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サマリア文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サマリア文字 (Unicodeのブロック)
Samaritan
範囲 U+0800..U+083F
(64 個の符号位置)
基本多言語面
用字 サマリア文字
主な言語・文字体系
割当済 61 個の符号位置
未使用 3 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.2 61 (+61)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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サマリア文字(サマリアもじ、英語: Samaritan)は、Unicodeの18個目のブロック

解説

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中東イスラエル国内のサマリア地方及びホロン市などに居住するサマリア人が、信仰するサマリア教英語版の聖典言語として用いられるサマリア語を表記するためのサマリア文字を収録している。現在は主にサマリア教における聖典のサマリア五書などの宗教的文献の記述や、イスラエル国内の新聞[1]などの限定的な用途でのみ使用されている。

サマリア文字は音素文字のうち、アラビア文字ヘブライ文字のように原則として子音字のみを記述するアブジャドであり、ヘブライ文字同様に右から左へと横書き(右横書き)する表記体系である。但し、アラビア文字のように単語内での位置による字形変化は存在しない。聖典の朗読用に補助的な母音記号が使われることもある。

本ブロックはUnicodeのバージョン5.2で初めて追加された。

収録文字

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ラテン文字転写」の列はFaulmann 1990 (1880)に従う。[2]

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
字母
U+0800 SAMARITAN LETTER ALAF 子音[ʔ]を表す。
U+0801 SAMARITAN LETTER BIT 子音[b]を表す。 b
U+0802 SAMARITAN LETTER GAMAN 子音[ɡ]を表す。 g
U+0803 SAMARITAN LETTER DALAT 子音[d]を表す。 d
U+0804 SAMARITAN LETTER IY 子音[ʔ]を表す。元々は[h]を表していた。 h
U+0805 SAMARITAN LETTER BAA 子音[b]または[w]を表す。元々は[v]を表していた。 w
U+0806 SAMARITAN LETTER ZEN 子音[z]を表す。 z
U+0807 SAMARITAN LETTER IT 子音[ʔ]または[ʕ]を表す。元々は[x]を表していた。 χ
U+0808 SAMARITAN LETTER TIT 子音[tˤ]を表す。
U+0809 SAMARITAN LETTER YUT 子音[j]を表す。 y
U+080A SAMARITAN LETTER KAAF 子音[k]を表す。 k
U+080B SAMARITAN LETTER LABAT 子音[l]を表す。 l
U+080C SAMARITAN LETTER MIM 子音[m]を表す。 m
U+080D SAMARITAN LETTER NUN 子音[n]を表す。 n
U+080E SAMARITAN LETTER SINGAAT 子音[s]を表す。 s
U+080F SAMARITAN LETTER IN 子音[ʔ]または[ʕ]を表す。元々は[ʕ]を表していた。
U+0810 SAMARITAN LETTER FI 子音[f]または[b]を表す。 p
U+0811 SAMARITAN LETTER TSAADIY 子音[sˤ]を表す。
U+0812 SAMARITAN LETTER QUF 子音[q]または[ʔ]を表す。 q
U+0813 SAMARITAN LETTER RISH 子音[r]を表す。 r
U+0814 SAMARITAN LETTER SHAN 子音[ʃ]を表す。 š
U+0815 SAMARITAN LETTER TAAF 子音[t]を表す。 t
子音修飾子
U+0816 SAMARITAN MARK IN 字母の右側に書かれ、頭子音[ʕ]を伴うことを表す。[1]

字母in(U+080F ࠏ)に付く際の形。

U+0817 SAMARITAN MARK IN-ALAF 字母の右側に書かれ、頭子音[ʕ]を伴うことを表す。[1]

字母in(U+080F ࠏ)及び字母alaf(U+0800 ࠀ)に付く際の形。

U+0818 SAMARITAN MARK OCCLUSION 子音を強子音として読むことを表す。例えば字母baa(U+0805 ࠅ)に付いた時は[w]ではなく[b]と発音することを表す。[1]

また、固有名詞とその他の単語との間の同音異義語を区別する際にも用いられる。[1]

U+0819 SAMARITAN MARK DAGESH 重子音を表す。
U+081A SAMARITAN MODIFIER LETTER EPENTHETIC YUT 音挿入された子音[j]を表す。

この小分類において唯一結合文字ではなく前進を伴う(文字幅を持ってレンダーされる)文字である。

U+081B SAMARITAN MARK EPENTHETIC YUT 音挿入された子音[j]を表す。
母音記号
U+081C SAMARITAN VOWEL SIGN LONG E 母音[eː]を表す。 ê
U+081D SAMARITAN VOWEL SIGN E 母音[e]を表す。 e
U+081E SAMARITAN VOWEL SIGN OVERLONG AA 長母音[ɑː]を表す。 åˆ:
U+081F SAMARITAN VOWEL SIGN LONG AA 半長母音[ɑˑ]を表す。 åˆ
U+0820 SAMARITAN VOWEL SIGN AA 母音[ɑ]を表す。 å
U+0821 SAMARITAN VOWEL SIGN OVERLONG A 長母音[aː]を表す。 â:
U+0822 SAMARITAN VOWEL SIGN LONG A 半長母音[aˑ]を表す。 â
U+0823 SAMARITAN VOWEL SIGN A 母音[a]を表す。 a
U+0824 SAMARITAN MODIFIER LETTER SHORT A 語頭で、最初の子音字の前に母音/ă/が発音されることを表す。[1]

結合文字ではなく前進を伴う(文字幅を持ってレンダーされる)文字である。

U+0825 SAMARITAN VOWEL SIGN SHORT A 超短母音[ă]を表す。
U+0826 SAMARITAN VOWEL SIGN LONG U 長母音[uː]を表す。 û
U+0827 SAMARITAN VOWEL SIGN U 母音[u]を表す。 u
U+0828 SAMARITAN MODIFIER LETTER I 語頭で、最初の子音字の前に母音/i/が発音されることを表す。[1]

結合文字ではなく前進を伴う(文字幅を持ってレンダーされる)文字である。

i
U+0829 SAMARITAN VOWEL SIGN LONG I 長母音[iː]を表す。 î
U+082A SAMARITAN VOWEL SIGN I 母音[i]を表す。 i
U+082B SAMARITAN VOWEL SIGN O 母音[o]を表す。 o
U+082C SAMARITAN VOWEL SIGN SUKUN 無母音で、子音のみが発音されることを表す。

アラビア文字におけるスクーンに相当する。

変音記号
U+082D SAMARITAN MARK NEQUDAA 子音の読み方を変化させることを表す。

ヘブライ文字におけるニクダーに相当する。

約物
U+0830 SAMARITAN PUNCTUATION NEQUDAA 単語間の境界を表す。[3]
U+0831 SAMARITAN PUNCTUATION AFSAAQ 割り込みを表す。[3]

元々は文と文との境界を表していたが、文中のより小さな区切りに用いられるようになった。[1] サマリア文字における読点(,)。

U+0832 SAMARITAN PUNCTUATION ANGED 制約を表す。[3]

afsaaq(U+0831)よりも弱い休止を表す。[1]

U+0833 SAMARITAN PUNCTUATION BAU 祈願を表す。[3]

謙虚な請願で、特に神への祈りであることを表す。[1]

U+0834 SAMARITAN PUNCTUATION ATMAAU 驚きを表す。[3]

文が予想外な内容であることを表す。[1]

U+0835 SAMARITAN PUNCTUATION SHIYYAALAA 疑問を表す。[3]

サマリア文字における疑問符(?)。

U+0836 SAMARITAN ABBREVIATION MARK サマリア文字における省略記号
U+0837 SAMARITAN PUNCTUATION MELODIC QITSA 節の終わりを表し、文章全体を歌うように読む(朗唱する)ことを表す。[1]
U+0838 SAMARITAN PUNCTUATION ZIQAA 叫びを表す。[3]

人類に注意を促す表現であることを表す。[1]

U+0839 SAMARITAN PUNCTUATION QITSA 節の終わりを表す。[1][3]
U+083A SAMARITAN PUNCTUATION ZAEF 爆発を表す。[3]

激しい怒りを表す。[1]

U+083B SAMARITAN PUNCTUATION TURU 教示を表す。[3]

教訓的な表現であることを表す。[1]

U+083C SAMARITAN PUNCTUATION ARKAANU 従順さを表す。[3]

柔和さと服従の表現であることを表す。[1]

U+083D SAMARITAN PUNCTUATION SOF MASHFAAT サマリア文字における句点(.)。[3]
U+083E SAMARITAN PUNCTUATION ANNAAU 休止を表す。[3]

afsaaq(U+0831)よりも強い休止で、長い時間が経過したことを表す。[1]

小分類

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このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「子音修飾子」(Consonant modifiers)、「母音記号」(Vowel signs)、「変音記号」(Variant reading sign)、「約物」(Punctuation)の5つとなっている。[3]

字母(Letters

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この小分類にはサマリア文字で用いられる基本的な子音字を収録している。Unicodeのバージョン5.2で本ブロックと共に追加された。

子音修飾子(Consonant modifiers

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この小分類にはサマリア文字において、聖典などで補助的に子音の読み方を明示するための補助記号を収録している。U+081A以外は全て文字幅を持たない結合文字である。Unicodeのバージョン5.2で本ブロックと共に追加された。

母音記号(Vowel signs

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この小分類にはサマリア文字において、聖典などで補助的に母音の読み方を明示するための補助記号を収録している。多くの記号は文字の左上(即ち、母音を伴う文字とその次の文字との間)に付加される[1]が、U+082Cは文字の真上に、U+0824及びU+0828は文字幅を持ってレンダーされる。Unicodeのバージョン5.2で本ブロックと共に追加された。

変音記号(Variant reading sign

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この小分類にはサマリア文字において、子音の読み方を変えて発音することを表す結合文字1文字のみを収録している。Unicodeのバージョン5.2で本ブロックと共に追加された。

約物(Punctuation

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この小分類にはサマリア文字における句読点などの約物を収録している。Unicodeのバージョン5.2で本ブロックと共に追加された。

文字コード

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サマリア文字(Samaritan)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+080x
U+081x
U+082x
U+083x
注釈
1.^バージョン15.1時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
5.2 U+0800..082D,0830..083E 61 L2/04-159 Elaine Keown (12 May 2004), Proposal to add Samaritan Pointing to ISO 10646 (WG2-N2758) (英語)
L2/07-231 Michael Everson; Mark Shoulson (26 July 2007), Preliminary proposal to add the Samaritan alphabet to the BMP (WG2 N3291) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Michael Everson; Mark Shoulson (2007年7月26日). “Preliminary proposal to add the Samaritan alphabet to the BMP (WG2 N3291)” (英語). Unicode. 2024年3月27日閲覧。
  2. ^ Faulmann『Das Buch der Schrift』1880年。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n "The Unicode Standard, Version 15.1 - U0800.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年3月27日閲覧

関連項目

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