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佐藤勝彦 (物理学者)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
佐藤 勝彦
文化功労者顕彰に際して公表された肖像写真
生誕 (1945-08-30) 1945年8月30日(79歳)
日本の旗 日本 香川県坂出市
研究分野 宇宙物理学
研究機関 京都大学
北欧理論物理学研究所
東京大学
数物連携宇宙研究機構
自然科学研究機構
明星大学
出身校 京都大学
博士課程
指導教員
林忠四郎[1]
博士課程
指導学生
戸谷友則[2]
主な業績 インフレーション宇宙論の提唱
主な受賞歴 井上学術賞受賞(1989年
仁科記念賞受賞(1990年
紫綬褒章受章(2002年
日本学士院賞受賞(2010年
瑞宝重光章受章(2018年
プロジェクト:人物伝
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佐藤 勝彦(さとう かつひこ、1945年8月30日[3] - )は、日本宇宙物理学者。専門は宇宙論インフレーション宇宙論の提唱者として知られる。東京大学名誉教授、大学共同利用機関法人自然科学研究機構長、明星大学理工学部客員教授。日本学士院会員。2017年お茶の水女子大学学長特別招聘教授

香川県坂出市出身。京都大学理学部物理学科および大学院理学研究科物理学第2専攻天体核物理学研究室で林忠四郎に師事した[1][4]

略歴

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業績

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指数関数的膨張モデル

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日本側の見解の一例
インフレーション宇宙論に関しては、たとえばJAXA宇宙情報センターは次のように記述している。「佐藤勝彦がインフレーション理論を発表したのは1981年である。佐藤とほぼ同時期にアラン・ハーヴェイ・グースも同じくインフレーション理論を発表しているが、論文の発表は佐藤のほうが先である」[18]
指数関数的膨張モデルとインフレーション
ただし、事実関係として優先順位を知りたいというなら以下のいくつかの文章が助けになるであろう。「インフレーション」という用語を初めて使用したのはA.グースである[14]。佐藤は初め「指数関数的膨張モデル」という用語を用いていた。「私は当初、このモデルを『指数関数的膨張モデル』と呼びました。しかし、私の半年後に同様のモデルを発表したアメリカの宇宙物理学者グースが『インフレーション宇宙モデル』という巧みな名前をつけました。そのために現在ではインフレーション理論という名前で呼ばれています」[19]

人物

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京都大学大学院時代において、無給の助手として4年間に渡り研究を行う。博士号取得は「超新星爆発におけるニュートリノによるエネルギー輸送」に関する研究の論文による。博士号授与後、精密な計算手法を確立。何編もの論文を書き、これによって京都大学助手に就任した。その後、助手時代に書いた論文が認められ、北欧理論物理学研究所に赴任。ここで、一般相対性理論と量子力学の融合の研究を行う。この時に提唱したのが、現在は「インフレーション宇宙論」として知られる論文である。帰国後、京都大学から東京大学に移り理学系研究科にて研究を行う。

「初期宇宙の探求」では、マグナム望遠鏡富士山頂サブミリ波望遠鏡などの建設に際して調印などの式典に参加。「極限対称系」では、超弦理論超対称性理論の研究を行う研究者の招請などを行う。また自然科学研究機構の機構長として、アルマ望遠鏡の国際共同運用についての署名を行った[20][21][22]。現在は、学内では数物連携宇宙研究機構において、主任研究員を兼務している。主な研究テーマは数学から物理学へのアプローチなど。

2002年10月8日、佐藤はスウェーデン王立科学アカデミーから小柴研究室に小柴昌俊東大教授が今年のノーベル物理学賞を受賞したことを知らせる電話を受けた最初の人物だった。 佐藤と戸塚洋二はその夜の小柴の記者会見に一緒に出席することにした。 佐藤は記者会見で小柴の左側に座った[23]

その他

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著書

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単著

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  • 新しい宇宙の探究(岩波書店 1990年)
  • ビッグバン理論からインフレーション宇宙へ(徳間書店 1991年)
  • 壷の中の宇宙(二見書房 1991年)
  • 宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった(同文書院 1991年)
  • 現代の宇宙像・宇宙はいかに誕生したか?(培風館 1991年)
  • 相対性理論(岩波書店 1996年)
  • 宇宙96%の謎 最新宇宙学が描く宇宙の本当の姿(実業之日本社 2003年)
  • 図解 相対性理論がみるみるわかる本 (PHP研究所 2003年)
  • アインシュタインの考えた宇宙 進化する相対性理論と最新宇宙学(実業之日本社 2005年)[注 1]
  • 宇宙論入門-誕生から未来へ(岩波書店 2008年)
  • 眠れなくなる宇宙のはなし(宝島社 2008年)
  • アインシュタインの宇宙 最新宇宙学と謎の「宇宙項」(角川学芸出版 2009年)
  • インフレーション宇宙論―ビッグバンの前に何が起こったのか (ブルーバックス 2010年)
  • ますます眠れなくなる宇宙のはなし~「地球外生命」は存在するのか (宝島社 2011年)
  • 気が遠くなる未来の宇宙のはなし(宝島社 2013年)
  • 宇宙は無数にあるのか (集英社 2013年)

共著

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訳書

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監修書

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  • マンガ宇宙論入門
  • マンガ難解宇宙論入門(二見書房)
  • 天才バカボンパパ最新宇宙論探検(同文書院 1991年)
  • 「相対性理論」を楽しむ本(PHP研究所 1998年12月)ISBN 4569572162
  • 最新素粒子論(ナツメ社 1997年)
  • 最新宇宙論と天文学を楽しむ本(PHP研究所 1999年11月)ISBN 4569572995
  • 「量子論」を楽しむ本(PHP研究所 2000年4月)ISBN 4569573908
  • 最新量子論(ナツメ社 2000年)
  • 大宇宙・七つの不思議(PHP研究所 2005年4月)ISBN 4569663664
  • 宇宙論I 第2版: 宇宙のはじまり (シリーズ現代の天文学第2巻)(日本評論社 2012年6月)ISBN 4535607397
  • Newton別冊『ゼロからわかる相対性理論』(ニュートンプレス 2019年1月)ISBN 978-4315521436

テレビ出演番組

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脚注

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注釈

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  1. ^ 筆者が多忙な時期に重なったため、実業之日本社の編集者が黒板などに板書した説明などを元に編集した書籍。

出典

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  1. ^ a b c 天体核研究室卒業生一覧”. 京都大学大学院 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 物理学第二分野 天体核研究室. 2015年10月20日閲覧。
  2. ^ a b c 戸谷友則公式サイト”. 東京大学 大学院理学系研究科 天文学専攻 理論宇宙物理・宇宙論研究グループ. 2015年10月20日閲覧。
  3. ^ こども未来館について|高松市こども未来館”. 2022年9月2日閲覧。
  4. ^ a b c d 日本の天文学者の系図”. 2015年10月20日閲覧。
  5. ^ a b c 佐藤 勝彦 - Webcat Plus”. webcatplus.nii.ac.jp. 2022年3月2日閲覧。
  6. ^ a b c 天体望遠鏡博物館 公式ホームページ”. www.telescope-museum.com. 2022年3月2日閲覧。
  7. ^ 恩賜賞・日本学士院賞・日本学士院エジンバラ公賞授賞一覧 第91回 (平成13年) ~第100回 (平成22年)|日本学士院”. 2022年9月2日閲覧。
  8. ^ 学術分科会 委員名簿 平成25年2月21日現在文部科学省
  9. ^ 日本学士院新会員の選定について|日本学士院”. 2022年9月2日閲覧。
  10. ^ “文化勲章にノーベル賞の天野さん・中村さんら7人”. 朝日新聞デジタル. (2014年10月24日). オリジナルの2015年9月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150924094330/http://www.asahi.com/articles/ASGBQ46FTGBQUCVL001.html 2022年5月3日閲覧。 
  11. ^ 「学術分科会 委員名簿 平成27年4月1日現在 平成27年3月10日~平成29年2月14日」
  12. ^ 秋の叙勲4079人 桐花大綬章に今井敬氏 五木ひろしさんらも”. 日本経済新聞 (2018年11月3日). 2023年1月23日閲覧。
  13. ^ Sato, K. (1981). “First-order phase transition of a vacuum and the expansion of the Universe”. Monthly Notices of Royal Astronomical Society 195 (3): 467. Bibcode1981MNRAS.195..467S. doi:10.1093/mnras/195.3.467. 
  14. ^ a b Guth, A. H. (1981). “The Inflatsonary Universe: A Possible Solution to the Horizon and Flatness Problems”. Phys. Rev. D 23 (2): 347. Bibcode1981PhRvD..23..347G. doi:10.1103/PhysRevD.23.347. 
  15. ^ “10-35 seconds after the Big Bang”, SLAC seminar, (23rd January, 1980)  see Guth (1997), pg 186
  16. ^ Starobinsky, A. A. (1979). “Spectrum Of Relict Gravitational Radiation And The Early State Of The Universe”. JETP Lett. 30: 682. ; Pisma Zh. Eksp. Teor. Fiz. 30: 719. (1979). 
  17. ^ Starobinsky, Alexei A. (1980). “A new type of isotropic cosmological models without singularity”. Phys. Lett. B91: 99–102. 
  18. ^ 佐藤勝彦”. JAXA, 宇宙情報センター. 2015年10月20日閲覧。
  19. ^ 佐藤勝彦著『相対性理論から100年でわかったこと』(PHP研究所 (2010/9/18) ISBN 978-4569774824)203ページ
  20. ^ 自然科学研究機構と韓国天文宇宙科学研究院、アルマ望遠鏡に関する協定書に署名”. 国立天文台. 2016年5月26日閲覧。
  21. ^ 国立天文台と台湾中央研究院天文及天文物理研究所、アルマ望遠鏡に関する協定書に署名”. 国立天文台. 2016年5月26日閲覧。
  22. ^ アルマ望遠鏡運用に関する三者協定書に署名”. 国立天文台. 2016年5月26日閲覧。
  23. ^ Nobel Prize laureate remembered for groundbreaking research on neutrinos
  24. ^ "SWITCHインタビュー 達人達「千住博×佐藤勝彦」". NHK. 2021年2月4日. 2021年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月6日閲覧

外部リンク

[編集]
先代
米沢富美子
日本物理学会会長
第53代:1997年 - 1998年
次代
興地斐男
先代
和達三樹
日本物理学会会長
第61代:2005年 - 2006年
次代
坂東昌子
先代
志村令郎
自然科学研究機構機構長
2010年 - 2016年
次代
小森彰夫
先代
鈴木厚人
文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会長代理
2013年 - 2015年
次代
羽入佐和子
先代
平野眞一
文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会長
2015年 - 2017年
次代
西尾章治郎