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JP2000094831A - 被記録媒体及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

被記録媒体及びそれを用いた画像形成方法

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JP2000094831A
JP2000094831A JP10271638A JP27163898A JP2000094831A JP 2000094831 A JP2000094831 A JP 2000094831A JP 10271638 A JP10271638 A JP 10271638A JP 27163898 A JP27163898 A JP 27163898A JP 2000094831 A JP2000094831 A JP 2000094831A
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斉 芳野
Hirobumi Ichinose
博文 一ノ瀬
Hiroshi Tomioka
洋 冨岡
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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料/染料混合系インクでの印字、顔料イン
クと染料インクの併用印字、3種類以上の濃度が異なる
インクセットでの印字、などの印字を高速で行ったとき
でも、画像濃度が高く、色調が鮮明であり、階調数の多
い、濃度による色味変化がなく、ビーディングの発生を
抑え、且つインク吸収能力に優れた被記録媒体及び該被
記録媒体を用いる画像形成方法を提供すること。 【解決手段】 基材上に、下層としてのベーマイト構造
を有するアルミナ水和物とバインダーを含む多孔質層
と、上層としてのシリカとバインダーからなる多孔質層
とをこの順に設け、下層を層内部に空隙を有し、該空隙
がこれより半径が小さい細孔を通してインク受容層表面
に連通している構造として被記録媒体を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクを用い
た記録に好適な被記録媒体に関し、とりわけ顔料/染料
混合系インクでの印字、顔料インクと染料インクの併用
印字、3種類以上の濃度が異なるインクセットでの印字
などを高速で行ったときに、画像濃度が高く、色調が鮮
明であり、階調数の多い、濃度による色味変化がなく、
ビーディングの発生を抑え、且つインク吸収能力に優れ
たインクジェット記録に好適な被記録媒体ならびにこれ
を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録方式は、イン
クの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙等
の被記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うも
のであるが、高速低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像、定着が不要等の特徴があり、
各種画像の記録装置として情報機器をはじめ各種の用途
において急速に普及している。さらに、多色インクジェ
ット方式により形成される画像は、製版方式による多色
印刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のな
い記録を得ることも可能であり、作成部数が少ない場合
には通常の多色印刷や印画によるよりも安価であること
からフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつあ
る。
【0003】記録の高速化、高精細化、フルカラー化等
の記録特性の向上に伴って記録装置、記録方法の改良が
行われてきたが、被記録媒体に対しても高度な特性が要
求されるようになってきた。
【0004】かかる要求を解決するために、従来から多
種多様の被記録媒体の形態が提案されてきた。例えば特
開昭52−53012号公報には低サイズの原紙に表面
加工用塗料を浸潤させるインクジェット用紙が開示され
ている。特開昭53−49113号公報には尿素−ホル
マリン樹脂粉末を内添したシートに水溶性高分子を含浸
させたインクジェット用紙が開示されている。特開昭5
6−5830号公報には支持体表面にインク吸収性の塗
工層を設けたインクジェット記録用紙が開示され、同5
5−51583号公報には被覆層中の顔料として非晶質
シリカを用いた例が開示され、同55−144172号
公報には水性インクの着色成分を吸着する顔料塗布層を
有する受像シートが、同55−146786号公報には
水溶性高分子塗工層を用いた例が開示されている。
【0005】米国特許明細書第4879166号、同5
104730号、特開平2−276670号公報、同3
−215082号公報、同3−281383号公報、お
よび本願発明者らの特開平7−089221号公報、同
7−172038号公報、同7−232473号公報、
同7−232474号公報、同7−232475号公
報、同8−132731号公報、同8−174993号
公報、同9−066664号公報、同9−076628
号公報、同9−086035号公報、同9−09962
7号公報では、擬ベーマイトなどのアルミナ水和物を用
いたインク受容層を有する記録シートが提案されてい
る。
【0006】米国特許4879166号、欧州特許29
8424号、特開平1-97678号公報、同6-480
16号公報、同6-55829号公報では特定の吸着能
を持つアルミナ水和物とシリカの併用された被記録媒体
が提案されている。米国特許5104730号、欧州特
許407720号、特開平2−276671号公報、同
3-281383号公報、同4-115984号公報、同
4-115985号公報では多孔質アルミナ層の上に多
孔質微粉末シリカ層が積層された構成の被記録媒体が提
案されている。
【0007】特開昭62−174183号公報、特開平
1−141783号公報、同6−255235号公報、
同6−270530号公報ではシリカとアルミナを含む
被記録媒体が提案されている。
【0008】米国特許5463178号、欧州特許63
4287号、特開平7−76162号公報では多孔質ア
ルミナ水和物層の上にシリカゲルからなる層を積層した
構成の被記録媒体が提案されている。特開平8−208
7号公報、同8−2091号公報では多孔質アルミナ水
和物層の上にシリカゲル層が積層された構成で、インク
受容層の表面に凹凸が形成され、樹脂粒子やシリカ粒子
がシリカ層に入った被記録媒体が提案されている。
【0009】特開平8−290654号公報では紙基材
上に厚さ0.1〜10μmでシリカの球状一次粒子が相
互に結合した構造で二次粒子を含まないシリカゲル層の
上に厚さ5〜100μmの多孔質アルミナ水和物層を有
する被記録媒体が提案されている。特開平3−2150
80号公報、同3−256785号公報、同7−089
220号公報、同7−101142号公報、同7−11
7335号公報にはインク受容層を2層構成にして、上
層をコロイダルシリカを主成分とした光沢発現層にした
形態の被記録媒体が提案されている。
【0010】特開平9−150571号公報、同9−1
75000号公報、同9−183265号公報、同9−
183267号公報、同9−286165号公報、同1
0−71764号公報にはインク受容層を2層構成にし
て、表面層にはシリカまたはシリカアルミナを用いて、
細孔構造や粒子径を特定範囲内にした形態の被記録媒体
が提案されている。
【0011】上記に示された思想はインク吸収性、解像
度、画像濃度、色彩性、色再現性、透明性、光沢度等の
被記録媒体のそれぞれ特性の改良に関するものである
が、かかる媒体であっても、最近の記録装置の進歩によ
って銀塩写真に匹敵する画質を高速印字することが達成
されてきたことに伴い、以下の問題点が発生している。 (1)インク吸収性を向上させるためにインク受容層を
2層構成にした被記録媒体が提案されている。例えば、
米国特許5104730号、欧州特許407720号公
報、特開平2−276671号公報、同3-28138
3号公報、同4-115984号公報、同4-11598
5号公報は多孔質アルミナ層の上に多孔質微粉末シリカ
層が積層された構成の被記録媒体である。印字されたイ
ンクの色材成分を多孔質アルミナ層で吸着し、シリカ層
はインクの溶媒成分の吸収を行なう思想である。この構
成では機能分離を行っているためにインク吸収、発色と
もに良好であるが、良い発色を得るためには染料吸着力
の強いアルミナ水和物を使用する必要があり、アルミナ
水和物の選択幅が狭くなるという問題があった。さらに
インクの溶媒吸収に用いるシリカ層は微粉末シリカを用
いるためにシリカ層が白濁するという問題点もあった。 (2)インク受容層を2層構成にして、表面層にシリカ
を用いて表面光沢を得る方法がある。例えば特開平3−
215080号公報、同3−256785号公報、同7
−089220号公報、同7−101142号公報、同
7−117335号公報にはインク受容層を2層構成に
して、上層をコロイダルシリカを主成分とした光沢発現
層にした形態の被記録媒体が提案されている。この方法
では確かにインク受容層の表面光沢は高くなるが、光沢
度とインク吸収性を両立させるために光沢発現層は大き
な細孔半径を持つ層を薄く形成しているため、印字され
たドットの真円度が高くなりにくいという問題点があっ
た。さらに光沢発現層にはキヤスト成型のために高分子
ラテックスやカゼインを用いているため、印字部の光沢
が低下するという問題点もあった。その改善のために特
開平9−286165号公報、同10−71764号公
報では表面層にシリカまたはシリカアルミナの凝集粒子
を用いる方法を提案している。特定範囲の一次粒子径を
持つシリカなどを特定範囲内の二次粒子径に制御するこ
とによってインク透過性と光沢度を両立させようという
思想である。しかしながらシリカ層は二次粒子を形成し
ているためにインク受容層の透明性が十分でないという
問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決する目的でなされたものであり、顔料/染料混
合系インクでの印字、顔料インクと染料インクの併用印
字、3種類以上の濃度が異なるインクセットでの印字、
などの印字を高速で行ったときでも、画像濃度が高く、
色調が鮮明であり、階調数の多い、濃度による色味変化
がなく、ビーディングの発生を抑え、且つインク吸収能
力に優れた被記録媒体及び該被記録媒体を用いる画像形
成方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題・目的は以下
に示す本発明によって解決・達成される。すなわち本発
明は、基材上に、ベーマイト構造を有するアルミナ水和
物とバインダーを含む多孔質層とシリカとバインダーを
含む多孔質層を順に積層した2層構成のインク受容層を
備えた被記録媒体において、該インク受容層が、アルミ
ナ水和物とバインダーを含む下層内部に空隙を有し、該
空隙が、これより半径が小さい細孔を通してインク受容
層表面に連通していることを特徴とする、被記録媒体を
開示するものである。
【0014】また、本発明は、被記録媒体にインクを付
与して画像を形成する画像形成方法において、該被記録
媒体が、前記本発明の被記録媒体であることを特徴とす
る、画像形成方法を開示するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の被記録媒体は、被記録媒
体は基材上に、べーマイト構造を示すアルミナ水和物と
バインダーを含む多孔質層、シリカとバインダーを含む
多孔質層が順に形成された2層構成のインク受容層(以
下、インク受容層)が設けられた構成を有する。代表的
な構造の一例の模式的断面図を図1に示す。
【0016】アルミナ水和物は正電荷をもっているため
インク染料の定着がよく、発色が良い画像を得られるの
と、黒色インクの茶変、耐光性での変色等の問題点がな
いために、インク受容層に用いる材料としては好ましい
ものである。本発明の被記録媒体中に用いるアルミナ水
和物としては、X線回折法で、べーマイト構造を示すア
ルミナ水和物が染料定着性と発色、インク吸収性、透明
性がよいので好ましい。アルミナ水和物は下記の一般式
により定義される。
【0017】
【化1】Al23-n (OH)2n・mH2 O ただし式中、nは0〜3の整数の一つを表し、mは0〜
10、好ましくは0〜5の値を有する。mH2 Oの表現
は、多くの場合に結晶格子の形成に関与しない脱離可能
な水相を表すものであり、そのために、mは整数でない
値をとることもできる。
【0018】一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和
物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層
状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示
す。完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰
な水を(020)面の層間に含んだ構造をとることもで
きる。この擬ベーマイトのX線回折図形はベーマイトよ
りもブロードな回折ピークを示す。ベーマイトと擬ベー
マイトは明確に区別のできるものではないので、本発明
では特に断わらない限り、両者を含めてベーマイト構造
を示すアルミナ水和物(以下、アルミナ水和物)と言
う。
【0019】本発明者らはベーマイト構造を持つアルミ
ナ水和物を用いた被記録媒体を提案した。本願はその改
良であり、ベーマイト構造を持つアルミナ水和物とバイ
ンダー含み、層内部に空洞を有する多孔質層の上にシリ
カとバインダーを含む多孔質層を形成したものである。
層内部に空洞を有するインク受容層を持つ被記録媒体は
高速で多色印字した時の2色目以降のインク吸収性が良
好であった。本願発明者らは上記2層構成のインク受容
層を持つ被記録媒体では、さらに顔料/染料混合系イン
クでの印字、顔料インクと染料インクの併用印字、3種
類以上の濃度が異なるインクセットでの印字などを高速
で行ったときでもインク吸収能力に優れた上に画像濃度
が高く、色調が鮮明であり、さらに階調数が多く、かつ
濃度による色味変化がなく、ビーディングの発生がない
被記録媒体を得ることができることを見出して本願発明
に至った。また例えば黒色色材を含む濃淡インクと黒色
色材と青色色材の混合系色材を含む濃淡インクなどのよ
うに、色調の違う色材を用いた印字方法で階調数を上げ
ることができる。
【0020】本発明で用いるアルミナ水和物の製造方法
としては、特に限定されないが、ベーマイト構造をもつ
アルミナ水和物を製造できる方法であれば、例えば、ア
ルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミン酸ナトリ
ウムの加水分解等の公知の方法で製造することができ
る。
【0021】また、本発明で用いられるアルミナ水和物
としては、X線回折法でベーマイト構造を示すものであ
ればどのようなアルミナ水和物でも用いることができ、
特に制限はない。例えば特許第2714351号に記載
された二酸化チタンを含有したアルミナ水和物を用いる
こともできる。含有比率はアルミナ水和物の0.01〜
1.00重量%が光学濃度が高くなるので好ましい。二
酸化チタンの含有量、分布は、例えば特許第27143
51号に記載された方法を用いて測定することができ
る。さらに別な形態として特願平10−174778に
記されたシリカを含有するアルミナ水和物を用いること
もできる。シリカ含有アルミナ水和物を用いる場合はシ
リカの含有量は0.1重量%以上30重量%以下が好ま
しい。アルミナ水和物層の結晶化度が15〜80の範囲
が好ましい。この結晶化度およびシリカ含有量の測定方
法は特開平8−132731号公報に記載された方法を
用いることができる。
【0022】アルミナ水和物の形状はアルミナ水和物を
水、アルコール等に分散させてコロジオン膜上に滴下し
て測定用試料を作り、透過型電子顕微鏡で観察して求め
ることができる。アルミナ水和物の中で擬ベーマイトに
は前記文献(Rocek J., et al, Applied Catalysis, 7
4巻、29〜36頁、1991年)に記載されたよう
に、繊毛状とそれ以外の形状があることが一般に知られ
ている。
【0023】本発明において繊毛状または平板形状のい
ずれの形状のアルミナ水和物でも用いることができる。
アルミナ水和物の形状(粒子形、粒子径、アスペクト
比)はアルミナ水和物をイオン交換水に分散させてコロ
ジオン膜上に滴下して測定用試料を作り、この試料を透
過型電子顕微鏡で観察を行うことによって測定すること
ができる。
【0024】発明者等の知見によれば平板状の形状のほ
うが針状または毛状束(繊毛状)よりも水への分散性が
よく、これを用いてインク受容層を形成すると、アルミ
ナ水和物粒子の配向がランダムになるために、細孔容積
が大きく、且つ細孔径分布が幅広くなるのでより好まし
い。ここで毛状束形状とは針状のアルミナ水和物が側面
同志を接して髪の毛の束のように集まった状態をいう。
平板形状の粒子のアスペクト比は特公平5−16015
号公報に定義されている方法で求めることができる。ア
スペクト比は粒子の厚さに対する直径の比で示される。
ここで直径とは、アルミナ水和物を顕微鏡または電子顕
微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有
する円の直径を示すものとする。縦横比はアスペクト比
と同じように観察して平板面の最小値を示す直径と最大
値を示す直径の比で表わされる。また毛状束形状の場合
には、アスペクト比を求める方法は、毛状束を形成する
個々の針状のアルミナ水和物粒子を円柱として上下の円
の直径と長さをそれぞれ求めて、その比をとって求める
ことができる。
【0025】最も好ましいアルミナ水和物の形状は、平
板状では平均アスペクト比が3〜10の範囲で、平均粒
子直径が1.0〜50nmの範囲が好ましく、毛状束で
は平均アスペクト比が3〜10の範囲で、平均粒子長さ
が1.0〜50nmの範囲が好ましい。平均粒子直径ま
たは平均粒子長さが上記範囲内であれば光の散乱を抑え
ることができるためインク受容層の透明性を良好にする
ことができる。平均アスペクト比が上記範囲内であれば
インク受容層を形成したときに粒子間に隙間が形成され
るため多孔質構造を容易に形成することができる。
【0026】平均粒子直径または平均粒子長さが上記の
範囲の下限よりも小さいと、細孔径分布が狭くなってイ
ンク吸収速度が低下し、上記範囲の上限よりも大きいと
インク受容層にヘイズが発生し易く透明性が低下する場
合がある。平均アスペクト比が上記範囲の下限よりも小
さい場合には、インク受容層の細孔径分布範囲が狭くな
ってインク吸収速度が低下し、上記範囲の上限よりも大
きい場合には、アルミナ水和物の粒子径を揃えて製造す
ることが困難になる場合がある。
【0027】本発明で用いるシリカは一次粒子が単分散
したシリカゾル(コロイダルシリカ)、一次粒子が凝集
した二次粒子からなるシリカコロイド粒子、ゲルタイプ
のシリカ、沈降性タイプのシリカのいづれでも用いるこ
とができる。シリカの製造方法は乾式法、湿式法のいづ
れでも用いることができる。シリカの形状は例えば球状
または非球状のもののいづれも用いることもできる。シ
リカの粒子径には特に制約はないが、3〜200nmの
範囲が好ましい。この範囲内であればインク吸収性と透
明性を両立させることができる。また2種類以上のシリ
カを組み合わせて用いることも出来る。その場合は20
nm以下と40nm〜200nmの範囲にある無機微粒
子の組合せがクラックの発生が防止できる点と透明性が
良い点から望ましい。特開平6−183131号公報に
記載されているように、粒子径20nm以下のシリカを
バインダーとして用いることもできる。さらにシリカの
粒子径は100nm以下であると印字後の表面の乱れが
発生しない点と印字ドットの真円度が良好になるのでよ
り好ましい。
【0028】本発明の被記録媒体はアルミナ水和物、シ
リカとバインダーを用いて多孔質のインク受容層を形成
することにより得られる。被記録媒体の各種特性は用い
るアルミナ水和物、シリカやバインダーの種類と量比
率、添加剤の種類・添加量、さらにアルミナ水和物を分
散した塗工液の分散条件、乾燥時の加熱条件によって変
えることができる。
【0029】本発明におけるベーマイト構造のアルミナ
水和物とバインダーを含む多孔質下層は、その内部に空
隙を有し、該空隙は、これより半径の小さな細孔を通し
てインク受容層表面に連通した構造を有するものであ
り、好ましくはインク受容層内部で空隙が細孔により相
互に連通した構造を有するものである。図1のその一例
の模式的断面図を示す。この被記録媒体1は、基材2上
に、下層4及び上層5を有するインク受容層3が設けら
れた構造を有し、下層4にある内部空洞6は、内部空洞
6よりも小さな半径の細孔7を介してインク受容層3の
表面から外気と連通している。
【0030】前記インク受容層の細孔構造は窒素吸着法
または水銀圧入法で測定することができる。細孔半径分
布における最大ピークが2.0〜20.0nmの範囲の
ものが好ましい。この範囲内であればインク吸収速度と
染料の定着速度の両者を早くして、ニジミやブリーディ
ングの発生を防止することができる。この半径の範囲の
より好ましい下限は半径6.0nmであり、上限は1
8.0nmである。この範囲内であれば色材として顔料
を用いたインク、染料を用いたインク、染料インクと顔
料インクの併用インク、混合インクのいづれのインクで
印字を行ってもにじみ、はじき、色むらの発生を防ぐこ
とができる。最も好ましい範囲の下限は半径6.0nm
であり、上限は16.0nmである。この範囲内であれ
ば色材濃度の異なる3種類以上のインクを用いた場合で
も濃度による色味の差異がなくなる。
【0031】最大ピークの範囲が上記範囲の上限を越え
ると染料の定着速度が低下してニジミが発生したり、印
字されたドットの真円度が低下する傾向にある。また、
上記範囲の下限未満では、インク吸収速度が低下し易く
なる。
【0032】ここでニジミとは、一定面積にベタ印字し
たとき、染料で着色された部分の面積が印字面積よりも
広く(大きく)なる現象を言い、ブリーディングとは、
多色でベタ印字した部分の異色の境界にニジミが発生し
て、染料が定着しないで混合してしまう現象を言う。
【0033】インク受容層の細孔容積は0.4〜1.0
ml/gの範囲であることが好ましい。この範囲内であ
ればインク吸収量、インク吸収速度が良好である。さら
に前記細孔容積が0.4〜0.6ml/gの範囲であれ
ばインク受容層のヘイズを低減させて透明性をよくする
ことができる上に、機械的強度を高めてクラックの発生
を抑えることができるのでより好ましい。細孔容積が上
記範囲の上限を越えるとインク受容層のクラックや剥が
れ、粉落ちが発生したり、ヘイズが発生して透明性が低
下し易くなる。上記範囲の下限未満ではインク吸収量が
不足してインクの溢れが発生したり、インク吸収速度が
不足して印字部におけるインクの定着性が低下する傾向
にある。
【0034】さらにインク受容層の単位面積当たりの細
孔容積は8ml/m2以上であることが好ましい。この
範囲では高速印字を行ってもインクの溢れが発生しな
い。さらに好ましくは20ml/m2以上の範囲で、多
色印字を行ったときでもインクの溢れが発生しない。単
位面積当たりの細孔容積が、上記範囲の下限未満では、
特に多色印字を行った場合に、インク受容層からインク
が溢れて画像にニジミが発生し易い。細孔容積を調整す
る方法としてはアルミナ水和物の熟成条件や塗工液の分
散・乾燥条件の制御等一般的に多孔質材料の細孔容積を
調整する方法の中から選択して用いることができる。ま
た細孔容積を大きくする方法としては例えば特開昭56
−120508号公報に記載されている種々の方法を用
いることができる。単位面積当たりの細孔容積を上記範
囲にする方法は、同様にアルミナ水和物や塗工液、塗工
・乾燥条件やインク受容層の厚み等の調整によって達成
することができる。
【0035】さらにインク受容層の細孔の細孔容積は、
細孔半径2.0〜20.0nmの細孔容積が全細孔容積
の80%以上であることが好ましい。上記範囲内であれ
ば、インク受容層の透明性や表面の平滑度を高くするこ
とができる。上記範囲の下限未満ではインク受容層の透
明性が低下したり機械的強度が低下してクラックや粉落
ちが発生し易くなる。
【0036】次に、本発明におけるインク受容層内部の
空隙大きさや半径、容積比率等はインク受容層の断面を
電子顕微鏡等で観察して、その写真上で測定して求める
ことができる。
【0037】インク受容層内部の空隙の半径は、細孔の
半径よりも大きいことが必要で、細孔の前記ピーク半径
よりも1.5倍以上大きいことが望ましい。上記範囲内
では上記した拡散等の役割を十分に果たすことができ、
最近の高速フルカラー印字装置での高速で且つ単位面積
当たりのインク量が多い印字を行ってもインクを速やか
に吸収してインクの溢れを防止することができる。特に
望ましい範囲は半径50.0〜200.0nmの範囲で
あり、この範囲ではインク吸収層の白濁やクラックの発
生を確実に防止することができる。半径が200.0n
mを越えるとインク受容層が白濁し易く、これにより透
明性が低下する上に、機械的強度が不足してクラックが
入り易くなる。
【0038】本発明において、インク受容層の吸水量は
0.4〜1.0ml/gの範囲が好ましい。この範囲内
であれば、多色印字のように繰り返し多量のインクを用
いて重ね印字したときのインクの溢れを防止することが
できる。より好ましい範囲は、0.6〜0.9ml/g
の範囲であり、この範囲内であれば印字前後のインク受
容層の、クラックや変形を防止することができる。吸水
量が上記範囲の上限を越えるとインク受容層の機械的強
度が不足してクラックや剥がれ、粉落ちが発生したり、
透明性が低下し易く、上記範囲の下限未満では、多色印
字を行ったときに2色目以降のインクの吸収速度が低下
したり、2色目以降に印字したドットの径が大きくなっ
て混色部の色味の均一性が低下し易い。
【0039】また、インク受容層の吸水量は10〜50
g/m2の範囲が好ましい。この範囲であれば高速でフ
ルカラー印字のように、特に単位時間当たりのインク付
与量が多い印字を行っても、ビーディングやニジミの発
生を防止することができる。さらに15〜40g/m2
の範囲では印字するインク量に対する選択幅が広くなっ
てドット径が印字量に依存せずに一定になる。吸水量が
上記範囲の上限を越えると印字するインク量が少ないと
きにドット径が小さくなって白抜けが発生し易く点描風
の不自然な画像になり易く、上記範囲の下限未満では高
速でフルカラー印字を行ったときにインクの溢れやビー
ディングが発生し易くなる。
【0040】ここで吸水量は以下の方法にしたがって測
定することができる。インク受容層が形成された被記録
媒体を1辺の長さが100mmの正方形に切断する。そ
の中央部にイオン交換水を少量ずつ滴下し、その都度へ
ら等で均一に延ばして吸収させる。この操作をイオン交
換水が溢れるまで繰り返す。試料表面に残ったイオン交
換水は布等で拭き取る。イオン交換水の吸収前後の被記
録媒体の重量差から吸水量を求める。
【0041】本発明において、インク受容層の面内拡散
係数は0.7〜1.0の範囲が好ましい。この範囲内で
あれば、50m秒程度の短い時間間隔で2〜4色以上の
重ね印字を行ったときにもインク吸収速度が低下しな
い。
【0042】ここでインク受容層の面内拡散係数とは、
印字されたインクがインク受容層の面内に拡散するし易
さを示す量であり、以下のように前記被記録媒体の吸水
量と被記録媒体の1点の吸収量により求めることができ
る。被記録媒体の1点の吸収量は以下の方法で求めるこ
とができる。吸水量と同様に、インク受容層が形成され
た被記録媒体を一辺の長さが100mmの正方形に切断
して、その中央の1点にイオン交換水を少量ずつ滴下し
て吸収させる。このときに滴下したイオン交換水が、滴
下した地点で吸収される前にインク受容層の表面上で広
がらないようにすることが必要である。吸水量の測定と
同様にこの操作を溢れるまで繰り返してイオン交換水の
吸収前後の被記録媒体の重量差から被記録媒体の1点の
吸収量を求める。そして、被記録媒体の1点の吸収量/
被記録媒体の吸水量を求めて面内拡散係数とする。
【0043】本発明のインク受容層のBET比表面積は
70〜300m2/gの範囲にあることが好ましく、こ
の範囲であれば光の散乱が少なくなるのでインク受容層
の透明性が良好となり、且つ前記微細なアルミナ水和物
を用いることでアルミナ水和物への染料の定着速度、定
着量を高くすることができる。BET比表面積が上記範
囲の下限よりも小さい場合には、インク受容層が白濁し
易く、染料の吸着点が不足するために染料の耐水性が不
十分になる場合がある。BET比表面積が上記範囲の上
限よりも大きい場合には、インク受容層にクラックが発
生し易くなる。
【0044】本発明では、アルミナ水和物またはシリカ
にその他の添加物を加えて用いることができる。添加物
としては、各種金属酸化物、2価以上の金属の塩、カチ
オン性有機物質の中から必要に応じて自由に選択して用
いることができる。
【0045】金属酸化物としては、シリカ、シリカアル
ミナ、ボリア、シリカボリア、マグネシア、シリカマグ
ネシア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の酸化物、
水酸化物、2価以上の金属の塩としては、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等の塩、塩化マグネシウム、臭化カル
シウム、硝酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化亜
鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化物塩、カオリ
ン、タルク等が好ましい。カチオン性有機物質としては
4級アンモニウム塩、ポリアミン、アルキルアミン等が
好ましい。添加物の添加量としては、顔料の20重量%
以下がよい。
【0046】本発明で用いるバインダーとしては、水溶
性高分子の中から1種または2種以上を自由に選択して
用いることができる。例えばポリビニルアルコールまた
はその変性体、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたは
その変性体、カゼインまたはその変性体、アラビアゴ
ム、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導
体、SBRラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテッ
クス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、ポリビニ
ルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、ア
クリル酸エステル共重合体等が好ましい。
【0047】アルミナ水和物とバインダーの混合比、シ
リカとバインダーの混合比は重量基準で5:1〜20:
1の間から任意に選択できる。バインダーの量が上記範
囲の下限よりも少ない場合はインク受容層の機械的強度
が不足して、ひび割れや粉落ちが発生し易く、上記範囲
の上限よりも多い場合は細孔容積が少なくなってインク
の吸収性が低下する場合がある。
【0048】アルミナ水和物、バインダーには必要に応
じて顔料分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性
変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、抑泡剤、離型
剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤を必要に応じて添
加することも可能である。耐水化剤としてはハロゲン化
第4級アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩ポリマー
等の公知の材料の中から自由に選択して用いることがで
きる。
【0049】本発明においてインク受容層を形成するた
めに用いる基材としては、適度のサイジングを施した
紙、無サイズ紙、ポリエチレン等を用いたレジンコート
紙等の紙類や熱可塑性フィルムのようなシート状物質で
あれば使用でき、特に制限はない。熱可塑性フィルムの
場合はポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリエチ
レン、ポリカーボネート等の透明フィルムや、顔料の充
填または微細な発泡による不透明化したシートを用いる
こともできる。
【0050】本発明の被記録媒体の形成方法は、アルミ
ナ水和物とバインダーを含む塗工液、シリカとバインダ
ーを含む塗工液をそれぞれ基材上に塗工・乾燥してイン
ク受容層を形成することができる。また、必要に応じて
後乾燥や裁断、梱包、検査等を行うことができる。
【0051】2層構成のインク受容層の形成方法は例え
ば以下の方法を用いることができる。例えば、シリカと
バインダーからなる多孔質上層の形成方法はアルミナ水
和物とバインダーを含む分散液と同時多層塗工を行う方
法、複数のコーターヘッドを用いてアルミナ水和物とバ
インダーを含む分散液を基材上に塗工した上にシリカと
バインダーを含有する塗工液を塗布して乾燥する方法、
アルミナ水和物とバインダーを含む塗工液を基材上に塗
布乾燥してからシリカを含む塗工液をアルミナ水和物と
バインダーからなる多孔質層上に塗布乾燥する方法等を
挙げることができる。
【0052】本発明においてアルミナ水和物とバインダ
ーを含む多孔質下層内部に空隙を設けて、それを連通し
てインク受容層表面まで貫通する細孔をもつインク受容
層を形成する方法は、特に制限はないが、特開平9−6
664号公報に記載された以下の4種類の方法の中から
1種または2種以上の方法を選択して用いることができ
る。 (1)アルミナ水和物とバインダーを含む分散液を基材
に塗工してから乾燥条件を制御して表面付近を先に乾燥
させて空隙のない膜を形成してから、内部に残った溶媒
成分を乾燥してインク受容層を形成する方法。 (2)アルミナ水和物の凝集体を作り、前記アルミナ水
和物の凝集体と、これを含む分散液の表面張力を高くす
る材料または膜形成力の強い材料を添加して塗工・乾燥
してインク受容層を得る方法。 (3)アルミナ水和物の分散液に、分散液の分散媒より
も沸点の高い溶媒を添加してから基材に塗工して、前記
高沸点溶媒の沸点以下の温度で表面付近を乾燥させて緻
密な膜を形成してから内部に残った溶媒を徐々に乾燥さ
せる方法。または前記分散液に、分散液の表面張力を高
くする材料または膜形成力の強い材料を添加して塗工・
乾燥する方法。 (4)アルミナ水和物の凝集体とバインダーを含む分散
液を基材に塗工した上に、凝集させていない微粒子アル
ミナ水和物とバインダーを含む分散液を塗工して乾燥さ
せる方法。
【0053】アルミナ水和物とバインダーを含む分散液
またはシリカとバインダーを含む分散液の分散処理方法
としては、一般に分散に用いられている方法の中から選
択して用いることができる。用いる装置としてはボール
ミルやサンドミル等の摩砕型の分散機よりもホモミキサ
ーや回転羽等の緩やかな攪拌の方が好ましい。ずり応力
は分散液の粘度や量、容積によって異なるが、0.1〜
100.0N/ m2の範囲が好ましい。上記範囲以上の
強いずり力を加えると分散液がゲル化したり、結晶構造
が変化する可能性がある。さらに0.1〜20.0N/
2の範囲であれば細孔構造が破壊されて細孔容積が小
さくなるのを防止できるのでより好ましい。
【0054】分散時間は分散液の量や容器の大きさ、分
散液の温度等によって異なるが、30時間以下が結晶構
造の変化を防止する点から好ましく、さらに10時間以
下であれば細孔構造を上記範囲内に制御することができ
る。分散処理中は分散液の温度を冷却または保温等を行
って一定範囲に保ってもよい。好ましい温度範囲は分散
処理方法、材料、粘度によって異なるが10〜100℃
である。上記範囲下限より低いと分散処理が不十分であ
ったり、凝集が発生する場合がある。上記範囲上限より
高いとゲル化したり、結晶構造が無定形に変化する場合
がある。
【0055】本発明においては、インク受容層を設ける
場合のアルミナ水和物分散液の塗工方法としては一般に
用いられているブレードコーター、エアナイフコータ
ー、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコ
ーター、バーコーター、グラビアコーター、スプレー装
置等を用いることができる。
【0056】分散液の塗工量はインク受容層全体の乾燥
固形分換算で0.5〜60g/m2が好ましく、この範
囲内であればインク吸収量とインク吸収速度を満足する
ことができる。その上印字された染料の定着速度、定着
量も満足することができ、印字部のニジミが少なく且つ
耐水性もよい。さらに好ましくは乾燥固形分換算で5〜
45g/m2の範囲であり、この範囲内であればクラッ
クやカールを防止することができる。さらにシリカとバ
インダーを含む多孔質上層の塗工量は0.5〜20g/
2が好ましい。この範囲内であれば顔料インク、染料
インク、および顔料インクと染料インクの混合系、併用
インクを用いた高速印字でもでもインク吸収速度が速く
なりかつ、顔料インクの定着性、耐摩擦性が良好にな
る。さらに好ましい範囲は0.5〜10g/m2であ
り、この範囲内であれば濃淡3種類以上のインクを用い
た印字での階調数を多く取ることができる。上記範囲の
上限よりも塗工量が多くなるとクラックが入り易くなる
上にインク吸収速度が遅くなってしまい、上記範囲の下
限よりも塗工量が少なくなるとインク吸収量が不足する
上に、染料吸着速度指数も低下してしまう場合がある。
また必要に応じて塗工後にカレンダーロール等を用いて
インク受容層の表面平滑性をよくすることも可能であ
る。
【0057】本発明の画像形成方法に使用されるインク
は、主として色剤(染料或いは顔料)、水溶性有機溶剤
及び水を含むものである。染料としては、例えば、直接
染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素等
に代表される水溶性染料が好ましく、上記の被記録媒体
との組み合わせにより定着性、発色性、鮮明性、安定
性、耐光性その他の要求される性能を満たす画像を与え
るものであれば、いずれの染料でもよい。顔料としては
例えばカーボンブラックなどの有機物、金属微粒子、金
属酸化物、金属化合物を用いることができる。顔料色材
としては自己分散型でも界面活性剤などの分散剤を併用
するものでも用いることができる。
【0058】水溶性染料は、一般に水または水と有機溶
剤からなる溶媒中に溶解して使用するものであり、これ
らの溶媒成分としては、好ましくは水と水溶性の各種有
機溶剤等との混合物が使用されるが、インク中の水分含
有量が、20〜90重量%の範囲内となるように調整す
るのが好ましい。
【0059】上記水溶性の有機溶剤としては、例えばメ
チルアルコール等の炭素数が1〜4のアルキルアルコー
ル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、アセトン等
のケトンまたはケトンアルコール類、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類、ポリエチレングリコール等のポリア
ルキレングリコール類、エチレングリコール等のアルキ
レン基が2〜6個の炭素数を含むアルキレングリコール
類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル等
の多価アルコールの低級アルキルエーテール類等が挙げ
られる。
【0060】これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、
ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングエリ
コールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級ア
ルキルエーテル類が好ましい。多価アルコール類は、イ
ンク中の水が蒸発し、水溶性染料が析出することに基づ
くノズルの目詰まり現象を防止するための潤滑剤として
の効果が大きいため、特に好ましい。
【0061】インクには可溶化剤を加えることもでき
る。代表的な可溶化剤は、含窒素複素環式ケトン類であ
り、その目的とする作用は、水溶性染料の溶媒に対する
溶解性を飛躍的に向上させることにある。例えばN−メ
チル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノンが好ましく用いられる。さらに特性の改善の
ために、粘度調整剤、界面活性剤、表面張力調整剤、p
H調整剤、比抵抗調整剤等の添加剤を加えて用いること
もできる。
【0062】前記被記録媒体に上記インクを付与して記
録を行う方法は、インクジェット記録方法であり、該記
録方法はインクをノズルより効果的に離脱させて、被記
録媒体にインクを付与し得る方法であればいかなる方法
でもよい。特に特開昭54−59936号公報に記載さ
れている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが
急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によ
って、インクをノズルから吐出させるインクジェット方
式は有効に使用することができる。
【0063】本発明の被記録媒体に印字には、染料を色
材として用いるインク、顔料を色材として用いるイン
ク、顔料色材と染料色材を混合したインク、顔料色材を
含むインクと染料色材を両方含むインクである。印字方
法としては従来のほうほうに加えて、同一画素内に顔料
と染料などの色材の種類が異なるインクを印字する方
法、3種類以上の色材濃度の異なる濃淡インクを同一画
素内に印字する方法、色調の異なるインクを同一画素内
に印字する方法などを用いることができる。
【0064】
〔単量体のモル比(前者/後者)= 2/8〕
3部 モノエタノールアミン 1部 ジエチレングリコール 5部 イオン交換水 76部 (E:インク組成1(染料標準濃度インク)) 染料 3部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 82部 (F:インク組成2(染料淡色インク1)) 染料 1部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 84部 (G:インク組成3(染料淡色インク2)) 染料 0.6部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 84.4部 (H:インク組成4(顔料標準濃度インク)) 顔料分散液 33部 ジエチレングリコール 4部 イオン交換水 63部 (I:インク組成5(顔料淡色インク1)) 顔料分散液 11部 ジエチレングリコール 4部 イオン交換水 85部 (J:インク組成6(顔料淡色インク2)) 顔料分散液 6.6部 ジエチレングリコール 4部 イオン交換水 89.4部 (K:インク組成7(染料/顔料混合標準濃度インク)) 染料 1.5部 顔料分散液 16.5部 ジエチレングリコール 4.5部 ポリエチレングリコール 5部 水 72.5部 (L:インク組成8(染料/顔料混合淡色インク1)) 染料 0.5部 顔料分散液 5.5部 ジエチレングリコール 4.5部 ポリエチレングリコール 5部 水 84.5部 (M:インク組成9(染料/顔料混合淡色インク2)) 染料 0.3部 顔料分散液 3.3部 ジエチレングリコール 4.5部 ポリエチレングリコール 5部 水 86.9部 (N:インク組成10(染料/染料混合標準濃度インク)) ブラック染料 2.4部 シアン染料 0.6部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 82部 (O:インク組成11(染料/染料混合淡色インク1)) ブラック染料 0.8部 シアン染料 0.2部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 84部 (P:インク組成12(染料/染料混合淡色インク2)) ブラック染料 0.5部 シアン染料 0.1部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 84.4部 (イ:インク吸収性)インク組成1、4、7、1と4の
併用、の4種類のインクを用いて、それぞれのインクに
ついて前記記録装置を用いて1mm2当たり24×24
ドットの単色印字(印字量100%)から、4色印字
(印字量400%)までの多色ベタ印字を行って、印字
直後のインク吸収による被記録媒体表面のインクの乾燥
状態を記録部に指で触れて調べた。インク量400%で
インクが指に付着しないものを◎、インク量300%で
インクが指に付着しないものを○、インク量100%で
インクが指に付着しないものを△、同100%でインク
が指に付着すれば×とした。
【0065】(ロ:真円度)インク組成1、4、7、1
と4併用、の4種類のインクを用いて、それぞれのイン
クについて前記記録装置を用いて1mm2当たり24×
24ドットの単色印字(印字量100%)を行って、各
色の印字ドットの真円度を特開昭61−3777号公報
に記載された方法と同じ方法で求めた。真円度はドット
が真円ならば1.0になり、ドットの周辺がギザギザが
激しくなるほど大きな値になる。各形状のドットに付い
て画像と真円度を比較して真円度が1.5以下を良好と
した。印字インク量が300%で各色の真円度がそれぞ
れ良好であれば○、インク量100%で真円度が良好で
あれば△、同条件で真円度が不良であれば×とした。 (ハ:光学濃度)インク組成1、4、7、1と4併用、
の4種類のインクを用いて、それぞれのインクについ
て、前記記録装置を用いて、各色の印字インク量100
%(単色)でベタ印字した画像の光学濃度を、マクベス
反射濃度計RD−918を用いて評価した。透明な基材
上にインク受容層を形成した場合には、被記録媒体の裏
側に電子写真用紙(EW−500キャノン社製)を置い
て測定した。 (ニ:混色部の色味)インク組成1、4、7、1と4併
用、の4種類のインクを用いて、それぞれのインクにつ
いて前記装置を用いて橙色(Y+M)、緑色(Y+
C)、紫色(M+C)、黒色(Y+M+C)の印字を各
色の印字インク量100%で順序を変えて印字を行っ
た。印字順序を変えたときの色味の差をインク受容層の
表面と裏面で目視で観察した。上記混色部中3色で色味
の差がなければ○、1色〜2色で色味の差がなければ
△、各色で色味に差があれば×とした。 (ホ:べた均一性、ニジミ、ブリーディング、ビーディ
ング、ハジキ)インク組成1、4、7、1と4併用、の
4種類のインクを用いて、前記装置を用いて印字インク
量100%(単色)から400%(4色)まで変えたベ
タ印字して、均一性、ニジミ、ブリーディング、ビーデ
ィング、ハジキを目視で評価した。印字インク量300
%で発生していなければ○、インク量100%で発生し
ていなければ△、同条件で発生すれば×とした。
【0066】本発明ではニジミ、ブリーディング、ビー
ディング、ハジキは以下のように定義する。ニジミと
は、一定面積にベタ印字したとき、染料で着色された部
分が印字の面積よりも広く(大きく)なる現象を言う。
ブリーディングとは、多色でベタ印字した部分の境界に
ニジミが発生して、染料が定着しないで混合してしまう
現象を言う。ビーディングとは、被記録媒体に印字され
たインク液滴が吸収等の過程で凝集して大きな液滴にな
るために発生する現象である。視覚的にはビーズ球程度
の大きさの色ムラとして認識されるものである。ハジキ
とはベタ印字した部分で、染料で着色されない部分のこ
とを言う。 (ヘ:階調数、濃度による色味変化)インク組成1〜
3、4〜6、7〜9の3種類の濃淡インクセットを用い
て、それぞれのインクセットについて前記記録装置を用
いて、表3に記す割合で各インクを被記録媒体に印字し
た。約60ステップの濃度変化である。各印字部を目視
観察して光学濃度の違いが判別できた場合は階調が取れ
たと判断した。この方法で階調の取れた数を数えた。ま
た各印字部の色味差が目視観察でなければ○とし、3個
所未満の色味の違いが観察できたら△、3個所以上の色
味変化が観察できた場合は×とした。 (ト:混合系インクでの階調数)インク組成1〜3、10
〜12の2種類の濃淡インクセットを併用して、前記記
録装置を用いて、表3に記す割合で両インクセットを被
記録媒体に印字した。シアンを添加した黒色は印字濃度
が低いところで純黒色と比較して目視で光学濃度が異な
るように見える場合がある。両インクの同じインクセッ
トの組み合わせ(同じ濃度)の印字部を目視観察して比
較して濃度の違いがあると判別できた数を測定した。判
別できた数が10以上であれば○とした。判別できた数
が5以上であれば△とした。4以下であれば×とした。 (チ:色材の定着性)インク組成1、4、7、1と4併
用、の4種類のインクを用いて、それぞれのインクにつ
いて、前記記録装置を用いて、各色の印字インク量10
0%(単色)でベタ印字した部分を乾燥後に指で擦って
色材の剥離を調べた。色材の剥離がなければ○、色材の
剥離が生じたら×とした。 (リ:印字後カール)被記録媒体を297×210mm
の大きさに切断して、前記装置を用いて、インク組成
1、4、7、1と4併用、の4種類のインクを用いて、
それぞれのインクについて、前記記録装置を用いて、各
色の印字インク量100%(単色)でベタ印字した。平
らな台の上に静置してハイトゲージで反り量を測定し
た。反りが1mm以下を○、同3mm以下を△、同3m
m以上を×とした。 (ヌ:印字後のタック)被記録媒体を297×210m
mの大きさに切断して、前記装置を用いて、インク組成
1、4、7、1と4併用、の4種類のインクを用いて、
それぞれのインクについて、前記記録装置を用いて、各
色の印字インク量100%(単色)でベタ印字した。被
記録媒体の印字面を指で触って付着しなければ○、付着
すれば×とした。 (ル:印字後の搬送傷)被記録媒体を297×210m
mの大きさに切断して、10枚重ねてインクジェットプ
リンター(BJC430J、キヤノン社製)で順に搬送
して表面の傷を観察した。1mm以上の長さの傷のない
ものを○、5mm以上の傷のないものを△、5mm以上
の傷のあるものを×とした。 (2)透明性 透明PETフィルムにアルミナ水和物を塗工した試料を
JIS K−1705にしたがってヘイズメーター(日
本電色社製、NDH−1001DP)でヘイズを測定し
た。 (3)クラック 試料を297×210mmの大きさに切断してクラック
の長さを目視で測定した。1mm以上長さのクラックの
ないものを○、5mm以上のクラックのないものを△、
5mm以上のクラックのあるものを×とした。 (4)カール 試料を297×210mmの大きさに切断して、平らな
台の上に静置してハイトゲージで反り量を測定した。反
りが1mm以下のものを○、同3mm以下を△、同3m
m以上を×とした。 (5)タック 被記録媒体の表面を指で触って付着しなければ○、付着
すれば×とした。 (6)細孔構造 最大ピーク半径は水銀圧入法で細孔半径分布を測定して
求めた。測定装置はオートポアIII9420(Micromerit
ics社製)を用いた。水銀の表面張力は485.0dyn
e/cm、接触角は135°とし、水銀圧力は0〜33
000psiaにて測定した。
【0067】細孔容積とBET比表面積は窒素吸着脱離
法を用いて測定した。測定装置はオートソーブ1(カン
タクローム社製)を用いた。 (7)空隙の半径・容積率 被記録媒体をミクロトームで切断してインク受容層を薄
片にして透過電子顕微鏡(日立社製、H−600)でイ
ンク受容層の断面を倍率20万倍になるように写真撮影
して受容層内部の空隙の半径を求めた。また同写真より
空隙の面積を求めて写真の全面積に対する比率を求めて
容積率(%)を導いた。 (8)吸水量・面内拡散指数 インク受容層が形成された被記録媒体を1辺の長さが1
00mmの正方形に切断する。その中央部にイオン交換
水を少量ずつ滴下し、その都度へら等で均一に延ばして
吸収させる。この操作をインクが溢れるまで繰り返す。
試料表面に残ったイオン交換水は布等で拭き取る。イオ
ン交換水の吸収前後の被記録媒体の重量差から吸水量を
求める。さらに以下の方法で被記録媒体の1点の吸収量
を求めて、被記録媒体の1点の吸収量/被記録媒体の吸
水量を求めて面内拡散係数とする。インク受容層の形成
された被記録媒体を1辺の長さが100mmの正方形に
切断して、その中央の1点にイオン交換水を少量ずつ滴
下して吸収させる。このときに滴下したイオン交換水
が、滴下した地点で吸収される前にインク受容層の表面
上で広がらないようにすることが必要である。インク吸
収量の測定と同様にこの操作を溢れるまで繰り返してイ
オン交換水の吸収前後の被記録媒体の重量差から被記録
媒体の1点の吸収量を求める。
【0068】[実施例1〜3]特開平9−66664号
公報の実施例1、16、18と同じ材料を用いて同じ方
法で厚さ30μmの多孔質アルミナ水和物層が形成され
た被記録媒体A〜Cを得た。ポリビニルアルコール(G
H−23、日本合成化学社製)をイオン交換水に分散し
て固形分濃度10重量%の分散液を得た。同分散液とコ
ロイダルシリカ(スノーテックスOL、日産化学社製)
を固形分混合比で1:3の割合になるように混合し、ホ
モミキサー(特殊機化社製)を用いて2000回転/分
で5分間攪拌した。この分散液を前記被記録媒体A〜C
の上にそれぞれ塗布・乾燥して厚さ10μmの多孔質シ
リカ層を形成した。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記
の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
【0069】[実施例4]特願平10−1744778
の実施例17と同じ材料を用いて同じ方法で厚さ30μ
mの多孔質アルミナ水和物層が形成された被記録媒体D
を得た。
【0070】すなわち、米国特許第4242271号明
細書に記載された方法に準拠してアルミニウムドデキシ
ドを製造した。得られたアルミニウムドデキシドとイオ
ン交換水、オルトケイ酸を混合した。この混合溶液を反
応容器に入れて攪拌しながらアルミニウムドデキシドを
加水分解した。加水分解の条件とアルミニウムドデキシ
ドとオルトケイ酸の混合比率は以下のとおりである。な
お、イオン交換水中のアルミニウムドデキシドと同じ重
量を用いた。 加水分解温度:110℃ 加水分解時間:30分 混合比:0.85(混合比はアルコキシド100重量部
に対するケイ酸の添加量:重量部) 得られたアルミナ水和物の懸濁物を入口温度280℃で
スプレー乾燥してシリカ含有アルミナ水和物粉末を得
た。アルミナ水和物の結晶構造はベーマイトで、粒子形
状は平板状であった。また、その物性は以下のとおりで
ある。 シリカ含有量:0.1重量% 平均粒子径:30.2nm アスペクト比:6.0 結晶化度:65 ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)社製、
ゴーセノールNH18、商品名)をイオン交換水に溶解
・分散して固形分濃度10重量%の溶液を得た。上記の
操作で得られたシリカ含有アルミナ水和物粉末を同じよ
うにイオン交換水に分散して固形分濃度15重量%のシ
リカ含有アルミナ分散液を調製し、更に、この分散液に
塩化ナトリウム(キシダ化学)を、シリカ含有アルミナ
水和物分散液の固形分の1/150になる量を添加し、
ホモミキサー(特殊機化社製)で8000回転/分で、
30分間攪拌した。得られた分散液と、先に調製したポ
リビニルアルコール溶液について、ポリビニルアルコー
ルとシリカ含有アルミナ水和物とが固形分が重量混合比
で1:10になる量をそれぞれ計量して、ホモミキサー
(特殊機化社製)で8000回転/分で、30分間攪拌
して混合分散液を得た。
【0071】この混合分散液を、厚さ100μmの透明
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ
社製、ルミラー、商品名)の上にダイコートした。混合
分散液が塗布されたPETフィルムをオーブン(ヤマト
科学社製)で、温度100℃で5分間加熱して表面付近
を急速に乾燥させた。さらに、同じオーブンで120℃
まで温度を上げながら乾燥してPETフィルム上に厚さ
30μmのインク受容層を形成し、被記録媒体Dを得
た。
【0072】この被記録媒体Dのインク受容層上に更
に、上記の実施例1と同じシリカとバインダーからなる
分散液を実施例1と同じ方法で塗布・乾燥して厚さ10
μmのシリカ層を形成して2層構成からなるインク受容
層を有する被記録媒体を得た。得られた被記録媒体の物
性値をそれぞれ上記の方法で測定した。測定結果を表1
に示す。
【0073】[実施例5]コロイダルシリカ(スノーテ
ックス−YL、日産化学製)と、バインダーとしての超
微粒子コロイダルシリカ(スノーテックス−UP、日産
化学製)を固形分混合比1:1で混合して実施例1と同
じ方法で分散処理を行って分散液を得た。この分散液を
実施例1と同じ厚さ30μmの多孔質アルミナ水和物層
が形成された被記録媒体Aの上に塗布乾燥して厚み10
μmの多孔質シリカ層を形成した。被記録媒体の物性値
をそれぞれ上記の方法で測定した。測定結果を表2に示
す。 [実施例6]ゲルタイプのシリカ(P―78A、水澤化
学)をイオン交換水に分散して固形分濃度10重量%の
分散液を得た。この分散液と実施例1と同じポリビニル
アルコール分散液を固形分混合比3:1で混合し、実施
例1と同じ方法で分散処理を行って混合分散液を得た。
【0074】この分散液を実施例1と同じ厚さ30μm
の多孔質アルミナ水和物層が形成された被記録媒体Aの
上に塗布乾燥して厚み10μmの多孔質シリカ層を形成
した。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定
した。測定結果を表2に示す。
【0075】[実施例7]沈降タイプのシリカ(P−8
02Y、水澤化学)をイオン交換水に分散して固形分濃
度10重量%の分散液を得た。この分散液と実施例1と
同じポリビニルアルコール分散液を固形分混合比3:1
で混合し、実施例1と同じ方法で分散処理を行って混合
分散液を得た。
【0076】この分散液を実施例1と同じ厚さ30μm
の多孔質アルミナ水和物層が形成された被記録媒体Aの
上に塗布乾燥して厚み10μmの多孔質シリカ層を形成
した。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定
した。測定結果を表2に示す。
【0077】[実施例8]平均粒径2μの合成無定型シ
リカ(日本シリカ工業社製、商品名:NipsilH
D)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、超
音波をかけ、平均粒子径が40nmになるまでサンドグ
ラインダーと超音波の分散操作を繰り返し、8%の水分
散液を調製した。
【0078】この分散液と実施例1と同じポリビニルア
ルコール分散液を固形分混合比3:1で混合し、実施例
1と同じ方法で分散処理を行って混合分散液を得た。こ
の分散液を実施例1と同じ厚さ30μmの多孔質アルミ
ナ水和物層が形成された被記録媒体Aの上に塗布乾燥し
て厚み10μmの多孔質シリカ層を形成した。被記録媒
体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。測定結果
を表2に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【発明の効果】本発明の被記録媒体、及び画像形成方法
を用いることによって以下に列挙するような優れた効果
が奏される。すなわち、 (1)染料混合系インクでの印字、顔料系インクでの印
字、顔料インクと染料インクの併用印字、を高速で行っ
たときでもインク吸収が早く、画像濃度が高くすること
ができる。また印字された画像はインクの種類によらず
色調が鮮明で、ビーディングの発生がない。 (2)3種類以上の濃度が異なる濃淡インクを用いた印
字では階調数を多く取ることができ、かつ濃度による色
味変化がない。 (3)インクの種類によらずに色材の定着を良くするこ
とができる。さらにインクの種類によらず、印字ドット
の真円度を良くすることができる。このため混色部でも
印字画像の濃度によって色調が変化しない。 (4)顔料インクと染料インクの併用印字、顔料と染料
の混合インクの印字でもべた印字部の色むらや定着むら
が発生しない。 (5)インク受容層の透明性を良くすることができる。
またインク受容層表面の傷つき、タックを防止すること
ができる。さらにインク受容層にクラックが発生しにく
い。 (6)例えば黒色色材を含む濃淡インクと、黒色色材と
青色色材の混合系色材を含む濃淡インクなどのように、
色調の違う色材を用いた印字方法で目視観察できる階調
数を上げることができる。印字後のカール、タック、搬
送傷が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク受容層の構造を示す模式断面図
である。
【符号の説明】
1 被記録媒体 2 基材 3 インク受容層 4 アルミナ水和物とバインダーからなる多孔質下層 5 シリカとバインダーからなる多孔質上層 6 内部空洞 7 細孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨岡 洋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H086 BA16 BA32 BA33 BA45

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に2層構成のインク受容層を備え
    た被記録媒体において、下層はベーマイト構造を有する
    アルミナ水和物とバインダーを含む多孔質層で、その上
    に形成された上層はシリカとバインダーを含む多孔質層
    であり、下層は層内部に空隙を有し、該空隙がこれより
    半径が小さい細孔を通してインク受容層表面に連通して
    いることを特徴とする被記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記インク受容層は半径2.0〜20.
    0nmの範囲に最大ピークを有する請求項1記載の被記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 前記インク受容層は半径6.0〜20.
    0nmの範囲に最大ピークを有する請求項1記載の被記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 前記インク受容層の細孔容積が0.4〜
    1.0ml/gの範囲にある請求項1記載の被記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 前記インク受容層の細孔容積が0.4〜
    0.6ml/gの範囲にある請求項1記載の被記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 前記細孔半径2.0〜20.0nmの細
    孔容積が全細孔容積の80%以上である請求項1記載の
    被記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記インク受容層の吸水量が0.4〜
    1.0ml/gの範囲にある請求項1記載の被記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 前記インク受容層の面内拡散係数が0.
    7〜1.0の範囲にある請求項1記載の被記録媒体。
  9. 【請求項9】 被記録媒体にインクを付与して画像を形
    成する画像形成方法において、該被記録媒体が、請求項
    1ないし8のいずれかに記載の被記録媒体であることを
    特徴とする画像形成方法。
  10. 【請求項10】 前記インクを付与する方式に、インク
    ジェット方式を用いる請求項9記載の画像形成方法。
  11. 【請求項11】 前記インクジェット方式が、インクに
    熱エネルギーを作用させてインク液滴を吐出させる方式
    である請求項10記載の画像形成方法。
  12. 【請求項12】 前記インク液滴を吐出させる方式が、
    色材の濃度の異なる3種類以上のインクを用いて印字を
    行う方式である請求項11記載の画像形成方法。
  13. 【請求項13】 前記インク液滴を吐出させる方式が、
    色材として顔料を含むインクと染料を含むインクを併用
    して印字を行う方式である請求項11記載の画像形成方
    法。
  14. 【請求項14】 前記インク液滴を吐出させる方式が、
    色調の異なる複数のインクを併用して印字を行う方式で
    ある請求項11記載の画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003048370A (ja) * 2001-08-08 2003-02-18 Konica Corp インクジェット記録方法
EP1566280A2 (en) 2004-02-18 2005-08-24 Oji Paper Co., Ltd. Ink jet recording sheet
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JP2019081352A (ja) * 2017-10-31 2019-05-30 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法

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