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JPWO2008007564A1 - インクジェット塗布装置、多層情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

インクジェット塗布装置、多層情報記録媒体およびその製造方法 Download PDF

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JPWO2008007564A1
JPWO2008007564A1 JP2008524756A JP2008524756A JPWO2008007564A1 JP WO2008007564 A1 JPWO2008007564 A1 JP WO2008007564A1 JP 2008524756 A JP2008524756 A JP 2008524756A JP 2008524756 A JP2008524756 A JP 2008524756A JP WO2008007564 A1 JPWO2008007564 A1 JP WO2008007564A1
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佃 雅彦
雅彦 佃
富山 盛央
盛央 富山
優子 留河
優子 留河
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Abstract

インクジェット塗布装置は、塗布対象物、又は、インクジェットヘッドのいずれか一方を相対的に移動させながら、前記塗布対象物に放射線硬化性樹脂を塗布するインクジェット塗布装置であって、放射線硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットノズルを有するインクジェットユニットと、前記インクジェットユニットの前記塗布対象物に対する相対移動方向の後方に所定間隔だけ離間して設けられ、前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂の液滴に放射線を照射する放射線照射ユニットと、を備えたインクジェットヘッドと、前記塗布対象物に対して、前記インクジェットヘッドを相対的に移動させる駆動部と、を備える。

Description

本発明は、再生または記録再生を目的とした情報記録媒体及びその製造方法に関する。特に、2層以上の情報記録層を有する多層情報記録媒体及びその製造方法に関する。
近年、光学的な情報記録方式の研究が進められ、産業用や民生用途に広く使用されるようになった。特にCDやDVDなどの高密度に情報を記録することができる光情報記録媒体が普及している。このような光情報記録媒体は、情報信号を表すピットや、記録再生光をトラッキングするための案内溝などの凹凸形状信号が形成された透明基板上に、金属薄膜や、熱記録が可能な薄膜材料などが積層され、さらに保護層が積層されている。保護層は、金属薄膜や薄膜材料などを大気中の水分などから保護する樹脂層や透明基板等によって構成されている。情報の再生はレーザ光を前記金属薄膜や薄膜材料に照射し、反射光の光量変化を検出することなどによりなされる。
CDの場合、片面に情報信号を示す凹凸形状を有する厚み約1.1mmの樹脂基板上に金属薄膜あるいは薄膜材料などを積層し、その後、紫外線硬化樹脂などをコーティングして保護層を形成することにより作製される。なお、情報信号の再生は、保護層側ではなく基板側からレーザ光を入射することにより行われる。
また、DVDの場合、厚み約0.6mmの樹脂基板上の凹凸面に金属薄膜あるいは薄膜材料などを積層した後、別に準備された厚み約0.6mmの樹脂基板を紫外線硬化樹脂などにより貼り合わせることによって作製される。光情報記録媒体では大容量化に対する要望が高まってきており、DVD等では情報層の多層化が図られており、凹凸形状信号と金属薄膜や薄膜材料などから形成される信号層が厚み数十μmの中間層を挟んで構成されている2層構造の光情報記録媒体などが提案されている。
近年、デジタルハイビジョン放送の普及に伴い、DVDよりもさらに高密度でかつ大容量の次世代光情報記録媒体が求められている。例えば、厚み1.1mmの基板上の凹凸面に金属薄膜などを積層し、さらに厚み約0.1mmの保護層を形成したBlu−rayディスクなどの大容量記録媒体が提案されている。Blu−rayディスクでは、DVDに比べ、凹凸形状で形成される情報層のトラックピッチも狭く、また、ピットの大きさも小さくなっている。このため情報の記録再生を行うレーザのスポットを情報層上で小さく絞る必要がある。Blu−rayディスクでは、レーザ光の波長を405nmという短波長の青紫レーザを使用すると共に、レーザ光を絞り込む対物レンズとして開口数(NA)が0.85のものを使用した光学ヘッドを用いている。上記光学ヘッドによって、レーザ光のスポットを情報層上で小さく絞り込んでいる。しかし、スポットが小さくなるとディスクの傾きによる影響を大きく受けやすくなり、ディスクが少しでも傾くとビームスポットに収差が発生する。ビームスポットに収差が生じると、絞りこんだビームに歪みが生じて記録再生できなくなるといった課題が生じる。そのためBlu−rayディスクでは、ディスクのレーザ入射側の保護層の厚さを0.1mm程度と薄くすることによってその欠点を補っている。
ところで、このBlu−rayディスクのような大容量の次世代光情報記録媒体においても、DVDと同様に情報層の多層化による記憶容量の大容量化が提案されている。
図2は、情報記録層を2層有する2層型Blu−rayディスクの断面図である。
この2層型Blu−rayディスクは、片面に第1の情報面202が凹凸形状により形成された成形樹脂基板201上に、金属薄膜あるいは熱記録が可能な薄膜材料を積層し、第1の情報記録層203が形成されている。第1の情報記録層203上に記録再生光に対して略透明な樹脂中間層204が形成され、その樹脂中間層204上には凹凸形状よりなる第2の情報面205が形成されている。第2の情報面205上に、記録再生光に対して半透過性を有する金属薄膜あるいは熱記録が可能な薄膜材料を積層して第2の情報記録層206が形成されている。そして、第2の情報記録層206を覆うように記録再生光に対して略透明な樹脂がコーティングされた保護層207を有する。この2層Blu−rayディスクは、保護層207側からレーザ光を入射し、第1の情報記録層あるいは第2の情報記録層のうち、記録再生を行う情報記録層に焦点を合わせることによって、信号の記録および再生などを行うことができる。なお、成形樹脂基板201の厚みは約1.1mmであり、樹脂中間層の厚みは約25μmに設定され、保護層207の厚みは約75μmに設定されている。
なお、ここでいう略透明とは、記録再生光に対して約90%以上の透過率を有することを意味しており、また、半透明とは記録再生光に対して10%以上90%以下の透過率を有することを意味している。
このような多層型のBlu−rayディスクの製造方法は一般的には次のようにしてなされる。一例として2層型Blu−rayディスクの製造方法について説明する。
まず、成形樹脂基板を用意する。成形樹脂基板は、金属スタンパを用いて射出成形法等の樹脂成形方法により、成形される。基板材料としては成形性に優れたポリカーボネートなどの材料が用いられることが多い。その後、特許文献1に示すようなスピンコート法などを用いた樹脂層の形成工程を用いて樹脂層の積層を行う。
図4(a)〜(i)は、スピンコート法を用いた樹脂中間層、および保護層の作製工程を含む2層ディスクの作製工程を示す図である。
(a)厚み約1.1mmの成形樹脂基板401を、金属スタンパを用いた射出成形法などの樹脂成形法により成形樹脂基板401を形成する。この成形樹脂基板401は、片面に凹凸形状からなるピットや案内溝により形成された第1の情報面を有する。
(b)次いで、上記の第1の情報面上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などをスパッタリング法や蒸着法などによって形成して、第1の情報記録層402を形成する。
(c)この第1の情報記録層が形成された成形樹脂基板401を回転ステージ403上に真空吸着などの方法により固定する(図4(a))。
(d)回転ステージ403に固定された成形樹脂基板401上の第1の情報記録層402には、ディスペンサーによって放射線硬化性樹脂A404が所望の半径上に同心円状に塗布される(図4(b))。
(e)その後、回転ステージ403をスピン回転させることにより放射線硬化性樹脂A404の延伸を行い、樹脂層406を形成する(図4(c))。このとき樹脂層406の厚みは、放射線硬化性樹脂A404の粘度やスピン回転の回転数、および回転時間、スピン回転をさせている周囲の雰囲気、たとえば、温度や湿度などを任意に設定することにより、所望の厚みに制御することができる。
(f)スピン回転停止後、樹脂層406は、放射線照射機405の放射線照射によって硬化される。
次に、転写スタンパ407上に樹脂層411を形成する。
(a)金属スタンパを用いて射出成形法によって、第2の情報面を形成するための転写スタンパ407を形成する。
(b)この転写スタンパ407を回転ステージ408上に真空吸着等によって固定する。
(c)回転ステージ408に固定された転写スタンパ407上にディスペンサーによって放射線硬化性樹脂B409を所望の半径上に同心円状に塗布する(図4(d))。
(d)次いで、回転ステージ408をスピン回転させることにより放射線硬化性樹脂B409の延伸を行い、樹脂層411を形成する(図4(e))。樹脂層411の厚みは上述のように所望の厚みに制御できる。
(e)スピン回転停止後、放射線照射機410の放射線照射によって樹脂層411を硬化する。
次に、転写スタンパ407から成形樹脂基板401上へ第2の情報面を有する樹脂層411を転写する。
(a)それぞれ樹脂層406、411が形成された成形樹脂基板401と転写スタンパ407とを、回転ステージ413上で、それぞれの樹脂層405、411が対向するように放射線硬化性樹脂C412を介して重ね合わせる(図4(f))。
(b)次に、成形樹脂基板401と転写スタンパ407とを一体化させた状態で回転ステージ413をスピン回転することによって、放射線硬化性樹脂Cは延伸され、所望の厚みに制御された樹脂層414が形成される。
(c)次いで、放射線照射機415によって放射線を照射して放射線硬化性樹脂C412を硬化させる(図4(g))。放射線硬化性樹脂C412によって成形樹脂基板401と転写スタンパ407が一体化される。
(d)その後、転写スタンパ407と放射線硬化性樹脂B411との界面で転写スタンパ407を剥離する。これにより、成形樹脂基板401の上に第2の情報面が形成される(図4(h))。
(e)この第2の情報面上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などをスパッタリング法や蒸着法などにより成膜して第2の情報記録層416を形成する。
(f)その後、同様のスピンコート法により放射線硬化性樹脂Dを塗布、放射線硬化することによって保護層417を形成する(図4(i))。場合によっては、保護層の上から、傷や指紋の付着などによる保護層表面の欠陥を予防するためのハードコート層などを形成することもある。
このようにして2層型Blu−rayディスクが完成する。
なお、ここで用いられている放射線硬化性樹脂A404は、第1の情報記録層402及び放射線硬化性樹脂C414との接着性が良好な材料を用いている。放射線硬化性樹脂B411は転写スタンパ407との剥離性が良好であって、放射線硬化性樹脂C414との接着性が良好なものを用いている。また、これら放射線硬化性樹脂A、B、C、Dは記録再生光の波長に対して略透明なものを用いている。また、ここでは3種類の放射線硬化性樹脂を用いた樹脂中間層の作製工程について説明を行ったが、転写スタンパの材料の選定などにより放射線硬化性樹脂との剥離性などを制御することにより、放射線硬化性樹脂の種類を減らしたより簡易な方法もある。
また、樹脂層の形成方法としては、ここに示したスピンコート法によるものだけではなく、スクリーン印刷法などによるものなども提案されている。この方法では、放射線硬化性樹脂層の形成の部分がスピンコート法からスクリーン印刷法に変わっただけでその他の工程についてはほぼ同様のプロセスを経る。
特開2002−092969号公報
しかしながら、スピンコート法によって樹脂中間層を形成する場合、樹脂の供給がある特定の領域のみに行われる場合がある。また、延伸に利用する遠心力が半径位置によって異なる。これらを主要因として、放射線硬化性樹脂層を均一な厚みに形成するのが困難という課題がある。また、成形樹脂基板の外周端面まで樹脂が到達してしまうため、端面の表面張力の影響を受けて、最外周部で樹脂層が盛上ってしまうという課題がある。さらに、スピンコート法は、被塗布面の凹凸の影響を受けやすい。例えば3層や4層の情報記録層を有する多層情報記録媒体などを製造する際や、保護層を形成する際には、前もって形成された樹脂中間層の上にスピンコートを行う。この場合、複数の層の樹脂中間層の凹凸の影響が累積するため、厚み均一性がさらに悪化する可能性がある。
また、スピンコート法を用いた場合、放射線硬化性樹脂を1回塗布するにあたって、約10秒前後の時間を要し、多層情報記録媒体の製造において生産効率を低下させる要因にもなっている。また、スピンコート法の場合、基板上に滴下した樹脂を一部振り切りながら樹脂層を形成するため、実際に基板上に形成される樹脂中間層に必要な樹脂量よりも多くの樹脂を滴下する必要がある。さらに、基板上から振り切られた樹脂はそのまま廃棄されるか、もしくはリサイクルするなどの新たなプロセスを経て、再利用する必要がある。この振り切られた樹脂の処理も生産性の低下をまねく要因ともなっている。
スクリーン印刷法による樹脂中間層の形成工程では、スピンコート法に比べて均一な厚みを実現しやすい。その一方、スクリーン印刷法では、塗布時にスクリーンが情報記録層や、転写スタンパの情報面などに接触してしまうため、直接、または間接的に情報記録層に傷あるいはゴミなどを発生させてしまうといった課題がある。またスクリーン印刷法では、スクリーンに開けられた孔の部分のみから樹脂が供給されるため、樹脂が供給されない部分に気泡が噛みやすいなどの課題もある。さらに、スクリーン印刷法においても、所望の領域に樹脂を塗布するためには、所望の塗布領域以外の部分をさえぎるようにマスクをする必要があり、被塗布面との機械的な位置精度などを精度良く合わせる必要もでてくる。また、スクリーン印刷法においても、スピンコート法の場合と同様、実際に基板上に形成される樹脂中間層に必要な樹脂よりも多くの樹脂を供給する必要がある。使用されなかった樹脂については、廃棄するか、あるいはリサイクルするなどの新たなプロセスを経て再利用する必要がある。この使用されなかった樹脂の処理のため、生産性の低下をまねく要因ともなる。
これら、スピンコート法や、スクリーン印刷法などに関する課題を解決する一つの手段として、所望の塗布領域に特別なマスクなどを必要とせず、非接触で塗布できるインクジェット法による塗布工法が考えられる。
インクジェット法とは、体積1pLから1nL程度の微小液滴を吐出する技術であり、その吐出に用いるノズルをインクジェットノズルと呼ぶ。樹脂を吐出する方法は様々あるが、共通することは、小径のインクジェットノズルから微小液滴を吐出する構造のため、吐出液の粘度が低粘度のものしか吐出できないことである。なお、吐出液の粘度が低粘度とは、常温での液タンク内の吐出液の粘度ではなく、インクジェットノズルの吐出口周辺における樹脂粘度が低粘度であることを意味する。つまり、インクジェット法では、吐出口周辺における樹脂粘度を低粘度とすることが必要となる。例えば、インクジェットノズルの吐出口付近をヒータ等で加熱して、吐出液粘度を低下させて吐出する方法などが用いられることもある。現在、一般的に用いられている、あるいは販売されているインクジェットノズルにおいては、吐出可能な吐出液の吐出口付近での粘度は、数mPa・sから数十mPa・s程度である。
インクジェット法を用いて樹脂中間層を作製する場合には、インクジェットノズルから低粘度の樹脂を吐出するため、塗布後において樹脂の流動などが生じやすい。そのため、塗布領域の端面において、樹脂の盛り上がりが生じたり、あるいは所望の塗布領域よりも広範囲に樹脂がはみ出してしまうなどの課題がある。また、先に述べたとおり体積1pLから1nL程度の微小液滴しか吐出できないため、例えば、10μmを超えるような厚みの塗布が非常に困難であるといった課題も生じる。
本発明の目的は、上記のインクジェット法における課題を解決し、例えば10μmを超えるような厚みにおいても、均一な厚みの樹脂中間層を作製し、良好な信号特性を有する多層情報記録媒体の製造方法を提供することである。
本発明では、上述のインクジェット法における課題を以下に示す手段によって解決することができる。すなわち、本発明に係るインクジェット塗布装置は、塗布対象物、又は、インクジェットヘッドのいずれか一方を相対的に移動させながら、前記塗布対象物に放射線硬化性樹脂を塗布するインクジェット塗布装置であって、
放射線硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットノズルを有するインクジェットユニットと、前記インクジェットユニットの前記塗布対象物に対する相対移動方向の後方に所定間隔だけ離間して設けられ、前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射する放射線照射ユニットと、を備えたインクジェットヘッドと、
前記塗布対象物に対して、前記インクジェットヘッドを相対的に移動させる駆動部と、
を備えたことを特徴とする。
上記の構成を用いることによって、インクジェットノズルによって低粘度の放射線硬化性樹脂を塗布しながら、塗布後、順次に放射線硬化を行うことが可能となり、低粘度の放射線硬化性樹脂の流動を抑制することが可能となる。
また、前記駆動部は、前記塗布対象物に対して、前記インクジェットヘッドを一定速度で相対移動させてもよい。この場合には、前記インクジェットノズルから前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に、塗布後から一定時間後、順次に放射線を照射することができる。さらに、前記駆動部は、前記塗布対象物について前記インクジェットヘッドを直線方向に相対移動させてもよい。
またさらに、前記インクジェットヘッドは、前記インクジェットノズルユニットと前記放射線照射ユニットとの間に挟持され、
前記インクジェットノズルから吐出された前記放射線硬化性樹脂の液滴が塗布される前に、前記放射線照射ユニットから照射する放射線が照射されることを防ぐ放射線遮蔽板をさらに備えてもよい。
また、前記インクジェットヘッドは、前記インクジェットユニットを挟んで相対移動方向の前方及び後方のそれぞれに前記インクジェットユニットと所定間隔だけ離間して配置された第1の放射線照射ユニットと第2の放射線照射ユニットとを備えてもよい。
さらに、前記駆動部は、前記塗布対象物について前記インクジェットヘッドを直線方向に往復させて相対移動させると共に、
前記インクジェットヘッドは、前記相対移動方向を反転する場合に、前記第1の放射線照射ユニットから前記第2の放射線照射ユニットに切り替えて放射線を照射してもよい。
またさらに、前記インクジェットヘットは、複数のインクジェットノズルが前記相対移動方向に対して垂直方向について前記塗布対象物の幅以上にわたって前記インクジェットノズルユニットに配置されていてもよい。
この構成を用いることにより効率的な放射線硬化性樹脂の塗布が可能となる。
本発明に係る多層情報記録媒体の製造方法は、基板と、前記基板の上に配置される複数の情報記録層と、前記情報記録層の間に配置される樹脂中間層と、前記情報記録層上に設けられる保護層とを有する多層情報記録媒体の製造方法であって、
放射線硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットノズルを有するインクジェットユニットと、塗布対象物に対する前記インクジェットユニットの相対移動方向の後方に所定間隔だけ離間して設けられ、前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射する放射線照射ユニットと、を備えたインクジェットヘッドを有するインクジェット塗布装置を用い、塗布対象物に対して相対移動させて、前記インクジェットユニットから前記塗布対象物上に放射線硬化性樹脂を滴下した後、順次に放射線照射ユニットから前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して、前記塗布対象物の上に樹脂中間層を形成する放射線硬化性樹脂の塗布及び照射工程
を含むことを特徴とする。
上記の構成により均一な厚みの樹脂中間層の形成が可能となる。
また、前記塗布及び照射工程における前記塗布対象物は、情報記録層を備えた基板であってもよい。この場合、前記基板上に形成した前記放射線硬化性樹脂の表面に情報面を転写によって形成する転写工程をさらに含んでもよい。
さらに、前記塗布及び照射工程における前記塗布対象物は、転写スタンパであってもよい。この場合、前記放射線硬化性樹脂を挟持して、前記転写スタンパと前記基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記放射線硬化性樹脂から前記転写スタンパを剥離する剥離工程と、
をさらに含んでもよい。
また、前記塗布及び照射工程は、
半径方向内側の内縁部と半径方向外側の外縁部とに、放射線硬化性樹脂を滴下した後、前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して、所定の塗布厚みを有する前記放射線硬化性樹脂からなる前記樹脂中間層を形成する領域を囲む内縁部及び外縁部の壁面を形成する工程と、
内縁部及び外縁部の前記壁面によって囲まれた領域に、放射線硬化性樹脂を滴下した後、前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して樹脂中間層を形成する工程と、
を含んでもよい。
上記の構成により、内縁部及び外縁部の壁部で囲まれた領域に放射線硬化性樹脂を塗布するので、樹脂が流動性を有していても均一な厚みの樹脂中間層が実現できる。
さらに、前記塗布及び照射工程において、前記塗布対象物に対して前記インクジェット塗布装置を一定速度で相対移動させて、前記放射線硬化性樹脂の塗布後から所定時間経過後に放射線を照射してもよい。
またさらに、複数回の前記塗布及び照射工程を行ってもよい。
また、複数回の前記塗布及び照射工程のうち最後の工程における前記放射線の照射量が、それまでの塗布及び照射工程における照射量に対して少なくしてもよい。
さらに、複数回の前記塗布及び照射工程のうち最後の工程では、前記放射線硬化性樹脂の塗布のみを行ってもよい。
上記の構成によって、放射線硬化性樹脂の最表面は未硬化部分を有するので、良好な情報面の転写が実現される。
また、前記塗布及び照射工程において、前記放射線硬化性樹脂として複数種類の樹脂を用いてもよい。この構成により、機能の異なる複数の樹脂を積層した樹脂中間層を形成できる。
さらに、本発明に係る多層情報記録媒体は、前記多層情報記録媒体の製造方法を用いて作製されたものである。またさらに、この多層情報記録媒体は、前記樹脂中間層の端面が前記インクジェットノズルからの液滴によるジグザグ状を呈することを特徴とする。インクジェット法によって端面がジグザグ状を呈する。
本発明によれば、インクジェットノズルからなるインクジェットノズルユニットと、放射線照射手段とを有し、前記放射線照射手段は、前記塗布対象物に対して相対的に走査する前記インクジェットノズルユニットの後段に設けられ、
インクジェットノズルによって低粘度の放射線硬化性樹脂を塗布しながら、順次に放射線硬化を行うことが可能となり、低粘度の放射線硬化性樹脂の流動を抑制し、均一な厚みの樹脂中間層を形成できる。
本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置の構成を示す概略図であると共に、当該インクジェット塗布装置を用いた塗布及び照射工程の一例を示す図である。 2層型Blu−rayディスクの構成を示す断面図である。 (a)〜(f)は、金属スタンパの作製工程を示す図である。 (a)〜(i)は、スピンコート法を用いた樹脂中間層、および保護層の作製工程を含む2層ディスクの作製工程を示す図である。 (a)及び(b)は、インクジェットノズルの代表的な構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の構造を示す断面図である。 (a)〜(c)は、インクジェットノズルユニットの構成例を示す図である。 本発明の実施の形態1におけるインクジェットノズルユニットの構成を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態1における複数回の塗布及び照射工程を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における樹脂中間層への情報面の転写工程の一例を示す図である。 (a)及び(b)は、成形樹脂基板とインクジェットノズルユニットとの関係を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施の形態2に係るインクジェット塗布装置を用いた塗布及び照射工程の一例を示す図である。
符号の説明
101 成形樹脂基板
102 第1の情報記録層
103 ステージ
104 インクジェットノズルユニット
105 放射線遮蔽板
106 放射線照射手段
107 インクジェットヘッド
108 微小液適
109 放射線硬化性樹脂
110 硬化された放射線硬化性樹脂
201 成形樹脂基板
202 第1の情報面
203 第1の情報記録層
204 樹脂中間層
205 第2の情報面
206 第2の情報記録層
207 保護層
301 原盤
302 感光膜
303 露光ビーム
304 露光部
305 凹凸上のパターン
306 記録原盤
307 導電性薄膜
308 金属板
309 転写スタンパ
401 成形樹脂基板
402 第1の情報記録層
403 回転ステージ
404 放射線硬化性樹脂A
405 放射線照射機
406 樹脂層
407 転写スタンパ
408 回転ステージ
409 放射線硬化性樹脂B
410 放射線照射機
411 樹脂層
412 放射線硬化性樹脂C
413 回転ステージ
414 樹脂層
415 放射線照射機
416 第2の情報記録層
417 保護層
501 吐出液
502 振動素子
503 ヒータ
504 吐出液
601 成形樹脂基板
602 第1の情報記録層
603 第1の樹脂中間層
604 第2の情報記録層
605 第2の樹脂中間層
606 第3の情報記録層
607 第3の樹脂中間層
608 第4の情報記録層
609 保護層
701 インクジェットノズル
702 インクジェットノズルユニット
801 インクジェットノズル
802 インクジェットノズルユニット
803 成形樹脂基板
901 成形樹脂基板
902 第1の情報記録層
903 放射線硬化性樹脂
904 インクジェットノズルユニット
905 放射線照射機
906 放射線照射手段
907、908 シャッタ
1001 成形樹脂基板
1002 情報記録層
1003 放射線硬化性樹脂
1004 転写スタンパ
1005 センターボス
1006 加圧プレート
1007 真空チャンバ
1008 真空ポンプ
1009 放射線照射装置
1101 成形樹脂基板
1102 塗布照射された領域
1103 インクジェットノズルユニット
1104 インクジェットノズルユニット
1201 成形樹脂基板
1202 外縁部の壁面
1203 内縁部の壁面
1204 放射線照射手段
1205 インクジェットノズルユニット
1206 放射線照射手段
1207 樹脂中間層
以下に、本発明の実施の形態に係るインクジェット塗布装置、多層情報記録媒体の製造方法について添付図面を参照して説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図6は、本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の構造を示す断面図である。この多層情報記録媒体は、片面から記録再生可能な4層情報記録媒体である。この4層情報記録媒体は、片面に凹凸形状からなる案内溝の情報面が転写形成された成形樹脂基板601上に4つの情報記録層を積層して構成されている。この多層情報記録媒体は、成形樹脂基板601上に、順に形成された第1の情報記録層602と、第1の樹脂中間層603と、第2の情報記録層604と、第2の樹脂中間層605と、第3の情報記録層606と、第3の樹脂中間層607と、第4の情報記録層608と、保護層609と、から構成される。第1の情報記録層602は、成形樹脂基板601に形成された第1の情報面に接するように配置されている。第1の樹脂中間層603は、第1の情報記録層602に接するように積層され、一方の面に凹凸形状からなる第2の情報面を有する。第2の情報記録層604は、第2の情報面に接するように配置されている。第2の樹脂中間層605は、第2の情報記録層604に接するように積層され、一方の面に凹凸形状からなる第3の情報面を有する。第3の情報記録層606は、第3の情報面に接するように配置されている。第3の樹脂中間層607は、第3の情報記録層606に接するように積層され、一方の面に凹凸形状からなる第4の情報面を有する。第4の情報記録層608は、第4の情報面に接するように配置されている。保護層609は、第4の情報記録層608に接するように設けられている。
この多層情報記録媒体は、第1の樹脂中間層603、第2の樹脂中間層605、第3の樹脂中間層607のうち、少なくとも一つの樹脂中間層は、後述するインクジェット塗布装置によって放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射を行って作製されたことを特徴とする。このため、樹脂中間層の端面はインクジェットノズルから吐出された液滴の大きさに依存するジグザグ状を呈している。
以下に、この多層情報記録媒体の各構成部材について説明する。
<成形樹脂基板>
成形樹脂基板601は、その上に積層される情報記録層、樹脂中間層、保護層を支持できるものであればよい。なお、CDやDVD、あるいはBlu−rayディスクなどの光ディスクと形状的な互換を有するように、例えば、外径φ120mm、中心孔径φ15mm、厚みが1.0〜1.1mm程度の円盤形状を有することが好ましい。また、成形樹脂基板601は、ポリカーボネートやアクリル系樹脂から形成されていることが好ましい。この成形樹脂基板601には、図3(f)に示した金属スタンパを用いた射出成形法などによる樹脂成形によって、片面に凹凸で形成された案内溝などの情報面が形成されている。本実施の形態1においては、ポリカーボネートを用いて作製した。
<成形樹脂基板を作製するための金属スタンパの作製工程>
図3(a)〜(f)は、情報記録媒体の成形樹脂基板を作製するための金属金型であるスタンパの作製工程を示す概略図である。
(a)まず、ガラス盤あるいはシリコンウェハなどからなる原盤301上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜302を作製する。
(b)次いで、レーザ光や電子線などの露光ビーム303を用いて、ピットあるいは案内溝等のパターンの露光を行う(図3(a))。それによって、露光部304からなる潜像を形成する(図3(b))。
(c)その後、アルカリ現像液などにより露光部304を除去すると原盤301上に感光材により凹凸状のパターン305が形成された記録原盤306を得る(図3(c))。
(d)記録原盤306の表面にスパッタリング法や蒸着法などを用いて導電性の薄膜307を形成する(図3(d))。
(e)上記の導電性薄膜307を電極として金属メッキなどにより金属板308を形成する(図3(e))。
(f)次に、感光膜302と導電性薄膜307の界面で、導電膜307と金属板308とを剥離する。さらに、導電膜307表面に残留する感光材を除去材などで取り除く。その後、成形機に合わせた内外径に打ち抜き成形を行うことによって、成形樹脂基板の成形用の金属金型である金属スタンパ309が作製される(図3(f))。
<第1の情報記録層>
第1の情報記録層602は、情報記録媒体が再生専用媒体の場合、少なくとも、再生光を反射する特性を持てばよい。例えば、Al、Ag、Au、Si、SiO、TiOなどを含む反射材料をスパッタリングや蒸着等の方法を用いて形成される。また、情報記録媒体が記録可能媒体の場合、記録光の照射によって情報を書き込む必要があるため、例えば、GeSbTeなどの相変化材料や、例えば、フタロシアニンなどの有機色素などの記録材料からなる層を少なくとも含んでもよい。さらに、必要に応じて、反射層や界面層など、記録再生特性を向上させる層を含んでいてもよい。第2の情報記録層604、第3の情報記録層606、第4の情報記録層608についても同様に形成することができる。ただし、記録再生は、保護層609側からそれぞれの情報記録層に記録再生光を入射することにより行われるため、第1の情報記録層から第4の情報記録層にかけて、順次記録再生光の波長に対する透過率が高くなるように構成することが好ましい。
<第1の樹脂中間層>
第1の樹脂中間層603は、記録再生光に対して略透明な樹脂、例えば、アクリルを主成分とした紫外線硬化樹脂や、あるいはエポキシ系の紫外線硬化樹脂などの放射線硬化性樹脂などを用いることができる。ここでいう略透明とは、記録再生光の波長に対して90%以上の透過率を有することを意味しており、さらに95%以上の透過率を有する材料がさらに好ましい。
この第1の樹脂中間層603の作製方法は、
(a)液状の放射線硬化性樹脂を第1の情報記録層602上に、後述するインクジェット塗布装置を用いて放射線硬化性樹脂を塗布及び放射線を照射する工程と、
(b)ピットや案内溝などの情報面を有する転写スタンパを利用して、上記放射線硬化性樹脂の表面に上記情報面を転写する工程と、
を含む。
<転写スタンパ>
まず、転写スタンパ1004について説明する。
転写スタンパ1004は、放射線硬化性樹脂との剥離性が良好な材料であるポリオレフィン材料を用いており、厚みは、例えば0.6mmなどのように成形樹脂基板よりも薄く形成されている。これは、厚みが約1.1mmの成形樹脂基板から転写スタンパを剥離する際に基板の厚みが異なることによる剛性の差を利用し、転写スタンパを反らせて剥離することを目的としたためである。ポリオレフィン材料は成形樹脂基板と同様に従来の金属スタンパなどを用いて射出成形などの方法で片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面を容易に作製できる材料である。また、ポリオレフィン材料は紫外線などの放射線に対する透過率も高いため、転写スタンパを通して放射線照射することにより放射線硬化性樹脂を効率良く硬化させることができる。さらに、ポリオレフィン材料は硬化した放射線硬化性樹脂との密着力が小さく、硬化後に放射線硬化性樹脂との界面から容易に剥離することが出来る。転写スタンパ1004の中心には成形樹脂基板1001とセンターボス1005を介して偏芯をとるための中心穴が設けられている。
<転写スタンパによる転写工程>
図10(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における樹脂中間層への情報面の転写工程の一例を示す図である。
(a)放射線硬化性樹脂1003の塗布が完了した成形樹脂基板1001を、真空チャンバ1007の中に搬送する。このとき転写スタンパ1004も真空チャンバ1007内に配置されている(図10(a))。
(b)真空チャンバ1007内は、ロータリーポンプやターボ分子ポンプなどの真空ポンプ1008によって排気して真空雰囲気とする。
(c)真空チャンバ1007内の圧力が100Pa以下の真空度に達した時に、転写スタンパ1004を成形樹脂基板1001に重ね合わせる(図10(b))。このとき転写スタンパ1004の上部に設置されている加圧プレート1006が転写スタンパ1004を加圧し、放射線硬化性樹脂1003に転写スタンパ上の情報面が転写される。真空チャンバ内が真空雰囲気であることから、放射線硬化性樹脂1003と転写スタンパ1004の間には気泡が混入することなく両者を貼り合わせることができる。
(d)貼り合わされた成形樹脂基板1001と転写スタンパ1004とに対して、真空チャンバ内部で、もしくは取り出した後で、放射線照射装置1009によって転写スタンパ1004を通して放射線を照射する(図10(c))。
(e)その後、転写スタンパ1004と成形樹脂基板1001との間に、楔を打ち込んだり、圧縮エアーを吹き込むなどして放射線硬化性樹脂と転写スタンパとの界面から転写スタンパ1004を剥離する(図10(d))。このようにして情報面が転写された第1の樹脂中間層が形成される。
なお、ここで述べた以外にも、転写スタンパ1004として、例えば金属などの異なる材料を用いてもよい。また、2種類以上の放射線硬化性樹脂を用いて2層以上の樹脂層からなる樹脂中間層を形成してもよい。さらに、成形樹脂基板側から放射線を照射してもよい。放射線硬化性樹脂に情報面を転写させる様々な方法があるが、どの方法を用いた場合においても、本発明の効果を制限するものではない。
また、第2の樹脂中間層605、第3の樹脂中間層607についても、上記第1の樹脂中間層603と同様の方法で作製することができる。
<保護層>
保護層609は、記録再生光に対して略透明であることが好ましい。例えば、アクリルを主成分とした紫外線硬化性樹脂や、あるいはエポキシ系の紫外線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂などを用いることができる。ここでいう略透明とは、記録再生光の波長に対して90%以上の透過率を有することを意味しており、95%以上の透過率を有する材料がさらに好ましい。
保護層609の形成方法としては、スピンコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法などの種々の工法が考えられる。保護層609の形成方法としては、上述の樹脂中間層の作製工程と同じ工法を用いることができれば好ましい。例えば樹脂中間層をインクジェット法により塗布した場合は、保護層の作成もインクジェット法を用いることが最も好ましい。また、保護層の形成方法としては、放射線硬化性樹脂の塗布による方法に限られず、例えばポリカーボネート樹脂や、アクリル樹脂などからなるシート状の材料を接着剤などを介して貼り合せることによって形成してもよい。
<各層の厚み>
また、本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体は、レーザ光405nmの青紫レーザを使用し、NAが0.85の対物レンズを用いて保護層609側から各情報記録層にビームを絞り込み記録再生を行う。ディスクの傾きの影響を軽減させるため、保護層609表面から、第1の情報記録層602までの厚みは約0.1mmに設定されている。
また、保護層609の厚みは、保護層表面に付着したゴミや傷などにより各情報記録層の記録再生特性に与える影響を軽減させるために、約40μm以上に設定するのが好ましい。また、50μm以上に設定するのがさらには好ましい。
また第1の樹脂中間層、第2の樹脂中間層、第3の樹脂中間層の厚みは、他層からのクロストークや干渉の影響を軽減させるためにそれぞれ異なる厚みに設定することが好ましい。ここでは、それぞれの厚みを約15μm、約20μm、約10μmに設計した。また保護層の厚みは約55μmに設定した。ただし、各樹脂中間層の厚みの設計値は一例であり、別の厚み設計値においても本発明の効果には変わりはない。
以上、本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の構成と製造方法の概要について簡単に述べたように、本発明の多層情報記録媒体の製造方法は、樹脂中間層または保護層の形成方法に特徴がある。そのため、その他の構成またはその製造方法により本発明の範囲が制限されることは無い。
<多層情報記録媒体の製造方法>
本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置を用いた多層情報記録媒体の製造方法について説明する。特に、多層情報記録媒体を構成する樹脂中間層の作製方法を中心に詳細に説明を行う。
図1は、本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置の構成を示す概略図である。また、図1は、このインクジェット塗布装置を用いた放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線照射による硬化とからなる塗布及び照射工程の一例を示す図である。この塗布及び照射工程によって樹脂中間層を形成する。
<インクジェット塗布装置の構成>
このインクジェット塗布装置は、図1に示すように、インクジェットヘッド107と、塗布対象物に対してインクジェットヘッド107を矢印の方向に相対移動させる駆動部(図示せず)とからなる。インクジェットヘッド107には、インクジェットノズルユニット104と放射線照射手段106とが放射線遮蔽板105を挟んでそれぞれ固定されている。
まず、インクジェットヘッド107の各構成部材について説明する。
インクジェットノズルユニット104には、少なくとも1つ以上のインクジェットノズルが設けられている。このインクジェットノズルは、印字もしくは描画用の印刷機に用いられるものを用いてもよい。インクジェットノズルは、顔料や染料などを主成分とするインクの微小液滴を吐出することができる。このインクジェット技術では、できるだけ微小な液滴、例えば数pL程度の液滴を生成し、その液滴を高精度に滴下して、より解像度の高い印刷を実現するように開発が進められている。しかしながら、本発明では10〜20μm程度の比較的厚い樹脂層を形成する必要があるため、むしろできる限り大きな液滴を吐出できるインクジェットノズルを用いるのが好ましい。例えば、数十pL程度の大きな液滴を吐出できるインクジェットノズルを用いることが好ましい。現在、一般的に入手できる印刷機用インクジェットノズルには、微小液滴の体積が5〜50pL程度、吐出できる対応樹脂粘度が吐出部周辺において5〜50mPa・s程度、動作周波数として1kHz〜20kHz程度のものがある。
図5(a)及び(b)は、インクジェットノズルの代表的な構成例の断面図である。なお、図では、吐出される吐出液の供給路や液タンク等は省略されている。図5(a)は、圧電素子などの振動素子502により吐出液501を押し出して吐出を行うタイプで、ピエゾ方式インクジェットノズルと呼ばれる。図5(b)は、ヒータ503を用いて瞬時に吐出液を沸騰させて、ヒータ近傍の吐出液504の体積膨張を動力源として吐出を行うタイプで、サーマル方式と呼ばれる。
なお、ここでは1つのインクジェットノズルを用いたインクジェットヘッドについて説明したが、これに限られず、複数のインクジェットノズルを設けてもよい。例えば、図7(a)のように、インクジェットヘッドの走査方向に対して垂直方向に複数のインクジェットノズルを一列に並べ、インクジェットヘッド列を設ける構成としてもよい。また、図7(b)のように、さらに走査方向に複数列並べる方法、あるいは図7(c)のようにノズルの位置を少しずつずらしながら複数列並べる方法などがある。
本発明の実施の形態1のインクジェットヘッド107では、塗布対象物である成形樹脂基板101の直径である120mmの長さを一度に塗布できるように、走査方向に対して垂直な方向に少なくとも一列、120mm以上の幅で複数のインクジェットノズルを直線状に並べる構成が望ましい。
そこで、本発明の実施の形態1におけるインクジェット塗布装置では、1滴の吐出量が40pL、駆動周波数7kHzのインクジェットノズルを用い、図8に示すように70μmピッチで走査方向に対して垂直方向に1800個のインクジェットノズル801を直線状に並べたインクジェットノズルユニット802を用いた。このインクジェットノズルは5〜50mPa・s程度の粘度の樹脂であれば、安定して1滴40pLを吐出することが可能である。
なお、ここでは図8に示すようなインクジェットノズルユニットを用いたが、図11(a)に示すようなインクジェットノズルユニットを用いてもよい。この場合には、インクジェットヘッドを走査方向に対して垂直な方向に移動させ、数回基板上を走査することによって全面に塗布できる。この場合には、走査方向に対して垂直方向にインクジェットヘッドを移動させる機構が必要となる。
なお、図8や図11(b)に示すように、塗布対象物である成形樹脂基板の走査方向に対して垂直方向の長さ、すなわち基板の直径よりも長いインクジェットノズルユニットを用いることが好ましい。これによって、1回の走査によって基板全面に樹脂を塗布することができる。
次いで、放射線照射手段106について説明する。
放射線照射手段106は、放射線源と、放射線源から発生する放射線を、塗布対象物である成形樹脂基板101側へ導く光路とから構成されている。放射線源としてここでは紫外線ランプを用いる。さらに紫外線ランプとしてはメタルハライドランプや高圧水銀ランプ、キセノンランプなどの種々のランプを用いることができる。ここではキセノンランプを用いる。ただし、塗布に用いる放射線硬化性樹脂に合わせて、照射する放射線の波長などを選択する必要があり、使用する放射線源及びランプの種類は上記の例に限られるものではない。
また、放射線照射手段106は、図1に示すように、塗布対象物である成形樹脂基板101に対して走査するインクジェットノズルユニット104と共に、インクジェットノズルユニットの走査方向の後方に固定されている。この放射線照射手段106を用いて、塗布した放射線硬化性樹脂層に順次に放射線を照射する。
放射線遮蔽板105は、放射線照射手段106によって照射される放射線が、インクジェットノズル104側に漏れこむのを防いでいる。すなわち、この放射線遮蔽板105によって、インクジェットノズルから吐出された放射線硬化性樹脂の液滴が塗布される前に、放射線照射ユニットから照射する放射線が照射されることを防ぐことができる。
以上の構成により、このインクジェットヘッド107を構成するインクジェットノズルユニット104によって放射線硬化性樹脂109が塗布される。次いで、塗布された放射線硬化性樹脂109には、インクジェットノズルユニット104の後方に所定間隔で配置された放射線照射手段106によって、順次に放射線が照射される。塗布された放射線硬化性樹脂のうち、放射線が照射された領域110は硬化され、樹脂の流動が抑制される。なお、放射線が照射された領域110は完全硬化させてもよいが、完全に硬化させずにそれに準ずる状態にまで硬化させれば樹脂の流動を抑制することが可能となる。ここでいう完全硬化に準ずる状態とは、ゲル状もしくは10000mPa・s以上の粘度となった状態を意味している。
次に、駆動部について説明する。
駆動部は、塗布対象物に対してインクジェットヘッド107を相対移動させる。したがって、駆動部によって塗布対象物とインクジェットヘッド107の少なくとも一方を移動させればよい。例えば、駆動部によって、インクジェットヘッド107を塗布対象物である成形樹脂基板101に対して直線的に走査してもよい。また、駆動部によって、成形樹脂基板101に対してインクジェットヘッド107を一定速度で走査してもよい。このように一定速度で走査することで、放射線硬化性樹脂の塗布後、一定時間経過後に放射線を照射できる。塗布後、一定時間後に放射線を照射するので、放射線硬化性樹脂の流動状態がほぼ同様の状態で硬化させることができる。例えば、放射線硬化性樹脂の液滴が隣接する液滴と重なり合うようになる、いわゆるレベリングが生じた後に硬化させることができる。これによって、樹脂中間層の膜厚の均一性を向上させることができる。
<インクジェット塗布装置を用いた放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射>
上記のインクジェット塗布装置を用いた放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射について以下に説明する。
(a)まず、片面に第1の情報記録層102が形成された成形樹脂基板101を真空吸着によりステージ103に固定する。なお、固定方法は真空吸着法に限られず、他の固定方法を用いてもよい。成形樹脂基板101の上方には、インクジェットノズルユニット104と放射線照射手段106とを有するインクジェットヘッド107が配置されている。このインクジェットノズルユニット104は、少なくとも1つ以上のインクジェットノズルから構成されている。また、成形樹脂基板101を固定したステージ103に対してインクジェットヘッド107を相対移動させる駆動部(図示せず)が設けられている。インクジェットヘッド107と駆動部とによってインクジェット塗布装置が構成される。
なお、ここではステージ103を固定し、インクジェットヘッド107を平行移動させて塗布を行う場合について説明を行うが、これに限られず、ステージ103とインクジェットヘッド107が相対的に移動させればよい。また、逆にステージ103を平行移動させてもよく、あるいは両者をそれぞれ移動させてもよい。
(b)インクジェットヘッド107をステージ103に対して相対的に平行移動させながら、インクジェットノズルユニット104から微小液滴となった放射線硬化性樹脂108を成形樹脂基板101上に滴下する。続いて、インクジェットノズルユニット104の後方に所定間隔で配置された放射線照射手段106によって、塗布された放射線硬化性樹脂層に放射線を順次に照射する。
以上の工程によって、放射線硬化性樹脂を塗布し、放射線を照射することができる。
<インクジェット塗布装置における条件>
次に、このインクジェット塗布装置における各条件について検討する。
このインクジェットヘッド107を用いて、粘度の異なる3種類の放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射を行った。この場合において、インクジェットヘッドの成形樹脂基板に対する走査速度を0.5m/sに固定して、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔を20mm〜150mmに設定して塗布を行った。放射線の照射は、照度が約200mJ/cmの設定で紫外線を照射した。この結果について下記の表1に示す。なお、上記の放射線の照射における照度では完全に樹脂は硬化しない。しかし、樹脂の流動そのものをある程度抑制できるレベルである。
それぞれの条件において塗布後の樹脂層の厚みの平均値と、面内の厚みばらつき、および塗布領域の内縁部あるいは外縁部における樹脂のはみ出し程度も確認した。なお、塗布厚みのばらつきとして、±2μmを合否判定の基準値として設けた。
また、インクジェットヘッドのインクジェットノズルユニットから放射線硬化性樹脂の塗布が行われ、塗布された放射線硬化樹脂にインクジェットヘッドの放射線照射手段から順次に放射線が照射されるまでの時間を算出した。この「塗布後、照射までの時間」は、「ノズルと放射線照射手段の間隔」を「走査速度」で除した値として算出した。
Figure 2008007564
表1の結果から、樹脂粘度が5mPa・sの樹脂Aでは、インクジェットノズルと放射線照射手段との間隔が150mmの条件では、塗布領域の内縁部、および外縁部ともに塗布した樹脂がはみ出しているのを確認した。また、インクジェットノズルと放射線照射手段との間隔が120mm以下の条件では、厚みばらつきおよび樹脂のはみ出しともに問題なかった。
樹脂粘度20mPa・sの樹脂Bでは、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が120mm以下の条件において、面内の厚みばらつきも基準値内で樹脂のはみ出しも確認されなかった。インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が150mmとなると厚みばらつきが基準値を超え、また塗布領域の外縁部に一部樹脂のはみ出しを確認した。
樹脂粘度50mPa・sの樹脂Cでは、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が120mm以下の条件で、厚みばらつきも基準値内で樹脂のはみ出しも確認されなかった。インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が150mmでは外周部の一部に樹脂のはみ出しが確認されたが、それ以外の場合はほとんど問題がなかった。
以上の結果から、インクジェットノズルで吐出可能な樹脂粘度範囲5mPa・s〜50mPa・sにおいて、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔を120mm以下に設定することで、均一な樹脂層の塗布ができることを確認した。さらにインクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔を50mm以下とするとより品質が向上するため望ましい。
<インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔について>
このインクジェット塗布装置では、インクジェットヘッドにインクジェットノズルユニットと放射線照射手段とを所定間隔で離間させて配置していることを特徴とする。すなわち、放射線硬化性樹脂を塗布後、順次に放射線を照射して硬化させることができる。この場合、塗布された放射線硬化性樹脂の液滴は、流動して隣接する液滴と重なり合うようになる、いわゆるレベリングが生じた後、さらに流動して拡がってしまうため、その後は厚さが次第に減少していく。このインクジェット塗布装置では、塗布後、液滴がレベリングした後に順次に放射線を照射して硬化させる。このため、放射線硬化性樹脂の塗布後、放射線の照射までの時間が重要となる。
そこで、「塗布後、照射までの時間」について検討する。
(a)まず、インクジェットノズルの下端から塗布対象物である成形樹脂基板の表面までの距離、すなわちワーキングディスタンスWD(m)と、放射線硬化性樹脂の吐出速度V(m/s)とする。なお、ワーキングディスタンスWD(m)は、およそ、
0.001(m)≦ WD ≦0.01(m)
となる。また、放射線硬化性樹脂の吐出速度V(m/s)は、粘度が5〜50(mPa・s)の範囲にある場合には、およそ
1(m/s)≦ V ≦6(m/s)
となる。
(b)上記ワーキングディスタンスWDと吐出速度Vとにより、
Ti=WD/V (s)
上記Ti(s)が放射線硬化性樹脂を吐出してから塗布対象物に付着するまでの時間である。さらに、上記のワーキングディスタンスWD及び吐出速度Vの範囲を用いると、付着までの時間Tiは、
0.00017(s)≦ Ti ≦0.01(s)
となる。
(c)次に、放射線硬化性樹脂が流動してレベリングするまでの時間Tlに関しては、放射線硬化性樹脂の物性に異存するが、およそ0.01(s)程度となる。
(d)放射線硬化性樹脂がレベリングした後に放射線を照射して硬化させるためには、
0.01017(s)≦ Ti+Tl ≦0.02(s)
となる。
(d)そこで、放射線硬化性樹脂の塗布後、放射線の照射までの時間として、レベリングが生じるまでの時間とすると、
0.01(s)≦ (塗布後、照射までの時間) ≦0.02(s)
と見積もることができる。すなわち、「塗布後、照射までの時間」の下限値としては、およそ0.01secと見積もることができる。
さらに、「塗布後、照射までの時間」の上限値については、表1を参照すると、およそ0.24secまでは許容されることがわかる。そこで、「塗布後、照射までの時間」の上限値は実施例の結果から、0.25secと見積もることができる。
以上の結果から、「塗布後、照射までの時間」は、0.01sec〜0.25secの範囲が好ましい。
<成形樹脂基板に対するインクジェットヘッドの走査速度>
以上の結果から、均一な樹脂層の形成ができることが分かったが、本発明の実施の形態1における樹脂中間層の厚みは、10μm〜20μmの範囲で形成しなければならないので、より塗布厚みが厚くなるように塗布を行わなければならない。そこで、樹脂粘度20mPa・sの樹脂Bを用いて、インクジェットノズルと放射線照射手段の間隔を50mmに設定した場合において、成形樹脂基板に対するインクジェットヘッドの走査速度を変化させたときの結果を下記の表2に示す。表2では、塗布厚みの変化、厚みばらつき、樹脂のはみだし、塗布後、照射までの時間について示す。
Figure 2008007564
インクジェットヘッドの成形樹脂基板に対する走査速度を遅くするにつれて、滴下される微少液滴は重なり合うように成形樹脂基板上に塗布される。また、滴下される樹脂の総量は走査速度に反比例する。表2の結果をみても、ほぼ走査速度に反比例して塗布厚みが大きくなっていることが確認できた。また、特に気泡の噛み込みなども見受けられなかった。
このようにインクジェットヘッドの構成を変えずに成形樹脂基板に対するインクジェットヘッドの走査速度を適宜に変化させることによって、ある程度の厚み制御が可能となる。そのため、第1の樹脂中間層、第2の樹脂中間層、第3の樹脂中間層の厚み設計に応じて、この走査速度を微調整することによって、所望の樹脂中間層厚みを実現できる。
また、このインクジェット塗布装置による放射線硬化性樹脂の塗布の後、転写スタンパの情報面の転写工程が続くため、放射線硬化性樹脂の塗布時における放射線の照射量は、完全に硬化する放射線照射量よりも少ない照射量を用いる必要がある。ここでは、放射線照射手段の放射線照度を200mJ/cm程度にした。この条件では、塗布後の放射線硬化性樹脂層表面に軽く粘着性が残ることを確認した。また、図10(a)〜(d)を用いて説明した転写スタンパの情報面の転写工程を用いて、溝転写を行ったところ、元となる転写スタンパの溝深さに対して、転写された放射線硬化性樹脂層の溝深さは約97%であった。この値は転写性としては十分な値である。
<インクジェット塗布装置の別の構成例>
次に、本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置の別の構成例について、図9(a)及び(b)を用いて説明する。図9(a)及び(b)は、塗布対象物に対するインクジェットヘッドの相対移動方向の前方側及び後方側のそれぞれに放射線照射手段を有するインクジェットヘッドの構成を示す概略図である。なお、インクジェットノズルユニットは図8に示した物と同様の構成のものを用いることができる。このインクジェットヘッドを用いて、複数回の重ね塗りをすることで10μm〜20μmの厚みを実現することができる。
このインクジェットヘッドは、図9(a)及び(b)に示すように、インクジェットノズルユニット904とインクジェットノズルユニットの走査方向に対して前方側及び後方側のそれぞれに放射線照射手段906を有する。放射線照射手段906は、光源である放射線ランプ905から発する放射線を成形樹脂基板901側に導く経路が2つに分岐し、インクジェットノズルユニットの走査方向に対して前後に配置した。また、放射線照射手段906の2つの射出口にはそれぞれシャッタ907、908が設けられている。このインクジェットヘッドによれば、インクジェットノズルユニットの前後に放射線照射手段が配置されているので、直線状に走査させた場合に、走査方向を反転させる際にもインクジェットヘッド自体を回転させる必要がない。
まず1回目の塗布を行う際(図9(a))は、インクジェットノズルユニットの進行方向の前方側の放射線照射手段のシャッタ907を閉じ、逆に後方側のシャッタ908を開けて、インクジェットノズルの走査方向に対して後方側の放射線照射手段だけを有効にしておく。それによって1回目の塗布及び照射工程を行った後、インクジェットヘッドは先程とは逆方向に成形樹脂基板を走査していく(図9(b))。このとき放射線照射手段は、走査方向に対して前方側のシャッタ908を閉じて、後方側のシャッタ907を開けて、インクジェットノズルの走査方向に対して後方側の放射線照射手段だけを有効にしておく。この動作を繰り返すことで、数度の重ね塗りが可能となる。
表3に樹脂粘度20mPa・sの樹脂Bを用い、インクジェットノズルユニットとその前後に配置した放射線照射手段との間隔をそれぞれ50mmに設定した場合における塗布厚みの結果を示す。
Figure 2008007564
表3の結果より、塗布厚みは重ねた層数分ほぼ比例して厚く塗布できていることを確認した。また特に気泡の噛み込みや、塗布領域の内縁部・外縁部における樹脂のはみ出し等もなかった。また、厚み分布は、重ねて塗布していくので走査回数を増やす程ばらつきは大きくなる傾向にある。しかし、この条件で塗布すれば、厚み約8μm〜23μmまでの塗布は問題なく実現出来る。
またここでは放射線照射手段における放射線照射量は全ての走査で200mJ/cm一定で実験を行ったが、樹脂層の塗布後の溝転写の工程を考慮すると、このように複数回の塗布及び照射工程を繰り返す場合、少なくとも最後の塗布及び照射工程における放射線の照射量を調整して放射線硬化性樹脂が完全に硬化しない状態にすればよい。
例えば、3回走査する場合、1回目及び2回目の塗布及び照射工程では、放射線を1000mJ/cmと設定し、ほぼ完全に放射線硬化性樹脂を硬化させる。一方、最後の3回目の塗布及び照射工程では、200mJ/cmの照射量にして放射線硬化性樹脂を完全に硬化させずに溝転写を容易にする方法などがある。また、この放射線照射量は放射線出射口に設けられたシャッタの開口率で増減させるのが容易である。
また、例えば、3回走査して3回の塗布及び照射工程を行う場合、1回目及び2回目の塗布及び照射工程では、放射線を1000mJ/mと設定し、ほぼ完全に放射線硬化性樹脂を硬化させておく。一方、最後の3回目の塗布及び照射工程では、0mJ/cmの照射量、すなわち放射線を照射しないようにしてもよい。この場合、放射線硬化性樹脂の最表面が未硬化のままであるので溝転写を容易にすることができる。この場合にも上述の方法と同様の効果が得られる。
また、複数回の塗布及び照射工程を行って複数種類の樹脂の塗布を行ってもよい。
例えば、成形樹脂基板あるいは第1の情報記録層に対して良好な密着性を有する樹脂Eと、転写スタンパに対して良好な剥離性を有する樹脂Fで重ね塗りを行った。この層構成にすると、その後の溝転写工程が容易となり好ましい。この場合の塗布結果を表4に示す。
Figure 2008007564
以上の結果から、放射線硬化性樹脂として2種類の樹脂を用いても、複数回の塗布でほぼ比例して厚みが増えていることが確認された。また、複数回の塗布及び照射工程のうち、最後の樹脂Fの塗布及び照射工程において、放射線照射量を完全に硬化しない照射量まで落として塗布を行ってもよい。このように完全硬化させない状態とすることで、その後の溝転写性が良好となるため好ましい。また、樹脂Fの塗布及び照射工程で、放射線照射量を0mJ/cm、すなわち放射線を照射しないようにしても同様の効果が得られる。
また、ここでは第1の樹脂中間層の作製工程について説明してきたが、これに限られず、第2の樹脂中間層、第3の樹脂中間層の作製工程に用いてもよい。この場合にも本発明の効果は有効であり、全ての樹脂中間層の作製工程で効果を有する。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る多層情報記録媒体の製造方法における樹脂中間層の作製工程について、図12(a)〜(c)を用いて説明を行う。この多層情報記録媒体の製造方法では、実施の形態1に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、樹脂中間層の作製工程において、
(a)樹脂中間層を形成する領域を囲む内周部と外周部とに放射線硬化性樹脂からなる壁部を形成する工程と、
(b)内周部と外周部の壁部に囲まれた領域に放射線硬化性樹脂を塗布し、塗布後、順次に放射線の照射を行う塗布及び照射工程と、
を含むことを特徴とする。
なお、樹脂中間層の塗布及び照射工程を除く、その他の工程に関しては、実施の形態1に説明した各工程と実質的に同じであるためここでは説明を省略する。また、本発明の効果は樹脂中間層の作製工程によるものであって、その他の工程はどのような工程であっても本発明の効果を狭めるものではない。
図12(a)〜(c)に本発明の実施の形態2に係る樹脂中間層の作製方法を示す。なお、インクジェットヘッドの構成は、実施の形態1の図9(a)及び(b)における構成と同じ構成のものを用いた。
(a)上記インクジェットヘッドを用いて、成形樹脂基板1201上に形成する樹脂中間層の塗布領域の内周部及び外周部についてリング状に囲む部分に放射線硬化性樹脂の塗布及び照射工程を行う(図12(a))。なお、リング状の壁面1202、1203の構成は、塗布領域で所望の厚みとなるように、インクジェットヘッドの走査速度を調整するか、あるいは複数回の重ね塗りを行うことで実現できる。本発明の実施の形態1におけるインクジェットヘッドの構成を用いると樹脂の流動が生じる前に硬化をすることが可能であり、均一な厚みの壁面を作製することが可能である。
(b)その後、外周部の壁面1202と内周部の壁面1203とに囲まれた領域に放射性硬化性樹脂を吐出し、壁面の高さに相当する均一な厚みの樹脂中間層が形成できる。
表5にこの方法により形成した樹脂中間層の厚み測定結果を示す。
Figure 2008007564
樹脂は粘度20mPa・sの樹脂を用いて、走査速度0.5m/sで2回走査して壁面の塗布を行った。壁面の幅は約200μmで、厚みは約15μmを目標とした。また、放射線の照射は1000mJ/cmで行った。さらに、3回目に走査速度0.3m/sで塗布領域全体に樹脂を塗布した。3回目の樹脂の塗布では放射線の照射は行っていない。
通常、樹脂粘度20mPa・sの樹脂を15μm厚みに塗布した場合、樹脂が流動することによって、外周端面に盛り上がりが発生するため、面内の厚み分布に大きな変動が現れる。しかし、実施の形態2においては、放射線の照射を行わない状態においても、表5に示すように、面内でばらつき±1.5μmと良好な厚み分布の結果を得た。
ここでは粘度20mPa・sの樹脂でのみ実験を行ったが、実施の形態1で行ったようにインクジェットノズルで吐出できる粘度範囲において、塗布厚みは制御可能であり、本発明の実施の形態2においてもそれは同様である。
また、ここでは第1の樹脂中間層の作製にのみ言及しているが、その他の樹脂中間層の作製工程にも本発明は有効である。また、保護層の形成工程にも用いることができる。
本発明のインクジェット塗布装置は、多層情報記録媒体などの多層メディアの工法として有用である。特にBlu−rayディスクなどの樹脂層積層プロセスなどにおいて用いることが出来る。
本発明は、再生または記録再生を目的とした情報記録媒体及びその製造方法に関する。特に、2層以上の情報記録層を有する多層情報記録媒体及びその製造方法に関する。
近年、光学的な情報記録方式の研究が進められ、産業用や民生用途に広く使用されるようになった。特にCDやDVDなどの高密度に情報を記録することができる光情報記録媒体が普及している。このような光情報記録媒体は、情報信号を表すピットや、記録再生光をトラッキングするための案内溝などの凹凸形状信号が形成された透明基板上に、金属薄膜や、熱記録が可能な薄膜材料などが積層され、さらに保護層が積層されている。保護層は、金属薄膜や薄膜材料などを大気中の水分などから保護する樹脂層や透明基板等によって構成されている。情報の再生はレーザ光を前記金属薄膜や薄膜材料に照射し、反射光の光量変化を検出することなどによりなされる。
CDの場合、片面に情報信号を示す凹凸形状を有する厚み約1.1mmの樹脂基板上に金属薄膜あるいは薄膜材料などを積層し、その後、紫外線硬化樹脂などをコーティングして保護層を形成することにより作製される。なお、情報信号の再生は、保護層側ではなく基板側からレーザ光を入射することにより行われる。
また、DVDの場合、厚み約0.6mmの樹脂基板上の凹凸面に金属薄膜あるいは薄膜材料などを積層した後、別に準備された厚み約0.6mmの樹脂基板を紫外線硬化樹脂などにより貼り合わせることによって作製される。光情報記録媒体では大容量化に対する要望が高まってきており、DVD等では情報層の多層化が図られており、凹凸形状信号と金属薄膜や薄膜材料などから形成される信号層が厚み数十μmの中間層を挟んで構成されている2層構造の光情報記録媒体などが提案されている。
近年、デジタルハイビジョン放送の普及に伴い、DVDよりもさらに高密度でかつ大容量の次世代光情報記録媒体が求められている。例えば、厚み1.1mmの基板上の凹凸面に金属薄膜などを積層し、さらに厚み約0.1mmの保護層を形成したBlu−rayディスクなどの大容量記録媒体が提案されている。Blu−rayディスクでは、DVDに比べ、凹凸形状で形成される情報層のトラックピッチも狭く、また、ピットの大きさも小さくなっている。このため情報の記録再生を行うレーザのスポットを情報層上で小さく絞る必要がある。Blu−rayディスクでは、レーザ光の波長を405nmという短波長の青紫レーザを使用すると共に、レーザ光を絞り込む対物レンズとして開口数(NA)が0.85のものを使用した光学ヘッドを用いている。上記光学ヘッドによって、レーザ光のスポットを情報層上で小さく絞り込んでいる。しかし、スポットが小さくなるとディスクの傾きによる影響を大きく受けやすくなり、ディスクが少しでも傾くとビームスポットに収差が発生する。ビームスポットに収差が生じると、絞りこんだビームに歪みが生じて記録再生できなくなるといった課題が生じる。そのためBlu−rayディスクでは、ディスクのレーザ入射側の保護層の厚さを0.1mm程度と薄くすることによってその欠点を補っている。
ところで、このBlu−rayディスクのような大容量の次世代光情報記録媒体においても、DVDと同様に情報層の多層化による記憶容量の大容量化が提案されている。
図2は、情報記録層を2層有する2層型Blu−rayディスクの断面図である。
この2層型Blu−rayディスクは、片面に第1の情報面202が凹凸形状により形成された成形樹脂基板201上に、金属薄膜あるいは熱記録が可能な薄膜材料を積層し、第1の情報記録層203が形成されている。第1の情報記録層203上に記録再生光に対して略透明な樹脂中間層204が形成され、その樹脂中間層204上には凹凸形状よりなる第2の情報面205が形成されている。第2の情報面205上に、記録再生光に対して半透過性を有する金属薄膜あるいは熱記録が可能な薄膜材料を積層して第2の情報記録層206が形成されている。そして、第2の情報記録層206を覆うように記録再生光に対して略透明な樹脂がコーティングされた保護層207を有する。この2層Blu−rayディスクは、保護層207側からレーザ光を入射し、第1の情報記録層あるいは第2の情報記録層のうち、記録再生を行う情報記録層に焦点を合わせることによって、信号の記録および再生などを行うことができる。なお、成形樹脂基板201の厚みは約1.1mmであり、樹脂中間層の厚みは約25μmに設定され、保護層207の厚みは約75μmに設定されている。
なお、ここでいう略透明とは、記録再生光に対して約90%以上の透過率を有することを意味しており、また、半透明とは記録再生光に対して10%以上90%以下の透過率を有することを意味している。
このような多層型のBlu−rayディスクの製造方法は一般的には次のようにしてなされる。一例として2層型Blu−rayディスクの製造方法について説明する。
まず、成形樹脂基板を用意する。成形樹脂基板は、金属スタンパを用いて射出成形法等の樹脂成形方法により、成形される。基板材料としては成形性に優れたポリカーボネートなどの材料が用いられることが多い。その後、特許文献1に示すようなスピンコート法などを用いた樹脂層の形成工程を用いて樹脂層の積層を行う。
図4(a)〜(i)は、スピンコート法を用いた樹脂中間層、および保護層の作製工程を含む2層ディスクの作製工程を示す図である。
(a)厚み約1.1mmの成形樹脂基板401を、金属スタンパを用いた射出成形法などの樹脂成形法により成形樹脂基板401を形成する。この成形樹脂基板401は、片面に凹凸形状からなるピットや案内溝により形成された第1の情報面を有する。
(b)次いで、上記の第1の情報面上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などをスパッタリング法や蒸着法などによって形成して、第1の情報記録層402を形成する。
(c)この第1の情報記録層が形成された成形樹脂基板401を回転ステージ403上に真空吸着などの方法により固定する(図4(a))。
(d)回転ステージ403に固定された成形樹脂基板401上の第1の情報記録層402には、ディスペンサーによって放射線硬化性樹脂A404が所望の半径上に同心円状に塗布される(図4(b))。
(e)その後、回転ステージ403をスピン回転させることにより放射線硬化性樹脂A404の延伸を行い、樹脂層406を形成する(図4(c))。このとき樹脂層406の厚みは、放射線硬化性樹脂A404の粘度やスピン回転の回転数、および回転時間、スピン回転をさせている周囲の雰囲気、たとえば、温度や湿度などを任意に設定することにより、所望の厚みに制御することができる。
(f)スピン回転停止後、樹脂層406は、放射線照射機405の放射線照射によって硬化される。
次に、転写スタンパ407上に樹脂層411を形成する。
(a)金属スタンパを用いて射出成形法によって、第2の情報面を形成するための転写スタンパ407を形成する。
(b)この転写スタンパ407を回転ステージ408上に真空吸着等によって固定する。
(c)回転ステージ408に固定された転写スタンパ407上にディスペンサーによって放射線硬化性樹脂B409を所望の半径上に同心円状に塗布する(図4(d))。
(d)次いで、回転ステージ408をスピン回転させることにより放射線硬化性樹脂B409の延伸を行い、樹脂層411を形成する(図4(e))。樹脂層411の厚みは上述のように所望の厚みに制御できる。
(e)スピン回転停止後、放射線照射機410の放射線照射によって樹脂層411を硬化する。
次に、転写スタンパ407から成形樹脂基板401上へ第2の情報面を有する樹脂層411を転写する。
(a)それぞれ樹脂層406、411が形成された成形樹脂基板401と転写スタンパ407とを、回転ステージ413上で、それぞれの樹脂層405、411が対向するように放射線硬化性樹脂C412を介して重ね合わせる(図4(f))。
(b)次に、成形樹脂基板401と転写スタンパ407とを一体化させた状態で回転ステージ413をスピン回転することによって、放射線硬化性樹脂Cは延伸され、所望の厚みに制御された樹脂層414が形成される。
(c)次いで、放射線照射機415によって放射線を照射して放射線硬化性樹脂C412を硬化させる(図4(g))。放射線硬化性樹脂C412によって成形樹脂基板401と転写スタンパ407が一体化される。
(d)その後、転写スタンパ407と放射線硬化性樹脂B411との界面で転写スタンパ407を剥離する。これにより、成形樹脂基板401の上に第2の情報面が形成される(図4(h))。
(e)この第2の情報面上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などをスパッタリング法や蒸着法などにより成膜して第2の情報記録層416を形成する。
(f)その後、同様のスピンコート法により放射線硬化性樹脂Dを塗布、放射線硬化することによって保護層417を形成する(図4(i))。場合によっては、保護層の上から、傷や指紋の付着などによる保護層表面の欠陥を予防するためのハードコート層などを形成することもある。
このようにして2層型Blu−rayディスクが完成する。
なお、ここで用いられている放射線硬化性樹脂A404は、第1の情報記録層402及び放射線硬化性樹脂C414との接着性が良好な材料を用いている。放射線硬化性樹脂B411は転写スタンパ407との剥離性が良好であって、放射線硬化性樹脂C414との接着性が良好なものを用いている。また、これら放射線硬化性樹脂A、B、C、Dは記録再生光の波長に対して略透明なものを用いている。また、ここでは3種類の放射線硬化性樹脂を用いた樹脂中間層の作製工程について説明を行ったが、転写スタンパの材料の選定などにより放射線硬化性樹脂との剥離性などを制御することにより、放射線硬化性樹脂の種類を減らしたより簡易な方法もある。
また、樹脂層の形成方法としては、ここに示したスピンコート法によるものだけではなく、スクリーン印刷法などによるものなども提案されている。この方法では、放射線硬化性樹脂層の形成の部分がスピンコート法からスクリーン印刷法に変わっただけでその他の工程についてはほぼ同様のプロセスを経る。
特開2002−092969号公報
しかしながら、スピンコート法によって樹脂中間層を形成する場合、樹脂の供給がある特定の領域のみに行われる場合がある。また、延伸に利用する遠心力が半径位置によって異なる。これらを主要因として、放射線硬化性樹脂層を均一な厚みに形成するのが困難という課題がある。また、成形樹脂基板の外周端面まで樹脂が到達してしまうため、端面の表面張力の影響を受けて、最外周部で樹脂層が盛上ってしまうという課題がある。さらに、スピンコート法は、被塗布面の凹凸の影響を受けやすい。例えば3層や4層の情報記録層を有する多層情報記録媒体などを製造する際や、保護層を形成する際には、前もって形成された樹脂中間層の上にスピンコートを行う。この場合、複数の層の樹脂中間層の凹凸の影響が累積するため、厚み均一性がさらに悪化する可能性がある。
また、スピンコート法を用いた場合、放射線硬化性樹脂を1回塗布するにあたって、約10秒前後の時間を要し、多層情報記録媒体の製造において生産効率を低下させる要因にもなっている。また、スピンコート法の場合、基板上に滴下した樹脂を一部振り切りながら樹脂層を形成するため、実際に基板上に形成される樹脂中間層に必要な樹脂量よりも多くの樹脂を滴下する必要がある。さらに、基板上から振り切られた樹脂はそのまま廃棄されるか、もしくはリサイクルするなどの新たなプロセスを経て、再利用する必要がある。この振り切られた樹脂の処理も生産性の低下をまねく要因ともなっている。
スクリーン印刷法による樹脂中間層の形成工程では、スピンコート法に比べて均一な厚みを実現しやすい。その一方、スクリーン印刷法では、塗布時にスクリーンが情報記録層や、転写スタンパの情報面などに接触してしまうため、直接、または間接的に情報記録層に傷あるいはゴミなどを発生させてしまうといった課題がある。またスクリーン印刷法では、スクリーンに開けられた孔の部分のみから樹脂が供給されるため、樹脂が供給されない部分に気泡が噛みやすいなどの課題もある。さらに、スクリーン印刷法においても、所望の領域に樹脂を塗布するためには、所望の塗布領域以外の部分をさえぎるようにマスクをする必要があり、被塗布面との機械的な位置精度などを精度良く合わせる必要もでてくる。また、スクリーン印刷法においても、スピンコート法の場合と同様、実際に基板上に形成される樹脂中間層に必要な樹脂よりも多くの樹脂を供給する必要がある。使用されなかった樹脂については、廃棄するか、あるいはリサイクルするなどの新たなプロセスを経て再利用する必要がある。この使用されなかった樹脂の処理のため、生産性の低下をまねく要因ともなる。
これら、スピンコート法や、スクリーン印刷法などに関する課題を解決する一つの手段として、所望の塗布領域に特別なマスクなどを必要とせず、非接触で塗布できるインクジェット法による塗布工法が考えられる。
インクジェット法とは、体積1pLから1nL程度の微小液滴を吐出する技術であり、その吐出に用いるノズルをインクジェットノズルと呼ぶ。樹脂を吐出する方法は様々あるが、共通することは、小径のインクジェットノズルから微小液滴を吐出する構造のため、吐出液の粘度が低粘度のものしか吐出できないことである。なお、吐出液の粘度が低粘度とは、常温での液タンク内の吐出液の粘度ではなく、インクジェットノズルの吐出口周辺における樹脂粘度が低粘度であることを意味する。つまり、インクジェット法では、吐出口周辺における樹脂粘度を低粘度とすることが必要となる。例えば、インクジェットノズルの吐出口付近をヒータ等で加熱して、吐出液粘度を低下させて吐出する方法などが用いられることもある。現在、一般的に用いられている、あるいは販売されているインクジェットノズルにおいては、吐出可能な吐出液の吐出口付近での粘度は、数mPa・sから数十mPa・s程度である。
インクジェット法を用いて樹脂中間層を作製する場合には、インクジェットノズルから低粘度の樹脂を吐出するため、塗布後において樹脂の流動などが生じやすい。そのため、塗布領域の端面において、樹脂の盛り上がりが生じたり、あるいは所望の塗布領域よりも広範囲に樹脂がはみ出してしまうなどの課題がある。また、先に述べたとおり体積1pLから1nL程度の微小液滴しか吐出できないため、例えば、10μmを超えるような厚みの塗布が非常に困難であるといった課題も生じる。
本発明の目的は、上記のインクジェット法における課題を解決し、例えば10μmを超えるような厚みにおいても、均一な厚みの樹脂中間層を作製し、良好な信号特性を有する多層情報記録媒体の製造方法を提供することである。
本発明では、上述のインクジェット法における課題を以下に示す手段によって解決することができる。すなわち、本発明に係るインクジェット塗布装置は、塗布対象物、又は、インクジェットヘッドのいずれか一方を相対的に移動させながら、前記塗布対象物に放射線硬化性樹脂を塗布するインクジェット塗布装置であって、
放射線硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットノズルを有するインクジェットユニットと、前記インクジェットユニットの前記塗布対象物に対する相対移動方向の後方に所定間隔だけ離間して設けられ、前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射する放射線照射ユニットと、を備えたインクジェットヘッドと、
前記塗布対象物に対して、前記インクジェットヘッドを相対的に移動させる駆動部と、
を備えたことを特徴とする。
上記の構成を用いることによって、インクジェットノズルによって低粘度の放射線硬化性樹脂を塗布しながら、塗布後、順次に放射線硬化を行うことが可能となり、低粘度の放射線硬化性樹脂の流動を抑制することが可能となる。
また、前記駆動部は、前記塗布対象物に対して、前記インクジェットヘッドを一定速度で相対移動させてもよい。この場合には、前記インクジェットノズルから前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に、塗布後から一定時間後、順次に放射線を照射することができる。さらに、前記駆動部は、前記塗布対象物について前記インクジェットヘッドを直線方向に相対移動させてもよい。
またさらに、前記インクジェットヘッドは、前記インクジェットノズルユニットと前記放射線照射ユニットとの間に挟持され、
前記インクジェットノズルから吐出された前記放射線硬化性樹脂の液滴が塗布される前に、前記放射線照射ユニットから照射する放射線が照射されることを防ぐ放射線遮蔽板をさらに備えてもよい。
また、前記インクジェットヘッドは、前記インクジェットユニットを挟んで相対移動方向の前方及び後方のそれぞれに前記インクジェットユニットと所定間隔だけ離間して配置された第1の放射線照射ユニットと第2の放射線照射ユニットとを備えてもよい。
さらに、前記駆動部は、前記塗布対象物について前記インクジェットヘッドを直線方向に往復させて相対移動させると共に、
前記インクジェットヘッドは、前記相対移動方向を反転する場合に、前記第1の放射線照射ユニットから前記第2の放射線照射ユニットに切り替えて放射線を照射してもよい。
またさらに、前記インクジェットヘッドは、複数のインクジェットノズルが前記相対移動方向に対して垂直方向について前記塗布対象物の幅以上にわたって前記インクジェットノズルユニットに配置されていてもよい。
この構成を用いることにより効率的な放射線硬化性樹脂の塗布が可能となる。
本発明に係る多層情報記録媒体の製造方法は、基板と、前記基板の上に配置される複数の情報記録層と、前記情報記録層の間に配置される樹脂中間層と、前記情報記録層上に設けられる保護層とを有する多層情報記録媒体の製造方法であって、
放射線硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットノズルを有するインクジェットユニットと、塗布対象物に対する前記インクジェットユニットの相対移動方向の後方に所定間隔だけ離間して設けられ、前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射する放射線照射ユニットと、を備えたインクジェットヘッドを有するインクジェット塗布装置を用い、塗布対象物に対して相対移動させて、前記インクジェットユニットから前記塗布対象物上に放射線硬化性樹脂を滴下した後、順次に放射線照射ユニットから前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して、前記塗布対象物の上に樹脂中間層を形成する放射線硬化性樹脂の塗布及び照射工程
を含むことを特徴とする。
上記の構成により均一な厚みの樹脂中間層の形成が可能となる。
また、前記塗布及び照射工程における前記塗布対象物は、情報記録層を備えた基板であってもよい。この場合、前記基板上に形成した前記放射線硬化性樹脂の表面に情報面を転写によって形成する転写工程をさらに含んでもよい。
さらに、前記塗布及び照射工程における前記塗布対象物は、転写スタンパであってもよい。この場合、前記放射線硬化性樹脂を挟持して、前記転写スタンパと前記基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記放射線硬化性樹脂から前記転写スタンパを剥離する剥離工程と、
をさらに含んでもよい。
また、前記塗布及び照射工程は、
半径方向内側の内縁部と半径方向外側の外縁部とに、放射線硬化性樹脂を滴下した後、前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して、所定の塗布厚みを有する前記放射線硬化性樹脂からなる前記樹脂中間層を形成する領域を囲む内縁部及び外縁部の壁面を形成する工程と、
内縁部及び外縁部の前記壁面によって囲まれた領域に、放射線硬化性樹脂を滴下した後、前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して樹脂中間層を形成する工程と、
を含んでもよい。
上記の構成により、内縁部及び外縁部の壁部で囲まれた領域に放射線硬化性樹脂を塗布するので、樹脂が流動性を有していても均一な厚みの樹脂中間層が実現できる。
さらに、前記塗布及び照射工程において、前記塗布対象物に対して前記インクジェット塗布装置を一定速度で相対移動させて、前記放射線硬化性樹脂の塗布後から所定時間経過後に放射線を照射してもよい。
またさらに、複数回の前記塗布及び照射工程を行ってもよい。
また、複数回の前記塗布及び照射工程のうち最後の工程における前記放射線の照射量が、それまでの塗布及び照射工程における照射量に対して少なくしてもよい。
さらに、複数回の前記塗布及び照射工程のうち最後の工程では、前記放射線硬化性樹脂の塗布のみを行ってもよい。
上記の構成によって、放射線硬化性樹脂の最表面は未硬化部分を有するので、良好な情報面の転写が実現される。
また、前記塗布及び照射工程において、前記放射線硬化性樹脂として複数種類の樹脂を用いてもよい。この構成により、機能の異なる複数の樹脂を積層した樹脂中間層を形成できる。
さらに、本発明に係る多層情報記録媒体は、前記多層情報記録媒体の製造方法を用いて作製されたものである。またさらに、この多層情報記録媒体は、前記樹脂中間層の端面が前記インクジェットノズルからの液滴によるジグザグ状を呈することを特徴とする。インクジェット法によって端面がジグザグ状を呈する。
本発明によれば、インクジェットノズルからなるインクジェットノズルユニットと、放射線照射手段とを有し、前記放射線照射手段は、前記塗布対象物に対して相対的に走査する前記インクジェットノズルユニットの後段に設けられ、
インクジェットノズルによって低粘度の放射線硬化性樹脂を塗布しながら、順次に放射線硬化を行うことが可能となり、低粘度の放射線硬化性樹脂の流動を抑制し、均一な厚みの樹脂中間層を形成できる。
以下に、本発明の実施の形態に係るインクジェット塗布装置、多層情報記録媒体の製造方法について添付図面を参照して説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図6は、本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の構造を示す断面図である。この多層情報記録媒体は、片面から記録再生可能な4層情報記録媒体である。この4層情報記録媒体は、片面に凹凸形状からなる案内溝の情報面が転写形成された成形樹脂基板601上に4つの情報記録層を積層して構成されている。この多層情報記録媒体は、成形樹脂基板601上に、順に形成された第1の情報記録層602と、第1の樹脂中間層603と、第2の情報記録層604と、第2の樹脂中間層605と、第3の情報記録層606と、第3の樹脂中間層607と、第4の情報記録層608と、保護層609と、から構成される。第1の情報記録層602は、成形樹脂基板601に形成された第1の情報面に接するように配置されている。第1の樹脂中間層603は、第1の情報記録層602に接するように積層され、一方の面に凹凸形状からなる第2の情報面を有する。第2の情報記録層604は、第2の情報面に接するように配置されている。第2の樹脂中間層605は、第2の情報記録層604に接するように積層され、一方の面に凹凸形状からなる第3の情報面を有する。第3の情報記録層606は、第3の情報面に接するように配置されている。第3の樹脂中間層607は、第3の情報記録層606に接するように積層され、一方の面に凹凸形状からなる第4の情報面を有する。第4の情報記録層608は、第4の情報面に接するように配置されている。保護層609は、第4の情報記録層608に接するように設けられている。
この多層情報記録媒体は、第1の樹脂中間層603、第2の樹脂中間層605、第3の樹脂中間層607のうち、少なくとも一つの樹脂中間層は、後述するインクジェット塗布装置によって放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射を行って作製されたことを特徴とする。このため、樹脂中間層の端面はインクジェットノズルから吐出された液滴の大きさに依存するジグザグ状を呈している。
以下に、この多層情報記録媒体の各構成部材について説明する。
<成形樹脂基板>
成形樹脂基板601は、その上に積層される情報記録層、樹脂中間層、保護層を支持できるものであればよい。なお、CDやDVD、あるいはBlu−rayディスクなどの光ディスクと形状的な互換を有するように、例えば、外径φ120mm、中心孔径φ15mm、厚みが1.0〜1.1mm程度の円盤形状を有することが好ましい。また、成形樹脂基板601は、ポリカーボネートやアクリル系樹脂から形成されていることが好ましい。この成形樹脂基板601には、図3(f)に示した金属スタンパを用いた射出成形法などによる樹脂成形によって、片面に凹凸で形成された案内溝などの情報面が形成されている。本実施の形態1においては、ポリカーボネートを用いて作製した。
<成形樹脂基板を作製するための金属スタンパの作製工程>
図3(a)〜(f)は、情報記録媒体の成形樹脂基板を作製するための金属金型であるスタンパの作製工程を示す概略図である。
(a)まず、ガラス盤あるいはシリコンウェハなどからなる原盤301上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜302を作製する。
(b)次いで、レーザ光や電子線などの露光ビーム303を用いて、ピットあるいは案内溝等のパターンの露光を行う(図3(a))。それによって、露光部304からなる潜像を形成する(図3(b))。
(c)その後、アルカリ現像液などにより露光部304を除去すると原盤301上に感光材により凹凸状のパターン305が形成された記録原盤306を得る(図3(c))。
(d)記録原盤306の表面にスパッタリング法や蒸着法などを用いて導電性の薄膜307を形成する(図3(d))。
(e)上記の導電性薄膜307を電極として金属メッキなどにより金属板308を形成する(図3(e))。
(f)次に、感光膜302と導電性薄膜307の界面で、導電膜307と金属板308とを剥離する。さらに、導電膜307表面に残留する感光材を除去材などで取り除く。その後、成形機に合わせた内外径に打ち抜き成形を行うことによって、成形樹脂基板の成形用の金属金型である金属スタンパ309が作製される(図3(f))。
<第1の情報記録層>
第1の情報記録層602は、情報記録媒体が再生専用媒体の場合、少なくとも、再生光を反射する特性を持てばよい。例えば、Al、Ag、Au、Si、SiO、TiOなどを含む反射材料をスパッタリングや蒸着等の方法を用いて形成される。また、情報記録媒体が記録可能媒体の場合、記録光の照射によって情報を書き込む必要があるため、例えば、GeSbTeなどの相変化材料や、例えば、フタロシアニンなどの有機色素などの記録材料からなる層を少なくとも含んでもよい。さらに、必要に応じて、反射層や界面層など、記録再生特性を向上させる層を含んでいてもよい。第2の情報記録層604、第3の情報記録層606、第4の情報記録層608についても同様に形成することができる。ただし、記録再生は、保護層609側からそれぞれの情報記録層に記録再生光を入射することにより行われるため、第1の情報記録層から第4の情報記録層にかけて、順次記録再生光の波長に対する透過率が高くなるように構成することが好ましい。
<第1の樹脂中間層>
第1の樹脂中間層603は、記録再生光に対して略透明な樹脂、例えば、アクリルを主成分とした紫外線硬化樹脂や、あるいはエポキシ系の紫外線硬化樹脂などの放射線硬化性樹脂などを用いることができる。ここでいう略透明とは、記録再生光の波長に対して90%以上の透過率を有することを意味しており、さらに95%以上の透過率を有する材料がさらに好ましい。
この第1の樹脂中間層603の作製方法は、
(a)液状の放射線硬化性樹脂を第1の情報記録層602上に、後述するインクジェット塗布装置を用いて放射線硬化性樹脂を塗布及び放射線を照射する工程と、
(b)ピットや案内溝などの情報面を有する転写スタンパを利用して、上記放射線硬化性樹脂の表面に上記情報面を転写する工程と、
を含む。
<転写スタンパ>
まず、転写スタンパ1004について説明する。
転写スタンパ1004は、放射線硬化性樹脂との剥離性が良好な材料であるポリオレフィン材料を用いており、厚みは、例えば0.6mmなどのように成形樹脂基板よりも薄く形成されている。これは、厚みが約1.1mmの成形樹脂基板から転写スタンパを剥離する際に基板の厚みが異なることによる剛性の差を利用し、転写スタンパを反らせて剥離することを目的としたためである。ポリオレフィン材料は成形樹脂基板と同様に従来の金属スタンパなどを用いて射出成形などの方法で片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面を容易に作製できる材料である。また、ポリオレフィン材料は紫外線などの放射線に対する透過率も高いため、転写スタンパを通して放射線照射することにより放射線硬化性樹脂を効率良く硬化させることができる。さらに、ポリオレフィン材料は硬化した放射線硬化性樹脂との密着力が小さく、硬化後に放射線硬化性樹脂との界面から容易に剥離することが出来る。転写スタンパ1004の中心には成形樹脂基板1001とセンターボス1005を介して偏芯をとるための中心穴が設けられている。
<転写スタンパによる転写工程>
図10(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における樹脂中間層への情報面の転写工程の一例を示す図である。
(a)放射線硬化性樹脂1003の塗布が完了した成形樹脂基板1001を、真空チャンバ1007の中に搬送する。このとき転写スタンパ1004も真空チャンバ1007内に配置されている(図10(a))。
(b)真空チャンバ1007内は、ロータリーポンプやターボ分子ポンプなどの真空ポンプ1008によって排気して真空雰囲気とする。
(c)真空チャンバ1007内の圧力が100Pa以下の真空度に達した時に、転写スタンパ1004を成形樹脂基板1001に重ね合わせる(図10(b))。このとき転写スタンパ1004の上部に設置されている加圧プレート1006が転写スタンパ1004を加圧し、放射線硬化性樹脂1003に転写スタンパ上の情報面が転写される。真空チャンバ内が真空雰囲気であることから、放射線硬化性樹脂1003と転写スタンパ1004の間には気泡が混入することなく両者を貼り合わせることができる。
(d)貼り合わされた成形樹脂基板1001と転写スタンパ1004とに対して、真空チャンバ内部で、もしくは取り出した後で、放射線照射装置1009によって転写スタンパ1004を通して放射線を照射する(図10(c))。
(e)その後、転写スタンパ1004と成形樹脂基板1001との間に、楔を打ち込んだり、圧縮エアーを吹き込むなどして放射線硬化性樹脂と転写スタンパとの界面から転写スタンパ1004を剥離する(図10(d))。このようにして情報面が転写された第1の樹脂中間層が形成される。
なお、ここで述べた以外にも、転写スタンパ1004として、例えば金属などの異なる材料を用いてもよい。また、2種類以上の放射線硬化性樹脂を用いて2層以上の樹脂層からなる樹脂中間層を形成してもよい。さらに、成形樹脂基板側から放射線を照射してもよい。放射線硬化性樹脂に情報面を転写させる様々な方法があるが、どの方法を用いた場合においても、本発明の効果を制限するものではない。
また、第2の樹脂中間層605、第3の樹脂中間層607についても、上記第1の樹脂中間層603と同様の方法で作製することができる。
<保護層>
保護層609は、記録再生光に対して略透明であることが好ましい。例えば、アクリルを主成分とした紫外線硬化性樹脂や、あるいはエポキシ系の紫外線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂などを用いることができる。ここでいう略透明とは、記録再生光の波長に対して90%以上の透過率を有することを意味しており、95%以上の透過率を有する材料がさらに好ましい。
保護層609の形成方法としては、スピンコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法などの種々の工法が考えられる。保護層609の形成方法としては、上述の樹脂中間層の作製工程と同じ工法を用いることができれば好ましい。例えば樹脂中間層をインクジェット法により塗布した場合は、保護層の作成もインクジェット法を用いることが最も好ましい。また、保護層の形成方法としては、放射線硬化性樹脂の塗布による方法に限られず、例えばポリカーボネート樹脂や、アクリル樹脂などからなるシート状の材料を接着剤などを介して貼り合せることによって形成してもよい。
<各層の厚み>
また、本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体は、レーザ光405nmの青紫レーザを使用し、NAが0.85の対物レンズを用いて保護層609側から各情報記録層にビームを絞り込み記録再生を行う。ディスクの傾きの影響を軽減させるため、保護層609表面から、第1の情報記録層602までの厚みは約0.1mmに設定されている。
また、保護層609の厚みは、保護層表面に付着したゴミや傷などにより各情報記録層の記録再生特性に与える影響を軽減させるために、約40μm以上に設定するのが好ましい。また、50μm以上に設定するのがさらには好ましい。
また第1の樹脂中間層、第2の樹脂中間層、第3の樹脂中間層の厚みは、他層からのクロストークや干渉の影響を軽減させるためにそれぞれ異なる厚みに設定することが好ましい。ここでは、それぞれの厚みを約15μm、約20μm、約10μmに設計した。また保護層の厚みは約55μmに設定した。ただし、各樹脂中間層の厚みの設計値は一例であり、別の厚み設計値においても本発明の効果には変わりはない。
以上、本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の構成と製造方法の概要について簡単に述べたように、本発明の多層情報記録媒体の製造方法は、樹脂中間層または保護層の形成方法に特徴がある。そのため、その他の構成またはその製造方法により本発明の範囲が制限されることは無い。
<多層情報記録媒体の製造方法>
本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置を用いた多層情報記録媒体の製造方法について説明する。特に、多層情報記録媒体を構成する樹脂中間層の作製方法を中心に詳細に説明を行う。
図1は、本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置の構成を示す概略図である。また、図1は、このインクジェット塗布装置を用いた放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線照射による硬化とからなる塗布及び照射工程の一例を示す図である。この塗布及び照射工程によって樹脂中間層を形成する。
<インクジェット塗布装置の構成>
このインクジェット塗布装置は、図1に示すように、インクジェットヘッド107と、塗布対象物に対してインクジェットヘッド107を矢印の方向に相対移動させる駆動部(図示せず)とからなる。インクジェットヘッド107には、インクジェットノズルユニット104と放射線照射手段106とが放射線遮蔽板105を挟んでそれぞれ固定されている。
まず、インクジェットヘッド107の各構成部材について説明する。
インクジェットノズルユニット104には、少なくとも1つ以上のインクジェットノズルが設けられている。このインクジェットノズルは、印字もしくは描画用の印刷機に用いられるものを用いてもよい。インクジェットノズルは、顔料や染料などを主成分とするインクの微小液滴を吐出することができる。このインクジェット技術では、できるだけ微小な液滴、例えば数pL程度の液滴を生成し、その液滴を高精度に滴下して、より解像度の高い印刷を実現するように開発が進められている。しかしながら、本発明では10〜20μm程度の比較的厚い樹脂層を形成する必要があるため、むしろできる限り大きな液滴を吐出できるインクジェットノズルを用いるのが好ましい。例えば、数十pL程度の大きな液滴を吐出できるインクジェットノズルを用いることが好ましい。現在、一般的に入手できる印刷機用インクジェットノズルには、微小液滴の体積が5〜50pL程度、吐出できる対応樹脂粘度が吐出部周辺において5〜50mPa・s程度、動作周波数として1kHz〜20kHz程度のものがある。
図5(a)及び(b)は、インクジェットノズルの代表的な構成例の断面図である。なお、図では、吐出される吐出液の供給路や液タンク等は省略されている。図5(a)は、圧電素子などの振動素子502により吐出液501を押し出して吐出を行うタイプで、ピエゾ方式インクジェットノズルと呼ばれる。図5(b)は、ヒータ503を用いて瞬時に吐出液を沸騰させて、ヒータ近傍の吐出液504の体積膨張を動力源として吐出を行うタイプで、サーマル方式と呼ばれる。
なお、ここでは1つのインクジェットノズルを用いたインクジェットヘッドについて説明したが、これに限られず、複数のインクジェットノズルを設けてもよい。例えば、図7(a)のように、インクジェットヘッドの走査方向に対して垂直方向に複数のインクジェットノズルを一列に並べ、インクジェットヘッド列を設ける構成としてもよい。また、図7(b)のように、さらに走査方向に複数列並べる方法、あるいは図7(c)のようにノズルの位置を少しずつずらしながら複数列並べる方法などがある。
本発明の実施の形態1のインクジェットヘッド107では、塗布対象物である成形樹脂基板101の直径である120mmの長さを一度に塗布できるように、走査方向に対して垂直な方向に少なくとも一列、120mm以上の幅で複数のインクジェットノズルを直線状に並べる構成が望ましい。
そこで、本発明の実施の形態1におけるインクジェット塗布装置では、1滴の吐出量が40pL、駆動周波数7kHzのインクジェットノズルを用い、図8に示すように70μmピッチで走査方向に対して垂直方向に1800個のインクジェットノズル801を直線状に並べたインクジェットノズルユニット802を用いた。このインクジェットノズルは5〜50mPa・s程度の粘度の樹脂であれば、安定して1滴40pLを吐出することが可能である。
なお、ここでは図8に示すようなインクジェットノズルユニットを用いたが、図11(a)に示すようなインクジェットノズルユニットを用いてもよい。この場合には、インクジェットヘッドを走査方向に対して垂直な方向に移動させ、数回基板上を走査することによって全面に塗布できる。この場合には、走査方向に対して垂直方向にインクジェットヘッドを移動させる機構が必要となる。
なお、図8や図11(b)に示すように、塗布対象物である成形樹脂基板の走査方向に対して垂直方向の長さ、すなわち基板の直径よりも長いインクジェットノズルユニットを用いることが好ましい。これによって、1回の走査によって基板全面に樹脂を塗布することができる。
次いで、放射線照射手段106について説明する。
放射線照射手段106は、放射線源と、放射線源から発生する放射線を、塗布対象物である成形樹脂基板101側へ導く光路とから構成されている。放射線源としてここでは紫外線ランプを用いる。さらに紫外線ランプとしてはメタルハライドランプや高圧水銀ランプ、キセノンランプなどの種々のランプを用いることができる。ここではキセノンランプを用いる。ただし、塗布に用いる放射線硬化性樹脂に合わせて、照射する放射線の波長などを選択する必要があり、使用する放射線源及びランプの種類は上記の例に限られるものではない。
また、放射線照射手段106は、図1に示すように、塗布対象物である成形樹脂基板101に対して走査するインクジェットノズルユニット104と共に、インクジェットノズルユニットの走査方向の後方に固定されている。この放射線照射手段106を用いて、塗布した放射線硬化性樹脂層に順次に放射線を照射する。
放射線遮蔽板105は、放射線照射手段106によって照射される放射線が、インクジェットノズル104側に漏れこむのを防いでいる。すなわち、この放射線遮蔽板105によって、インクジェットノズルから吐出された放射線硬化性樹脂の液滴が塗布される前に、放射線照射ユニットから照射する放射線が照射されることを防ぐことができる。
以上の構成により、このインクジェットヘッド107を構成するインクジェットノズルユニット104によって放射線硬化性樹脂109が塗布される。次いで、塗布された放射線硬化性樹脂109には、インクジェットノズルユニット104の後方に所定間隔で配置された放射線照射手段106によって、順次に放射線が照射される。塗布された放射線硬化性樹脂のうち、放射線が照射された領域110は硬化され、樹脂の流動が抑制される。なお、放射線が照射された領域110は完全硬化させてもよいが、完全に硬化させずにそれに準ずる状態にまで硬化させれば樹脂の流動を抑制することが可能となる。ここでいう完全硬化に準ずる状態とは、ゲル状もしくは10000mPa・s以上の粘度となった状態を意味している。
次に、駆動部について説明する。
駆動部は、塗布対象物に対してインクジェットヘッド107を相対移動させる。したがって、駆動部によって塗布対象物とインクジェットヘッド107の少なくとも一方を移動させればよい。例えば、駆動部によって、インクジェットヘッド107を塗布対象物である成形樹脂基板101に対して直線的に走査してもよい。また、駆動部によって、成形樹脂基板101に対してインクジェットヘッド107を一定速度で走査してもよい。このように一定速度で走査することで、放射線硬化性樹脂の塗布後、一定時間経過後に放射線を照射できる。塗布後、一定時間後に放射線を照射するので、放射線硬化性樹脂の流動状態がほぼ同様の状態で硬化させることができる。例えば、放射線硬化性樹脂の液滴が隣接する液滴と重なり合うようになる、いわゆるレベリングが生じた後に硬化させることができる。これによって、樹脂中間層の膜厚の均一性を向上させることができる。
<インクジェット塗布装置を用いた放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射>
上記のインクジェット塗布装置を用いた放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射について以下に説明する。
(a)まず、片面に第1の情報記録層102が形成された成形樹脂基板101を真空吸着によりステージ103に固定する。なお、固定方法は真空吸着法に限られず、他の固定方法を用いてもよい。成形樹脂基板101の上方には、インクジェットノズルユニット104と放射線照射手段106とを有するインクジェットヘッド107が配置されている。このインクジェットノズルユニット104は、少なくとも1つ以上のインクジェットノズルから構成されている。また、成形樹脂基板101を固定したステージ103に対してインクジェットヘッド107を相対移動させる駆動部(図示せず)が設けられている。インクジェットヘッド107と駆動部とによってインクジェット塗布装置が構成される。
なお、ここではステージ103を固定し、インクジェットヘッド107を平行移動させて塗布を行う場合について説明を行うが、これに限られず、ステージ103とインクジェットヘッド107が相対的に移動させればよい。また、逆にステージ103を平行移動させてもよく、あるいは両者をそれぞれ移動させてもよい。
(b)インクジェットヘッド107をステージ103に対して相対的に平行移動させながら、インクジェットノズルユニット104から微小液滴となった放射線硬化性樹脂108を成形樹脂基板101上に滴下する。続いて、インクジェットノズルユニット104の後方に所定間隔で配置された放射線照射手段106によって、塗布された放射線硬化性樹脂層に放射線を順次に照射する。
以上の工程によって、放射線硬化性樹脂を塗布し、放射線を照射することができる。
<インクジェット塗布装置における条件>
次に、このインクジェット塗布装置における各条件について検討する。
このインクジェットヘッド107を用いて、粘度の異なる3種類の放射線硬化性樹脂の塗布及び放射線の照射を行った。この場合において、インクジェットヘッドの成形樹脂基板に対する走査速度を0.5m/sに固定して、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔を20mm〜150mmに設定して塗布を行った。放射線の照射は、照度が約200mJ/cmの設定で紫外線を照射した。この結果について下記の表1に示す。なお、上記の放射線の照射における照度では完全に樹脂は硬化しない。しかし、樹脂の流動そのものをある程度抑制できるレベルである。
それぞれの条件において塗布後の樹脂層の厚みの平均値と、面内の厚みばらつき、および塗布領域の内縁部あるいは外縁部における樹脂のはみ出し程度も確認した。なお、塗布厚みのばらつきとして、±2μmを合否判定の基準値として設けた。
また、インクジェットヘッドのインクジェットノズルユニットから放射線硬化性樹脂の塗布が行われ、塗布された放射線硬化樹脂にインクジェットヘッドの放射線照射手段から順次に放射線が照射されるまでの時間を算出した。この「塗布後、照射までの時間」は、「ノズルと放射線照射手段の間隔」を「走査速度」で除した値として算出した。
Figure 2008007564
表1の結果から、樹脂粘度が5mPa・sの樹脂Aでは、インクジェットノズルと放射線照射手段との間隔が150mmの条件では、塗布領域の内縁部、および外縁部ともに塗布した樹脂がはみ出しているのを確認した。また、インクジェットノズルと放射線照射手段との間隔が120mm以下の条件では、厚みばらつきおよび樹脂のはみ出しともに問題なかった。
樹脂粘度20mPa・sの樹脂Bでは、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が120mm以下の条件において、面内の厚みばらつきも基準値内で樹脂のはみ出しも確認されなかった。インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が150mmとなると厚みばらつきが基準値を超え、また塗布領域の外縁部に一部樹脂のはみ出しを確認した。
樹脂粘度50mPa・sの樹脂Cでは、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が120mm以下の条件で、厚みばらつきも基準値内で樹脂のはみ出しも確認されなかった。インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔が150mmでは外周部の一部に樹脂のはみ出しが確認されたが、それ以外の場合はほとんど問題がなかった。
以上の結果から、インクジェットノズルで吐出可能な樹脂粘度範囲5mPa・s〜50mPa・sにおいて、インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔を120mm以下に設定することで、均一な樹脂層の塗布ができることを確認した。さらにインクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔を50mm以下とするとより品質が向上するため望ましい。
<インクジェットノズルユニットと放射線照射手段との間隔について>
このインクジェット塗布装置では、インクジェットヘッドにインクジェットノズルユニットと放射線照射手段とを所定間隔で離間させて配置していることを特徴とする。すなわち、放射線硬化性樹脂を塗布後、順次に放射線を照射して硬化させることができる。この場合、塗布された放射線硬化性樹脂の液滴は、流動して隣接する液滴と重なり合うようになる、いわゆるレベリングが生じた後、さらに流動して拡がってしまうため、その後は厚さが次第に減少していく。このインクジェット塗布装置では、塗布後、液滴がレベリングした後に順次に放射線を照射して硬化させる。このため、放射線硬化性樹脂の塗布後、放射線の照射までの時間が重要となる。
そこで、「塗布後、照射までの時間」について検討する。
(a)まず、インクジェットノズルの下端から塗布対象物である成形樹脂基板の表面までの距離、すなわちワーキングディスタンスWD(m)と、放射線硬化性樹脂の吐出速度V(m/s)とする。なお、ワーキングディスタンスWD(m)は、およそ、
0.001(m)≦ WD ≦0.01(m)
となる。また、放射線硬化性樹脂の吐出速度V(m/s)は、粘度が5〜50(mPa・s)の範囲にある場合には、およそ
1(m/s)≦ V ≦6(m/s)
となる。
(b)上記ワーキングディスタンスWDと吐出速度Vとにより、
Ti=WD/V (s)
上記Ti(s)が放射線硬化性樹脂を吐出してから塗布対象物に付着するまでの時間である。さらに、上記のワーキングディスタンスWD及び吐出速度Vの範囲を用いると、付着までの時間Tiは、
0.00017(s)≦ Ti ≦0.01(s)
となる。
(c)次に、放射線硬化性樹脂が流動してレベリングするまでの時間Tlに関しては、放射線硬化性樹脂の物性に異存するが、およそ0.01(s)程度となる。
(d)放射線硬化性樹脂がレベリングした後に放射線を照射して硬化させるためには、
0.01017(s)≦ Ti+Tl ≦0.02(s)
となる。
(d)そこで、放射線硬化性樹脂の塗布後、放射線の照射までの時間として、レベリングが生じるまでの時間とすると、
0.01(s)≦ (塗布後、照射までの時間) ≦0.02(s)
と見積もることができる。すなわち、「塗布後、照射までの時間」の下限値としては、およそ0.01secと見積もることができる。
さらに、「塗布後、照射までの時間」の上限値については、表1を参照すると、およそ0.24secまでは許容されることがわかる。そこで、「塗布後、照射までの時間」の上限値は実施例の結果から、0.25secと見積もることができる。
以上の結果から、「塗布後、照射までの時間」は、0.01sec〜0.25secの範囲が好ましい。
<成形樹脂基板に対するインクジェットヘッドの走査速度>
以上の結果から、均一な樹脂層の形成ができることが分かったが、本発明の実施の形態1における樹脂中間層の厚みは、10μm〜20μmの範囲で形成しなければならないので、より塗布厚みが厚くなるように塗布を行わなければならない。そこで、樹脂粘度20mPa・sの樹脂Bを用いて、インクジェットノズルと放射線照射手段の間隔を50mmに設定した場合において、成形樹脂基板に対するインクジェットヘッドの走査速度を変化させたときの結果を下記の表2に示す。表2では、塗布厚みの変化、厚みばらつき、樹脂のはみだし、塗布後、照射までの時間について示す。
Figure 2008007564
インクジェットヘッドの成形樹脂基板に対する走査速度を遅くするにつれて、滴下される微少液滴は重なり合うように成形樹脂基板上に塗布される。また、滴下される樹脂の総量は走査速度に反比例する。表2の結果をみても、ほぼ走査速度に反比例して塗布厚みが大きくなっていることが確認できた。また、特に気泡の噛み込みなども見受けられなかった。
このようにインクジェットヘッドの構成を変えずに成形樹脂基板に対するインクジェットヘッドの走査速度を適宜に変化させることによって、ある程度の厚み制御が可能となる。そのため、第1の樹脂中間層、第2の樹脂中間層、第3の樹脂中間層の厚み設計に応じて、この走査速度を微調整することによって、所望の樹脂中間層厚みを実現できる。
また、このインクジェット塗布装置による放射線硬化性樹脂の塗布の後、転写スタンパの情報面の転写工程が続くため、放射線硬化性樹脂の塗布時における放射線の照射量は、完全に硬化する放射線照射量よりも少ない照射量を用いる必要がある。ここでは、放射線照射手段の放射線照度を200mJ/cm程度にした。この条件では、塗布後の放射線硬化性樹脂層表面に軽く粘着性が残ることを確認した。また、図10(a)〜(d)を用いて説明した転写スタンパの情報面の転写工程を用いて、溝転写を行ったところ、元となる転写スタンパの溝深さに対して、転写された放射線硬化性樹脂層の溝深さは約97%であった。この値は転写性としては十分な値である。
<インクジェット塗布装置の別の構成例>
次に、本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置の別の構成例について、図9(a)及び(b)を用いて説明する。図9(a)及び(b)は、塗布対象物に対するインクジェットヘッドの相対移動方向の前方側及び後方側のそれぞれに放射線照射手段を有するインクジェットヘッドの構成を示す概略図である。なお、インクジェットノズルユニットは図8に示した物と同様の構成のものを用いることができる。このインクジェットヘッドを用いて、複数回の重ね塗りをすることで10μm〜20μmの厚みを実現することができる。
このインクジェットヘッドは、図9(a)及び(b)に示すように、インクジェットノズルユニット904とインクジェットノズルユニットの走査方向に対して前方側及び後方側のそれぞれに放射線照射手段906を有する。放射線照射手段906は、光源である放射線ランプ905から発する放射線を成形樹脂基板901側に導く経路が2つに分岐し、インクジェットノズルユニットの走査方向に対して前後に配置した。また、放射線照射手段906の2つの射出口にはそれぞれシャッタ907、908が設けられている。このインクジェットヘッドによれば、インクジェットノズルユニットの前後に放射線照射手段が配置されているので、直線状に走査させた場合に、走査方向を反転させる際にもインクジェットヘッド自体を回転させる必要がない。
まず1回目の塗布を行う際(図9(a))は、インクジェットノズルユニットの進行方向の前方側の放射線照射手段のシャッタ907を閉じ、逆に後方側のシャッタ908を開けて、インクジェットノズルの走査方向に対して後方側の放射線照射手段だけを有効にしておく。それによって1回目の塗布及び照射工程を行った後、インクジェットヘッドは先程とは逆方向に成形樹脂基板を走査していく(図9(b))。このとき放射線照射手段は、走査方向に対して前方側のシャッタ908を閉じて、後方側のシャッタ907を開けて、インクジェットノズルの走査方向に対して後方側の放射線照射手段だけを有効にしておく。この動作を繰り返すことで、数度の重ね塗りが可能となる。
表3に樹脂粘度20mPa・sの樹脂Bを用い、インクジェットノズルユニットとその前後に配置した放射線照射手段との間隔をそれぞれ50mmに設定した場合における塗布厚みの結果を示す。
Figure 2008007564
表3の結果より、塗布厚みは重ねた層数分ほぼ比例して厚く塗布できていることを確認した。また特に気泡の噛み込みや、塗布領域の内縁部・外縁部における樹脂のはみ出し等もなかった。また、厚み分布は、重ねて塗布していくので走査回数を増やす程ばらつきは大きくなる傾向にある。しかし、この条件で塗布すれば、厚み約8μm〜23μmまでの塗布は問題なく実現出来る。
またここでは放射線照射手段における放射線照射量は全ての走査で200mJ/cm一定で実験を行ったが、樹脂層の塗布後の溝転写の工程を考慮すると、このように複数回の塗布及び照射工程を繰り返す場合、少なくとも最後の塗布及び照射工程における放射線の照射量を調整して放射線硬化性樹脂が完全に硬化しない状態にすればよい。
例えば、3回走査する場合、1回目及び2回目の塗布及び照射工程では、放射線を1000mJ/cmと設定し、ほぼ完全に放射線硬化性樹脂を硬化させる。一方、最後の3回目の塗布及び照射工程では、200mJ/cmの照射量にして放射線硬化性樹脂を完全に硬化させずに溝転写を容易にする方法などがある。また、この放射線照射量は放射線出射口に設けられたシャッタの開口率で増減させるのが容易である。
また、例えば、3回走査して3回の塗布及び照射工程を行う場合、1回目及び2回目の塗布及び照射工程では、放射線を1000mJ/mと設定し、ほぼ完全に放射線硬化性樹脂を硬化させておく。一方、最後の3回目の塗布及び照射工程では、0mJ/cmの照射量、すなわち放射線を照射しないようにしてもよい。この場合、放射線硬化性樹脂の最表面が未硬化のままであるので溝転写を容易にすることができる。この場合にも上述の方法と同様の効果が得られる。
また、複数回の塗布及び照射工程を行って複数種類の樹脂の塗布を行ってもよい。
例えば、成形樹脂基板あるいは第1の情報記録層に対して良好な密着性を有する樹脂Eと、転写スタンパに対して良好な剥離性を有する樹脂Fで重ね塗りを行った。この層構成にすると、その後の溝転写工程が容易となり好ましい。この場合の塗布結果を表4に示す。
Figure 2008007564
以上の結果から、放射線硬化性樹脂として2種類の樹脂を用いても、複数回の塗布でほぼ比例して厚みが増えていることが確認された。また、複数回の塗布及び照射工程のうち、最後の樹脂Fの塗布及び照射工程において、放射線照射量を完全に硬化しない照射量まで落として塗布を行ってもよい。このように完全硬化させない状態とすることで、その後の溝転写性が良好となるため好ましい。また、樹脂Fの塗布及び照射工程で、放射線照射量を0mJ/cm、すなわち放射線を照射しないようにしても同様の効果が得られる。
また、ここでは第1の樹脂中間層の作製工程について説明してきたが、これに限られず、第2の樹脂中間層、第3の樹脂中間層の作製工程に用いてもよい。この場合にも本発明の効果は有効であり、全ての樹脂中間層の作製工程で効果を有する。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る多層情報記録媒体の製造方法における樹脂中間層の作製工程について、図12(a)〜(c)を用いて説明を行う。この多層情報記録媒体の製造方法では、実施の形態1に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、樹脂中間層の作製工程において、
(a)樹脂中間層を形成する領域を囲む内周部と外周部とに放射線硬化性樹脂からなる壁部を形成する工程と、
(b)内周部と外周部の壁部に囲まれた領域に放射線硬化性樹脂を塗布し、塗布後、順次に放射線の照射を行う塗布及び照射工程と、
を含むことを特徴とする。
なお、樹脂中間層の塗布及び照射工程を除く、その他の工程に関しては、実施の形態1に説明した各工程と実質的に同じであるためここでは説明を省略する。また、本発明の効果は樹脂中間層の作製工程によるものであって、その他の工程はどのような工程であっても本発明の効果を狭めるものではない。
図12(a)〜(c)に本発明の実施の形態2に係る樹脂中間層の作製方法を示す。なお、インクジェットヘッドの構成は、実施の形態1の図9(a)及び(b)における構成と同じ構成のものを用いた。
(a)上記インクジェットヘッドを用いて、成形樹脂基板1201上に形成する樹脂中間層の塗布領域の内周部及び外周部についてリング状に囲む部分に放射線硬化性樹脂の塗布及び照射工程を行う(図12(a))。なお、リング状の壁面1202、1203の構成は、塗布領域で所望の厚みとなるように、インクジェットヘッドの走査速度を調整するか、あるいは複数回の重ね塗りを行うことで実現できる。本発明の実施の形態1におけるインクジェットヘッドの構成を用いると樹脂の流動が生じる前に硬化をすることが可能であり、均一な厚みの壁面を作製することが可能である。
(b)その後、外周部の壁面1202と内周部の壁面1203とに囲まれた領域に放射性硬化性樹脂を吐出し、壁面の高さに相当する均一な厚みの樹脂中間層が形成できる。
表5にこの方法により形成した樹脂中間層の厚み測定結果を示す。
Figure 2008007564
樹脂は粘度20mPa・sの樹脂を用いて、走査速度0.5m/sで2回走査して壁面の塗布を行った。壁面の幅は約200μmで、厚みは約15μmを目標とした。また、放射線の照射は1000mJ/cmで行った。さらに、3回目に走査速度0.3m/sで塗布領域全体に樹脂を塗布した。3回目の樹脂の塗布では放射線の照射は行っていない。
通常、樹脂粘度20mPa・sの樹脂を15μm厚みに塗布した場合、樹脂が流動することによって、外周端面に盛り上がりが発生するため、面内の厚み分布に大きな変動が現れる。しかし、実施の形態2においては、放射線の照射を行わない状態においても、表5に示すように、面内でばらつき±1.5μmと良好な厚み分布の結果を得た。
ここでは粘度20mPa・sの樹脂でのみ実験を行ったが、実施の形態1で行ったようにインクジェットノズルで吐出できる粘度範囲において、塗布厚みは制御可能であり、本発明の実施の形態2においてもそれは同様である。
また、ここでは第1の樹脂中間層の作製にのみ言及しているが、その他の樹脂中間層の作製工程にも本発明は有効である。また、保護層の形成工程にも用いることができる。
本発明のインクジェット塗布装置は、多層情報記録媒体などの多層メディアの工法として有用である。特にBlu−rayディスクなどの樹脂層積層プロセスなどにおいて用いることが出来る。
本発明の実施の形態1に係るインクジェット塗布装置の構成を示す概略図であると共に、当該インクジェット塗布装置を用いた塗布及び照射工程の一例を示す図である。 2層型Blu−rayディスクの構成を示す断面図である。 (a)〜(f)は、金属スタンパの作製工程を示す図である。 (a)〜(i)は、スピンコート法を用いた樹脂中間層、および保護層の作製工程を含む2層ディスクの作製工程を示す図である。 (a)及び(b)は、インクジェットノズルの代表的な構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の構造を示す断面図である。 (a)〜(c)は、インクジェットノズルユニットの構成例を示す図である。 本発明の実施の形態1におけるインクジェットノズルユニットの構成を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態1における複数回の塗布及び照射工程を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における樹脂中間層への情報面の転写工程の一例を示す図である。 (a)及び(b)は、成形樹脂基板とインクジェットノズルユニットとの関係を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施の形態2に係るインクジェット塗布装置を用いた塗布及び照射工程の一例を示す図である。
符号の説明
101 成形樹脂基板
102 第1の情報記録層
103 ステージ
104 インクジェットノズルユニット
105 放射線遮蔽板
106 放射線照射手段
107 インクジェットヘッド
108 微小液適
109 放射線硬化性樹脂
110 硬化された放射線硬化性樹脂
201 成形樹脂基板
202 第1の情報面
203 第1の情報記録層
204 樹脂中間層
205 第2の情報面
206 第2の情報記録層
207 保護層
301 原盤
302 感光膜
303 露光ビーム
304 露光部
305 凹凸上のパターン
306 記録原盤
307 導電性薄膜
308 金属板
309 転写スタンパ
401 成形樹脂基板
402 第1の情報記録層
403 回転ステージ
404 放射線硬化性樹脂A
405 放射線照射機
406 樹脂層
407 転写スタンパ
408 回転ステージ
409 放射線硬化性樹脂B
410 放射線照射機
411 樹脂層
412 放射線硬化性樹脂C
413 回転ステージ
414 樹脂層
415 放射線照射機
416 第2の情報記録層
417 保護層
501 吐出液
502 振動素子
503 ヒータ
504 吐出液
601 成形樹脂基板
602 第1の情報記録層
603 第1の樹脂中間層
604 第2の情報記録層
605 第2の樹脂中間層
606 第3の情報記録層
607 第3の樹脂中間層
608 第4の情報記録層
609 保護層
701 インクジェットノズル
702 インクジェットノズルユニット
801 インクジェットノズル
802 インクジェットノズルユニット
803 成形樹脂基板
901 成形樹脂基板
902 第1の情報記録層
903 放射線硬化性樹脂
904 インクジェットノズルユニット
905 放射線照射機
906 放射線照射手段
907、908 シャッタ
1001 成形樹脂基板
1002 情報記録層
1003 放射線硬化性樹脂
1004 転写スタンパ
1005 センターボス
1006 加圧プレート
1007 真空チャンバ
1008 真空ポンプ
1009 放射線照射装置
1101 成形樹脂基板
1102 塗布照射された領域
1103 インクジェットノズルユニット
1104 インクジェットノズルユニット
1201 成形樹脂基板
1202 外縁部の壁面
1203 内縁部の壁面
1204 放射線照射手段
1205 インクジェットノズルユニット
1206 放射線照射手段
1207 樹脂中間層

Claims (18)

  1. 塗布対象物、又は、インクジェットヘッドのいずれか一方を相対的に移動させながら、前記塗布対象物に放射線硬化性樹脂を塗布するインクジェット塗布装置であって、
    放射線硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットノズルを有するインクジェットユニットと、前記インクジェットユニットの前記塗布対象物に対する相対移動方向の後方に所定間隔だけ離間して設けられ、前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射する放射線照射ユニットと、を備えたインクジェットヘッドと、
    前記塗布対象物に対して、前記インクジェットヘッドを相対的に移動させる駆動部と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
  2. 前記駆動部は、前記塗布対象物に対して、前記インクジェットヘッドを一定速度で相対移動させて、
    前記インクジェットノズルから前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に、塗布後から一定時間後、順次に放射線を照射することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット塗布装置。
  3. 前記駆動部は、前記塗布対象物について前記インクジェットヘッドを直線方向に相対移動させることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット塗布装置。
  4. 前記インクジェットヘッドは、前記インクジェットノズルユニットと前記放射線照射ユニットとの間に挟持され、
    前記インクジェットノズルから吐出された前記放射線硬化性樹脂の液滴が塗布される前に、前記放射線照射ユニットから照射する放射線が照射されることを防ぐ放射線遮蔽板をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット塗布装置。
  5. 前記インクジェットヘッドは、前記インクジェットユニットを挟んで相対移動方向の前方及び後方のそれぞれに前記インクジェットユニットと所定間隔だけ離間して配置された第1の放射線照射ユニットと第2の放射線照射ユニットとを備えたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット塗布装置。
  6. 前記駆動部は、前記塗布対象物について前記インクジェットヘッドを直線方向に往復させて相対移動させると共に、
    前記インクジェットヘッドは、前記相対移動方向を反転する場合に、前記第1の放射線照射ユニットから前記第2の放射線照射ユニットに切り替えて放射線を照射することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット塗布装置。
  7. 前記インクジェットヘットは、複数のインクジェットノズルが前記相対移動方向に対して垂直方向について前記塗布対象物の幅以上にわたって前記インクジェットノズルユニットに配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット塗布装置。
  8. 基板と、前記基板の上に配置される複数の情報記録層と、前記情報記録層の間に配置される樹脂中間層と、前記情報記録層上に設けられる保護層とを有する多層情報記録媒体の製造方法であって、
    放射線硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットノズルを有するインクジェットユニットと、塗布対象物に対する前記インクジェットユニットの相対移動方向の後方に所定間隔だけ離間して設けられ、前記塗布対象物に塗布された前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射する放射線照射ユニットと、を備えたインクジェットヘッドを有するインクジェット塗布装置を用い、塗布対象物に対して相対移動させて、前記インクジェットユニットから前記塗布対象物上に放射線硬化性樹脂を滴下した後、順次に放射線照射ユニットから前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して、前記塗布対象物の上に樹脂中間層を形成する放射線硬化性樹脂の塗布及び照射工程
    を含むことを特徴とする多層情報記録媒体の製造方法。
  9. 前記塗布及び照射工程における前記塗布対象物は、情報記録層を備えた基板であって、
    前記基板上に形成した前記放射線硬化性樹脂の表面に情報面を転写によって形成する転写工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  10. 前記塗布及び照射工程における前記塗布対象物は、転写スタンパであって、
    前記放射線硬化性樹脂を挟持して、前記転写スタンパと前記基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    前記放射線硬化性樹脂から前記転写スタンパを剥離する剥離工程と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  11. 前記塗布及び照射工程は、
    半径方向内側の内縁部と半径方向外側の外縁部とに、放射線硬化性樹脂を滴下した後、前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して、所定の塗布厚みを有する前記放射線硬化性樹脂からなる前記樹脂中間層を形成する領域を囲む内縁部及び外縁部の壁面を形成する工程と、
    内縁部及び外縁部の前記壁面によって囲まれた領域に、放射線硬化性樹脂を滴下した後、前記放射線硬化性樹脂に放射線を照射して樹脂中間層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項8に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  12. 前記塗布及び照射工程において、前記塗布対象物に対して前記インクジェット塗布装置を一定速度で相対移動させて、前記放射線硬化性樹脂の塗布後から所定時間経過後に放射線を照射することを特徴とする請求項8に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  13. 複数回の前記塗布及び照射工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  14. 複数回の前記塗布及び照射工程のうち最後の工程における前記放射線の照射量が、それまでの塗布及び照射工程における照射量に対して少ないことを特徴とする請求項13に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  15. 複数回の前記塗布及び照射工程のうち最後の工程では、前記放射線硬化性樹脂の塗布のみを行うことを特徴とする請求項13に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  16. 前記塗布及び照射工程において、前記放射線硬化性樹脂として複数種類の樹脂を用いることを特徴とする請求項11に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  17. 請求項8から16のいずれか一項に記載の前記多層情報記録媒体の製造方法を用いて作製されたことを特徴とする多層情報記録媒体。
  18. 前記多層情報記録媒体は、前記樹脂中間層の端面が前記インクジェットノズルからの液滴によるジグザグ状を呈することを特徴とする請求項17に記載の多層情報記録媒体。
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