WILLER TRAINS
本社がある宮津駅 | |
種類 | 株式会社 |
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略称 | 京都丹後鉄道、丹鉄 |
本社所在地 |
日本 〒626-0041 京都府宮津市字鶴賀2065番地4 北緯35度32分4.2秒 東経135度11分59.0秒 / 北緯35.534500度 東経135.199722度座標: 北緯35度32分4.2秒 東経135度11分59.0秒 / 北緯35.534500度 東経135.199722度 |
設立 | 2014年(平成26年)7月14日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 1120001185166 |
事業内容 | 第二種鉄道事業 |
代表者 | 代表取締役 飯島 徹 |
資本金 |
5,000万円 (2018年3月期)[1] |
従業員数 |
153人 (2018年3月31日現在)[1] |
決算期 | 毎年3月31日 |
主要株主 |
WILLER 100% (2019年3月31日現在)[2] |
外部リンク | https://trains.willer.co.jp/ |
WILLER TRAINS株式会社(ウィラートレインズ[3]、英: WILLER TRAINS, Inc.)は、京都府宮津市に本社を置き、「京都丹後鉄道」(きょうとたんごてつどう、英: Kyoto Tango Railway、略称:丹鉄〈たんてつ〉)の名称で列車の運行、乗車券等の販売等の事業を行う鉄道事業者(第二種鉄道事業者)。高速乗合バス運行中堅(元ツアーバス運行大手)のWILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス)を傘下に持つWILLER(ウィラー)の完全子会社。
第三セクター鉄道の北近畿タンゴ鉄道 (KTR) より列車の運行、乗車券等の販売等の事業を譲受し、2015年(平成27年)4月1日より運行を開始した。それに伴いKTRは第三種鉄道事業者となった。
概要
[編集]KTRが第一種鉄道事業者として運営していた宮福線(日本鉄道建設公団建設線)と宮津線(旧日本国有鉄道の特定地方交通線)の施設をKTRより借り受け、列車運行等の実務を行っている。
対外的には「京都丹後鉄道」の名称を用いており、沿線の丹波・丹後・但馬を指す「三丹」の「丹」を用いた「丹鉄」の略称を用いることで、地元に愛着を持たれる鉄道を目指すという[4]。鉄道会社において、社名が全てアルファベット表記なのは日本で初めてである[4]。
KTRが地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく鉄道事業再構築を実施するため、2013年に上下分離方式の導入を前提にKTRの運行事業を引き継ぐ者を全国から公募し[5][6]、翌2014年5月に応募のあった4社から選定された WILLER ALLIANCE[7](現・WILLER。以下「ウィラー社」と記す。)が設立した会社である。運行事業者の選定に当たっては、ウィラー社の安全対策の提案内容および情報発信力を高く評価したという[7]。異業種からの鉄道事業参入は異例だが、そもそも今回の公募に既存の鉄道事業者からの応募は1件もなかったという[8]。
KTRの運行引き受けに当たって、ウィラー社の代表でWILLER TRAINSの社長にも就任した村瀬茂高は記者会見の席で、事業再生に当たって「高次元交通ネットワーク」の実現を掲げ、駅とバス停などが同じ場所にあり乗り換えができるだけでなく、「ストレスなく連続性があり、複数の交通モード、さまざまな事業者のサービスが一つのサービスとして提供されている姿」を目指すとしている[9]。また、沿線地域のバス会社・タクシー会社などとの連携により乗合タクシーやデマンドバスを導入することで公共交通の空白地帯を解消することにより鉄道沿線地域の活性化をめざし、併せてウィラー社がバス事業で導入した柔軟な割引サービスの導入により「移動需要」そのものの掘り起こしによって経営改善を目指すとしている[10]。運行初年度となる2015年の売上高と利用者数は、引き受ける前の2014年度を上回る結果となった[11]。
2019年(令和元年)には、国土交通省がMobility as a Service (MaaS) の先行モデル事業としてWILLER TRAINS、WILLER株式会社などとともに京都丹後鉄道沿線でのMaaSアプリ「WILLERS」を用いたQRシステム実証実験を事業認定した。京都丹後鉄道路線ほか、丹後海陸交通などが運行する路線バスやケーブルカー、タクシーなどでQRコードを用いた予約・決済の効果を検証するという[12]。2020年(令和2年)2月10日より3月31日までの予定でスマートフォンアプリによる日本初の区間運賃対応即時QRコード決済乗車を開始し[13][14]、現在は本格運用されている。同年11月25日には、クレジットカードVisaのタッチ決済にも対応するようになった。鉄道会社では初の対応となった[15]。
沿革
[編集]- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)
- 2017年(平成29年)6月1日:旅客列車にて農作物運搬を行う「貨客混載」事業を開始。農産物としては日本全国初となる[17]。
- 2019年(令和元年)10月1日:消費税増税に伴う運賃改定。普通運賃を50円、100円区切りとし、1,510円以上(71 km以上)の長距離区間はすべて1,500円とする[18][19]。
- 2020年(令和2年)10月4日:西舞鶴発豊岡行き列車の運転士が宮舞線栗田駅手前で異音を聞き非常ブレーキで列車を停止。点検のため運転士が降車しようとした際に列車が動き始め、栗田駅を約242m通り過ぎて停止するという重大インシデントが発生[20]。
路線
[編集]車両
[編集]車両はKTRが所有し、WILLER TRAINSが有償で借り受ける形で運用しており[21]、西舞鶴運転所(旧西舞鶴運転区、西舞鶴駅隣接)と福知山運転所(旧福知山運転支区、荒河かしの木台駅隣接)に配置している。
全ての車両が気動車である。宮福線全線と宮津線(宮豊線)の宮津駅 - 天橋立駅間が電化されているが、この区間で運用される電車は113系・287系・289系といった西日本旅客鉄道(JR西日本)の車両のみである。
- 特急列車用
- 普通列車用
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KTR001形
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KTR8000形
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MF100形
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KTR700形(コミューター車両)
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KTR800形
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KTR300形
過去の車両
[編集]- 普通列車用
-
- MF200形 - MF100形と同じく宮福鉄道の開業時に導入された車両で、イベント対応車両となっていた。KTR300形への置き換えにより全廃された。
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MF200形
運賃・料金
[編集]キロ程 運賃(円) キロ程 運賃(円) - 3km 150 34 - 36 800 4 - 6 200 37 - 39 850 7 - 9 250 40 - 42 950 10 - 12 300 43 - 46 1,000 13 - 15 350 47 - 50 1,100 16 - 18 400 51 - 54 1,150 19 - 21 450 55 - 58 1,200 22 - 24 500 59 - 62 1,300 25 - 27 600 63 - 66 1,400 28 - 30 650 67 - 70 1,450 31 - 33 700 71 - 1,500
キロ程 指定席(円) 自由席(円) - 20km 600 350 21 - 50 950 700 51 - 1,250 1,000
キロ程 区間 料金(円) - 20km 福知山 - 大江,大江 - 宮津,宮津 -天橋立 300 21 - 福知山 - 宮津,福知山 - 天橋立,大江 - 天橋立 750
- その他の料金
- 小児同額。2019年10月1日改定。
くろまつ特別車両料金 300円 観光列車「くろまつ」を利用する場合に必要。旅行商品扱いのみ。 乗車整理料金 550円 観光列車「あかまつ」を利用する場合に必要。乗車整理券が発行される。 ライナー料金 300円 宮福線の「通勤ライナー」を利用する場合に必要。ライナー券が発行される。
有人駅には自動券売機が設置されているが、福知山駅、西舞鶴駅、宮津駅、天橋立駅、豊岡駅以外の駅は2023年度までに撤去された。
企画乗車券など
[編集]- 京都丹後鉄道ワンデーパス
- 京都丹後鉄道全線が1日乗り放題となる乗車券。1枚2500円(小児用は半額)で、有人駅で発売している。普通列車・快速列車に加え、特急列車にも乗車できる。特急列車については普通車指定席にも乗車できるが、座席の指定ができないため空席利用となり、その席を指定している旅客が乗車した場合は席を移動しなければならず、満席の場合は立席乗車となる。また、別に乗車整理券を購入すれば丹後あかまつ号に乗車できる。事前に購入することもできるが、有効期限は発行日から1か月以内である。また、年末年始やお盆、ゴールデンウィーク期間中は使用できない。
- 京都みんなで特急回数券
- JRとの共同企画商品。丹鉄線内から京都駅間の特急券(自由席)と乗車券セットの回数券。6枚綴りでの発売。小児の設定はない。特急停車駅(宮津駅・天橋立駅・与謝野駅・京丹後大宮駅・峰山駅・網野駅・久美浜駅)で発売している。なお2007年3月より大江駅・夕日ヶ浦木津温泉駅にもすべての特急列車が停車しているが、この2つの駅の設定はない。2022年3月11日に廃止[27]。
- 京都丹後鉄道に経営移譲前は、「京都ビジネス特急回数券」という名称だった[28]。
- 硬券・軟券
- 企画乗車券ではないが、マルス端末が置かれておらず、駅員がいる駅の窓口では、乗車券・特急券は硬券で、新幹線特急券(自由席)は軟券で発売されている[29]。硬券・軟券が発売されている駅は次の通り。
脚注
[編集]- ^ a b 鉄道統計年報平成29年度版 - 国土交通省
- ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和元年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
- ^ 『鉄道事業再構築実施計画の認定による上限運賃設定認可について』(PDF)(プレスリリース)国土交通省鉄道局、2015年3月10日 。2015年4月2日閲覧。
- ^ a b “北近畿タンゴ鉄道は「京都丹後鉄道」に…WILLER TRAINSが発表”. Response.. (2015年1月29日) 2015年4月3日閲覧。
- ^ 『北近畿タンゴ鉄道の運行会社の公募開始について』(プレスリリース)北近畿タンゴ鉄道、2013年10月31日。オリジナルの2015年3月15日時点におけるアーカイブ 。2015年4月3日閲覧。
- ^ “北近畿タンゴ鉄道、運行会社を公募 「上下分離」導入で”. 日本経済新聞. (2013年11月6日) 2015年4月3日閲覧。
- ^ a b c “KTR運行会社 ウィラー社に決定”. 京都新聞 (京都新聞社). (2014年5月8日). オリジナルの2014年5月8日時点におけるアーカイブ。 2015年4月1日閲覧。
- ^ “高速バスの"革命児"が挑む、赤字鉄道の再生 ウィラーは北近畿タンゴ鉄道をどう変える?”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2014年6月22日). 2015年4月3日閲覧。
- ^ “京都丹後鉄道が掲げる「高次元交通ネットワーク」…新たな地方鉄道のモデルとなるか”. Response.. (2015年2月4日) 2015年4月3日閲覧。
- ^ 杉山淳一 (2015年2月4日). “北近畿タンゴ鉄道から京都丹後鉄道へ - WILLER TRAINSの"大きな構想"とは?”. マイナビニュース 2015年4月3日閲覧。
- ^ “「高速バス流」の経営は3セク鉄道を変えたか”. 東洋経済オンライン. (2016年12月18日) 2022年3月30日閲覧。
- ^ “先行モデル事業概要” (PDF). 国土交通省 (2019年6月). 2019年7月1日閲覧。
- ^ “MaaSアプリ「WILLERS」に日本初となる区間運賃対応QRコード即時決済機能追加 2/10から丹鉄沿線で実証実験”. 鉄道チャンネル. エキスプレス (2020年2月7日). 2022年3月30日閲覧。
- ^ “QRコードで運賃決済 バス会社も連携、丹鉄が実証実験”. 両丹日日新聞 2020年2月10日閲覧。
- ^ 『京都丹後鉄道 日本初、鉄道でVisaのタッチ決済を導入 ~タッチするだけで乗車可能!運賃支払いがますます便利に~』(プレスリリース)WILLER TRAINS、2020年11月25日 。2020年12月8日閲覧。
- ^ 『地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定について〔北近畿タンゴ鉄道:宮福線及び宮津線、近畿日本鉄道:内部(うつべ)線及び八王子線〕』(プレスリリース)国土交通省、2015年3月10日 。2015年4月1日閲覧。
- ^ “全国初「貨客混載」で農作物運ぶ 京都丹後鉄道”. 京都新聞 (京都新聞社). (2017年6月1日). オリジナルの2017年6月1日時点におけるアーカイブ。 2017年6月2日閲覧。
- ^ a b 『WILLER TRAINS株式会社の鉄道事業の旅客運賃の上限変更認可について』(PDF)(プレスリリース)国土交通省近畿運輸局、2019年9月12日。オリジナルの2019年10月1日時点におけるアーカイブ 。2023年7月10日閲覧。
- ^ “京都丹後鉄道が運賃改定へ、10月消費増税合わせ”. 京都新聞 (2019年8月17日). 2022年3月30日閲覧。
- ^ “京都丹後鉄道で重大インシデント”. 共同通信 (2020年10月5日). 2020年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月5日閲覧。
- ^ 『宮福線及び宮津線の再構築認定の概要』(PDF)(プレスリリース)国土交通省、2015年3月10日 。2017年2月12日閲覧。
- ^ 「キハ85系 新天地は京都丹後 JR東海が譲渡」『中日新聞 朝刊』中日新聞社、2023年3月8日、28面。2023年5月1日閲覧。
- ^ “キハ85系、京都丹後鉄道では「KTR8500形」 その命名理由を聞いた”. 鉄道チャンネル. エキスプレス (2023年4月28日). 2023年5月1日閲覧。
- ^ “KTR8500形車両の運行開始について”. 京都丹後鉄道. 2024年3月17日閲覧。
- ^ “初の耐雪ブレーキ採用 丹鉄に赤鬼モチーフの新造車両”. 両丹日日新聞. 2019年5月19日閲覧。
- ^ “普通乗車券”. 京都丹後鉄道. WILLER TRAINS. 2023年7月10日閲覧。
- ^ “お知らせ”. 京都丹後鉄道 (2021年12月10日). 2023年5月1日閲覧。
- ^ 企画乗車券 - 京都丹後鉄道、2021年5月24日閲覧
- ^ 『鉄道ダイヤ情報』2010年9月号 44頁より
外部リンク
[編集]- 京都丹後鉄道(丹鉄/TANTETSU)
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