明石政紀
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明石 政紀(あかし まさのり、1955年 - 2022年 )は、日本の文筆家、翻訳家。ベルリン在住。
経歴
[編集]札幌市生まれ、上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業[1]。1980年代前半は音楽雑誌『FOOL'S MATE』誌で音楽批評を発表、1980年代から1990年代前半には六本木に存在した「WAVE」のレーベル EVAシリーズの企画制作を務め[2]、リリースされたレコードにはディー・テートリッヒェ・ドリス、ピロレーター、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン、デア・プラン、パスカル・コムラード、ホルガー・ヒラー、ガイ・クルセヴェクの録音、ナチ退廃音楽展の批判的復元展ドキュメンタリーCDなどがある。日本におけるクラウトロックやノイエ・ドイチェ・ヴェレ、ドイツ1930年代の文化、映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーなどの紹介者でもある。
著作は、諧謔小説的な要素が取り入れられていることがよくある[3]。また、明石の影響を受けたという中原昌也は、「僕は(…)若い時分から音楽誌『フールズメイト』(…)のアルバムレヴューなどで大ファンであった。(…)デア・プランやディー・テートリッヒェ・ドリスなどのドイツの音楽だけでなく、アメリカのレジデンツまで日本盤LPに添えられたライナー(…)や歌詞の対訳の博識とダジャレに満ちた珍妙さは、いまだに僕の血や肉になっている」と記している[4]。
著書
[編集]- 『第三帝国と音楽』(水声社、1995年)
- 『ドイツのロック音楽、またはカン、ファウスト、クラフトワーク』(水声社、1997年/新装版2003年)
- 『ポップ・ミュージックとしてのベートーヴェン』(勁草書房、2002年)
- 『フリッツ・ラング、または伯林・聖林』(アルファベータ、2002年)
- 『キューブリック映画の音楽的世界』(アルファベータ、2007年)
- 『ベルリン音楽異聞』(みすず書房、2010年)
訳書
[編集]- パスカル・ビュッシー『クラフトワーク、「マン・マシーン」とミュージック』(水声社、1994年)
- ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『映画は頭を解放する』(勁草書房、1998年)
- ヴォルフガング・フリューア『クラフトワーク、ロボット時代』(シンコー・ミュージック、2001年)
- マイケル・H・ケイター『第三帝国と音楽家たち、歪められた音楽』(アルファベータ、2003年)
- ダグラス・サーク/ジョン・ハリデイ『サーク・オン・サーク』(INFASパブリケーションズ、2006年)
- エーファ・ヴァイスヴァイラー『オットー・クレンペラー、あるユダヤ系ドイツ人の音楽家人生』(みすず書房、2011年)
- クリスティアン・ボーングレーバー編『ベルリン・デザイン・ハンドブックはデザインの本ではない』(ベアリン出版、2013年)
- ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ファスビンダー、ファスビンダーを語る』第1巻(boid、2013年)
- ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ファスビンダー、ファスビンダーを語る』第2・3巻合本(boid、2015年)
脚注
[編集]- ^ 『ポップ・ミュージックとしてのベートーヴェン』著者略歴(勁草書房)
- ^ Fuer Immer 第9回「ノイエ・ドイチェ・ヴェレ:天才的ディレッタントって何?」http://yondoku.jp/?a=seventd&id=29&eid=513 2017年5月31日閲覧
- ^ たとえば著書『ベルリン音楽異聞』における猫と筆者の幕間劇、『ポップ・ミュージックとしてのベートーヴェン』における架空の人物の会話、訳書『ベルリン・デザインブックはデザインの本ではない!』の「訳者あとがき」における近所の娘の訪問劇など。また、『ドイツのロック音楽、またはカン、ファウスト、クラフトワーク』は、本文のない序文と余談だけで構成されている。
- ^ 中原昌也「書評:明石政紀『ベルリン音楽異聞』― 猫に応援されてつむぐベルリン文化史」、『文學界』2011年3月号270頁。
外部リンク
[編集]- Discogs Wave