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10Gigabit Ethernet 【10ギガビットイーサネット】 10GbE / IEEE 802.3ae

概要

10Gigabit Ethernet(10ギガビットイーサネット)とは、LAN(構内ネットワーク)などで用いられるイーサネット(Ethernet)の標準規格の一つで、最高10Gbps(ギガビット毎秒)の速度で通信できる規格群。ほとんどの仕様が光ファイバーケーブルを用いる。

オリジナルの10Mbpsメガビット毎秒)のイーサネット100MbpsファストイーサネットFast Ethernet)、1GbpsギガビットイーサネットGbEGigabit Ethernet)に続く第4世代の通信方式で、2002年に最初の規格が標準化された。

LANだけでなくSANストレージエリアネットワーク)や通信事業者間のバックボーン回線などのWAN広域ネットワーク)としても用いられる。WAN向けの物理層の仕様はWAN PHYと呼ばれ、正確にはLAN向けと異なり9.2942Gbps通信する。

多くの仕様はギガビットイーサネット以前のものと共通するが、初期のイーサネットで特徴的だった半二重通信の際の信号衝突に対応するCDMA/CD仕様が正式に削除され(GbEでもすでに実質的に利用されていなかった)、送受信に別々の伝送路を用いる全二重通信のみに対応する。

利用する光ファイバー回線の種類や伝送距離などの違いから複数の規格が定められており、用途や機器の対応状況に応じて使い分けられている。規格名は従来の標準と同様「10GBASE-○○」の略号で表され、通常のLAN向けの10GBASE-Rシリーズ(10GBASE-SRなど)、WAN向けの10GBASE-Wシリーズ(10GBASE-SWなど)、複数の信号を多重化した10GBASE-Xシリーズ(10GBASE-LX4など)の3系統に大別される。

2006年には従来規格のように銅線ケーブルツイストペアケーブル)を用いる10GBASE-TIEEE 802.3an)が追加された。カテゴリ7の4対8芯(8線)のケーブルを用いて100mまでの距離を接続することができ、従来規格と共通のRJ-45コネクタ機器と接続する。ネットワークスイッチなどはGbE以前の規格と両対応になっていることが多いため、同一ネットワークに旧方式の機器と混在させて徐々に切り替えていくことができる。

10GBASE-W

10Gigabit Ethernet規格のうち、WAN広域通信網)向けの3つの規格(SW/LW/EW)の総称。IEEE 802.3aeで定められている。伝送速度は9.95328Gbpsで、符号化に64B/66B方式を用いるため、実際のデータ通信速度は9.2942Gbpsとなる。

通信速度が10Gbpsとならないのは、すでにWAN向けに広く利用されている光ファイバー通信の規格であるSONET/SDHとの親和性を高めるためで、SONETのOC-192の通信速度に合わせたためにこのようになった。SONETフレームに埋め込むためのWIS(WAN Interface Sublayer)という方式も定義されている。

10GBASE-SW

10GBASE-Wシリーズの一つで、マルチモード光ファイバーを用いて、波長850nmの光で300mまでの距離を通信できるものを10GBASE-SWという。「SW」のSは "Short range"、すなわち短距離を意味する。

10GBASE-LW

10GBASE-Wシリーズの一つで、シングルモード光ファイバーを用いて、波長1310nmの光で10kmまでの距離を通信できるものを10GBASE-LWという。「LW」のLは "Long range"、すなわち長距離を意味する。

10GBASE-EW

10GBASE-Wシリーズの一つで、シングルモード光ファイバーを用いて、波長1550nmの光で40kmまでの距離を通信できるものを10GBASE-EWという。「EW」のEは "Extended range"、すなわち超長距離を意味する。

10GBASE-X

10Gigabit Ethernet規格のうち、比較的低速の伝送路を4本束ねて10Gbpsを実現する方式の総称。光ファイバーを用いる10GBASE-LX4、銅ケーブルを用いる10GBASE-CX4がある。

10GBASE-LX4

10GBASE-Xのうち、光ファイバーに4つの異なる波長の信号を流して合計で10Gbps伝送速度を得るもの。IEEE 802.3ae規格の一部として定められている。

WDM波長分割多重)技術を使い、1310nm前後の4つの波長の光を多重化して通信する。一つの波長で3.125Gbpsを伝送でき計12.5Gbpsとなるが、符号化に8B/10B方式を採用しているため、実際のデータ通信速度は10Gbpsとなる。

マルチモード光ファイバーの場合は300mまで、シングルモード光ファイバーでは10kmまで伝送できる。主にLAN構内ネットワーク)向けに用いられる。

10GBASE-CX4

10GBASE-Xのうち、4回線の金属ケーブルを束ねて合計で10Gbps伝送速度を得るもの。IEEE 802.3akとして標準化されている。

Infinibandなどで用いられる片方向あたり2軸の信号線を4対束ねた同軸ケーブル(双方向で計16本)を用いて通信する。各対は3.125Gbpsの速度で独立に信号を伝送でき計12.5Gbpsとなるが、符号化に8B/10B方式を採用しているため、実際のデータ通信速度は10Gbpsとなる。

伝送距離は15mまでで、装置が安価でケーブルの取り回しが容易なため、同じ什器内などで近接して設置されたサーバや通信機器間の接続に用いられる。

(2019.1.4更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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