デイヴィッド・スティルウェル
デイヴィッド・スティルウェル(英語: David R. Stilwell)は、アメリカ合衆国の外交官。元軍人。
空軍出身者で東アジア勤務経験が豊富であることから、2019年にアメリカ合衆国国務次官補(東アジア・太平洋担当)に抜擢された。韓国語と中国語に堪能、中国語での名前は史 達偉(ス・ダウェイ)。日本語はあいさつ程度だが、娘が日本の慶應義塾大学に留学しており親日家とされている[1]。
経歴
[編集]1980年にアメリカ空軍に入隊、1983年まで大韓民国の烏山空軍基地で勤務した。米国空軍士官学校で歴史を学び(1987年卒業)、ハワイ大学マノア校でアジア学と中国語を学んだ(1988年卒業)[2]。1993年-1995年にはF-16 (戦闘機)パイロットとして群山空軍基地で勤務した。2008年-2010年、三沢基地の第35戦闘航空団の司令官に就任。2011年-2013年には、在中華人民共和国大使館の駐在武官を経験。その後、アメリカ国防総省のアジア戦略立案部門の幹部となり、2015年に予備役となっていた[3][4]。
2018年10月17日、ドナルド・トランプ政権下のアメリカ合衆国国務次官補(東アジア・太平洋担当)に指名。このポストは、前任のスーザン・ソーントン(次官補代行)が2018年7月に退任以降空席であった[5]。2019年3月、アメリカ上院は聴聞会を開催。2019年6月13日、上院は次官補の承認案を可決した。
2019年7月11日-14日、外務次官補として初来日。外務省、防衛省、国家安全保障会議の担当者ら日米同盟、北朝鮮、イラク問題について協議。その後フィリピン、韓国、タイを訪問した[6]。韓国では、日韓関係が輸出管理の問題で冷却化が進んでいたこともあり、両国の関係が話題となったと見られているが、日本側からは「(アメリカは)日韓関係を仲介しない」との報道が行われたことに対し、韓国側では「(アメリカは)韓日問題の解決を支援」との報道が行われるなど内容にはズレが見られた[7]。
2019年11月、訪韓を前に日本のNHKのインタビューに応じ、「韓国が(日韓秘密軍事情報保護協定破棄を)決定を再考する時間はまだある。韓国にとどまるよう説得を続けたい」と語り、韓国側を説得する意欲を見せた[8]。11月5日-7日のスケジュールで、防衛費の負担金増を求める国務省のキース・クラック国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)、ジェームス・デハート防衛費分担金特別協定交渉首席代表らと訪韓。スティルウェルは、金鉉宗国家安全保障室第2次長などに会い、日韓秘密軍事情報保護協定などの懸案について協議したが、韓国側の見解を覆すには至らなかった[9][10]。
脚注
[編集]- ^ “「日本に戻れてうれしい」 スティルウェル国務次官補が来日”. iza (2019年7月11日). 2019年7月11日閲覧。
- ^ “David R. Stilwell - United States Department of State” (英語). アメリカ合衆国国務省. 2019年7月11日閲覧。
- ^ “米議会、スティルウェル米国務次官補の指名を承認…朝鮮半島ラインアップが完成”. ハンギョレ (2019年6月15日). 2019年7月11日閲覧。
- ^ “米国務次官補、初外国訪問で来日”. 時事通信 (2019年7月11日). 2019年7月11日閲覧。
- ^ “米国務次官補に元軍高官・スティルウェル氏を指名”. 産経新聞 (2018年10月18日). 2019年7月11日閲覧。
- ^ “米国務次官補「同盟強化を期待」 就任後初来日”. 日本経済新聞 (2019年7月11日). 2019年7月11日閲覧。
- ^ “日韓メディア、米国務次官補の発言めぐる報道に「ズレ」”. 2019-07-18レコードチャイナ (2019年7月18日). 2019年8月28日閲覧。
- ^ “米国防次官補「韓日関係の緊張は中国と北朝鮮に利益」”. 中央日報 (2019年11月7日). 2019年11月7日閲覧。
- ^ “米国務次官補、GSOMIA維持求め遠回しに圧力…青瓦台「見解変わらない」”. 朝鮮日報 (2019年11月7日). 2019年11月7日閲覧。
- ^ “米首席代表、分担金に加えホルムズ派兵も韓国に要求”. 朝鮮日報 (2019年11月8日). 2019年11月9日閲覧。