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JP2000315311A - 垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置

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Publication number
JP2000315311A
JP2000315311A JP11125916A JP12591699A JP2000315311A JP 2000315311 A JP2000315311 A JP 2000315311A JP 11125916 A JP11125916 A JP 11125916A JP 12591699 A JP12591699 A JP 12591699A JP 2000315311 A JP2000315311 A JP 2000315311A
Authority
JP
Japan
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magnetic
magnetization
medium
film
recording medium
Prior art date
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Pending
Application number
JP11125916A
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English (en)
Inventor
Yukio Honda
幸雄 本多
Yoshiyuki Hirayama
義幸 平山
Atsushi Kikukawa
敦 菊川
Masaaki Futamoto
正昭 二本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 媒体表面に形成される不規則構造の磁区の低
減、もしくは磁区構造の微細化を図ることにより、優れ
た低ノイズ特性と記録磁化の安定性を有し超高密度磁気
記録に好適な垂直磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 磁化と磁界が正の第一象限と磁化が正で
磁界が負の第二象限における媒体の膜面垂直方向の磁化
−磁界曲線の第二象限の保磁力(−Hc)点を通る接線
と、磁化−磁界曲線の飽和磁化(Ms)から磁界軸に平
行に引いた直線との交点における磁界の強さをdHcと
するとき、第二象限の保磁力(−Hc)とdHcとが関
係式0<(Hc+dHc)/Hc≦1.6を満たす媒体
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生ノイズが小さ
く、記録磁化の安定性に優れた超高密度磁気記録に好適
な垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、実用的に用いられている磁気記録
方式は、磁気記録媒体面に平行に、かつ磁極のN極とN
極、S極とS極を互いに突き合わせる方向に磁化して磁
気記録を行う面内磁気記録方式である。面内磁気記録に
おいて線記録密度を向上するには、記録時の反磁界の影
響を減少するために記録媒体である磁性膜の残留磁化
(Br)と磁性膜厚(t)の積(Br・t)を小さく
し、保磁力を増大する必要がある。また磁化遷移から発
生する媒体ノイズを減少するために、磁性膜の磁化容易
軸を基板面に平行に配向させると共に、結晶粒径の制御
が必要である。磁性薄膜の結晶配向性や粒径を制御する
ために、基板と磁性膜の間に構造制御用の下地層を形成
する。
【0003】面内磁化膜としては、Coを主成分とし、
これにCr,Ta,Pt,Rh,Pd,Ti,Ni,N
b,Hfなどを添加したCo合金薄膜が用いられる。磁
性薄膜を構成するCo合金は、主として六方稠密格子構
造(以下、hcp構造という)の材料を用いる。この結
晶のc軸は<00.1>方向に磁化容易軸を持ち、この
磁化容易軸を面内方向に配向させる。磁性薄膜の結晶配
向性や粒径を制御するために、基板と磁性膜の間に構造
制御用の下地層を形成する。下地層としては、Crを主
成分とし、これにTi,Mo,V,W,Pt,Pdなど
を添加した材料を用いる。磁性薄膜は真空蒸着法やスパ
ッタリング法により形成する。
【0004】前記したように、面内磁気記録において媒
体ノイズを小さくし線記録密度を向上するには、磁性膜
の残留磁化Brと磁性膜厚tの積Br・tを小さくする
必要があり、このために磁性膜の膜厚を20nm以下ま
で薄くし、結晶粒を微細化することが検討されている。
しかし、このような磁性結晶粒を微細化した媒体では、
熱揺らぎにより記録磁化が減少する極めて重大な問題が
あり、高密度記録の障害となっている。
【0005】一方、垂直磁気記録方式は、記録媒体面に
垂直に、かつ隣り合う記録ビットが互いに反平行になる
ように磁区を形成する記録方式であり、記録ビットの境
界での反磁界が小さくなり高密度記録ほど磁化が安定に
保たれ易い利点があり、高密度磁気記録の有力な手段の
一つである。面内磁気記録による高密度記録のために
は、前記したように磁性膜の厚さを20nm以下にし、
磁性結晶粒径の微細化と均一化をする必要があるが、こ
の場合、熱的緩和により記録磁化が消失する問題があ
る。これに対して垂直磁気記録では、面内磁気記録に比
べて磁性膜厚を厚くでき、記録磁化を安定に保持できる
利点がある。垂直磁気記録により線記録密度を向上する
ためには、記録ビット内部及び磁化遷移に形成される不
規則構造の磁区から発生する媒体ノイズを減少すること
が必要である。このためには、磁性膜の磁化容易軸を基
板面に垂直に配向させると共に、磁化容易軸の配向分散
を小さくし、結晶粒径の制御が必要である。
【0006】垂直磁化膜としては、Coを主成分とし、
これにCr,Ta,Pt,Rh,Pd,Ti,Ni,N
b,Hfなどを添加したCo合金薄膜が用いられる。磁
性薄膜を構成するCo合金は、主としてhcp構造の材
料を用いる。Co合金薄膜は、この結晶のc軸、<0
0.1>方向に磁化容易軸を持ち、この磁化容易軸を垂
直方向に配向させる。磁性薄膜は、真空蒸着法やスパッ
タリング法により形成する。
【0007】磁気記録したときの線記録密度や再生出力
を向上し、再生ノイズを減少させて磁気記録特性を向上
するために、上記のCo合金薄膜のc軸の垂直配向性を
向上すると共に、結晶粒径の制御が必要であり、このた
めに基板と磁性膜の間に構造制御用の下地層を形成する
などの改善策が従来から行われている。また、IEEE Tra
ns. Magnetics, MAG-15, 1456 (1979)の“複合異方性膜
による垂直磁気記録(Perpendicular Magnetic Recordi
ng with Composite Anisotropy Film)”と題する論文
には、垂直磁気記録における記録効率向上と再生出力を
向上する目的から、垂直化膜の下層にパーマロイなどの
軟磁性膜を設ける方法が記載されている。
【0008】しかしながら、垂直磁気記録により特に1
0Gb/in2以上の超高密度磁気記録を実現するに
は、線記録密度の向上の他に再生信号に含まれるノイ
ズ、特に媒体の微細構造に起因する媒体ノイズの低減と
記録磁化を安定に保つことが重要である。このためには
磁性薄膜の結晶配向、結晶粒径制御に加えてより高度な
薄膜構造の制御が必要である。媒体ノイズの低減のため
に、例えば、Journal of The Magnetic Society of Jap
an Vol.21, Supplement, No.S2(1997)“Proceedingof T
he Fourth Perpendicular Magnetic Recording Confere
nce’97”に記述されたように、従来様々の改良が試み
られている。例えば、(1)磁性粒子間の磁気的相互作
用を小さくするためにCoCr系合金中の非磁性Crを
結晶粒界や粒内に偏析させる方法、(2)スパッタリン
グガス圧力を制御することにより磁性粒子を形態的に孤
立させる方法などである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】垂直記録により10G
b/in2以上の超高密度磁気記録を実現するために
は、媒体ノイズの低減に加えて熱緩和による記録磁化の
安定性を確保する必要がある。上記の従来技術による媒
体構造の改良により媒体ノイズの低減が促進されたが、
特に垂直磁気記録における媒体ノイズの起源であるとこ
ろの、磁化方向と逆向きに形成される逆磁区、あるいは
磁化方向に対して傾斜した磁区及びこれに伴う不規則磁
区を低減する効果は十分に得られていない。 本発明の
目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、基板上に形
成する磁性薄膜の磁気異方性や結晶配向を制御すること
によって、特に磁気異方性の分散を小さくし、磁気記録
したとき媒体表面に形成される不規則構造の磁区の低
減、もしくは磁区構造の微細化を図ることにより、優れ
た低ノイズ特性と記録磁化の安定性を有し超高密度磁気
記録に好適な垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の垂直磁気記録媒
体は、基板上にCoを主成分とするhcp構造のCo基
合金薄膜からなる垂直磁化膜を設け、図1に示すよう
に、磁化と磁界が正の第一象限と磁化が正で磁界が負の
第二象限における媒体の膜面垂直方向の磁化−磁界曲線
の第二象限の保磁力(−Hc)点を通る接線と、磁化−
磁界曲線の飽和磁化(Ms)から磁界軸に平行に引いた
直線との交点における磁界の強さをdHcとするとき、
第二象限の保磁力(−Hc)とdHcとが関係式0<
(Hc+dHc)/Hc≦1.6を満たすことを特徴と
する。この関係式においてHcは正の値である。また、
dHcは正の値となることも負の値となることもある。
磁化−磁界曲線は、振動試料型磁力計(VSM)やカー
効果型磁力計で測定する。
【0011】このような垂直磁気記録媒体を用いること
により、膜面垂直方向の角型比(残留磁化と飽和磁化の
比:Mr/Ms)が大きく、磁気記録したときの再生信
号出力を向上することができ、また記録磁化を長時間安
定に保持できる。媒体を膜面垂直方向に一様に初期磁化
したのち初期磁化の向きと逆向きに1kOe(キロエル
ステッド)の磁界を印加した後の残留磁化状態での媒体
表面の磁化領域において、初期磁化の向きと逆向きの磁
化成分を有する不規則磁区の平均面積が5×10-3μm
2以下であることが好ましい。
【0012】また、媒体を膜面垂直方向に一様に初期磁
化したのち初期磁化の向きと逆向きに1kOeの磁界を
印加した後の残留磁化状態での媒体表面の磁化領域にお
いて、初期磁化の向きと逆向きの磁化成分を有する不規
則磁区と同じ面積を有する円に換算して得られる磁区の
直径が10〜100nmの範囲であり、不規則磁区の平
均直径が80nm以下であることが好ましい。
【0013】更に、媒体を膜面垂直方向に一様に初期磁
化したのち初期磁化の向きと逆向きに1kOeの磁界を
印加した後の残留磁化状態での媒体表面の磁化領域にお
いて、初期磁化の向きと逆向きの磁化成分を有する不規
則磁区の平均面積が5×10-3μm2以下であり、不規
則磁区と同じ面積を有する円に換算して得られる磁区の
直径が10〜100nmの範囲であり、不規則磁区の平
均直径が80nm以下であって、媒体表面の磁化領域に
おける不規則磁区の面積の占める割合が20%以下であ
ることが好ましい。
【0014】前記残留磁化状態における不規則磁区の平
均面積を5×10-3μm2以下とし、不規則磁区と同じ
面積を有する円に換算して得られる磁区の直径を10〜
100nmの範囲とし、不規則磁区の平均直径を80n
m以下とすることにより、媒体ノイズの小さい超高密度
磁気記録に好適な垂直磁気記録媒体を提供できる。本明
細書では、垂直磁気記録媒体を膜面垂直方向に一様に磁
化した残留磁化状態、もしくは磁気記録した状態におい
て、媒体表面に本来の磁化方向と逆向きの磁化成分を有
する磁化領域を不規則磁区と定義する。垂直磁気記録媒
体における不規則磁区の構造は、媒体表面におけるスピ
ンの向きを検出する手段(例えば、走査型スピン電子顕
微鏡、通称スピンSEM)や垂直磁気記録媒体表面から
0〜20nmの領域の漏洩磁界分布を検出する手段(例
えば、磁気力顕微鏡:MFM、ビッター法など)、ある
いはカー効果もしくはファラデー効果を用いる方法(例
えば、偏光顕微鏡)などのいずれかで計測する。
【0015】本発明の垂直磁気記録媒体は、基板上に磁
性膜の構造制御層を少なくとも1層設け、構造制御層の
上に垂直磁化膜を形成した構造とすることができる。本
発明の垂直磁気記録媒体は、また、基板上に軟磁性材料
からなる記録補助層を設け、記録補助層の上に垂直磁化
膜を形成した構造とすることができる。記録補助層と垂
直磁化膜の間に1層以上の非磁性中間層を設けてもよ
い。また、基板と記録補助層の間に保磁力が100〜3
000Oeの範囲の磁化固定層を設けてもよい。
【0016】本発明による磁気記憶装置は、磁気記録媒
体と、磁気記録媒体を駆動する磁気記録媒体駆動部と、
磁気記録媒体に対して記録及び再生を行う磁気ヘッド
と、磁気ヘッドを駆動する磁気ヘッド駆動部と、磁気ヘ
ッドの記録信号及び再生信号を処理する記録再生信号処
理系とを備える磁気記憶装置において、磁気記録媒体と
して前述のいずれかの垂直磁気記録媒体を用いたことを
特徴とする。情報記録用の磁気ヘッドとしては、リング
型磁気ヘッドもしくは単磁極型磁気ヘッドを用いること
ができ、信号再生用の磁気ヘッドとしては、磁気抵抗効
果型磁気ヘッド、スピンバルブ型磁気ヘッドもしくは磁
気トンネル型磁気ヘッドを用いることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の
実施の形態を説明する。理解を容易にするために、以下
の図において同じ性能特性を有する部分には同一の符号
を付して示した。
【0018】(実施の形態1)図2(a)〜(c)に断
面構造を模式的に示す垂直磁気記録媒体A〜Fを作製し
た。基板11は各媒体A〜Fに共通であり、ここでは表
面に熱酸化Si膜を形成した円盤状のSiディスクを用
いた例で説明するが、Siディスクに代えてガラス基
板、NiP被覆アルミニウム基板、カーボン基板、ある
いは高分子基板などを用いても同様の結果が得られた。
本実施の形態では、高真空DCマグネトロンスパッタリ
ング装置により媒体を作製した。洗浄した基板11をス
パッタリング装置に設置し、続いて基板11を約250
℃に加熱した。
【0019】最初に、垂直磁化膜としてCoを主成分と
するhcp(六方稠密構造)構造のCo−16at%C
r−4at%Ta系の磁性膜を用いた垂直磁気記録媒体
A〜Cを作製した。本実施の形態では、Co−16at
%Cr−4at%Ta合金磁性膜を用いた。媒体Aは、
図2(a)の断面模式図に示すように、基板11上に直
接垂直磁化膜12を形成した。垂直磁化膜12は、膜厚
30nmのCo−16at%Cr−4at%Ta合金磁
性膜とした。この垂直磁化膜12の上に、同一真空中で
膜厚5nmのカーボン保護膜13を形成した。
【0020】媒体Bは、図2(b)の断面模式図に示す
ように、基板11上に磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の
制御行うための第1下地層14を形成した。第1下地層
14として、膜厚30nmのTi−10at%Cr合金
を用いた。この第1下地層上に引き続き同一真空中で記
録膜となる垂直磁化膜12、保護膜13を順次形成し
た。垂直磁化膜12、保護膜13の材料、膜厚は媒体A
と同じとした。
【0021】媒体Cは、図2(c)の断面模式図に示す
ように、基板11上に磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の
制御行うため2層の下地層を設けた。すなわち第1下地
層(膜厚30nmのTi−10at%Cr合金)14の
上に、膜厚20nmの第2下地層15を形成した。第2
下地層15として、非磁性のCo−35at%Cr合金
を用いた。この第2下地層15の上に引き続き同一真空
中で記録膜となる垂直磁化膜12、保護膜13を順次形
成した。垂直磁化膜12、保護膜13の材料、膜厚は媒
体Aと同じとした。
【0022】次に、垂直磁化膜としてCo−Cr−Pt
−Ta系の磁性膜を用いた垂直磁気記録媒体D〜Fを作
製した。本実施の形態では、Co−17at%Cr−1
0at%Pt−3at%Ta合金磁性膜を用いた。媒体
Dは、図2(a)の断面模式図に示すように、基板11
上に直接垂直磁化膜12を形成した。垂直磁化膜12と
して、膜厚30nmのCo−17at%Cr−10at
%Pt−3at%Ta合金磁性膜を用いた。この垂直磁
化膜12の上に、同一真空中で膜厚5nmのカーボン保
護膜13を形成した。
【0023】媒体Eは、図2(b)の断面模式図に示す
ように、基板11上に磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の
制御行うため膜厚30nmの第1下地層14を形成し
た。第1下地層14としてTi−10at%Cr合金を
用いた。この第1下地層14上に、引き続き同一真空中
で記録膜となる垂直磁化膜12、保護膜13を順次形成
した。垂直磁化膜12、保護膜13の材料、膜厚は媒体
Dと同じとした。
【0024】媒体Fは、図2(c)の断面模式図に示す
ように、基板11上に磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の
制御行うため2層の下地層を設けた。すなわち第1下地
層(膜厚30nmのTi−10at%Cr合金)14の
上に、膜厚20nmの第2下地層15を形成した。第2
下地層15として、非磁性のCo−20at%Cr−1
0at%Ru合金を用いた。この第2下地層15の上
に、引き続き同一真空中で記録膜となる垂直磁化膜1
2、保護膜13を順次形成した。垂直磁化膜12、保護
膜13の材料、膜厚は媒体Dと同じとした。
【0025】媒体B,C,E,Fにおける下地層は、こ
の上に形成する磁性膜の結晶配向性、粒径及び磁性膜中
の組成偏析構造を制御する役割を担い、下地層としては
非磁性あるいは常磁性合金からなる非晶質膜あるいは微
結晶粒膜を用いるのが望ましい。下地層は、この上に形
成する磁性膜の種類により選択することができ、また下
地層は、同一材料もしくは異種の材料からなる層を複数
層積層して用いることができる。磁性膜としてCoを主
成分とするhcp構造の材料を用いる場合、下地層は最
も一般的にはTi,Co,Hfなどのhcp構造の材料
を主成分とし、これにCr,Al,Cu,Ir,Hf,
Mn,Mo,Nb,Rh,Re,Ru,Ta,V,W,
Zr,Tiなどを添加した材料からなる多結晶膜や微結
晶膜又は非晶質状膜、あるいはSi,Ge,Ta,Hf
を始めとする非晶質状膜を選択することが可能である。
【0026】第1下地層14としては、具体例として述
べたTi−Cr以外にも、Ti,Co,Hfなどの材料
を主成分とし、これにCr,Al,Cu,Ir,Hf,
Mn,Mo,Nb,Rh,Re,Ru,Ta,V,W,
Zr,Tiなどを添加した材料からなるhcp構造の微
結晶膜あるいはSi,Ge,Ta,Hfを始めとする非
晶質状膜を用いることができ、非磁性材料が望ましい。
また、第2下地層15は、この上に形成する磁性膜のエ
ピタキシャル成長を促進する効果があり、具体例として
述べた材料以外にも、Ti,Co,Hfなどの材料を主
成分とし、これにCr,Al,Cu,Ir,Hf,M
n,Mo,Nb,Rh,Re,Ru,Ta,V,W,Z
r,Tiなどを添加した材料からなる非磁性あるいは常
磁性合金からなる薄膜を用いることができる。
【0027】上記の媒体A〜Fのいずれもhcp構造を
有し、結晶の<002>方位が基板面に垂直方向に配向
していた。上記媒体の断面構造を透過電子顕微鏡(TE
M)で観察した結果、いずれも磁性膜と下地層はエピタ
キシャル的に成長していることが確認された。前記Co
−Cr−Ta系垂直磁化膜を用いた媒体A,B,C、及
びCo−Cr−Pt−Ta系垂直磁化膜を用いた媒体
D,E,Fについて、振動試料型磁力計(VSM)を用
いて図1に示すように、磁化と磁界が正の第一象限と磁
化が正で磁界が負の第二象限において媒体の膜面垂直方
向の磁化−磁界曲線aを測定した。そして、磁化−磁界
曲線aの第二象限の保磁力(−Hc)点を通る接線b
と、磁化−磁界曲線の飽和磁化(Ms)から磁界軸に平
行に外挿した直線cとの交点dにおける磁界の強さをd
Hcとし、各々の媒体に対して、次の〔数1〕で表され
る値を測定した。
【0028】
【数1】(Hc+dHc)/Hc 上記〔数1〕において、Hcは正の数である。一方、d
Hcは正の値となる場合も、負の値となる場合もある。
【0029】図3は、残留磁化の減衰率及び磁気記録し
た再生信号強度の減衰率と(Hc+dHc)/Hcの値
との関係を示す。残留磁化の減衰率は、VSMにより膜
面垂直方向に15kOeの磁界を印加した後、徐々に印
加磁界を低下させ、磁界ゼロにおける磁化の強さ(残留
磁化)の状態に維持し、1000秒経過した後の残留磁
化の初期値に対する割合で示した。また、磁気記録信号
の減衰率は、線記録密度40kFCIで磁気記録し、1
000秒経過した後の再生出力の初期値に対する割合で
示した。ここで記録磁化の安定性評価を残留磁化や低線
記録密度状態で実施したのは、垂直磁気記録ではこの様
な条件が反磁界の影響を受けやすく、最も厳しい評価と
なるからである。図から、(Hc+dHc)/Hcの値
が小さくなると共に、残留磁化や磁気記録した再生出力
の経時変化が少なくなり、磁化が安定に保たれ易いこと
が分かる。特に、垂直磁気記録において反磁界の影響に
より磁化の安定性を維持するのに最も厳しい残留磁化状
態において、(Hc+dHc)/Hcの値を1.6以下
とすることにより残留磁化の減衰率を10%以下にでき
ることが明らかである。
【0030】前記Co−Cr−Ta系垂直磁化膜を用い
た媒体A,B,C、及びCo−Cr−Pt−Ta系垂直
磁化膜を用いた媒体D,E,Fについて振動試料型磁力
計(VSM)により図1のごとく膜面垂直方向に15k
Oeの磁界を印加した後、徐々に印加磁界を低下させ磁
界ゼロにおける磁化の強さ(残留磁化)の状態に維持し
た後、更に前記残留磁化を減ずる方向に1kOeの磁界
を印加した後、再び磁界ゼロの条件における磁化状態を
磁気力顕微鏡(MFM:Magnetic Force Microscope)
により観察した。ここで残留磁化を減ずる方向に1kO
eの磁界を印加したのは、例えばリング型磁気ヘッドで
磁気記録する際、隣接ビットを記録する過程で先に記録
した記録ビットに逆向きの磁界が印加される可能性を想
定したものである。
【0031】図4は、一例としてCo−Cr−Ta系垂
直磁化膜を用いた媒体C(図4(a))と媒体A(図4
(b))の磁化状態を比較したものである。この磁化状
態図において、白い領域21は着磁方向の磁化を有する
領域、一方、黒い領域22は前記の着磁方向と逆向きの
磁化成分を有する磁化領域、すなわち不規則磁区を表し
ている。これら不規則磁区の大きさが小さい程、また単
位面積当たりの不規則磁区の割合が小さい程、磁気ヘッ
ドによる再生ノイズを低減することができる。(Hc+
dHc)/Hcの値が小さい媒体Cは、媒体Aに比べて
媒体表面における不規則磁区が小さく、またその割合も
小さい。
【0032】図4のごとく、上記の各々の媒体の磁化状
態を観察し、媒体に形成された個々の不規則磁区の大き
さ(面積)を測定した。さらに前記の不規則磁区と同じ
面積を有する円に近似することにより、不規則磁区の直
径を評価し比較した。なお、本実施の形態では磁気力顕
微鏡(MFM)観察により磁区構造の評価を行ったが、
この他の観察手段、例えば磁気記録媒体表面のスピンの
向きを検出する手段(例えば、スピン偏極走査電子顕微
鏡)、偏光角の大きさを検出する手段(例えば、偏向顕
微鏡)、あるいは磁気記録媒体表面の漏洩磁界の強度も
しくは漏洩磁界の勾配を検出する手段(例えば、磁気力
顕微鏡)、磁気記録媒体表面に磁性微粒子を付着せしめ
て評価する手段(例えば、ビッター法)などを用いて評
価することもできる。
【0033】図5に、媒体A〜Fに対して、図4に示し
たような磁化状態観察結果を元に、不規則磁区のサイズ
と不規則磁区の積算強度比を測定した結果を示す。図の
横軸は不規則磁区の面積、及び不規則磁区をそれと同じ
面積を有する円に換算したときの不規則磁区の直径であ
る。縦軸の積算強度比は、不規則磁区の面積を小さい順
に順次積算した値の全不規則磁区面積に対する割合であ
る。
【0034】図5から明らかなように、Co−Cr−T
a系媒体、Co−Cr−Pt−Ta系媒体のいずれにお
いても(Hc+dHc)/Hcが小さくなると不規則磁
区の平均直径(積算強度比が50%になる不規則磁区の
直径)が小さくなり、特に(Hc+dHc)/Hc≦
1.6の媒体では不規則磁区の平均直径を80nm以下
に小さくでき、媒体ノイズを低減できる。更に望ましく
は、媒体Cや媒体Fのごとく媒体表面の磁化領域におけ
る不規則磁区の直径の分布を10〜100nmと微細化
することにより、10Gb/in2以上の超高密度記録
に適した媒体を提供できる。ここで、0<(Hc+dH
c)/Hc≦1.6を満たす媒体C,E,Fは、不規則
磁区の割合が20%以下であった。
【0035】磁気ヘッドは媒体表面から20〜60nm
離れた領域を走行して使用され、媒体表面から発生した
漏洩磁界を検出し、再生信号とする。この場合、媒体表
面の磁区が大きいほど、媒体表面からより遠くまで漏洩
磁界が分布するため磁気ヘッドによる検出効率が高くな
る。すなわち、小さな磁区は、大きな磁区に比べて磁気
ヘッドで再生する際のスペーシングロスやギャップロス
が大きく、検出されにくい。従って、媒体表面に形成さ
れる不規則磁区を小さくすることにより、またその割合
が小さいほど磁気ヘッドで信号検出するときの媒体ノイ
ズを小さくできる。
【0036】(実施の形態2)図6(a)〜(c)に断
面構造を模式的に示す垂直磁気記録媒体G〜Iを作製し
た。基板11は各媒体G〜Iに共通であり、ここではガ
ラス基板を用いた例により説明する。本実施の形態で
は、高真空DCマグネトロンスパッタリング装置により
媒体を作製した。洗浄した基板11をスパッタリング装
置の予備排気室に設置し、約200℃で30分間予備加
熱した。続いて基板11をスパッタリング室に移動し、
膜厚500nmの記録補助層16を形成した。記録補助
層16は、軟磁性膜からなりNi−Fe系パーマロイ、
センダスト、CoNbZr合金などの非晶質合金などを
用いることができる。本実施の形態では、記録補助層1
6としてCo−11at%Nb−5at%Zr非晶質合
金を用いた例で説明する。
【0037】媒体Gは、図6(a)の断面模式図に示す
ように、記録補助層16の上に基板温度約250℃にお
いて直接垂直磁化膜12を形成した。垂直磁化膜12と
しては、Coを主成分とするhcp構造の材料であるC
o−18at%Cr−3at%Ta合金膜を膜厚30n
mに形成した。この垂直磁化膜12の上に、同一真空中
で膜厚5nmのカーボン保護膜13を形成した。
【0038】媒体Hは、図6(b)の断面模式図に示す
ように、前記記録補助層16の上に基板温度約250℃
において磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の制御を行うた
めの第1下地層14を形成した。第1下地層14には膜
厚20nmのHfを用いた。この第1下地層14上に、
引き続き同一真空中で記録膜となる垂直磁化膜12、保
護膜13を順次形成した。垂直磁化膜12、保護膜13
の材料、膜厚は媒体Gと同じとした。
【0039】媒体Iは、図6(c)の断面模式図に示す
ように、前記記録補助層16の上に基板温度約250℃
において磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の制御行うため
の2層の下地層を設けた。すなわち第1下地層(Hf)
14の上に、第2下地層15を形成した。第1下地層1
4、第2下地層15の膜厚はそれぞれ10nmとした。
第2下地層15としては非磁性のCo−35at%Cr
合金を用いた。この第2下地層の上に引き続き同一真空
中で記録膜となる垂直磁化膜12、保護膜13を順次形
成した。垂直磁化膜12、保護膜13の材料、膜厚は媒
体Gと同じとした。
【0040】上記媒体G〜IをX線回折法で調べた結
果、いずれの媒体も垂直磁化膜12はhcp構造の<0
02>方位が膜面に垂直配向していた。また、各媒体の
断面をTEMにより観察した結果、垂直磁化膜12は下
地層の上にエピタキシャル的に成長していた。媒体Gに
おける垂直磁化膜12は、記録補助層16との界面にお
いて若干の結晶配向の乱れが観察されたが、媒体H及び
媒体Iでは垂直磁化膜12の結晶配向は媒体Gに比べて
大幅に改善されていた。 媒体G,H,Iの磁化−磁界
曲線をカー効果型磁力計により測定した。媒体G、媒体
H及び媒体Iにおける(Hc+dHc)/Hcの値は、
それぞれ1.6、1.2、及び1.4であった。実施の
形態1における図4と同様の手法により不規則磁区の大
きさを測定した結果、媒体G、媒体H及び媒体Iの不規
則磁区の平均の面積はそれぞれ5×10-3μm2、2.
5×10-3μm2、3.3×10-3μm2であり、その平
均直径はそれぞれ80nm,56nm,65nmであっ
た。また、媒体G,H,Iにおける不規則磁区の割合
は、いずれも20%以下であった。
【0041】(実施の形態3)図7(a)〜(c)に断
面構造を模式的に示す垂直磁気記録媒体J〜Lを作製し
た。基板11は各媒体J〜Lに共通であり、ここではガ
ラス基板を用いた例により説明する。本実施の形態で
は、高真空DCマグネトロンスパッタリング装置により
媒体を作製した。洗浄した基板11をスパッタリング装
置の予備排気室に設置し、約200℃で30分間予備加
熱した。続いて、スパッタリング室に前記基板11を移
動し約250℃に基板を加熱し、磁化固定層17を形成
した。この磁化固定層17は、この上に形成する記録補
助層16の磁区構造が外部磁界などで変化し、その上に
形成した垂直磁化膜に記録された信号が劣化するのを防
止する役割をする。
【0042】磁化固定層17としては、Sm−Coなど
の希土類元素からなる合金膜、Co−Cr合金にTa,
Pt,Hf,Nb,B,Zr,Niなどを添加したhc
p構造の材料、NiO,Mn−Ir合金などの反強磁性
材料、Te−Fe−Co合金やPt/Co多層膜やPd
/Co多層膜を用いることができ、さらに上記薄膜の下
層にTi,Co,Hfなどのhcp構造の材料を主成分
とし、これにCr,Al,Cu,Ir,Hf,Mn,M
o,Nb,Rh,Re,Ru,Ta,V,W,Zr,T
iなどを添加した材料からなる多結晶膜や微結晶膜又は
非晶質状膜、あるいはSi,Ge,Ta,Hfを始めと
する非晶質状膜からなる下地膜を形成して用いることが
可能である。また磁化固定層17の磁化の向きは、基板
面に対して平行もしくは垂直でも良い。
【0043】本実施の形態では、磁化固定層17は膜厚
50nmのCr層の上に膜厚5nmの非磁性のCo−3
5at%Cr合金膜を形成し、この上に膜厚15nmの
Co−17at%Cr−3at%Ta合金膜を形成した
構成とした例で説明する。この磁化固定層17の保磁力
や飽和磁化は、薄膜の形成温度や組成などにより、保磁
力100〜3000エルステッド、飽和磁化100〜5
00emu/ccの範囲で任意に選定できる。本実施の
形態の磁化固定層17の面内方向の保磁力は約1000
エルステッド、飽和磁化400emu/ccのの面内配
向の薄膜であった。
【0044】引き続いて同一真空中で上記の磁化固定層
17の上に、膜厚500nmの記録補助層16を形成し
た。記録補助層16は、軟磁性膜からなりNi−Fe系
パーマロイ、センダスト、Co−Nb−Zr合金などの
非晶質合金などを用いることができる。本実施の形態で
は、Co−11at%Nb−5at%Zr非晶質合金を
用いた例で説明する。
【0045】媒体Jは、図7(a)の断面模式図に示す
ように、前記記録補助層16の上に基板温度約250℃
において直接垂直磁化膜12を形成した。垂直磁化膜1
2としては、Coを主成分とするhcp構造の材料であ
るCo−18at%Cr−3at%Ta合金膜を膜厚3
0nmに形成した。この垂直磁化膜12の上に同一真空
中で膜厚5nmのカーボン保護膜13を形成した。
【0046】媒体Kは、図7(b)の断面模式図に示す
ように、前記記録補助層16の上に基板温度約250℃
において磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の制御行うため
の第1下地層14を形成した。第1下地層14として
は、膜厚20nmのTiを用いた。この第1下地層14
上に、引き続き同一真空中で記録膜となる垂直磁化膜1
2、保護膜13を順次形成した。垂直磁化膜12、保護
膜13の材料、膜厚は媒体Jと同じとした。
【0047】媒体Lは、図7(c)の断面模式図に示す
ように、前記記録補助層16の上に基板温度約250℃
において磁性膜の結晶粒径や磁気異方性の制御行うため
2層の下地層を設けた。すなわち第1下地層14の上
に、第2下地層15を形成した。第1下地層14、第2
下地層15の膜厚はそれぞれ10nmとした。第1下地
層14としてTiを用い、第2下地層15としては非磁
性のCo−35at%Cr合金を用いた。この第2下地
層15の上に、引き続き同一真空中で記録膜となる垂直
磁化膜12、保護膜13を順次形成した。垂直磁化膜1
2、保護膜13の材料、膜厚は媒体Jと同じとした。
【0048】上記媒体J〜LをX線回折法で調べた結
果、いずれの媒体も垂直磁化膜12はhcp構造の<0
02>方位が膜面に垂直配向していた。また、各媒体の
断面をTEMにより観察した結果、垂直磁化膜12は下
地層の上にエピタキシャル的に成長していた。媒体Jに
おける垂直磁化膜12は、記録補助層16との界面にお
いて若干の結晶配向の乱れが観察されたが、媒体K及び
媒体Lは垂直磁化膜12の結晶配向は媒体Jに比べて大
幅に改善されていた。
【0049】媒体J,K,Lの磁化−磁界曲線をカー効
果型磁力計により測定したところ、媒体J、媒体K及び
媒体Lにおける(Hc+dHc)/Hcの値は、それぞ
れ1.6、1.25、及び1.45であった。実施の形
態1における図4と同様の手法により不規則磁区の大き
さを測定した結果、媒体J、媒体K及び媒体Lの不規則
磁区の平均の面積はそれぞれ5.3×10-3μm2
2.6×10-3μm2、3.5×10-3μm2であり、ま
たその平均直径はそれぞれ82nm,58nm,67n
mであった。また、媒体J,K,Lにおける不規則磁区
の割合は、いずれも20%以下であった。
【0050】実施の形態1に用いた媒体A〜F、実施の
形態2で作製した媒体G〜Iに及び実施の形態3で示し
た媒体J〜Lにそれぞれ同一のリング型磁気ヘッド(ト
ラック幅1.5ミクロン、ギャップ長0.2ミクロン)
により線密度5〜500kFCIの範囲で磁気記録行
い、記録信号を巨大磁気抵抗型(GMR)ヘッドにより
再生した。その結果、0<(Hc+dHc)/Hc≦
1.6の範囲であり、また不規則磁区の平均を80nm
以下とし、不規則磁区のサイズを10〜100nmと微
細化することにより、例えば媒体C、媒体F、媒体H、
媒体I、媒体K及び媒体Lのごとく線記録密度300k
FCIにおける媒体ノイズが0.01(μVrms/μ
pp)以下の超高密度記録適した磁気記録媒体を提供で
きる。さらに記録補助層16を設けた媒体H、媒体I、
媒体K及び媒体Lは、記録補助層16のない媒体C,媒
体Fに比べて1.5〜2倍高い再生出力を得ることがで
きた。
【0051】実施の形態2に示した媒体Hと実施の形態
3に示した媒体Kに同一の単磁極型ヘッド(主磁極はC
o−11at%Nb−5at%Zr非晶質合金、記録ト
ラック幅1.5ミクロン)により線密度5〜500kF
CIの範囲で磁気記録行い、記録信号を巨大磁気抵抗型
(GMR)ヘッドにより再生し、再生出力に及ぼす外部
磁界の影響を比較した。その結果、図6(b)の構成の
媒体Hは、約15エルステッド外部磁界により約10%
の再生出力の変動が認められたのに対して、図7(b)
の媒体Kのごとく磁化固定層17を設けた構成の媒体
は、2倍以上の外部磁界を印加しても出力変動が認めら
れなかった。
【0052】下記表1に、実施の形態1で作製した媒体
A〜F、実施の形態2で作製した媒体G〜I、及び実施
の形態3で作製した媒体J〜Lについの測定結果をまと
めて示す。表中、再生出力比は線記録密度300kFC
Iにおいて、媒体Cの再生出力に対する各媒体の再生出
力の比である。10%の出力減衰を起こす外部磁界は、
媒体面に垂直方向に外部磁界を印加して40kFCIに
おける再生出力を測定したとき、外部磁界を印加してい
ないときの出力と比較して10%の出力減衰を起こす外
部磁界の値である。不規則磁区の平均面積及び不規則磁
区の平均直径は、数値が小さいほど低ノイズの媒体が得
られる。また、1000秒後の磁化の減衰率は1に近い
ほど磁化が安定していることを表す。
【0053】
【表1】
【0054】(実施の形態4)図8に概略を示す磁気記
憶装置を作製した。この磁気記憶装置は、磁気ディスク
媒体駆動部40により回転駆動される磁気ディスク3
1、アクチュエータ34及びボイスコイルモータ35な
どからなる磁気ヘッド駆動部により駆動される記録再生
用の磁気ヘッド32、磁気ヘッドを支持するサスペンジ
ョン33、磁気ヘッド32の記録信号及び再生信号を処
理する記録再生信号処理回路36、位置決め回路37、
インターフェース制御回路38などを備える周知の構成
の装置である。
【0055】磁気ディスク31として前記の媒体Kを用
いた。磁気ヘッドは、スライダー、この上に設けられた
磁気記録用ヘッド及び信号再生用の磁気抵抗効果型、巨
大磁気抵抗効果型、もしくはスピンバルブ型素子あるい
は磁気トンネル型素子からなる再生用ヘッドで構成され
る。前記記録信号再生用の磁気ヘッドのギャップ長は、
高分解能の再生信号を得るために0.25μm以下と
し、望ましくは0.1〜0.2μmとする。磁気記録用
のヘッドは、リング型ヘッドもしくは単磁極型ヘッドの
いずれを用いても良い。磁気記録時のトラック端部の記
録磁区の乱れを低下するために記録用ヘッドのトレーリ
ング側、リーディング側磁極のトラック両端部は揃って
いることが望ましく、また急峻な記録磁界の発生のため
に記録ヘッドのギャップ長は0.25μm以下、望まし
くは0.1〜0.2μmとする。再生用ヘッドのトラッ
ク幅は、前記の記録用ヘッド磁極のトラック幅より狭く
し、記録トラック両端部から生じる再生ノイズを低減す
る。
【0056】磁気ヘッド32は、サスペンジョン33に
よって支持され、かつ磁気ヘッドが磁気ディスクの内周
側から外周側に向かって移動したときに生ずるヨー角を
補正する機能が設けてある。本装置を用いて記録再生特
性を評価したところ、オーバーライトS/N=35d
B、出力半減記録密度(D50)220kFCI、さらに
300kFCIにおける再生出力の減衰率は100時間
経過後も5%以下であり、長時間安定性を確保できた。
【0057】ここでは、垂直磁化膜、下地層、記録補助
層、及び磁化固定層の一例を挙げて内容の説明を行った
が、実施の形態1〜3に記述した他の媒体C,E,F,
G,H,I,Lを用いても同様の効果が得られた。
【0058】
【発明の効果】本発明によると、媒体ノイズの原因とな
る媒体表面における不規則磁区の微細化が可能となり、
その結果、媒体ノイズの低減と記録磁化の長時間安定性
を確保でき、10Gb/in2以上の超高密度磁気記録
に好適な垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁化−磁界曲線の説明図。
【図2】本発明による垂直磁気記録媒体の断面構造模式
図。
【図3】(Hc+dHc)/Hcの値と磁化の安定性の
関係を示す説明図。
【図4】磁化状態の比較図。
【図5】不規則磁区の分布の説明図。
【図6】本発明による磁気記録媒体の他の例の断面模式
図。
【図7】本発明による磁気記録媒体の他の例の断面模式
図。
【図8】磁気記憶装置の説明図。
【符号の説明】
11:基板、12:垂直磁化膜、13:保護膜、14:
第1下地層、15:第2下地層、16:記録補助層、1
7:磁化固定層、21:着磁方向の磁化、22:不規則
磁区、31:磁気ディスク、32:磁気ヘッド、33:
サスペンジョン、34:アクチュエータ、35:ボイス
コイルモータ、36:記録再生回路、37:位置決め回
路、38:インターフェース制御回路、40:磁気ディ
スク媒体駆動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊川 敦 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 二本 正昭 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB07 CA01 CA05 CA06 DA03 DA08 EA03 FA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に垂直磁化膜を形成した垂直磁気
    記録媒体であって、磁化と磁界が正の第一象限と磁化が
    正で磁界が負の第二象限における媒体の膜面垂直方向の
    磁化−磁界曲線の第二象限の保磁力(−Hc)点を通る
    接線と、前記磁化−磁界曲線の飽和磁化(Ms)から磁
    界軸に平行に引いた直線との交点における磁界の強さを
    dHcとするとき、前記第二象限の保磁力(−Hc)と
    前記dHcとが関係式0<(Hc+dHc)/Hc≦
    1.6を満たすことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体にお
    いて、媒体を膜面垂直方向に一様に初期磁化したのち前
    記初期磁化の向きと逆向きに1kOeの磁界を印加した
    後の残留磁化状態での媒体表面の磁化領域において前記
    初期磁化の向きと逆向きの磁化成分を有する不規則磁区
    の平均面積が5×10-3μm2以下であることを特徴と
    する垂直磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体にお
    いて、媒体を膜面垂直方向に一様に初期磁化したのち前
    記初期磁化の向きと逆向きに1kOeの磁界を印加した
    後の残留磁化状態での媒体表面の磁化領域において前記
    初期磁化の向きと逆向きの磁化成分を有する不規則磁区
    と同じ面積を有する円に換算して得られる磁区の直径が
    10〜100nmの範囲であり、前記不規則磁区の平均
    直径が80nm以下であることを特徴とする垂直磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体にお
    いて、媒体を膜面垂直方向に一様に初期磁化したのち前
    記初期磁化の向きと逆向きに1kOeの磁界を印加した
    後の残留磁化状態での媒体表面の磁化領域において前記
    初期磁化の向きと逆向きの磁化成分を有する不規則磁区
    の平均面積が5×10-3μm2以下であり、前記不規則
    磁区と同じ面積を有する円に換算して得られる磁区の直
    径が10〜100nmの範囲であり、前記不規則磁区の
    平均直径が80nm以下であって、媒体表面の磁化領域
    における前記不規則磁区の面積の占める割合が20%以
    下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の垂直
    磁気記録媒体において、基板上に磁性膜の構造制御層を
    少なくとも1層設け、前記構造制御層の上に前記垂直磁
    化膜を形成したことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項記載の垂直
    磁気記録媒体において、基板上に軟磁性材料からなる記
    録補助層を設け、前記記録補助層の上に前記垂直磁化膜
    を形成したことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の垂直磁気記録媒体にお
    いて、前記記録補助層と前記垂直磁化膜の間に1層以上
    の非磁性中間層を設けたことを特徴とする垂直磁気記録
    媒体。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載の垂直磁気記録媒
    体において、基板と前記記録補助層の間に保磁力が10
    0〜3000Oeの範囲の磁化固定層を設けたことを特
    徴とする垂直磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆
    動する磁気記録媒体駆動部と、前記磁気記録媒体に対し
    て記録及び再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを
    駆動する磁気ヘッド駆動部と、前記磁気ヘッドの記録信
    号及び再生信号を処理する記録再生信号処理系とを備え
    る磁気記憶装置において、 前記磁気記録媒体として請求項1〜8のいずれか1項に
    記載の垂直磁気記録媒体を用いたことを特徴とする磁気
    記憶装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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