史的イエスの資料(してきイエスの しりょう)では、歴史上の人物としてのイエス(史的イエス、ナザレのイエス)に関する資料について説明する。 新約聖書のようなキリスト教資料にはイエスに関する詳細な物語が含まれているが、新約聖書に描かれているイエスについての各挿話が史実かどうかは学者間で見解が異なる。学者の見解がほぼ一致するのは、イエスが洗礼者ヨハネから洗礼を受けたことと、ローマ属州総督ピラトの命令で磔(はりつけ)にされたことだけである。 史的イエスに関するキリスト教以外の資料には、ヨセフスなどのユダヤ人の資料やタキトゥスなどのローマ人の資料がある。これらの資料はパウロの手紙や共観福音書などのキリスト教資料と比較される。これらの資料は通常たがいに独立している。例えばユダヤ人の資料はローマ人の資料に依拠していない。その資料間の類似点や相違点が検証に利用される。 ユダヤ人の学者はイエス研究の状況に関する評論で「すべての、あるいは大半の研究者を納得させてきた単一のイエス像は、一つとしてない。」いずれのイエス像でも一部の学者グループから批判を受けていると述べている。