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JP2000001443A - 固形薬剤及びその製造方法 - Google Patents

固形薬剤及びその製造方法

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JP2000001443A
JP2000001443A JP9594599A JP9594599A JP2000001443A JP 2000001443 A JP2000001443 A JP 2000001443A JP 9594599 A JP9594599 A JP 9594599A JP 9594599 A JP9594599 A JP 9594599A JP 2000001443 A JP2000001443 A JP 2000001443A
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aqueous solution
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Fumie Tanno
史枝 丹野
Hiroyasu Kokubo
宏恭 小久保
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適度な硬度を有すると同時に速やかに崩壊し
て吸収されやすい固形薬剤を提供すること。 【解決手段】 メトキシル基の置換量が27.5〜3
1.5重量%であり、20℃における2重量%水溶液の
粘度が2〜12cPであるメチルセルロースを、結合剤
として固形薬剤中に含有することを特徴とする固形薬剤
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬用の錠剤、顆
粒等に供する固形薬剤及びその製造方法に関する。さら
に詳しくは、結合剤または崩壊剤としてメトキシル基置
換量および水溶液粘度が特定の範囲にあるメチルセルロ
ースを配合した固形薬剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品の顆粒や錠剤などの固形薬剤は、
投与に便利であり、また服用しやすいという利点があ
る。
【0003】しかしながら、固形薬剤は適当な硬度を有
しないと輸送中に摩損するおそれがある一方、硬度が高
すぎると体内に入っても崩壊せず吸収されないおそれが
ある。
【0004】このような固形薬剤に要求される硬度や崩
壊性を改善するために、固形薬物に配合される結合剤や
崩壊剤等の添加物の改善が望まれている。
【0005】従来、固形薬剤の結合剤として用いられて
いるものは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン(以下、それぞれ、MC、HPMC、
HPC、PVPと略記する。)等が挙げられる。
【0006】これらの結合剤中で、MCは医薬品の添加
剤として広いpH範囲で安定な結合剤として用いられて
いる。
【0007】例えば、20℃における2重量%水溶液の
粘度が80cP以上であるMCは除放性錠剤のマトリッ
クス基剤として使用し得ることが特開平4−16402
5号公報に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】固形薬剤は、主に湿式
造粒法により製造されるが、薬剤によっては通常量の結
合剤で満足な硬度が発現しないことがあるが、これを解
決するために添加量を多くすると、硬度の増大は得られ
るものの、体内での崩壊時間が長くなるという問題点が
ある。
【0009】したがって、添加量を高めても速やかに崩
壊する結合剤を配合した固形薬剤の開発が望まれてき
た。
【0010】また、MCに関しては、市販の低粘度品で
は粘度が15cPと高く、これを用いて充分な硬度が得
られるような添加量で結合剤水溶液を調製すると、粘度
が600cPより高くなる。一般に、湿式造粒に供する
水溶液の粘度は600cP以下であるため、この低粘度
品では、結合剤水溶液の粘性が高くなりすぎるため固形
薬剤への添加量を多くすることができないという問題点
があった。
【0011】さらに、MCを粉末で使用して固形薬剤を
水で造粒する場合においても、粘度が高いためにMC粉
末の溶解に時間がかかるという問題点を有していた。
【0012】本発明者は上述の問題点に鑑み適度な硬度
を有すると同時に速やかに崩壊する固形薬剤を得るべく
鋭意研究した結果、メトキシル基置換量及び水溶液粘度
が特定の範囲にあるMCを結合剤または崩壊剤として固
形薬剤に添加すると上述の問題点が解決できることを見
出し本発明を完成するに至った。
【0013】本発明は適度な硬度を有すると同時に速や
かに崩壊して吸収されやすい固形薬剤及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、メ
トキシル基の置換量が27.5〜31.5重量%であ
り、20℃における2重量%水溶液の粘度が2〜12c
Pであるメチルセルロースを、結合剤として固形薬剤中
に含有することを特徴とする固形薬剤を提供するもので
ある。
【0015】また、本発明は、前記メチルセルロースの
含有量が、固形薬剤に対して0.5〜10重量%である
ことを特徴とする前記の固形薬剤を提供するものであ
る。
【0016】さらに、本発明は、薬物を造粒する固形薬
剤の製造方法において、メトキシル基の置換量が27.
5〜31.5重量%であり、20℃における2重量%水
溶液の粘度が2〜12cPであるメチルセルロースを、
結合剤として添加して造粒することを特徴とする前記の
固形薬剤の製造方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について詳述
する。
【0018】本発明の特徴は、メトキシル基の置換量が
27.5〜31.5重量%であり、20℃における2重
量%水溶液の粘度が2〜12cP、好ましくは2〜5c
Pであるメチルセルロースを、固形薬剤の造粒過程にお
いて結合剤として添加して製造される固形薬剤であり、
固形薬剤中(内部)に含有される結合剤は同時に崩壊剤
として作用することである。
【0019】従来、メトキシル基の置換量が27.5〜
31.5重量%のMCは、20℃における2重量%水溶
液の粘度が3〜15cPであるものが、固形薬剤の被膜
剤としてその表面に利用された例はあるが(特開昭60
−84215号公報、特開昭60−13719号公
報)、メトキシル基の置換量が27.5〜31.5重量
%で20℃における2重量%水溶液の粘度が2〜12c
Pの範囲にあるMCが造粒過程中に添加されて内部に存
在する結合剤として使用された例は本発明が最初であ
る。
【0020】本発明に使用するMCは、粘度が低いた
め、湿式造粒法において、水溶液として使用する場合に
は、従来に比べ造粒粉末全体に均一に行き渡ることがで
き、また、高濃度で使用することもできるという利点が
ある。
【0021】さらに、湿式造粒法において、結合剤のM
Cを粉末で添加し水で造粒する場合においても、水に対
する溶解性がよいため添加量を多くしても結合性に優れ
かつ崩壊性の良好な固形薬剤が得られる。
【0022】本発明において、MCの20℃における2
重量%水溶液の粘度が12cPを越えると除放効果が大
きくなり適当ではない。
【0023】本発明に用いる上記特性のメトキシル基の
置換量と粘度範囲を有するMCは、本発明の出願人が製
造販売する市販品を利用することが出来るが、添加され
るMCの粘度グレードは上記粘度範囲の中から薬物の水
に対する溶解性によって適当なものを選択することが出
来る。
【0024】上記MCの固形薬剤中への配合量は、固形
薬剤全量に対して0.5〜10重量%であることが好ま
しく、さらに好ましくは1〜5重量%である。固形薬剤
を製造する際の造粒が可能であって固形薬剤に適度な崩
壊性を与えられる配合量であればよいが、MCが10重
量%を越えると、固形薬剤中の薬物の放出が遅くなり、
また、造粒過程における造粒物の粘度が著しく上昇して
均一な造粒が出来なくなるので好ましくない。
【0025】本発明の固形薬剤は、上記MCと薬物のほ
かに、通常固形薬剤の製造において添加される他の添加
剤、例えば、乳糖、澱粉類、粉末セルロース、結晶セル
ロース、リン酸水素カルシウム等の賦形剤やステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等の
滑択剤を含有することが出来る。さらに必要に応じて、
その他の結合剤、崩壊剤、界面活性剤、着色剤、矯味
剤、香料等を含有してもよい。
【0026】本発明の固形薬剤は、撹拌造粒法、流動層
造粒法等の通常の製造方法を用いて製造することがで
き、造粒された固形薬剤を滑択剤と混合し、常法によっ
て打錠機で錠剤を成形することが出来る。
【0027】本発明の固形薬剤の製造方法において、造
粒におけるMCの添加方法は、例えば、MCの粉末を薬
物および賦形剤等の混合粉末に添加した後造粒する方
法、あらかじめMCを水に溶解した水溶液を薬物と賦形
剤等の混合粉末に添加して造粒する方法などいずれでも
差し支えない。
【0028】このようにして得られる本発明の固形薬剤
は、後述の実施例に示すように、優れた結合性、崩壊性
を示す固形薬剤である。したがって、従来のメトキシル
基置換量及び水溶液粘度範囲のMCを用いた固形薬剤と
は異なり結合性が高くしかも速やかな崩壊性を有する優
れた固形薬剤を提供することが出来る。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を挙げて
さらに具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例
にのみ限定されるものではない。
【0030】「実施例1」下記の処方の組成物をバーチ
カルグラニュレータ((株)パウレック社製FM−VG−
05)にてグレード回転数700rpm、チョッパー回
転数3000rpmの条件で30秒混合した後、10秒
間で水80.0gを添加し、さらに10分間混合して造
粒した。得られた造粒末を、40℃で一晩乾燥し、20
メッシュのふるいを通過させ、本発明の固形薬剤である
打錠用顆粒を得た。
【0031】 乳糖 268.8g (DMV international製 商品名:Pharmatose 200M) コーンスターチ 115.2g (日本食品化工(株)製 商品名:日食コーンスターチ) 微結晶セルロース 10.0g (旭化成(株)製 商品名:Avicel PH-101) MC 12.0g (信越化学工業(株)製 商品名:メトローズSM-4、メトキシル基置換量28.2重量 %、20℃、2重量%水溶液粘度4.1cP) 水 80.0g
【0032】得られた打錠用顆粒に滑択剤としてステア
リン酸マグネシウムを0.5重量%添加し、ポリ袋で混
合したものを下記打錠条件で、本発明の固形薬剤である
錠剤を圧縮成形し、硬度試験および日本薬局方崩壊試験
を行って錠剤物性を比較した。試験結果を「表1」に示
す。
【0033】「打錠条件」 杵:8mmφ、6mmR 全錠剤重量:200mg/Tablet 打錠圧:本圧1.5t/p、予圧0.5t/p
【0034】「実施例2」結合剤のMCの添加量を2
0.0gに代えた以外は実施例1と同様に錠剤を製造し
試験を行った。試験結果を「表1」に示す。
【0035】「比較例1」実施例1の結合剤のMCを粘
度の高いMC(信越化学工業(株)製 商品名:メトロー
ズSM−15;20℃、2重量%水溶液粘度15.8c
P)12.0gに代えた以外は実施例1と同様に錠剤を
製造し試験を行った。試験結果を「表1」に示す。
【0036】「比較例2」実施例1の結合剤のMCを比
較例1で用いたMC20.0gに代えた以外は実施例1
と同様に錠剤を製造し試験を行った。試験結果を「表
1」に示す。
【0037】「比較例3」実施例1の結合剤のMCをH
PMC(信越化学工業(株)製 商品名:TC−5E(Pha
rmacoat 603);20℃、2重量%水溶液粘度 3.22
cP)20.0gに代えた以外は実施例1と同様に錠剤
を製造し試験を行った。試験結果を「表1」に示す。
【0038】「比較例4」実施例1の結合剤のMCをH
PC(信越化学工業(株)製 商品名:HPC EF−
P;20℃、2重量%水溶液粘度5.56cP)20.
0gに代えた以外は実施例1と同様に錠剤を製造し試験
を行った。試験結果を「表1」に示す。
【0039】
【表1】 ------------------------------------------------------------------------ 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 ------------------------------------------------------------------------ 錠剤硬度 (kgf) 3.95 8.52 8.97 6.23 7.50 6.50 ------------------------------------------------------------------------ 崩壊時間 (min) 1.7 1.8 4.5 10.3 15.4 7.0 ------------------------------------------------------------------------
【0040】「表1」から、メトキシル基の置換量が2
7.5〜31.5重量%であり、20℃における2重量
%水溶液の粘度が2〜12cPにあるMCを用いた実施
例1及び2の錠剤は、硬度が高くかつ崩壊時間も短いこ
とから、結合性および崩壊性において優れた効果を有し
ていることが分かる。
【0041】「実施例3」下記処方の組成物を実施例1
と同様の造粒方法により攪拌造粒を行い、本発明の固形
薬剤である打錠用顆粒を得た。
【0042】 乳糖(DMV international製 商品名 Pharmatose 2001M) 90.0部 低置換度HPC(信越化学工業(株)製 商品名:L−HPC LH−11) 5.0部 MC(信越化学工業(株)製 商品名:メトローズSM−4、メトキシル基置換量2 8.2重量%、20℃、2重量%水溶液粘度4.1cP) 5.0部 水 20.0部
【0043】得られた顆粒について実施例1と同様の条
件で錠剤を打錠形成しエルヴェカ硬度計による硬度試験
および日本薬局方崩壊試験を行った。さらに、各種錠剤
を40℃、75%RHの加温加湿下で2ケ月間保管し、
1ケ月後及び2ケ月後に硬度試験及び崩壊試験を行い錠
剤の安定性を調べた。結果を「表2」に示す。
【0044】「比較例5」実施例3のMCを比較例1で
用いた粘度の高いMC(SM−15)に代えた以外は実
施例3と同様に錠剤を製造して硬度試験及び崩壊試験を
行った。結果を「表2」に示す。
【0045】「比較例6」実施例3のMCを比較例4で
用いたHPCに代えた以外は実施例3と同様に錠剤を製
造して硬度試験及び崩壊試験を行った。結果を「表2」
に示す。
【0046】「比較例7」実施例3のMCを比較例3で
用いたHPMCに代えた以外は実施例3と同様に錠剤を
製造して硬度試験及び崩壊試験を行った。結果を「表
2」に示す。
【0047】
【表2】 ----------------------------------------------------------------------- 硬度(kgf) 崩壊時間(min) ----------------------------------------------------------------------- 直後 1ケ月 2ケ月 直後 1ケ月 2ケ月 ----------------------------------------------------------------------- 実施例3 6.4 6.8 6.6 1.2 1.6 1.2 比較例5 5.6 5.6 4.8 7.5 7.2 7.2 比較例6 6.9 10.0 9.6 7.5 21.2 22.3 比較例7 6.7 7.5 8.0 11.7 15.7 15.8 -----------------------------------------------------------------------
【0048】「表2」から、メトキシル基の置換量が2
7.5〜31.5重量%であり、20℃における2重量
%水溶液の粘度が2〜12cPにあるMCを用いた実施
例3の錠剤は、結合性および崩壊性において優れた安定
性を有していることが分かる。
【0049】「実施例4」実施例1のMC(SM−4)
の添加量を9.0gにかえて水80gに溶解して結合剤
溶液(粘度;500cP)を調製した後、実施例1と同
様の操作で造粒し、得られた造粒物について実施例1と
同様の処方の錠剤を作成し錠剤硬度を調べた。 錠剤硬度:12.6kgf
【0050】「比較例8」比較例1のMC(SM−1
5)の添加量を5.0gにかえて水80gに溶解して結
合剤溶液(粘度;500cP)を調製した後、実施例1
と同様の操作で造粒し、得られた造粒物について実施例
1と同様の処方の錠剤を作成し錠剤硬度を調べた。 錠剤硬度:1.5kgf
【0051】同じ粘度の溶液を調製した場合、SM−1
5では結合剤の添加量が少なくなるため錠剤の硬度が不
足するが、SM−4ではこのような問題点は解決され
る。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、適度な硬度を有すると
同時に速やかに崩壊して吸収されやすい固形薬剤を提供
できる。本発明の製造方法によれば、結合剤の溶解性が
改善され均一な造粒が可能となるため、優れた結合性お
よび良好な崩壊性を製剤に付与することが出来る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メトキシル基の置換量が27.5〜3
    1.5重量%であり、20℃における2重量%水溶液の
    粘度が2〜12cPであるメチルセルロースを、結合剤
    として固形薬剤中に含有することを特徴とする固形薬
    剤。
  2. 【請求項2】 前記メチルセルロースの含有量が、固形
    薬剤に対して0.5〜10重量%であることを特徴とす
    る請求項1記載の固形薬剤。
  3. 【請求項3】 薬物を造粒する固形薬剤の製造方法にお
    いて、メトキシル基の置換量が27.5〜31.5重量
    %であり、20℃における2重量%水溶液の粘度が2〜
    12cPであるメチルセルロースを、結合剤として添加
    して造粒することを特徴とする請求項1または2記載の
    固形薬剤の製造方法。
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