Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

コンテンツにスキップ

分子イオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
硝酸イオンの電位マップ。赤色の領域は、黄色の領域よりも電子密度が小さい。

分子イオン(ぶんしイオン、: molecular ion)または多原子イオン(polyatomic ion) は、共有結合または錯体を作る2つまたはそれより多くの原子から構成されるイオンである。酸塩基化学においては単一の構造として働き、塩(えん)を形成する。かつては、必ずしも電荷を持たず、不対電子を持つラジカルの意味でも用いられていた。

例えば、水酸化物イオンは、1つの酸素原子と1つの水素原子から構成されており、OH-と表わされ、-1の電荷を持つ。アンモニウムイオンは、1つの窒素原子と4つの水素原子から構成され、NH4+の化学式を持ち、電荷は+1である。

分子イオンは、しばしば中性分子の共役酸または共役塩基と考えられる。例えば、硫酸イオンSO42-は、SO3+H2Oに分解されるH2SO4に由来する。

命名

[編集]

分子イオンの命名には、2つの規則がある。1つ目は、biという接頭辞が付けられると、化学式に水素が1つ加わり、電荷が1増加する。biの代わりにhydrogenという言葉が用いられる場合もある。H+CO32-から構成されるHCO3-は、bicarbonateまたはhydrogen carbonateと呼ばれる。

多くの分子イオンは、非金属元素酸化物由来の酸の共役塩基である。例えば、SO42-は、H2SO4に由来する。

2つ目の規則は、イオンの酸素原子の数に着目したものである。塩素オキソアニオンを例にとると、以下のようになる。

酸化数 −1 +1 +3 +5 +7
陰イオン名 塩化物イオン 次亜塩素酸イオン 亜塩素酸イオン 塩素酸イオン 過塩素酸イオン
化学式
構造 The chloride ion The hypochlorite ion The chlorite ion The chlorate ion The perchlorate ion

まず、基本となる名前は、-ateという語尾を持つ。1つ酸素が付加されると、perという接頭辞が付けられる。酸素が1つ減ると-ateの語尾が-iteに変わり、もう1つ減ると-iteの語尾はそのままでhypoという接頭辞が付けられる。これら全ての場合において、電荷は影響を受けない。

以上の規則は、全ての分子イオンに適用はできないが、ほとんどの場合(硫酸イオン、リン酸イオン硝酸イオン塩素酸イオン)に適用可能である。

分子イオンの例

[編集]

以下の表は、分子イオンの例である。

陰イオン
酢酸イオン
アセチリド
安息香酸イオン
炭酸水素イオン
炭酸イオン
シアン化イオン
水酸化物イオン
過酸化物イオン
超酸化物イオン
硝酸イオン
リン酸イオン
硫酸イオン
陽イオン
アンモニウムイオン
ホスホニウムイオン
オキソニウムイオン
フルオロニウムイオン
水銀イオン
トロピリウムイオン

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]