JP2000327968A - 着色マイクロカプセル分散型水性ジェットインク - Google Patents
着色マイクロカプセル分散型水性ジェットインクInfo
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Abstract
かつ安定したインクジェット吐出特性に優れた水性顔料
ジェットインクを得る。 【解決手段】 水,水溶性有機溶剤,少なくとも一部が
塩基で中和された酸価を有する皮膜形成性樹脂で被覆さ
れた顔料から成り,該樹脂の酸価が100以上180未
満で,その30〜100モル%相当量の塩基量を含み,
かつ未置換またはアルキル基またはアルコキシル基で置
換されたナフタレンスルホン酸塩からなるアニオン性界
面活性剤及び/又はフッ素系の界面活性剤を含有する着
色マイクロカプセル分散型水性ジェットインク。
Description
セル分散型水性ジェットインクに関する。
性,耐光性,耐水性に優れた水性の顔料インクが過去に
様々に提案されている。例えばバインダー兼分散剤とし
て水溶性樹脂を用いてカ−ボンブラックや有機顔料を分
散させた樹脂溶解型の水性インクが各種提案されている
が,分散安定性やノズル目詰まりや記録媒体に印刷した
後の定着性・耐水性が問題であった。
型の水性インクは,ノズル目詰まりは比較的少なく,ま
た記録媒体に印刷した後の定着性・耐水性に優れるとい
う利点がある。具体的には,特開昭58−45272号
公報では染料を含有したウレタンポリマーラテックスを
含むインク組成物,特開昭62−95366号公報では
水不溶性有機溶媒中にポリマーと油性染料を溶解し,さ
らに表面活性剤を含む水溶液と混合して乳化させた後に
溶媒を蒸発してポリマー粒子中に内包された染料を含む
インクが提案され,特開昭62−254833号公報で
はカプセル化時の有機溶媒と水との間の界面張力を10
ダイン以下にすることによる着色料水性懸濁液の製造法
が提案され,特開平1−170672号公報では同様に
マクロカプセル化した色素を含有する記録液等が提案さ
れているが,それらで得られた着色樹脂分散物の分散安
定性は必ずしも十分ではなかった。
0−140065号公報では顔料をアニオン性基を含有
する有機高分子化合物類で被覆して成るアニオン性マイ
クロカプセル化顔料および水溶性のアニオン性界面活性
剤及び/又はHLB(親水親油バランス)価14以上の
非イオン性界面活性剤を含有する水性記録液が提案され
ていて,顔料分散安定性に優れているがピエゾ方式やサ
ーマルジェット方式での吐出安定性は必ずしも十分では
なかった。
表面張力の水性顔料インクとしては,特開昭57−90
070号公報では水溶性湿潤剤,着色剤,および水を主
成分とする水性ジェット印刷用インクにおいて,パーフ
ロロアルキルスルホン酸塩を添加してなるジェット印刷
用インクが,その他フッ素系界面活性剤を使用したイン
ク組成物としては特開平4−211478号公報や特開
平5−2304409号公報,特開平6−200200
号公報等があるが,着色剤が顔料の場合は,いずれも顔
料分散安定性や記録媒体に対する定着性が問題であっ
た。
する課題は,分散安定性に優れ,ノズル目詰まりが無
く,かつ安定したインクジェット吐出特性に優れた着色
マイクロカプセル分散型水性ジェットインクを提供する
ことにある。
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果,水、水溶性
有機溶剤、及び、少なくとも一部が塩基で中和された酸
価を有する皮膜形成性樹脂で被覆された顔料とから成
り,該皮膜形成性樹脂の特定範囲の酸価と,その一定範
囲の中和率相当の塩基量を含み,かつ特定の化学構造を
有する界面活性剤を組み合わせることにより上記した課
題を解決するに至った。水溶性有機溶剤の中には、浸透
剤や乾燥防止剤などが含まれる。
び、少なくとも一部が塩基で中和された酸価を有する皮
膜形成性樹脂で被覆された顔料とから成り,該皮膜形成
性樹脂の酸価が100以上180未満で,30〜100
モル%相当量の塩基量を含み,かつ未置換またはアルキ
ル基またはアルコキシル基で置換されたナフタレンスル
ホン酸塩からなるアニオン性界面活性剤及び/又はフッ
素系の界面活性剤を含有することを特徴とする着色マイ
クロカプセル分散型水性ジェットインク。
はアルキル基またはアルコキシル基で置換されたナフタ
レンスルホン酸塩からなるアニオン性界面活性剤は,着
色マイクロカプセルの顔料及び被覆樹脂に対して良好な
湿潤効果を示し,アルキル基またはアルコキシ基の炭素
数が2〜6で,ナフタレン骨格に対して1〜2置換の化
合物の時に,より優れた効果を示す。
に限定されるものではない。 化合物1 プロピル−ナフタレンスルホン酸カリウム 化合物2 ブチル−ナフタレンスルホン酸ナトリウム 化合物3 ジブチル−ナフタレンスルホン酸ナトリウム 化合物4 ヘキシル−ナルタレンジスルホン酸ナトリウ
ム
ン酸ナトリウム 化合物6 ブトキシ−ナフタレンスルホン酸カリウム 化合物7 ジブトキシ−ナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム 化合物8 ヘキシルオキシ−ナフタレンスルホン酸ナト
リウム
面活性剤は公知慣用のものが使用可能であるが,より好
ましくは,以下の一般式(A)及び/又は(B)を有す
る化合物である場合,着色マイクロカプセルの顔料及び
被覆樹脂に対して良好な湿潤効果を示すが,未置換また
はアルキル基またはアルコキシル基で置換されたナフタ
レンスルホン酸塩からなるアニオン性界面活性剤と組み
合わせた場合により安定したインクの吐出特性を示す。
一般式(A)の化合物(A)同士の混合あるいは一般式
(B)の化合物同士の混合、あるいは、一般式(A)の
化合物と一般式(B)の化合物との混合など、いずれの
場合も未置換またはアルキル基またはアルコキシル基で
置換されたナフタレンスルホン酸塩からなるアニオン性
界面活性剤と組み合わせると安定したインクの吐出特性
を示す。
またはアルキル基またはアルコキシル基で置換されたナ
フタレンスルホン酸塩からなるアニオン性界面活性剤と
フッ素系界面活性剤との組み合わせによって,一層優れ
たインクの吐出安定性が得られる。
それぞれ単独あるいは両方を併用する場合でも0.01
〜10質量%,より好ましくは0.1〜5質量%が好ま
しい。本発明において,顔料を被覆するのに用いる皮膜
形成性樹脂は,酸価が100以上180未満である。
尚,酸価とは,樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリ
ウム(KOH)のミリグラム(mg)数を言い,mg・
KOH/gで表す(以下,単位は略記する)。
はないが,重量平均分子量で,1万以上10万以下の分
子量範囲が好ましい。皮膜形成性樹脂の分子量が,1万
未満であると十分な皮膜形成がなされない場合が多く,
マイクロカプセル粒子同士の凝集等によりノズル目詰ま
りを生じやすくなるために不適当である。特に皮膜形成
性樹脂で顔料を十分に被覆するには,樹脂の分子量が1
万以上10万以下が好ましい。また、分子量が10万以
上になると溶解性などに問題が生じる。
レン系樹脂または(メタ)アクリル系樹脂であり,例え
ばスチレン,置換スチレン,(メタ)アクリル酸エステ
ルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマー
と,(メタ)アクリル酸との共重合体を塩基で少なくと
も一部中和した自己水分散性樹脂が挙げられる。(メ
タ)アクリル酸は,アクリル酸とメタアクリル酸の総称
であり,本発明では,いずれか一方が必須であればよい
が,より好適な皮膜形成性樹脂は,アクリル酸およびメ
タアクリル酸の両方に由来する構造を有しているもので
ある。
己水分散性樹脂は,スチレン,置換スチレン,(メタ)
アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも
一つのモノマーを主成分とし,アクリル酸とメタアクリ
ル酸との共重合体であって,メタアクリルがアクリル酸
より多く共重合された,塩基で少なくとも一部中和した
自己水分散性樹脂である。
己水分散性樹脂は、スチレンモノマーを主成分としアク
リル酸とメタアクリル酸との共重合体である。そのスチ
レン/アクリル酸/メタアクリル酸のモノマー質量比率
が69〜85%/5〜15%/10〜16%の範囲のも
のが最も好ましい。
分散可能にするには塩基を加えればよい。塩基として
は,例えば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化
リチウム等のアルカリ金属の水酸化物,アンモニア,ト
リエチルアミン,モルホリン等の塩基性物質の他,トリ
エタノールアミン,ジエタノールアミン,N−メチルジ
エタノールアミン等のアルコールアミンが使用可能であ
る。
い塩基を用いて中和を行なうと,インク中での皮膜形成
性樹脂の溶解度がより高まることから,塩基の強さや使
用量(中和率)を調節することが好ましい。インクジェ
ット記録においては,ノズルの目詰まりや保存時の分散
安定性,印刷物の耐水性に悪影響が極めて少ないため,
弱塩基であるアルコールアミン,特にトリエタノールア
ミンは最適な塩基である。
に対する中和率が,30モル%〜100モル%相当が望
ましい。中和率を30モル%相当以下になるとカプセル
化するときの粒径が大きくなり、分散も不安定となる。
100モル%以上になると微粒子化されるが樹脂が溶解
し、インクそのものの品質が低下する。さらに望ましく
は、中和率が40モル%〜60モル%相当量である。特
に好ましいのは,アリコールアミン、特にエタノールア
ミンを塩基として用いて,皮膜形成性樹脂の酸基に対す
る中和率が40〜60モル%相当量となるようにする
と,未置換またはアルキル基またはアルコキシル基で置
換されたナフタレンスルホン酸塩からなるアニオン性界
面活性剤及び/又はフッ素系の界面活性剤の併用によっ
て著しく優れたインク吐出安定効果が得られる。
ジェットインクに用いられる顔料は,特に限定されるも
のではなく,公知慣用のものがいずれも使用できるが,
例えばカーボンブラック,チタンブラック,チタンホワ
イト,硫化亜鉛,ベンガラ等の無機顔料や,フタロシア
ニン顔料,モノアゾ系,ジスアゾ系等のアゾ顔料,フタ
ロシアニン顔料,キナクリドン顔料等の有機顔料等が用
いられる。カラー画像を得る場合には,インクとして
は,有彩色顔料を用いるのが好ましい。
果を達成すれば特に規定されないが,最終的に得られる
インク中で,通常0.5〜20質量%となるように調製
するが好ましい。また、インクには,必要に応じて乾燥
防止剤や浸透剤として知られている水溶性有機溶剤を用
いることができる。
ル口でのインクの乾燥を防止する効果を与える特性であ
り,通常水の沸点以上の沸点を有するものが使用され
る。水溶性有機溶剤としては,従来知られている公知慣
用のものがいずれも使用できるが,例えばエチレングリ
コール,プロピレングリコール,ジエチレングリコー
ル,ジプロピレングリコール,ポリエチレングリコー
ル,ポリプロピレングリコール,グリセリン等の多価ア
ルコール類等がある。
表面の皮膜形成樹脂に強い水素結合により結びついてマ
イクロカプセル粒子の分散安定性をより高めると同時
に,仮にインク中に皮膜形成樹脂が少量溶解していたと
してもそれに対しても強い水素結合で結びつくことによ
って,ノズル端面での乾燥を防止するという点でより好
ましい。
80質量%の範囲が好適である。
録媒体上でのドット径の調整を行うものである。浸透剤
としては,例えばエタノール,イソプロピルアルコール
等の低級アルコール,エチレングリコールヘキシルエー
テルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキ
ルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレング
リコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプ
ロピレンオキシド付加物等がある。
ピレンオキシド1〜3モル付加物は,前述の未置換また
はアルキル基またはアルコキシル基で置換されたナフタ
レンスルホン酸塩からなるアニオン性界面活性剤とフッ
素系界面活性剤との組み合わせによって,より一層優れ
た湿潤性とインクの吐出安定性が得られる。
付加体
シド2モル付加体
〜10質量%の範囲が好適である。
ジェットインクを得る具体的な方法は,酸価を有する皮
膜形成樹脂を用いて顔料を被覆する場合には以下の方法
が好ましい。この方法によれば,水性媒体中に分散した
樹脂と顔料に由来する成分が,着色マイクロカプセルの
みからなり,皮膜形成性樹脂で被覆されていないフリー
の顔料粒子や,顔料を含まない皮膜形成性樹脂のみの粒
子や,溶解した皮膜形成性樹脂をいずれも全く含まない
か,含んでいても極めて極少量であるインクを容易に得
ることが可能である。また、本発明の水性インク組成物
中のフッ素系界面活性剤と上記未置換またはアルキル基
またはアルコキシル基で置換されたナフタレンスルホン
酸塩からなるアニオン性界面活性剤との組み合わせによ
って,一層優れたインクの吐出安定性が得られる。さら
に、湿潤剤として水溶性有機溶剤を加えると一層インク
の吐出安定性がます。
ジェトインクを得る方法は,例えば次の(1)〜(5)
をこの順に行なうことにより得られる。 (1)混練工程:酸価を有する皮膜形成性樹脂に,顔料
を分散して固形着色コンパウンドを得る。
ルやニーダーやビーズミル等の混練装置を用いて,溶液
や加熱溶融された状態で,顔料を,当該樹脂に均一に溶
解または分散させ,最終的に固体混練物(固形着色コン
パウンド)として取り出すことにより行なうことが出来
る。
合には,顔料を分散する手段として,従来知られている
分散方法のうち,相対的に高せん断力のかかる状態が形
成される分散手段,具体的には2本ロールを用いて高せ
ん断力下で分散を行うことが好ましい。
成性樹脂を溶解する有機溶剤,塩基,前記固形着色コン
パウンドを混合し,分散によって少なくとも当該樹脂の
一部が溶解している顔料懸濁液を得る。
樹脂に対して良溶媒として機能するものであり,有機溶
剤としては,当該樹脂に対して適宜選択することが出
来,例えばアセトン,ジメチルケトン,メチルエチルケ
トン等のケトン系溶剤,メタノール,エタノール,イソ
プロピルアルコール等のアルコール系溶剤,クロロホル
ム,塩化メチレン等の塩素系溶剤,ベンゼン,トルエン
等の芳香族系溶剤,酢酸エチルエステル等のエステル系
溶剤,エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレ
ングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル
系溶剤,など当該樹脂を溶解させるものであれば使用可
能である。
形成性樹脂に対しては貧溶媒として機能する水であり,
インクジェット記録用水性インクとして用いるため,イ
オン交換水以上の純度を有することが好ましい。
一であることが好ましく,均一でない場合は,必要に応
じて,界面活性剤を用いるか,あるいは機械的にO/W
型に乳化させるか,助溶剤を併用して均一化させて用い
ることが好ましい。界面活性剤は用いたとしても,最小
限に止めることが望ましい。
る当該樹脂を溶解する有機溶剤は,それのみを用いる様
にしてもよいが,それと水と塩基のみで,分散安定性に
優れた顔料懸濁液を得難い場合には,それに,当該樹脂
に対して親水性有機溶剤を,助溶剤として一部併用して
より良い乳化安定性を持たせる様にしてもよい。尚,当
該樹脂を溶解する有機溶剤及び助溶剤は,いずれも1種
又は2種以上を併用してもよい。
スチレン,(メタ)アクリル酸エステルからなる群から
選ばれる少なくとも一つのモノマーと,(メタ)アクリ
ル酸との共重合体の場合には,メチルエチルケトン等の
ケトン系溶剤を主として,助溶剤としてイソプロピルア
ルコール等のアルコール系溶剤から選ばれる少なくとも
1種類以上の組み合わせが良い。
ける効果を達成すれば特に規定されないが,水/有機溶
剤の重量比が10/1〜1/1となるような量が好まし
い。この工程により,固形着色コンパウンドの表面に存
在する,酸価を有する皮膜形成性樹脂は,徐々に,塩基
により,その酸価の少なくとも一部又は全部が中和さ
れ,当該コンパウンドの固体形状から,混合物は懸濁状
態となる。
知慣用の手法がいずれも採用でき,例えば従来の1軸の
プロペラ型の撹拌翼の他に,目的に応じた形状の撹拌翼
や撹拌容器を用いて,通常は,容易に懸濁可能である。
が働かない単なる混合撹拌では微粒子化しない場合や,
顔料が比較的凝集しやすい場合には,それに加えて更に
高せん断力を与えて微粒子の安定化を行っても良い。こ
の場合の分散機としては,例えば高圧ホモジナイザー
や,商品名マイクロフルイダイザーやナノマイザーで知
られるビーズレス分散装置等を用いるのが,顔料の再凝
集が少なく好ましい。
ている皮膜形成性樹脂成分を,顔料表面に沈着させてマ
イクロカプセルを得る。
濁液中の顔料表面に,当該懸濁液中に存在する溶解樹脂
成分及び分散樹脂成分を沈着させる工程である。本工程
の「再沈殿」とは,顔料,或いは当該溶解樹脂や分散樹
脂が顔料表面に吸着した半カプセル状態の粒子を懸濁液
の液媒体から,分離沈降させることを意味するものでは
ない。従って,この工程で得られるものは,固形成分と
液体成分とが明らか分離した単なる混合物ではなく,当
該溶解樹脂や分散樹脂が顔料表面に被覆したマイクロカ
プセルが懸濁液の液媒体に安定的に分散した着色樹脂粒
子(着色マイクロカプセル)水性分散液である。
プセル表面へ樹脂の沈着は,例えば,少なくとも一
部,当該皮膜形成性樹脂が溶解及び/又は分散している
顔料懸濁液に,当該樹脂に対して貧溶媒として機能する
水または水性媒体を加えて行なうか,及び/又は,顔
料懸濁液から有機溶剤を除去して行なうことによって容
易に行なうことが出来る。
対して貧溶媒として機能する水または水性媒体をさらに
加えて行う方法が,凝集物も少なく好ましい。再沈殿は
懸濁液を緩く撹拌しながら水または水性媒体を滴下する
ことによって,凝集物の発生を防止しながら顔料表面に
樹脂を確実に沈着(再沈殿)させることが可能となる。
懸濁工程(3)再沈殿工程によって,所望の粒子径の着
色樹脂粒子が得られるが,通常その平均粒子径範囲は,
0.01〜1μmである。
マイクロカプセル分散液からの低沸点有機溶剤の除去及
び/または濃縮 再沈殿工程で得られた着色樹脂粒子水分散液はそのまま
用いることもできるが,共存している有機溶剤の影響で
着色樹脂粒子が膨潤状態にある場合が多いため,保存安
定性をより向上させるためや,或いはより火災や公害に
対する安全性を高めるために,更に脱溶剤を行うことが
好ましい。
皮膜形成性樹脂で被覆された着色マイクロカプセルと,
分散媒のみから実質的になる。分散液中の着色マイクロ
カプセルの含有率は,それと分散媒の合計に対して,通
常,10〜40質量%とする。
ないか,或いはほとんど含まない,サブミクロンオーダ
ーの着色樹脂粒子水分散液は,そのままでも基本的にイ
ンクジェット記録用水性インクとして用いることが出来
るが,更に,分散安定性,噴射特性を考慮してインクの
調整を行うことが好ましい。また,粗大粒子によるノズ
ル目詰まり等を回避するために,通常は,(4)の脱溶
剤工程後に遠心分離やフィルターろ過により粗大粒子を
除去するか,(5)のインク工程でインク調整後に所望
の粒径のフィルターで濾過する。
や浸透剤の添加,濃度調整・粘度調整の他,pH調整
剤,本発明以外の界面活性剤,防腐剤,キレート剤,可
塑剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤等を必要に応じて添加
することができる。
ムの様な不浸透性以外のもの(浸透性被記録媒体)の場
合には,噴射安定性に影響を及ぼさない程度に,皮膜形
成性樹脂とは異なる,他の水溶性樹脂や水分散性樹脂を
添加することもできる。
含む水溶性有機溶剤及び界面活性剤及びその他の添加剤
類は,前述各工程のうち,最も高い効果を示す工程中で
の添加時期を選択すればよい。本発明の着色マイクロカ
プセル分散型水性ジェットインクは,例えばピエゾ方式
やサーマル方式やオンデマンド方式等の公知慣用のイン
クジェット記録方式のプリンターにおいて極めて安定し
たインク吐出を可能にする。
一部が塩基で中和された酸価を有する皮膜形成性樹脂で
被覆された顔料とから成り,該皮膜形成性樹脂の酸価が
100以上180未満で,30〜100モル%相当量の
塩基量を含み,かつ未置換またはアルキル基またはアル
コキシル基で置換されたナフタレンスルホン酸塩からな
るアニオン性界面活性剤及び/又はフッ素系の界面活性
剤を含有することを特徴とする着色マイクロカプセル分
散型水性ジェットインク。
一部がアルコールアミンで中和された酸価を有する被膜
形成性樹脂で被覆された顔料とから成り、該皮膜形成樹
脂の酸価が100以上180未満で、40〜60モル%
相当量のアルコールアミンを含み、未置換またはアルキ
ル基またはアルコキシル基で置換されたナフタレンスル
ホン酸塩からなるアニオン性界面剤及び/又はフッ素系
の界面活性剤を含有することを特徴とする着色マイクロ
カプセル分散型水性ジェットインク。
6のアルキル基またはアルコキシル基により1〜2置換
したナフタレンスルホン酸塩であることを特徴とする1
及び2記載の着色マイクロカプセル分散型水性ジェット
インク。
(A)及び/又は(B)を有する化合物であることを特
徴とする1.2及び3記載の着色マイクロカプセル分散
型水性ジェットインク。
ールのプロピレンオキシド1〜3モル付加体を含有する
ことを特徴とする1,2,3及び4記載の着色マイクロ
カプセル分散型水性ジェットインク。
ット記録用インクに適用した場合を例にして説明する
と,以下の通りである。
以上180未満を有する,重量平均分子量1〜10万の
皮膜形成性スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂
に,顔料を二本ロールを用いて分散して,固形着色コン
パウンドを得る。
機溶剤にメチルエチルケトンを主として,前記水とメチ
ルエチルケトンに対して助溶剤として機能する低沸点の
水溶性有機溶剤としてイソプロピルアルコールを併用し
て,塩基として前記皮膜形成性樹脂の酸基の30から1
00モル%相当量の中和率となる,前記皮膜形成性樹脂
を自己水分散性とするに足る量のアルコールアミン,乾
燥防止剤としてグリセリンを各々含む,水を主液媒体と
する溶液を調製し,それに,前記(1)の固形着色コン
パウンドのチップを混合し,撹拌によって顔料懸濁液を
得る。より好適には懸濁液を,高せん断力を与えること
が出来,より充分な懸濁状態が得られる分散機であるナ
ノマイザー(商標)を用いて,再凝集が無い様に,さら
に微粒子化を行う。
止剤であるグリセリンを含む水溶液を滴下し,顔料と皮
膜形成性樹脂に由来する成分が,実質的に平均粒子径
0.01以上1μm未満の着色樹脂粒子(着色マイクロ
カプセル)のみからなる水性分散液を得る。
ら,メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを留
去し,インクベースとする。
たはアルキル基またはアルコキシル基で置換されたナフ
タレンスルホン酸塩からなるアニオン性界面活性剤及び
/又はフッ素系の界面活性剤を加え加熱・減圧を行って
濃縮する。界面活性剤の使用量は、インクのなかで0.
01〜10質量%、望ましくは、0.1〜5質量%の範
囲である。
機溶剤やその他の薬剤と共に攪拌し,濃度・物性を調整
する。さらに、ろ過を行いインクジェット記録用水性イ
ンクとする。浸透剤や、乾燥防止剤などが含まれる水溶
性有機溶剤には、浸透剤の一つとして、炭素数2〜4の
低級アルコールのプロピレンオキシド1〜3モル付加体
を用いることいが望ましく、使用する量はインクのなか
で0.1〜10質量%の範囲が望ましい。乾燥防止剤と
しては、グリセリンなどが好ましく、その添加量は、最
終的には、インクに対し1〜80質量%の範囲が望まし
い。
具体的に説明する。尚,以下の実施例中における「部」
は『質量部』を表わす。
スチレン−アクリル酸−メタアクリル酸樹脂(スチレン
/アクリル酸/メタアクリル酸=77/10/13;分
子量5万・酸価160)4.3部の二本ロール混練物
8.6部を,水29.5部,グリセリン2.6部,トリ
エタノールアミン0.9部(樹脂の酸価の48モル%中
和率相当量),メチルエチルケトン9.6部,イソプロ
ピルアルコール4.3部の混合溶液に入れ,室温で3時
間撹拌し,更に分散機ナノマイザー(ナノマイザー社
製)を用いて圧力98MPaで分散処理を行い,顔料懸
濁液を得た。
ら,グリセリン3.6部と水40.9部の混合液を毎分
5mlの速度で滴下し,マゼンタ色着色樹脂粒子水分散
液を得た。得られたカプセル液をロータリーエバポレー
ターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコ
ール及び水の一部を留去し,最終のマゼンタ色着色樹脂
粒子水分散液(顔料濃度13質量%)を得た。
スルホン酸塩:化合物3を0.2部,フッ素系の界面活
性剤:化合物9を0.2部加え,70℃30hPaで濃
縮を行い濃縮ベース(顔料濃度15質量%)27部を得
た。
0部,アルキルナフタレンスルホン酸塩:化合物3を
1.5部,プロパノールのプロピレンオキシド付加体:
化合物14を5部,水を46.5部加え,撹拌した後,
0.5μmフィルターを用いてろ過を行い,インクジェ
ット記録用水性インクとした。
は、0.15μmの平均粒子径を有しており、そのpH
は8.0あった。
集物もなく安定な分散を示し,ノズル目詰まりも無かっ
た。サーマル方式インクジェットプリンター(ノバジェ
ットプロ)を用いた印字は安定しており,得られた印刷
物は滲みもなく鮮やかなマゼンタ色を示し,しかも印刷
直後の記録紙を精製水に24時間浸漬した後の印刷濃度
は印刷直後の濃度と全く変化がなかった。
に化合物12及び13の混合物を用いてインクジェット
記録用水性インクを製造した。
は、0.15μmの平均粒子径を有しており、そのpH
は8.0あった。
集物も無く安定な分散を示し、ノズル目詰まりも無かっ
た。サーマル式インクジェットプリンター(ノバジェッ
トプロ)を用いた印字は安定しており、得られた印刷物
は、滲みもなく、鮮やかなマゼンタ色を示し、しかも印
刷直後の記録紙を精製水に24時間浸漬した後の印刷濃
度は、印刷直後の濃度と全く変化が無かった。
着色樹脂粒子水分散液(顔料濃度13質量%)にグリセ
リン20部,エタノール5部を加え,インク中の着色マ
イクロカプセルの顔料換算が実施例1と同じになるよう
に水で調整・撹拌した後,0.5μmフィルターを用い
てろ過を行い,インクジェット記録用水性インクとし
た。
は0.15μmの平均粒子径を有しており、そのpHは
8.4であった。このインクは,室温で1年間の保管後
に僅かに凝集物を生じノズル目詰まりを起こしやすく,
サーマル式インクジェットプリンター(ノバジェットプ
ロ)を用いた印字は,不安定で短時間でかすれを生じ
た。
分散安定性が良く、ノズル目詰まりが無く、インクの吐
出安定性が極めて良好であった。印字も鮮明になされ
た。
なくとも一部が塩基で中和された酸価を有する皮膜形成
性樹脂で被覆された顔料とから成り,該被膜形成性樹脂
の酸価が100以上180未満で,その30〜100モ
ル%相当量の塩基量を含み,かつ未置換またはアルキル
基またはアルコキシル基で置換されたナフタレンスルホ
ン酸塩からなるアニオン性界面活性剤及び/又はフッ素
系の界面活性剤を含有するマイクロカプセル分散型水性
ジェットインクである。本発明のインクは,分散安定性
に優れ,ノズル目詰まりもなく,かつインクの吐出安定
性に優れるという格別顕著な技術的効果を奏する。
Claims (5)
- 【請求項1】水、水溶性有機溶剤、及び、少なくとも一
部が塩基で中和された酸価を有する皮膜形成性樹脂で被
覆された顔料とから成り,該皮膜形成性樹脂の酸価が1
00以上180未満で,30〜100モル%相当量の塩
基量を含み,かつ未置換またはアルキル基またはアルコ
キシル基で置換されたナフタレンスルホン酸塩からなる
アニオン性界面活性剤及び/又はフッ素系の界面活性剤
を含有することを特徴とする着色マイクロカプセル分散
型水性ジェットインク。 - 【請求項2】水、水溶性有機溶剤、及び、少なくとも一
部がアルコールアミンで中和された酸価を有する被膜形
成性樹脂で被覆された顔料とから成り、該皮膜形成樹脂
の酸価が100以上180未満で、40〜60モル%相
当量のアルコールアミンを含み、未置換またはアルキル
基またはアルコキシル基で置換されたナフタレンスルホ
ン酸塩からなるアニオン性界面剤及び又はフッ素系の界
面活性剤を含有することを特徴とする着色マイクロカプ
セル分散型水性ジェットインク。 - 【請求項3】 アニオン性界面活性剤が炭素数が2〜6
のアルキル基またはアルコキシル基により1〜2置換し
たナフタレンスルホン酸塩であることを特徴とする請求
項1及び請求項2記載の着色マイクロカプセル分散型水
性ジェットインク。 - 【請求項4】 フッ素系界面活性剤が以下の一般式
(A)及び/又は(B)を有する化合物であることを特
徴とする請求項1、請求項2、及び請求項3記載の着色
マイクロカプセル分散型水性ジェットインク。 フッ素系界面活性剤:一般式(A) 【化1】 m=1〜6,n=4〜12、r=1〜20 フッ素系界面活性剤:一般式(B) 【化2】 m=3〜20、n=4〜12 - 【請求項5】 水溶性有機溶剤として,炭素数2〜4の
低級アルコールのプロピレンオキシド1〜3モル付加体
を含有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求
項3、及び請求項4記載の着色マイクロカプセル分散型
水性ジェットインク。
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JP14141799A JP2000327968A (ja) | 1999-05-21 | 1999-05-21 | 着色マイクロカプセル分散型水性ジェットインク |
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- 1999-05-21 JP JP14141799A patent/JP2000327968A/ja active Pending
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