スミレ
スミレ | |||||||||||||||||||||||||||
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Viola mandshurica(2006-4-23)
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Viola mandshurica W.Becker | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
スミレ | |||||||||||||||||||||||||||
変種[1] | |||||||||||||||||||||||||||
スミレ(菫)は、スミレ科スミレ属の植物の総称であるが、狭義には、Viola mandshurica という種の和名である。
ここでは種としてのスミレを記す。なお、類似種や近縁種も多く、一般にはそれらを区別せずにスミレと総称していることが多い。それらについても下記を参照されたい。
特徴
種名としてのスミレ(Viola mandshurica)は、道ばたで春に花を咲かせる野草である。深い紫(菫色)の花を咲かせる。
地下茎は太くて短く、多数の葉を根出状に出す。葉は根際から出て、少し長めの葉柄があって、少しやじり形っぽい先の丸い葉をつける。
花は独特の形で、ラッパのような形の花を横向きかやや斜め下向きにつける。5枚の花びらは大きさが同じでなく、下側の1枚が大きいので、花の形は左右対称になる。ラッパの管に当たるのは大きい花弁の奥が隆起したもので距(きょ)という。花茎は根際から出て、やや立ち上がり、てっぺんで下を向いて花のラッパの管の中程に上側から着く。
平地に普通で、山間部の道ばたから都会まで、都会ではコンクリートのひび割れ等からも顔を出す。
山菜としても利用されている。葉は天ぷらにしたり、茹でておひたしや和え物になり、花の部分は酢の物や吸い物の椀ダネにする。ただし他のスミレ科植物、例えばパンジーやニオイスミレなど有毒なものがあるため注意が必要である。
分布
北海道から屋久島までの日本列島に広く見られる。国外では朝鮮、中国からウスリーに及ぶ。
毒性
由来等
「スミレ」の名はその花の形状が墨入れ(墨壺)を思わせることによる、という説を牧野富太郎が唱え、牧野の著名さもあって広く一般に流布しているが、定説とは言えない。
学名の種小名 mandshurica は「満州の」という意味である。和名である「スミレ」は、このままだと属名や科名、さらには目名と紛らわしいので、スミレ愛好家は特に本種を指す場合、この名に由来するマンジュリカで呼ぶことがある。
変種
種内の変種としては、以下のようなものがある。
- アツバスミレ Viola mandshurica var. triangularis Mizushima
- 本州中部南岸から九州にわたる海岸に見られるもの。葉は厚くて幅が広く、表面に光沢がある。
- アナマスミレ Viola mandshurica var. crassa Tatew.
- 北海道から本州中部日本海側の海岸型。葉は矛型で細く、厚くて光沢がある。
類似種
スミレ属には種類が多い。日本産でスミレに似た姿の種としては以下のようなものがある。いずれも茎は地表にあって太くてごく短く、葉は根出状。また、人里周辺に顔を出すものも多い。
- ヒメスミレ Viola confusa Champ. ex Bentham subsp. nagasakiensis (W. Becker) F. Maek. et Hashimoto
- 人家周辺に多い。全体に一回り小さく、葉は三角形。本州から九州、台湾に分布。
- ノジスミレ Viola yedoensis Makino
- 平地に生育。普通、葉や花茎一面に毛がある。葉はやや長い楕円形っぽい。本州から九州、朝鮮南部、中国に分布。
- コスミレ Viola japonica Langsd.
- 葉は卵形っぽいハート形。北海道南西部から九州、朝鮮南部に分布。
- リュウキュウコスミレ Viola pseudo-japonica Nakai
- コスミレに似るが、葉はハート形より三角に近い。南西諸島に分布。
- アカネスミレ Viola phalacrocarpa Maxim.
- サクラスミレ Viola hirtipes S. Moore
- 花が大きく、葉はハート形。北海道から九州に分布。
- ヒカゲスミレ Viola yezoensis Maxim.
姿が似ていて白い花をつけるものに次のような種がある。
- アリアケスミレ Viola betonicifolia Smith var. albescens (Nakai) F. Maek. et
- 形はスミレに似た点が多く、花は白。本州から九州、朝鮮、中国に分布。琉球列島には同種ながらリュウキュウシロスミレ Viola betonicifolia var. oblongo-sagittata (Nakai) F. Maek. et Hashimoto がある。花がより長い柄の先につく。種としては東南アジア一帯にまで分布する。
- シロスミレ Viola patrinii DC
上記種は形態的にスミレに近いものであるが、むしろ、同じスミレ属のタチツボスミレ Viola grypoceras var. grypoceras が普通種で、スミレとも混在するため、これがスミレと認識されている場合が多い。こちらの方は、茎が立ち上がるために知っていれば区別は簡単である。ただしこちらにも類似種が多いので、種の同定はやはり簡単ではない。
外来種は、パンジーやビオラと呼ばれる園芸種が多い。種としてのスミレは東アジアにしか分布しないから、外国文学に出てくるスミレは別の種を指す。ヨーロッパではニオイスミレも普通に馴染まれている。
その他
脚注
- ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2011年4月30日閲覧。
参考文献
- いがりまさし『増補改訂日本のスミレ』高橋秀男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2005年1月、126-127頁頁。ISBN 4-635-07006-9。
- 山田隆彦『スミレハンドブック』文一総合出版、2010年、55頁頁。ISBN 978-4-8299-1077-1。
関連項目
外部リンク
- "Viola mandshurica W. Becker" - Encyclopedia of Life
- “Viola mandshurica” (英語). Taxonomy Browser. National Center for Biotechnology Information (NCBI). 2011年4月30日閲覧。
- 波田善夫. “スミレ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学. 2011年4月30日閲覧。