イオンフィナンシャルサービスは2025年6月をめどに、コード決済「AEON Pay(イオンペイ)」と電子マネー「WAON(ワオン)」を統合する。AEON PayとWAONを統合したスマートフォンアプリによって実現する。累計発行枚数が1億枚を超えるWAONの会員をAEON Payに取り込むことで、2026年2月末までをめどにAEON Payの会員数を2000万人に引き上げ、先行するPayPayなどを追う。

 統合アプリによって、ユーザーは利用店舗でAEON Payのコード決済とWAONの非接触ICによるタッチ決済を使い分けやすくなる。併せて、アプリ画面上のスライドバーを左右に操作するだけで、双方のプリペイド残高を簡単に移行できるようにする。

イオンフィナンシャルサービスが開発中のスマートフォンアプリ。中央の「移す」ボタンを左右にスライドするだけで、AEON PayとWAONの間で残高を移行できる
イオンフィナンシャルサービスが開発中のスマートフォンアプリ。中央の「移す」ボタンを左右にスライドするだけで、AEON PayとWAONの間で残高を移行できる
(写真:日経クロステック)
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 WAONは国内の主要な電子マネーサービスの1つとしてイオングループの店舗を中心に広がり、2025年1月末時点の累計発行枚数は1億591万枚、利用可能箇所は約148万2000カ所に上る。一方のAEON Payは、利用可能箇所は2024年11月末時点で約237万カ所とWAONを上回るが、会員数は1123万人にとどまり、ユーザー数6700万人(2024年12月時点)のPayPayなど、通信事業者系のコード決済サービスを追う立場となっている。統合アプリによりWAONの既存会員をAEON Payに取り込み、イオングループの金融サービスの拡大につなげる考えだ。

 このほかイオンフィナンシャルサービスは、2026年2月までにAEON Payで掌紋・静脈認証による決済サービスを始める。イオングループの店舗のレジなどにリーダーを設置。リーダーのステレオカメラで手のひらの掌紋と静脈のパターン、血流の生体反応を基に消費者を認証して決済する。消費者がスマホやICカードなどを使うことなく、かつ非接触ICと同様の迅速さで決済できることを特徴とする。決済の利便性を高めることで、消費者の来店機会の増加などにつなげる。

開発中の掌紋・静脈認証リーダー。認証時間の短さを特徴とする
開発中の掌紋・静脈認証リーダー。認証時間の短さを特徴とする
(写真:日経クロステック)
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