イソツツジ
イソツツジ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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福島県東吾妻山浄土平 2010年7月
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
標準: Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara var. nipponicum Nakai (1922)[1]
広義: Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara (1956)[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
イソツツジ(磯躑躅) |
イソツツジ(磯躑躅[6]・石躑躅[6]、学名: Ledum palustre subsp. diversipilosum var. nipponicum)はツツジ科イソツツジ属の常緑小低木。高山植物。広義のイソツツジ(Ledum palustre subsp. diversipilosum)は、カラフトイソツツジも含まれる[6]。
特徴
[編集]常緑広葉樹の小低木[7]。樹高は100センチメートル (cm) ほどになり、よく分枝して茂る[7]。若い枝には赤褐色の毛が密生する。葉は短い柄をもって互生し、革質で形は長楕円形または狭長楕円形になり、長さ3 - 6 cm[7]、幅0.8 - 1.0 cmになる[8]。葉縁は裏面にまくれ[7]、全縁で、先は短く尖り、先端に腺状突起がある。葉が乾燥すると葉の巻き込みが甚だしくなって、細い葉巻のように見える[8]。葉裏は全体に白色の軟毛が密生し、主脈には褐色の長毛が密生する[8]。
花期は6 - 7月[7]。枝の先端に散房花序をだして、直径約1 cmの花を毬のようにまとまって多数つける[8]。花冠は離生し、花弁は白色で5枚、長さ5ミリメートル (mm) になる。花蜜は有毒[7]。雄蕊は10本ある。果実は長さ3 mmの蒴果となる。
分布と生育環境
[編集]アジア北東部、日本では北海道南部、本州の東北地方に分布し、亜高山帯、高山帯の岩礫地や湿地に生育する[7]。周囲に大きな木が生えておらず、高山性で明るいところを好む性質がある[6]。火山灰土壌や硫気口に近いところの環境にも強い[8]。
イソツツジの読みは「イソ」であるが、海岸の磯に生えているわけではない[6]。和名は「エゾ(蝦夷)ツツジ」が誤って、または転訛して「イソツツジ」と伝えられたとされる。エゾツツジの東北訛りだともいわれる[6]。
日本では蝦夷すなわち北海道に特に多く、平地湿原(泥炭地)、火山灰地、高山、海岸草地などどこにでも見られる[6]。中でも、阿寒国立公園の屈斜路湖と摩周湖の間にある川湯の硫黄山(アトサヌプリ)の麓は名所として知られ、大きな群落を形成している[9]。
利用
[編集]身近には、観賞用に鉢植えにされる[7]。葉や枝に少し焦げたような芳香があり[8]、風呂に入れて香りが楽しまれる[7]。日本では蒸留酒に葉を漬けて風味を移し、茶色のリカーを作る[8]。
イソツツジの仲間
[編集]- カラフトイソツツジ Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara var. diversipilosum[10] - 北海道の高山の岩礫地に生育し、千島、樺太、朝鮮、東シベリアにも分布する。
- エゾイソツツジ Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara var. yesoense Nakai - カラフトイソツツジの別名(シノニム)とされる[11]。
- ヒメイソツツジ Rhododendron tomentosum subsp. subarcticum - Ledum palustre var. decumbens のシノニムがある[12]。北海道の高山(大雪山)の湿原に生育し[13]、朝鮮、シベリア、カムチャツカ、アラスカ、カナダ、グリーンランドなど、北半球の亜寒帯、寒帯に広く分布する。ホソバイソツツジの別名があり、葉が小さくて縁の裏側への巻き込みが強く、花も小さい[13]。
脚注
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara var. nipponicum Nakai イソツツジ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月25日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara イソツツジ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月25日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ledum palustre L. var. dilatatum auct. non Wahlenb. イソツツジ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月25日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rhododendron hypoleucum (Kom.) Harmaja イソツツジ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月25日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ledum hypoleucum Kom. イソツツジ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g 辻井達一 2006, p. 157.
- ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 222.
- ^ a b c d e f g 辻井達一 2006, p. 158.
- ^ 辻井達一 2006, pp. 157–158.
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara var. diversipilosum Nakai カラフトイソツツジ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ledum palustre L. subsp. diversipilosum (Nakai) H.Hara var. yesoense カラフトイソツツジ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ledum palustre L. var. decumbens Aiton ヒメイソツツジ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2006年6月23日閲覧。
- ^ a b 辻井達一 2006, p. 159.
参考文献
[編集]- 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、157 - 159頁。ISBN 4-12-101834-6。
- 平野隆久 監修、永岡書店 編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、222頁。ISBN 4-522-21557-6。
- 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本II』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53505-4。