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JP2000353553A - 光電変換素子および光電池 - Google Patents

光電変換素子および光電池

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Publication number
JP2000353553A
JP2000353553A JP11164099A JP16409999A JP2000353553A JP 2000353553 A JP2000353553 A JP 2000353553A JP 11164099 A JP11164099 A JP 11164099A JP 16409999 A JP16409999 A JP 16409999A JP 2000353553 A JP2000353553 A JP 2000353553A
Authority
JP
Japan
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group
ring
same
different
general formula
Prior art date
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Pending
Application number
JP11164099A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroo Takizawa
裕雄 滝沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP11164099A priority Critical patent/JP2000353553A/ja
Publication of JP2000353553A publication Critical patent/JP2000353553A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

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  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】可視光〜赤外域に高い光電変換特性を有する光
電変換素子を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で表される色素によっ
て増感された半導体微粒子を含む光電変換素子。 【化1】 式中、M1 、M2 は金属、水素原子2個、Si、P、G
e、Sb、Biを表し、Za、Zbは4個の窒素と共に
環を形成する非金属原子群を表す。L1 、L2 は金属に
1座で配位しうる配位子を表す。R1 〜R4 はカルボキ
シル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム
酸基、ホスホリル基、ホスホニル基又はそれらが置換し
た置換基を表し、a1、a2は0〜8の整数を、a3、
a4は0〜4の整数を、b1、b2は0〜2の整数を表
す。但し、a1、a2、a3×b1、a4×b2の少な
くともいずれか1個以上は必ず1以上の値をとる。B
1 、B2 は単なる結合又は連結基を表し、cは0又は1
を表す。W1 は電荷を中和させるのに対イオンが必要な
場合の対イオンを表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光電変換素子に関し、詳
しくは色素で増感された半導体微粒子を用いた光電変換
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、
多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電
池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化
合物太陽電池が実用化もしくは主な研究開発の対象とな
っているが、普及させる上で製造コスト、原材料確保、
エネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服す
る必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有
機材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されて
いるが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があ
った。こうした状況の中で、Nature(第353巻、第737
〜740 頁、1991年)および米国特許4927721 号、 J.Phy
s.Chem.,(第97巻、第6272〜6277頁、1993年)、Chem.
Commun.,(1998年、719 〜720 頁)等に、色素によって
増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子および太
陽電池、ならびにこれを作成するための材料および製造
技術が開示された。提案された電池は、ルテニウム錯
体、クロロフィル、フタロシアニン等の色素によって分
光増感された二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする
湿式太陽電池である。この方式の第一の利点は二酸化チ
タン等の安価な酸化物半導体を高純度に精製することな
く用いることができるため、安価な光電変換素子を提供
できる点である。第二の利点は可視光線のかなりの波長
領域の光を電気に変換できることである。
【0003】しかしながら公知の色素は、可視光は吸収
するものの750nmより長波長の赤外光はほとんど吸収し
ないため赤外域での光電変換能は低い。したがってさら
に変換効率を上げるためには可視光〜赤外域に吸収を有
し、高い光電変換能を示す色素の開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、赤外
域に吸収を有しかつ半導体微粒子を効率よく増感し得る
長波長色素を用いることによって、高い変換効率を有す
る色素増感光電変換素子を提供する事である。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は下記の本発明
を特定する事項及び好ましい事項により解決された。 (1)下記一般式(I)で表される色素によって増感さ
れた半導体微粒子を含むことを特徴とする光電変換素
子。
【0006】
【化5】
【0007】一般式(I)中、M1 、M2 はそれぞれ独
立に金属または水素原子2個、Si、P、Ge、Sb、
Biを表し、Za、Zbはそれぞれ独立に、4個の窒素
と共に環を形成する非金属原子群を表す。L1 、L2
それぞれ独立に金属に1座で配位しうる配位子を表す。
1 〜R4 はそれぞれ独立にカルボキシル基、スルホン
酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル
基、ホスホニル基またはそれらが置換した置換基を表
し、a1、a2はそれぞれ独立に0〜8の整数を、a
3、a4はそれぞれ独立に0〜4の整数を、b1、b2
はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。ただし、a1、
a2、a3×b1、a4×b2の少なくともいずれか1
個以上は必ず1以上の値をとる。R1 は窒素とZaから
なる環上のいずれの位置に置換してもよく、a1が2以
上の時、R1 は同じでも異なってもよい。R2 は窒素と
Zbからなる環上のいずれの位置に置換してもよく、a
2が2以上の時、R2 は同じでも異なってもよい。R3
は配位子L1 のいずれの位置に置換してもよく、a3が
2以上の時、R3は同じでも異なってもよい。R4 は配
位子L2 のいずれの位置に置換してもよく、a4が2以
上の時、R4 は同じでも異なってもよい。B1 、B2
それぞれ独立に単なる結合または連結基を表し、cは0
または1を表す。cが1の時、Za、ZbとB1 、B2
が互いに連結して環を形成してもよい。W1 は電荷を中
和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
なお、M1 、M2 と窒素とのいずれの結合も共有結合で
も配位結合でもよい。 (2)一般式(I)にて、B1 、B2 がそれぞれ独立に
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリ
ーレン基、ヘテロリレン基、酸素、硫黄、−C≡C−B
3 −C≡C−で表され、B3 はアルケニレン基、アリー
レン基、ヘテロリレン基、酸素、硫黄を表されることを
特徴とする(1)の光電変換素子。 (3)一般式(I)にて、cが0であることを特徴とす
る(1)または(2)の光電変換素子。 (4)一般式(I)にて、cが1であり、Za、Zbと
1 、B2 が芳香族環を形成することを特徴とする
(1)または(2)の光電変換素子。 (5)一般式(I)の色素にて、窒素とZa、窒素とZ
bにて形成される環がそれぞれ独立に一般式(II)で表
されることを特徴とする(1)〜(4)の光電変換素
子。
【0008】
【化6】
【0009】一般式(II)中、R11はカルボキシル基、
スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
スホリル基、ホスホニル基またはそれらが置換した置換
基を表し、R12は置換基を表す。a11、a12はそれ
ぞれ独立に0〜8の整数を表す。A1 〜A4 はそれぞれ
独立に窒素または=CR13−を表し、R13は水素原子又
は置換基を表す。R11、R12は環上のいずれの位置に置
換してもよく、a11が2以上の時、R 11は同じでも異
なってもよく、a12が2以上の時、R12は同じでも異
なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。な
お、R12は一般式(I)における連結基B1 、B2 にな
りうる。 (6)一般式(II)にて、A1 〜A4 がそれぞれ独立に
=CR13−を表され、R 13は水素原子、カルボキシル
基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸
基、ホスホリル基、ホスホニル基、アルキル基、アルケ
ニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ
基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、シアノ
基、ハロゲン原子であることを特徴とする(1)〜
(5)の光電変換素子。 (7)一般式(II)にて、A1 〜A4 が窒素であること
を特徴とする(1)〜(5)の光電変換素子。 (8)一般式(I)の色素にて窒素とZa、窒素とZb
にて形成される環がそれぞれ独立に一般式(III ―1)
〜(III −3)で表されることを特徴とする(1)〜
(7)の光電変換素子。
【0010】
【化7】
【0011】R21〜R23はそれぞれ独立にカルボキシル
基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸
基、ホスホリル基、ホスホニル基またはそれらが置換し
た置換基を表し、R24〜R26はそれぞれ独立に置換基を
表す。a21〜a26はそれぞれ独立に0〜8の整数を
表す。R21、R22、R23はそれぞれ、環上のいずれの位
置に置換してもよく、a21が2以上の時、R21は同じ
でも異なってもよく、a22が2以上の時、R22は同じ
でも異なってもよく、a23が2以上の時、R23は同じ
でも異なってもよい。a24が2以上の時、R24は同じ
でも異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよ
い。a25が2以上の時、R25は同じでも異なってもよ
く、互いに連結して環を形成してもよい。a26が2以
上の時、R26は同じでも異なってもよく、互いに連結し
て環を形成してもよい。なお、R24、R25、R26は一般
式(I)における連結基B1 、B2 になりうる。 (9)一般式(I)の色素が一般式(IV−1)〜(IV―
4)で表されることを特徴とする光電変換素子。
【0012】
【化8】
【0013】一般式(IV−1)〜(IV−4)中、M1
2 、R3 、R4 、L1 、L2 、a3,a4、b1、b
2、W1 は一般式(I)と同義である。R31〜R36はそ
れぞれ独立にカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキ
シル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基、ホスホニル
基またはそれらが置換した置換基を表し、R37〜R42
それぞれ独立に置換基を表す。a31〜a35、a37
〜a41はそれぞれ独立に0〜8の整数を表し、a3
6、a42は0〜6の整数を表す。R31〜R36はそれぞ
れの環上のいずれの位置に置換してもよく、a31が2
以上の時、R31は同じでも異なってもよく、a32が2
以上の時、R32は同じでも異なってもよく、a33が2
以上の時、R33は同じでも異なってもよく、a34が2
以上の時、R34は同じでも異なってもよく、a35が2
以上の時、R35は同じでも異なってもよく、a36が2
以上の時、R36は同じでも異なってもよい。a37が2
以上の時、R37は同じでも異なってもよく、互いに連結
して環を形成してもよい。a38が2以上の時、R38
同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成して
もよい。a39が2以上の時、R39は同じでも異なって
もよく、互いに連結して環を形成してもよい。a40が
2以上の時、R40は同じでも異なってもよく、互いに連
結して環を形成してもよい。a41が2以上の時、R 41
は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成し
てもよい。a42が2以上の時、R42は同じでも異なっ
てもよく、互いに連結して環を形成してもよい。一般式
(IV−1)にてB31はアルキレン基、アルケニレン基、
アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロリレン基、酸
素、硫黄を表し、d31は0または1を表す。一般式
(IV−2)及び(IV−4)にてB32はアルキレン基、ア
ルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロ
リレン基、酸素、硫黄、−C≡C−B33−C≡C−を表
し、B33はアルケニレン基、アリーレン基、ヘテロリレ
ン基、酸素、硫黄を表す。d32は0または1を表す。
一般式(IV−3)にてA31〜A36はそれぞれ独立に窒素
または=CR43−を表し、R43は水素原子又は置換基を
表すただし、一般式(IV−1)にてa3×b1、a4×
b2、a31、a32のいずれかのうちの少なくとも1
個以上は1以上の値をとり、一般式(IV−2)又は(IV
−4)にてa3×b1、a4×b2、a33、a34の
いずれかのうちの少なくとも1個以上は1以上の値をと
り、一般式(IV−3)にてa3×b1、a4×b2、a
35、a36のいずれかのうちの少なくとも1個以上は
1以上の値をとる。 (10)一般式(II)のR12、一般式(III ―1)〜
(III −3)のR24〜R26、一般式(IV―1)〜(IV−
4)のR37〜R42がそれぞれ独立にアルキル基、アルケ
ニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ
基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、シアノ
基、ハロゲン原子であることを特徴とする(1)〜
(9)の光電変換素子。 (11)一般式(I)のR1 〜R4 、一般式(II)のR
11、一般式(III ―1)〜(III −3)のR21〜R23
一般式(IV―1)〜(IV−4)のR31〜R36がそれぞれ
独立に、カルボキシル基、ホスホリル基、ホスホニル基
またはそれらが置換した,アルキル基、アルケニル基、
シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシ
カルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アミ
ノ基、アシル基、スルホンアミド基であることを特徴と
する(1)〜(10)の光電変換素子。 (12)一般式(I)のa1、a2、一般式(II)のa
11、一般式(III ―1)〜(III −3)のa21〜a
23、一般式(IV―1)〜(IV−4)のa31〜a36
がそれぞれ独立に2〜8の整数を表す(1)〜(11)
の光電変換素子。 (13)一般式(I)、一般式(IV―1)〜(IV―4)
にて、a3、a4がそれぞれ0であることを特徴とする
(12)の光電変換素子。 (14)一般式(I)、一般式(IV―1)〜(IV―4)
にて、a3、a4がそれぞれ独立に1または2であるこ
とを特徴とする(1)〜(12)の光電変換素子。 (15)一般式(I)、一般式(IV―1)〜(IV―4)
にて、a3、a4がそれぞれ独立に1または2であり、
b1、b2のどちらかは1以上であり、一般式(I)の
a1、a2、一般式(II)のa11、一般式(III ―
1)〜(III −3)のa21〜a23、一般式(IV―
1)〜(IV−4)のa31〜a36が0であることを特
徴とする(14)の光電変換素子。 (16)一般式(IV−1)にて、d31が1であり、B
31がアルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン
基であることを特徴とする(1)〜(15)の光電変換
素子。 (17)一般式(IV−1)にて、d31が1であり、B
31がエチニレン基またはブタジイニレン基であることを
特徴とする(16)の光電変換素子。 (18)一般式(IV―2)又は(IV―4)にて、d32
が1であり、B32がアルケニレン基、アルキニレン基、
−C≡C−B33−C≡C−を表し、B33はアルケニレン
基、アリーレン基、ヘテロリレン基、酸素、硫黄を表す
ことを特徴とする(1)〜(15)の光電変換素子。 (19)一般式(IV―2)又は(IV―4)にて、d32
が1であり、B32がエチニレン基、ブタジイニレン基、
−C≡C−B33−C≡C−を表し、B33はアリーレン
基、ヘテロリレン基を表すことを特徴とする(18)の
光電変換素子。 (20)一般式(IV―3)にてA31〜A36が=CR43
で表され、R43がそれぞれ独立に水素、カルボキシル
基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸
基、ホスホリル基、ホスホニル基、アルキル基、アルケ
ニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ
基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、シアノ
基、ハロゲン原子であることを特徴とする(1)〜(1
5)の光電変換素子。 (21)一般式(I)で表される色素が一般式(IV―
1)または(IV―3)で表されることを特徴とする
(1)〜(17)、(20)の光電変換素子。 (22)一般式(I)において、M1 、M2 がそれぞれ
独立に水素2個、Mg、Al、Si、P、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、G
e、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、C
d、In、Sn、Sb、W、Re、Os、Ir、Pt、
Au、Hg、Pb、Biであることを特徴とする(1)
〜(21)記載の光電変換素子。 (23)一般式(I)において、M1 、M2 がそれぞれ
独立に水素2個、Mg、Ti、V、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu、Zn、Ru、Cd、Snであることを特徴
とする(22)記載の光電変換素子。 (24)一般式(I)及び一般式(IV―1)〜(IV―
4)において、b1、b2がそれぞれ独立に1または2
であり、L1 、L2 がそれぞれ独立に窒素で配位する5
または6員環ヘテロ環、酸素、ハロゲンであることを特
徴とする(1)〜(23)記載の光電変換素子。 (25)一般式(I)及び一般式(IV―1)〜(IV―
4)において、L1 、L2がそれぞれ独立に窒素で配位
する5または6員環ヘテロ環であることを特徴とする
(24)記載の光電変換素子。 (26)一般式(I)及び一般式(IV―1)〜(IV―
4)において、L1 、L2がそれぞれ独立に窒素で配位
するピリジン環またはイミダゾール環であることを特徴
とする(25)記載の光電変換素子。 (27)一般式(I)及び一般式(IV―1)〜(IV―
4)において、b1、b2が0であることを特徴とする
(1)〜(23)記載の光電変換素子。 (28)色素によって増感された半導体微粒子が酸化チ
タン微粒子であることを特徴とする(1)〜(27)の
光電変換素子。 (29)(1)〜(28)記載の光電変換素子を用いる
ことを特徴とする光電池。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に一般式(I)で表される本
発明の色素について詳しく説明する。なお、本発明の化
合物がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アル
キレン基等を含む時、それらは直鎖状でも分岐鎖状でも
よく、置換していても無置換でもよい。また、本発明の
化合物がアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等
を含む時、それらは置換していても無置換でもよく、単
環でも縮環していてもよい。
【0015】一般式(I)中、M1 、M2 はそれぞれ独
立に金属または水素原子2個、Si、P、Ge、Sb、
Biを表し、好ましくは、水素2個、Mg、Al、S
i、P、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、R
h、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、W、Re、
Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Biを表し、よ
り好ましくは水素2個、Mg、Ti、V、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Cd、Snである。
【0016】一般式(I)中、R1 〜R4 はそれぞれ独
立にカルボキシル基、スルホン酸基(−SO3 H)、ヒ
ドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素数
(以下C数という)1〜20、例えば−CONHOH、
−CON(CH3 )OH)、ホスホリル基(例えば−P
O(OH)2)、ホスホニル基(例えば−OPO(OH)
2 )、またはそれらが置換した置換基を表し、好ましく
はカルボキシル基、ホスホリル基、ホスホニル基または
それらが置換した置換基を表し、より好ましくはカルボ
キシル基、またはカルボキシル基が置換した置換基を表
し、さらに好ましくカルボキシル基を表す。
【0017】カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキ
シル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基、ホスホニル
基が置換する置換基としては、好ましくは、アルキル基
(好ましくはC数1〜20、例えばメチル、エチル、i
−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エ
チルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カ
ルボキシルメチル)、アルケニル基(好ましくはC数2
〜20、例えばビニル、アリル、オレイル)、アルキニ
ル基(好ましくはC数2〜20、例えばエチニル、ブタ
ジイニル、トリメチルシリルエチニル)、シクロアルキ
ル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロプロピ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシク
ロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜26、
例えばフェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニ
ル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル、3,5
−t−ブチルフェニル)、ヘテロ環基(好ましくはC数
1〜20、例えば、4−ピリジル、1−イミダゾリル、
2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサ
ゾリル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例
えばメトキシ、i−プロピルオキシ)、アリールオキシ
基(好ましくはC数6〜26、例えばフェノキシ、1−
ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシ
フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC
数2〜20、例えばエトキシカルボニル、2−エチルヘ
キシルオキシカルボニル)、アミノ基(好ましくはC数
0〜20、例えばアミノ、N,N−ジメチルアミノ、ア
ニリノ)、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば
アセチル、ベンゾイル)、スルホンアミド基(好ましく
はC数0〜20、例えばN,N−ジメチルスルホンアミ
ド、N−フェニルスルホンアミド)、アシルオキシ基
(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベ
ンゾイルオキシ)、カルバモイル基(好ましくはC数1
〜20、例えばN,N−ジメチルカルバモイル、N−フ
ェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC
数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミ
ノ)であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アミノ基であ
り、さらに好ましくはアルコキシ基、アシルオキシ基、
アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基である。これ
らの置換基にカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキ
シル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基、ホスホニル
基はいずれの位置に置換してもよい。
【0018】一般式(I)中、L1 、L2 はそれぞれ独
立に金属に1座で配位しうる配位子を表し、窒素、酸
素、硫黄、炭素、ハロゲンで配位するのが好ましい。L
1 、L2 は好ましくは酸素、硫黄、ハロゲン(例えば塩
素、臭素、ヨウ素)、アシルオキシ基(好ましくはC数
1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキ
シ)、好ましくはC数1〜20、例えばアセチル、ベン
ゾイル)、カルボニル基(−CO)、チオシアナート
基、イソチオシアナート基、シアナート基、イソシアナ
ート基、シアノ基、アルキルチオ基(好ましくはC数1
〜20、例えばメタンチオ)、アリールチオ基(好まし
くはC数6〜20、例えばベンゼンチオ)、アルコキシ
基(好ましくはC数1〜20、例えばメトキシ)、アリ
ールオキシ基(好ましくはC数6〜20、例えばフェノ
キシ)、窒素で配位する5または6員ヘテロ環(好まし
くはC数2〜20の芳香族ヘテロ環、例えば縮環しても
置換してもよいイミダゾール環、ベンゾイミダゾール
環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、
ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン
環)を表す。
【0019】一般式(I)において、b1、b2がそれ
ぞれ独立に1または2である場合は、L1 、L2 はそれ
ぞれ独立に窒素で配位する5または6員環ヘテロ環、酸
素、ハロゲン、カルボニル基、チオシアナート基、イソ
チオシアナート基、シアナート基、イソシアナート基、
シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であること
が好ましく、窒素で配位する5または6員環ヘテロ環、
酸素、ハロゲンであることがより好ましく、窒素で配位
する5または6員環ヘテロ環であることがさらに好まし
く、置換してもよいピリジン環もしくはイミダゾール環
であることが最も好ましい。その際、a3、a4は1ま
たは2であることが好ましい。
【0020】b1、b2が1または2であり、L1 、L
2 が酸素であるときは、M1 、M2はTi、V等である
ことが好ましく、Tiのときはb1、b2が1、Vのと
きはb1、b2が2であることが好ましい。b1、b2
が1または2であり、L1 、L2 がハロゲンのときは、
1 、M2はAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、G
a、Ru、Rh、In、Sb、W、Re、Os、Ir、
Biであることが好ましい。b1、b2が1または2で
あり、L1 、L2 が窒素で配位する5または6員環のヘ
テロ環であるときは、M1 、M2 はCr、Mn、Fe、
Co、Ni、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、
W、Re、Os、Irであることが好ましく、Cr、F
e、Co、Ni、Ruであることがより好ましく、Fe
またはRuであることがさらに好ましい。b1、b2が
共に0であるときは、M1 、M2 は水素2原子、Mg、
Si、P、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、N
b、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Pt、Au、H
g、Pb、Biであることが好ましく、水素2原子、M
g、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Snであることが
より好ましく、水素2原子、Mg、Co、Ni、Cu、
Znであることがさらに好ましい。
【0021】一般式(I)中、a1、a2はそれぞれ独
立に0〜8の整数を表し、好ましくは0〜6の整数を表
す。a3、a4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、
好ましくは0〜2の整数を表す。b1、b2はそれぞれ
独立に0〜2の整数を表す。ただし、a1、a2、a3
×b1、a4×b2の少なくともいずれか1個以上は必
ず1以上の値をとる。
【0022】一般式(I)中、R1 は窒素とZaからな
る環上のいずれの位置に置換してもよく、a1が2以上
の時、R1 は同じでも異なってもよい。R2 は窒素とZ
bからなる環上のいずれの位置に置換してもよく、a2
が2以上の時、R2 は同じでも異なってもよい。R3
配位子L1 のいずれの位置に置換してもよく、a3が2
以上の時、R3 は同じでも異なってもよい。R4 は配位
子L2 のいずれの位置に置換してもよく、a4が2以上
の時、R4 は同じでも異なってもよい。
【0023】一般式(I)中、B1 、B2 はそれぞれ独
立に単なる結合または連結基を表し、Zaによって形成
される環とZbによって形成される環とを結びつける。
好ましくはアルキレン基(好ましくはC数1〜20、例
えばメチレン、エチレン、1−メチルメチレン、ブチレ
ン)、アルケニレン基(好ましくはC数2〜20、例え
ば、エテニレン、プロぺニレン、1,3−ブタジエニレ
ン(−CH=CH−CH=CH−)、アルキニレン基
(好ましくはC数2〜20、例えばエチニレン基、ブタ
ジイニレン基)、アリーレン基(好ましくはC数6〜3
0、例えば1,4−フェニレン、1、 2−フェニレン、
1,4−ナフチレン、9、10―アントラセニレン、
4,4‘−ビフェニレン)、ヘテロリレン基(好ましく
はC数2〜26、例えば2,5−チエニレン、2、5―
フラニレン、2,5−ピリジレン)、酸素、硫黄、−C
≡C−B3 −C≡C−で表され、より好ましくはアルケ
ニレン基、アリキニレン基、アリーレン基、−C≡C−
3 −C≡C−で表される。B3 はアルケニレン基、ア
リーレン基、ヘテロリレン基(好ましい例はB1 、B2
と同じ)、酸素、硫黄を表し、好ましくはアリーレン
基、ヘテロリレン基を表す。
【0024】一般式(I)中、cは0または1を表し、
cが1の時、Za、ZbとB1 、B 2 が互いに連結して
環を形成してもよい。環として好ましくは芳香族環(好
ましくは例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラ
セン環、ピリジン環、ピラジン環)である。
【0025】一般式(I)にてW1 は電荷を中和させる
のに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。ある色素
が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン
電荷を持つかどうかは、その金属、配位子、及び置換基
に依存する。置換基が解離性基を有する場合、解離して
負電荷を持ってもよく、この場合にも分子全体の電荷は
1 によって中和される。典型的な陽イオンは無機また
は有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルア
ンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)およびアルカ
リ金属イオン、プロトンであり、一方、陰イオンは具体
的に無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであっ
てもよく、例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ
化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イ
オン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−
トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホ
ン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、
1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタ
レンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホ
ン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫
酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素
酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオ
ロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオ
ン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられ
る。さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマーあ
るいは、色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよい
し、金属錯イオン(例えば、ビスベンゼン−1,2−ジ
チオラトニッケル(III) )も可能である
【0026】一般式(I)中、Za、Zbはそれぞれ独
立に、4個の窒素と共に環を形成する非金属原子群を表
し、形成される環の原子は炭素、水素、酸素、窒素、硫
黄、リン、ハロゲンから成ることが好ましく、炭素、水
素、窒素からなることが更に好ましい。また、形成され
る環上の原子は互いに結合して環(脂肪族環、芳香族環
等)を形成してもよい。なお、M1 、M2 と窒素とのい
ずれの結合も共有結合でも配位結合でもよい。Za、Z
bと4個の窒素から形成される環としては、フタロシア
ニン、ポルフィリン、テトラアザポルフィリン、クロロ
フィル等が好ましく、フタロシアニン、ポルフィリン、
テトラアザポルフィリンがより好ましく、さらに好まし
くは独立に一般式(II)で表される。
【0027】一般式(II)中、R11はカルボキシル基、
スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
スホリル基、ホスホニル基またはそれらが置換した置換
基を表し、好ましい例はR1 〜R4 と同じである。R12
は置換基を表し、好ましくは、アルキル基(好ましくは
C数1〜20、例えばメチル、エチル、i−プロピル、
t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチ
ル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシル
メチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例
えばビニル、アリル、オレイル)、アルキニル基(好ま
しくはC数2〜20、例えばエチニル、ブタジイニル、
トリメチルシリルエチニル)、シクロアルキル基(好ま
しくはC数3〜20、例えばシクロプロピル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシ
ル)、アリール基(好ましくはC数6〜26、例えばフ
ェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−ク
ロロフェニル、3−メチルフェニル、3,5−ジ−t−
ブチルフェニル)、ヘテロ環基(ヘテロ原子として窒
素、酸素、硫黄、セレン、テルルの各原子が好ましく、
好ましくはC数1〜20、例えば、4−ピリジル、1−
イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリ
ル、2−オキサゾリル)、アルコキシ基(好ましくはC
数1〜20、例えばメトキシ、i−プロピルオキシ)、
アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えばフ
ェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキ
シ、4−メトキシフェノキシ)、アルコキシカルボニル
基(好ましくはC数2〜20、例えばエトキシカルボニ
ル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)、アミノ基
(好ましくはC数0〜20、例えばアミノ、N,N−ジ
メチルアミノ、アニリノ)、アシル基(好ましくはC数
1〜20、例えばアセチル、ベンゾイル)、スルホンア
ミド基(好ましくはC数0〜20、例えばN,N−ジメ
チルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド)、
アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセ
チルオキシ、ベンゾイルオキシ)、カルバモイル基(好
ましくはC数1〜20、例えばN,N−ジメチルカルバ
モイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基
(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベ
ンゾイルアミノ)、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフ
ッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を表し、より好ましくはア
ルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ア
ルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシ
ルアミノ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子を表し、さ
らに好ましくはアルコキシ基、アルコキシカルボニル
基、アミノ基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、ハロ
ゲン原子を表す。
【0028】一般式(II)中、a11は0〜8の整数を
表し、好ましくは2〜8の整数を表し、より好ましくは
2、4または8を表す。a12は0〜8の整数を表し、
好ましくは0、4、8を表す。A1 〜A4 はそれぞれ独
立に窒素または=CR13−を表す。R13は置換基を表
し、好ましくは水素、カルボキシル基、スルホン酸基、
ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基、ホ
スホニル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコ
キシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、
アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、シアノ基、ハ
ロゲン原子を表し(好ましい例はR12と同じ)、より好
ましくは水素、カルボキシル基、アルキル基、アルケニ
ル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
【0029】R11、R12は環上のいずれの位置に置換し
てもよく、a11が2以上の時、R 11は同じでも異なっ
てもよい。a12が2以上の時、R12は同じでも異なっ
てもよく、互いに連結して環を形成してもよく、ベンゼ
ン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環等を形成
してもよい。環として好ましくはベンゼン環である。な
お、R12は一般式(I)における連結基B1 、B2 にな
りうる。
【0030】さらに、一般式(I)の色素にて窒素とZ
a、窒素とZbにて形成される環がそれぞれ独立に一般
式(III ―1)〜(III −3)で表されることがより好
ましい。一般式(III −1)〜(III −3)中、R21
23はそれぞれ独立にカルボキシル基、スルホン酸基、
ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基、ホ
スホニル基またはそれらが置換した置換基を表し、好ま
しい例はR1 〜R3 、R11と同じである。R24〜R26
それぞれ独立に置換基を表し、好ましい例はR12と同じ
である。a21〜a23はそれぞれ独立に0〜8の整数
を表し、好ましくは2〜8の整数を表し、より好ましく
は2、4、8を表す。a24〜a26はそれぞれ独立に
0〜8の整数を表し、好ましくは0、4、8を表す。
【0031】R21、R22、R23はそれぞれ、環上のいず
れの位置に置換してもよく、a21が2以上の時、R21
は同じでも異なってもよく、a22が2以上の時、R22
は同じでも異なってもよく、a23が2以上の時、R23
は同じでも異なってもよい。a24が2以上の時、R24
は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成し
てもよい。a25が2以上の時、R25は同じでも異なっ
てもよく、互いに連結して環を形成してもよい。a26
が2以上の時、R26は同じでも異なってもよく、互いに
連結して環を形成してもよい。形成される環としてはベ
ンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環等が
好ましい。なお、R24、R25、R26は一般式(I)にお
ける連結基B1 、B2 になりうる。
【0032】一般式(I)の色素は一般式(IV−1)〜
(IV―4)で表されることがより好ましい。一般式(IV
−1)〜(IV−4)中、M1 、M2 、R3 、R4 、L
1 、L2 、a3,a4、b1、b2、W1 は一般式
(I)と同義である。R31〜R36はそれぞれ独立にカル
ボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキ
サム酸基、ホスホリル基、ホスホニル基またはそれらが
置換した置換基を表し、好ましい例はR11、R21〜R23
と同じである。R37〜R42はそれぞれ独立に置換基を表
し、好ましい例はR12、R24〜R26と同じである。a3
1〜a35、a37〜a41はそれぞれ独立に0〜8の
整数を表し、a36、a42は0〜6の整数を表す。
【0033】一般式(IV―1)〜(IV−4)にて、R31
〜R36はそれぞれの環上のいずれの位置に置換してもよ
く、a31が2以上の時、R31は同じでも異なってもよ
く、a32が2以上の時、R32は同じでも異なってもよ
く、a33が2以上の時、R 33は同じでも異なってもよ
く、a34が2以上の時、R34は同じでも異なってもよ
く、a35が2以上の時、R35は同じでも異なってもよ
く、a36が2以上の時、R36は同じでも異なってもよ
い。a37が2以上の時、R37は同じでも異なってもよ
く、互いに連結して環を形成してもよい。a38が2以
上の時、R38は同じでも異なってもよく、互いに連結し
て環を形成してもよい。a39が2以上の時、R39は同
じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成しても
よい。a40が2以上の時、R40は同じでも異なっても
よく、互いに連結して環を形成してもよい。a41が2
以上の時、R 41は同じでも異なってもよく、互いに連結
して環を形成してもよい。a42が2以上の時、R42
同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成して
もよい。形成される環としては好ましくはベンゼン環、
ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環等である。
【0034】一般式(IV−1)にてB31はアルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、
ヘテロリレン基(以上好ましい例はB1 、B2 と同
じ)、酸素、硫黄を表し、好ましくはアルケニレン基、
アルキニレン基、アリーレン基を表し、より好ましくは
アルキニレン基を表し、さらに好ましくはエチニレン基
(−C≡C−)、ブタジイニレン基(−C≡C−C≡C
−)を表す。d31は0または1を表し、1であること
が好ましい。
【0035】一般式(IV−2)及び(IV−4)にてB32
はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ア
リーレン基、ヘテロリレン基(以上好ましい例はB1
2と同じ)、酸素、硫黄、−C≡C−B33−C≡C−
を表し、B33はアルケニレン基、アリーレン基、ヘテロ
リレン基(以上好ましい例はB3と同じ)、酸素、硫黄
を表す。B32は好ましくはアルケニレン基、アルキニレ
ン基、−C≡C−B33−C≡C−を表し、より好ましく
はエチニレン基、ブタジイニレン基、−C≡C−B33
C≡C−を表し、B33は好ましくはアリーレン基、ヘテ
ロリレン基を表す。d32は0または1を表し、1であ
ることが好ましい。
【0036】一般式(IV−3)にてA31〜A36はそれぞ
れ独立に窒素または=CR43−を表し、R43は置換基を
表す。それぞれ好ましい例はA1 〜A4 、R13と同じで
ある。A31〜A36は=CR43−であることがより好まし
い。
【0037】ただし、一般式(IV−1)にてa3×b
1、a4×b2、a31、a32のいずれかのうちの少
なくとも1個以上は1以上の値をとり、一般式(IV−
2)又は(IV−4)にてa3×b1、a4×b2、a3
3、a34のいずれかのうちの少なくとも1個以上は1
以上の値をとり、一般式(IV−3)にてa3×b1、a
4×b2、a35、a36のいずれかのうちの少なくと
も1個以上は1以上の値をとる。
【0038】一般式(IV―1)〜(IV―4)にて、a
3、a4がそれぞれ0である場合は、一般式(I)のa
1、a2、一般式(IV−1)〜(IV−4)のa31〜a
36がそれぞれ独立に2〜8の整数を表すことが好まし
く、一般式(I)、一般式(IV―1)〜(IV―4)に
て、a3、a4がそれぞれ独立に1または2である場合
は、b1、b2のどちらかは1以上であり、一般式
(I)のa1、a2、一般式(IV―1)〜(IV−4)の
a31〜a36がいずれも0であることが好ましい。
【0039】一般式(I)で表される色素は一般式(IV
―1)または(IV―3)で表されることがより好まし
い。
【0040】一般式(I)で表される色素は、半導体微
粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking grou
p)として、カルボキシル(COOH)基、スルホン酸(SO3
H)基、ホスホニル(-P(O)(OH)2)基、ホスホリル(-OP
(O)(OH)2 )基、ヒドロキサム(例えば-CONHOH )基、
ヒドロキシル基等の酸性基(解離性のプロトンを有する
置換基)を必ず1個以上有しており、好ましくは2〜2
4個有している。
【0041】以下に一般式(I)で表される本発明の色
素において、L1 、L2 の好ましい例を示すが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】次に、一般式(I)で表される本発明の色
素の具体例を示すが本発明はこれに限定されるものでは
ない。また、ここに記載した構造式はいくつも取りうる
共鳴構造のうちの1つの極限構造にすぎない。共有結合
(―で表す)と配位結合(・・・・) の区別も形式的なもの
で、絶対的な区別を表すものではない。
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】
【化19】
【0054】
【化20】
【0055】
【化21】
【0056】本発明に用いられる一般式(I)で表され
る化合物の合成は、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,37巻,986
-989頁,(1998年)、Chem.Commun., 1997年,1195-1196
頁、Chem.Commun., 1994年,1785-1786頁、J.Am.Chem.So
c., 116 巻,879-890頁,(1994年) 等に記載の方法を参考
にして行なえる。
【0057】なお、本発明では、光電変換の波長域をで
きるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、本発明の
色素と公知の色素、例えばルテニウム錯体色素、有機色
素(例えばポリメチン色素)等を併用して用いることが
できる。そして、目的とする光源の波長域と強度分布に
合わせるように混合する色素とその割合を選ぶことがで
きる。
【0058】次に、本発明の光電変換素子および光電池
の構成と材料について詳述する。本発明において色素増
感した光電変換素子は導電性支持体、導電性支持体上に
設置される色素等により増感した半導体膜(感光層)、
電荷移動層および対極からなる。この光電変換素子を外
部回路で仕事をさせる電池用途に使用できるようにした
ものが光電池である。感光層は目的に応じて設計され、
単層構成でも多層構成でもよい。感光層に入射した光は
色素等を励起する。励起された色素等はエネルギーの高
い電子を有しており、この電子が色素等から半導体微粒
子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体
に到達する。この時色素等の分子は酸化体となってい
る。光電池においては導電性支持体上の電子が外部回路
で仕事をしながら対極および電荷移動層を経て色素等の
酸化体に戻り、色素等が再生する。半導体膜はこの電池
の負極として働く。なお、本発明ではそれぞれの層の境
界において(例えば、導電性支持体の導電層と感光層の
境界、感光層と電荷移動層の境界、電荷移動層と対極の
境界など)、各層の構成成分同士が相互に拡散して混合
していてもよい。
【0059】本発明において、半導体はいわゆる感光体
であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ず
る役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およ
びこれによる電子および正孔の発生は主として色素にお
いて起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役
割を担う。
【0060】半導体としてはシリコン、ゲルマニウムの
ような単体半導体の他に、III −V系化合物半導体、金
属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物
等)またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用
することができる。金属のカルコゲニドとして好ましく
はチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウ
ム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、も
しくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、
アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレ
ン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。化合
物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミ
ウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅−インジウム−セ
レン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。ま
た、ペロブスカイト構造を有する化合物として好ましく
はチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタ
ン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム
が挙げられる。
【0061】本発明に用いられる半導体としてより好ま
しくは、具体的にはSi、TiO2、SnO2、Fe2O3 、WO3 、Zn
O 、Nb2O5 、CdS 、ZnS 、PbS 、Bi2 S3、CdSe、CdTe、
GaP、InP 、GaAs、CuInS2、CuInSe2 が挙げられる。さ
らに好ましくはTiO2、ZnO 、SnO2、Fe2O3 、WO3 、Nb2O
5 、CdS 、PbS 、CdSe、InP 、GaAs、CuInS2、CuInSe 2
であり、特に好ましくは、TiO2またはNb2O5 であり、最
も好ましくはTiO2である。
【0062】本発明に用いられる半導体は、単結晶で
も、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好まし
いが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバック
タイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートル
からマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好まし
い。
【0063】これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積
を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子
として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜1
00nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体
微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜10
0μm であることが好ましい。
【0064】また、2種類以上の粒子サイズ分布の異な
る微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒
子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。ま
た、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、
粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子
を混合してもよい。
【0065】半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾ
ルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、技術
情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995)等に記載のゾルーゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」 まてりあ、第35巻、第9号 1012
頁から1018頁(1996)記載のゲルーゾル法が好
ましい。
【0066】またDegussa社が開発した塩化物を
酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法
も好ましい。
【0067】また酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル
法、ゲルーゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解
法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン
物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫
酸法、塩素法を用いることもできる。
【0068】酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法の
うち特にバーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・
セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、31
57ページから3171ページ(1997)」記載のも
のと、バーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ 第
10巻 第9号、2419ページから2425ページ」
記載の方法が好ましい。
【0069】導電性支持体は、金属のように支持体その
ものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む
導電層(導電剤層)を有するガラスもしくはプラスチッ
クの支持体を使用することができる。後者の場合好まし
い導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アル
ミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは
導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸
化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上
記導電剤層の厚さは、0.02〜10μm程度であるこ
とが好ましい。
【0070】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/□以下であ
り、さらに好ましくは40Ω/□以下である。この下限
には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0071】導電性支持体は実質的に透明であることが
好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%
以上であることを意味し、50%以上であることが好ま
しく、70%以上が特に好ましい。透明導電性支持体と
してはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化
物を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドー
ピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソー
ダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導
電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシ
ブルな光電変換素子または太陽電池には、透明ポリマー
フィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。
透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース
(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),
ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチ
ックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィ
ド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレ
ート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエス
テルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PE
I)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等があ
る。透明導電性支持体を用いる場合、光はその支持体側
から入射させることが好ましい。この場合、導電性金属
酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体
1m2当たり0.01〜100g が好ましい。
【0072】透明導電性基板の抵抗を下げる目的で金属
リードを用いることが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウム、銀が好ましい。金属リード
は透明基板に蒸着、スッパタリング等で設置し、その上
にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からな
る透明導電層を設けることが好ましい。また上記の透明
導電層を透明基板に設けたあと、透明導電層上に金属リ
ードを設置することも好ましい。金属リード設置による
入射光量の低下は1〜10%、より好ましくは1〜5%
である。
【0073】半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する
方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶
液を導電性支持体上に塗布する方法、前述のゾル−ゲル
法などが挙げられる。光電変換素子の量産化、液物性や
支持体の融通性を考えた場合、湿式の膜付与方式が比較
的有利である。湿式の膜付与方式としては、塗布法、印
刷法が代表的である。
【0074】半導体微粒子の分散液を作成する方法とし
ては前述のゾル-ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミ
ルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体
を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま
使用する方法等が挙げられる。分散媒としては水または
各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセ
トニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、
必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレ
ート剤などを分散助剤として用いてもよい。
【0075】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法、メータリング系としてエア
ーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメ
ータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58
−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米
国特許2681294号、同2761419号、同27
61791号等に記載のスライドホッパ法、エクストル
ージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機とし
てスピン法やスプレー法も好ましく用いられる。
【0076】湿式印刷方法としては、従来から凸版、オ
フセット、グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム
版、スクリーン印刷等が好ましい。
【0077】前記方法の中から、液粘度やウェット厚み
により好ましい膜付与方式を選択する。
【0078】液粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使
用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大
きく左右される。高粘度液(例えば0.01〜500Po
ise)ではエクストルージョン法やキャスト法が好まし
く、低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライド
ホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が
好ましく、均一な膜にすることが可能である。
【0079】なお、エクストルージョン法による低粘度
液の塗布の場合でも塗布量がある程度の量あれば塗布は
可能である。
【0080】また半導体微粒子の高粘度ペーストの塗設
にはしばしばスクリーン印刷が用いられており、この手
法を使うこともできる。
【0081】このように塗布液の液粘度、塗布量、支持
体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜ウェット
膜の付与方式を選択すればよい。
【0082】さらに、半導体微粒子含有層は単層と限定
する必要はない。微粒子の粒径の違った分散液を多層塗
布することも可能であり、また半導体の種類が異なる、
あるいはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多
層塗布することもでき、また一度の塗布で膜厚が不足の
場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクス
トルージョン法またはスライドホッパー法が適してい
る。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても
良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに
順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用
できる。
【0083】一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大
するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため
光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増
すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがっ
て、半導体微粒子含有層には好ましい厚さが存在する
が、典型的には0.1〜100μmである。光電池とし
て用いる場合は1〜30μmであることが好ましく、2
〜25μmであることがより好ましい。半導体微粒子の
支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜400g 、さらに
は5〜100g が好ましい。
【0084】半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後
に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗
膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加
熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは1
00℃以上600℃以下である。また加熱処理時間は1
0分〜10時間程度である。ポリマーフィルムなど融点
や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持
体の劣化を招くため、好ましくない。また、コストの観
点からもできる限り低温であることが好ましい。低温化
は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や
鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。
【0085】また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を
増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から
半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四
塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水
溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0086】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積
は、投影面積に対して10倍以上であることが好まし
く、さらに100倍以上であることが好ましい。この上
限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0087】半導体微粒子に色素を吸着させる方法は色
素溶液中によく乾燥した半導体微粒子を含有する作用電
極を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体微粒子層に
塗布して吸着させる方法を用いることができる。前者の
場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法
などが使える。後者の塗布方法としては、ワイヤーバー
法、スライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテ
ン法、スピン法、スプレー法があり、印刷方法として
は、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等が
ある。溶媒は色素の溶解性に応じて適宜選択できる。例
えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t−ブ
タノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセ
トニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオ
ニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジ
クロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロ
ベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類
(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セタミド等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチ
ルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エ
ステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル
類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン
等)、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘキ
サノン等)、炭化水素(ヘキサン、石油エーテル、ベン
ゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0088】液粘度も半導体微粒子層の形成時と同様
に、高粘度液(例えば0.01〜500Poise)ではエ
クストルージョン法の他、各種印刷法が、低粘度液(例
えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法もしく
はワイヤーバー法もしくはスピン法が適していて、均一
な膜にすることが可能である。
【0089】このように色素塗布液の液粘度、塗布量、
支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜付与
方式を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間
は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0090】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱にな
るため、吸着後速やかに洗浄によって除去することが好
ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶
剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うの
がよい。また、吸着色素量を増大させるため、加熱処理
を吸着前に行うことが好ましい。加熱処理後、半導体微
粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず
40〜80℃の間で素早く色素を吸着させることも好ま
しい。
【0091】色素の使用量は、全体で、支持体1m2当た
り0.01〜100m モルが好ましい。また、色素の半
導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1g に対して
0.01〜1m モルが好ましい。このような色素量とす
ることによって、半導体における増感効果が十分に得ら
れる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分
となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない
色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
【0092】また、会合など色素同士の相互作用を低減
する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着
させる疎水性化合物としてはカルボキシ基を有するステ
ロイド化合物(例えばケノデオキシコール酸)等が挙げ
られる。また、紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0093】また、余分な色素の除去を促進する目的
で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子
の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピ
リジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジ
ン等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用い
てもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0094】以下、電荷移動層と対極について詳しく説
明する。電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機
能を有する層である。本発明で用いることのできる代表
的な電荷移動層の例としては酸化還元対を有機溶媒に溶
解した液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解し
た液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電
解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
さらには固体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いる
こともできる。
【0095】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒、
および添加物から構成されることが好ましい。本発明の
電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としては
LiI、NaI、KI、CsI、CaI2 などの金属ヨ
ウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイ
ド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイ
ドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br
2 と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、N
aBr、KBr、CsBr、CaBr2 などの金属臭化
物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、
ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の
臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン
酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯
体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキル
ジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒ
ドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中
でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリ
ウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩
を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。上述した
電解質は混合して用いてもよい。また、電解質はEP-718
288 号、WO95/18456号、J. Electrochem. Soc., Vol.14
3,No.10,3099(1996)、Inorg. Chem. 1996,35,1168-1178
に記載された室温で溶融状態の塩(溶融塩)を使用する
こともできる。溶融塩を電解質として使用する場合、溶
媒は使用しなくても構わない。
【0096】好ましい電解質濃度は0.1M 以上15M
以下であり、さらに好ましくは0.2M 以上10M 以下で
ある。また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましい
ヨウ素の添加濃度は0.01M 以上0.5M 以下であ
る。
【0097】本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く
有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝
導性を発現できる化合物であることが望ましい。このよ
うな溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−
2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサ
ン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレン
グリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコール
ジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエー
テルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレン
グリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
モノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多
価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキ
シド(DMSO)、スルフォランなど非プロトン極性物
質、水などを用いることができる。
【0098】また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc .,
80 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなter-ブ
チルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の
塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を
添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M 以上2M以下で
ある。
【0099】本発明では、電解質はポリマー添加、オイ
ルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマ
ーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使
用することもできる。ポリマー添加によりゲル化させる
場合は、¨Polymer Electrolyte Revi ews-1および2 ¨
(J.R.MacCallumとC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLI
ED SCIENCE) に記載された化合物を使用することができ
るが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデ
ンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添
加によりゲル化させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind.
Chem.Sec., 46,779(1943), J. Am. Chem. Soc., 111,
5542(1989), J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 39
0, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,1949(1996), Che
m. Lett., 1996, 885, J. Chm. Soc., Chem. Commun.,
1997,545 に記載されている化合物を使用することがで
きるが、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有
する化合物である。
【0100】ゲル電解質を多官能モノマー類の重合によ
って形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電
解質、溶媒から溶液を調製し、キャスト法,塗布法,浸
漬法、含浸法などの方法により色素を担持した電極上に
ゾル状の電解質層を形成し、その後ラジカル重合するこ
とによってゲル化させる方法が好ましい。多官能性モノ
マーはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であ
ることが好ましく、例えばジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジメタクリレート、エチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアク
リレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレートが好ましい例として挙げら
れる。ゲル電解質を構成するモノマー類はこの他に単官
能モノマーを含んでいてもよく、アクリル酸またはα−
アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から
誘導されるエステル類もしくはアミド類(例えばN−is
o−プロピルアクリルアミド、アクリルアミド、2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリ
ルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、
メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、
n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアク
リレートなど)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニ
ル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステ
ル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチ
ル、フマル酸ジエチルなど)、マレイン酸、フマル酸、
p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエ
ン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル
化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、スチレ
ンスルホン酸ナトリウム)、含窒素複素環を有するビニ
ル化合物、4級アンモニウム塩を有するビニル化合物、
N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホル
ムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリ
ウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライ
ド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエ
ーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブ
テン、N−フェニルマレイミド等を好ましく使用するこ
とができる。モノマー全量に占める多官能性モノマーの
好ましい重量組成範囲は0.5 重量%以上70重量% 以下で
あることが好ましく、さらに好ましくは1.0 重量%以上
50重量%以下である。
【0101】上述のモノマーは、大津隆行・木下雅悦共
著:高分子合成の実験法(化学同人)や大津隆行:講座
重合反応論1ラジカル重合(I)(化学同人)に記載さ
れた一般的な高分子合成法であるラジカル重合によって
重合することができる。本発明で使用できるゲル電解質
用モノマーは、加熱、光、電子線、また電気化学的にラ
ジカル重合することができるが、特に加熱によってラジ
カル重合させることが好ましい。架橋高分子が加熱によ
り形成される場合に好ましく使用される重合開始剤は、
例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネー
ト)(ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート)な
どのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸
化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量は
モノマー総量に対し0.01重量%以上20重量%以下
であり、さらに好ましくは0.1重量%以上10重量%
以下である。
【0102】ゲル電解質に占めるモノマー類の重量組成
範囲は0.5 重量% 以上70重量% 以下であることが好まし
く、さらに好ましくは1.0 重量%以上50重量%以下であ
る。
【0103】また、ポリマーの架橋反応により電解質を
ゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリ
マーおよび架橋剤を併用することが望ましい。この場
合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例
えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オ
キサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリ
ジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤
は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試
薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキ
ル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イ
ソシアネートなど)である。
【0104】本発明では、電解質の替わりに有機または
無機あるいはこの両者を組み合わせた正孔輸送材料を使
用することができる。本発明に適用可能な有機正孔輸送
材料としては、N ,N'−ジフエニル-N、N'−ビス(4−
メトキシフェニル)−(1 ,1'−ビフェニル)-4,4'−
ジアミン(J.Hagen et al.,Synthetic Metal 89(1997)21
5-220 )、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシ
フェニルアミン)9,9'−スピロビフルオレン(Nature,V
ol.395, 8 Oct. 1998,p583-585およびWO97/10617)、1,
1-ビス{4-(ジ−p−トリルアミノ)フェニル}シクロ
ヘキサンの3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族
ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4 ,4 ,
−ビス[(N-1-ナフチル)‐N-フェニルアミノ]ビフェ
ニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上
の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特
開平5 −234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導
体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米
国特許第4,923,774 号、特開平4 −308688号公報)、N
,N'−ジフエニル-N、N'−ビス(3-メチルフェニル)
−(1 ,1'−ビフェニル)-4,4'−ジアミン等の芳香族
ジアミン(米国特許第4,764,625 号)、α,α,α' ,
α'-テトラメチル−α,α'-ビス(4-ジ-p−トリルアミ
ノフェニル)-p−キシレン(特開平3 −269084号公
報)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子全体として立
体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4 −
129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数
個置換した化合物(特開平4 −175395号公報)、エチレ
ン基で3級芳香族アミンユニツトを連結した芳香族ジア
ミン(特開平4 −264189号公報)、スチリル構造を有す
る芳香族ジアミン(特開平4 −290851号公報)、ベンジ
ルフェニル化合物(特開平4 −364153号公報)、フルオ
レン基で3級アミンを連結したもの(特開平5 −25473
号公報)、トリアミン化合物(特開平5 −239455号公
報)、ピスジピリジルアミノビフェニル(特開平5 −32
0634号公報)、N ,N ,N −トリフェニルアミン誘導体
(特開平6 −1972号公報)、フェノキザジン構造を有す
る芳香族ジアミン(特開平7 −138562号)、ジアミノフ
エニルフエナントリジン誘導体(特開平7 −252474号)
等に示される芳香族アミン類、α-オクチルチオフェン
およびα, ω−ジヘキシル−α−オクチルチオフェン
(Adv. Mater. 1997,9,N0.7,p557) 、ヘキサドデシルド
デシチオフェン(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 3
4, No.3,p303-307) 、2,8-ジヘキシルアンスラ[2,3-b:
6,7-b']ジチオフェン(JACS,Vol120, N0.4,1998,p664-67
2) 等のオリゴチオフェン化合物、ポリピロール(K. Mu
rakoshi et al.,;Chem. Lett. 1997, p471 )、¨ Hand
book of Organic Conductive Molecules and Polymers
Vol.1,2,3,4¨(NALWA 著、WILEY 出版)に記載されて
いるポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニ
レン) およびその誘導体、ポリ( p-フェニレンビニレ
ン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよび
その誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリア
ニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘
導体等の導電性高分子を好ましく使用することができ
る。また、有機正孔(ホール)輸送材料にはNature,Vo
l.395, 8 Oct.1998,p583-585に記載されているようにド
ーパントレベルをコントロールするためにトリス(4-
ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネー
トのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加し
たり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷
層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添
加しても構わない。
【0105】有機正孔輸送材料は真空蒸着法,キャスト
法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光
電解重合法等の手法により電極内部に導入することがで
きる。また、正孔輸送材料を電解液の替わりに使用する
ときは短絡防止のためElectorochim. Acta 40, 643-652
(1995)に記載されているスプレーパイロリシス等の手法
を用いて二酸化チタン薄層を下塗り層として塗設するこ
とが好ましい。
【0106】無機固体化合物を電解質の替わりに使用す
る場合、ヨウ化銅(p-CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys. 31
(1998)1492-1496 )、チオシアン化銅(Thin Solid Fil
ms261(1995)307-310 、J. Appl. Phys. 80(8),15 Octob
er 1996, p4749-4754、Chem.Mater. 1998, 10, 1501-15
09 、Semicond. Sci. Technol. 10, 1689-1693 )等を
キャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解メ
ッキ法等の手法により電極内部に導入することができ
る。
【0107】電荷移動層の形成方法に関しては2通りの
方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた半導体
微粒子含有層の上に先に対極を貼り合わせておき、その
間隙に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。もう1
つは半導体微粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する
方法で、対極はその後付与することになる。
【0108】前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法と
して、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと
常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロ
セスが利用できる。
【0109】後者の場合、湿式の電荷移動層においては
未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置
も施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗
布して重合等の方法により固体化する方法もあり、その
場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもで
きる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質
を付与する方法としては、半導体微粒子含有層や色素の
付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアー
ナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー
法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト
法、各種印刷法等が考えられる。固体電解質や固体の正
孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法
等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極
を付与することもできる。
【0110】量産化を考える場合、固体化できない電解
液や湿式の正孔輸送材料の場合には、塗設後速やかにエ
ッジ部分を封止することで対応も可能であるが、固体化
可能な正孔輸送材料の場合は湿式付与により正孔輸送層
を膜形成した後、例えば光重合や熱ラジカル重合等の方
法により固体化することがより好ましい。このように膜
付与方式は液物性や工程条件により適宜選択すればよ
い。
【0111】なお、電荷移動層中の水分としては10,
000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは2,0
00ppm以下であり、特に好ましくは100ppm以
下である。
【0112】対極は、光電変換素子を光電池としたと
き、光電池の正極として働くものである。対極は通常前
述の導電性支持体と同様に導電性層を有する支持体を用
いることもできるが、強度や密封性が十分に保たれるよ
うな構成では支持体は必ずしも必要でない。具体的に対
極に用いる導電性の材料としては金属(例えば白金、
金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム
等)、炭素、または導電性の金属酸化物(インジウム−
スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの
等)が挙げられる。対極の厚さは、特に制限はないが、
3nm以上10μm以下であることが好ましい。金属材料
である場合は、その膜厚は好ましくは5μm以下であ
り、さらに好ましくは5nm以上3μm以下の範囲であ
る。
【0113】感光層に光が到達するためには、前述の導
電性支持体と対極の少なくとも一方は実質的に透明でな
ければならない。本発明の光電池においては、導電性支
持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるの
が好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有する
ことがさらに好ましい。本発明において対極としては金
属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラス
チック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0114】対極の塗設については電荷移動層の付与で
記したように、電荷移動層の上に付与する場合と先に半
導体微粒子含有層上に付与する場合の2通りある。いず
れの場合も、対極材の種類や電荷移動層の種類により、
適宜、電荷移動層上または半導体微粒子含有層上に対極
材を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの方法に
より形成可能である。例えば、対極を貼り合わせる場合
は、上記の導電性材料を塗布、蒸着、CVD等の手法に
より導電層として設けられた基板を貼り合わせることが
できる。また、電荷移動層が固体の場合には、その上に
直接、前述の導電性材料を塗布、メッキ、PVD、CV
D等の手法で対極を形成することができる。
【0115】さらに、作用電極の導電性支持体または対
極に保護層、反射防止膜など、必要な他の機能の層を設
けることも可能である。このような層を多層にて機能分
離させる場合、同時多層塗布や逐次で塗布することが可
能であるが、生産性を優先させると同時多層塗布がより
好ましい。同時多層塗布では、生産性および膜付与均一
性を考えた場合、スライドホッパー法やエクストルージ
ョン法が適している。また、これらの機能層はその材料
により、蒸着や貼り付けなどの手法を用いて設けること
もできる。
【0116】本発明の光電池では構成物の劣化や内容物
の揮散を防止するために電池の側面をポリマーや接着剤
等で密封するのが好ましい。
【0117】次に本発明の光電変換素子をいわゆる太陽
電池に適用する場合のセル構造およびモジュール構造に
ついて説明する。
【0118】色素増感型太陽電池のセル内部の構造は、
基本的には上述した光電変換素子や光電池と同じである
が、図2または図3に示すように目的に合わせ様々な形
態が可能である。大きく二つに分ければ、両面から光の
入射が可能な構造[図2(a)(d)、図3(g)]
と、片面からのみ可能なタイプ[図2(b)(c)、図
3(e)(f)(h)]である。
【0119】図2(a)は、透明導電層12間に、色素
吸着半導体微粒子含有層である色素吸着TiO2 層10
と、電荷移動層11とを介在させた構造である。図2
(b)は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、
さらに透明導電層12を設け、下塗り層14、色素吸着
TiO2 層10、電荷移動層11および金属層8をこの
順で設け、さらに支持基板15を配置した構造である。
図2(c)は、支持基板15上にさらに金属層8を有
し、下塗り層14を介して色素吸着TiO2 層10を設
け、さらに電荷移動層11と透明導電層12とを設け、
一部に金属リード9を設けた透明基板13を、金属リー
ド9側を内側にして配置した構造である。図2(d)
は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、さらに
透明導電層12を設けたものの間に下塗り層14と色素
吸着TiO2 層10と電荷移動層11とを介在させた構
造である。図3(e)は、透明基板13上に透明導電層
12を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO2
10を設け、さらに電荷移動層11および金属層8を設
け、この上に支持基板15を配置した構造である。図3
(f)は、支持基板15上に金属層8を有し、下塗り層
14を介して色素吸着TiO2 層10を設け、さらに電
荷移動層11および透明導電層12を設け、この上に透
明基板13を配置した構造である。図3(g)は、透明
導電層12を有する透明基板13間に、透明導電性層1
2を内側にして、下塗り層14、色素吸着TiO2 層1
0および電荷移動層11を介在させた構造である。図3
(h)は、支持基板15上に金属層8を設け、下塗り層
14を介して色素吸着TiO2 層10を設け、さらに固
体の電荷移動層16を設け、この上に一部金属層8また
は金属リード9を有する構造である。
【0120】本発明の色素増感型太陽電池のモジュール
構造は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様の
構造をとりうる。一般的には、金属・セラミック等の支
持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護
ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構
造とすることができるが、支持基板に強化ガラス等の透
明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持
基板側から光を取り込むことも可能である。具体的に
は、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイ
プ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造ある
いはアモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基
板一体型などのモジュール構造が可能である。これらの
モジュール構造は使用目的や使用場所(環境)により適
宜選択できる。本発明の素子を基板一体型でモジュール
化した例を図4に示す。
【0121】図4の構造は、透明基板13の一方の面上
に透明導電層12を有し、この上にさらに色素吸着Ti
2 層10、固体の電荷移動層16および金属層8を設
けたセルをモジュール化したものであり、透明基板13
の他方の面には反射防止層17が設けられている。この
場合、入射光の利用効率を高めるために、感光部である
色素吸着TiO2 層10の面積比率(光の入射面である
透明基板13側から見たときの面積比率)を大きくした
方が好ましい。
【0122】スーパーストレートタイプやサブストレー
トタイプの代表的な構造は、片側または両側が透明で反
射防止処理を施された支持基板の間に、一定間隔にセル
が配置され、隣り合うセル間が金属リードまたはフレキ
シブル配線等によって接続されており、外縁部に集電電
極を配置して、発生した電力を外部に取り出す構造にな
っている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率
アップのため、目的に応じ、エチレンビニルアセテート
(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフイルム
または充填樹脂の形で用いることができる。また、外部
からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必
要のない場所に使う場合には、表面保護層を透明プラス
チックフイルムで構成したり、または、上記充填・封止
材料を硬化させることによって保護機能を付与し、片側
の支持基板をなくすことも可能である。支持基板の周囲
は、内部の密封およびモジュールの剛性確保のため、金
属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板と
フレームの間は封止材で密封シールする。
【0123】また、セルそのものや支持基板、充填材お
よび封止部材に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太
陽電池を構成することもできる。このように、使用目的
や使用環境に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池
を製作することができる。
【0124】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロ
ント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上に
セルを封止材・セル間接続用リード線・背面封止材等と
共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを乗
せ、外縁部にフレームをセットして作ることができる。
【0125】一方、サブストレートタイプの場合、基板
供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等
で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード線
・封止材等と共に順次積層した後、フロントカバーを乗
せ、周縁部にフレームをセットして作製することができ
る。
【0126】図4に示した構造のモジュールは、支持基
板上に透明電極・感光層・電荷移動層・裏面電極等が立
体的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ・選
択エッチング・CVD・PVDといった半導体プロセス
技術、あるいはパターン塗布または広幅で塗布した後に
レーザースクライビングやプラズマCVM(Solar Ener
gy Materials and Solar Cells, 48, p373-381等に記
載)または研削等の機械的手法などの方法でパターニン
グすることができ、これらにより所望のモジュール構造
を得ることができる。
【0127】以下にその他の部材や工程について詳述す
る。封止材料としては、液状のEVA(エチレンビニル
アセテート)やフッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹
脂混合物フイルム状のEVA等、耐候性付与・電気絶縁
性付与・集光効率向上・セル保護性(耐衝撃性)向上等の
目的に応じ様々な素材が使用可能である。
【0128】これらを、セル上に固定する方法として
は、封止材の物性に合わせ、フイルム状の素材ではロー
ル加圧後加熱密着や真空加圧後加熱密着、液またはペー
スト状の材料ではロールコート、バーコート、スプレー
コート、スクリーン印刷等の様々な方法がある。
【0129】また、透明フィラーを封止材に混入して強
度を上げたり、光透過率を上げることができる。
【0130】モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの
間は、耐候性・防湿性が高い樹脂を使って封止するとよ
い。
【0131】支持基板としてPET・PEN等の可撓性
素材を用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してそ
の上にセルを構成した後、上記の方法で連続して封止層
を積層することができ、生産性の高い工程を造ることが
できる。
【0132】発電効率を上げるため、モジュールの光取
り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には反
射防止処理が施される。これには、反射防止膜をラミネ
ートする方法、反射防止層をコーティングする方法があ
る。
【0133】また、セルの表面をグルービングまたはテ
クスチャリング等の方法で処理することによって入射し
た光の利用効率を高めることが可能である。
【0134】発電効率を上げるためには、光を損失なく
モジュール内に取り込むことが最重要だが、光電変換層
を透過してその内側まで到達した光を反射させて光電変
換層側に効率良く戻すことも重要である。このために
は、支持基板面を鏡面研磨した後、AgやAl等を蒸着
またはメッキする方法、セルの最下層にAl−Mgまた
はAl−Tiなどの合金層を反射層として設ける方法、
あるいは、アニール処理によって最下層にテクスチャー
構造を作り反射率を高める方法等がある。
【0135】発電効率を上げるためには、セル間接続抵
抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味で重
要である。
【0136】ワイヤーボンディングや導電性のフレキシ
ブルシートで接続するのが一般的だが、導電性粘着テー
プや導電性接着剤を使ってセルの固定機能と電気的な接
続機能を兼ねる方法、導電性ホットメルトを所望の位置
にパターン塗布する方法等が有る。
【0137】ポリマーフィルムなどのフレキシブル支持
体を使った太陽電池では、ロール状の支持体を送り出し
ながら半導体の塗設の説明で示した方法によって、順
次、セルを形成・所望のサイズに切断した後、周縁部を
フレキシブルで防湿性のある素材でシールして、電池本
体を作製できる。また、Solar Energy Materials andSo
lar Cells, 48, p383-391記載の「SCAF」とよばれ
るモジュール構造とすることもできる。
【0138】フレキシブル支持体の太陽電池では、更に
これを曲面ガラス等に接着固定して使用することもでき
る。
【0139】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0140】合成例1:錯体色素の合成 以下に本発明の錯体色素の合成例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。 (1)D−64の合成
【0141】
【化22】
【0142】テトラシアノベンゼン1、1.7g(9.
6mmol)を0.15gのナトリウムを含むメタノー
ル150mlに溶解した。室温にてアンモニアガスを3
0分吹き込み、生じた結晶をろ別してメタノールで洗浄
し、2の結晶1.0gを得た。
【0143】3、0.57g(3mmol)、2、0.
21g(1mmol)を2−(N、N−ジメチルアミ
ノ)エタノール25mlに溶解し44時間還流した。冷
却後水200mlにあけて、生じた結晶をろ別し、水及
びメタノールにて洗浄した。シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:メタノール=1
0:1)にて注意深く分離、精製しD−64の結晶0.
15gを得た。構造はNMR及びMSスペクトルにて確
認した。
【0144】(2)D−63の合成 D−64の結晶0.060g(0.034mmol)と
0.10g(0.54mmol)の無水酢酸亜鉛を、1
0mlの2−メトキシエタノール/トルエン=1/4に
加え、Ar雰囲気下120℃にて22時間加熱した。濃
縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶
媒:2−メトキシエタノール/トルエン=1/50)に
て精製し、D−63の結晶59mgを得た(収率92
%)。構造はMSスペクトルで確認した。
【0145】(3)他の色素の合成 以下の実施例に用いた他の色素も、 Angew.Chem.Int.E
d.Engl., 37巻,986-989頁,(1998年) 、Chem.Commun., 1
997年,1195-1196頁、Chem.Commun., 1994年,1785-1786
頁、J.Am.Chem.Soc., 116 巻,879-890頁,(1994年) 等の
文献およびその中に引用された方法を参考にして、上記
合成例と同様にして、合成することができる。
【0146】実施例1:(1)二酸化チタン分散液の調
【0147】内側をテフロンコーティングした内容積2
00mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本ア
エロジル社 Degussa P−25)15g、水4
5g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X−
100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッ
カトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル
(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて2時
間分散した。分散物からジルコニアビーズをろ過して除
いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μm
であった。このときの粒径はMALVERN社製マスタ
ーサイザーにて測定したものである。
【0148】(2)色素を吸着したTiO2 電極の作製
【0149】フッ素をドープした酸化スズをコーティン
グした導電性ガラス(旭硝子製TCOガラス-Uを20mm
×20mmの大きさに切断加工したもの)の導電面側にガ
ラス棒を用いて上記の分散液を塗布した。この際、導電
面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペー
サーとし、粘着テープが両端に来るようにガラスを並べ
て一度に8枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離
し、室温で1日間風乾した。次に、このガラスを電気炉
(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、45
0℃にて30分間焼成し、TiO2 電極を得た。この電
極を取り出し冷却した後、表1に示す色素のメタノール
溶液(いずれの色素も3×10-4モル/リットル)に1
5時間浸漬した。色素の染着したTiO2 電極を4−te
rt−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノール
で洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光
層の厚さは10μm であり、半導体微粒子の塗布量は2
0g/m2とした。なお、導電性ガラスの表面抵抗は約30
Ω/ □であった。
【0150】(3)光電池作製
【0151】上述のようにして作製した色増感されたT
iO2 電極基板(2cm×2cm)をこれと同じ大きさの白
金蒸着ガラスと重ね合わせた。次に、両ガラスの隙間に
毛細管現象を利用して電解液(3−メトキシプロピオニ
トリル)に電解質として1-メチル-3-ヘキシルイミダゾ
リウムのヨウ素塩0.65モル/リットルおよびヨウ素
0.05モル/リットルを加えたもの)をしみこませ、
TiO2 電極中に導入し、光電池を得た。本実施例によ
り、図1に示したとおり、導電性ガラス1(ガラス上に
導電剤層2が設層されたもの)、TiO2 層3、色素層
4、電解液5、白金層6およびガラス7を順に積層しエ
ポキシ系封止剤で封止された光電池が作製された。
【0152】(4)光電変換波長と光電変換効率の測定 本発明の光電変換素子の光電変換能をオプテル社製のIP
CE(Incident Photonto Current Conversion Efficienc
y) 測定装置によって測定した。それぞれの色素を用い
た光化学電池の800nmにおける光電変換効率を表1
にまとめた。
【0153】
【表1】
【0154】
【化23】
【0155】公知の比較色素1〜3は800nmにほと
んど吸収を持たないため、光電変換能をほとんど示さな
いのに対し、本発明の色素は吸収を有し光電変換能を示
すことがわかる。このように本発明のいずれの色素も可
視光のみならず赤外域においても高い光電変換能を有す
ることが出来る。
【0156】
【発明の効果】本発明により可視光〜赤外域に高い光電
変換特性を有する色素増感光電変換素子が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作成した光電池の構成を示す断面図で
ある。
【図2】光電池の基本的な構成例を示す断面図である。
【図3】光電池の基本的な構成例を示す断面図である。
【図4】基板一体型のモジュール構成例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 導電性ガラス 2 導電剤層 3 TiO2 層 4 色素層 5 電解液 6 白金層 7 ガラス 8 金属層 9 金属リード 10 色素吸着TiO2 層 11 電荷移動層 12 透明導電層 13 透明基板 14 下塗り層 15 支持基板 16 固体の電荷移動層 17 反射防止層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される色素によっ
    て増感された半導体微粒子を含むことを特徴とする光電
    変換素子。 【化1】 一般式(I)中、M1 、M2 はそれぞれ独立に金属また
    は水素原子2個、Si、P、Ge、Sb、Biを表し、
    Za、Zbはそれぞれ独立に、4個の窒素と共に環を形
    成する非金属原子群を表す。L1 、L2 はそれぞれ独立
    に金属に1座で配位しうる配位子を表す。R1 〜R4
    それぞれ独立にカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロ
    キシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基、ホスホニ
    ル基またはそれらが置換した置換基を表し、a1、a2
    はそれぞれ独立に0〜8の整数を、a3、a4はそれぞ
    れ独立に0〜4の整数を、b1、b2はそれぞれ独立に
    0〜2の整数を表す。ただし、a1、a2、a3×b
    1、a4×b2の少なくともいずれか1個以上は必ず1
    以上の値をとる。R1 は窒素とZaからなる環上のいず
    れの位置に置換してもよく、a1が2以上の時、R1
    同じでも異なってもよい。R2 は窒素とZbからなる環
    上のいずれの位置に置換してもよく、a2が2以上の
    時、R2 は同じでも異なってもよい。R3 は配位子L1
    のいずれの位置に置換してもよく、a3が2以上の時、
    3は同じでも異なってもよい。R4 は配位子L2 のい
    ずれの位置に置換してもよく、a4が2以上の時、R4
    は同じでも異なってもよい。B1 、B2 はそれぞれ独立
    に単なる結合または連結基を表し、cは0または1を表
    す。cが1の時、Za、ZbとB1 、B2 が互いに連結
    して環を形成してもよい。W1 は電荷を中和させるのに
    対イオンが必要な場合の対イオンを表す。なお、M1
    2 と窒素とのいずれの結合も共有結合でも配位結合で
    もよい。
  2. 【請求項2】 一般式(I)の色素にて、窒素とZa、
    窒素とZbにて形成される環がそれぞれ独立に一般式
    (II)で表されることを特徴とする請求項1の光電変換
    素子。 【化2】 一般式(II)中、R11はカルボキシル基、スルホン酸
    基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル
    基、ホスホニル基またはそれらが置換した置換基を表
    し、R12は置換基を表す。a11、a12はそれぞれ独
    立に0〜8の整数を表す。A1 〜A4 はそれぞれ独立に
    窒素または=CR13−を表し、R13は水素原子又は置換
    基を表す。R11、R12は環上のいずれの位置に置換して
    もよく、a11が2以上の時、R 11は同じでも異なって
    もよく、a12が2以上の時、R12は同じでも異なって
    もよく、互いに連結して環を形成してもよい。なお、R
    12は一般式(I)における連結基B1 、B2 になりう
    る。
  3. 【請求項3】 一般式(I)の色素にて窒素とZa、窒
    素とZbにて形成される環がそれぞれ独立に一般式(II
    I ―1)〜(III −3)で表されることを特徴とする請
    求項1または2の光電変換素子。 【化3】 21〜R23はそれぞれ独立にカルボキシル基、スルホン
    酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル
    基、ホスホニル基またはそれらが置換した置換基を表
    し、R24〜R26はそれぞれ独立に置換基を表す。a21
    〜a26はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。R21
    22、R23はそれぞれ、環上のいずれの位置に置換して
    もよく、a21が2以上の時、R21は同じでも異なって
    もよく、a22が2以上の時、R22は同じでも異なって
    もよく、a23が2以上の時、R23は同じでも異なって
    もよい。a24が2以上の時、R24は同じでも異なって
    もよく、互いに連結して環を形成してもよい。a25が
    2以上の時、R25は同じでも異なってもよく、互いに連
    結して環を形成してもよい。a26が2以上の時、R26
    は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成し
    てもよい。なお、R24、R25、R26は一般式(I)にお
    ける連結基B1 、B2 になりうる。
  4. 【請求項4】 一般式(I)の色素が一般式(IV−1)
    〜(IV―4)で表されることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の光電変換素子。 【化4】 一般式(IV−1)〜(IV−4)中、M1 、M2 、R3
    4 、L1 、L2 、a3,a4、b1、b2、W1 は一
    般式(I)と同義である。R31〜R36はそれぞれ独立に
    カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒド
    ロキサム酸基、ホスホリル基、ホスホニル基またはそれ
    らが置換した置換基を表し、R37〜R42はそれぞれ独立
    に置換基を表す。a31〜a35、a37〜a41はそ
    れぞれ独立に0〜8の整数を表し、a36、a42は0
    〜6の整数を表す。R31〜R36はそれぞれの環上のいず
    れの位置に置換してもよく、a31が2以上の時、R31
    は同じでも異なってもよく、a32が2以上の時、R32
    は同じでも異なってもよく、a33が2以上の時、R33
    は同じでも異なってもよく、a34が2以上の時、R34
    は同じでも異なってもよく、a35が2以上の時、R35
    は同じでも異なってもよく、a36が2以上の時、R36
    は同じでも異なってもよい。a37が2以上の時、R37
    は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成し
    てもよい。a38が2以上の時、R38は同じでも異なっ
    てもよく、互いに連結して環を形成してもよい。a39
    が2以上の時、R39は同じでも異なってもよく、互いに
    連結して環を形成してもよい。a40が2以上の時、R
    40は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成
    してもよい。a41が2以上の時、R 41は同じでも異な
    ってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。a4
    2が2以上の時、R42は同じでも異なってもよく、互い
    に連結して環を形成してもよい。一般式(IV−1)にて
    31はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン
    基、アリーレン基、ヘテロリレン基、酸素、硫黄を表
    し、d31は0または1を表す。一般式(IV−2)及び
    (IV−4)にてB32はアルキレン基、アルケニレン基、
    アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロリレン基、酸
    素、硫黄、−C≡C−B33−C≡C−を表し、B33はア
    ルケニレン基、アリーレン基、ヘテロリレン基、酸素、
    硫黄を表す。d32は0または1を表す。一般式(IV−
    3)にてA31〜A36はそれぞれ独立に窒素または=CR
    43−を表し、R43は水素原子又は置換基を表すただし、
    一般式(IV−1)にてa3×b1、a4×b2、a3
    1、a32のいずれかのうちの少なくとも1個以上は1
    以上の値をとり、一般式(IV−2)及び(IV−4)にて
    a3×b1、a4×b2、a33、a34のいずれかの
    うちの少なくとも1個以上は1以上の値をとり、一般式
    (IV−3)にてa3×b1、a4×b2、a35、a3
    6のいずれかのうちの少なくとも1個以上は1以上の値
    をとる。
  5. 【請求項5】 一般式(I)において、M1 、M2 がそ
    れぞれ独立に水素2個、Mg、Al、Si、P、Ti、
    V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、G
    a、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、A
    g、Cd、In、Sn、Sb、W、Re、Os、Ir、
    Pt、Au、Hg、Pb、Biであることを特徴とする
    請求項1〜4記載の光電変換素子。
  6. 【請求項6】 一般式(I)及び一般式(IV―1)〜
    (IV―4)において、L1 、L2 がそれぞれ独立に窒素
    で配位する5または6員環ヘテロ環であることを特徴と
    する請求項1〜5記載の光電変換素子。
  7. 【請求項7】 色素によって増感された半導体微粒子が
    酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1〜6
    に記載の光電変換素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変
    換素子を用いることを特徴とする光電池。
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