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レプティクティス目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レプティクティス目
Leptictidium auderienseの化石
Leptictidium auderienseの化石
地質時代
白亜紀 - 漸新世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
: レプティクティス目
Leptictida
学名
Leptictida McKenna, 1975[1][2]

レプティクティス目(レプティクティスもく、Leptictida)は、哺乳類の絶滅したの一つ。名前はラテン語で「優美なイタチ」を意味する[3][出典無効]

年代と地域

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レプティクティディウム(Leptictidium nasutum)の化石。国立科学博物館の展示。

漸新世のレプティクティス属Leptictisを代表とする[4]真獣下綱のうち最も初期に出現したグループであり、最古の化石記録はモンゴル白亜紀前期の地層[5]から発掘されている。白亜紀後期から古第三紀の暁新世にかけて発展し、地理的にもヨーロッパ北アメリカ大陸へ広がった。始新世からは衰退し、漸新世の前期には絶滅した。

形態

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概してツパイトガリネズミに似た吻の長い小動物で、食虫性だったと考えられている。始新世のヨーロッパに分布したレプティクディウム属Lepticdiumでは、前肢が短く後肢と尾が長い形態になっており、おそらくは似た外形のトビネズミハネジネズミのように後肢だけで跳躍走行していた。このはレプティクティス目としては大型で、全長(尾を含む)は60 - 90cmあった[5]

系統

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かつては初期の食虫目に属するものと誤認されていたが、同様に扱われていた幾つかのグループとともに「原真獣亜目Proteutheria」として半ば分離され(1960年代)、後にレプティクティス上目として完全に分離された[1]。後続する多くの真獣類の祖先だとする意見もあるが[6]、身体構造の特殊性(頭頂骨後頭骨の近傍で三角形に突き出す)からそれを否定する見解もある[7]。2013年には、ハネジネズミ目の姉妹群としてアフリカ食虫類に含める説も発表されている[8]

マッケナ & ベルの分類体系(1997年)においては、上獣巨目(エピテリア異節類以外の真獣類)に含まれ、上目(Superorder)の分類階級が与えられている[2][9]

  • 有胎盤区 Cohort Placentalia(=真獣下綱
    • 異節巨目 Magnorder Xenarthra
    • 上獣巨目 Magnorder Epitheria
      • レプティクティス上目 Superorder Leptictida
      • 顕獣上目 Superorder Preptotheria
        • (それ以外の全ての真獣類)

上図はあくまでMcKenna & Bellの分類体系による物であることに留意。「巨目」の階級の使用、エピテリア仮説の採用、プレプトテリア(顕獣上目)の設定は必ずしも一般的ではない。一例として遠藤(2002, 2006)はこの分類群をレプティクティス目とした。

下位分類

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以下のに分けられる[10]。上述のレプティクディウム属はプセウドリンコキオン科に入る。

脚注

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  1. ^ a b McKenna 1975, p. 41.
  2. ^ a b McKenna & Bell, Classification of Mammals, 1997
  3. ^ Leptictidium(版22:36, 13 September 2008)。
  4. ^ 遠藤 2006.
  5. ^ a b 冨田幸光 『絶滅哺乳類図鑑』 54頁。
  6. ^ 『コルバート 脊椎動物の進化』。
  7. ^ 遠藤秀紀 『哺乳類の進化』 59頁。
  8. ^ 西岡佑一郎・楠橋直・高井正成「哺乳類の化石記録と白亜紀/古第三紀境界前後における初期進化」『哺乳類科学』第60巻 2号、日本哺乳類学会、2020年、251-267頁。
  9. ^ 日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
  10. ^ 遠藤秀紀 『哺乳類の進化』 58頁。

関連項目

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参考文献

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  • McKenna, Malcolm C. (1975). “Toward a phylogenetic classification of the Mammalia”. In Luckett, W. Patrick; Szalay, Frederick S.. Phylogeny of the Primates: A Multidisciplinary Approach. New York: Plenum. pp. 21–46. ISBN 978-1-4684-2168-2. https://doi.org/10.1007/978-1-4684-2166-8_2 
  • 遠藤秀紀『哺乳類の進化』東京大学出版会、2002年。ISBN 4-13-060182-2 
  • 遠藤秀紀 著「哺乳綱」「哺乳類分類表」、松井正文 編『バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2006年、314-332, 350-355頁。ISBN 978-4-7853-5830-3 
  • エドウィン・H・コルバート、マイケル・モラレス、イーライ・C・ミンコフ 著、田隅本生 訳『コルバート・脊椎動物の進化(原著第5版)』築地書館、2004年。ISBN 4-8067-1295-7 
  • 冨田幸光『絶滅哺乳類図鑑』伊藤丙雄・岡本泰子イラスト、丸善、2002年。ISBN 4-621-04943-7 
  • McKenna, Malcolm C.; Bell, Susan K. (1997). Classification of Mammals: Above the Species Level. New York: Columbia University Press. ISBN 0-231-11013-8 

外部リンク

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