大量殺人
殺人 |
---|
殺人 |
法域によっては犯罪でない殺人 |
家族に対する殺人 |
法理その他 |
大量殺人(たいりょうさつじん)は、同一の場所および時間帯において、同時に複数名が死亡ないし傷害を負う犯罪を示すとされる[1]。しかし、厳密な定義は存在しない(後述)。
定義
[編集]大量殺人という言葉に厳密な定義が存在しないことはフリーランスライターの村野薫[2]、精神科医の影山任佐がそれぞれ著書で触れている[3]。そのため以下に定義の変遷とその時代に大量殺人と認識された事件を記す。
1914年に発生したミュールハウゼン虐殺事件(ワグナー事件)において、ローベルト・ガウプが論文の題名にMassenmord(大量殺人)を使用したのが最初だと影山は指摘している[4]。1920年にはアルブレヒト・ヴェッツェルによる1810年以降のドイツを中心の諸外国を含んだ153件の事例の研究書であるÜber Massenmörder(大量殺人者たちについて)が出版される[5]。ヴェッツェルは本書において未遂も含んだ二名以上の被害者が出たものから偶発的な殺人者、営利殺人、政治的目的を持つ加害者、プロの毒殺者の4つを外したものを対象とした[6]。
司法精神医学者のパーク・ディーツは1968年に大量殺人を家族皆殺し、擬似的な特攻、セットアンドラン[注釈 1]の三つに区分したものを示した[7]。
ロナルド・M・ホームズとスティーヴン・T・ホームズはディーツの区分したものをさらに8つに区分した。それによると教祖などの指示により門弟が行う師弟タイプ、一家心中も含めた家族皆殺しタイプ、会社での不満に端を発する不満を持った従業員タイプ、自身の背景や社会への不満から無差別殺人を行う不満を持った市民タイプ、セットアンドランタイプ、精神疾患が原因で行われる精神疾患タイプ、加害者の政治的信念に基づくイデオロギータイプ、学校内銃乱射タイプに分けられている[7]。
FBIは2005年に開催された連続殺人に関するシンポジウム報告書の中で、大量殺人との違いを各殺人の間に時間が空くか否かとして区別し、大量殺人を同一事件の中において間を置くことなく行われた4つ以上の殺人行為と説明している[8]。
法政大学文学部心理学科教授の越智啓太と木戸麻由美は犯行形態に基づいて[9]、公共の場に居合わせた人を狙う無差別大量殺傷型[10]、強盗殺人や暴力団事件、保険金殺人や放火などを含む犯罪型[11]、一家心中の家族対象大量殺傷事件[12]、それから精神疾患や薬物中毒が原因となるケースにも触れている[13]。
法務省法務総合研究所による2013年の研究報告では、上記FBIの定義を紹介した上で、ほかにも「しばしば数分又は数時間という短い時間の単一の事件として同じ場所で数人を殺害すること」[14]との定義や「殺人と殺人の間に冷却期間がなく、1か所で3人以上を殺害すること」[15]との定義を併記している[16]。
毎日新聞社 (1991) は、4人以上が殺害された事件を戦後の「大量殺人事件」として取り上げている[17]。また村野薫 (2002) は戦後日本で発生した「大量殺人」として、単一事件・連続事件を問わず、同一の犯人により5人以上が殺害された事件を収録している(「参考文献」節を参照)。
事例
[編集]世界の大量殺人事件
[編集]本一覧表に事件を追加される方へ:単に事件名などデータを追記するだけではなく、その事件を大量殺人(事件)と呼称する出典を必ず併記してください |
事件名 | 年 | 場所 | 犠牲者数 | 犯人のその後 |
---|---|---|---|---|
マウンテン・メドウの大虐殺 | 1857年 | アメリカ合衆国 | 死者100 - 140人 | 死刑執行 |
愛知貰い子殺人事件 | 1913年 | 日本 | 死者200 - 300人 | 死刑執行 |
ミュールハウゼン虐殺事件 | 1914年 | ドイツ | 死者14人 | 精神病院に収容の後死亡 |
バス学校爆破事件 | 1927年 | アメリカ合衆国 | 死者45人 | 自殺 |
ゴードン・ノースコット事件 | 1928年 | 死者20人 | 死刑執行 | |
津山事件 | 1938年 | 日本 | 死者30人・負傷3人 | 自殺 |
カナディアン航空機爆破事件 | 1949年 | カナダ | 死者23人 | 死刑執行 |
ユナイテッド航空629便爆破事件 | 1955年 | アメリカ合衆国 | 死者44人 | 死刑執行 |
テキサスタワー乱射事件 | 1966年 | [注釈 2] | 死者14人・負傷31人射殺 | |
シェル湖殺人事件 | 1967年 | カナダ | 死者9人 | 獄中で死亡 |
慶尚南道宜寧郡事件 | 1982年 | 韓国 | 死者57人(諸説あり) | 人質と共に自爆 |
サン・イシドロ・マクドナルド銃乱射事件 | 1984年 | アメリカ合衆国 | 死者21人・負傷19人 | 射殺 |
カンポ・エリアス・デルガード事件 | 1986年 | コロンビア | 死者29人・負傷12人 | 射殺 |
パシフィック・サウスウエスト航空1771便墜落事故 | 1987年 | アメリカ合衆国 | 死者43人 | 自殺 |
ハンガーフォード事件 | イングランド | 死者16人・負傷15人 | ||
モントリオール理工科大学虐殺事件 | 1989年 | カナダ | 死者14人・負傷14人 | |
ハッピーランド放火事件 | 1990年 | アメリカ合衆国 | 死者87人 | 懲役4350年・獄中で死亡 |
ルビーズ銃乱射事件 | 1991年 | 死者23人・負傷20人 | 自殺 | |
ブラウンズ・チキン事件 | 1993年 | 死者7人 | 終身刑 | |
マクペラの洞窟虐殺事件 | 1994年 | イスラエル | 死者29人・負傷125人 | 犯行現場で暴行され死亡 |
建国門事件 | 中国 | 死者24人・負傷30 - 80人 | 射殺 | |
ダンブレーン事件 | 1996年 | スコットランド | 死者17人・負傷17人 | 自殺 |
ポートアーサー事件 | オーストラリア | 死者35人・負傷15人 | 終身刑 | |
サヌア事件 | 1997年 | イエメン | 死者6人・負傷12人 | 死刑執行 |
コロンバイン高校銃乱射事件 | 1999年 | アメリカ合衆国 | 死者13人・負傷24人 | 自殺 |
石家荘爆発事件 | 2001年 | 中国 | 死者109人・負傷38人 | 死刑執行 |
ネパール王族殺害事件 | ネパール | 死者9人 | 自殺とされているが未確定 | |
ツーク州議事堂銃乱射事件 | スイス | 死者14人・負傷18人 | 自殺 | |
エアフルト事件 | 2002年 | ドイツ | 死者17人・負傷 7人 | |
ナンテール事件 | フランス | 死者8人 | ||
大邱地下鉄放火事件 | 2003年 | 韓国 | 死者192人・負傷 148人 | 無期懲役・獄中で死亡 |
レッドレイク高校事件 | 2005年 | アメリカ合衆国 | 死者9人 | 自殺 |
漣川軍部隊銃乱射事件 | 韓国 | 死者8人・負傷 2人 | 死刑判決 | |
キャピトルヒル事件 | 2006年 | アメリカ合衆国 | 死者6人・負傷 2人 | 自殺 |
バージニア工科大学銃乱射事件 | 2007年 | 死者32人・負傷29人 | ||
ヴィネンデン銃乱射事件 | 2009年 | ドイツ | 死者15人・負傷9人 | |
ビンガムトン銃乱射事件 | アメリカ合衆国 | 死者13人・負傷4人 | ||
クウェート結婚式放火事件 | クウェート | 死者57人・負傷90人 | 死刑執行 | |
2011年ツーソン銃撃事件 | 2011年 | アメリカ合衆国 | 死者6人・負傷14人 | 終身刑 |
リオデジャネイロ小学校銃乱射事件 | ブラジル | 死者12人・負傷13人 | 自殺 | |
ノルウェー連続テロ事件 | ノルウェー | 死者77人・負傷100人以上 | 逮捕・禁錮21年 | |
オイコス大学銃乱射事件 | 2012年 | アメリカ合衆国 | 死者7人・負傷3人 | 逮捕 |
オーロラ銃乱射事件 | 死者12人・負傷58人 | 終身刑 | ||
サンディフック小学校銃乱射事件 | 死者26人・負傷1人 | 自殺 | ||
シャルリー・エブド襲撃事件 | 2015年 | フランス | 死者12人・負傷11人 | 射殺 |
パリ同時多発テロ事件 | 死者130人超・負傷300人超 | 射殺など | ||
サンバーナーディーノ銃乱射事件 | アメリカ合衆国 | 死者14人・負傷23人 | 射殺 | |
2016年ニーストラックテロ事件 | 2016年 | フランス | 死者84人・負傷数百人 | 射殺 |
オーランド銃乱射事件 | アメリカ合衆国 | 死者49人・負傷53人 | 射殺 | |
2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件[18] | 2017年 | 死者60人・負傷 867人 | 自殺 | |
エルパソ銃乱射事件 | 2019年 | アメリカ合衆国 |
死者23人・負傷者23人 |
逮捕 |
ナコンラチャシマ銃乱射立てこもり事件 | 2020年 | タイ | 死者29人・負傷58人 | 射殺 |
ロブ小学校銃乱射事件[19] | 2022年 | アメリカ合衆国 | 死者21人 | 射殺 |
ノーンブワラムプー銃乱射事件 | タイ | 死者36人・負傷者10人 | 自殺 |
日本の大量殺人事件
[編集]本一覧表に事件を追加される方へ:単に事件名などデータを追記するだけではなく、その事件を大量殺人(事件)と呼称する出典を必ず併記してください |
事件名 | 殺害人数 | 発生年 | 備考 |
---|---|---|---|
久米島守備隊住民虐殺事件(終戦後) | 10 | 1945年 | 8月15日以降も海軍兵とその妻子の3人、朝鮮人一家7人が日本海軍守備隊にスパイ容疑をかけられ殺害される[20][21]。 |
大阪府寝屋川町工場主一家6人殺害事件 | 6 | 住み込み従業員が一家を虐殺し家財を処分して逃亡。1948年に死刑執行。 | |
和歌山一家8人殺害事件 | 8 | 1946年 | 母親の死は兄嫁による虐待が原因と思い込んだ男が、兄一家を殺害。死刑判決が出たが後に恩赦され1968年に仮出獄。 |
福岡県中間町雑貨商一家6人殺害事件 | 6 | 博打で負けたために一張羅を取られた炭鉱夫が逆上して雑貨商一家をツルハシで虐殺。1948年に死刑執行。 | |
日光中宮祠事件 | 6 | 警察は旅館経営者一家が心中したとして処理したが、1955年になって実際は強盗放火事件であったことが判明。実行犯2人が死刑執行になったのは1974年のことであった。 | |
長野県市田村一家7人殺害事件 | 7 | 1946年5月10日、長野県下伊那郡市田村(現:高森町)で一家7人の殴殺死体が発見された[22]。犯行は前夜(5月9日夜)とされ、強盗目的の犯行とされたが、未解決のまま1961年5月に公訴時効を迎え迷宮入りした[23]。 | |
一勝地村農家6人殺害事件 | 6 | 1946年8月29日に熊本県球磨郡一勝地村(現:球磨村)で発生[24]。朝鮮半島へ引き揚げようとした朝鮮人3人による犯行[25]。 | |
大牟田市一家7人心中事件 | 6 | 10月8日、新聞社の営業部長(49)が家庭の悩みから妻子6人を日本刀で殺害し自殺。夫婦は正装姿で、子供の手には数珠が握らされており、取り乱した様子は無かった。[26] | |
山形県楯岡町兄一家8人殺害事件 | 8 | 1947年 | 2月9日、兄弟の不和により、弟が兄一家8人を殺害。犯行後首吊り自殺[27]。 |
北海道紋別町6人殺害事件 | 6 | 3月30日、精神に異常をきたしていた農業男性(33)が突然発狂し、妻子を斧で殺害。更に隣の部落で一家3人を含む4人を殺害した。留置場で首吊り自殺。[28] | |
千葉県滑川町一家7人殺害事件 | 7 | 公訴時効成立[29]。 | |
高田脳病院火災 | 8 | 11月27日発生。患者の共謀による放火[30]。 | |
福島県熱海町一家6人強盗殺人事件 | 6 | 強盗致傷事件で逮捕され、他に1件の殺人、2件の強盗致死への関与を認めた男が本件への関与も自供したが、その時には既に時効が成立していた。男は最終的に証拠が確実な1件の強盗致死罪等で起訴され、無期懲役の判決が言い渡された(上告棄却)[31]。 | |
帝銀事件 | 12 | 1948年 | 冤罪説がある毒殺事件。容疑者は犯行を否認したまま獄死。 |
長野県飯山町一家7人殺害事件 | 7 | 3月21日発生。[32] | |
北海道音江村一家8人殺害事件 | 8 | 3月31日、北海道空知郡音江村(現:深川市音江町)にて発生[33]。農家の男性(当時39歳)が、自宅から数 km離れた場所に住む一家8人(夫婦と子供6人)を斧で撲殺したとして強盗殺人罪に問われたが[34]、証拠不十分のため[35]、被告人の男性は1949年(昭和24年)6月22日に旭川地裁で無罪判決を言い渡された[36]。その後、旭川地検は判決を不服として札幌高裁に控訴したが、控訴審でも無罪が言い渡され、1952年8月に最高裁で上告が棄却されたため、被告人の無罪が確定した[37]。その後、警察は事件を再捜査しなかったため、同事件は未解決事件となった[38]。 | |
東京都大田区一家8人無理心中事件 | 6 | 4月9日、父親(47)が妻子と祖母ら7人を鉈で次々に襲って6人を殺害し、井戸で投身自殺。警察官であった長男が窃盗事件に関与して免職になったことにショックを受けての犯行とみられる。[39] | |
長崎市戦災孤児収容施設放火事件 | 7 | 1949年 | 1月17日、食堂から出火し、収容児7人が焼死。3年後に収容児による放火と判明[40]。 |
広島・社長一家7人無理心中事件 | 6 | 3月22日、銀行法違反で業務停止になったのを悲観した社長が妻子、実母、女中ら6人を殺害し自殺[41]。 | |
三鷹事件 | 6 | 国鉄三大ミステリー事件のひとつ。 | |
北海道拓殖銀行美深支店事件 | 6 | 1950年 | 4月2日、銀行住宅にいた支店長夫妻とその娘2人、支店長代理夫妻が殺害され支店事務室にあった現金約100万円を強奪。支店長の娘3人は別室にいて助かったが、犯人が特定できず未解決。 |
熊本県水上村一家7人無理心中事件 | 6 | 7月2日、借金を苦にした男(33)がラムネに青酸カリを混入させて家族6人がこれを飲む。一番下の娘のみ死にきれず電気コードで絞殺。自身も包丁で自殺を図ったが生き残った。[42][43] | |
黒山事件 | 6 | 1951年 | 大阪府南河内郡北八下村(現:堺市美原区)で発生した青物商一家放火殺人事件(未解決)。 |
青森県新和村一家7人殺害事件 | 7 | 1953年 | 青森県中津軽郡新和村(現:弘前市)にて、実家のリンゴ農家に味噌を盗みに入った男が、家にあった猟銃で父親一家7人を射殺[44]。その際に、銃口から出た火が布団に引火して実家が全焼し、長兄の子供1人が焼死(死者計8人)[44]。刑事裁判では「殺人行為におよんだ際は心神喪失状態だった」と認定され、住居侵入のみ有罪(懲役6月・執行猶予2年)となった[44]。 |
新潟県見附町一家7人無理心中事件 | 6 | 9月29日、農業の男性(40)が妻子7人を鍬で滅多打ちにし、井戸で投身自殺。子供5人は即死し、妻も間もなく死亡。作物の収量が平年の半分であることや、長女が病気で治療費がかかることなどを悲観しての犯行とみられた。[45] | |
福岡県豊津村一家8人殺害事件 | 8 | 1954年 | 福岡県京都郡豊津村(現:豊津町)で発生。家族11人が同棲していた理髪師の男に襲われ8人が死亡。犯人の男は2年後に死刑が確定。 |
徳宿村一家9人毒殺放火事件 | 9 | 1954年10月10日未明、茨城県鹿島郡徳宿村(現:鉾田市)で発生[46]。農業兼精米業を営む男性(当時42歳)宅から出火し、焼け跡から一家8人と女中1人の死体が発見された[46]。焼け跡から青酸性毒物の入った薬瓶が発見されたことなどから、犯人が被害者9人を毒殺した上で逃走したものと断定された[47]。犯人は前科8犯の印刷工の男(当時43歳)で、11月7日に栃木県の塩原温泉で逮捕されたが、その直後に青酸カリを服毒して自殺した[48]。 | |
仁保事件 | 6 | 著名な冤罪事件のひとつ。 | |
川崎市一家7人殺害事件 | 7 | 1957年 | 高校をノイローゼのため中退した男が家族を皆殺しに。検察は統合失調症と判断し不起訴処分にし精神病院に強制収容措置とした。 |
昭和郷アパート放火事件 | 8 | 東京都昭島市で発生。火災保険金目当てに自宅アパートに放火。類焼により大惨事に。 | |
北海道真狩村一家6人殺害事件 | 6 | 1959年 | 北海道虻田郡真狩村(後志総合振興局管内)で発生。農家で住み込みで働いていた男による犯行。1962年に無期懲役が確定。 |
岩槻一家7人殺害事件 | 7 | 家庭環境に疲れ果てた男が無理心中しようとして自宅に放火。1審では無期懲役であったが控訴審で死刑となり後に確定。 | |
佐藤病院火災 | 7 | 1962年 | 入院患者の少年(18)が放火[49]。 |
藤井精神病院火災 | 6 | 1969年 | 被害妄想の患者(46)が放火[50]。 |
島原酒造元一族殺害事件 | 6 | 1970年 | 祖父の遺言状を契機に自宅と酒造会社常務の地位を剥奪された男が、財産相続した叔母夫婦を猟銃で殺害。自身の家族4人も殺害して自殺[51]。 |
両毛病院火災 | 17 | 入院患者6名が病院から脱出するために放火したものとされる。複数人に懲役6年〜12年の実刑判決が確定[52][53]。 | |
美唄市窃盗・放火事件 | 10 | 1971年 | 1971年1月発生。美容師10人が焼死[54]。 |
西武高槻ショッピングセンター火災 | 6 | 1973年 | ガードマンが「勤務の荷重に耐えられなかった」と自供し、放火の疑いで逮捕された[55]。大坂地裁で求刑通り懲役12年判決。上告したが結果不明[56]。 |
三菱重工爆破事件 | 8 | 1974年 | 2名死刑、2名国際手配中。 |
池袋アパート放火事件 | 6 | 1975年 | 家賃免除で生活していた男が、大家に無賃で働かされていた事にむしゃくしゃしてアパートに放火。 |
高知・安芸連続射殺事件 | 6 | 統合失調症の病歴のある男が、近隣の住民を猟銃で無差別発砲。裁判では検察が心神耗弱状態であったとして無期懲役を求刑し、裁判所も無期を言い渡した。 | |
[57] | 沼津市雑居ビル放火事件15 | 1976年 | 居酒屋の従業員と支払いを巡って口論になり、腹いせに放火[58]。犯人には現住建造物等放火罪で懲役8年の判決が言い渡された(上告棄却)[59]。 |
熊本・義姉一家ら6人殺害事件 | 6 | 1977年 | 妻に出て行かれた男が妻をかくまっていると疑った義姉一家4人を殺害。自らも子供3人を抱え焼身自殺を図り、うち2人を焼死させて自身も死亡。 |
柏崎市一家8人無理心中事件 | 7 | 1978年 | 3月22日発生。自宅放火による無理心中。幼児4人を含む8人が焼死。[60] |
静岡・栃木県議一家9人無理心中事件 | 7 | 11月18日、栃木県議(57)と同長男(31)がマイクロバス内で妻子7人に睡眠薬を飲ませた上で絞殺し、焼身自殺。一家は3年前の県議選で大規模な買収を行って妻が逮捕され、更に事業の失敗で約7億円の負債を抱えていた。16日には不渡り手形を出して取引停止になっており、これが引き金とみられる。[61] | |
熊野一族7人殺害事件 | 7 | 1980年 | ノイローゼの男が親族会議の場を斧や猟銃で襲撃。篭城後自殺した。 |
新宿西口バス放火殺人事件 | 6 | 路上生活をしていた建設作業員が通行人に腹を立てたため、バスに放火して6人を殺害した。神経衰弱のため無期懲役が確定し、千葉刑務所で首吊り自殺をした。 | |
夕張保険金殺人事件 | 6 | 1984年 | 首謀者の暴力団組長夫婦が実行犯(自首が認定され死刑求刑に対し無期懲役判決)に放火を指示して犯行に及んだ。主犯夫婦は死刑判決を受け控訴するも、昭和天皇の崩御による恩赦減刑を期待し自ら取り下げ確定。しかしその期待に反して恩赦は行われず、1997年に戦後初めて夫婦2人ともに対して死刑執行された。 |
三島ビル火災 | 8 | 無職青年による放火で8人が死亡、13人が負傷[62]。 | |
長崎屋火災 | 15 | 1990年 | 放火として捜査されたが、既に時効が成立している。 |
北九州市6人死亡放火事件 | 6 | 1994年 | 放火により、2家族6人が焼死。男子中学生(15)が自白し現住建造物等放火で逮捕されたが、証拠が乏しいこと、自白が信用できないこと、秘密の暴露がないことなどから、放火については福岡家裁の審判で不処分(無罪)となった[63]。公訴時効成立。 |
松本サリン事件 | 7 | 長野県松本市でオウム真理教により引き起こされた神経ガスのサリンによるテロ事件。 | |
海老名市建設作業員寄宿舎火災 | 8 | 盗みの疑いで逮捕されていた無職少年(15)が放火を自白[64]。 | |
地下鉄サリン事件 | 12 | 1995年 | 東京都の地下鉄で発生したオウム真理教による神経ガスのサリンによる同時多発テロ事件。 |
横浜・麻雀店放火殺人事件 | 6 | 1999年 | 麻雀店の経営者と店長が喧嘩し、店長が放火したため経営者と客ら6人が死亡し自身も焼死した。 |
宇都宮宝石店放火殺人事件 | 6 | 2000年 | ギャンブルによる多額の借金を抱え返済に行き詰っていた男が貴金属類を奪い従業員らを焼殺した。 |
附属池田小事件 | 8 | 2001年 | 小学校で発生した刃物による無差別殺傷事件。犯人はその他多くの傷害事件を日常的に起こしていた。 |
歌舞伎町ビル火災 | 44 | 日本で発生した火災としては戦後5番目の被害であり、多くの死傷者を出した原因は、ビル内の避難通路の確保が不十分であったためとされる。出火原因は放火とみられているが、2024年現在も未確定である。 | |
加古川7人殺害事件 | 7 | 2004年 | 近隣に住む親類らに恨みを抱いていた男が親類の2家族7人を殺害し、1人に重傷を負わせた。 |
知多市一家6人心中殺人事件 | 6 | 2005年 | 生き残った兄が5人の殺人と弟に対する嘱託殺人で起訴され、検察は情状酌量の余地があるとして無期懲役を求刑、裁判所は無期懲役を言渡した。 |
秋葉原通り魔事件 | 7 | 2008年 | 電子掲示板荒らしに対する抗議の表明として元自動車工場派遣社員が東京・秋葉原の繁華街にトラックで突っ込み、通行人らをナイフで殺傷した。2015年に死刑判決が下され、2022年に死刑が執行された。 |
大阪個室ビデオ店放火殺人事件 | 16 | 会社をリストラされた男が「生きていくのが嫌になった」として大阪・難波の雑居ビル1階の個室ビデオ店に放火し16人を殺害。2014年に死刑が確定するも、2022年時点で再審請求中。 | |
川崎市簡易宿泊所火災 | 11 | 2015年 | 報告書において放火であると結論付けられた。 |
熊谷連続殺人事件 | 6 | ペルー史上最悪の大量殺人鬼を兄に持つペルー人の男が熊谷市内の住宅街で次々と住宅に侵入し住民6人を殺害した。一審は死刑だったが二審では心神耗弱により無期懲役となり、2020年に確定した。 | |
相模原障害者施設殺傷事件[65] | 19 | 2016年 | 知的障害者福祉施設に元施設職員の男が侵入し、入所者19人を刺殺した。 |
北九州市簡易宿泊所放火事件 | 6 | 2017年 | 未解決。2022年に出火原因を放火と断定[66]。 |
日立妻子6人殺害事件 | 6 | 茨城県日立市で父親が妻子6人を殺害し、自宅に放火した。 | |
座間9人殺害事件 | 9 | 神奈川県座間市のアパートの一室で、SNSで知り合った9人の女性を殺害・解体。 | |
高千穂6人殺害事件 | 6 | 2018年 | 宮崎県西臼杵郡高千穂町の民家にて小学生の子供含む一家5人と知人男性の計6人の遺体が発見。犯人の次男は橋から飛び降り自殺。 |
京都アニメーション放火殺人事件 | 36 | 2019年 | 京都府京都市伏見区の京都アニメーション第1スタジオに男が侵入し、ガソリンを撒き放火した。 |
大阪北新地ビル放火殺人事件 | 26 | 2021年 | 大阪府大阪市北区の堂島北ビルで、男がガソリンを撒いて放火した。容疑者の男も重体で病院に搬送されるが後に死亡した。 |
関連書籍
[編集]- 大量殺人者(タイム・ライフ編、北代晋一訳、同朋舎出版、1994年)ISBN 4810420981
- 快楽殺人の心理 : FBI心理分析官のノートより(ロバート・K.レスラーほか著、狩野秀之訳、講談社、1995年)ISBN 4062073714、ISBN 4062562715(文庫版)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 越智 2013, p. 27.
- ^ 村野薫 2002, p. 3.
- ^ 影山 2010, p. 163.
- ^ 影山 2010, p. 164.
- ^ 影山 2010, pp. 164–165.
- ^ 影山 2010, p. 165.
- ^ a b c 越智 & 木戸 2010, p. 114.
- ^ “Serial Murder - Federal Bureau of Investigation”. Fbi.gov. 2009年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月25日閲覧。
- ^ 越智 2013, pp. 27–28.
- ^ 越智 2013, p. 28.
- ^ 越智 2013, pp. 31–32.
- ^ 越智 2013, pp. 33–34.
- ^ 越智 2013, p. 34.
- ^ Walsh, Anthony (2009). Race and Crime: A Biosocial Analysis. Nova Science Publishers. ISBN 9781604566895
- ^ C・R・バートル, A・M・バートル 著、羽生和紀 訳『犯罪心理学 行動科学のアプローチ』北大路書房、2006年。ISBN 4762824798。
- ^ 法務省法務総合研究所『無差別殺傷事犯に関する研究』(レポート)、2013年。
- ^ 毎日新聞社メディア編成本部 1991, p. 196.
- ^ 「FBI、ラスベガス銃乱射の捜査終了 動機は特定されず」『CNN』ワーナー・メディア・ニュース・スポーツ、2019年1月30日。オリジナルの2020年2月16日時点におけるアーカイブ。2020年2月16日閲覧。「そうした気質が今回の大量殺人に…」
- ^ “米テキサスの小学校乱射事件 その日、何が起きたのか”. BBC (2022年5月26日). 2022年5月26日閲覧。
- ^ 久米島町(旧具志川村・仲里村)における戦災の状況(沖縄県)
- ^ 久米島で住民20人〝処刑〟 スパイ容疑が招いた惨劇 1972(昭和47)年・〝沖縄のソンミ事件〟報道〈サンデー毎日〉 | 週刊エコノミスト Online
- ^ 村野薫 2002, p. 72.
- ^ 村野薫 2002, pp. 72–73.
- ^ 村野薫 2002, p. 93-95.
- ^ 村野薫 2002, p. 95.
- ^ 親子7人心中 家庭の悩みから『朝日新聞』昭和21年(1946年)10月10日、2頁
- ^ 山形放送株式会社, 山形県大百科事典事務局 編『山形県大百科事典 [本編]』597頁 山形放送 1983年
- ^ 紋別市史編さん委員会 編『新紋別市史 下巻』1071頁 紋別市 1983年
- ^ 下総の七人殺し時効『毎日新聞』昭和37年(1962年)5月5日朝刊千葉版
- ^ 『新潟県総合年表 昭和20年-昭和45年』53頁 新潟日報社 1973年
- ^ 福島県警察本部 編『福島県犯罪史 第6巻』97-132頁 福島県警察本部 1991年
- ^ 『長野県政史 第3巻』491頁 長野県 1973年
- ^ 斎藤充功 2014, p. 104.
- ^ 斎藤充功 2014, pp. 105–106.
- ^ 斎藤充功 2014, p. 108.
- ^ 斎藤充功 2014, p. 103.
- ^ 斎藤充功 2014, p. 109.
- ^ 斎藤充功 2014, pp. 109–110.
- ^ 赤塚行雄 編『青少年非行・犯罪史資料 1』99頁 刊々堂出版社 1982年
- ^ 長崎県議会史編纂委員会 編『長崎県議会史 第6巻』265頁 長崎県議会 1977年
- ^ 『りべらる 9(13)』36頁 白羊書房 1954年
- ^ 『管内実態調査書 [第5] (城南篇)』619頁 熊本県警察本部警務部教養課 1962年
- ^ 熊本県警察史編さん委員会 編『熊本県警察史 第3巻 (昭和後期編)』1440頁 熊本県警察本部 1986年
- ^ a b c 最高裁判所事務総局判例調査会『高等裁判所刑事判例集』第11巻第4号、最高裁判所事務総局、1958年、169-187頁。 - 青森県新和村一家7人殺害事件の被告人に対し宣告された仙台高等裁判所秋田支部判決(1958年3月26日)および、その原判決(青森地方裁判所弘前支部:4月5日宣告)を収録。
- ^ 磯村英一 著『心中考 (ミリオン・ブックス)』159頁 講談社 1959年
- ^ a b 斎藤充功 2014, p. 79.
- ^ 斎藤充功 2014, pp. 79–80.
- ^ 斎藤充功 2014, p. 83.
- ^ 東京消防行政研究会 編『火災の実態から見た危険性の分析と評価 : 特異火災事例112 2訂版』142-146頁 全国加除法令出版 1983年
- ^ 東京消防行政研究会 編『火災の実態から見た危険性の分析と評価 : 特異火災事例112 2訂版』375-379頁 全国加除法令出版 1983年
- ^ 遺産数億円 骨肉の憎悪 キリシタンの町 島原の射殺事件 猟銃を車に次々と犯行『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月2日朝刊 12版 15面
- ^ "特異火災事例 両毛病院" 消防防災博物館 一般財団法人 消防防災科学センター
- ^ 宇都宮地方裁判所足利支部 昭和45年(わ)89号 判決
- ^ 北海道警察のあゆみ
- ^ 『大阪府年鑑 昭和49年版』75頁 新大阪新聞社 1974年
- ^ 新潮社 編『週刊新潮 27(9)(1345);1982・3・4』30頁 新潮社 1982年
- ^ "特異火災事例 三沢ビル(らくらく酒場)" 消防防災博物館 一般財団法人 消防防災科学センター
- ^ 静岡新聞社 編『静岡年鑑 昭和52年度版 本編』56頁 静岡新聞社 1977年
- ^ 静岡新聞社 編『静岡年鑑 昭和57年度版 本冊』152頁 静岡新聞社 1982年
- ^ 『新潟県年鑑 1979年版』142頁 新潟日報社 1978年
- ^ 前坂俊之 著『日本犯罪図鑑 : 犯罪とは何か (犯罪ドキュメントシリーズ)』165頁 東京法経学院出版 1985年
- ^ 『時事年鑑 1986』時事通信社 1986年
- ^ 6人焼死事件 中3少年の放火は「無罪」 長時間聴取で自白も/福岡家裁審判『読売新聞』平成7年(1995年)2月11日東京朝刊31頁
- ^ 『平凡社百科年鑑』平凡社 1996年
- ^ 曽田晋太郎「<傍聴記>「皆さまにおわび」誰に 相模原事件・地裁初公判」『東京新聞』中日新聞社、2020年1月9日、朝刊。オリジナルの2020年2月16日時点におけるアーカイブ。2020年2月16日閲覧。「優生思想を背景とした戦後類を見ない大量殺人事件」
- ^ “6人死亡のアパート火災を放火と断定 発生から5年、福岡県警”. 朝日新聞. 2023年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月25日閲覧。
参考文献
[編集]- 毎日新聞社メディア編成本部「殺人 > 大量殺人事件」『毎日新聞戦後の重大事件早見表』(改訂新版)毎日新聞社、1991年6月10日(原著1987年5月10日)、196-207頁。ISBN 978-4620307947。 NCID BN06312555。国立国会図書館書誌ID:000002362473・全国書誌番号:95008094。
- 村野薫『日本の大量殺人総覧』新潮社、2002年12月20日。ISBN 978-4104552153。 NCID BA61864222。
- 越智啓太; 木戸麻由美「大量殺傷犯人の属性と犯行パターン(1)日本における大量殺傷事件の類型」(pdf)『法政大学文学部紀要』第62巻、法政大学文学部、2010年 。
- 影山任佐『犯罪精神病理学 : 実践と展開』金剛出版、2010年8月。ISBN 978-4-7724-1154-7。 NCID BB03242415。
- 越智啓太『ケースで学ぶ犯罪心理学』(初)北大路書房、2013年9月20日。ISBN 978-4-7628-2815-7。
- 斎藤充功 著、中園努(編集人) 編『ザ・歴史ノンフィクション 戦後日本の大量猟奇殺人 教科書には載せられない悪魔の事件簿 その”黒い霧”に隠されたタブーの正体』41号(初版第1刷発行)、ミリオン出版(発行所)・大洋図書(発売元)〈X-BOOK ミリオンムック〉、2014年12月10日。ISBN 978-4813071419。