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資格

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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(しかく、: certification)とは、ある行為を行うために必要もしくは相応しいとされる地位や立場[1]や、組織内での地位、または仕事として任務に就くために必要な条件のことである[2][3]

以下、大きく社会制度における側面その他の側面に分けて解説する。

社会制度上の資格

日本における社会制度上の資格の概要

日本における公的資格制度は、「国民の権利と安全や衛生の確保、取引の適正化、資格者のモラル向上等のため、厳格な法的規律に服する資格者が存在し安心できるサービスを国民に提供すること」を目的として、「国民の権利と安全や衛生の確保、取引の適正化等のために設けられてきた」とされる[4]。しかし、学校教育と深く関連付けられていたり、国家の統一的な基準により整備されていたりするわけでもないため、対象領域・種類や等級・取得ルートの各側面において極めて多様性の高い様相を呈しており、その役割を説明することは容易ではない[5]

日本における資格は、国家資格公的資格民間資格などに分類される[6]

国家資格

日本における国家資格とは、国の制度に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事しうることを証明するものである[7]。また、政策科学研究所 2004, pp. 132–133は、「資格の制度に法的な裏付けが存在し、根拠法に資格付与方法・資格付与基準についての明確な記述があり、中央省庁または都道府県レベルの地方自治体が所管する資格」が該当すると定義している[注釈 1]

国家資格は、慣例的に業務独占資格必置資格名称独占資格の3類型に分類される[8]

資格によっては年齢、学歴、実務経験等による制限が課されることもある。

なお、試験の運営や免許・資格証の発行等の事務的事項は、法に基づきその実施を義務付けられた(または権限を委託された)地方公共団体や民間団体などが所管することもあるが、それにより国家資格でなくなるということはない。

資格の付与についての法律上の用語は一定しておらず、「免許」「許可」などの用語が使用されるが、行政法学上は「許可」「公証」などに該当する[要出典]

特別教育や技能講習を受けることにより、資格が取得できるものもある。機械装置などの運転や特定の作業に関するものが多い。

業務独占資格

業務独占資格とは、その資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を、独占的に行うことができる資格をいう。

一部は行政法学上の「許可」に該当し、一般人には禁止されている行為を特に行うことが許されるものがある(建築士薬剤師)。また、業として行うことのみが禁止されている行為を許されるものもある(医師弁護士など)。

名称独占資格

資格取得者以外の者にその資格の呼称の利用が日本の法令で禁止されている資格。業務独占資格は名称独占資格でもあることが多いが、単に名称独占資格と言った場合には業務独占性のないものを指す。

必置資格

ある事業を行う際に、その企業や事業所にて特定の資格保持者を必ず置かなければならないと日本の法律で定められている資格。業務独占資格が必置資格としての性質を併せ持つ場合もある。

試験・検定

国家資格は、狭義では上記の業務独占、名称独占、必置のいずれかの性質もしくは複数の性質に当てはまるものを指すが、広義では何らの独占権も与えられない試験、検定を含める場合がある[要出典]

公的資格

公的資格の意義については、確立された定義は存在しない[注釈 5]が、「国家資格と民間資格の中間的なもの」「試験は民間団体や公益法人が行うが、資格は官公庁から発行されるもの」などと定義されることがある[6]

民間資格

民間資格とは、民間団体等が自由に設定できる資格をいう。当該分野において一定の水準に達していることを証明することができる場合もあるが、必ずしも就労のため必要となるものではない[6]

級別に水準を示す検定とするものもある。法令で規定されたものではないため、業界によっては一定の能力担保がされていると認知されている資格から、「資格商法」で与えられるような社会的な評価が低いもの、企業が自社の活動のために従業員に対して付与するだけで社外では通用しない社内資格(内部資格)まで存在する。

資格に関する詐欺的商法

資格取得のための教材等販売に関して、強引な手法や虚偽のセールストークが用いられたりすることがあり、悪質商法の被害が激増しているため、注意が呼びかけられている[15]

日本における主な資格

各国における資格

ドイツにおいては、職業資格の取得は学校教育と高度に結びついている[5]

イギリスにおいては、職業資格の制度は国家による統一的な基準に基づいて整備されている[5]

ふさわしさとしての資格

「資格」の語が慣用句として用いられる場合には、親ないし保護者としての責任を果たさない人物に「親の資格がない」と言ったり、およそ説得力ない発言をする人に「あなたに(それを)言う資格はない」などと言ったりするように、個人や組織の言動に伴う説得力や責任能力を正す場合に用いられることが多い[注釈 19]が、本来は一定の基準・条件などを明確に満たしていること(例えば在留資格など)を表す言葉である(そのため、前述の例の「言う資格はない」というのは詳しくないこと等を理由に実質「発言をするな」という意味であるが、資格という言葉の本来の意味からすればあくまで「詳しくないこと等を指摘しただけ」となる。なのでこの場合、実質免許のような意味合い(本来は禁止されているが条件を満たしていることで許可されている)で使用されてしまっていることになる)。

脚注

注釈

  1. ^ 公衆電気通信法に基づく公衆電気通信設備工事担任者・国際公衆電気通信設備工事担任者資格は、「資格の制度に法的な裏付けが存在し、根拠法に資格付与方法・資格付与基準についての明確な記述がある」という点では国家資格としての要件を満たしていたものの、資格を所管するのは日本電信電話公社あるいは国際電信電話株式会社であったため、「資格を所管する団体」という点では国家資格の要件を満たしていなかった。
  2. ^ ここでは例として登録免許税額三万円以上で「士」または「師」の含まれるものを挙げる。
  3. ^ ここでは例として業務独占性のない名称独占資格で「士」または「師」の含まれるものを挙げる。
  4. ^ ここでは例として業務独占性のない必置資格で「士」または「師」の含まれるものを挙げる。
  5. ^ 国の機関が明文化している定義としては、教育訓練給付金の対象となる教育訓練講座の要件を定める厚生労働省通達において「公的資格とは、国家資格又は地方公共団体によって認定されている資格をいう」と定めるものがあるが[14]、同通達はあくまで同制度の運用に関するものであり、「公的資格」の一般的な定義ないし範囲を確定しまたは拘束するものではない。
  6. ^ ここでは例として疑義のない公的資格をあげる(何らかの公的性質を帯びていたとしても、民間資格はここでは扱わない)。
  7. ^ 食品衛生法施行条例
  8. ^ ふぐ条例など(都道府県により異なる)
  9. ^ 火災予防条例(東京都のみ)
  10. ^ 火災予防条例(東京都のみ)
  11. ^ 農薬適正使用条例など(都道府県により異なる)
  12. ^ 火災予防条例(東京都のみ)
  13. ^ 地震対策条例など(都道府県により異なる)
  14. ^ 下水道条例など(都道府県・市町村により異なる)
  15. ^ 環境確保条例(東京都のみ)
  16. ^ 災害対策条例など(都道府県により異なる)
  17. ^ 災害対策条例など(都道府県・市町村により異なる)
  18. ^ 子ども条例など(都道府県・市町村により異なる)
  19. ^ 用例については松村明前掲書(三省堂、2006年)1074頁および新村出前掲書岩波書店、2011年)1199頁等を参照のこと。

出典

  1. ^ 大辞林 第三版』(三省堂、2006年)1074頁および『広辞苑 第六版』(岩波書店2011年)1199頁参照。
  2. ^ 『新明解国語辞典 第四版』(三省堂、1994年) ISBN 4-385-13142-2
  3. ^ 精選版 日本国語大辞典、デジタル大辞泉「資格https://kotobank.jp/word/%E8%B3%87%E6%A0%BCコトバンクより2021年12月23日閲覧 
  4. ^ 行政改革推進本部 規制改革委員会 (2000年). “規制改革についての見解 15 公的資格制度”. 2021年12月27日閲覧。
  5. ^ a b c 阿形健司 2010, p. 20.
  6. ^ a b c 長野県松本盲学校理療教育部. “資格の豆知識”. 2021年12月27日閲覧。
  7. ^ 国家資格の概要について”. 文部科学省. 2021年12月23日閲覧。
  8. ^ 阿形健司 2010, p. 21.
  9. ^ 情報処理の促進に関する法律
  10. ^ a b 労働安全衛生法第9章第2節
  11. ^ 土地区画整理法施行令
  12. ^ 中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則
  13. ^ 土地改良法施行規則
  14. ^ 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて(昭和38年4月1日社保第34号)”. 問70に対する答: 厚生労働省. 2021年12月7日閲覧。。あくまで生活保護法による保護の実施要領について(昭和38年4月1日社発第246号)”. 2021年12月7日閲覧。の解釈に限って述べるものである点は留意が必要である。
  15. ^ 全国大学生協連. “悪徳商法に気をつけよう”. 2021年12月27日閲覧。

参考文献

論文

  • 阿形健司「職業資格の効用をどう捉えるか」(pdf)『日本労働研究雑誌』第52巻第1号、2010年1月、20-27頁、NAID 40016947108 
  • 河野志穂(著)、佐賀大学教育開発センター(編)「大学における資格・検定取得支援の現状と背景 ―経済・経営・商学系私立大学案内に見る資格検定講座の設置状況」(pdf)『大学教育年報』第4巻、佐賀大学、2008年、37-56頁、NAID 110006622768 

調査報告書

関連項目

個別記事

一覧系記事