山崎怜奈「全部ホルモンのせい」。産婦人科医の対談で見えてきた、女性の不定愁訴
たかお・みほ/医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。〈イーク表参道〉副院長。ヨガ指導者。婦人科診療やメディアでの発信を通して女性の悩みに寄り添う。
やまざき・れな/1997年、東京都生まれ。2022年乃木坂46を卒業。TOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』でラジオパーソナリティを務める。HanakoWebで『山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」』連載中。
カラダの不調は女性ホルモンと関係があるんですか?
10代の頃から重い生理痛に悩み、さまざまな不調を抱えてきた山崎さん。23歳で低用量ピルに出会い、人生が変わったという。
(以下Y)
ラジオの生放送中に脂汗をかいて生理痛に耐えていたら、見かねた番組の女性スタッフが婦人科の受診を勧めてくれたんです。
(以下T)
それでピルを使い始めたんですね。もっと早く出会いたかった?
本当に! 一番驚いたのは10年以上悩んできたニキビがピタッとなくなったこと。これまで自分の何がいけないのかをずっと考え続けて、食生活を見直し、皮膚科に通った。でも、そもそも私が行くべきところは婦人科だったんか!って(笑)。
自分を責めなくていいんです。全部ホルモンのせいだから。女性特有の月経周期にはエストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンが影響していて、これらが増減するタイミングでさまざまな不調が起きます。上の図をみてわかる通り、女性は年代によりホルモンの分泌量が変化し、経験する悩みも変化します。今、自分がどのタームにいて、どんなトラブルを抱えているのか、それを知ることがまず第一です。
知識の共有は運任せ?
私が今、悩んでいるのは生理痛とPMS(月経前症候群)。ピルで経血量を減らせたり、PMSに効果があることも、服用するまで知りませんでした。そういう情報って生きる術すべなのに、なぜかタブー的な扱いをされていて、能動的に調べなきゃわからない。必要な知識の共有が運任せのようになっているのって、おかしいと思います。
ピルに関していうと、日本で処方され始めたのは1999年で、欧米では1960年。その時点ですっごく遅れてます。当初、避妊目的で導入されて、日本はいまだにその段階で止まっている人が多いから、正しい効能・効果が周知されず、根強い偏見もある。
私の母は50代後半なので、10〜20代の頃にピルの選択肢はなかったということですよね。今の私には考えられません!
自分の人生をデザインできる。
世界に目を向けると、自分がいつ子どもを産むかを決める感覚で、10代からバースコントロール目的でピルを始める人が多い。ピルは排卵を止め、内膜が厚くなるのを防ぎ、子宮内膜症の予防にもなる。内膜症は発症すると不妊や閉経後のがんのリスクも上がります。たとえ出会いは避妊目的でも、長い目でみれば、たくさんの恩恵を受けることができる。今の悩みにどう対処するかが、実は将来の自分にも繋がっていくんですよね。
私も過去の自分にもっと選択肢があることを教えたかったです。日本に根付く「我慢は美徳」の価値観も問題ですよね。
月に数日生理痛を我慢するのは、年で換算すると2カ月くらい不調ということですからね。
それってすごくきつい。学校の性教育は生理の仕組みだけでなく、不調の種類と対処法まで指導要領に入れるべき。
今は生理の不調も更年期も治療できますから。女性ホルモンを知ればもっと自分の人生をデザインしやすくなるはずです。
生理があるから人が生まれるし、人がいるから社会ができる。女性の不調は社会全体の課題。もっと体の悩みをカジュアルにシェアできる社会になればいいなと思います。