明細 回転減面ヘッド、 電解減面装置および電解減面方法
技術分野
本発明は、 回転減面ヘッド、 電解減面装置および電解減面方法に関する。 景技补了
一般的に、 H型鋼、 コラム、 角パイプ、 フラットバー等の鋼材はその表面に極め て粗い表面 (酸洗肌) 、 微小表面欠陥層、 溶接変形部等を有する。 この表面を建材 等要求により光沢仕上げ、 へヤーライン仕上げ等を行うには、 前記鋼材の表面を研 磨する必要がある。
例えば鋼材を装飾用に加工するためには、 当該鋼材の表面研磨が行われるが、 精 密な寸法までは要求されない。 すなわち、 このような表面研磨においては、 製造時 に避けられないうねりやトラフ等は残したまま、酸洗肌や微小表面欠陥層を取り除 くための表面光沢生成が行われていることが多い。
当該表面光沢生成として、 例えば砥石研削、 機械研削、 全面不織布低電流密度電 解研磨(全面を不織布で覆われた電解研磨用へッドを用い、低い電流密度の状態下 で行われる電解研磨)等が用いられており、 全面不織布低電流密度電解研磨につい ては、 日立造船技法第 4 2巻第 3号第 1 5〜第 2 2頁 (非特許文献 1 ) に具体的に 記載されている。
しかしながら、 全面不織布低電流密度電解研磨では、 電流密度が低い (例えば、 0 . 0 5〜5 A/ c m2) ため、 研磨力が弱く大きな減面処理が行えない上に、 研 磨の速度が極めて遅く、 その結果、 多大なコストがかかっていた。 他方、 研磨へッ ドの全面を不織布で覆う全面不織布電解研磨を高電流密度(例えば 5〜1 0 O A/ c m2) で行うと水素ガスや、 溶出金属イオンが大量に発生し、 これらを直ちに排 除して電解研磨を継続して行うことができない、 という問題もある。
発明の開示
本発明は、 たとえば H型鋼、 コラム、 角パイプ、 フラットバ一等の鋼材の表面に 存在する、 極めて粗い表面 (酸洗肌) 、 微小表面欠陥層、 溶接変形部等を高速かつ 低コストで減面処理することができる、 回転減面ヘッド、 電解減面装置、 および電 解減面方法を提供する。
また本発明は、 たとえば、 凹部と凸部を同時に減面することを可能とする。 さら に本発明は、 たとえば、 複数の被減面材を並列に減面することを可能とする。 また 本発明は、 たとえば、 わん曲表面における表面欠陥を除去し、 減面時間の短縮を可 能とする。
ここで、 減面とは被減面材 (減面させる対象物) の表面を減らすことを意味し、 具体的には研磨または研削を意味するものである。すなわち、 回転減面ヘッドとは 研磨へッドまたは研削へッドを、減面装置とは研磨装置または研削装置を、 減面方 法とは研磨方法または研削方法を意味するものである。 すなわち、 本発明の第 1の態様は、 へッド台座と回転軸とを有する回転減面へッ ドであって、 前記ヘッド台座の下面に、 2以上の電極部および砥石部が配置されて いることを特徴とする、 回転減面ヘッドである。 当該回転減面ヘッドにおいて、 前 記へッド台座が円盤状であり、 前記へッド台座の下面の外周部に、 前記電極部およ び前記砥石部が配置され、 前記ヘッド台座の下面の中央部に、 前記電極部と前記砥 石部とヘッド台座とで形成される液溜部を有することができる。 また、 前記砥石部 の下面が前記電極部よりも下方向に突出するように、前記電極部および前記砥石部 が前記ヘッド台座に配置されていることが好ましい。 さらに、 前記砥石部が弾性砥 石である、または弾性砥石を含むことが好ましレ^また、前記回転軸が管状であり、 液溜部と連通していることができる。 さらに、 当該回転減面ヘッドは、 電解砥粒減 面に用いることができる。
本発明の第 2の態様は、へッド台座と回転軸とを有する回転減面へッドであって、 前記ヘッド台座の下面に、 2以上の電極部、砥石部およびフレキシブル砥粒ュニッ 卜部が配置されていることを特徴とする、 回転減面ヘッドである。 当該回転減面へ ッドであって、前記へッド台座が円盤状であり、前記へッド台座の下面の外周部に、
前記電極部、 前記砥石部および前記フレキシブル砥粒ユニット部が配置され、 前記 へッド台座の下面の中央部に、前記電極部と前記砥石部と前記フレキシブル砥粒ュ ニット部とヘッド台座とで形成される液溜部を有することができる。 また、 前記フ レキシプル砥粒ュニット部、 前記砥石部、 および前記電極部の下面が、 この順に、 下方向に突出するように、 前記電極部、 前記砥石部および前記フレキシブル砥粒ュ ニット部が前記ヘッド台座に配置されていることが好ましい。 また、 前記回転軸が 管状であり、液溜部と連通していることができる。さらに、当該回転減面へッドは、 電解砥粒減面に用いることができる。
本発明の第 3の態様は、本発明の第 1〜第 2の態様の回転減面へッド、 前記回転 減面へッドに電解液を供給する電解液供給手段、前記電極部に電圧を印加する通電 部、
前記回転減面ヘッドを回転させるヘッド回転モータ、 および、 前記回転減面へッ ドの高さと減面時の圧力を調整するための回転減面へッド昇降手段、を含む電解減 面装置である。
本発明の第 4の態様は、前記第 3の態様の電解減面装置を用いた電解減面方法で あって、被減面材と前記電極部との間に電解液を流しながら前記電極部に電圧を印 加して電解減面を行うことを特徴とする電解減面方法である。
本発明の第 5の態様は、へッド台座と回転軸とを有する電解砥粒減面用回転減面 ヘッドにおいて、 前記ヘッド台座の下面に、 2以上の電極部および砥石部が配置さ れている、電解砥粒減面用回転減面へッドを用いた電解減面方法であって、 前記電 極部と被減面材との間に電解液を流しながら、前記電極部に電圧を印加して電解減 面を行うことを特徴とする電解減面方法である。
本発明の第 6の態様は、へッド台座と回転軸とを有する電解砥粒減面用回転減面 ヘッドにおいて、 前記ヘッド台座の下面に、 2以上の電極部、 砥石部およびフレキ シブル砥粒ュニット部が配置されている、電解砥粒減面用回転減面へッドを用いた 電解減面方法であって、 前記電極部と被減面材との間に電解液を流しながら、 前記 電極部に電圧を印加して電解減面を行うことを特徴とする電解減面方法である。 これらの電解減面方法においては、前記電極部と前記被減面材との間を流れる電 流の電流密度が 5〜1 0 0 AZ c m2であることが好ましい。 また、 前記電極部と
前記被減面材との間を流れる電解液の流速が 5〜 1 0 m/秒であることが好まし レ^
ヘッド台座の材質は特に限定されるものではなく、 ステンレス製、 アルミニウム 製等の台座が用いられる。電極の材質は特に限定されるものではなく、 ステンレス 製、 アルミニウム製、 銅メツキ製、 銅製等の電極が用いられる。 砥石の材質は特に 限定されるものではなく、一般に市販されている通常の砥石を用いることができる フレキシブル砥粒ュニットは特に限定されるものではなく、たとえば弾性体に研磨 布を貼り付けたものをュニットとして用いることができる。また、電解液としては、 電解研磨に一般的に使用される電解液であれば特に限定されるものではなく、硝酸 ソーダ水溶液、 硫酸ソーダ水溶液等を用いることができる。 本発明は、 2以上の電極と砥石部を有する回転減面へッドが鋼材の凹部も凸部も 擦過し、 当該擦過された表面を電解減面することによって、 表面全体を減面するこ とが可能になった。 また本発明によって、 減面力が増大し、 大きな減面処理が可能 となり、 その結果減面速度が向上し、 H型鋼、 コラム、 角パイプ、 フラットバー、 鋼板等の鋼材の表面の酸洗肌、微小表面欠陥層、 溶接変形部等の減面を低コストで 行うことが可能になった。
また、 前記回転減面ヘッドがフレキシブル砥粒ユニットを含むことによって、 さ らに高速かつ低コストでトラフを有する湾曲表面をも減面することが可能になつ た。
さらに、本発明によって、複数の被減面材を並列に減面することが可能となった。 また、 本発明によって、 湾曲表面における表面欠陥を除去できることによって、 短 時間の減面が可能になった。 図面の簡単な説明
図 1 Aは、電極部と砥石部が配置されている電解砥粒減面用回転減面へッド斜視 図である。
図 1 Bは、電極部と砥石部が配置されている電解砥粒減面用回転減面へッドの底 面を示す概念図である。
図 1 Cは、 図 1 Bの A— A線断面図である。
図 2 Aは、電極部と砥石部とフレキシブル砥粒ュニット部が配置されている電解 砥粒減面用回転減面へッド斜視図である。
図 2 Bは、電極部と砥石部とフレキシブル砥粒ュニット部が配置されている電解 砥粒減面用回転減面ヘッドの底面を示す概念図である。
図 2 Cは、 図 2 Bの B— B線断面図である。
図 3は、 減面装置を示す全体図である。
図 4は、回転 面へッドを用いて被減面材を減面する際の電極の作用を示す概念 図である。
図 5は、回転減面へッドを用いて被減面材を減面する際のフレキシブル砥粒ュ二 ッ卜の作用を示す概念図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、本発明にかかる、 電極部と砥石部が配置されている電解砥粒減面用回転減 面へッド、電極部と砥石部とフレキシブル砥粒ュニット部が配置されている電解砥 粒減面用回転減面ヘッド、 電解減面装置および電解減面方法について、 図面を用い て具体的に説明する。 ただし、 本発明は発明を実施するための最良の形態の記載に 限定されるものではない。 電極部と砥石部が配置されている電解砥粒減面用回転減面へッド
まず、 図 1 A〜図 1 Cを用いて、 電極部と砥石部が配置されている電解砥粒減面 用回転減面へッド 2 1 0について説明する。図 1 Aは回転減面へッド 2 1 0の斜視 図、 図 1 Bは回転減面ヘッド 2 1 0の底面を示す概念図、 図 1 Cは図 1 Bの A— A 線断面図である。
図 1 A〜図 1 Cにおいて、電極部と砥石部が配置されている電解砥粒減面用回転 減面へッド 2 1 0は、 へッド台座 2 1、 回転軸 2 2、 および、 へッド台座に設けら れた電極 2 5 a〜2 5 f と、砥石 2 6 a〜2 6 ίとを有する。 回転軸 2 2は中空の 構造であり、 電解液を通すための管部 2 3を有する。 また、 へッド台座 2 1と回転 軸 2 2とは一体成型されている。
図 1 Bが示すとおり、底面が円形のへッド台座 2 1上の円周に沿って電極 2 5お よび砥石 2 6が順に配置され、その中央部には凹状の液溜部 2 4が設けられている c 管部 2 3に流れてきた電解液が液溜部 2 4に流れるように、液溜部 2 4は管部 2 3 とは連通している。 通常、 電極 2 5および砥石 2 6のセットをこの順に配置し、 当 該セットを複数回繰り返すように、へッド台座 2 1上の円周部の全体を覆うように 配置される。
図 1 Cは図 1 Bの A— A線断面図である。 図 1 Cにおいて、 説明のために、 被減 面材 9が回転減面へッド 2と向き合う様子を示した。
図 1 Cは、 電極 2 5、 砥石 2 6のへッド台座 2 1への取付状態、 および被減面材 との位置関係を示すものである。 したがって、 図 1 Cには被減面材 9も一緒に図示 する。
図 1 Cに示すように、 電極 2 5および砥石 2 6は、 砥石 2 6の下面 (被減面材 9 に向き合う面)が被減面材 9に近く、 電極 2 5の下面が被減面材 9と接触しないよ うに配置される。 なお、 当該配置は減面していないときの状態を示すものである。 ここで、 6つの電極 2 5 a〜2 5 f は、 導電時の電流密度を一定に保っためにそ れぞれ同じ高さになるように配置されることが好ましい。また砥石 2 6 a〜2 6 f は、 減面精度を一定にするために、 それぞれ同じ高さになるように配置されること が好ましい。
このように、砥石 2 6を電極 2 5よりも高く配置することにより、 電極 2 5と被 減面材 (非図示) との間に所定の距離を保つことができ、 電解減面中に発生し得る 電極と被減面材(非図示) との間のスパークを防止すると共に電解液の流路を確保 することができる。
本発明で用いられる電極 2 5としては、電解減面で用いられるものであれば特に 限定されないが、 たとえば、 ステンレス等を用いることができる。 また、 本発明で 用いられる砥石 2 6としては、 一般に市販されている通常の砥石が用いられる。 ま た、電極部と砥石部が配置されている電解砥粒減面用回転減面へッド 2 1 0で用い られる砥石 2 6は弾性砥石であることが好ましい。
当該回転減面へッド 2 1 0を用いることによって、 特に 0 . 1 mm以下のトラフ を効率よく減面することができる。
電極部と砥石部とフレキシブル砥粒ュニット部が配置されている電解砥粒減面 用回転減面へッド
次に、 図 2 A〜図 2 Cを用いて、電極部と砥石部とフレキシブル砥粒ユニット部 が配置されている電解砥粒減面用回転減面へッド 2 2 0について説明する。図 2 A は回転減面へッド 2 2 0の斜視図、図 2 Bは回転減面へッド 2 2 0の底面を示す概 念図、 図 2 Cは図 2 Bの B— B線断面図である。
図 2 A〜図 2 Cにおいて、 回転減面ヘッド 2 2 0は、 ヘッド台座 2 1、 回転軸 2 2、 および、 へッド台座に設けられた電極 2 5 a〜2 5 f と、 砥石 2 6 a〜2 6 f と、 フレキシブル砥粒ュニット 2 7 a〜 2 7 f を有する。 。 回転軸 2 2は中空の構 造であり、 電解液を通すための管部 2 3を有する。 また、 へッド台座 2 1と回転軸 2 2とは一体成型されている。
図 2 Bが示すとおり、 底面が円形のへッド台座 2 1上の円周に沿って電極 2 5、 砥石 2 6およびフレキシブル砥粒ュニット 2 7が順に配置され、その中央部には凹 状の液溜部 2 4が設けられている。管部 2 3に流れてきた電解液が液溜部 2 4に流 れるように、 液溜部 2 4は管部 2 3とは連通している。 通常、 電極 2 5、 砥石 2 6 およびフレキシブル砥粒ュニット 2 7のセットをこの順に配置し、当該セットを複 数回繰り返すように、 へッド台座 2 1上の円周部の全体を覆うように配置される。 なお、 電極部、 砥石部およびフレキシブル砥粒ユニット部の配置順は問わない。 図 2 Cは図 2 Bの B— B線断面図である。 図 2 Cにおいて、 説明のために、 被減 面材 9が回転減面へッド 2 2 0と向き合う様子を示した。
図 1 Cと同様に、 図 2 Cは、 電極 2 5、 砥石 2 6およびフレキシブル砥粒ュニッ ト 2 7のへッド台座 2 1への取付状態、および被減面材との位置関係を示すもので める。
図 2 Cに示すように、 電極 2 5、砥石 2 6およびフレキシブル砥粒ュ二ット 2 7 は、 フレキシブル砥粒ュニット 2 7の下面 (被減面材 9に向き合う面) が最も被減 面材 9に近く、 それについで砥石 2 6の下面が被減面材 9に近く、 電極 2 5の下面 が被減面材 9と最も遠くなるように配置される。換言すれば、 ヘッド台座 2 1の下 面 (被減面材 9に向き合う面) から、 フレキシブル砥粒ユニット 2 7、 砥石 2 6、 電極 2 5の順に下方向 (被減面材 9の方向) に突出するように電極 2 5、 砥石 2 6
およびフレキシブル砥粒ュニット 2 7が配置される。なお、 当該配置は減面してい ないときの状態を示すものである。
また、 回転減面へッド 2 2 0の特徴の 1つは、電解減面を行う面を構成する部材 として、電極部と砥石部に加えてフレキシブル砥粒ュニット部を用いることにある。 ここで用いられるフレキシブル砥粒ュニット部は、 弾性を有するために、被減面材 の表面の凹凸とくに凹部の減面を効率的に行うことができる。そこで、本発明で用 いられるフレキシブル砥粒ュニット 2 7としては、 たとえば、 発泡ゴム等の弾性体 2 7 1に減面布 2 7 2を貼り付けたュニットである。
特に言及しない限り、 へッド台座 2 1、 回転軸 2 2、 管部 2 3、 液溜部 2 4、 電 極 2 5 a〜 2 5 f 、砥石 2 6 a〜 2 6 ίは、電極部と砥石部が配置されている電解 砥粒減面用回転減面へッド 2 1 0の構成と同様である。
電解減面装置および電解減面方法
次に、 図 3及び図 4に基づいて、電極部と砥石部とフレキシブル砥粒ユニット部 が配置されている電解砥粒減面用回転減面へッド 2 2 0を用いた電解減面装置お よびそれを用いた電解減面方法を説明する。
図 3は、 本発明の減面装置 1を示す全体図である。 図 4に示すように、 減面装置 1は主に、 回転減面ヘッド 2 2 0、 電解液供給部 4、 通電部 5、 絶縁カップリング 6、 ヘッド回転モータ 7および昇降装置 8を有する。
電解液供給部 4は、 電解液に所定の圧力を加えて、 回転減面ヘッド 2に電解液を 供給する手段である。 これによつて、 図 4に示すように回転減面ヘッド 2の回転軸 2 2を通じて液溜部 2 4に電解液が供給される。 電解液としては、 例えば、 硝酸ソ 一ダ水溶液、 硫酸ソ一ダ水溶液等を用いることができる。
また通電部 5によって、回転減面へッド 2 2 0の電極 2 5と被減面材 9との間に 電位差を生じさせ、 それらの間を流れる電解液に所定の電流密度の電流が流れる。 絶縁カップリング 6は、 電流漏洩防止のための手段である。 また、 ヘッド回転モー 夕 7の回転力が回転減面へッド 2 2 0に伝わるように、両者は直接的または間接的 に連結されている。
被減面材 9は回転減面へッド 2 2 0の下方に対面するように置かれ、昇降装置 8 によって回転した回転減面へッド 2 2 0を被減面材 9に所定の圧力で押圧し、被減
面材が電解減面される。
次に、 図 4および図 5を用いて、 回転減面ヘッド 2を有する電解減面装置 1によ る被減面材 9の電解減面方法を説明する。
回転している回転減面へッド 2 2 0が昇降装置 8によって下降し、被減面材 9に 所定の圧力で接触させることによって、 電解減面が行われる。
上述のとおり、 回転減面ヘッド 2 2 0の底面には、 電極 2 5、 砥石 2 6およびフ レキシブル砥粒ュニット 2 7が設けられそれら 3つの部分によって減面が行われ る。
以下、 電解減面について上記 3つの部位に分けて説明する。
( 1 ) 電極
図 4は、 回転減面へッド 2 2 0の中心軸(回転軸) と電極 2 5を含む面とを切断 面とした断面図の一部であり、回転減面へッド 2 2 0を用いて被減面材 9を減面す る際の電極 2 5の作用を示す概念図である。
図 4に示された矢印は電解液の流れる様子を示している。すなわち回転減面へッ ド 2 2 0が取り付けられる減面装置 1の電解液供給部 4から供給された電解液が、 回転軸 2 2中の管部 2 3を通って凹状の液溜部 2 4に供給されるように、管部 2 3 と液溜部 2 4とが連通している。液溜部 2 4に供給された電解液は、電解液供給部 4で印加される圧力と遠心力によって、所定の流速で電極 2 5と被減面材 9との間 の間隙を流れる。前記流速は、 電極 2 5の表面や被減面材 9の表面から生成される 水素や電解排出物を直ちに排除されるように、 5 ~ 1 0 m/秒であることが好まし く、 6〜 7 m/秒であることがさらに好ましい。
また、 たとえば電極 2 5に陰圧を、 被減面材 9に陽圧を印加することによって、 電極 2 5と被減面材 9との間の電解液における電流密度が 5〜 1 0 0 A/ c m2と なるように電流が流れる。 前記電流密度は、 1 0〜4 O A/ c m2であることがさ らに好ましい。 この電流によって電極 2 5の表面から水素が発生し、 被減面材 9の 表面からは電解溶出物が生成されるが、 これらの水素や電解溶出物は電解液と一緒 に排出される。
( 2 ) 砥石
上述のとおり、へッド台座 2 1に配置された砥石 2 6は電極 2 5よりも被減面材
9に近接するように配置されている。 ここで、 砥石 2 6は圧力によって変形しにく いため、 減面の際に、 昇降装置 8によって被減面材 9に圧力を加えられても、 電極 2 5と被減面材 9との間に所定の距離を保つことができ、電解減面中のスパークを 防止すると共に電解液の流路を確保することができる。
( 3 ) フレキシブル砥粒ュ二ット
図 5は、 回転減面へッド 2 2 0の中心軸 (回転軸) とフレキシブル砥粒ュニット 2 7を含む面とを切断面とした断面図の一部であり、回転減面へッド 2 2 0を用い て被減面材 9を減面する際のフレキシブル砥粒ュニット 2 7の作用を示す概念図 である。具体的には、 フレキシブル砥粒ユニット 2 7が昇降装置 8からの圧力によ り圧縮変形され、 被減面材 9に接触している様子を示している。
このように、回転減面へッド 2 2 0は砥石 2 6に加えてフレキシブル砥粒ュニッ ト 2 7を有するため、被減面材 9の表面にある凸部と凹部を同時に電解減面するこ とができる。
また、本発明の回転減面へッド 2 2 0の底部全面に不織布で覆い、 電解減面を行 うことも可能である。 実施例
以下、実施例により本発明にかかる研磨ヘッドを用いて、 本発明をさらに具体的 に説明する。 但し、 本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例 1 )
研磨ヘッド (電極部 +砥石部)
研磨ヘッド直径 2 4 0 mm
電極 アルミ合金製
砥石 弾性砥石
研磨へッド回転スピード 4 5 0 r p m
研磨ヘッドに加えられる圧力 l k g Z c m2
電解液 3 0重量%濃度の硝酸ソーダ水溶液
電解液の流速 6 mZ秒
電流密度 2 1 AZ c m2
上記条件の下で、 市販されている SUS304製フラットバ一 (断面サイズ: 6 X 5 0 mm, トラフ: 0. 0 7 mm) (酸性肌) を 1パス研磨した。 研磨の前後の R a (中心線平均粗さ ( m) ) と Ry (最大粗さ ( m) ) とトラフを測定した。 測 定結果は次の通りである。 表 1
また、研磨前に目視で認められた酸洗肌は、研磨後の表面には確認できなかった
(実施例 2 )
研磨へッド (電極部 +砥石部 +フレキシブル砥粒ュ二ット部)
研磨ヘッド直径 240mm 砥石 弾性砥石
フレキシブル砥粒ュニット 発泡ゴムに研磨布を貼り付けたュニット 研磨へッド回転スピード 6 0 0 r ρ m
研磨ヘッドに加えられる圧力 1 k g/cm2
電解液 3 0重量%濃度の硝酸ソーダ水溶液
電解液の流速 6 mZ秒
電流密度 2 OA/ cm2 上記条件の下で、 市販されている SUS304製角パイプ(酸洗肌) を 1パス研磨し た。 研磨の前後の R aと R yを測定した。 測定結果は次の通りである。 表 2
R a ( πι) R y (^m
研磨前 4. 5 24. 0
研磨後 0. 2 1. 3 また、研磨前に目視で認められた酸洗肌は、研磨後の表面には確認できなかった。
(実施例 3と比較例 1)
実施例 3は、 前記実施例 2と同様に行った。
比較例 1は、 SUS304製角パイプ (酸洗肌) を被研磨材として、 従来行われてき た砥石研磨による粗研磨及び仕上げ研磨を行った。具体的には、粗研磨には粒度 # 150の粗研磨用砥石を、 仕上げ研磨には粒度 #400の仕上げ用砥石を用い、 回 転数 320 r pmで研磨を行った。
これらの試験例について、 被研磨材を lm研磨するのに必要な研磨時間、研磨後 の: Ra (中心線平均粗さ ( xm) ) と Ry (最大粗さ ( m) ) を測定した。 また、 研磨後の表面トラフを確認した。 なお、 SUS304製角パイプ (酸洗肌) の研磨前の Raは 4. 5、 Ryは 24. 0であった。
その結果は、 表 2の通りである。 表 3
このように、本発明を用いた実施例 3の方が比較例 1に比べて研磨時間が極めて 短かった。
実施例 3の研磨へッドのフレキシブル砥粒ュニットが鋼材の凹部も凸部も接触 するため、 研磨ヘッドの回転により被研磨材の表面全体 (凹部も凸部を含む表面) が擦過される。 電解研磨では、 擦過された表面が集中的に研磨されるので、 実施例 3では、被研磨材の表面全体を一律に研磨することができる。 また凹部も凸部も含 む表面全体を研磨するため、 研磨後も表面トラフが残存している。
他方、 比較例 1は、 鋼材の表面の凸部を集中的に砥粒研磨するため、 鋼材の表面 全体を研磨するには凸部全体を研磨して取り除く必要があるため、極めて長い研磨 時間を要する。 産業上利用可能性
本発明は、 H型鋼、 コラム、 角パイプ、 フラットバー、 鋼板等の鋼材の表面の酸 洗肌、 微小表面欠陥層、 溶接変形部等の減面に用いることができる。 また、 それら の鋼材の湾曲表面における表面欠陥の除去に用いることができる。 符号の説明
2 1 0 電解砥粒減面用回転減面へッド
2 2 0 電解砥粒減面用回転減面へッド
2 1 へッド台座
2 2 回転軸
2 3 管部
2 4 液溜部
2 5 電極
2 6 砥石
2 7 フレキシブル砥粒ュニット
2 7 1 弾性体
2 7 2 減面布
4 電解液供給部
5 通電部
6 絶縁カップリング
7 ヘッド回転モータ
8 昇降装置
9 被減面材