld,A.H.StouthamerおよびC.A.M.J.J.van den Hondel Transgenic Rese arch 2(1993),84-92)。 b)シグナル配列をコードするDNA断片および成熟グルコアミラーゼの断片を 下流に有するglaAプロ モーター。これにKEX2プロテアーゼの開裂部位をコードするDNA配列を結合 させる(M.P.Broekhuijsen,I.E.Mattern,R.Contreras,J.R.Kinghorn,C.A.M. J.J.van den Hondel(1993),J.Biotechnol.31,135-145)。 c)Aspergillus nidulansからのtrpC遺伝子の転写タ ーミネーター(E.J.Mullaney,J.E.Hamer,M.M.YeltonおよびW.E.Timberlake(19 85),Mol.Gen.Genet.199,37-45)。 しかしながらLac5.5cDNAとAspergillusの発現シグナル との機能的結合のためにはまずLac5.5cDNA遺伝子の5’および3’領 域を改変する必要がある。A:ラッカーゼLac5.5cDNAとglaAプロモーターとの結合 更なるプロセシングのために、Lac5.5cDNA遺伝子をベクターpUC 19に再クローニングした。この目的のために、Lac5.5cDNA遺伝子を 例1で得られたpBK CMVベクターからの1.9kbのEcoRI−Xba I断片として単離し、事前にEcoRIおよびXbaIで切断したpUC19ベ クターにサブクローニングした。得られた4.6kbのプラスミドをpLac5 と呼ぶ。 Lac5.5cDNA遺伝子の開始コドンATGの改変のために、プライマー EおよびFを使用した。 プライマーE中の下線部はBspHI開裂部位を示し、プライマーF中の下線 部はSmaIまたはXmaIの開裂部位を示す。 Lac5.5cDNA遺伝子の3’領域の改変のためにプライマーGおよびH を使用した。 プライマーG中の下線部はBbsI開裂部位を示し、プライマーH中の下線部 はAflII開裂部位を示す。 プライマーEおよびFを使用して、PCR反応によってLac5.5cDNA 遺伝子の5’領域において188bpの大きさの断片を増幅した。プライマーG およびHを使用して、Lac5.5cDNA遺伝子の3’領域において110b pの大きさの断片を増幅した。100μlのPCR混合物はその都度Lac5. 5cDNA(pBK CMVベクター中)10ng、Tthポリメラーゼ0.5 U、MgCl21.25mM、各4種のdNTP0.2mMおよびプライマーE およびFのペアまたはプライマーGおよびHのペアのどちらか140ピコモルを 含有する。PCR反応は以下の 条件下で実施する:94℃で5分間、その後に94℃で1分間、50℃で2分間 および72℃で1分間を30サイクル、最後に72℃で7分間。 まずプライマーEおよびFでのPCR反応からのDNA断片をEcoRIおよ びXmaIで切断し、次いでゲル電気泳動で精製し、事前にEcoRIおよびX maIで切断したベクターpLac5にクローニングした。これにより、翻訳の 開始コドンATGにBspHI開裂部位が組み込まれたベクターpLac51が 得られた。 まずプライマーGおよびHでのPCR反応からのDNA断片をEcoRIおよ びXbaIで切断し、次いでゲル電気泳動によって精製し、事前にEcoRIお よびXbaIで切断したpUC19ベクターにクローニングした。約100bp の大きさのインサートを、得られたプラスミドpLT5からBbsIおよびXb aIで切断した。最終的にBbsI−XbaI断片を事前にBbsIおよびXb aIで切断したベクターpLac51にクローニングした。これにより、ラッカ ーゼcDNA遺伝子の3’末端に新規のAflII開裂部位を有するベクターp Lac513が得られた。 改変した5’および3’領域を有するTrametes versicolo rのラッカーゼLac5.5のためのcDNA遺伝子をプラスミドpLac51 3のBspHIによる部分消化によって単離した。これ により、Lac5.5cDNA遺伝子のコーディング領域およびpUC19ベク ターの約1.1kbを有する2.6kbの断片が得られた。この断片を第2段階 でAflIIで切断し、1.5kbの大きさの得られたLac5.5cDNA断 片を単離した。この断片をAspergillus nigerからの4.0k bの大きさの断片、Aspergillus nidulansからのtrpC 転写ターミネーターの0.7kbの大きさの断片およびpUC18ベクターの2 .7kbの大きさの断片を有するベクターpAN52−12からの7.4kbの 大きさのAflII−NcoI断片にライゲーションした。得られた8.8kb の大きさのベクターをpANlac1と呼ぶ。pANlac1においてglaA プロモーター領域はNcoI−BspHI間領域(intersection)を介してラッ カーゼcDNA遺伝子の翻訳開始コドンATGに機能的に結合する。B:N−末端シグナル配列をグルコアミラーゼ断片と交換することによるラッカ ーゼLac5.5cDNAとglaAプロモーターとの結合 成熟ラッカーゼLac5.5のN末端をコードするcDNA遺伝子の領域を改 変するために、プライマーIおよびFを使用した。 プライマーI中の下線部はEcoRV開裂部位を示す。 Lac5.5cDNA遺伝子の3’領域を改変するために、プライマーGおよ びHを使用した(この例のA参照)。 プライマーIおよびFを使用して、PCR反応によってLac5.5cDNA 遺伝子の5’領域において110bpの大きさの断片を増幅した。プライマーG およびHを使用して、Lac5.5cDNA遺伝子の3’領域において110b pの大きさの断片を増幅した。PCR反応はこの例のAに記載のように実施した 。 プライマーIおよびFでのPCR反応からのDNA断片をEcoRIおよびX maIで切断し、次いでゲル電気泳動によって精製し、事前にEcoRIおよび XmaIで切断したベクターpLac5にクローニングした。これにより成熟ラ ッカーゼタンパク質の最初のアミノ酸のためのコドンの前の5’末端にEcoR V開裂部位、その後に配列Ile Ser Lys Arg(SEQ ID N O:14)のアミノ酸のためのコドンが挿入されたベクターpLac52が得ら れた。この配列はKEX2プロテアーゼのための認識部位で ある。ベクターpLac52中のラッカーゼcDNA遺伝子の3’領域をベクタ ーpLac51に関して記載したように改変した。プライマーGおよびHでのP CR反応からの約100bpの大きさのインサートをBbsIおよびXbaIを 使用してプラスミドpLT5から切断し、単離した。最終的にBbsI−Xba I断片を、BbsIおよびXbaIで切断したベクターpLac52にクローニ ングした。これによりラッカーゼcDNA遺伝子の3’末端に新規のAflII 開裂部位を有するベクターpLac523が得られた。 Trametes versicolorのラッカーゼLac5.5のための 改変された5’および3’領域を有するcDNA遺伝子がEcoRVおよびAf 1IIでプラスミドpLac523を切断することによって得られ、得られた1 .5kbの大きさのLac5.5cDNA断片をアガロースゲル電気泳動の後に 単離した。この断片を、ベクターpAN56−9の9.3kbの大きさのAfl II−EcoRV断片にライゲーションした。ベクターpAN56−9は4.0 kbの大きさのAspergillus nigerからのglaAプロモータ ー、その後にAspergillus nigerのglaAグルコアミラーゼ の断片をコードする2.0kbの大きさの断片、KEX2開裂部位の4アミノ酸 をコードする短いDNA切 片、Aspergillus nidulansからの0.7kbの大きさのt rpC転写ターミネーターの断片ならびに2.7kbの大きさのpUC18ベク ターの断片を有する。EcoRVおよびAFlII開裂部位をKEX2開裂部位 の3’に配置した。E.coliへの形質転換によって、10.8kbの大きさ のベクターが得られ、これをpANlac2と呼ぶ。pANlac2において、 成熟ラッカーゼLac5.5のためのcDNAのコーディング領域を、発現の際 にまずシグナル配列を含むグルコアミラーゼの断片、KEX2プロテアーゼのた めの認識配列の断片および完全なラッカーゼLac5.5の断片からなる融合タ ンパク質が生成するようにグルコアミラーゼ遺伝子のコーディング領域に結合し た。分泌の際にこの融合タンパク質はKEX2プロテアーゼによって開裂され、 成熟ラッカーゼが培養上清に分泌された。C:ベクターpANlac1および ANlac2へのamdSおよびpyrG の選択マーカーの組み込み pANlac1およびpANlac2をそれぞれのベクター5μgのNotI による一晩の消化によって直鎖化した。次いで子牛(calf)腸内アルカリ性ホス ファターゼで処理し、フェノール/クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿をし た。選択マーカーのための遺伝子amdS(アセトアミダーゼ)およびpyrG (オロチジン−5’−一リン酸デカルボキシラーゼ) をプラスミドpAN52−11に導入し、これからNotIでの消化後に6.4 kbの大きさの断片として前記遺伝子を単離することができた。それぞれの直鎖 化しかつホスファターゼ処理したベクターpANlac1およびpANlac2 の0.2μgを、単離したNotI断片0.6μgにライゲーションし、これを 使用してE.coli JM109を形質転換した。プラスミドDNAをこれら の形質転換からのアンピシリン耐性のコロニーから調製し、NotIで切断し、 アガロースゲル電気泳動によって分析した。ベクターpANlac1での形質転 換からの8個の分析したクローンの6個ならびにベクターpANlac2での形 質転換からの7個の分析したクローンの5個は6.4kbのNotI遺伝子断片 を有していた。選択マーカー遺伝子を有したベクターをpANlac1S(大き さ15.3kb、図1)およびpANlac2S(大きさ17.2kb、図2) と呼ぶ。得られた6個のpANlac1Sクローンの3個は図1に示される望ま しい方向でNotI断片を有し、得られた5個のpANlac2Sクローンの1 個は図2に示される望ましい方向でNotI断片を有していた。 例7Aspergillusの形質転換 Aspergillus nigerのAB1.13株(pyrG-)(W.van Hartingsveldt,I.E.Matter n,C.M.J.van Zeijl,P.H.PouwelsおよびC.A.M.J.J.van den Hondel(1987)Mol.G en.Genet.206,71-75)およびAspergillus awamori(AT CC 11358株)を形質転換のために使用した。Aspergillusの 形質転換を従来の技術に従って実施した(P.J.PuntおよびC.A.J.J.van den Hond el(1992),Meth.Enzymology 216,447-457)。 AspergillusのプロトプラストをNovozym234での菌糸体 の処理によって得た。1個のフラスコからの菌糸体を、新しく製造しかつ濾過滅 菌(sterile-filtred)した、滅菌エルレンマイヤーフラスコ中のOM培地(0 .27M塩化カルシウム、0.6MのNaCl)中の溶解酵素混合物Novoz ym234(ノボノルディスク)の溶液15ml中に懸濁した。酵素溶液中に再 懸濁した菌糸体を30℃で低速(80rpm)で1〜3時間インキュベートした 。インキュベーションの間に、顕微鏡によってプロトプラストの形成を観察した 。自由に移動可能なプロトプラストは通常1時間後に見られる。大量の自由に移 動可能なプロトプラストが得られた後に、これらをガラス濾過器でMiracl oth(Calbiochem)を通して濾過することによって残留している菌 糸体から分離し、慎重にSTC培地(1.2Mソルビトール、50mM塩化カル シウム、35mMのNaCl、10mMトリス塩酸、pH7.5)で洗浄した。 プ ロトプラストを滅菌試料容器中での懸濁液の遠心分離(2000rpm、4℃、 10分間)によって単離し、STC培地で2回洗浄した。プロトプラストの濃度 を計数盤で顕微鏡によって測定した。プロトプラスト懸濁液をプロトプラスト再 生(regeneration)または形質転換に関する実験のために1×108プロトプラ スト/mlの濃度に調整した。 Aspergillus nigerおよびAspergillus awa moriからのプロトプラストをプラスミドpANlac1SおよびpANla c2Sで形質転換した。両者のプラスミドはpyrG遺伝子(オロチジン−5’ −リン酸デカルボキシラーゼをコードする)ならびにamdS遺伝子(アセトア ミダーゼをコードする)を選択マーカーとして有する。プロトプラストの0.1 mlアリコートを容量12mlのインキュベーション容器中でプラスミドDNA 10μgと混合し、氷上で25分間インキュベートした。次いで60%のPEG 4000溶液(60%PEG4000、50mM塩化カルシウム、10mMトリ ス塩酸、pH7.5)1.25mlを混合を繰り返しながら形質転換混合物にゆ っくりと添加した。更に20℃で20分間インキュベートした後に、反応容器を STC培地で満たし、混合し、4℃で10分間遠心分離した。沈殿物を再懸濁し 、ソルビトールで浸透的に安定化した選択培地上にプレーティングした。プレー トを30℃で7日間インキュベートし、コロニーの生育を観察した。幾つかの実 験での形質転換率はAspergillus nigerに関しては1〜5形質 転換体/プラスミドDNA(μg)であり、Aspergillus awam oriに関しては0.1〜0.5形質転換体/プラスミドDNA(μg)であっ た。 形質転換体をアセトアミドを有する選択プレートに移行することによって純化 (purify)した。高いコピー数を有する形質転換体をアクリルアミドを有する選 択プレート上にプレーティングすることによって同定した。アクリルアミドは、 アセトアミドとは反対にamdS遺伝子によってコードされるアセトアミダーゼ 酵素の不良な基質であり、高いコピー数のamdS遺伝子を有する形質転換体の みが生育可能である。ラッカーゼ酵素の機能的な発現を可能にする形質転換体を 、まずマルトデキストリン、glaAプロモーターの発現のインデューサーを有 するプレートに植えかえることによって同定し、28℃で2日間生育させた後に ABTS寒天(McIllvaine緩衝液(pH4.5)中の0.1%ABT S、1%アガロース)で覆った。ラッカーゼを発現する形質転換体は緑色のハロ の形成によって示された。胞子の懸濁液をアクリルアミドプレート上での良好な 生育およびABTSによる活性試験における陽性反応の両方を示した形質転換体 から製造した。 例8AserillusにおけるTrametes versicolorのラッカ ーゼLac5.5の発現 AspergillusにおけるラッカーゼLac5.5の発現を振盪フラス コ規模で調査した。以下の培養培地を使用した:水道水中のマルトデキストリン の5%(w/v)溶液を20分間オートクレーブにかけた。次いで1M硫酸マグ ネシウム1ml、1000×の微量元素溶液0.5ml、50×のAspA溶液 10mlおよび10%(w/v)カザミノ酸5mlを前記のベース培地500m lに添加した。1000×の微量元素溶液は以下の組成を有している:znSO4 ×7H2O2.2g、H3BO31.1g、MnCl2×4H2O0.5g、FeS O4×7H2O0.5g、CoCl2×5H2O0.17g、CuSO4×5H2O0 .16g、Na2MoO4×2H2O0.15gおよびEDTA5gをH2O80m l中に溶解した。50×のAspA溶液は以下の組成を有する:NaNO315 0g、KCl13g、KH2PO438gをH2O500ml中に溶解させ、pH を10MのKOHによって5.5に調整した。この培地にCuSO4×5H2Oを 最終濃度0.5mMで添加した。 発現実験のために、300mlのエルレンマイヤー フラスコ中の培養培地50mlに1×106胞子/mlを植えた。培養を振盪培 養器中で30℃および300rpmで実施した。試料を1週間にわたり毎日採取 し、培養上清中でのラッカーゼ活性を測定した。最大ラッカーゼ活性は60〜1 00時間の間の生育において観測され、これは0.5〜2.5U/mlの間であ った。ラッカーゼ活性を基質ABTS(アッセイにおいて0.1mM)を使用し てMcIllvaine緩衝液(pH4.5)中および37℃で比色法(colori metry)によって測定した。McIllvaine緩衝液は0.2MのNa2HP O4溶液に対する0.1Mクエン酸溶液のpH4.5への滴定によって製造した 。420nmでの吸光度の増加が測定された(ABTSの420nmでの吸光係 数:3.6×1041×モル1×cm-1)。ラッカーゼ活性1Uは1分間あたりで 変換されるABTS基質1マイクロモルとして定義した。 例9Pichia astorisにおけるTrametes versicolo rのラッカーゼLac5.5の発現 Invitrogenから市販されている発現系を関連の発現ベクター(pP IC3およびpPIC9)およびPichia pastoris株(GS11 5およびKM71)と一緒に使用した。Pichia pastorisのGS115株およびKM71株はヒスチジン要求株である。 発現ベクターはPichia pastorisからのアルコールオキシダーゼ 遺伝子AOX1のプロモーターおよびターミネーターを有する。Tramete s versicolorのラッカーゼLac5.5のcDNA遺伝子を前記の 2個の遺伝子調節因子の間にクローニングした。ベクターpPIC9はAOX1 プロモーターの下流にSaccharomyces cerevisiaeから のα因子タンパク質のシグナル配列をコードするDNA配列を有し、その後に認 識配列Glu−Lys−Arg−Glu−Ala−Glu−Ala(SEQ I DNO:15)をコードする短いDNA切片を有する。該ベクターはE.col iでの選択のためにアンピシリン耐性遺伝子を有している。該ベクターはPic hia pastorisでの選択のためにPichia pastorisか らのHIS4遺伝子を有している。A:ラッカーゼLac5.5のシグナル配列を有するラッカーゼLac5.5発 現ベクターの構築 プラスミドpLac5.5ならびにプライマーKおよびLをラッカーゼ遺伝子 の増幅のために使用した。プライマーFおよびGは以下の配列を有している: プライマーKはEcoRI開裂部位(下線部)を有し、その後にラッカーゼL ac5.5のシグナル配列の最初の7アミノ酸に関するDNA配列を有している 。プライマーLはNot開裂部位(下線部)を有し、その後に相補的かつ逆方向 で翻訳の停止コドンならびにラッカーゼLac5.5の最後の7アミノ酸のため のDNA配列を有している。 PCR増幅を当業者に公知の方法で実施した。pLac5.5DNA20ng を、更にVentポリメラーゼ0.5U、1mMのMgCl2、各4種のdNT P0.2mMおよびそれぞれの場合においてプライマーKおよびL100ピコモ ルを含有して50μlのPCR反応において使用した。必要なPCR生成物の特 異的な増幅のための他の条件は:94℃で5分間、その後に94℃で1分間、5 5℃で1分間および72℃で2分間を25サイクルである。予想された1.5k bの大きさのPCR断片が得られた。PCR断片をアガロースゲル電気泳動で精 製し、制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、エタノールで沈殿させ、H2 O中に取った。ベクターpPIC3をEcoRIおよびNotIで切断し、ア ガロースゲル電気泳動によって精製し、単離し、アルカリ性ホスファターゼで処 理 した。次いでフェノール/クロロホルム(比3:1)で抽出し、エタノール沈殿 をした。PCR増幅によって製造したラッカーゼLac5.5のDNA断片を前 記のように製造したpPIC3べクターにライゲーションし、これを使用してE .coli Top10F’細胞(Invitrogen)を形質転換した。プ ラスミドDNAをアンピシリン耐性クローンから単離し、クローニングした1. 5kbのインサートをEcoRIおよびNotIによる制限消化によって同定し た。調査した12個のクローンの内9個が陽性であった。このようにして得られ たべクターをpL512(図3)と呼ぶ。B:Saccharomces cerevisiaeからのα因子のシグナル 配列を有するラッカーゼLac5.5の発現ベクターの構築 プラスミドpLac5.5ならびにプライマーLおよびMを使用してラッカー ゼ遺伝子を増幅した。プライマーMは以下の配列を有している: プライマーMはEcoRI開裂部位(下線部)のための配列、その後にプロセ シングされるラッカーゼLac5.5の推測されるN−末端の最初の9アミノ酸 のためのDNA配列を有している。プロセシングされるラッカーゼLac5.5 のN−末端は他のラッカー ゼ配列との比較によって導いた。 ラッカーゼLac5.5のプロセシングされた形のためのDNA断片をこの例 のAに記載のようにpLac5.5cDNAならびにプライマーLおよびMでの PCR増幅によって製造した。ベクターpPIC9をEcoRIおよびNotI で切断し、この例のAに記載のpPIC3のように製造し、PCR増幅によって 製造したラッカーゼLac5.5のDNA断片にライゲーションし、これを使用 してE.coli Top10F’細胞(Invitrogen)を形質転換し た。プラスミドDNAをアンピシリン耐性クローンから単離し、クローニングし た1.5kbのインサートをEcoRIおよびNotIでの制限消化によって同 定した。調査した12個のクローンの内3個が陽性であった。このようにして得 られたベクターをpL532(図4)と呼ぶ。C:Pichia pastorisの形質転換 まずPichia pastorisのGS115株およびKM71株をYP D培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%デキストロース)5mlにおいて 30℃で一晩培養した。前記の前培養0.2ml部を使用して2つの本培養をY PD培地250mlにそれぞれ植え、再び光学密度(OD600nm)が1.3 〜1.5になるまで30℃で一晩培養した。250mlの本培養からの酵母細胞 を遠心分離(1500×g を5分間)し、毎回H2O200mlで2回洗浄し、1Mのソルビトール10m lで1回洗浄し、最終的に1Mのソルビトール0.5ml中に取った。 ベクターpL512またはpL532のプラスミドDNAをStuIまたはN siIのどちらかで直鎖化し、エタノールを使用して沈殿させ、1μlあたりD NA1μgの濃度で水中に取った。形質転換混合物はPichia pasto ris細胞80μlおよび直鎖化したベクターDNA10μgを含有している。 形質転換を1500V、25μFおよび200オーム(バイオラッドのGene Pulser)でのエレクトロポレーションによって実施した。放電時間は約 4.2ミリ秒であった。1Mのソルビトール1mlを形質転換混合物に添加し、 これを氷上で30分間インキュベートし、次いでヒスチジン不含のMDプレート (1.34%YNB、酵母の窒素ベース(nitrogen base)、4× 10-5%ビオチン、1%デキストロース、1.5%寒天)上に0.3mlのアリ コートでプレーティングした。形質転換体は30℃での3〜5日間のインキュベ ーション後に現れた。形質転換体をMDプレート上に2回ストリークすることに よって精製した。ラッカーゼの生産体をMMインディケータープレート(MM ind icator plate)上で同定した。MMインディケータープレートは1.34%YN B、4×10-5%ビオチン、0.5%メタノール、1.5%寒天、1m MABTSおよび0.1mM硫酸銅を含有している。インデューサーのメタノー ルをペトリ皿の蓋に供し、拡散によりコロニーにメタノールが供給されることを 保証するために毎日新しくした。ラッカーゼの生産者は30℃での2〜3日間の インキュベーション後に緑色のハロを形成した。 E:振盪フラスコ中での発現 BMGY培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、0.1Mリン酸カリウム、p H6.0、1.34%YNB、4×10-5%ビオチン、1%グリセロール)50 mlにラッカーゼを生産するPichia pastorisの形質転換体を植 え、振盪機(300rpm)上で28℃で48時間培養した。この前培養からの 細胞を遠心分離(1500×gで10分間)によって単離し、本培養培地(MM Y、1%酵母抽出物、2%ペプトン、1.34%YNB、4×10-5%ビオチン 、3%メタノール)10ml中に懸濁した。MMY培地に0.5mM硫酸銅を供 給し、更に本培養を振盪機上で300rpmおよび室温で培養した。本培養にメ タノール(0.3ml/培地10ml)を24時間間隔で供給した。組み換えラ ッカーゼLac5.5の生産は24時間後に始まった。4U/mlまでの生産率 は本培養開始後190時間で達した。 例10組み換えラッカーゼLac5.5の単離 組み換えラッカーゼLac5.5を例8に記載のように形質転換したAspe rgillus株の振盪フラスコ中での培養によって得た。ラッカーゼLac5 .5を含有する培養上清をクロスフロー濾過によって濃縮した。このために除去 限界(exclusion limit)30kDを有するSartoconマイクロ濾過モジ ュール(micro filtration module)(Sartorius)を使用した。次い で濃縮したラッカーゼLac5.5を凍結乾燥し、20mMリン酸ナトリウム( pH6.0)中に溶解させた。濃縮した組み換えラッカーゼLac5.5の活性 は18.6U/mlであった。 クロスフロー濾過によって濃縮したラッカーゼを20mMビストリス塩酸(p H6.5)に対して透析した。この後に導電率1.5mS/cmが測定された。 次いで透析したラッカーゼを、20mMのビストリス塩酸(pH6.5)(ロー ディングバッフアー)で較正したDEAEセファロース(フアルマシア)のカラ ム上でのクロマトグラフィーを実施した。これらの条件下でラッカーゼはDEA Eセファロースに結合する。ローディングバッファー中の0Mから0.5Mへの NaClの直線のグラジエントでの溶離によって、ラッカーゼ活性は塩濃度0. 15MのNaClで回復した。DEAEセファロースカラムからのラッカーゼ画 分と硫酸アンモニウムとを20%飽和になるまで混合し、かつ酢酸ナトリウム( pH4.5)を混合し(最 終濃度20mM)、pHを酢酸によって4.5に調整した。次いでこのようにし て調製したラッカーゼ画分をローディングバッファー(20mM酢酸ナトリウム (pH4.5)、20%飽和の硫酸アンモニウム)で較正したフェニル−セファ ロース(ファルマシア)のカラム上でのクロマトグラフィーを実施した。これら の条件下でラッカーゼはフェニル−セファロースに結合する。20mM酢酸ナト リウム(pH4.5)中の20〜0%飽和の硫酸アンモニウムの直線のグラジエ ントでの溶離によって、ラッカーゼ活性は硫酸アンモニウム飽和16%で回復し た。ラッカーゼ画分を20mMビストリス塩酸(pH6.5)に対して透析し、 DEAEセファロースへの結合および引き続いて実施する0.3MのNaClで の段階的な溶離によって濃縮した。結合および0.3MのNaClでの溶離はい ずれも20mMのビストリス塩酸(pH6.5)中で実施した。ラッカーゼ活性 は出発材料に対して20%が得られた。単離したラッカーゼをN−末端アミノ酸 配列決定によって分析した。これによって決定された配列: はcDNA配列およびホモロジー比較とから得られる成熟ラッカーゼLac5. 5のN末端一致した。 例11組み換えラッカーゼLac5.5の生物化学的特性 例8に記載のようにAspergillus中で製造される組み換えラッカー ゼLac5.5の至適pHと至適温度ならびにpHと温度の安定性を調査した。 これらの実験のために、組み換えラッカーゼLac5.5の緩衝液を、セファデ ックスG25(ファルマシア、PD10カラム)上でMcIllvaine緩衝 液(pH4.5)に取り替えた。A:至適pH 図5に示される各pH値に適当な緩衝液を、緩衝されないクエン酸ナトリウム およびリン酸ナトリウムの溶液の適当な混合によって製造した。図5から明らか なように、ラッカーゼLac5.5は基質ABTSに対して強酸性域に活性至適 を有する。B:pH安定性 ラッカーゼLac5.5を、pH3.0、4.5および6.0(温度37℃) のMcIllvaine緩衝液中でプレインキュベートした。アリコートを0、 30、60および120分後に取り、McIllvaine緩衝液(pH4.5 )中に希釈し、37℃でラッカーゼ活性を測定した。ラッカーゼ活性はpH4. 5および6.0での前処理によって悪影響を受けなかった。pH3.0でのラッ カーゼの半減期は60および120分の間であった(図6)。C:至適温度 組み換えラッカーゼLac5.5のラッカーゼ活性を図7に示される温度で測 定した。ラッカーゼ活性はMcIllvaine緩衝液(pH4.5)でのAB TSアッセイを使用して測定した。意想外にもこれからラッカーゼLac5.5 の至適温度が70℃であることが判明した。測定されるラッカーゼ活性が最大値 の半分である温度は50℃および80℃であった。D:温度安定性 ラッカーゼLac5.5をMcIllvaine緩衝液(pH4.5)中で4 5、55および65℃でプレインキュベートした。アリコートを0、30、60 および120分後に取り、McIllvaine緩衝液(pH4.5)中に希釈 し、ラッカーゼ活性を37℃で測定した。ラッカーゼ活性は45℃での前処理に よって悪影響を受けなかった。55℃での120分間のプレインキュベーション 後の測定によって80%の活性が依然として残留していることが示された。65 ℃でのラッカーゼの半減期は60分間であった(図8)。 配列表 (1)一般的情報: (i)出願人: (A)名称:Consortium fuer electorochem ische Industrie GmbH (B)町:ツィールシュタットシュトラーセ20 (C)市:ミュンヘン (E)国:ドイツ (F)郵便コード:D−81379 (G)電話:089 748440 (H)テレファックス:089 74844350 (ii)発明の名称:DNA配列、これらのDNAの発現、該DNAによって コードされる好熱性ラッカーゼならびにその使用 (iii)配列の数:19 (iv)コンピューター読み取り可能形: (A)媒体型:フロッピーディスク (B)コンピューター:IBM PC コンパチブル (C)オペレーティングシステム:PC−DOS/MS−DOS (D)ソフトウェア:パテント イン リリース#1.0、バージョン#1 .25(EPO) (2)SEQ ID NO:1に関する情報: (i)配列特徴: (A)長さ:1572塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:cDNAからのmRNA (iii)ハイポセティカル:NO (iii)アンチセンス:NO (vi)起源: (A)生物名:Trametes versicolor (B)株名:TV−1 (vii)直接の起源: (B)クローン:plac55 (xi)配列:SEQ ID NO:1
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 5/10 9/02 9/02 5/00 A

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.SEQ ID NO:1の位置76から位置1572を含めた位置までの DNA配列もしくはSEQID NO:2の位置76から位置1572を含めた 位置までのDNA配列または前記のDNA配列と80%より高い配列ホモロジー を有するDNA配列を有する、ラッカーゼ活性を有するタンパク質をコードする DNA配列。 2.請求項1記載のDNA配列を有する発現ベクター。 3.付加的に宿主生物でのラッカーゼ遺伝子の発現を媒介するプロモーター、 宿主生物に適当であり、請求項1記載のDNA配列の3’末端に機能的に結合し ている転写終結のためのシグナルを有する請求項2記載の発現ベクター。 4.プロモーターがtacプロモーター、サブチリシンプロモーター、GAL プロモーター、TAKAアミラーゼプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、 グルコアミラーゼプロモーター、GAPDHプロモーターおよびアルコールオキ シダーゼプロモーターから選択される、請求項3記載の発現ベクター。 5.付加的にN−末端シグナル配列を有する請求項3または4記載の発現ベク ター。 6.N−末端シグナル配列がラッカーゼ遺伝子中に 存在する天然のシグナル配列であるか、以下の分泌タンパク質:Klebsie lla oxytocaからのα−シクロデキストリングルコシルトランスフェ ラーゼ、Bacillus subtilisからのサブチリシン、Sacch aromyces cerevisiaeからのα因子、Pichia pas torisからの酸ホスファターゼ、Aspergillusnigerからの α−アミラーゼまたはAspergillus nigerもしくはAsper gillus awamoriからのグルコアミラーゼのシグナル配列の群から 選択される、請求項5記載の発現ベクター。 7.分泌タンパク質のための遺伝子またはタンパク質の分泌される断片のため の遺伝子切片がラッカーゼ遺伝子に機能的に結合している請求項5記載の発現ベ クター。 8.請求項1記載のDNA配列または請求項2から7までのいずれか1項記載 の発現ベクターを有している微生物株。 9.タンパク質配列SEQ ID NO:3を有するタンパク質。 10.パルプの脱リグニン、高分子凝集物の解重合、古紙の脱インキ、廃水、 特にパルプ漂白からのリグニン含有廃水中の芳香族化合物の重合、染料の酸化も しくは顔料の形成のための染料の活性化のため、また は芳香族化合物のカップリング反応のための有機合成もしくは芳香族側鎖の酸化 での請求項9記載の使用。
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