JP2000144291A - 耐ブローアップ性に優れた缶エンド用アルミニウム合金板 - Google Patents
耐ブローアップ性に優れた缶エンド用アルミニウム合金板Info
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- JP2000144291A JP2000144291A JP32734398A JP32734398A JP2000144291A JP 2000144291 A JP2000144291 A JP 2000144291A JP 32734398 A JP32734398 A JP 32734398A JP 32734398 A JP32734398 A JP 32734398A JP 2000144291 A JP2000144291 A JP 2000144291A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、従来の5182合金の缶エンドに
近い強度を有するとともに、耐ブローアップ性に優れ、
高強度であり、更にリサイクル性にも優れたAl-Mn
系の耐ブローアップ性に優れるものの提供にある。 【解決手段】 本発明は、Mn:0.6〜1.2%(重量
%、以下同じ)、Mg:1.5〜3.5%、Si:0.2
〜0.5%、Cu:0.1〜0.5%、Fe:0.1〜0.
3%、Ti:0.001〜0.2%を含有し、残部Alと
不可避不純物の組成を有するアルミニウム合金板であっ
て、その金属組織において平均粒径1μm以上の金属間
化合物の面積率が3%以下であることを特徴とする。
近い強度を有するとともに、耐ブローアップ性に優れ、
高強度であり、更にリサイクル性にも優れたAl-Mn
系の耐ブローアップ性に優れるものの提供にある。 【解決手段】 本発明は、Mn:0.6〜1.2%(重量
%、以下同じ)、Mg:1.5〜3.5%、Si:0.2
〜0.5%、Cu:0.1〜0.5%、Fe:0.1〜0.
3%、Ti:0.001〜0.2%を含有し、残部Alと
不可避不純物の組成を有するアルミニウム合金板であっ
て、その金属組織において平均粒径1μm以上の金属間
化合物の面積率が3%以下であることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料缶の缶蓋(エ
ンド)用のアルミニウム合金板に関するものであって、
強度、耐食性、成形性などの各種特性を具備すると同時
に、特に内圧によってエンドがバックリングと称される
反転状態となった場合であっても、エンドに亀裂が生じ
ることがなく、エンドから内容物が吹き出すおそれのな
い、即ち、耐ブローアップ性に優れた飲料等の缶エンド
用アルミニウム合金板の改良技術に関する。
ンド)用のアルミニウム合金板に関するものであって、
強度、耐食性、成形性などの各種特性を具備すると同時
に、特に内圧によってエンドがバックリングと称される
反転状態となった場合であっても、エンドに亀裂が生じ
ることがなく、エンドから内容物が吹き出すおそれのな
い、即ち、耐ブローアップ性に優れた飲料等の缶エンド
用アルミニウム合金板の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】缶入り飲料などの需要増大に伴い、最近
ではその容器として好適なアルミニウム基合金製のいわ
ゆるDI(Deep drawing & Ironing)缶が大量に生産さ
れるようになっている。このアルミニウム基合金製DI
缶の本体の一般的な製造方法としては、アルミニウム基
合金板を多段に深絞り加工し、さらにしごき加工を行っ
て缶本体を成形し、塗装焼付け後に、比較的高価な蓋部
材の材料の使用量を削減するために縮径するネック加工
を行う。ここで使用するアルミニウム基合金板には製缶
後の十分な強度と多段深絞りやしごきに耐える成形性が
共に要求される。
ではその容器として好適なアルミニウム基合金製のいわ
ゆるDI(Deep drawing & Ironing)缶が大量に生産さ
れるようになっている。このアルミニウム基合金製DI
缶の本体の一般的な製造方法としては、アルミニウム基
合金板を多段に深絞り加工し、さらにしごき加工を行っ
て缶本体を成形し、塗装焼付け後に、比較的高価な蓋部
材の材料の使用量を削減するために縮径するネック加工
を行う。ここで使用するアルミニウム基合金板には製缶
後の十分な強度と多段深絞りやしごきに耐える成形性が
共に要求される。
【0003】また、飲料用アルミニウム缶は、ボディ
(缶胴)とエンド(缶蓋)の2ピースから構成されてお
り、ボディ用材料としては、深絞りが可能なAl-Mn
系の、例えば、米国アルミニウム協会標準(A.A)3
004合金(Si:0.3%以下、Fe:0.7%以下、
Cu:0.25%以下、Mn:1.0〜1.5%、Mg:
0.8〜1.3%、Zn:0.25%以下、残部Al)等
が広く用いられている。この合金から深絞り用アルミニ
ウム合金板を製造するには、先ずこの合金の鋳塊を熱間
圧延し、次に冷間圧延して適度な板厚の板材とし、この
冷間圧延後の板材に中間焼鈍を施し、さらに要求される
強度に応じて冷間圧延による硬化処理が行われる。
(缶胴)とエンド(缶蓋)の2ピースから構成されてお
り、ボディ用材料としては、深絞りが可能なAl-Mn
系の、例えば、米国アルミニウム協会標準(A.A)3
004合金(Si:0.3%以下、Fe:0.7%以下、
Cu:0.25%以下、Mn:1.0〜1.5%、Mg:
0.8〜1.3%、Zn:0.25%以下、残部Al)等
が広く用いられている。この合金から深絞り用アルミニ
ウム合金板を製造するには、先ずこの合金の鋳塊を熱間
圧延し、次に冷間圧延して適度な板厚の板材とし、この
冷間圧延後の板材に中間焼鈍を施し、さらに要求される
強度に応じて冷間圧延による硬化処理が行われる。
【0004】一方、缶エンド用材料として、内圧の高い
用途では高強度のAl-Mg系の5182合金(Si:
0.2%以下、Fe:0.35%以下、Cu:0.15%
以下、Mn:0.2〜0.5%、Mg:4.0〜5.0%、
Zn:0.25%以下、Ti:0.1%以下、残部Al)
が主として使用されている。
用途では高強度のAl-Mg系の5182合金(Si:
0.2%以下、Fe:0.35%以下、Cu:0.15%
以下、Mn:0.2〜0.5%、Mg:4.0〜5.0%、
Zn:0.25%以下、Ti:0.1%以下、残部Al)
が主として使用されている。
【0005】ところで、近年、食品容器等のリサイクル
に対する社会的要求が益々高まってきており、使用済み
飲料缶を回収し、再利用する割合、即ち、リサイクル率
も年々高まってきている。しかし一般には、上記のよう
にボディ材とエンド材とが異なる成分系のアルミニウム
合金からなるので、使用済みの缶を再溶解し、これから
ボディ材またはエンド材を製造するには、大幅な添加成
分調整を行う必要があり、リサイクルコストの増大を招
いていた。このため、ボディ材とエンド材を同一成分系
の合金とする、いわゆるユニアロイ化の試みがなされて
いる。
に対する社会的要求が益々高まってきており、使用済み
飲料缶を回収し、再利用する割合、即ち、リサイクル率
も年々高まってきている。しかし一般には、上記のよう
にボディ材とエンド材とが異なる成分系のアルミニウム
合金からなるので、使用済みの缶を再溶解し、これから
ボディ材またはエンド材を製造するには、大幅な添加成
分調整を行う必要があり、リサイクルコストの増大を招
いていた。このため、ボディ材とエンド材を同一成分系
の合金とする、いわゆるユニアロイ化の試みがなされて
いる。
【0006】しかしながら、缶ボディ用の3004合金
は、缶エンド用の5182合金に比べて強度が低いの
で、5182合金製の缶エンドと同等の耐圧強度とする
ためには、3004合金の板材の厚さを厚くする必要が
生じ、3004合金の圧延性が優れることを考慮して
も、合金使用量が増大するために、缶エンドのリサイク
ル時の製造コストは必ずしも低下しないという問題があ
る。また、5182合金のエンド材では、成形後に時間
が経つと時効軟化により耐圧強度が低下し、必要とされ
る値を下回るおそれがあった。即ち、5182合金はそ
の強度向上のためにMgが添加された組成系のものであ
るが、アルミニウム缶においては10万個に1個の欠陥
があっても好ましくないとの要求がなされているので、
Mgが入ったこの種の硬度の高いアルミニウム合金は、
再利用することが難しいと考えられている。
は、缶エンド用の5182合金に比べて強度が低いの
で、5182合金製の缶エンドと同等の耐圧強度とする
ためには、3004合金の板材の厚さを厚くする必要が
生じ、3004合金の圧延性が優れることを考慮して
も、合金使用量が増大するために、缶エンドのリサイク
ル時の製造コストは必ずしも低下しないという問題があ
る。また、5182合金のエンド材では、成形後に時間
が経つと時効軟化により耐圧強度が低下し、必要とされ
る値を下回るおそれがあった。即ち、5182合金はそ
の強度向上のためにMgが添加された組成系のものであ
るが、アルミニウム缶においては10万個に1個の欠陥
があっても好ましくないとの要求がなされているので、
Mgが入ったこの種の硬度の高いアルミニウム合金は、
再利用することが難しいと考えられている。
【0007】そこで本発明者らは、リサイクル性に優
れ、5182合金に比べて強度的に経時変化の少ない、
Al-Mn系合金をエンド材として用いることを目的
に、強度向上法について種々の検討を行った。
れ、5182合金に比べて強度的に経時変化の少ない、
Al-Mn系合金をエンド材として用いることを目的
に、強度向上法について種々の検討を行った。
【0008】まず、Al-Mn系合金の強度を高める方
法として、Mg、Mn、Si、Cuなどの添加元素量を
高める方法、最終冷間圧延率を高める方法は周知の方法
である。 また、中間焼鈍を高温で行い、Mg、Si、
CuをAl素地中に容体化する方法も広く行われてい
る。この方法によると、冷間圧延時の加工硬化性が増加
するだけでなく、時効硬化性が付与され、圧延板やその
成形品に焼付け塗装を施す際に、焼鈍軟化を抑制した
り、析出硬化を生じさせることが可能である。更に、容
体化処理を施した圧延板を冷間圧延する際に、途中で時
効処理を施し、引き続き冷間圧延する際の加工硬化性を
著しく増加させる方法が検討されている。
法として、Mg、Mn、Si、Cuなどの添加元素量を
高める方法、最終冷間圧延率を高める方法は周知の方法
である。 また、中間焼鈍を高温で行い、Mg、Si、
CuをAl素地中に容体化する方法も広く行われてい
る。この方法によると、冷間圧延時の加工硬化性が増加
するだけでなく、時効硬化性が付与され、圧延板やその
成形品に焼付け塗装を施す際に、焼鈍軟化を抑制した
り、析出硬化を生じさせることが可能である。更に、容
体化処理を施した圧延板を冷間圧延する際に、途中で時
効処理を施し、引き続き冷間圧延する際の加工硬化性を
著しく増加させる方法が検討されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら本発明者
らの研究により、これらの方法で強化したAl-Mn系
合金を用いて缶エンドを製造すると、Al-Mg系合金
と比較し、ブローアップを生じやすいという問題点が明
らかになった。また、現在、飲料缶用のエンドにはエン
ドの中央部に切り起こし用のタブを設けたイージーオー
プン・エンドタイプが広く用いられている。そして、こ
のイージー・オープン・エンドタイプには、飲み口形成
用タブの切り起こし操作を容易にするために、エンドの
切り起こし部分(飲み口を構成する開口部に相当する部
分)に沿ってエンド材の厚さの2/3程度の深さの切り
込みをプレス加工で形成するスコア加工と称される加工
が施されている。このように缶エンドにはタブによる開
口部の開放の際の優れた開口性が要求される一方で、缶
内圧によって開口部が容易に開口しないように、開口部
の高い耐圧性も要求される。
らの研究により、これらの方法で強化したAl-Mn系
合金を用いて缶エンドを製造すると、Al-Mg系合金
と比較し、ブローアップを生じやすいという問題点が明
らかになった。また、現在、飲料缶用のエンドにはエン
ドの中央部に切り起こし用のタブを設けたイージーオー
プン・エンドタイプが広く用いられている。そして、こ
のイージー・オープン・エンドタイプには、飲み口形成
用タブの切り起こし操作を容易にするために、エンドの
切り起こし部分(飲み口を構成する開口部に相当する部
分)に沿ってエンド材の厚さの2/3程度の深さの切り
込みをプレス加工で形成するスコア加工と称される加工
が施されている。このように缶エンドにはタブによる開
口部の開放の際の優れた開口性が要求される一方で、缶
内圧によって開口部が容易に開口しないように、開口部
の高い耐圧性も要求される。
【0010】アルミニウム缶の製造においては3004
合金製のアルミニウム合金板からなるコップ状のボディ
に飲料を充填後、ボディの開口部に5182合金製のエ
ンドを被せてエンド周縁部をボディに巻き締め固定して
構成されている。この状態を図1に示すが、ボディ1の
開口部にエンド2が被着され、エンド2の周縁部がボデ
ィ1の開口部に巻き締めされて接合されている。また、
アルミニウム缶のエンド2の周縁部にはカウンターシン
クと称される凹部2aをアルミニウム缶の内側に形成す
るための周溝2bが形成されている。
合金製のアルミニウム合金板からなるコップ状のボディ
に飲料を充填後、ボディの開口部に5182合金製のエ
ンドを被せてエンド周縁部をボディに巻き締め固定して
構成されている。この状態を図1に示すが、ボディ1の
開口部にエンド2が被着され、エンド2の周縁部がボデ
ィ1の開口部に巻き締めされて接合されている。また、
アルミニウム缶のエンド2の周縁部にはカウンターシン
クと称される凹部2aをアルミニウム缶の内側に形成す
るための周溝2bが形成されている。
【0011】この構成のアルミニウム缶に内圧を作用さ
せ、内圧を上昇させると、通常、図2に示すようにカウ
ンターシンク部分より内側のエンド2の一部分2dがア
ルミニウム缶の外側に突き出すバックリングと称される
座屈現象を生じるので、この座屈圧力を耐圧強度として
いる。しかしながら、前述の方法で強化したAl-Mn
系合金を用いたエンド2にあっては、エンド2の形状な
どに不具合がある場合、スコア加工されて切り込みが形
成されて開口部になる部分が、前述のようなエンド2の
座屈を発生する前に破損したり、座屈時のエンド2の変
形に伴って開口部に亀裂を生じるおそれがある。 開口
部に亀裂を生じたり破損するようであると、飲料缶の場
合に飲料が噴出して周囲に飛散し、二次的な損害が生じ
るおそれがある。例えば、夏場の直射日光で高温となっ
た自動車内にアルミニウム缶が放置された場合、熱膨張
により缶の内圧が上昇し、缶エンドの開口部が破損ない
しは亀裂を生じると飲料が吹き出すおそれがある。
せ、内圧を上昇させると、通常、図2に示すようにカウ
ンターシンク部分より内側のエンド2の一部分2dがア
ルミニウム缶の外側に突き出すバックリングと称される
座屈現象を生じるので、この座屈圧力を耐圧強度として
いる。しかしながら、前述の方法で強化したAl-Mn
系合金を用いたエンド2にあっては、エンド2の形状な
どに不具合がある場合、スコア加工されて切り込みが形
成されて開口部になる部分が、前述のようなエンド2の
座屈を発生する前に破損したり、座屈時のエンド2の変
形に伴って開口部に亀裂を生じるおそれがある。 開口
部に亀裂を生じたり破損するようであると、飲料缶の場
合に飲料が噴出して周囲に飛散し、二次的な損害が生じ
るおそれがある。例えば、夏場の直射日光で高温となっ
た自動車内にアルミニウム缶が放置された場合、熱膨張
により缶の内圧が上昇し、缶エンドの開口部が破損ない
しは亀裂を生じると飲料が吹き出すおそれがある。
【0012】このような背景からアルミニウム缶にあっ
ては、(破損圧力)>(座屈圧力)の関係、即ち、圧力
の上昇に伴い、先に座屈し、更なる圧力上昇で破損に至
ることが必要であるが、前述の方法で強化したAl-M
n系合金を用いた缶エンドにあっては、前述の如くエン
ドの形状などに不具合がある場合、(破損圧力)≦(座
屈圧力)の関係となることがあり、座屈する前に破損に
至る場合を生じるおそれがあった。即ち、図2に示すバ
ックリングに至る前に内圧によりエンド2が図3に示す
ように外部側に膨出するが、この際に缶エンド2の開口
部の破損ないしは亀裂を生じてしまうことがあった。
ては、(破損圧力)>(座屈圧力)の関係、即ち、圧力
の上昇に伴い、先に座屈し、更なる圧力上昇で破損に至
ることが必要であるが、前述の方法で強化したAl-M
n系合金を用いた缶エンドにあっては、前述の如くエン
ドの形状などに不具合がある場合、(破損圧力)≦(座
屈圧力)の関係となることがあり、座屈する前に破損に
至る場合を生じるおそれがあった。即ち、図2に示すバ
ックリングに至る前に内圧によりエンド2が図3に示す
ように外部側に膨出するが、この際に缶エンド2の開口
部の破損ないしは亀裂を生じてしまうことがあった。
【0013】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであって、その目的は、従来の5182合金の缶
エンドに近い強度を有するとともに、耐ブローアップ性
に優れ、高強度であり、更にリサイクル性にも優れたA
l-Mn系の耐ブローアップ性に優れる缶エンド用アル
ミニウム合金板の提供を目的とする。
たものであって、その目的は、従来の5182合金の缶
エンドに近い強度を有するとともに、耐ブローアップ性
に優れ、高強度であり、更にリサイクル性にも優れたA
l-Mn系の耐ブローアップ性に優れる缶エンド用アル
ミニウム合金板の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のよ
うな観点から、耐ブローアップ性に優れた飲料缶エンド
用Al-Mn系合金を開発すべく研究を行った結果、従
来のAl-Mn合金エンド材には、Al-Fe-Mn系の
粗大な金属間化合物が存在し、これを起点にスコア加工
時に微細クラックを生じやすく、この場合に高い内圧が
作用すると、ブローアップが生じやすいことを知見し
た。また、更なる研究の結果、この系のアルミニウム合
金においてFe量を低減し、平均粒径1μm以上のAl
-Fe-Mn系金属間化合物の面積率を3%以下にするこ
とにより、ブローアップを抑制できることが判明した。
更に、Mg、Cu量を適切な範囲に制御し、塗装または
樹脂フィルムを積層した状態の耐力を270MPa以上
とすることにより、十分な耐圧強度を得ることができる
という研究結果を得た。
うな観点から、耐ブローアップ性に優れた飲料缶エンド
用Al-Mn系合金を開発すべく研究を行った結果、従
来のAl-Mn合金エンド材には、Al-Fe-Mn系の
粗大な金属間化合物が存在し、これを起点にスコア加工
時に微細クラックを生じやすく、この場合に高い内圧が
作用すると、ブローアップが生じやすいことを知見し
た。また、更なる研究の結果、この系のアルミニウム合
金においてFe量を低減し、平均粒径1μm以上のAl
-Fe-Mn系金属間化合物の面積率を3%以下にするこ
とにより、ブローアップを抑制できることが判明した。
更に、Mg、Cu量を適切な範囲に制御し、塗装または
樹脂フィルムを積層した状態の耐力を270MPa以上
とすることにより、十分な耐圧強度を得ることができる
という研究結果を得た。
【0015】そこで上記課題を解決するために本発明
は、Mn:0.6〜1.2%(重量%、以下同じ)、M
g:1.5〜3.5%、Si:0.2〜0.5%、Cu:
0.1〜0.5%、Fe:0.1〜0.3%、Ti:0.0
01〜0.2%を含有し、残部Alと不可避不純物の組
成を有するアルミニウム合金板であって、その金属組織
において平均粒径1μm以上の金属間化合物の面積率が
3%以下であることを特徴とする。
は、Mn:0.6〜1.2%(重量%、以下同じ)、M
g:1.5〜3.5%、Si:0.2〜0.5%、Cu:
0.1〜0.5%、Fe:0.1〜0.3%、Ti:0.0
01〜0.2%を含有し、残部Alと不可避不純物の組
成を有するアルミニウム合金板であって、その金属組織
において平均粒径1μm以上の金属間化合物の面積率が
3%以下であることを特徴とする。
【0016】更に本発明は、先に記載のアルミニウム合
金板に焼付塗装を施すか、または熱可塑性樹脂フィルム
を積層したアルミニウム合金板であって、その耐力が2
70〜330MPaの範囲であることを特徴とする。
金板に焼付塗装を施すか、または熱可塑性樹脂フィルム
を積層したアルミニウム合金板であって、その耐力が2
70〜330MPaの範囲であることを特徴とする。
【0017】以下に本発明における合金組成および組織
を前述の通りに限定した理由を説明する。 「Mn」:Mnは、強度を高める効果を有するが、その
含有量が1.2%(重量%、以下同じ)を超えるとA
l、Fe、Siなどと粗大な金属間化合物を形成して靱
性を低下させ、スコア加工時に前記金属間化合物を起点
とする微細クラックを生じやすくし、ブローアップを生
じやすくする。一方においてMnは0.6%未満の含有
量では所望の強度向上効果が得られず、またリサイクル
性が低下する。
を前述の通りに限定した理由を説明する。 「Mn」:Mnは、強度を高める効果を有するが、その
含有量が1.2%(重量%、以下同じ)を超えるとA
l、Fe、Siなどと粗大な金属間化合物を形成して靱
性を低下させ、スコア加工時に前記金属間化合物を起点
とする微細クラックを生じやすくし、ブローアップを生
じやすくする。一方においてMnは0.6%未満の含有
量では所望の強度向上効果が得られず、またリサイクル
性が低下する。
【0018】「Mg」:Mgは素地に固溶して強度を高
める効果を有するが、その含有量が3.5%を超えると
圧延性が著しく低下する上に、合金の融点が低下するた
め、均質化温度や容体化処理を行う中間焼鈍温度を高く
できなくなる。このため、Mn、Mg、Siなどの容体
化が困難となり、かつ、これらの元素の粗大な金属間化
合物の量が増大するため、耐ブローアップ性が低下す
る。一方、Mg含有量が1.5%未満では所望の強度向
上効果が得られない。
める効果を有するが、その含有量が3.5%を超えると
圧延性が著しく低下する上に、合金の融点が低下するた
め、均質化温度や容体化処理を行う中間焼鈍温度を高く
できなくなる。このため、Mn、Mg、Siなどの容体
化が困難となり、かつ、これらの元素の粗大な金属間化
合物の量が増大するため、耐ブローアップ性が低下す
る。一方、Mg含有量が1.5%未満では所望の強度向
上効果が得られない。
【0019】「Si」:Siは微細なMg2Si化合物
として析出して強度を向上させる作用を奏する。しか
し、その含有量が0.5%を超えると完全に容体化する
ことができず、Al-Fe-Mn-Si系、Mg2Siなど
の粗大な金属間化合物を形成するようになるため、上限
は0.5%とした。一方、0.2%未満では、所望の強度
向上効果が得られない。
として析出して強度を向上させる作用を奏する。しか
し、その含有量が0.5%を超えると完全に容体化する
ことができず、Al-Fe-Mn-Si系、Mg2Siなど
の粗大な金属間化合物を形成するようになるため、上限
は0.5%とした。一方、0.2%未満では、所望の強度
向上効果が得られない。
【0020】「Fe」:FeはAl、Mn、Siなどと
粗大な金属間化合物を形成し易く、靱性を低下させ、ス
コア加工時に微細クラックを生じ易くし、ブローアップ
を生じ易くする。従って、含有量は少ない方が好ましい
が、0.1%未満では地金純度が高くなり、コストアッ
プにつながる。即ち、Feは通常のアルミニウム地金に
不純物として微量含まれているので、不純物としてのF
e量を0.1%より少なくしたアルミニウム地金は高価
になり、この高価な地金を用いることになるのでコスト
アップにつながる。また、Fe量を0.3%以下に低減
することにより、平均結晶粒径1μm以上のAl-Fe-
Mn系金属間化合物の面積率を3%以下にすることがで
きる。Fe量が0.3%を越える量であると、平均結晶
粒径1μm以上のAl-Fe-Mn系金属間化合物の面積
率が3%を越えるようになる。
粗大な金属間化合物を形成し易く、靱性を低下させ、ス
コア加工時に微細クラックを生じ易くし、ブローアップ
を生じ易くする。従って、含有量は少ない方が好ましい
が、0.1%未満では地金純度が高くなり、コストアッ
プにつながる。即ち、Feは通常のアルミニウム地金に
不純物として微量含まれているので、不純物としてのF
e量を0.1%より少なくしたアルミニウム地金は高価
になり、この高価な地金を用いることになるのでコスト
アップにつながる。また、Fe量を0.3%以下に低減
することにより、平均結晶粒径1μm以上のAl-Fe-
Mn系金属間化合物の面積率を3%以下にすることがで
きる。Fe量が0.3%を越える量であると、平均結晶
粒径1μm以上のAl-Fe-Mn系金属間化合物の面積
率が3%を越えるようになる。
【0021】「Ti」:Tiは鋳造組織を微細化するた
めに添加するものであるが、0.001%未満ではその
効果がなく、0.2%を越えると粗大な晶出物が増え、
成形性と耐ブローアップ性が低下する。
めに添加するものであるが、0.001%未満ではその
効果がなく、0.2%を越えると粗大な晶出物が増え、
成形性と耐ブローアップ性が低下する。
【0022】次に、最終的に得られた板材において、平
均粒径1μm以上の金属間化合物を面積率で3%以下と
したのは、金属間化合物が面積率で3%を越えると、金
属間化合物を起点にスコア加工時に微細クラックが生じ
易く、高い内圧が作用した場合にブローアップが起こる
ようになるおそれがあるからである。なお、ここでの金
属間化合物としては、Al-Fe-Mn系のものおよびM
g2Si化合物を例示することができる。また、先に記
載のアルミニウム合金板に焼付塗装を施すか、または熱
可塑性樹脂フィルムを積層したアルミニウム合金板の耐
力が270〜330MPaの範囲が好ましいとしたの
は、270MPa未満では耐圧強度が不足し、330M
Paを越えるとブローアップが起こり易くなるからであ
る。
均粒径1μm以上の金属間化合物を面積率で3%以下と
したのは、金属間化合物が面積率で3%を越えると、金
属間化合物を起点にスコア加工時に微細クラックが生じ
易く、高い内圧が作用した場合にブローアップが起こる
ようになるおそれがあるからである。なお、ここでの金
属間化合物としては、Al-Fe-Mn系のものおよびM
g2Si化合物を例示することができる。また、先に記
載のアルミニウム合金板に焼付塗装を施すか、または熱
可塑性樹脂フィルムを積層したアルミニウム合金板の耐
力が270〜330MPaの範囲が好ましいとしたの
は、270MPa未満では耐圧強度が不足し、330M
Paを越えるとブローアップが起こり易くなるからであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳し
く説明する。本発明に係る缶エンド用アルミニウム合金
板は、Mn:0.6〜1.2%(重量%、以下同じ)、M
g:1.5〜3.5%、Si:0.2〜0.5%、Cu:
0.1〜0.5%、Fe:0.1〜0.3%、Ti:0.0
01〜0.2%を含有し、残部Alと不可避不純物の組
成を有するアルミニウム合金板であって、その金属組織
において平均粒径1μm以上の金属間化合物の面積率が
3%以下であることを特徴とする。更に前記アルミニウ
ム合金板に焼付塗装を施すか、または熱可塑性樹脂フィ
ルムを積層したアルミニウム合金板であって、その耐力
が270〜330MPaの範囲であることが好ましい。
く説明する。本発明に係る缶エンド用アルミニウム合金
板は、Mn:0.6〜1.2%(重量%、以下同じ)、M
g:1.5〜3.5%、Si:0.2〜0.5%、Cu:
0.1〜0.5%、Fe:0.1〜0.3%、Ti:0.0
01〜0.2%を含有し、残部Alと不可避不純物の組
成を有するアルミニウム合金板であって、その金属組織
において平均粒径1μm以上の金属間化合物の面積率が
3%以下であることを特徴とする。更に前記アルミニウ
ム合金板に焼付塗装を施すか、または熱可塑性樹脂フィ
ルムを積層したアルミニウム合金板であって、その耐力
が270〜330MPaの範囲であることが好ましい。
【0024】以上のようなアルミニウム合金板を製造す
るには、例えば、前記組成の合金溶湯から半連続鋳造で
製造された鋳塊に、均質化処理を施し、熱間圧延処理
後、更に冷間圧延加工を施して所定の中間焼鈍板厚とす
る。前記の均質化処理は、粗大な金属間化合物の体積率
を低下させるため、545℃の以上で融点以下の高温で
施すことが好ましい。均質化処理後に熱間圧延および冷
間圧延されたアルミニウム合金板を10〜200℃/S
の加熱速度で480℃以上の温度であって、融点から5
℃程度低い温度まで加熱し、この温度範囲に0〜30秒
保持(0秒保持とは目的の温度に到達した時点に直ちに
冷却開始すること。)後、100℃以下の温度まで10
〜200℃/Sの冷却速度で冷却する。
るには、例えば、前記組成の合金溶湯から半連続鋳造で
製造された鋳塊に、均質化処理を施し、熱間圧延処理
後、更に冷間圧延加工を施して所定の中間焼鈍板厚とす
る。前記の均質化処理は、粗大な金属間化合物の体積率
を低下させるため、545℃の以上で融点以下の高温で
施すことが好ましい。均質化処理後に熱間圧延および冷
間圧延されたアルミニウム合金板を10〜200℃/S
の加熱速度で480℃以上の温度であって、融点から5
℃程度低い温度まで加熱し、この温度範囲に0〜30秒
保持(0秒保持とは目的の温度に到達した時点に直ちに
冷却開始すること。)後、100℃以下の温度まで10
〜200℃/Sの冷却速度で冷却する。
【0025】この工程において、熱間圧延および冷間圧
延されたアルミニウム合金板を10〜200℃/Sの加
熱速度で急速加熱し、再結晶させることで、微細で、か
つ等方的な再結晶集合組織が得られる。更に前記工程に
おいて、480℃以上の温度であって、融点から5℃程
度低い温度まで加熱し、この温度範囲に0〜30秒保持
後、100℃以下の温度まで10〜200℃/Sの冷却
速度で冷却することでMg、Cu、Siを十分に容体化
することができる。この場合に容体化が不十分である
と、十分な強度が得られない。
延されたアルミニウム合金板を10〜200℃/Sの加
熱速度で急速加熱し、再結晶させることで、微細で、か
つ等方的な再結晶集合組織が得られる。更に前記工程に
おいて、480℃以上の温度であって、融点から5℃程
度低い温度まで加熱し、この温度範囲に0〜30秒保持
後、100℃以下の温度まで10〜200℃/Sの冷却
速度で冷却することでMg、Cu、Siを十分に容体化
することができる。この場合に容体化が不十分である
と、十分な強度が得られない。
【0026】先の工程において100℃以下の温度まで
アルミニウム合金板を冷却したならば、40〜75%の
最終冷間圧延を施し、最終板厚として本発明のアルミニ
ウム合金板を得る。ここでの最終冷間圧延率が40%未
満であると、十分な強度のアルミニウム合金板が得られ
ない。最終板厚の冷間圧延板は、続いて常法によりクロ
メート処理などの表面処理を施した後、焼付塗装する
か、あるいは熱可塑性樹脂のフィルムと積層される。焼
付塗装工程では200〜300℃で2分以下、または、
フィルムの積層過程では200〜280℃の間に3〜6
0秒加熱処理することにより、高い強度が得られる。
アルミニウム合金板を冷却したならば、40〜75%の
最終冷間圧延を施し、最終板厚として本発明のアルミニ
ウム合金板を得る。ここでの最終冷間圧延率が40%未
満であると、十分な強度のアルミニウム合金板が得られ
ない。最終板厚の冷間圧延板は、続いて常法によりクロ
メート処理などの表面処理を施した後、焼付塗装する
か、あるいは熱可塑性樹脂のフィルムと積層される。焼
付塗装工程では200〜300℃で2分以下、または、
フィルムの積層過程では200〜280℃の間に3〜6
0秒加熱処理することにより、高い強度が得られる。
【0027】以上の製造方法により得られたアルミニウ
ム合金板にあっては、MnとMgとSiとCuとFeと
Tiを適正な含有量としたアルミニウム合金板であり、
特に飲料缶用とした場合に問題となる内圧上昇に起因す
るブローアップを防止することができる。即ち、前記添
加元素の中でも、FeとMnはAlとともにAl-Fe-
Mn系の1μm以上の粗大な金属間化合物を生成するの
で、この粗大な金属間化合物が面積率で3%を越える程
存在すると、缶エンド材とした場合に、飲料缶の飲み口
を構成するためにスコア加工で切り込みを入れた場合
に、前記金属間化合物を起点として微細クラックを生成
するおそれがあるが、Feの添加量とMnの添加量を適
正な範囲とすることで、粗大な金属間化合物の面積率を
少なくすることができ、スコア加工時の微細クラック生
成を抑制することができる。よって、本発明に係るアル
ミニウム合金板を用いて飲料缶のエンドを構成した場合
に、飲料缶を夏場の高温の自動車内に放置して内圧を上
昇させた場合など、何らかの原因で飲料缶の内部圧力が
異常に上昇しても、微細クラックを起点としてブローア
ップを生じて内容物を吹き出させてしまうおそれはな
い。
ム合金板にあっては、MnとMgとSiとCuとFeと
Tiを適正な含有量としたアルミニウム合金板であり、
特に飲料缶用とした場合に問題となる内圧上昇に起因す
るブローアップを防止することができる。即ち、前記添
加元素の中でも、FeとMnはAlとともにAl-Fe-
Mn系の1μm以上の粗大な金属間化合物を生成するの
で、この粗大な金属間化合物が面積率で3%を越える程
存在すると、缶エンド材とした場合に、飲料缶の飲み口
を構成するためにスコア加工で切り込みを入れた場合
に、前記金属間化合物を起点として微細クラックを生成
するおそれがあるが、Feの添加量とMnの添加量を適
正な範囲とすることで、粗大な金属間化合物の面積率を
少なくすることができ、スコア加工時の微細クラック生
成を抑制することができる。よって、本発明に係るアル
ミニウム合金板を用いて飲料缶のエンドを構成した場合
に、飲料缶を夏場の高温の自動車内に放置して内圧を上
昇させた場合など、何らかの原因で飲料缶の内部圧力が
異常に上昇しても、微細クラックを起点としてブローア
ップを生じて内容物を吹き出させてしまうおそれはな
い。
【0028】また、本発明に係る組成を有するアルミニ
ウム合金板であるならば、従来のエンド用材料として用
いられてきた5182合金と同等の強度を有するととも
に、前述の如く耐ブローアップ性に優れ、更に、Mgを
4〜5%程度含有し、Mn含有量の少ない5182合金
に比べてMg量を少なくし、Mn含有量を多くしたAl
-Mn系の組成を維持しながら、Al-Mn系のリサイク
ル性に優れた点を有する特徴がある。
ウム合金板であるならば、従来のエンド用材料として用
いられてきた5182合金と同等の強度を有するととも
に、前述の如く耐ブローアップ性に優れ、更に、Mgを
4〜5%程度含有し、Mn含有量の少ない5182合金
に比べてMg量を少なくし、Mn含有量を多くしたAl
-Mn系の組成を維持しながら、Al-Mn系のリサイク
ル性に優れた点を有する特徴がある。
【0029】
【実施例】以下の表1に示す各組成のアルミニウム合金
をDC鋳造にて鋳塊とした。この鋳塊を面削後、565
℃で8時間の均質化処理を行った。次にこの鋳塊を熱間
圧延して厚さ7mmの板材を得た。更に以下の表2に示
す中間焼鈍厚さまで冷間圧延加工し、520℃で20秒
間の中間焼鈍し、その後に100℃になるまで10℃/
Sで冷却し、厚さ0.31mmになるまで最終冷間圧延
加工を施した。最後に、厚さ12μmのポリエチレンテ
レフタレート(PET)の樹脂フィルムをラミネート
し、260℃で20Sの加熱処理を行い、樹脂フィルム
の接着を強固にした。
をDC鋳造にて鋳塊とした。この鋳塊を面削後、565
℃で8時間の均質化処理を行った。次にこの鋳塊を熱間
圧延して厚さ7mmの板材を得た。更に以下の表2に示
す中間焼鈍厚さまで冷間圧延加工し、520℃で20秒
間の中間焼鈍し、その後に100℃になるまで10℃/
Sで冷却し、厚さ0.31mmになるまで最終冷間圧延
加工を施した。最後に、厚さ12μmのポリエチレンテ
レフタレート(PET)の樹脂フィルムをラミネート
し、260℃で20Sの加熱処理を行い、樹脂フィルム
の接着を強固にした。
【0030】 「表1」 試料No. Si Fe Cu Mn Mg Zn Ti 1 0.28 0.18 0.43 1.02 2.84 0.10 0.03 2 0.28 0.17 0.43 0.70 2.79 0.09 0.02 3 0.27 0.17 0.42 1.01 2.85 0.09 0.02 4 0.29 0.28 0.42 0.99 2.82 0.09 0.02 5 0.28 0.40* 0.43 1.03 2.86 0.10 0.02 6 0.27 0.40* 0.42 0.69 2.76 0.09 0.02 7 0.28 0.32* 0.43 0.69 2.86 0.10 0.02 8 0.28 0.28 0.43 0.50* 2.86 0.10 0.02 9 0.27 0.28 0.42 1.40* 2.79 0.09 0.02
【0031】 「表2」 試料No. 中間焼鈍 最終圧 引張強さ 耐力 伸び 面積率 A% B% 板厚(mm) 延率(%) (MPa) (MPa) (%) (%) 1 0.77 60 385 321 8.3 2.0 100 0 2 0.77 60 364 299 8.6 1.4 100 0 3 0.56 45 357 280 8.5 1.5 100 0 4 0.77 60 388 325 8.5 2.8 100 0 5 0.62 50 367 293 7.8 5.2 60 40 6 0.77 60 357 286 7.5 4.1 80 20 7 0.77 60 355 283 8.5 3.2 80 20 8 0.77 60 337 265 8.6 2.2 100 0 9 0.77 60 412 346 7.9 5.0 40 60
【0032】表2においてA%、B%はいずれも耐圧試
験時の形態の割合を示し、Aはブローアップせずにバッ
クリングした試料の割合を示し、Bはブローアップした
試料の割合を示す。この耐圧試験においては、アルミニ
ウム合金板を直径60mmの缶エンドに成形し、缶エン
ドにはスコア加工で開口部となる切り込み部を形成し、
この缶エンドを底付きの缶ボディに巻き締めし、巻き締
め後にボディの底を切り取り、底抜きの缶を加圧装置に
セットし、ボディの内部に加圧装置で内圧を付加してゆ
き、巻き締めした缶エンドがバックリングしたのか、ブ
ローアップしたのかを確認した。表2において面積率と
は、晶出物(Al-Fe-Mn系の金属間化合物)の面積
率を言い、これは圧延方向に平行な断面を研磨し、画像
解析により測定した結果を示す。
験時の形態の割合を示し、Aはブローアップせずにバッ
クリングした試料の割合を示し、Bはブローアップした
試料の割合を示す。この耐圧試験においては、アルミニ
ウム合金板を直径60mmの缶エンドに成形し、缶エン
ドにはスコア加工で開口部となる切り込み部を形成し、
この缶エンドを底付きの缶ボディに巻き締めし、巻き締
め後にボディの底を切り取り、底抜きの缶を加圧装置に
セットし、ボディの内部に加圧装置で内圧を付加してゆ
き、巻き締めした缶エンドがバックリングしたのか、ブ
ローアップしたのかを確認した。表2において面積率と
は、晶出物(Al-Fe-Mn系の金属間化合物)の面積
率を言い、これは圧延方向に平行な断面を研磨し、画像
解析により測定した結果を示す。
【0033】表2に示す結果から明らかなように、本発
明組成のNo.1、2、3、4の試料は、270〜33
0MPaの範囲の耐力を示し、晶出物の面積率が小さ
く、晶出物も少ないことが判明した。更に、No.1、
2、3、4の試料は、内圧の上昇に伴い、ブローアップ
することなくバックリングしたのに対し、その他の試料
は一部バックリングする前にブローアップを生じるもの
があった。
明組成のNo.1、2、3、4の試料は、270〜33
0MPaの範囲の耐力を示し、晶出物の面積率が小さ
く、晶出物も少ないことが判明した。更に、No.1、
2、3、4の試料は、内圧の上昇に伴い、ブローアップ
することなくバックリングしたのに対し、その他の試料
は一部バックリングする前にブローアップを生じるもの
があった。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明のアルミニウ
ム合金板は、MnとMgとSiとCuとFeとTiを適
正な含有量としたアルミニウム合金板であり、前記添加
元素の中でもAl-Fe-Mn系の粗大な金属間化合物を
生成するFe量とMn量を適正な含有量としたものであ
るので、粗大な金属間化合物の面積率を3%以下とする
ことができる。このような粗大な金属間化合物が面積率
で3%を越える程存在すると、缶エンド材とした場合、
飲料缶の飲み口を構成するためにスコア加工で切り込み
を入れた際に、前記金属間化合物を起点として微細クラ
ックを生成させるおそれがあるが、Feの添加量とMn
の添加量を適正な範囲とすることで、粗大な金属間化合
物の面積率を少なくすることができ、スコア加工時の微
細クラック生成を抑制することができる。よって、本発
明に係るアルミニウム合金板を用いて飲料缶のエンドを
構成した場合、飲料缶を夏場の高温の自動車内に放置し
て内圧を異常に上昇させた場合など、何らかの原因で飲
料缶の内部圧力が異常に上昇しても、微細クラックを起
点としてブローアップを生じて内容物を吹き出させてし
まうおそれはない。
ム合金板は、MnとMgとSiとCuとFeとTiを適
正な含有量としたアルミニウム合金板であり、前記添加
元素の中でもAl-Fe-Mn系の粗大な金属間化合物を
生成するFe量とMn量を適正な含有量としたものであ
るので、粗大な金属間化合物の面積率を3%以下とする
ことができる。このような粗大な金属間化合物が面積率
で3%を越える程存在すると、缶エンド材とした場合、
飲料缶の飲み口を構成するためにスコア加工で切り込み
を入れた際に、前記金属間化合物を起点として微細クラ
ックを生成させるおそれがあるが、Feの添加量とMn
の添加量を適正な範囲とすることで、粗大な金属間化合
物の面積率を少なくすることができ、スコア加工時の微
細クラック生成を抑制することができる。よって、本発
明に係るアルミニウム合金板を用いて飲料缶のエンドを
構成した場合、飲料缶を夏場の高温の自動車内に放置し
て内圧を異常に上昇させた場合など、何らかの原因で飲
料缶の内部圧力が異常に上昇しても、微細クラックを起
点としてブローアップを生じて内容物を吹き出させてし
まうおそれはない。
【0035】また、本発明に係る組成を有するアルミニ
ウム合金板であるならば、従来のエンド用材料として用
いられてきた5182合金と同等の強度を有するととも
に、前述の如く耐ブローアップ性に優れる。更に、Mg
を4〜5%程度含有し、Mn含有量の少ない5182合
金に比べ、本発明のアルミニウム合金板は、Mg量を5
182合金よりも少なくし、Mn含有量を5182合金
よりも多くしたAl-Mn系の組成系であり、リサイク
ル性にも優れた特徴を有する効果がある。
ウム合金板であるならば、従来のエンド用材料として用
いられてきた5182合金と同等の強度を有するととも
に、前述の如く耐ブローアップ性に優れる。更に、Mg
を4〜5%程度含有し、Mn含有量の少ない5182合
金に比べ、本発明のアルミニウム合金板は、Mg量を5
182合金よりも少なくし、Mn含有量を5182合金
よりも多くしたAl-Mn系の組成系であり、リサイク
ル性にも優れた特徴を有する効果がある。
【図1】 一般的なアルミニウム缶のボディとエンドの
接合部の一例を示す断面図。
接合部の一例を示す断面図。
【図2】 一般的なアルミニウム缶においてエンド材の
変形によりバックリングを起こした状態を示す断面図。
変形によりバックリングを起こした状態を示す断面図。
【図3】 一般的なアルミニウム缶においてエンド材が
膨出した状態を示す断面図。
膨出した状態を示す断面図。
1・・・(缶)ボディ、2・・・(缶)エンド、2a・・・カウ
ンターシンク、2b・・・周溝、2d・・・一部分。
ンターシンク、2b・・・周溝、2d・・・一部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大堀 紘一 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 Fターム(参考) 4F100 AB02B AB02H AB09B AB09H AB10B AB11B AB11H AB12B AB12H AB14B AB14H AB17B AB17H AB31B AK01A AK42B BA02 CC00B GB16 GB23 JB16A JK01B JK20B YY00B
Claims (2)
- 【請求項1】 Mn:0.6〜1.2%(重量%、以下同
じ)、Mg:1.5〜3.5%、Si:0.2〜0.5%、
Cu:0.1〜0.5%、Fe:0.1〜0.3%、Ti:
0.001〜0.2%を含有し、残部Alと不可避不純物
の組成を有するアルミニウム合金板であって、 その金属組織において平均粒径1μm以上の金属間化合
物の面積率が3%以下であることを特徴とする耐ブロー
アップ性に優れた缶エンド用アルミニウム合金板。 - 【請求項2】 請求項1に記載のアルミニウム合金板に
焼付塗装を施すか、または熱可塑性樹脂フィルムを積層
したアルミニウム合金板であって、その耐力が270〜
330MPaの範囲であることを特徴とする耐ブローア
ップ性に優れた缶エンド用アルミニウム合金板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32734398A JP2000144291A (ja) | 1998-11-17 | 1998-11-17 | 耐ブローアップ性に優れた缶エンド用アルミニウム合金板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32734398A JP2000144291A (ja) | 1998-11-17 | 1998-11-17 | 耐ブローアップ性に優れた缶エンド用アルミニウム合金板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000144291A true JP2000144291A (ja) | 2000-05-26 |
Family
ID=18198086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32734398A Pending JP2000144291A (ja) | 1998-11-17 | 1998-11-17 | 耐ブローアップ性に優れた缶エンド用アルミニウム合金板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000144291A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6802197B2 (en) | 2002-01-09 | 2004-10-12 | Barrera Maria Eugenia | Process for manufacturing a high strength container, particularly an aerosol container, and the container obtained through such process |
US12104228B2 (en) * | 2021-05-20 | 2024-10-01 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Aluminum alloy plate, terminal, electric wire with terminal, and bus bar |
-
1998
- 1998-11-17 JP JP32734398A patent/JP2000144291A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6802197B2 (en) | 2002-01-09 | 2004-10-12 | Barrera Maria Eugenia | Process for manufacturing a high strength container, particularly an aerosol container, and the container obtained through such process |
US12104228B2 (en) * | 2021-05-20 | 2024-10-01 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Aluminum alloy plate, terminal, electric wire with terminal, and bus bar |
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