令和2年7月豪雨
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球磨村にある特別養護老人ホーム「千寿園」前で黙祷する安倍総理ら(7月13日) | |
発災日時 |
2020年7月3日 - [1] |
---|---|
被災地域 | 熊本県、福岡県、鹿児島県、大分県、佐賀県、長崎県、岐阜県、長野県、静岡県など |
災害の気象要因 | 梅雨前線による集中豪雨 |
令和2年7月豪雨(れいわ2ねん7がつごうう)は、2020年(令和2年)7月3日以降に熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した集中豪雨である。同年7月9日に現在進行中の大雨を気象庁が命名した[1]。
7月10日時点で、熊本県南部、川辺川・球磨川流域の人吉市や球磨村を中心に、死者数は60人以上となっている[2]。
気象状況
7月3日夜から低気圧や梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、鹿児島県薩摩地方・大隅地方で3日夜から4日朝にかけて、熊本県南部で4日未明から朝にかけて、局地的に猛烈な雨が降り、気象庁は4日4時50分に大雨特別警報を熊本県・鹿児島県に対して発表した[3][4]。これらの地域では発達した雨雲が連なる線状降水帯が生じた可能性がある[5]。
5日夕方から6日午前にかけては、鹿児島県薩摩地方・大隅地方で局地的に猛烈な雨が降り、鹿屋市などで記録的な大雨となった[6]。
6日から8日にかけては、停滞する前線の影響で、長崎県、佐賀県、福岡県筑後地方、大分県、熊本県北部で局地的に猛烈な雨が降り、気象庁は6日16時30分から7日11時40分まで、長崎県・佐賀県・福岡県に大雨特別警報を発表した[7]。8日には東海地方から甲信地方でも大雨となって、8日6時30分に岐阜県、同日6時43分に長野県に大雨特別警報を発表した[8]。
雨量の記録
気象庁によると、7月上旬(1-10日)に全国のアメダスで観測した降水量の総和は20万8308.0mm(1地点あたり216.1mm)で、1982年以降の旬ごとで最大だった2018年7月上旬(平成30年7月豪雨(西日本豪雨))の20万7526.5mm(1地点あたり215.3mm)を超えた[9]。また7月上旬に1時間50mm以上の降水が発生した回数は82回で、1982年以降最多だった2019年10月中旬(令和元年東日本台風)の69回を超えた[9]。
また気象庁によると、3日から14日(12日間)の全国の総降水量は25万3041.5mmで、23万3453.5mmだった平成30年7月豪雨(11日間)を超えた[10]。
- 24時間雨量
- 鹿児島県鹿屋市鹿屋:496.0mm(6日14時50分まで。1977年の統計開始以降最大)[6]
- 熊本県球磨郡湯前町湯前横谷:489.5mm(4日11:00まで。統計開始以降最大)[3]
- 熊本県水俣市水俣:474.5mm(4日09:10まで。統計開始以降最大)[3]
- 福岡県大牟田市大牟田:446.5mm(7日06時40分まで。1976年の統計開始以降最大)[7]
- 岐阜県下呂市萩原:414.0mm(8日08:00まで。1976年の統計開始以降最大)[8]
- 72時間雨量
- 鹿児島県鹿屋市鹿屋:754.0mm(6日12時30分まで。1977年の統計開始以降最大)[6]
- 熊本県山鹿市鹿北:690.5mm(8日07時00分まで。1976年の統計開始以降最大)[7]
- 福岡県大牟田市大牟田:688.5mm(8日09時00分まで。1976年の統計開始以降最大)[7]
- 熊本県球磨郡あさぎり町上:660.0mm(6日12時10分まで。1977年の統計開始以降最大)[7]
- 長崎県長崎市長浦岳:593.5mm(8日09時00分まで。1976年の統計開始以降最大)[7]
事前の予報
気象庁は、平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風など、特別警報級の天候が予想されるときは事前に記者会見を開いて警戒を呼び掛けてきたが、この豪雨では7月4日に特別警報が発表されるまで会見は開かれなかった。前日の3日夕方時点で、気象庁は熊本県内の4日18時までの24時間雨量の予想を「多いところで200mm」と発表していたが、実際には400mmを超えた。5日、熊本地方気象台の台長は、「特別警報が出るほどの雨は十分に予測できなかった」と話した[11]。
被害・影響
県名 | 死者 | 心肺停止 | 行方不明者 | 負傷者 | ||
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重傷 | 軽症 | 程度不明 | ||||
神奈川県 | 1 | |||||
長野県 | 1 | 2 | ||||
岐阜県 | 1 | |||||
富山県 | 1 | |||||
静岡県 | 1 | |||||
和歌山県 | 1 | |||||
広島県 | 2 | 2 | 1 | |||
愛媛県 | 2 | 1 | ||||
福岡県 | 2 | 1 | 5 | |||
佐賀県 | 3 | |||||
長崎県 | 1 | |||||
熊本県 | 65 | 2 | ||||
大分県 | 3 | 3 | 2 | |||
宮崎県 | ||||||
鹿児島県 | 1 | 4 | ||||
合計 | 78 | 6 | 5 | 19 |
- 総務省消防庁による住家被害の状況(7月24日15時00分時点[12])
- 全壊595棟、半壊197棟、一部破損495棟、床上浸水7889棟、床下浸水7392棟
被害状況
7月24日15時時点で、熊本県で約14世帯がインフラ等の途絶により孤立している[12]。
農林水産に関する被害額は、920億円となった[13]。
熊本県 (県南地域)・鹿児島県
- 3日夜から4日昼の豪雨
熊本県を流れる球磨川水系は、八代市、芦北町、球磨村、人吉市、相良村の計13箇所で氾濫・決壊し、約1060ヘクタールが浸水した[14][15]。球磨村にある特別養護老人ホーム「千寿園」では、水没した施設で入所者14人が死亡した[16][17]。国土地理院の浸水推定図によると、千寿園のある球磨村渡地区で浸水の深さが最大9メートルに達したとみられる[18]。人吉市では市街地の広範囲が浸水し[19]、八代市坂本町中心部では住宅に流木や土砂が流れ込むなどの甚大な被害が出た[20]。また、芦北町(田川地区で土砂崩れによる死者あり[21]、佐敷駅冠水)や津奈木町(福浜地区で土砂崩れによる死者あり[22])でも被害が出ている。
熊本県警が7月13日に発表した県内の死者64人の死因と発見場所によると、溺死(疑い含む)が52人で、うち33人が屋内で発見された[23]。
長崎県・佐賀県・福岡県・熊本県 (県北地域) ・大分県
- 6日夕方から7日朝・7日深夜から8日朝の豪雨
福岡県大牟田市では、7月6日午後3時からの3時間で252ミリという「経験したことのない雨量」を観測した。諏訪川(関川)は大量の水が流れたが、氾濫は起きなかった。しかし、三川ポンプ場(同市三川町)の処理能力を越える雨量だったため、内水氾濫が起きた。三川ポンプ場の作業員5人は午後8時15分ごろ、故障を避けるために電動ポンプを停止。水量は作業員の腰の高さまで達し、15分後には全12台が水没したという[24]。この内水氾濫で、避難所となっていた大牟田市立みなと小学校(住民85人が避難)、三川地区公民館(住民157人が避難)は、いずれも道路冠水のため、一時孤立状態となった[25]。さらにみなと小学校では、避難住民の他に、道路冠水により帰宅できなかった約30人の児童と教師21人が建物の2階以上で一夜を過ごした[26]。この他、同市樋口町では浸水した住宅で女性が死亡、同市上屋敷町でも浸水したアパート男性が死亡した[27]。
熊本県荒尾市でも道路冠水などが発生した。また、7月7日午前6時30分ごろ、同県山鹿市小原 (おばる) で、水没した車が見つかり、80代とみられる夫婦が救出されたが意識はなく、まもなく死亡が確認された[28]。
筑後川は上流部の大分県内、中流部の福岡県内のそれぞれ一部で氾濫した[29]。
福岡県久留米市で越流や冠水による被害[30]、同県大牟田市では内水氾濫による被害も見られた[31]。
また、大分県由布市の大分川が庄内町東長宝(小野屋駅周辺)と挾間町下市(天神橋付近)で越流が発生し、市内各地で大分川支流(花合野川、黒川など)の氾濫・土石流や土砂災害も多発したため、災害発生情報が出された[32][33]。また、大分川では、国直轄水位観測点の由布市の同尻観測所・大分市の府内大橋観測所での水位が観測史上過去最高であった[34][35][注釈 1]。由布市湯布院町湯平温泉では8日0時頃、花合野川沿いの県道で4人が乗った車が川に流されたと通報があった[36][37]。日田市天ヶ瀬温泉では玖珠川の氾濫により川沿いが浸水。ホテル10施設が浸水被害、また川に架かる橋2本が流失している[38][39]。
長崎県大村市で土砂崩れが発生し、道路をふさいで通行不可となった。佐賀県太良町では、6日午後4時半ごろ、民家裏手にて土砂崩れが発生し、2人が負傷した[40]。
岐阜県
- 7日夜から8日昼の豪雨
岐阜県では8日朝、下呂市萩原町中呂の木曽川水系飛騨川で氾濫が発生した。また、加茂郡白川町河岐の白川、美濃市立花の長良川など県内6河川8カ所で氾濫が発生。高山市朝日町西洞や、瑞浪市釜戸町など県内5カ所で土石流やがけ崩れなど土砂災害も起こっている [41]。
長野県
- 7日夜から8日昼の豪雨
県内では7月8日午後の段階で、道路への土砂流出などの影響で松本市や長野市、木曽町の3市町の計約390人が一時孤立した。県などは地区に通じる道路の復旧を急いでいる。
長野県では11日から12日にかけても土砂崩れが相次ぎ、飯田市では12日に男性1人が巻き込まれ死亡した[42]。
広島県・島根県
- 13日夜から14日午前の豪雨
広島県内では14日午前6時ごろ、東広島市河内町宇山で土砂崩れが発生し親子2人が行方不明となり、捜索の結果、同日午後死亡が確認された[43]。
島根県では西部を流れる江の川が14日午前9時半ごろ、下流域の江津市川平町と同市桜江町田津で氾濫が発生した。道路や農地の冠水が確認されている[44]。
この節の加筆が望まれています。 |
インフラへの影響
7月18日11時時点で九州電力管内の熊本県で約290戸が停電している[45]。
鉄道
事業者 | 路線 | 被災区間・箇所 | 被災状況 |
---|---|---|---|
JR東海 | 高山本線 | 飛騨萩原駅 - 上呂駅間 | 土砂流入[49] |
上呂駅構内 | 土砂流入[49] | ||
飛騨小坂駅 - 渚駅間 | 線路擁壁下部の露出・土砂流入・道床流出・電気設備損傷[49] | ||
飛騨一ノ宮駅 - 高山駅間 | 土砂流入[50]・電気設備損傷[49] | ||
飯田線 | 小和田駅 - 中井侍駅間 | 土留壁崩壊[50]・電気設備損傷[49] | |
JR西日本 | 芸備線 | 上三田駅 - 中三田駅間 | 護岸崩壊 |
西三次駅 - 志和地駅間 | 路盤流出 | ||
福塩線 | 吉舎駅 - 三良坂駅間 | 斜面崩落 | |
JR四国 | 内子線 | 五十崎駅 - 喜多山駅間 | 土砂流入[51] |
JR九州 | 肥薩線 | 段駅 - 坂本駅間 | 路盤流出[52][53] |
坂本駅構内 | 道床流出[53] | ||
葉木駅 - 鎌瀬駅間 | 路盤流出[52][53] | ||
鎌瀬駅 - 瀬戸石駅間 | 球磨川第一橋梁流失[52][53] | ||
瀬戸石駅構内 | 乗降場・路盤流出[52] | ||
海路駅 - 吉尾駅間 | 路盤流出[52] | ||
球泉洞駅構内 | 乗降場流出[52] | ||
球泉洞駅 - 一勝地駅間 | 切取崩壊・土砂流入[52] | ||
一勝地駅 - 那良口駅間 | 路盤流出[52] | ||
那良口駅 - 渡駅間 | 第二球磨川橋梁流失・築堤崩壊[52][53] | ||
渡駅構内 | 路盤流出[52][53] | ||
人吉駅 - 大畑駅間 | 築堤崩壊[52][53] | ||
鹿児島本線 | 玉名駅 - 肥後伊倉駅間 | 土砂流入[53] | |
隈之城駅 - 木場茶屋駅間 | 築堤崩壊 | ||
木場茶屋駅 - 串木野駅間 | 土砂流入[53] | ||
上伊集院駅 - 広木駅間 | 土砂流入[53] | ||
久大本線 | 天ケ瀬駅 - 杉河内駅間 | 盛土流出[53] | |
引治駅 - 豊後中村駅間 | 橋脚傾斜[53] | ||
豊後中村駅 - 野矢駅間 | 第二野上川橋梁流失[53] | ||
野矢駅 - 由布院駅間 | 土砂流入[53] | ||
南由布駅 - 湯平駅間 | 盛土流出[53] | ||
小野屋駅 - 鬼瀬駅間 | 盛土流出[53] | ||
日南線 | 谷之口駅 - 志布志駅間 | 土砂流入等 | |
くま川鉄道 | 湯前線 | 川村駅 - 肥後西村駅間 | 球磨川第四橋梁流失 |
人吉温泉駅構内 | 線路冠水・土砂流入 | ||
肥薩おれんじ鉄道 | 肥薩おれんじ鉄道線 | 佐敷駅構内 | 線路冠水 |
肥後高田駅 - 水俣駅間 | 土砂流入等 | ||
水俣駅 - 米ノ津駅間 | 土砂流入等 | ||
平成筑豊鉄道 | 田川線 | 崎山駅 - 源じいの森駅間 | 土砂流出・切取崩壊・落石 |
叡山電鉄 | 鞍馬線 | 二ノ瀬駅 - 貴船口駅間 | 土砂流入 |
大井川鐵道 | 大井川本線 | 神尾駅付近 | 護岸侵食 |
金谷駅 - 新金谷駅間 | 土留壁倒壊 | ||
愛知環状鉄道 | 愛知環状鉄道線 | 永覚駅 - 末野原駅間 | 土砂流入[54] |
道路
高速道路
路線名 | 被災区間・箇所 | 被災状況 |
---|---|---|
京都縦貫自動車道 | 沓掛ICランプ | 法面崩落[46] |
紀勢自動車道 | 南紀田辺IC - 上富田IC間 | 法面崩土[55] |
山陽自動車道 | 熊毛IC - 徳山東IC間 | 泥水流入[56] |
松山自動車道 | 松山IC - 伊予IC間 | 土砂崩落[57] |
九州自動車道 | 八代IC - えびのIC間 | 法面崩落[58] トンネル内冠水[58] トンネル電気室洗堀[58] |
横川IC - 溝辺鹿児島空港IC間 | 法面崩落[58] | |
南関IC - 植木IC間 | 倒木・法面変状[56] | |
大分自動車道 | 九重IC - 湯布院IC間 | 土砂流出[57] |
玖珠IC - 九重IC間 | 法面崩壊[59] | |
南九州西回り自動車道 | 薩摩川内水引IC - 市来IC間 | 土砂流入・冠水[55] |
一般道
- 有明海沿岸道路:三池港インターチェンジ(大牟田市新港町)が道路冠水したため、三池港インターチェンジから大牟田インターチェンジ間において、令和2年7月6日15時30分から通行止めを実施していた[60]が、7月6日22時15分をもって通行止めを解除した[61]。一般道路冠水のため、7月7日7時20分から健老インターチェンジ出口(オフランプ)が通行止めとなった[62]が、7月7日15時10分に通行止めを解除した[63]。
- 国道3号:熊本県内の3カ所のトンネル付近で土砂流入が起きたため、令和2年7月4日5時より赤松トンネル、海浦トンネル、佐敷トンネルが通行止めとなった。赤松トンネル(八代市二見赤松町)、海浦トンネル(芦北町小田浦)は、土砂撤去が完了し安全が確保されたため、7月8日18時に通行止めを解除したが、佐敷トンネル付近(芦北町海浦 - 芦北町白岩)の約2kmは、土砂撤去中により、通行止めを継続している。迂回路(福岡、鹿児島方面へ通行する方)は、南九州西回り自動車道(自動車専用道路)である[64]。
- 国道41号:岐阜県下呂市小坂町付近で路面が崩落した[65][66]。このため、東海環状自動車道の美濃加茂インターチェンジと東海北陸自動車道の飛騨清見インターチェンジ間及び東海北陸自動車道の郡上八幡インターチェンジと飛騨清見インターチェンジ間を利用する車両を対象として、国道41号の代替路として無料通行することができる[67]。
- 国道208号:道路が冠水したため、令和2年7月6日15時20分より荒尾市原万田の原万田交差点で全面通行止めを実施していたが、冠水が解消し安全が確認されたことから、6日23時40分に全面通行止めを解除した[68]が、再び道路が冠水したため、7月10日14時より荒尾市原万田の原万田交差点が全面通行止めとなった。冠水が解消し、安全が確認されたことから7月10日15時15分に通行止めを解除した[69]。
- 国道219号:7月3日に発生した球磨川の氾濫により、球磨川に並行して通る国道219号は肥薩線と同様に大きな被害を受けた。熊本県八代市豊原上町から同県球磨郡球磨村渡にかけての大部分が崩落したため通行止めとなった[73][74]。また、八代市に所在している球磨川を渡る鎌瀬橋が流出した[75]。球磨村の一部の集落には車で近づくことが出来ない状態となっており、自衛隊によって物資の輸送と復旧作業が行われている[76]。また、人吉市内の大部分が浸水している。このため、一般道で人吉市から八代市方面への通行が出来なくなっており、7月7日より並行する九州自動車道の八代インターチェンジから人吉インターチェンジまでの区間が国道219号の代替路として無料通行することができる[77][78]。
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施設・文化財や産業への影響
この節の加筆が望まれています。 |
- 世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産である三池炭鉱専用鉄道敷跡(福岡県大牟田市)の切土区間法面が崩落し、軌道の一部を覆ってしまった[79]。
- 世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である原城跡(長崎県南島原市)で土砂崩壊が発生した[80]。
イベントなどへの影響
この節の加筆が望まれています。 |
- 2020年7月7日、愛媛県宇和島市「吉田公民館2階大ホール」にて、平成30年7月豪雨2周年に寄せての「宇和島市追悼式」を、新型コロナウィルス感染拡大の観点から、同年5月25日の時点で式典としての開催はせず、「自由献花」[81]に規模を縮小して開催することが決定していたが、式典開催当日に大雨警報、かつ会場のある吉田公民館のある吉田地域にも避難勧告が出ていることから、順延なしの完全中止に変更された[82]。
行政の対応
九州で始まった豪雨を受けて日本政府は7月4日午前4時50分、総理大臣官邸の危機管理センターに官邸連絡室を設置。午前7時15分には官邸対策室に格上げした[83]。
警察庁
7月4日4時50分、警察庁は、警備第二課長を長とする災害情警備連絡室を設置[84]。
消防庁
- 本庁では、消防庁長官を長とする災害対策本部(第三次応急態勢)を確立。
- 7月9日12時時点までに、熊本県庁、熊本県人吉下球磨消防組合、八代広域行政事務組合にリエゾンを7名派遣[85]。
- 7月9日12時時点で、熊本県と長野県に緊急消防援助隊が出動。5県から80隊約290名が陸上出動、10県から10ヘリが航空出動、計約360名が出動中[85]。
気象庁
- 7月8日、国土交通省との合同会見で、岐阜県や長野県で起こりうる災害に関して注意の喚起を行った[86]。
海上保安庁
- 7月7日 - 熊本県八代港において、第十管区所属巡視船「しゅんこう」による災害支援活動(給水、充電)を実施[88]。
- 7月8日 - 八代港において「しゅんこう」による災害支援活動[89]、また船艇及び航空機による孤立者救助及び生活支援等を実施[90][91]。
- 7月9日 - 八代港において「しゅんこう」による災害支援活動[92]。
- 7月10日 - 八代市の給水状況改善により、本日をもって八代港での支援活動を終了。引き続き被災者捜索及び救助活動を実施[93]。
5.海上保安庁の対応(7月14日03:45現在) | |
○ | 体制 |
7/4 04:50 海上保安庁対策室設置 | |
第十管区海上保安本部対策本部設置 | |
07:15 海上保安庁対策本部に格上げ | |
7/6 16:30 第七管区海上保安本部対策本部設置 | |
7/8 06:30 第四管区海上保安本部対策室設置 | |
06:43 第七管区海上保安本部対策室設置 | |
○ | 投入勢力 |
巡視船艇 71隻(延べ598隻) | |
航空機 14機(延べ125機) | |
特殊救難隊 6名(延べ59名) | |
機動救難士 14名(延べ147名) | |
潜水士 2名(延べ17名) | |
リエゾン(延べ64名) | |
熊本県庁2名(延べ22名) | |
鹿児島県庁0名(延べ5名) | |
宮崎県庁0名(延べ2名) | |
福岡県庁0名(延べ11名) | |
長崎県庁0名(延べ3名) | |
佐賀県庁0名(延べ6名) | |
大分県庁2名(延べ16名) | |
岐阜県庁0名(延べ2名) | |
長野県庁0名(延べ4名) | |
八代市役所0名(延べ2名) | |
〇救助活動等 | |
吊上げ救助等事案(計22名救助済み) | |
行方不明者捜索 | |
・南さつま市金峰町白川行方不明者捜索、手掛かりなし | |
・由布市大分川行方不明者捜索、手掛かりなし | |
漂流船情報(計18件) | |
4日 12件(八代海10件、宮崎市沖2件)に対応済み | |
5日 2件(芦北沖、八代海)に対応済み | |
6日 1件(八代海1件)に対応済み | |
8日 1件(有明海1件)に対応済み | |
10日 2件(有明海1件、八代海1件)に対応済み | |
漂着船情報(計22件)※流出防止策実施 | |
5日 1件(八代海) | |
6日 4件(八代海) | |
8日 1件(八代海) | |
9日 3件(八代海) |
10日 4件(八代海)
11日 3件(八代海)
12日 4件(八代海)
13日 2件(八代海)
漂着ボンベ対応(計27本)
4日 1本(八代海)
10日 2本(八代海)
11日 1本(八代海)
12日 10本(八代海)
13日 13本(八代海)
浮流油情報調査(2件)
5日 1件(芦北沿岸部)に対応済み
9日 1件(芦北沿岸部)に対応済み
○
航行警報等
現在発出中の航行警報等12件
7/8 11:50 第七管区海上保安本部 (別府湾)木材漂流情報(NAVTEX・地域航行警報、AIS、海の安全情報)
7/10 12:25 第十管区海上保安本部 (三角港)木材漂流情報(NAVTEX・地域航行警報、AIS、海の安全情報)
13:35 第七管区海上保安本部 (周防灘)木材漂流情報(地域航行警報)
15:05 第十管区海上保安本部 (八代港)木材漂流情報(NAVTEX・地域航行警報、AIS、海の安全情報)
18:10 第十管区海上保安本部 (八代港)航路標識流出(AIS、海の安全情報)
7/11 12:20 第十管区海上保安本部 (佐多岬北西方)木材漂流情報(NAVTEX・地域航行警報、AIS、海の安全情報)
13:30 第七管区海上保安本部 (有明海及び島原湾)木材漂流情報(地域航行警報、AIS、海の安全情報)
13:40 第七管区海上保安本部 (有明海及び島原湾)木材漂流情報(地域航行警報、AIS、海の安全情報)
7/12 10:00 第十管区海上保安本部 (佐敷港北北西方)直方体漂流情報(地域航行警報、AIS、海の安全情報)
10:50 第十管区海上保安本部 (戸馳島南方)ボンベ漂流情報(地域航行警報、AIS、海の安全情報)
16:45 第十管区海上保安本部 (八代海北部)木材漂流情報(地域航行警報、AIS、海の安全情報)
17:30 第十管区海上保安本部 (八代海)ボンベ漂流情報(地域航行警報、AIS、海の安全情報)
7/13 13:00 第九管区海上保安本部 (直江津港)木材漂流情報(NAVTEX・地域航行警報、AIS、海の安全情報)
○
生活支援関連(2件)
・7/7~10 巡視船による熊本県八代市八代港での給水支援等(給水:3名)
・7/8 回転翼機による熊本県球磨郡多良木町槻木小学校への物資輸送
防衛省・自衛隊
熊本県、福岡県、大分県知事から災害派遣が要請された[84]。また、即応予備自衛官・予備自衛官の召集も実施された[84][94]。即応予備自衛官の招集は2019年の台風19号による豪雨災害以来のもので、6回目である[95]。
要請元 | 要請日時 | 要請先 | 要請内容 | 撤収要請 | 出典・備考 |
---|---|---|---|---|---|
山口県知事 村岡嗣政 | 7月13日 | 空自 西部航空方面隊司令官 | 済 | [96] | |
熊本県知事 蒲島郁夫 | 7月4日5時36分 | 陸自 第8師団長 | 人命救助等 | [84] | |
福岡県知事 小川洋 | 7月7日4時30分 | 陸自 第4師団長
(西部方面混成団長) |
人命救助等 | 済 | [84] |
大分県知事 広瀬勝貞 | 7月7日10時30分 | 陸自 第4師団長
(西部方面戦車隊長) |
人命救助等 | 済 | [84] |
7月8日00時40分 | 陸自 西部方面特科隊長 | 捜索活動 | 済 | [97] |
派遣規模:陸上自衛隊西部方面隊基幹に、陸海空20,000人、ヘリ8機、固定翼機2機、即応予備自衛官最大400名、予備自衛官最大100名[84][94]
厚生労働省
総務省
農林水産省
経済産業省
国土交通省
- 7月8日、気象庁との合同会見で、岐阜県や長野県で起こりうる災害に関して注意の喚起を行った[86]。
環境省
- 7月21日、小泉進次郎環境相は、記者会見で、今後「特定非常災害」に指定された災害では、半壊した住宅の解体費の大半を補助すると発表。これまでは原則全壊が対象で、災害規模に応じて弾力的に運用していたが、恒久的な仕組みとする。解体は市町村が業者に委託するなどして行い、費用の9割を国が補助金などで賄う。残りは市町村で負担するため、所有者の持ち出しは生じない。7月の豪雨で半壊した住宅への補助も正式表明した。環境省は、補助金の要領などに明記して恒久化することを検討[98]。
内閣府
- 7月16日、被災地に設置する仮設住宅の運用を見直し、入居できる被災者の範囲を拡大すると発表。応急修理制度を活用して壊れた自宅を修理する場合でも、災害発生日から最長6ヶ月間は一時入居を認める。半壊以上で自宅に住めず、修理期間が1ヶ月を超えることが条件。民間賃貸住宅を行政が借り上げる「みなし仮設」への一時入居も可能。いずれの場合も、修理が完了した時点で速やかに退去する必要がある。応急修理制度は修理費の一部を公費で負担する。1世帯当たりの上限は半壊以上で59万5千円、準半壊が30万円、自宅で生活できるようにするのが目的との理由から、制度を利用した場合は仮設住宅への入居を認めてこなかった。近年は業者不足を背景に修理完了までが長期化、1年以上に及ぶこともあり、被災自治体から仮設住宅の入居を認めてほしいとの要望があったほか、3月には総務省行政評価局も改善を勧告していた。応急修理制度は適用された市町村が対象。7月豪雨では7月15日時点で、長野県、岐阜県、島根県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、鹿児島県の67市町村[99]。
地方公共団体
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洪水により通信インフラに被害が出たため、人吉市や球磨村ではSNSを活用して被災者に情報発信を行っている[100]。
熊本県[101]、大分県[102]では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ボランティアの受け入れを県内在住者に限定しており、人手不足が懸念されている。
支援活動
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募金・支援金
- さとふるによる災害緊急支援サイトを設立[103]
- READYFORによる緊急災害支援プログラムを開始[104]
- Yahoo! JAPANによる募金活動[105]
- 復興支援コンサートでの募金活動[106]
- ファミリーマートによる店頭募金活動[107]
- セブン&アイグループ各店にて支援募金活動[108][109]
物資支援
- ANA - 被災地への無償渡航、救援物資の無償輸送を実施[110]。
- セブンイレブン – 被災地への支援物資の寄贈[111][112][113][114][115][116][117][118][119][120][121]
脚注
注釈
- ^ 大分川は由布市挾間町下市の天神橋を境界として、上流を大分県(大分土木事務所)管理、下流を国直轄(大分河川国道事務所)としているため、今後、大分県の発表により、大分川上流部の被害が追加される可能性がある。
出典
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関連項目
外部リンク
- 令和2年7月豪雨について - 首相官邸
- 令和2年7月豪雨の関連情報 - 気象庁
- 令和2年7月3日からの豪雨の名称について - 気象庁 (2020年7月9日)
- 令和2年(2020年)7月豪雨について - 厚生労働省
- 令和2年7月豪雨災害について - 国土交通省