このGolf2は驚くほど高価だ。わずか5,000台しか生産されなかった「Rallye Golf」。いまでは、ホモロゲーションモデルがコレクターズアイテムとして人気を集めていることは明らかだ。この個体は市場で最高のものといわれている!
※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。
7万ユーロ(約1,200万円)を超えるGolf2?このRallye Golf(1990年)は、わずか5,000台しか製造されなかったうちの1台であり、ポルシェと同じくらいの価格だといわれている!
コレクターの間では、このクルマはすでにインサイダーの間だけの情報ではなくなっている。価格はここ数年上昇し続けているが、本当に良い状態のものはめったに売りに出されることがない。しかし、Rallye Golfがこれほど特別である理由とは?
1989年から1991年にかけて、ラリー用ホモロゲーションモデルとして、Golf2の特別仕様車が正確に5,000台製造された。この目的のため、1.8Lエンジンの排気量は1781ccから1760ccに縮小され、3,000ccクラス(ターボチャージャーによる補正係数)での競争が可能になった。同時に、4気筒エンジンにはGラーダ(スクロール型スーパーチャージャー)が搭載され、出力は160PSに引き上げられた。
この特別モデルはほぼオリジナルの状態を保っている。「Supersprint」のエキゾーストシステムなどの小規模な改造は、H認証に準拠している。
Rallye Golfは、ワイド化されたフェンダーとサイドパネル、そして「Jetta」由来の角張ったヘッドライトによって識別できる。注目すべきは、大幅な改造にもかかわらず、標準のドアがそのまま使用されていることだ。特別仕様車は3ドアモデルのみで、15インチのアルミホイール(セブリング)を装備したシンクロ(4WD)仕様だった。スポーツサスペンションとダイヤモンドパターンファブリックのスポーツシートが標準装備されていた。1989年の当初の価格は46,500ドイツマルク(約390万円)で、これは当時のGolfとしては法外な価格だった。
スペインで過ごした日々
しかし、25年が経過したいまでも、この珍しいRallye Golfは掘り出し物扱いされている。広告に載っているものは、ほぼ例外なく5万ユーロ(約825万円)台の価格が付けられている。ここでいっているのは、ほとんど走っていないコレクターズアイテムではなく、通常は走行距離が100,000km以上に達しているクルマであり、改造が施されていることも珍しくない。
だが、その例外の1台が、ディーラー、「Tano Neumann GmbH」が提供する、このトルネードレッドのRallye Golfだ。1990年にスペインに納車され、乾燥した温暖な気候のおかげで、このホモロゲーションモデルには錆びがない。また、この車種では珍しく、事故歴もないといわれている。
タコメーター(残念ながら私たちが探していた“Digifiz”コックピットではないが)は、約224,000kmを示しているが、このクルマはそれほど走行したようにはまったく見えない。これは、このGolfが完全にレストアされ、ディーラーによると、新品同様の状態だからだ。レストアにあたってはオリジナルであることが非常に重視され、過激なチューニングは施されていない。外観は100%量産時の状態であり、ほとんどの場合交換されている15インチのホイールさえオリジナルだ。そのため、この希少なRallye Golfが歴史的車両として登録されたのも当然だ。
エンジンオーバーホールの際、4気筒エンジンには新しいGラーダと鍛造ピストンが装備されたが、それ以外は改造されていない。Rallye Golfにはサンルーフなしのスイス向け限定生産車(50台)が存在するが、このRallye Golfはその1台だ。
Golf2としては最高レベルの価格
視覚的にも技術的にも、このRallye Golfは市場に出回っている数少ない例の中でも最高級品であると思われる。そのことは価格にも反映されている。72,000ユーロ(約1,200万円)という価格で、このRallye Golfは現在の中古車市場で最も高価なGolf2だ。
結論
Golf2が7万ユーロ(約1,200万円)以上? 狂気じみているように聞こえるかもしれないが、このRallye Golfはおそらく市場で最高の固体だ。ここ数年の価格推移を見れば、今後は市場に出回るRallye Golfが安くなることはないということがすぐにわかるだろう。
(Text by Jan Götze / Photos by Tano Neumann GmbH)