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しんたろーさんの映画レビュー・感想・評価

しんたろー

しんたろー

CURE キュア(1997年製作の映画)

4.2

バイオレンスな映像にミスマッチな軽薄で楽観的な音像を重ねながらも、印象的でどこか違和感を感じるカットを随所に挟みながら淡々と進行するストーリー展開が、サイコスリラーとしての気味悪さと不穏な空気を増長し>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

4.0

若さ故のぶつけどころのないフラストレーションとマネジメント出来ずに零れ落ちてしまう行き場のないエネルギーのせいで所謂メンヘラ的な女として片付けられるであろうカナという存在をあまりにも達者に圧倒的に演じ>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.9

戦争の最中、自身の大望のために動く冷静沈着な夫と、その夫をあまりにも盲信的に狂気的に愛し添い遂げる妻。
スパイという単語を聞くと、漫画やかの有名な映画シリーズなんかを想起してしまうが、派手なアクション
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

4.0

報道やワイドショーの切り貼りで知った気になっていたけれど、改めてそこで何が起きていたのかを知るという点において、これは史実として、しっかりと目に焼き付けなければいけないことであり、自分が知っていた事実>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.1

元々の原作漫画の持つ空気感と絶妙な設定に野木亜紀子脚本と綾野剛が演じる狂児がそれはそれは上手いことハマって、なんとも言い難いちょうどいい塩梅の上質なコメディ映画となっている。
真面目な顔して真剣にやる
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

4.2

誰にも聞こえない声で叫び続けるクジラのように目に見えないSOSを出し続ける存在達が、それでもその52ヘルツの音を感じ取って孤独からそっと救い出してくれる魂のつがいを求め、諦め、失い、再び前を向くまでの>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.5

順行と逆行。パラレルワールドとも違った同一世界線上で複数の時間軸を応酬させることによって産み出すカオティックな映像演出。
「メメント」や「ダンケルク」でも言及していたタイムパラドックスに相対性理論を応
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.1

復讐が復讐を生み、執念と憎悪がぶつかり合う、クレイジーでカオティックでバイオレンスな怪作。
突拍子もない展開からの目眩くどんでん返しの応酬までのジェットコースタースピードで駆け抜けるあたりは、もはやス
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正体(2024年製作の映画)

4.8

一家惨殺事件の犯人として死刑囚となった鏑木慶一が何か意図を持って脱獄を図るシーンから始まり、ラストシーンに至るまで、息つかせぬスピード感とテンポでストーリーを目まぐるしく展開させながらも、しっかりと時>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.6

中国の小説の映画化で製作陣にも割と中華系の人が名を連ねているからか、本編に全く関係ない中華味全開で始まる冒頭シーンやBGM、真骨頂のサイコパス岡田将生とそれに対峙する少年サイコパスの胸糞悪さの振り切り>>続きを読む

ブルーピリオド(2024年製作の映画)

3.7

もちろん、一映画作品として観た感想だけで話すのがある種筋だということは前提として、入学試験の絵画に対する静かに沸る熱量やアートに対する全編を通してのリスペクトのようなものにはとても好感を持てたし、つま>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.0

現実世界で亡くなってしまったチャドウィック・ボーズマンと地続きが如くティ・チャラそしてブラックパンサーの喪失を哀しみ追悼する前半から、失ったものを糧に再生するシュリを中心としたワカンダ復興の物語。
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

音楽も小説もカメラも携帯も古き良きを慈しみ、仕事終わりの嗜む程度の酒と肴や銭湯での束の間の休息に幸せを見出す、そんな何の変哲もない寡黙で丁寧なトイレ清掃員の中年男性の何も不思議なことや突飛なことが起こ>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

4.5

あの時こうしていれば、あの時こうしていなければ、と後悔と自責の念に駆られるバタフライエフェクトな藤野の思いはたった一つの4コマ漫画の1コマ目の切り取りをインターステラーよろしくなドアの向こうのパラレル>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.2

たった2週間程度のホリデイに違った境遇で不運にも同じ場所で過ごさなければいけなくなってしまった3人の不器用で愛おしい心の通い合いをつかず離れずの絶妙な距離感で年齢や性別や国籍やバックグラウンドとかを超>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.1

語られない史実を掘り出して焦点を当てることに関してクリントイーストウッドは頭ひとつ抜けた才覚を持ち合わせているので、こと今作に関しても人間ドラマとして素晴らしい描き方をしているのは言うまでもない。
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

3.7

奇妙奇天烈なエッセンスはしっかりと加えつつ、突拍子もないほどに飛ばさない塩梅と、違和感とノイズを随所に散りばめながら進行していく終始漂う雰囲気は、黒沢清監督の世界観そのものなのだろうな、と感じつつ、た>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

5.0

みんな普通だし、みんな違う。
自分の価値観で、狭い世界で物事を見ているから、その枠内からはみ出たものに対して、嫌悪を示してしまう。それがいけないことなのではなくて、それは致し方のないこと。尺度の深さも
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.3

人は誰しも多かれ少なかれ生きづらさみたいなものを抱えながら生きていて、自分の両手を広げた狭い世界のことで皆必死だし、懸命に日々過ごしている。パニック障害やPMSといった病気を理解してほしかったり、同情>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

4.9

例えば未曾有のウイルスが世界を席巻したことにより、多くの人が死に、混乱し、世界の様相が変わってしまったように、例えば思想の行き着く先が過剰なまでの暴力の成れの果てとなり、武力行使にて解決すると勘違いす>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.7

漫画原作のファンとして、かなり贔屓目に見ていることは否めないかもしれないし、原作を頭に入れている前提だから時間軸やかなり色んな事象が折り重なって入り乱れているこの状況に対応できているだけかもしれないが>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.9

日常の中に潜むタイムループという、虚構過ぎないSFの描き方という点でどうしても「MONDAYS」と比較してしまうのだけれど、ループが起きていることの受けいれるスピードや、ループの頻度の多さの中でドタバ>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

4.5

いつ誰の身に起こるかわからない、あまりにも惨たらしく辛すぎる事件とそこに不運にも巻き込まれてしまった被害者家族、そしてその事件を伝えること、それが一縷の望みに繋がると信じて追い続ける一人の記者。
偏向
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.7

3時間という長さをほとんど感じさせない、(むしろ逸子のバックグラウンドを描くのであれば足りないくらいだ)世界観と空気感で岩井俊二ワールドに惹き込む引力は今作でも健在だし、YEN TOWN BANDとし>>続きを読む

ワンダフルライフ(1999年製作の映画)

3.8

ファンタジーな世界観をドキュメンタリータッチで撮り進めていく演出のミスマッチがクセになる是枝監督初期作。
まだまだ荒削りな中に、やはり何かしらの光るものがあるというか、一気にその空気感に引き込む言葉に
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

5.0

圧巻。圧倒的。大号泣。総じて完璧。
この世の最高峰に君臨する原作とはいえ、30年以上前の作品の持つ熱量を原作者自らの脚本と演出によって、進化した技術をもって、現代に蘇らせるどころか、より高みへと持って
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Love Letter(1995年製作の映画)

3.8

ラストレターで感銘を受けた手紙を使ったやり取りや、一人二役の見せ方の原点は確かにここにあったんだと確信できたし、岩井俊二ならではの空気感や台詞の言い回し、少し突拍子もないキャラクターがスパイス的に登場>>続きを読む

明日の食卓(2021年製作の映画)

3.9

三者三様で子どものためを思い、子どもを愛し、良き家族を築き上げ守っていくために生きているはずなのに、些細なことで、小さなことの積み重ねで、そんな大切なものが崩れ落ちていってしまうのは一瞬の出来事で。>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.6

あまりにも秀逸すぎるタイトルと、それに負けることのない感情の機微の演出とハッとさせられる数々の言葉。
喪失に嘆き悲しむのではなく、喪失を以てして気付いてしまった自分の小ささや愚かさ、不甲斐なさに向き合
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百花(2022年製作の映画)

3.7

記憶の物語。
どうしたって過去の傷や自身が受けた傷みの記憶は嫌なほどに鮮明に且つ自ずと誇張されて染み付いてしまうもので、さりげなくて些細な、本当はそれこそが幸せの原風景だったりするはずなのに、そんなこ
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ステップ(2020年製作の映画)

4.2

本当に優しくて温かくて、純粋に単純に人間の良いところだけをギュッとしていて、重松清原作と聞いて納得ではあるのだけれど、最近は切なさや哀しさよりもこういった温もりに触れると涙が止まらなくなってしまう。>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

4.3

好き合う恋や愛ではなくなんと形容すれば良いかわからない、歪で、それでいて純粋で、当事者にしか知り得ない感情と、そこに蔓延るのはいつだって、いつの時代だって、偏見と先入観を先頭に据えた、受け入れ難い事象>>続きを読む

渇水(2023年製作の映画)

3.7

停水を宣告する水道局員がその過程でさまざまな事情を抱えた住民たちと出会い、葛藤するという着眼点には、まだまだそんな切り口があったか、と感心させられたし、全体のストーリーも割とコンパクトに纏めていて悪く>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.6

ドラマ版から一転、熱血営業マンとしての宮本浩ではなく、一人間、”個”としての宮本浩にフォーカスをあてている今作。
不愉快極まりなく凄惨であまりにも哀しい事件をきっかけに、漢、宮本浩、一世一代の大勝負に
>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.2

愛欲渦巻く三角関係と打算入り混じる心理戦。なんてことない中身のないストーリーのはずなのに、のめり込めばのめり込むほどに嘔吐しそうなくらい脳を揺らされるカメラワークと一瞬でも目を離せば混乱し気が狂いそう>>続きを読む

ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

4.4

ゆとり世代という切り口に当てはめずとも、その時代時代の情勢やトレンドにこのパッケージを当てはめていけばおそらく一生続けていくことが出来るもはやソフトを超えてハード、フォーマットになり得る設定とキャラク>>続きを読む