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プロテリアル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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株式会社プロテリアル
Proterial, Ltd.
種類 株式会社
機関設計 監査役会設置会社
市場情報
東証プライム 5486
1961年10月2日 - 2022年12月29日
大証1部(廃止) 5486
1967年3月8日上場
本社所在地 日本の旗 日本
135-0061
東京都江東区豊洲五丁目6番36号
豊洲プライムスクエア[1][2]
設立 1946年昭和21年)3月2日(※)
業種 鉄鋼
法人番号 3010401038783 ウィキデータを編集
事業内容 高級金属製品・磁性材料・高級機能部品・電線材料の製造と販売
代表者 ショーン・スタック
代表取締役会長執行役員社長執行役員兼CEO
村上和也
(代表取締役兼副社長執行役員)
資本金 3億1000万円
発行済株式総数 8株
売上高 連結:9427億1百万円
(IFRS基準 2022年3月期)
営業利益 連結:266億95百万円
(IFRS基準 2022年3月期)
純利益 連結:120億30百万円
(IFRS基準 2022年3月期)
純資産 連結:5275億63百万円
(IFRS基準 2022年3月末現在)
総資産 連結:1兆696億95百万円
(IFRS基準 2022年3月末現在)
従業員数 連結21,456人 
(2024年3月末現在)
決算期 3月31日
会計監査人 EY新日本有限責任監査法人
主要株主 株式会社BCJ-52 100 %
(2023年3月31日現在)
主要子会社 Waupaca Foundry, Inc. 100 %
(株)プロテリアルトレーディング 100 %
関係する人物 中村隆一(初代社長)
高橋秀明(元社長)
西野壽一(元会長)
西岡宏明(元常務CFO
西山光秋 (元会長)
外部リンク https://www.proterial.com/
特記事項:2015年3月期より国際財務報告基準(IFRS)を適用。売上高は売上収益、純利益は親会社株主に帰属する当期利益、純資産は親会社株主持分、総資産は資産合計
1967年(昭和42年)1月に株式の額面変更及び社名変更のために合併を行い、1956年(昭和31年)4月に設立された日立金属工業株式会社は消滅している。
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株式会社プロテリアル: Proterial, Ltd.)は、日本の鉄鋼メーカー(電気炉メーカー)。2023年令和5年)1月、日立金属株式会社(ひたちきんぞく)から社名変更した。

概要

1956年昭和31年)4月に日立製作所が全額出資して日立グループ鉄鋼業金属部門を統合分立させた会社である。2013年平成25年)7月、同じく1956年に日立製作所から電線部門を分離して設立された日立電線を吸収合併したため、日立グループで日立製作所に次ぐ規模となった。

主力製品は刃物金型に用いられる先端固体材料の高級工具鋼(YSSヤスキハガネ)、その他電子製品で使用されるインバー合金等の金属製品、高級自動車部材、磁性材料、鉄鋼用ロール配管製品、電子部品などを擁する特殊鋼・エコ製品を核とした総合素材メーカーである。売上高鉄鋼メーカー第4位、高性能鉄鋼材料に特化している。特殊鋼マレブル鋳鉄ダクタイル鋳鉄磁性材料の開発、製造に関し最も古い歴史を持つ、伝統と最先端技術の調和の取れた融合体となっている。永久磁石では最も強力とされているネオジム磁石は、日立金属の佐川眞人らによって開発された(開発は旧住友特殊金属在職時)。

メセナの一環として、日本美術刀剣保存協会が行う玉鋼(マルテンサイト化する日本刀の素材)製造法たたら吹きの支援も行っている。

2013年(平成25年)には旧・日立電線の製品である鉄道車両用電線・ケーブルや医療機器用電線、自動電装用部品、ブレーキホースなども製品群に加わった。

春光グループに属し、春光会の会員企業である[3]とともに、三和グループにも属し、三水会とその後身社長会である水曜会およびみどり会の会員企業でもある[4][5]。なおBCJ-52による買収と日立グループからの離脱後の動向は未確認。

経済産業省東京証券取引所が選ぶ女性活躍を推進している企業「なでしこ銘柄」に選定されている[6]

2021年4月28日、親会社の日立製作所は、当社の全株式をベインキャピタルなどで構成する日米ファンド連合に売却すると発表した。2023年に株式会社プロテリアル(英: Proterial, Ltd.)に社名を変更した[7]

沿革

戦前

  • 1899年明治32年) - 安来工場前身の雲伯鉄鋼合資会社(のちの安来鉄鋼合資会社及び安来製鋼所)設立。
  • 1910年(明治43年) - 鮎川義介により、日立金属の前身および日産自動車のルーツとなる戸畑鋳物株式会社を福岡県戸畑市(現・北九州市戸畑区)で設立。
  • 1917年大正6年)- 戸畑鋳物、帝国鋳物(若松)を吸収合併。
  • 1918年(大正7年)- 日立製作所内に日立電線の前身となる電線製造工場を新設。
  • 1922年(大正11年)- 戸畑鋳物、木津川製作所(桑名)を吸収合併。
  • 1929年昭和4年)- 戸畑鋳物は東京製作所(深川)を新設し自動車用マレブル鋳鉄製造開始。
  • 1934年(昭和9年)- 安来製鋼所を吸収合併(この後、ヤスキハガネ開発に成功し、すでに開発していた高速度工具鋼にも応用した)。
  • 1935年(昭和10年)- 戸畑鋳物、国産工業に社名変更。
  • 1937年(昭和12年)- 国産工業、日立製作所に吸収合併。
  • 1944年(昭和19年)- 日本初国産ジェットエンジンネ-20搭載の推力軸受用Cr-W鋼イ513を開発し海軍技術廠より表彰を受けた(日立製作所安来工場の冶金研究所の小柴定雄による発明)。

戦後

旧日立電線の沿革は日立電線を参照。

  • 1956年(昭和31年)- 日立金属工業株式会社設立(日立製作所全額出資にて分離独立)。
  • 1961年(昭和36年)- 熊谷工場新設。東京および大阪証券取引所第二部上場。
  • 1962年(昭和37年)- 東京、大阪証券取引所一部上場。
  • 1965年(昭和40年)- 米国にHitachi Metals America, Ltd.を設立。
  • 1967年(昭和42年)- 株式の額面及び社名変更の目的で日立金属株式会社に合併。
  • 1970年(昭和45年)- ドイツにHitachi Metals Europe GmbHを設立。
  • 1972年(昭和47年)- 京都国際会議にて、清永欣吾が「鋼の強靭性」にて特殊鋼に初めて破壊力学の考え方を導入する発表を行い、世界的反響を呼んだ。
  • 1973年(昭和48年)- 1990年代まで続く、計算科学に基づいたいわゆる「合金設計」という手法を渡辺力蔵が発表し始める。
  • 1979年(昭和54年)- シンガポールにHitachi Metals Singapore Pte. Ltd.を設立。
  • 1995年平成7年)- 日立フェライト株式会社を合併。
  • 2001年(平成13年)- 執行役員制および社内カンパニー制を導入。
  • 2003年(平成15年)- 商法上の「委員会等設置会社」に移行。
  • 2004年(平成16年)- 住友特殊金属に自社磁材事業を会社分割の上、株式会社NEOMAXと商号変更。連結子会社とする。
  • 2005年(平成17年)- 米国アライド社の非晶質金属事業を買収し、日本非晶質金属株式会社を傘下に設立。
  • 2007年(平成19年)- 株式会社NEOMAXを吸収合併。
  • 2010年(平成22年)- 米国アドバンスドエナジー社マスフローコントローラ事業およびガスボックス事業を買収。
  • 2011年(平成23年)- メトグラス安来工場新設。
  • 2012年(平成23年)- 佐賀工場新設。
  • 2013年(平成25年)- 日立電線株式会社を吸収合併[8]。電線材料カンパニーを新設。
  • 2014年(平成26年)- 三菱マテリアルの子会社であるMMCスーパーアロイ株式会社を、日立金属MMCスーパーアロイ株式会社として子会社化。
  • 2014年(平成26年)- 世界最大の鋳物製造会社である米国Waupaca Foundry, Inc.を買収。
  • 2015年(平成27年)
    • 米国の工具鋼会社Diehl Tool Steel, Inc.を子会社化。
    • 中国にネオジム磁石の製造・販売会社、日立金属三環磁材(南通)有限公司を設立。
  • 2016年(平成28年)- 米国の医療機器用部品会社HTP-Meds, LLCとHi Tech Machine and Fabrication, LLCを子会社化。
  • 2017年(平成29年)- 日立金属MMCスーパーアロイを完全子会社化。
  • 2018年(平成30年)- 日立金属MMCスーパーアロイを吸収合併[9]
  • 2019年令和元年)- 4カンパニー制から2事業本部制へ移行。
  • 2021年(令和3年)- 親会社である日立製作所が、当社をベインキャピタルなどで構成する日米ファンド連合に売却すると発表。
  • 2022年(令和4年)
    • 7月1日 - 本社を品川シーズンテラスから豊洲プライムスクエアに移転。
    • 11月1日 - ベインキャピタルなどが出資する株式会社BCJ-52が株式公開買付けにより35.60%の株式を取得[10]
    • 12月29日 - 東京証券取引所プライム市場上場廃止。
  • 2023年(令和5年)1月4日 - 商号を株式会社プロテリアル(Proterial, Ltd.)に変更。株式併合により株主がBCJ-52及び日立製作所のみとなる[11]

特徴

分野は、インフラ、自動車、エレクトロニクス、IT、半導体、環境エネルギー、鉄鋼、宇宙航空機、建機、工機、建築、医療用の材料及び部品で多角的な経営であるが、コア技術は鉄周辺の合金および製鋼鍛造熱処理などを主体とした製造技術と代表トライボロジー材料である工具鋼やそれより発展した磁性材料、電子部品、非鉄金属や無機/有機材料の鋳造塑性加工、粉末冶金・射出成形品などの新素材および部品製造というまとまりがある。株式市場では鉄鋼部門に属するが、研究開発型企業を志向しているところも特徴的であり、Materials Magicをコーポレートブランドとして掲げている。電気炉メーカーであり、とくに鉄鋼材料においても最も合金設計が精密な高級特殊鋼分野に特化している。

また、グローバル化展開も他の特殊鋼メーカーより先んじた体制を2004年(平成16年)の傘下商社の再編により構築している。ひょうたん印の継手は1910年(明治43年)、戸畑鋳物の時代からのブランドであり[12]、上下水道、ガス等の配管で目にすることが多い。また特殊鋼の商標としてはYSSヤスキハガネの商標を持ち、工具鋼刃物鋼から金型用鋼に至る丈夫な鋼材として評価を得ている(身近なところでは、日立製のシェーバーの刃に使用されている)。

加えて、2013年(平成25年)7月に加わった電線材料事業(旧・日立電線の事業)は、導体・高分子・接合技術をコア技術として産業用電線、医療用電線、自動車電装部品を中心に成長を図っている

製品ブランド

  • SLD-MAGIC(高性能冷間ダイス鋼、トライボロジー理論CCSCモデル適用 マテリアルズ・インフォマティクス 社会実装 成功例)
  • DACシリーズ(アイソトロピィ熱間ダイス鋼)
  • YXRシリーズ(マトリックスハイス)
  • HAPシリーズ(高性能粉末ハイス)
  • GINB(グローバルカミソリ材料)
  • NEOMAX(ネオジ鉄ボロン磁石)
  • ファインメット(ナノ結晶磁性材料)
  • Metglas(鉄基アモルファス軟磁性材料)
  • ハーキュナイトシリーズ(自動車用耐熱特殊鋳鋼)
  • SCUBA(大口径・高意匠アルミホイール)
  • HINEXロール(鉄鋼圧延用ハイスロール)
  • エコグリーン(電力用エコ電線)

生産拠点

以下の他に国内子会社、海外生産拠点を多数擁している。

研究開発拠点

  • 素材研究所(栃木県真岡市;自動車エンジン部品、耐熱部品、軽合金)
  • 冶金研究所(島根県安来市;鉄鋼材料、特殊鋼、エネルギー、自動車用新素材、宇宙航空素形材、磁性電子素材)
  • 電線研究所(茨城県日立市;電線材料)
  • グローバル技術革新センター・機能部材研究所磁性材料研究部(埼玉県熊谷市)
  • 桑名工場 配管機器ソリューションセンター (三重県桑名市)

グループ企業

国内

海外

  • Hitachi Metals Europe GmbH
  • Hitachi Metals America, LLC
  • Hitachi Metals Singapore Pte. Ltd.
  • 日立金属(東莞)特殊鋼有限公司
  • 台湾日立金属股フン有限公司
  • 日立金属投資(中国)有限公司
  • San Technology, Inc.
  • Hitachi Metals Hongkong Ltd.
  • Hitachi Metals Korea Co., Ltd.
  • Hitachi Metals (Thailand) Ltd
  • 日立金属(蘇州)科技有限公司
  • Hitachi Metals (India) Private Ltd.
  • Metglas, Inc.
  • Hitachi Metals North Carolina, Ltd.
  • Waupaca Foundry, Inc.
  • AAP St. Marys Corp.
  • Ward Manufacturing, LLC
  • SinterMet, LLC
  • PT. NX INDONESIA
  • 東莞住秀電子有限公司
  • Pacific Metals Co., Ltd.
  • Namyang Metals Co., Ltd.
  • 日立金属精密儀器(深圳)有限公司
  • HNV Castings Private Limited
  • Hitachi Cable America Inc.
  • HC Queretaro, S.A. de C.V.
  • Hitachi Cable (Johor) Sdn. Bhd.
  • Thai Hitachi Enamel Wire Co., Ltd.
  • Hitachi Cable Philippines, Inc.
  • Hitachi Cable Vietnam Co., Ltd.
  • 上海日立金属線材有限公司
  • 日立電線(蘇州)有限公司

代理店

  • プロテリアルの代理店で上場している会社としては、泉州電業などがある[13]

不祥事

  • 2020年04月27日(発表)- 日立金属は4月27日、特殊鋼磁石などの製品の品質試験で、検査成績書の数値を改ざんするなどして、納入先に提出していたと発表した。4種類の製品で、納入先は延べ約170社に上り、10年以上にわたって不正が続けられた。同社は外部の専門家で構成する特別調査委員会を設置し、数カ月間で調査結果をまとめる。不正が見つかったのは、自動車部品向けなどの特殊鋼や、家電用モーターなどに使われる磁石。1月に特殊鋼の不正に関する情報提供があり、調査を進めていた。日立金属の執行役会長は、電話会議形式による記者会見で「10年以上前から継続していた。管理職も関与したようだ」と語った。安全性や性能に問題が生じた事案は確認されていないという。
  • 2021年10月26日 - 前年度に発覚した品質管理の問題が拡大。検査結果の書き換えや仕様と異なる方法での検査の実施、製造・検査条件の無断変更などが行われた製品の納入先が1952社に及ぶことを発表した[14]

脚注

  1. ^ 主要販売拠点|拠点情報|株式会社プロテリアル”. 株式会社プロテリアル. 2023年1月22日閲覧。
  2. ^ 主要製造拠点・研究開発拠点|拠点情報|株式会社プロテリアル”. 株式会社プロテリアル. 2023年1月22日閲覧。
  3. ^ 春光懇話会”. www.shunko.jp. 2023年6月2日閲覧。
  4. ^ 田中彰「六大企業集団の無機能化 : ポストバブル期における企業間ネットワークのオーガナイジング」、『同志社商学』64巻5号、同志社大学商学会、doi:10.14988/pa.2017.0000013201NAID 110009605659 pp. 330-351
  5. ^ メンバー会社一覧”. みどり会. 株式会社みどり会. 2024年3月16日閲覧。
  6. ^ ローソンと日立金属 積極採用「なでしこ銘柄」に聞く - 東京医大問題、働く女性に波紋 日本経済新聞 2018年9月4日
  7. ^ NHK松江放送局 (2021年1月6日). “日立グループから離脱 社名変更の大手金属メーカーで初荷式”. NHK NEWS WEB (日本放送協会). https://web.archive.org/web/20230106064208/https://www3.nhk.or.jp/lnews/matsue/20230106/4030014890.html 2023年1月12日閲覧。 
  8. ^ 日立金属株式会社および日立電線株式会社の合併契約締結に関するお知らせ
  9. ^ 連結子会社(日立金属MMCスーパーアロイ株式会社)の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ
  10. ^ 株式会社 BCJ-52 による当社株式に対する公開買付けの結果並びに主要株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ
  11. ^ 株式併合並びに単元株式数の定めの廃止及び定款の一部変更の承認決議に関するお知らせ
  12. ^ 『“より強靭に、より滑らかに、より美しい曲線に”との願いを込めて鋳出しされたのがこの「ひょうたん」印です。海外でも「Gourd Brand」の名で親しまれています。』との由来の説明が同社ホームページ上にある。暮らしを支える「ひょうたん印」”. 2015年10月7日閲覧。
  13. ^ 「日立金属」の代理店73社”. メトリー. 2022年8月16日閲覧。
  14. ^ 日立金属、品質不正が拡大 納入先1952社に”. 時事通信 (2021年10月26日). 2021年10月26日閲覧。

参考文献

  • 渡辺ともみ著 「たたら製鉄の近代史」 吉川文庫(2006年)
  • 『メイド・イン・ジャパン-日本製造業変革への指針-』(ダイヤモンド社、1994年)
  • 『産業技術短期大学大学案内2011』(産業技術短期大学、2010年)
  • 『産業技術短期大学五十年のあゆみ』(学校法人鉄鋼学園 産業技術短期大学、2012.4.25)

ほか

関連項目

外部リンク