JP2000288916A - 研磨処理用治具 - Google Patents
研磨処理用治具Info
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- JP2000288916A JP2000288916A JP9760299A JP9760299A JP2000288916A JP 2000288916 A JP2000288916 A JP 2000288916A JP 9760299 A JP9760299 A JP 9760299A JP 9760299 A JP9760299 A JP 9760299A JP 2000288916 A JP2000288916 A JP 2000288916A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 軽量であり、研磨時に必要な寸法精度及び圧
縮強度を長期にわたり維持することができる研磨処理用
治具を提供する。 【解決手段】 Si−SiC系複合材料又はSiC系複
合材料により形成された研磨処理用治具である。Si−
SiC系複合材料は、珪素、炭化珪素、炭素繊維及び炭
素繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部
の周囲に形成された珪素相と炭化珪素相からなる構造を
有する。SiC系複合材料は、炭化珪素と炭素繊維と炭
素繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部
の周囲に形成された炭素との結合度を異にする炭化珪素
相からなる構造を有する。
縮強度を長期にわたり維持することができる研磨処理用
治具を提供する。 【解決手段】 Si−SiC系複合材料又はSiC系複
合材料により形成された研磨処理用治具である。Si−
SiC系複合材料は、珪素、炭化珪素、炭素繊維及び炭
素繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部
の周囲に形成された珪素相と炭化珪素相からなる構造を
有する。SiC系複合材料は、炭化珪素と炭素繊維と炭
素繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部
の周囲に形成された炭素との結合度を異にする炭化珪素
相からなる構造を有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、厚さ一定、平行
度及び平坦度の精度の高いセラミック製品を作製するた
めの研磨装置に用いる研磨処理用治具に関する。
度及び平坦度の精度の高いセラミック製品を作製するた
めの研磨装置に用いる研磨処理用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、厚さ一定、平行度及び平坦度の
精度の高いセラミック製品を作製するために、例えば、
図4に示す研磨装置20が用いられている。この研磨装
置は、回転と昇降自在の複数個のヘッド回転軸27にそ
れぞれ支持された加圧ヘッド21の下面に円形のマウン
トプレート22が固着され、これらのマウントプレート
22の下面にセラミック製品23が複数枚貼着されてい
る。また、円形の定盤26の上面には、研磨布25が貼
り付けられていて、定盤26と前記加圧ヘッド21とは
互いに独立に回転する。前記セラミック製品23は加圧
ヘッド21により所定の圧力を加えられながら、研磨布
25により研磨される。このとき、上記に用いる定盤2
6及びマウントプレート22等の研磨処理用治具は、寸
法精度が良好である鋳鉄製又はアルミナ製のものが主に
用いられてきた。
精度の高いセラミック製品を作製するために、例えば、
図4に示す研磨装置20が用いられている。この研磨装
置は、回転と昇降自在の複数個のヘッド回転軸27にそ
れぞれ支持された加圧ヘッド21の下面に円形のマウン
トプレート22が固着され、これらのマウントプレート
22の下面にセラミック製品23が複数枚貼着されてい
る。また、円形の定盤26の上面には、研磨布25が貼
り付けられていて、定盤26と前記加圧ヘッド21とは
互いに独立に回転する。前記セラミック製品23は加圧
ヘッド21により所定の圧力を加えられながら、研磨布
25により研磨される。このとき、上記に用いる定盤2
6及びマウントプレート22等の研磨処理用治具は、寸
法精度が良好である鋳鉄製又はアルミナ製のものが主に
用いられてきた。
【0003】 しかしながら、上記研磨処理用治具は、
研磨熱による熱変形や研磨時における摩耗が発生するだ
けでなく、特に、アルミナ製のものを用いた場合、ハン
ドリング時に割れが発生しやすくなり、セラミック製品
23の適正な研磨面の品質と生産性を得るため、研磨処
理用治具の修正加工や交換をする必要があった。また、
これらの治具は、非常に重く、作業者の負担となってい
た。以上のことから、研磨装置の休止時間が長くなり、
セラミック製品の生産性や歩留まりが低下してしまうと
いう問題点があった。
研磨熱による熱変形や研磨時における摩耗が発生するだ
けでなく、特に、アルミナ製のものを用いた場合、ハン
ドリング時に割れが発生しやすくなり、セラミック製品
23の適正な研磨面の品質と生産性を得るため、研磨処
理用治具の修正加工や交換をする必要があった。また、
これらの治具は、非常に重く、作業者の負担となってい
た。以上のことから、研磨装置の休止時間が長くなり、
セラミック製品の生産性や歩留まりが低下してしまうと
いう問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、このよう
な従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、研磨時に必要な寸法精度及び
圧縮強度を長期にわたり維持するだけでなく、軽量であ
るため、セラミック製品の生産性や歩留まりを向上する
ことができる研磨処理用治具を提供するものである。
な従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、研磨時に必要な寸法精度及び
圧縮強度を長期にわたり維持するだけでなく、軽量であ
るため、セラミック製品の生産性や歩留まりを向上する
ことができる研磨処理用治具を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明によ
れば、55〜75重量%の炭素と、1〜10重量%の珪
素と、10〜50重量%の炭化珪素とから構成され、少
なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成分とを含
有するヤーンが層方向に配向しつつ三次元的に組み合わ
され、互いに分離しないように一体化されているヤーン
集合体と、このヤーン集合体中で隣り合うヤーンの間に
充填されているSi−SiC系材料からなるマトリック
スとを備え、0.05〜0.6の動摩擦係数と、0.5
〜10%に制御された気孔率とを有するSi−SiC系
複合材料からなることを特徴とする研磨処理用治具が提
供される。
れば、55〜75重量%の炭素と、1〜10重量%の珪
素と、10〜50重量%の炭化珪素とから構成され、少
なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成分とを含
有するヤーンが層方向に配向しつつ三次元的に組み合わ
され、互いに分離しないように一体化されているヤーン
集合体と、このヤーン集合体中で隣り合うヤーンの間に
充填されているSi−SiC系材料からなるマトリック
スとを備え、0.05〜0.6の動摩擦係数と、0.5
〜10%に制御された気孔率とを有するSi−SiC系
複合材料からなることを特徴とする研磨処理用治具が提
供される。
【0006】 このとき、本発明では、マトリックス
が、ヤーンの表面に沿って生成している炭化珪素相を備
えていることが好ましく、また、マトリックスが、珪素
からなる珪素相を備え、この珪素相と前記ヤーンとの間
に前記炭化珪素相が生成していることが好ましく、更
に、マトリックスが、ヤーンから離れるのに従って、珪
素の含有比率が上昇する傾斜組成を有していることが好
ましい。
が、ヤーンの表面に沿って生成している炭化珪素相を備
えていることが好ましく、また、マトリックスが、珪素
からなる珪素相を備え、この珪素相と前記ヤーンとの間
に前記炭化珪素相が生成していることが好ましく、更
に、マトリックスが、ヤーンから離れるのに従って、珪
素の含有比率が上昇する傾斜組成を有していることが好
ましい。
【0007】 また、本発明では、ヤーン集合体が複数
のヤーン配列体を備えており、各ヤーン配列体がそれぞ
れ複数のヤーンをほぼ並行に二次元的に配列することに
よって形成されており、ヤーン配列体が積層されること
によってヤーン集合体が構成されていることが好まし
く、また、マトリックスが、Si−SiC複合材料の中
で互いに連続することで三次元網目構造を形成している
ことが好ましい。
のヤーン配列体を備えており、各ヤーン配列体がそれぞ
れ複数のヤーンをほぼ並行に二次元的に配列することに
よって形成されており、ヤーン配列体が積層されること
によってヤーン集合体が構成されていることが好まし
く、また、マトリックスが、Si−SiC複合材料の中
で互いに連続することで三次元網目構造を形成している
ことが好ましい。
【0008】 また、本発明によれば、炭化珪素と炭素
繊維と炭素繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部
と骨格部の周囲に形成されたマトリックスとからなる構
造を有するSiC系複合材料からなる研磨処理用治具で
あって、炭化珪素の少なくとも50%がβ型であり、骨
格部が、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分により形成
されており、前記骨格部の一部分には炭化珪素が存在し
ていてもよく、マトリックスが、炭化珪素により形成さ
れ、前記マトリックスと前記骨格部とが一体的に形成さ
れており、かつ、SiC系複合材料が、0.5〜5%の
気孔率と二山型の平均気孔径の分布を有することを特徴
とする研磨処理用治具が提供される。
繊維と炭素繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部
と骨格部の周囲に形成されたマトリックスとからなる構
造を有するSiC系複合材料からなる研磨処理用治具で
あって、炭化珪素の少なくとも50%がβ型であり、骨
格部が、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分により形成
されており、前記骨格部の一部分には炭化珪素が存在し
ていてもよく、マトリックスが、炭化珪素により形成さ
れ、前記マトリックスと前記骨格部とが一体的に形成さ
れており、かつ、SiC系複合材料が、0.5〜5%の
気孔率と二山型の平均気孔径の分布を有することを特徴
とする研磨処理用治具が提供される。
【0009】 このとき、本発明では、マトリックスが
骨格部表面に沿って形成されていることが好ましく、ま
た、マトリックスが骨格部表面から離れるに従って、珪
素の含有比率が上昇する傾斜組成を有していることが好
ましい。
骨格部表面に沿って形成されていることが好ましく、ま
た、マトリックスが骨格部表面から離れるに従って、珪
素の含有比率が上昇する傾斜組成を有していることが好
ましい。
【0010】 また、本発明では、骨格部が炭素繊維と
炭素繊維以外の炭素成分とからなるヤーンを、少なくと
も複数本ほぼ並行に二次元的に配列して作製したヤーン
配列体を、交互に直交するように必要数積層して作製さ
れたものであるヤーン集合体から構成されていることが
好ましく、また、マトリックスがSiC系複合材料の中
で互いに連続することで三次元網目構造を形成している
ことが好ましい。
炭素繊維以外の炭素成分とからなるヤーンを、少なくと
も複数本ほぼ並行に二次元的に配列して作製したヤーン
配列体を、交互に直交するように必要数積層して作製さ
れたものであるヤーン集合体から構成されていることが
好ましく、また、マトリックスがSiC系複合材料の中
で互いに連続することで三次元網目構造を形成している
ことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】 本発明の研磨処理用治具は、S
i−SiC系複合材料又はSiC系複合材料により形成
されていることが主な特徴である。これにより、従来か
ら用いられている鋳鉄製又はアルミナ製の研磨処理用治
具と比較して、研磨時に必要な寸法精度(寸法誤差:±
0.2mm、平面度:0.01mm以下、平坦度[Rma
x]:3μm以下)及び圧縮強度(200MPa以上を
長期にわたり維持することができる。また、本発明の研
磨処理用治具は、Si−SiC系複合材料又はSiC系
複合材料により形成されているため、靭性が向上し、ハ
ンドリング時に生じる割れを防止することができるだけ
でなく、重量も1/2以下に軽量化することができる。
以上のことから、本発明の研磨処理用治具は、研磨処理
用治具の修正加工や交換をする必要がほとんどないた
め、セラミック製品の生産性や歩留まりを向上すること
ができる。尚、本発明の研磨処理用治具は、例えば、定
盤、マウントプレート、両面同時研磨で用いるキャリア
等であることが好ましい。
i−SiC系複合材料又はSiC系複合材料により形成
されていることが主な特徴である。これにより、従来か
ら用いられている鋳鉄製又はアルミナ製の研磨処理用治
具と比較して、研磨時に必要な寸法精度(寸法誤差:±
0.2mm、平面度:0.01mm以下、平坦度[Rma
x]:3μm以下)及び圧縮強度(200MPa以上を
長期にわたり維持することができる。また、本発明の研
磨処理用治具は、Si−SiC系複合材料又はSiC系
複合材料により形成されているため、靭性が向上し、ハ
ンドリング時に生じる割れを防止することができるだけ
でなく、重量も1/2以下に軽量化することができる。
以上のことから、本発明の研磨処理用治具は、研磨処理
用治具の修正加工や交換をする必要がほとんどないた
め、セラミック製品の生産性や歩留まりを向上すること
ができる。尚、本発明の研磨処理用治具は、例えば、定
盤、マウントプレート、両面同時研磨で用いるキャリア
等であることが好ましい。
【0012】 ここで、本発明で用いる複合材料につい
て更に詳細に説明する。本発明で用いる複合材料の骨格
部を形成するC/Cコンポジットは、靭性に富み、優れ
た耐衝撃性、高硬度性、高熱伝導性と高放熱性を有する
だけでなく、軽量である。尚、上記C/Cコンポジット
は、二次元または三次元方向に配列した炭素繊維と炭素
繊維の間隙に炭素からなるマトリックスを形成してなる
素材であり、炭素繊維が10〜70%含有していれば、
残部が、窒化ホウ素、ホウ素、銅、ビスマス、チタン、
クロム、タングステン、モリブデンからなる群より選択
した1以上の物質を含有していてもよい。
て更に詳細に説明する。本発明で用いる複合材料の骨格
部を形成するC/Cコンポジットは、靭性に富み、優れ
た耐衝撃性、高硬度性、高熱伝導性と高放熱性を有する
だけでなく、軽量である。尚、上記C/Cコンポジット
は、二次元または三次元方向に配列した炭素繊維と炭素
繊維の間隙に炭素からなるマトリックスを形成してなる
素材であり、炭素繊維が10〜70%含有していれば、
残部が、窒化ホウ素、ホウ素、銅、ビスマス、チタン、
クロム、タングステン、モリブデンからなる群より選択
した1以上の物質を含有していてもよい。
【0013】 上記C/Cコンポジットを複合材料の骨
格部として用いる場合、これらの物質が潤滑性を有する
ため、C/Cコンポジットからなる母材に含有させるこ
とにより、Si−SiC系材料又はSiC系材料が含浸
した母材の部分においても、繊維の潤滑性を維持するこ
とができ、靭性の低下を防ぐことができる。例えば、窒
化ホウ素の含有量は、C/Cコンポジットからなる母材
100重量%に対し、0.1〜40重量%であることが
好ましい。0.1重量%未満では窒化ホウ素による潤滑
性付与の効果が充分に得られず、40重量%を超える場
合は窒化ホウ素の脆さが複合材料にも現れてくるからで
ある。
格部として用いる場合、これらの物質が潤滑性を有する
ため、C/Cコンポジットからなる母材に含有させるこ
とにより、Si−SiC系材料又はSiC系材料が含浸
した母材の部分においても、繊維の潤滑性を維持するこ
とができ、靭性の低下を防ぐことができる。例えば、窒
化ホウ素の含有量は、C/Cコンポジットからなる母材
100重量%に対し、0.1〜40重量%であることが
好ましい。0.1重量%未満では窒化ホウ素による潤滑
性付与の効果が充分に得られず、40重量%を超える場
合は窒化ホウ素の脆さが複合材料にも現れてくるからで
ある。
【0014】 また、複合材料の骨格部としてC/Cコ
ンポジットを用いる場合、複数のヤーン配列体を備えて
おり、各ヤーン配列体がそれぞれ複数のヤーンをほぼ平
行に二次元的に配列することによって形成されており、
各ヤーン配列体が積層されることによってヤーン集合体
が構成されていることが好ましい。これにより、複合材
料は、複数層のヤーン配列体を一方向へと向かって積層
した積層構造を有することになる。
ンポジットを用いる場合、複数のヤーン配列体を備えて
おり、各ヤーン配列体がそれぞれ複数のヤーンをほぼ平
行に二次元的に配列することによって形成されており、
各ヤーン配列体が積層されることによってヤーン集合体
が構成されていることが好ましい。これにより、複合材
料は、複数層のヤーン配列体を一方向へと向かって積層
した積層構造を有することになる。
【0015】 更に、複合材料の骨格部としてC/Cコ
ンポジットを用いる場合は、隣接するヤーン配列体にお
ける各ヤーンの長手方向が互いに交差、好ましくは、直
交していることがより好ましい。これにより、マトリッ
クス形成後においても、炭素繊維が短繊維化することが
ないため、機械的強度が維持されるとともに、形状の異
方性が生じることなく、骨格部に形成された遊離炭素か
らなるマトリックスも均一性に富む。
ンポジットを用いる場合は、隣接するヤーン配列体にお
ける各ヤーンの長手方向が互いに交差、好ましくは、直
交していることがより好ましい。これにより、マトリッ
クス形成後においても、炭素繊維が短繊維化することが
ないため、機械的強度が維持されるとともに、形状の異
方性が生じることなく、骨格部に形成された遊離炭素か
らなるマトリックスも均一性に富む。
【0016】 ここで、C/Cコンポジットは、直径が
10μm前後の炭素繊維を、通常、数百本〜数万本束ね
て繊維束(ヤーン)を形成し、この繊維束を熱可塑性樹
脂で被覆して調製した柔軟性糸状中間材を得、これを特
開平2−80639号公報に記載されている方法により
シート状にし、このシート状としたものを二次元または
三次元方向に配列して一方向シート(UDシート)や各
種クロスとしたり、また上記シートやクロスを積層した
りすることにより、所定形状の予備成形体(繊維プリフ
ォーム)を形成し、予備成形体の繊維束の外周に形成さ
れている有機物からなる熱可塑性樹脂等の被膜を焼成
し、上記の同皮膜を炭化除去したものを使用すればよ
い。尚、C/Cコンポジットは、上記のヤーン中の炭素
繊維以外の炭素成分は、好ましくは炭素粉末であり、特
に好ましくは黒鉛化した炭素粉末である。
10μm前後の炭素繊維を、通常、数百本〜数万本束ね
て繊維束(ヤーン)を形成し、この繊維束を熱可塑性樹
脂で被覆して調製した柔軟性糸状中間材を得、これを特
開平2−80639号公報に記載されている方法により
シート状にし、このシート状としたものを二次元または
三次元方向に配列して一方向シート(UDシート)や各
種クロスとしたり、また上記シートやクロスを積層した
りすることにより、所定形状の予備成形体(繊維プリフ
ォーム)を形成し、予備成形体の繊維束の外周に形成さ
れている有機物からなる熱可塑性樹脂等の被膜を焼成
し、上記の同皮膜を炭化除去したものを使用すればよ
い。尚、C/Cコンポジットは、上記のヤーン中の炭素
繊維以外の炭素成分は、好ましくは炭素粉末であり、特
に好ましくは黒鉛化した炭素粉末である。
【0017】 次に、上記C/Cコンポジット又は上記
予備成形体を用いて、以下に示す複合材料をそれぞれ製
造する。本発明で用いる複合材料であるSi−SiC系
複合材料は、55〜75重量%の炭素と、1〜10重量
%の珪素と、10〜50重量%の炭化珪素とから構成さ
れ、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成分
とを含有するヤーンが層方向に配向しつつ三次元的に組
み合わされ、互いに分離しないように一体化されている
ヤーン集合体と、このヤーン集合体中で隣り合うヤーン
の間に充填されているSi−SiC系材料からなるマト
リックスとを備え、0.05〜0.6の動摩擦係数と、
0.5〜10%に制御された気孔率とを有するものであ
る。このSi−SiC系複合材料は、特願平10−26
7462号(平成10年9月4日出願)に開示された方
法により製造することができる。
予備成形体を用いて、以下に示す複合材料をそれぞれ製
造する。本発明で用いる複合材料であるSi−SiC系
複合材料は、55〜75重量%の炭素と、1〜10重量
%の珪素と、10〜50重量%の炭化珪素とから構成さ
れ、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成分
とを含有するヤーンが層方向に配向しつつ三次元的に組
み合わされ、互いに分離しないように一体化されている
ヤーン集合体と、このヤーン集合体中で隣り合うヤーン
の間に充填されているSi−SiC系材料からなるマト
リックスとを備え、0.05〜0.6の動摩擦係数と、
0.5〜10%に制御された気孔率とを有するものであ
る。このSi−SiC系複合材料は、特願平10−26
7462号(平成10年9月4日出願)に開示された方
法により製造することができる。
【0018】 ここで、Si−SiC系材料とは、未反
応の状態で残存する珪素からなる珪素相からほぼ純粋な
炭化珪素に至るまでの、いくつかの相異なる相を含む、
典型的には珪素相と炭化珪素相からなるが、炭化珪素相
には、珪素の含有量が傾斜的に変化しているSiC共存
相を含みうるものをいう。従って、Si−SiC系材料
とは、このようにSi−SiC系列において、炭素の濃
度として、0〜50mol%までの範囲内で含まれてい
る材料の総称である。尚、Si−SiC系複合材料は、
マトリックス部が上記Si−SiC系材料により形成さ
れているものである。
応の状態で残存する珪素からなる珪素相からほぼ純粋な
炭化珪素に至るまでの、いくつかの相異なる相を含む、
典型的には珪素相と炭化珪素相からなるが、炭化珪素相
には、珪素の含有量が傾斜的に変化しているSiC共存
相を含みうるものをいう。従って、Si−SiC系材料
とは、このようにSi−SiC系列において、炭素の濃
度として、0〜50mol%までの範囲内で含まれてい
る材料の総称である。尚、Si−SiC系複合材料は、
マトリックス部が上記Si−SiC系材料により形成さ
れているものである。
【0019】 上記Si−SiC系複合材料は、好まし
くは、マトリックスが、ヤーンの表面に沿って生成して
いる炭化珪素相を備えていることが、各ヤーンそれ自体
の強度がより一層向上し、破壊しにくくなるため好まし
い。
くは、マトリックスが、ヤーンの表面に沿って生成して
いる炭化珪素相を備えていることが、各ヤーンそれ自体
の強度がより一層向上し、破壊しにくくなるため好まし
い。
【0020】 また、上記Si−SiC系複合材料は、
マトリックスが珪素からなる珪素相を備えており、この
珪素相とヤーンとの間に炭化珪素相が生成していること
が好ましく、ヤーンの表面から離れるのに従って珪素の
含有比率が上昇する傾斜組成を有するマトリックスを有
していることがより好ましい。これは、ヤーンの表面が
炭化珪素相によって強化されるのと共に、マトリックス
の中央部分が比較的に硬度の低い珪素相からなることか
ら、微視的な応力分散が一層促進されるからである。
マトリックスが珪素からなる珪素相を備えており、この
珪素相とヤーンとの間に炭化珪素相が生成していること
が好ましく、ヤーンの表面から離れるのに従って珪素の
含有比率が上昇する傾斜組成を有するマトリックスを有
していることがより好ましい。これは、ヤーンの表面が
炭化珪素相によって強化されるのと共に、マトリックス
の中央部分が比較的に硬度の低い珪素相からなることか
ら、微視的な応力分散が一層促進されるからである。
【0021】 これにより、上記Si−SiC系複合材
料は、常温(20℃)から700℃への2分間での急速
加熱、同温度での5分間の保持、常温下での放置による
自然冷却のサイクルを15回繰り返したときにおける試
験開始前の重量に対する試験終了後の重量の減少率が8
%以下、好ましくは5%以下(600℃以上の場合)で
あり、かつ、JIS R1601により試験したときに
おける試験開始前の強度に対する試験終了後の強度の保
持率が80%以上、好ましくは、85%以上にすること
ができるため、周囲変化による特性変動を少なくするこ
とができるだけでなく、高温条件下での摩耗量を50℃
で1.0%/時間以下、好ましくは0.6%/時間以下
することができるため、優れた耐摩耗性(比摩耗量:
0.0〜0.3mm/N・km)をも併せ持つ。
料は、常温(20℃)から700℃への2分間での急速
加熱、同温度での5分間の保持、常温下での放置による
自然冷却のサイクルを15回繰り返したときにおける試
験開始前の重量に対する試験終了後の重量の減少率が8
%以下、好ましくは5%以下(600℃以上の場合)で
あり、かつ、JIS R1601により試験したときに
おける試験開始前の強度に対する試験終了後の強度の保
持率が80%以上、好ましくは、85%以上にすること
ができるため、周囲変化による特性変動を少なくするこ
とができるだけでなく、高温条件下での摩耗量を50℃
で1.0%/時間以下、好ましくは0.6%/時間以下
することができるため、優れた耐摩耗性(比摩耗量:
0.0〜0.3mm/N・km)をも併せ持つ。
【0022】 ここで、Si−SiC系複合材料につい
て、図面を用いて更に説明する。図1は、本発明で用い
る複合材料の骨格部であるヤーン集合体を模式的に示す
斜視図であり、図2は、本発明で用いるSi−SiC系
複合材料の構造の一例を示すものであり、(a)は図1
におけるIIa−IIa線で切断した場合の断面図であ
り、(b)は図1におけるIIb−IIb線で切断した
場合の断面図である。Si−SiC系複合材料7の骨格
は、ヤーン集合体6によって構成されている。ヤーン集
合体6は、ヤーン配列体1A、1B、1C、1D、1
E、1Fを上下方向に積層してなる。各ヤーン配列体に
おいては、各ヤーン3が二次元的に配列されており、各
ヤーンの長手方向がほぼ平行である。上下方向に隣り合
う各ヤーン配列体における各ヤーンの長手方向は、直交
している。即ち、各ヤーン配列体1A、1C、1Eの各
ヤーン2Aの長手方向は、互いに平行であり、かつ各ヤ
ーン配列体1B、1D、1Fの各ヤーン2Bの長手方向
に対して直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、炭素
繊維以外の炭素成分とからなる繊維束3からなる。ヤー
ン配列体が積層されることによって、三次元格子形状の
ヤーン集合体6が構成される。各ヤーンは、後述するよ
うな加圧成形工程の間に押しつぶされ、略楕円形になっ
ている。
て、図面を用いて更に説明する。図1は、本発明で用い
る複合材料の骨格部であるヤーン集合体を模式的に示す
斜視図であり、図2は、本発明で用いるSi−SiC系
複合材料の構造の一例を示すものであり、(a)は図1
におけるIIa−IIa線で切断した場合の断面図であ
り、(b)は図1におけるIIb−IIb線で切断した
場合の断面図である。Si−SiC系複合材料7の骨格
は、ヤーン集合体6によって構成されている。ヤーン集
合体6は、ヤーン配列体1A、1B、1C、1D、1
E、1Fを上下方向に積層してなる。各ヤーン配列体に
おいては、各ヤーン3が二次元的に配列されており、各
ヤーンの長手方向がほぼ平行である。上下方向に隣り合
う各ヤーン配列体における各ヤーンの長手方向は、直交
している。即ち、各ヤーン配列体1A、1C、1Eの各
ヤーン2Aの長手方向は、互いに平行であり、かつ各ヤ
ーン配列体1B、1D、1Fの各ヤーン2Bの長手方向
に対して直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、炭素
繊維以外の炭素成分とからなる繊維束3からなる。ヤー
ン配列体が積層されることによって、三次元格子形状の
ヤーン集合体6が構成される。各ヤーンは、後述するよ
うな加圧成形工程の間に押しつぶされ、略楕円形になっ
ている。
【0023】 各ヤーン配列体1A、1C、1Eにおい
ては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリックス8A
が充填されており、各マトリックス8Aはヤーン2Aの
表面に沿ってそれと平行に延びている。各ヤーン配列体
1B、1D、1Fにおいては、隣り合う各ヤーンの間隙
には、マトリックス8Bが充填されており、各マトリッ
クス8Bは、ヤーン2Bの表面に沿ってそれと平行に延
びている。本例では、マトリックス8A、8Bは、それ
ぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相4A、4B
と、炭化珪素相4A、4Bよりも炭素の含有割合が少な
いSi−SiC系材料相5A、5Bからなっている。炭
化珪素相中にも珪素を一部含有していてよい。また、本
例では、上下方向に隣接するヤーン2Aと2Bとの間に
も、炭化珪素相4A、4Bが生成している。各マトリッ
クス8Aと8Bとは、それぞれヤーンの表面に沿って細
長く、好ましくは直線状に延びており、各マトリックス
8Aと8Bとは互いに直交している。そして、ヤーン配
列体1A、1C、1Eにおけるマトリックス8Aと、こ
れに直交するヤーン配列体1B、1D、1Fにおけるマ
トリックス8Bとは、それぞれヤーン2Aと2Bとの間
隙部分で連続している。この結果、マトリックス8A、
8Bは、全体として、三次元格子を形成している。
ては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリックス8A
が充填されており、各マトリックス8Aはヤーン2Aの
表面に沿ってそれと平行に延びている。各ヤーン配列体
1B、1D、1Fにおいては、隣り合う各ヤーンの間隙
には、マトリックス8Bが充填されており、各マトリッ
クス8Bは、ヤーン2Bの表面に沿ってそれと平行に延
びている。本例では、マトリックス8A、8Bは、それ
ぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相4A、4B
と、炭化珪素相4A、4Bよりも炭素の含有割合が少な
いSi−SiC系材料相5A、5Bからなっている。炭
化珪素相中にも珪素を一部含有していてよい。また、本
例では、上下方向に隣接するヤーン2Aと2Bとの間に
も、炭化珪素相4A、4Bが生成している。各マトリッ
クス8Aと8Bとは、それぞれヤーンの表面に沿って細
長く、好ましくは直線状に延びており、各マトリックス
8Aと8Bとは互いに直交している。そして、ヤーン配
列体1A、1C、1Eにおけるマトリックス8Aと、こ
れに直交するヤーン配列体1B、1D、1Fにおけるマ
トリックス8Bとは、それぞれヤーン2Aと2Bとの間
隙部分で連続している。この結果、マトリックス8A、
8Bは、全体として、三次元格子を形成している。
【0024】 また、本発明で用いるSi−SiC系複
合材料は、表面近傍に珪素のみからなる層が形成された
マトリックス層から形成されていてもよい。これによ
り、Si−SiC系材料を母材表面に単にコーティング
するだけでは、高温酸化条件下においては両者の熱膨張
係数差により、容易にSi−SiC系材料からなる層が
剥離するが、Si−SiC系材料をSi−SiC系複合
材料のマトリックス層として形成することにより、繊維
の積層方向での強度が増し、剥離を防止できるため、耐
久性を向上させることができる。
合材料は、表面近傍に珪素のみからなる層が形成された
マトリックス層から形成されていてもよい。これによ
り、Si−SiC系材料を母材表面に単にコーティング
するだけでは、高温酸化条件下においては両者の熱膨張
係数差により、容易にSi−SiC系材料からなる層が
剥離するが、Si−SiC系材料をSi−SiC系複合
材料のマトリックス層として形成することにより、繊維
の積層方向での強度が増し、剥離を防止できるため、耐
久性を向上させることができる。
【0025】 ここで、マトリックス層の厚さは、少な
くとも0.01mmあることが好ましい。さらに少なく
とも0.05mm以上あることが好ましく、少なくとも
0.1mm以上であることが一層好ましい。このマトリ
ックス層の厚さが0.01mm未満の場合は、高酸化条
件下において、耐久性を充分に付与することができない
からである。
くとも0.01mmあることが好ましい。さらに少なく
とも0.05mm以上あることが好ましく、少なくとも
0.1mm以上であることが一層好ましい。このマトリ
ックス層の厚さが0.01mm未満の場合は、高酸化条
件下において、耐久性を充分に付与することができない
からである。
【0026】 また、本発明で用いるSi−SiC系複
合材料は、マトリックス層におけるSi濃度は、表面か
ら内部に向かって小さくなることが好ましい。マトリッ
クス層におけるSi濃度に傾斜を持たせることにより、
強酸化腐食環境での耐食性および強度、表層部および内
層部の欠陥へのヒーリング機能を著しく向上させること
ができ、さらに熱膨張係数差による材料の熱応力劣化を
防止できる。これは、表層部のSi濃度が、内層部のS
i濃度よりも相対的に高いため、発生したマイクロクラ
ックが、加熱中にヒーリングされ、耐酸化性を保持する
からである。
合材料は、マトリックス層におけるSi濃度は、表面か
ら内部に向かって小さくなることが好ましい。マトリッ
クス層におけるSi濃度に傾斜を持たせることにより、
強酸化腐食環境での耐食性および強度、表層部および内
層部の欠陥へのヒーリング機能を著しく向上させること
ができ、さらに熱膨張係数差による材料の熱応力劣化を
防止できる。これは、表層部のSi濃度が、内層部のS
i濃度よりも相対的に高いため、発生したマイクロクラ
ックが、加熱中にヒーリングされ、耐酸化性を保持する
からである。
【0027】 以上のように、本発明で用いるSi−S
iC系複合材料は、C/Cコンポジットの耐衝撃性、高
硬度性および軽量性と、Si−SiC系材料の、耐酸化
性、耐スポーリング性、自己潤滑性、耐磨耗性等を併せ
持ち、さらに、自己修復性をも有するため、高温酸化条
件下での使用に長期間耐えることができる。
iC系複合材料は、C/Cコンポジットの耐衝撃性、高
硬度性および軽量性と、Si−SiC系材料の、耐酸化
性、耐スポーリング性、自己潤滑性、耐磨耗性等を併せ
持ち、さらに、自己修復性をも有するため、高温酸化条
件下での使用に長期間耐えることができる。
【0028】 また、本発明で用いるSi−SiC系複
合材料は、成形体における長手方向の寸法精度を向上さ
せることができるため、炭化珪素系材料では製造するこ
とができなかった大型の薄肉部材を比較的容易に製造す
ることができる。
合材料は、成形体における長手方向の寸法精度を向上さ
せることができるため、炭化珪素系材料では製造するこ
とができなかった大型の薄肉部材を比較的容易に製造す
ることができる。
【0029】 次に、本発明で用いる複合材料であるS
iC系複合材料は、炭化珪素と炭素繊維と炭素繊維以外
の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部の周辺に形
成されたマトリックスとからなる構造を有するものであ
り、炭化珪素の少なくとも50%はβ型で、骨格部が炭
素繊維と炭素繊維以外の炭素成分により形成されてお
り、その骨格部の一部分に炭化珪素が存在してもよく、
マトリックスが炭化珪素により形成され、マトリックス
と骨格部とが一体的に形成されており、且つ0.5〜5
%の気孔率と二山型の平均気孔率の分布を有するもので
ある。
iC系複合材料は、炭化珪素と炭素繊維と炭素繊維以外
の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部の周辺に形
成されたマトリックスとからなる構造を有するものであ
り、炭化珪素の少なくとも50%はβ型で、骨格部が炭
素繊維と炭素繊維以外の炭素成分により形成されてお
り、その骨格部の一部分に炭化珪素が存在してもよく、
マトリックスが炭化珪素により形成され、マトリックス
と骨格部とが一体的に形成されており、且つ0.5〜5
%の気孔率と二山型の平均気孔率の分布を有するもので
ある。
【0030】 これにより、本発明で用いるSiC系複
合材料は、骨格部として、C/Cコンポジットを用いて
おり、そのため、その一部にSiCが形成されていて
も、各炭素繊維としては炭素繊維としての構造が、破壊
されることなく保持されているために炭素繊維が炭化珪
素化により短繊維化することがないので、原料であるC
/Cコンポジットの有する機械的強度がほぼ保持される
か、炭化珪素化により増大するという大きな特徴を有し
ている。しかも、ヤーン集合体中で隣り合うヤーンの間
に、SiC系材料からなるマトリックスが形成された複
合構造を有している。この点で、上記Si−SiC系複
合材料とは異なる。尚、このSiC系複合材料は、特願
平11−31979号(平成11年2月9日出願)に開
示された方法により製造することができる。
合材料は、骨格部として、C/Cコンポジットを用いて
おり、そのため、その一部にSiCが形成されていて
も、各炭素繊維としては炭素繊維としての構造が、破壊
されることなく保持されているために炭素繊維が炭化珪
素化により短繊維化することがないので、原料であるC
/Cコンポジットの有する機械的強度がほぼ保持される
か、炭化珪素化により増大するという大きな特徴を有し
ている。しかも、ヤーン集合体中で隣り合うヤーンの間
に、SiC系材料からなるマトリックスが形成された複
合構造を有している。この点で、上記Si−SiC系複
合材料とは異なる。尚、このSiC系複合材料は、特願
平11−31979号(平成11年2月9日出願)に開
示された方法により製造することができる。
【0031】 ここで、SiC系材料とは、炭素との結
合度を異にする炭化珪素を含有する材料をいい、このS
iC系材料は以下のようにして製造されるものをいう。
本発明のSiC系複合材料では、C/Cコンポジットに
対して、金属珪素を含浸させるが、その際、金属珪素は
コンポジット内の炭素繊維を構成する炭素原子および/
または炭素繊維の表面に残存している遊離炭素原子と反
応し、一部が炭化されるために、C/Cコンポジットの
最表面や炭素繊維からなるヤーンとヤーンとの間には、
一部炭化された珪素が生成し、かくして上記のヤーンと
ヤーンとの間には炭化珪素からなるマトリックスが形成
される。
合度を異にする炭化珪素を含有する材料をいい、このS
iC系材料は以下のようにして製造されるものをいう。
本発明のSiC系複合材料では、C/Cコンポジットに
対して、金属珪素を含浸させるが、その際、金属珪素は
コンポジット内の炭素繊維を構成する炭素原子および/
または炭素繊維の表面に残存している遊離炭素原子と反
応し、一部が炭化されるために、C/Cコンポジットの
最表面や炭素繊維からなるヤーンとヤーンとの間には、
一部炭化された珪素が生成し、かくして上記のヤーンと
ヤーンとの間には炭化珪素からなるマトリックスが形成
される。
【0032】 このマトリックスにおいては、極微量の
珪素と炭素とが結合した炭化珪素質の相から、純粋な炭
化珪素結晶相に至るまで、いくつかの相異なる相を含み
うる。しかし、このマトリックスには、X線による検出
限界(0.3重量%)以下の金属珪素しか含まれない。
つまり、このマトリックスは、典型的には炭化珪素相か
らなるが、炭化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的に変
化しているSiC質相を含みうる。従って、SiC系材
料とは、このようなSiC系列において、炭素の濃度と
して、少なくとも0.01mol%以上から50mol
%までの範囲以内で含まれてる材料の総称である。な
お、炭素濃度を、0.01mol%未満に制御するに
は、C/Cコンポジット中の遊離炭素の量とに関係で、
添加する金属珪素の量の厳密な計量が要求されること
と、後述する最終工程での温度管理が複雑になるので実
質的でない。従って、理論的には、炭素濃度を0.00
1mol%程度まで制御することは可能である。
珪素と炭素とが結合した炭化珪素質の相から、純粋な炭
化珪素結晶相に至るまで、いくつかの相異なる相を含み
うる。しかし、このマトリックスには、X線による検出
限界(0.3重量%)以下の金属珪素しか含まれない。
つまり、このマトリックスは、典型的には炭化珪素相か
らなるが、炭化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的に変
化しているSiC質相を含みうる。従って、SiC系材
料とは、このようなSiC系列において、炭素の濃度と
して、少なくとも0.01mol%以上から50mol
%までの範囲以内で含まれてる材料の総称である。な
お、炭素濃度を、0.01mol%未満に制御するに
は、C/Cコンポジット中の遊離炭素の量とに関係で、
添加する金属珪素の量の厳密な計量が要求されること
と、後述する最終工程での温度管理が複雑になるので実
質的でない。従って、理論的には、炭素濃度を0.00
1mol%程度まで制御することは可能である。
【0033】 ここで、本発明で用いるSiC系複合材
料について、図面を用いて更に説明する。図1は、本発
明で用いる複合材料の骨格部であるヤーン集合体を模式
的に示す斜視図であり、図3は、本発明で用いるSiC
系複合材料の構造の一例を示すものであり、(a)は図
1におけるIIa−IIa線で切断した場合の断面図で
あり、(b)は図1におけるIIb−IIb線で切断し
た場合の断面図である。
料について、図面を用いて更に説明する。図1は、本発
明で用いる複合材料の骨格部であるヤーン集合体を模式
的に示す斜視図であり、図3は、本発明で用いるSiC
系複合材料の構造の一例を示すものであり、(a)は図
1におけるIIa−IIa線で切断した場合の断面図で
あり、(b)は図1におけるIIb−IIb線で切断し
た場合の断面図である。
【0034】 SiC系複合材料12の骨格は、ヤーン
集合体6によって構成されている。ヤーン集合体6は、
ヤーン配列体1A、1B、1C、1D、1E、1Fを上
下方向に積層してなる。各ヤーン配列体においては、各
ヤーン3が二次元的に配列されており、各ヤーンの長手
方向がほぼ平行である。上下方向に隣り合う各ヤーン配
列体における各ヤーンの長手方向は、直交している。す
なわち、各ヤーン配列体1A、1C、1Eの各ヤーン2
Aの長手方向は、互いに平行であり、かつ各ヤーン配列
体1B、1D、1Fの各ヤーン2Bの長手方向に対して
直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、炭素繊維以外
の炭素成分とからなる繊維束13からなる。ヤーン配列
体が積層されることによって、三次元格子形状のヤーン
集合体6が構成される。各ヤーンは、後述するような加
圧成形工程の間に押しつぶされ、やや楕円形になってい
る。
集合体6によって構成されている。ヤーン集合体6は、
ヤーン配列体1A、1B、1C、1D、1E、1Fを上
下方向に積層してなる。各ヤーン配列体においては、各
ヤーン3が二次元的に配列されており、各ヤーンの長手
方向がほぼ平行である。上下方向に隣り合う各ヤーン配
列体における各ヤーンの長手方向は、直交している。す
なわち、各ヤーン配列体1A、1C、1Eの各ヤーン2
Aの長手方向は、互いに平行であり、かつ各ヤーン配列
体1B、1D、1Fの各ヤーン2Bの長手方向に対して
直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、炭素繊維以外
の炭素成分とからなる繊維束13からなる。ヤーン配列
体が積層されることによって、三次元格子形状のヤーン
集合体6が構成される。各ヤーンは、後述するような加
圧成形工程の間に押しつぶされ、やや楕円形になってい
る。
【0035】 各ヤーン配列体1A、1C、1Eにおい
ては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリックス8A
が充填されており、各マトリックス8Aはヤーン2Aの
表面に沿ってそれと平行に延びている。各ヤーン配列体
1B、1D、1Fにおいては、隣り合う各ヤーンの間隙
には、マトリックス8Bが充填されており、各マトリッ
クス8Bは、ヤーン2Bの表面に沿ってそれと平行に延
びている。図3(a)、図3(b)に示したように、マ
トリックス8A、8Bは、それぞれ、各ヤーンの表面を
被覆する炭化珪素相14からなっている。
ては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリックス8A
が充填されており、各マトリックス8Aはヤーン2Aの
表面に沿ってそれと平行に延びている。各ヤーン配列体
1B、1D、1Fにおいては、隣り合う各ヤーンの間隙
には、マトリックス8Bが充填されており、各マトリッ
クス8Bは、ヤーン2Bの表面に沿ってそれと平行に延
びている。図3(a)、図3(b)に示したように、マ
トリックス8A、8Bは、それぞれ、各ヤーンの表面を
被覆する炭化珪素相14からなっている。
【0036】 また、炭化珪素相14の一部は、複合部
材の内部において、炭素繊維層に突出していてもよい。
この様な小突起部9の内部には、中央値が約100μm
の孔径を有する気孔10が形成されている。なお、この
小突起部9は、殆どが原料のC/Cコンポジットの炭素
繊維以外の炭素成分からなるマトリックスの跡に沿って
形成されるので、ヤーンとヤーンとの間隔および/また
はヤーン配列体とヤーン配列体との間隔を適宜選択する
ことにより、単位面積当たりの小突起部9の密度を調整
することが可能である。隣接するヤーン2Aと2Bとの
間にも、炭化珪素相14が形成されていてもよい。これ
により、マトリックスの中央部分には、比較的孔径の大
きな気孔10が形成されているため、加えられた応力に
応じて、この気孔部分が変形することにより、微視的な
応力分散がなされる。
材の内部において、炭素繊維層に突出していてもよい。
この様な小突起部9の内部には、中央値が約100μm
の孔径を有する気孔10が形成されている。なお、この
小突起部9は、殆どが原料のC/Cコンポジットの炭素
繊維以外の炭素成分からなるマトリックスの跡に沿って
形成されるので、ヤーンとヤーンとの間隔および/また
はヤーン配列体とヤーン配列体との間隔を適宜選択する
ことにより、単位面積当たりの小突起部9の密度を調整
することが可能である。隣接するヤーン2Aと2Bとの
間にも、炭化珪素相14が形成されていてもよい。これ
により、マトリックスの中央部分には、比較的孔径の大
きな気孔10が形成されているため、加えられた応力に
応じて、この気孔部分が変形することにより、微視的な
応力分散がなされる。
【0037】 各マトリックス8Aと8Bとは、それぞ
れヤーンの表面に沿って細長く、好ましくは直線状に延
びており、各マトリックス8Aと8Bとは互いに直交し
ている。そして、ヤーン配列体1A、1C、1Eにおけ
るマトリックス8Aと、これに直交するヤーン配列体1
B、1D、1Fにおけるマトリックス8Bとは、それぞ
れヤーン2Aと2Bとの間隙部分で連続している。この
結果、マトリックス8A、8Bは、全体として、三次元
格子を形成している。
れヤーンの表面に沿って細長く、好ましくは直線状に延
びており、各マトリックス8Aと8Bとは互いに直交し
ている。そして、ヤーン配列体1A、1C、1Eにおけ
るマトリックス8Aと、これに直交するヤーン配列体1
B、1D、1Fにおけるマトリックス8Bとは、それぞ
れヤーン2Aと2Bとの間隙部分で連続している。この
結果、マトリックス8A、8Bは、全体として、三次元
格子を形成している。
【0038】 SiC系材料相においては、それぞれヤ
ーンの表面から離れるほど、炭素濃度が少なくなる傾斜
組成を有していることが好ましい。
ーンの表面から離れるほど、炭素濃度が少なくなる傾斜
組成を有していることが好ましい。
【0039】 ここで、SiC系材料を骨格部に含浸さ
せることにより形成されるマトリックス層の厚さは、少
なくとも0.01mmあることが好ましい。さらに少な
くとも0.05mm以上あることが好ましく、少なくと
も0.1mm以上であることが一層好ましい。このマト
リックス層の厚さが0.01mm未満の場合は、高酸化
条件下において、耐久性を充分に付与することができな
いからである。
せることにより形成されるマトリックス層の厚さは、少
なくとも0.01mmあることが好ましい。さらに少な
くとも0.05mm以上あることが好ましく、少なくと
も0.1mm以上であることが一層好ましい。このマト
リックス層の厚さが0.01mm未満の場合は、高酸化
条件下において、耐久性を充分に付与することができな
いからである。
【0040】 また、本発明で用いるSiC系複合材料
は、マトリックス層におけるSi濃度は、表面から内部
に向かって小さくなることが好ましい。マトリックス層
におけるSi濃度に傾斜を持たせることにより、強酸化
腐食環境での耐食性および強度、表層部および内層部の
欠陥へのヒーリング機能を著しく向上させることがで
き、さらに熱膨張係数差による材料の熱応力劣化を防止
できる。これは、表層部のSi濃度が、内層部のSi濃
度よりも相対的に高いため、発生したマイクロクラック
が、加熱中にヒーリングされ、耐酸化性を保持するから
である。
は、マトリックス層におけるSi濃度は、表面から内部
に向かって小さくなることが好ましい。マトリックス層
におけるSi濃度に傾斜を持たせることにより、強酸化
腐食環境での耐食性および強度、表層部および内層部の
欠陥へのヒーリング機能を著しく向上させることがで
き、さらに熱膨張係数差による材料の熱応力劣化を防止
できる。これは、表層部のSi濃度が、内層部のSi濃
度よりも相対的に高いため、発生したマイクロクラック
が、加熱中にヒーリングされ、耐酸化性を保持するから
である。
【0041】 以上のように、本発明で用いるSiC系
複合材料は、C/Cコンポジットの耐衝撃性、高硬度性
および軽量性と、SiC系材料の耐酸化性、耐スポーリ
ング性、自己潤滑性、耐磨耗性等を併せ持ち、さらに、
自己修復性をも有するため、高温酸化条件下での使用に
長期間耐えることができる。
複合材料は、C/Cコンポジットの耐衝撃性、高硬度性
および軽量性と、SiC系材料の耐酸化性、耐スポーリ
ング性、自己潤滑性、耐磨耗性等を併せ持ち、さらに、
自己修復性をも有するため、高温酸化条件下での使用に
長期間耐えることができる。
【0042】 また、本発明で用いるSiC系複合材料
は、金属珪素を完全に除去することができるため、金属
珪素を外部に溶出することがなく、また部材として加工
した際に、微細細孔として表面に表れてくる気孔が2種
類存在することにより、表面の粗さが大きくなり動摩擦
係数が原料のC/Cコンポジットの動摩擦係数よりも、
大きくなり、マトリックスとしてのSiCを形成するこ
とによる耐酸化性、機械的強度を向上させることができ
る。
は、金属珪素を完全に除去することができるため、金属
珪素を外部に溶出することがなく、また部材として加工
した際に、微細細孔として表面に表れてくる気孔が2種
類存在することにより、表面の粗さが大きくなり動摩擦
係数が原料のC/Cコンポジットの動摩擦係数よりも、
大きくなり、マトリックスとしてのSiCを形成するこ
とによる耐酸化性、機械的強度を向上させることができ
る。
【0043】 更に、本発明で用いるSiC系複合材料
は、C/Cコンポジットの長手方向への焼成時における
膨張現象を炭化珪素の生成反応の際に抑制することがで
き、成形体における長手方向の寸法精度を向上させるこ
とができるため、炭化珪素系材料では製造することがで
きなかった大型の薄肉部材を比較的容易に製造すること
ができる。
は、C/Cコンポジットの長手方向への焼成時における
膨張現象を炭化珪素の生成反応の際に抑制することがで
き、成形体における長手方向の寸法精度を向上させるこ
とができるため、炭化珪素系材料では製造することがで
きなかった大型の薄肉部材を比較的容易に製造すること
ができる。
【0044】 本発明で用いるSi−SiC系複合材料
及びSiC系複合材料は、好ましくは以下の方法によっ
て製造できる。すなわち、炭素繊維の束にマトリックス
として作用し、最終的には、炭素繊維の束に対して遊離
炭素となる粉末状のバインダー、例えば、ピッチ、コー
クス類を包含させ、さらに必要に応じてフェノール樹脂
粉末等を含有させることによって、炭素繊維束を作製す
る。炭素繊維束の周囲に、特開平2−80639号公報
に記載のように、熱可塑性樹脂等のプラスチックからな
る柔軟な被膜を形成し、柔軟性中間材であるプレフォー
ムドヤーンを得、このプレフォームドヤーンを、シート
状のプリフォームドシート(プレプレグシート)にし、
必要量を積層した後、ホットプレスで180〜2000
℃、常庄〜500kg/cm2の条件下で成形すること
により、予備成形体を得る。または、この予備成形体
を、必要に応じて700〜1200℃で炭化させ、15
00〜3000℃で黒鉛化して、焼成体(C/Cコンポ
ジット)を得る。
及びSiC系複合材料は、好ましくは以下の方法によっ
て製造できる。すなわち、炭素繊維の束にマトリックス
として作用し、最終的には、炭素繊維の束に対して遊離
炭素となる粉末状のバインダー、例えば、ピッチ、コー
クス類を包含させ、さらに必要に応じてフェノール樹脂
粉末等を含有させることによって、炭素繊維束を作製す
る。炭素繊維束の周囲に、特開平2−80639号公報
に記載のように、熱可塑性樹脂等のプラスチックからな
る柔軟な被膜を形成し、柔軟性中間材であるプレフォー
ムドヤーンを得、このプレフォームドヤーンを、シート
状のプリフォームドシート(プレプレグシート)にし、
必要量を積層した後、ホットプレスで180〜2000
℃、常庄〜500kg/cm2の条件下で成形すること
により、予備成形体を得る。または、この予備成形体
を、必要に応じて700〜1200℃で炭化させ、15
00〜3000℃で黒鉛化して、焼成体(C/Cコンポ
ジット)を得る。
【0045】 炭素繊維は、石油ピッチ若しくはコール
タールピッチを原料とし、紡糸用ピッチの調製、溶融紡
糸、不融化および炭素化して得られるピッチ系炭素繊維
並びにアクリロニトリル(共)重合体繊維を炭素化して
得られるPAN系炭素繊維のいずれのものでもよい。マ
トリックスの形成に必要な炭素前駆体としては、フェノ
ール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂およびター
ル、ピッチ等が用いられるが、これらはコークス類、金
属、金属化合物、無機および有機化合物等を含んでいて
もよい。
タールピッチを原料とし、紡糸用ピッチの調製、溶融紡
糸、不融化および炭素化して得られるピッチ系炭素繊維
並びにアクリロニトリル(共)重合体繊維を炭素化して
得られるPAN系炭素繊維のいずれのものでもよい。マ
トリックスの形成に必要な炭素前駆体としては、フェノ
ール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂およびター
ル、ピッチ等が用いられるが、これらはコークス類、金
属、金属化合物、無機および有機化合物等を含んでいて
もよい。
【0046】 次いで、上記のように作製された成形体
または焼成体と金属珪素とを、1100〜1400℃の
温度域、炉内圧0.1〜10hPaで1時間以上保持す
る。保持時間は、種々の要因により変動しうるが、無機
ポリマーないし無機物のセラミックス化への変化に伴う
CO等の発生ガスを焼成雰囲気より除去し、また大気中
のO2等による外部からの焼成雰囲気の汚染を防止する
に充分な時間であればよい。また、この際、成形体また
は焼成体と金属珪素の合計重量1kg当たり0.1NL
(ノルマルリットル:1200℃、圧力0.1hPaの
場合、5065リットルに相当)以上、好ましくは、1
NL以上、更に好ましくは、10NL以上の不活性ガス
を流しつつ、成形体または焼成体表面にSiC層を形成
することが好ましい。
または焼成体と金属珪素とを、1100〜1400℃の
温度域、炉内圧0.1〜10hPaで1時間以上保持す
る。保持時間は、種々の要因により変動しうるが、無機
ポリマーないし無機物のセラミックス化への変化に伴う
CO等の発生ガスを焼成雰囲気より除去し、また大気中
のO2等による外部からの焼成雰囲気の汚染を防止する
に充分な時間であればよい。また、この際、成形体また
は焼成体と金属珪素の合計重量1kg当たり0.1NL
(ノルマルリットル:1200℃、圧力0.1hPaの
場合、5065リットルに相当)以上、好ましくは、1
NL以上、更に好ましくは、10NL以上の不活性ガス
を流しつつ、成形体または焼成体表面にSiC層を形成
することが好ましい。
【0047】 このように、焼成時(すなわち、金属珪
素の溶融、含浸前の段階)不活性ガス雰囲気にすること
により、無機ポリマーないし無機物のセラミックス化へ
の変化に伴うCO等の発生ガスを焼成雰囲気より除去
し、また大気中のO 2等による外部からの焼成雰囲気の
汚染を防止することによりその後に金属珪素を溶融、含
浸して得られる複合材料の気孔率を低く維持することが
できる。
素の溶融、含浸前の段階)不活性ガス雰囲気にすること
により、無機ポリマーないし無機物のセラミックス化へ
の変化に伴うCO等の発生ガスを焼成雰囲気より除去
し、また大気中のO 2等による外部からの焼成雰囲気の
汚染を防止することによりその後に金属珪素を溶融、含
浸して得られる複合材料の気孔率を低く維持することが
できる。
【0048】 次いで、温度1450〜2500℃、好
ましくは1700〜1800℃に昇温して前記成形体ま
たは焼成体の開気孔内部へ珪素を溶融、含浸させて、上
記成形体または焼成体にSi−SiC系材料を形成させ
ることにより、Si−SiC系複合材料が製造される。
尚、この過程において、成形体を用いた場合は、前記成
形体の焼成が行われ、Si−SiC系複合材料が製造さ
れる。
ましくは1700〜1800℃に昇温して前記成形体ま
たは焼成体の開気孔内部へ珪素を溶融、含浸させて、上
記成形体または焼成体にSi−SiC系材料を形成させ
ることにより、Si−SiC系複合材料が製造される。
尚、この過程において、成形体を用いた場合は、前記成
形体の焼成が行われ、Si−SiC系複合材料が製造さ
れる。
【0049】 一方、SiC系複合材料を製造する場合
は、更に、以下の工程を追加して行う。炉内温度を一旦
周囲環境温度(20℃〜25℃)まで冷却するか、ある
いは、炉内温度をそのまま保持しつつ、炉内圧力を約1
気圧程度まで上げ、炉内温度を2000℃〜2800
℃、好ましくは、2100℃〜2500℃まで上げて、
1時間程度保持することにより、上記Si−SiC系複
合材料からSiC系複合材料を製造する。
は、更に、以下の工程を追加して行う。炉内温度を一旦
周囲環境温度(20℃〜25℃)まで冷却するか、ある
いは、炉内温度をそのまま保持しつつ、炉内圧力を約1
気圧程度まで上げ、炉内温度を2000℃〜2800
℃、好ましくは、2100℃〜2500℃まで上げて、
1時間程度保持することにより、上記Si−SiC系複
合材料からSiC系複合材料を製造する。
【0050】 このように、常圧下での高温加熱処理に
より、Si−SiC系複合材料中の金属珪素として存在
する珪素を、すでに生成している炭化珪素を炭素繊維と
炭素繊維以外の炭素成分中(一部黒鉛化した炭素を含む
遊離炭素と同義である)に拡散させ、これら炭素との反
応を完結させることができるため、金属珪素は完全に存
在しなくなり、金属珪素が外部に溶出することはない。
また、減圧下での加熱処理に形成された炭化珪素が炭素
繊維や炭素繊維外の炭素成分中に拡散してゆき、SiC
系材料が形成され、同時に、珪素が抜けたマトリックス
内部には、孔径の大きな気孔が形成される。
より、Si−SiC系複合材料中の金属珪素として存在
する珪素を、すでに生成している炭化珪素を炭素繊維と
炭素繊維以外の炭素成分中(一部黒鉛化した炭素を含む
遊離炭素と同義である)に拡散させ、これら炭素との反
応を完結させることができるため、金属珪素は完全に存
在しなくなり、金属珪素が外部に溶出することはない。
また、減圧下での加熱処理に形成された炭化珪素が炭素
繊維や炭素繊維外の炭素成分中に拡散してゆき、SiC
系材料が形成され、同時に、珪素が抜けたマトリックス
内部には、孔径の大きな気孔が形成される。
【0051】 かくして、減圧下での加熱処理時に生成
する比較的孔径に小さいな気孔と、常圧、高温加熱で形
成される比較的孔径の大きな気孔との2種類の気孔がマ
トリックス中には形成されることとなる。すなわち、気
孔孔径が2山型の分散を示すSiC系複合材料が得られ
る。
する比較的孔径に小さいな気孔と、常圧、高温加熱で形
成される比較的孔径の大きな気孔との2種類の気孔がマ
トリックス中には形成されることとなる。すなわち、気
孔孔径が2山型の分散を示すSiC系複合材料が得られ
る。
【0052】 ここで、本発明で用いるSi−SiC系
複合材料及びSiC系複合材料は、有機物からなる柔軟
性中間材を炭素繊維束の外周に使用したC/Cコンポジ
ットを作製し、珪素の含浸、溶融をすることにより、成
形体または焼成体において、柔軟性中間材が熱分解して
ヤーンの間隙には細長い開気孔が残るため、この細長い
開気孔に沿って焼成体または成形体の奥まで珪素を浸透
させることができる。この浸透の過程で、珪素がヤーン
の炭素と反応してヤーン表面側から徐々に炭化し、本発
明で用いるSi−SiC系複合材料及びSiC系複合材
料を生成させることができる。尚、用途に応じて、この
ような構成を有する複合材料を、C/Cコンポジットか
らなる骨格部の表層部の一部にのみいわゆる複合材料層
として形成してもよい。
複合材料及びSiC系複合材料は、有機物からなる柔軟
性中間材を炭素繊維束の外周に使用したC/Cコンポジ
ットを作製し、珪素の含浸、溶融をすることにより、成
形体または焼成体において、柔軟性中間材が熱分解して
ヤーンの間隙には細長い開気孔が残るため、この細長い
開気孔に沿って焼成体または成形体の奥まで珪素を浸透
させることができる。この浸透の過程で、珪素がヤーン
の炭素と反応してヤーン表面側から徐々に炭化し、本発
明で用いるSi−SiC系複合材料及びSiC系複合材
料を生成させることができる。尚、用途に応じて、この
ような構成を有する複合材料を、C/Cコンポジットか
らなる骨格部の表層部の一部にのみいわゆる複合材料層
として形成してもよい。
【0053】 上記複合材料層の深さの調節は、成形体
または焼成体の開気孔率およびその細孔径により行う。
例えば、複合材料層の厚さを0.01〜10mmとする
場合には、少なくとも成形体または焼成体の表面近傍に
おける開気孔率を5〜50%、平均細孔径を1μm以上
とする。成形体または焼成体の開気孔率は10〜50%
であることが好ましく、平均細孔径は10μm以上とす
ることが好ましい。開気孔率を5%未満とすると、成形
体または焼成体中のバインダーを除去しきれず、50%
より大きくすると、骨格部の内部深くにまでSiC系材
料が含浸形成し、複合材料の耐衝撃性が低下するからで
ある。
または焼成体の開気孔率およびその細孔径により行う。
例えば、複合材料層の厚さを0.01〜10mmとする
場合には、少なくとも成形体または焼成体の表面近傍に
おける開気孔率を5〜50%、平均細孔径を1μm以上
とする。成形体または焼成体の開気孔率は10〜50%
であることが好ましく、平均細孔径は10μm以上とす
ることが好ましい。開気孔率を5%未満とすると、成形
体または焼成体中のバインダーを除去しきれず、50%
より大きくすると、骨格部の内部深くにまでSiC系材
料が含浸形成し、複合材料の耐衝撃性が低下するからで
ある。
【0054】 また、上記複合材料層をC/Cコンポジ
ットの表面にのみ形成するには、少なくとも表面近傍の
開気孔率が焼成中に0.1〜30%になるように調整し
た成形体を用いることが好ましい。すなわち、熱分解す
る有機物からなる柔軟性中間材の被膜の炭素繊維束に対
する厚さを調整すればよい。
ットの表面にのみ形成するには、少なくとも表面近傍の
開気孔率が焼成中に0.1〜30%になるように調整し
た成形体を用いることが好ましい。すなわち、熱分解す
る有機物からなる柔軟性中間材の被膜の炭素繊維束に対
する厚さを調整すればよい。
【0055】 成形体または焼成体の開気孔率を、表面
から内部に向かって小さくなるようにするには、バイン
ダーピッチの異なるプリフォームドヤーンからなる複数
のプリフォームドシートを、内側から表層側に向かって
バインダーピッチが大きくなるように配置して成形する
ことにより行う。
から内部に向かって小さくなるようにするには、バイン
ダーピッチの異なるプリフォームドヤーンからなる複数
のプリフォームドシートを、内側から表層側に向かって
バインダーピッチが大きくなるように配置して成形する
ことにより行う。
【0056】 また、上記複合材料層における珪素濃度
に傾斜を設ける場合には、表面近傍の開気孔率が表面か
ら内部に向かって小さくなるように調整した焼成体、ま
たは少なくとも表面近傍の開気孔率が焼成中に表面から
内部に向かって小さくなるように調整した成形体を用い
て、複合材料の製造を行う。SiC−C/Cコンポジッ
ト複合材料の気孔率を0.5%〜5%に制御するには、
金属珪素を成形体あるいは焼成体に含浸させる際に、成
形体あるいは焼成体の開気孔率に応じて金属珪素量を調
整することにより容易に行うことができる。
に傾斜を設ける場合には、表面近傍の開気孔率が表面か
ら内部に向かって小さくなるように調整した焼成体、ま
たは少なくとも表面近傍の開気孔率が焼成中に表面から
内部に向かって小さくなるように調整した成形体を用い
て、複合材料の製造を行う。SiC−C/Cコンポジッ
ト複合材料の気孔率を0.5%〜5%に制御するには、
金属珪素を成形体あるいは焼成体に含浸させる際に、成
形体あるいは焼成体の開気孔率に応じて金属珪素量を調
整することにより容易に行うことができる。
【0057】 上記のSi−SiC複合材料又はSiC
系複合材料を用いた本発明の研磨処理用治具を製造する
に際しては、上記のように製造した複合材料を平面研削
盤等により適宜な寸法に切断加工し、研磨仕上げするこ
とにより製造すればよい。また、プリフォームドシート
の必要量を積層した後、ホットプレスで所望の形状(予
備成形体)に成形し、これを焼成するか、あるいは焼成
することなく、金属珪素と本発明で用いた複合材料の製
造方法によりマトリックスを形成させることによっても
製造することができる。
系複合材料を用いた本発明の研磨処理用治具を製造する
に際しては、上記のように製造した複合材料を平面研削
盤等により適宜な寸法に切断加工し、研磨仕上げするこ
とにより製造すればよい。また、プリフォームドシート
の必要量を積層した後、ホットプレスで所望の形状(予
備成形体)に成形し、これを焼成するか、あるいは焼成
することなく、金属珪素と本発明で用いた複合材料の製
造方法によりマトリックスを形成させることによっても
製造することができる。
【0058】
【実施例】 次に、本発明を実施例に基づいて、更に詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるも
のではない。各例で使用したC/Cコンポジット、Si
−SiC系複合材料及びSiC系複合材料の製造方法を
以下に示す。
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるも
のではない。各例で使用したC/Cコンポジット、Si
−SiC系複合材料及びSiC系複合材料の製造方法を
以下に示す。
【0059】(C/Cコンポジットの製造方法)炭素繊
維を一方向に引き揃えたものにフェノール樹脂を含浸さ
せたプリプレグシートを炭素繊維が互いに直交するよう
に積層し、ホットプレスで180℃、10kg/cm2
で樹脂を硬化させた。次いで、窒素中で2000℃で焼
成することにより、C/Cコンポジットを製造した。得
られたC/Cコンポジットの密度は1.0g/cm3、
開気孔率は50%であった。
維を一方向に引き揃えたものにフェノール樹脂を含浸さ
せたプリプレグシートを炭素繊維が互いに直交するよう
に積層し、ホットプレスで180℃、10kg/cm2
で樹脂を硬化させた。次いで、窒素中で2000℃で焼
成することにより、C/Cコンポジットを製造した。得
られたC/Cコンポジットの密度は1.0g/cm3、
開気孔率は50%であった。
【0060】(Si−SiC系複合材料の製造方法)上
記C/Cコンポジットを、気孔率が5%となるのに充分
な量からなる、純度99.8%、平均粒径1mmのSi
粉末と接触させ、焼成炉内の温度を1300℃、不活性
ガスとしてアルゴンガス流量を20NL/分、焼成炉内
圧を1hPaで、4時間保持した後、焼成炉内の圧力を
そのまま保持しつつ、炉内温度を1600℃に昇温する
ことにより、C/CコンポジットにSiを含浸させて、
Si−SiC系複合材料を製造した。
記C/Cコンポジットを、気孔率が5%となるのに充分
な量からなる、純度99.8%、平均粒径1mmのSi
粉末と接触させ、焼成炉内の温度を1300℃、不活性
ガスとしてアルゴンガス流量を20NL/分、焼成炉内
圧を1hPaで、4時間保持した後、焼成炉内の圧力を
そのまま保持しつつ、炉内温度を1600℃に昇温する
ことにより、C/CコンポジットにSiを含浸させて、
Si−SiC系複合材料を製造した。
【0061】(SiC系複合材料の製造方法)上記C/
Cコンポジットを、気孔率が5%となるのに充分な量か
らなる、純度99.8%、平均粒径1mmのSi粉末と
接触させ、焼成炉内の温度を1300℃、不活性ガスと
してアルゴンガス流量を20NL/分、焼成炉内圧を1
hPaで、4時間保持した後、焼成炉内の圧力をそのま
ま保持しつつ、炉内温度を1600℃に昇温することに
より、C/CコンポジットにSiを含浸させた。更に、
炉内温度をそのまま保持しつつ、炉内圧力を約1気圧、
炉内温度を2200℃まで上げ、1時間保持することに
より、場合によっては残存していることもある金属珪素
と、既に生成している炭化珪素を炭素繊維と炭素繊維外
の炭素成分中(一部黒鉛化した炭素を含む遊離炭素と同
義である)にまで拡散させ、これら炭素と反応させるこ
とにより、SiC系複合材料を製造した。
Cコンポジットを、気孔率が5%となるのに充分な量か
らなる、純度99.8%、平均粒径1mmのSi粉末と
接触させ、焼成炉内の温度を1300℃、不活性ガスと
してアルゴンガス流量を20NL/分、焼成炉内圧を1
hPaで、4時間保持した後、焼成炉内の圧力をそのま
ま保持しつつ、炉内温度を1600℃に昇温することに
より、C/CコンポジットにSiを含浸させた。更に、
炉内温度をそのまま保持しつつ、炉内圧力を約1気圧、
炉内温度を2200℃まで上げ、1時間保持することに
より、場合によっては残存していることもある金属珪素
と、既に生成している炭化珪素を炭素繊維と炭素繊維外
の炭素成分中(一部黒鉛化した炭素を含む遊離炭素と同
義である)にまで拡散させ、これら炭素と反応させるこ
とにより、SiC系複合材料を製造した。
【0062】(実施例1〜2、比較例)上記のように製
造されたSi−SiC系複合材料とSiC系複合材料か
ら、平面研削盤により、直径:400±0.2mm、厚
さ:13±0.2mmになるように切断加工した後、8
00#砥石で、平面度:0.01mm以下、平坦度(R
max):3μm以下になるように研磨仕上げすること
により、研磨処理用治具である定盤をそれぞれ作製した
(実施例1〜2)。また、比較のために、同一形状であ
るアルミナ製定盤を用意した(比較例)。
造されたSi−SiC系複合材料とSiC系複合材料か
ら、平面研削盤により、直径:400±0.2mm、厚
さ:13±0.2mmになるように切断加工した後、8
00#砥石で、平面度:0.01mm以下、平坦度(R
max):3μm以下になるように研磨仕上げすること
により、研磨処理用治具である定盤をそれぞれ作製した
(実施例1〜2)。また、比較のために、同一形状であ
るアルミナ製定盤を用意した(比較例)。
【0063】 次に、それぞれ得られた定盤(実施例1
〜2、比較例)を、図4に示す研磨装置に適用した場合
における研磨シリコンウエハーの生産性や歩留まりにつ
いて検討した。この結果、実施例1〜2は、比較例と比
較して、ハンドリング時に生じる割れを防止することが
できるだけでなく、重量も1/2以下に軽量化すること
ができた。また、実施例1〜2は、比較例と比較して、
研磨処理用治具の破損による交換をする必要がほとんど
ないため、研磨シリコンウエハーの生産性や歩留まりを
向上することができた。
〜2、比較例)を、図4に示す研磨装置に適用した場合
における研磨シリコンウエハーの生産性や歩留まりにつ
いて検討した。この結果、実施例1〜2は、比較例と比
較して、ハンドリング時に生じる割れを防止することが
できるだけでなく、重量も1/2以下に軽量化すること
ができた。また、実施例1〜2は、比較例と比較して、
研磨処理用治具の破損による交換をする必要がほとんど
ないため、研磨シリコンウエハーの生産性や歩留まりを
向上することができた。
【0064】
【発明の効果】 以上の説明から明らかなように、本発
明の研磨処理用治具は、研磨時に必要な寸法精度及び圧
縮強度を長期にわたり維持するだけでなく、軽量である
ため、セラミック製品の生産性や歩留まりを向上するこ
とができる。
明の研磨処理用治具は、研磨時に必要な寸法精度及び圧
縮強度を長期にわたり維持するだけでなく、軽量である
ため、セラミック製品の生産性や歩留まりを向上するこ
とができる。
【図1】 本発明で用いる複合材料の骨格部であるヤー
ン集合体を模式的に示す斜視図である。
ン集合体を模式的に示す斜視図である。
【図2】 本発明で用いるSi−SiC系複合材料の構
造の一例を示すものであり、(a)は図1におけるII
a−IIa線で切断した場合の断面図であり、(b)は
図1におけるIIb−IIb線で切断した場合の断面図
である。
造の一例を示すものであり、(a)は図1におけるII
a−IIa線で切断した場合の断面図であり、(b)は
図1におけるIIb−IIb線で切断した場合の断面図
である。
【図3】 本発明で用いるSiC系複合材料の構造の一
例を示すものであり、(a)は図1におけるIIa−I
Ia線で切断した場合の断面図であり、(b)は図1に
おけるIIb−IIb線で切断した場合の断面図であ
る。
例を示すものであり、(a)は図1におけるIIa−I
Ia線で切断した場合の断面図であり、(b)は図1に
おけるIIb−IIb線で切断した場合の断面図であ
る。
【図4】 研磨装置の一例を示す説明図である。
1A,1B,1C,1D,1E,1F…ヤーン配列体、
2A,2B…ヤーン、3…繊維束(ヤーン)、4A,4
B…炭化珪素相、5A,5B,5C…Si−SiC系材
料相、6…ヤーン集合体、7…Si−SiC系複合材
料、8A…マトリックス、8B…マトリックス、9…小
突起部、10…気孔、12…SiC系複合材料、14…
炭化珪素相、20…研磨装置、21…加圧ヘッド、22
…マウントプレート、23…セラミック製品、25…研
磨布、26…定盤、27…ヘッド回転軸。
2A,2B…ヤーン、3…繊維束(ヤーン)、4A,4
B…炭化珪素相、5A,5B,5C…Si−SiC系材
料相、6…ヤーン集合体、7…Si−SiC系複合材
料、8A…マトリックス、8B…マトリックス、9…小
突起部、10…気孔、12…SiC系複合材料、14…
炭化珪素相、20…研磨装置、21…加圧ヘッド、22
…マウントプレート、23…セラミック製品、25…研
磨布、26…定盤、27…ヘッド回転軸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C058 AA07 AA16 AB06 AB08 AB09 CA05 CB01 4F100 AA16A AA37A AB11A AD11A AK33A BA08 BA22 BA44 DC16 DD31 DG06A DG18A DJ10 EJ48 EJ82 GB51 JK05 JK16 JL02 JL03 JL04 YY00 YY00A
Claims (11)
- 【請求項1】 55〜75重量%の炭素と、1〜10重
量%の珪素と、10〜50重量%の炭化珪素とから構成
され、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成
分とを含有するヤーンが層方向に配向しつつ三次元的に
組み合わされ、互いに分離しないように一体化されてい
るヤーン集合体と、このヤーン集合体中で隣り合うヤー
ンの間に充填されているSi−SiC系材料からなるマ
トリックスとを備え、0.05〜0.6の動摩擦係数
と、0.5〜10%に制御された気孔率とを有するSi
−SiC系複合材料からなることを特徴とする研磨処理
用治具。 - 【請求項2】 前記マトリックスが、前記ヤーンの表面
に沿って生成している炭化珪素相を備えている請求項1
に記載の研磨処理用治具。 - 【請求項3】 前記マトリックスが、珪素からなる珪素
相を備え、この珪素相と前記ヤーンとの間に前記炭化珪
素相が生成している請求項1または2に記載の研磨処理
用治具。 - 【請求項4】 前記マトリックスが、前記ヤーンから離
れるのに従って、珪素の含有比率が上昇する傾斜組成を
有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨処
理用治具。 - 【請求項5】 前記ヤーン集合体が、複数のヤーン配列
体を備えており、各ヤーン配列体がそれぞれ複数のヤー
ンをほぼ並行に二次元的に配列することによって形成さ
れており、前記ヤーン配列体が積層されることによって
前記ヤーン集合体が構成されている請求項1〜4のいず
れか1項に記載の研磨処理用治具。 - 【請求項6】 前記マトリックスが、前記Si−SiC
複合材料の中で互いに連続することで三次元網目構造を
形成している請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨
処理用治具。 - 【請求項7】 炭化珪素と炭素繊維と炭素繊維以外の炭
素成分とから構成され、骨格部と骨格部の周囲に形成さ
れたマトリックスとからなる構造を有するSiC系複合
材料からなる研磨処理用治具であって、 炭化珪素の少なくとも50%がβ型であり、 骨格部が、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分により形
成されており、前記骨格部の一部分には炭化珪素が存在
していてもよく、 マトリックスが、炭化珪素により形成され、前記マトリ
ックスと前記骨格部とが一体的に形成されており、か
つ、 前記SiC系複合材料が、0.5〜5%の気孔率と二山
型の平均気孔径の分布を有することを特徴とする研磨処
理用治具。 - 【請求項8】 前記マトリックスが、骨格部表面に沿っ
て形成されている請求項7に記載の研磨処理用治具。 - 【請求項9】 前記マトリックスが、前記骨格部表面か
ら離れるに従って、珪素の含有比率が上昇する傾斜組成
を有している請求項7又は8に記載の研磨処理用治具。 - 【請求項10】 前記骨格部が、炭素繊維と炭素繊維以
外の炭素成分とからなるヤーンを、少なくとも複数本ほ
ぼ並行に二次元的に配列して作製したヤーン配列体を、
交互に直交するように必要数積層して作製されたもので
あるヤーン集合体から構成されている請求項7〜9のい
ずれか1項に記載の研磨処理用治具。 - 【請求項11】 前記マトリックスが、前記SiC系複
合材料の中で互いに連続することで三次元網目構造を形
成している請求項7〜10のいずれか1項に記載の研磨
処理用治具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9760299A JP2000288916A (ja) | 1999-04-05 | 1999-04-05 | 研磨処理用治具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP9760299A JP2000288916A (ja) | 1999-04-05 | 1999-04-05 | 研磨処理用治具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000288916A true JP2000288916A (ja) | 2000-10-17 |
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ID=14196791
Family Applications (1)
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JP9760299A Withdrawn JP2000288916A (ja) | 1999-04-05 | 1999-04-05 | 研磨処理用治具 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2000288916A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 1999-04-05 JP JP9760299A patent/JP2000288916A/ja not_active Withdrawn
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