JPWO2005056605A1 - 3量体以上の受容体を認識する改変抗体 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 TNF関連アポトーシス誘導リガンド受容体(TRAIL受容体)を認識する抗体、
〔2〕 低分子化抗体である〔1〕に記載の抗体、
〔3〕 抗原結合部位を3つ以上含むことを特徴とする〔1〕及び〔2〕に記載の抗体、
〔4〕 抗原結合部位が3つである〔3〕に記載の抗体、
〔5〕 3つのscFvが3量体を形成していることを特徴とする〔4〕に記載の抗体、
〔6〕 scFv中の2つの可変領域が0〜2アミノ酸のリンカーで結合されている〔5〕に記載の抗体、
〔7〕 リンカーが0アミノ酸である〔6〕に記載の抗体、
〔8〕 リンカーが1アミノ酸である〔6〕に記載の抗体、
〔9〕 抗原結合部位が4つである〔3〕に記載の抗体、
〔10〕 4つの可変領域を含むポリペプチドが2量体を形成している〔9〕に記載の抗体、
〔11〕 TRAIL受容体がTRAIL−R1又はTRAIL−R2である〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗体、
〔12〕 細胞にアポトーシスを誘起することを特徴とする〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の抗体、
〔13〕 細胞が腫瘍細胞である〔12〕に記載の抗体、
〔14〕 配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有する抗体、
〔15〕 配列番号:4に記載のアミノ酸配列を有する抗体、
〔16〕 配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有する抗体、
〔17〕 配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有する抗体、
〔18〕 抗原結合部位を3つ以上含み、細胞にアポトーシスを誘起する抗体、
〔19〕 抗原結合部位が3つである〔18〕に記載の抗体、
〔20〕 抗原結合部位が4つである〔18〕に記載の抗体、
〔21〕 細胞が腫瘍細胞である〔18〕〜〔20〕のいずれかに記載の抗体、
〔22〕 〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチド、
〔23〕 〔22〕に記載のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体をコードするポリヌクレオチド、
〔24〕 〔22〕または〔23〕に記載のポリヌクレオチドを含むベクター、
〔25〕 〔22〕または〔23〕に記載のポリヌクレオチドまたは〔24〕に記載のベクターを保持する宿主細胞、
〔26〕 〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載の抗体を含有する、医薬組成物、に関する。
1.TRAIL受容体抗体
本発明によりTNF関連アポトーシス誘導リガンド受容体(TRAIL受容体)を認識する抗体が提供される。本発明のTRAIL受容体を認識する抗体は、好ましくは、TRAIL受容体を発現する細胞に細胞死(アポトーシス等)を誘起し得るものである。TRAIL受容体のうち、腫瘍細胞において発現されていることが知られているTRAIL−R1またはTRAIL−R2を認識する抗体は、本発明の抗体として好ましく、中でも、これらの受容体のいずれかが発現されている腫瘍細胞にアポトーシスを誘起するものが好ましい。本発明の抗体がアポトーシスを誘起する細胞は、好ましくは腫瘍細胞である。ここで、腫瘍細胞は特に限定されず、例えば、大腸癌、肺癌、乳癌、黒色腫、結腸直腸癌、脳腫瘍、腎細胞癌、膀胱癌、白血病、リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肝臓癌、頭頚部扁平上皮癌、皮膚癌、尿路癌、前立腺癌、絨毛癌、咽頭癌、喉頭癌、きょう膜腫、男性胚腫、子宮内膜過形成、子宮内膜症、胚芽腫、線維肉腫、カポジ肉腫、血管腫、海面状血管腫、血管芽腫、網膜芽腫、星状細胞腫、神経線維腫、稀突起謬腫、髄芽腫、神経芽腫、神経謬腫、横紋筋肉腫、謬芽腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、甲状肉腫、ウィルムス腫瘍等の細胞を挙げることができる。
本発明において、「TRAIL受容体」とは、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)が結合する受容体であり、TRAILが結合する限りいかなる受容体であってもよい。TRAILが結合する受容体としては、現在のところ、TRAIL−1受容体、TRAIL−2受容体、TRAIL−3受容体、TRAIL−4受容体及びオステオプロテゲリン(OPG)の5種類が知られている。本発明の抗体はいかなるTRAIL受容体を認識してもよいが、好ましくはTRAIL−1受容体又はTRAIL−2受容体を認識する抗体である。それぞれのTRAIL受容体の配列は公知であり、例えば、GenBankに登録されている配列を参照することができる。本発明の抗TRAIL受容体は、好ましくは、以下のGenBankAccession番号で登録されているヒトTRAIL受容体のアミノ酸配列を有するポリペプチドを認識するものである:TRAIL−1受容体(NP_003835)、TRAIL−2受容体(NP_003833)、TRAIL−3受容体(NP_003832)、TRAIL−4受容体(NP_003831)。
本発明において、「抗体」という用語は最も広い意味で使用され、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体変異体(キメラ抗体、ヒト化抗体、低分子化抗体(抗体断片も含む)、多特異性抗体等)が含まれる。好ましい抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、並びに、及び抗体断片等の低分子化抗体である。
ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清としてモノクローナル抗体を得る方法がある。または、ハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、動物の腹水よりモノクローナル抗体を得る方法なども採用することができる。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
具体的には、まず最初に、抗TRAIL受容体抗体を産生するハイブリドーマから、抗TRAIL受容体抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin et al.,Biochemistry(1979)18:5294−9)、AGPC法(Chomczynski et al.,Anal.Biochem.(1987)162:156−9)等により全RNAを調製した後、mRNA Purification Kit(Pharmacia製)等を使用して目的のmRNAを調製することができる。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAのみを直接調製することもできる。次に、得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMVReverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等を用いて行うことができる。また、cDNAの合成および増幅は、5’−Ampli FINDER RACE Kit(Clontech製)を用い、PCRを利用した5’−RACE法(Frohman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85:8998−9002;Belyavsky et al.,Nucleic Acids Res.(1989)17:2919−32)等により行うことができる。続いて、得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAに連結することにより組換えベクターを作製し、該組換えベクターを大腸菌等の宿主に導入し、形質転換された細胞のコロニーを選択する。得られた細胞を培養することにより所望の組換え抗体を製造する。必要に応じ、目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認する。続いて、得られた目的とする抗体のV領域をコードするDNAを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAを含有する発現ベクターへ組み込む。発現ベクターは、発現制御領域、例えば、エンハンサー及びプロモーターを含み、該領域の制御により本発明の抗体が発現されるように抗体DNAを発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより、宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させる。
本発明の抗体には、上述のようにして得られた抗体をアミノ酸の置換、欠失、付加及び/若しくは挿入、またはキメラ化やヒト化等により、そのアミノ酸配列が改変されたものが含まれる。アミノ酸の置換、欠失、付加及び/又は挿入、並びにヒト化、キメラ化などのアミノ酸配列の改変は、当業者に公知の方法により行うことが可能である。同様に、本発明の抗体を組換え抗体として作製する際に利用する抗体の可変領域及び定常領域も、アミノ酸の置換、欠失、付加及び/若しくは挿入、またはキメラ化やヒト化等によりそのアミノ酸配列を改変してもよい。
「キメラ抗体」とは、異なる動物由来の配列を組合わせて作製される抗体である。例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変(V)領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常(C)領域からなる抗体を例示することができる。キメラ抗体の作製は公知であり、例えば、抗体V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることによりキメラ抗体を得ることができる。
本発明のキメラ抗体及びヒト化抗体の可変領域及び定常領域は、元の抗体の結合特異性を示す限り、欠失、置換、挿入及び/または付加等により改変されていてもよい。
ヒト由来の配列を利用したキメラ抗体及びヒト化抗体は、ヒト体内における抗原性が低下しているため、治療目的などでヒトに投与する場合に有用と考えられる。
本発明の抗体の好ましい態様の一つとして、低分子化抗体を挙げることができる。低分子化抗体は、体内動態の性質の面からも、大腸菌、植物細胞等を用いて低コストで製造できる点からも特に本発明の抗体として好ましいものである。
[可変領域(a)]−リンカー(A)−[可変領域(b)]−リンカー(B)−[可変領域(c)]−リンカー(C)−[可変領域(d)]
scFvの3量体(triabody)を形成する場合、scFv同士を非共有結合により3量体として形成しても、共有結合により3量体として形成してもよい。又、非共有結合と共有結合の両方を1つの分子中で混在させる形で3量体を形成していてもよい。
「sc(Fv)2」は2つのscFv等をリンカーなどで結合させて一本鎖ポリペプチドとした抗体であり、4つの可変領域を含む。従って、sc(Fv)2の2量体であるTandem Diabodyは、8つの可変領域を含む。Tandem Diabodyを構成するsc(Fv)2は、通常、以下の構造を持つ。
[可変領域]−リンカー(1)−[可変領域]−リンカー(2)−[可変領域]−リンカー(3)−[可変領域]
本発明のTandem Diabodyを作製する際には、2つのsc(Fv)2をリンカーなどで結合して、一本鎖Tandem Diabodyとしてもよい。この場合、一本鎖ポリペプチドには、8つの可変領域が含まれる。
その他、抗原結合部位を4つ含む抗体の例としては、例えば、scFvの4量体などを挙げることができる。これら全ての抗体が、本発明の抗原結合部位が4つの抗体に含まれる。
本発明において、低分子化抗体のリンカーにはどのようなリンカーを用いてもよく、例えば、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー(例えば、Protein Engineering(1996)9(3):299−305参照)を用いることができる。
本発明において使用できるペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能である。通常、scFVのペプチドリンカーとしては、1〜100アミノ酸、好ましくは5〜30アミノ酸、特に好ましくは12〜18アミノ酸(例えば、15アミノ酸)が用いられる。本発明におけるペプチドリンカーを構成するアミノ酸配列としては、例えば、以下のような配列を挙げることができる:
Ser
Gly・Ser
Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly
(Gly・Gly・Gly・Gly・Ser)n
(Ser・Gly・Gly・Gly・Gly)n
Ala・Ala・Asp・Ala・Ala・Ala・Ala・Gly・Gly・Pro・Gly・Ser
[nは1以上の整数である]
本発明のキメラ抗体、ヒト化抗体及び低分子化抗体の作製において利用できる抗TRAIL受容体抗体の可変領域は、当業者に公知の方法により得ることができる。例えば、既に公知の抗体(例えば、WO02/94880に記載の抗体など)の可変領域を用いることが可能である。又、TRAIL受容体又はその断片を免疫原として当業者に公知の方法で抗体を作製し、その可変領域を用いることもできる。公知の抗体、または公知の方法により得られた抗体の可変領域の配列を解読し、遺伝子工学的手法に作製された可変領域を利用することも可能である。可変領域、及び可変領域中のCDRの由来は特に限定されず、どのような動物由来でもよい。例えば、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ラクダ抗体などの配列を用いることが可能である。
(1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列
(2)配列番号:4に記載のアミノ酸配列
(3)配列番号:6に記載のアミノ酸配列
(4)配列番号:8に記載のアミノ酸配列
(1)〜(3)に記載の抗体は、好ましくは配列番号:2、4、あるいは6に記載のアミノ酸配列を有する抗体(それぞれScFvH2L、ScFvH1L、およびScFvH0L)、またはその多量体であり、より好ましくは配列番号:2、4、あるいは6に記載のアミノ酸配列を有する抗体の3量体(Triabody)である。
(4)に記載の抗体は、好ましくは配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有する抗体(pCXND3/KMTR1 Tandabにコードされる抗体)またはその多量体であり、より好ましくは配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有する抗体の2量体(Tandem Diabody)である。
なお、ScFvH2Lをコードする塩基配列を配列番号:1に、ScFvH1Lをコードする塩基配列を配列番号:3に、ScFvH0Lをコードする塩基配列を配列番号:5に、pCXND3/KMTR1 Tandabをコードする塩基配列を配列番号:7に示す。
機能的に同等な抗体を調製するための具体的な方法として、上記抗体の可変領域(例えば、FR部分)のアミノ酸を改変する方法が挙げられる。アミノ酸の改変には、アミノ酸の置換、欠失、付加及び/又は挿入が含まれ、これらのアミノ酸改変操作は、当業者に公知の方法により行うことが可能である。具体的には、部位特異的変異誘発法(Hashimoto−Gotoh et al.,Gene(1995)152:271−5;Zoller and Smith,Methods Enzymol.(1983)100:468−500;Kramer et al.,Nucleic Acids Res.(1984)12:9441−56;Kramer and Fritz,Methods Enzymol.(1987)154:350−67;Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:488−92;Kunkel,Methods Enzymol.(1988)85:2763−6)などの手法を用いることができる。
本発明において、出願人は、TRAIL受容体がin vivoにおいて、3量体として機能している点に着目した。まず、一本鎖Fv(scFv)のVH及びVL間を、2、1または0merのリンカーとすることにより3価の抗原結合部位を持つTriabody、並びに、sc(Fv)2のリンカー長を5−12−5merにすることで、4価の抗原結合部位を形成するTandem Diabodyを作製し、その活性を調べた。その結果、これらの低分子化抗体は受容体を発現している腫瘍細胞に対して、単独で顕著な細胞傷害活性を示した。TriabodyやTandem Diabodyが細胞膜表面上のTRAIL受容体の重合を促進することにより、TRAIL受容体の3量体を介したアポトーシスシグナルの伝達が促進されたものと考えられる。この結果から、同様に3量体で機能し、細胞死を誘導するTNF受容体、Fas受容体などのTNF受容体ファミリーに対しても、TriabodyやTandem Diabodyなどの抗原結合部位を3つ以上持つ低分子化抗体が、アゴニスト的に働き、細胞死のシグナルをより効率的に伝えるものと考えられた。
本発明により、上記1.及び2.の抗体をコードするポリヌクレオチドも提供される。本発明のポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードする限り、特に限定されず、複数のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)等の塩基または塩基対からなる重合体である。天然以外の塩基を含んでいてもよい。
本発明は、さらに、上記3.のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
本発明のベクターは、本発明のポリヌクレオチドが組み込まれている限りどのようなベクターであってもよく、特に限定されない。例えば、大腸菌を宿主とする場合には、ベクターを大腸菌(例えば、JM109、DH5α、HB101、XL1Blue)などで大量に増幅させ大量調製するために、大腸菌で増幅されるための「ori」をもち、さらに形質転換された大腸菌での選抜を可能とする遺伝子(例えば、なんらかの薬剤(アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、クロラムフェニコール等)による判別を可能にする薬剤耐性遺伝子)を有することが好ましい。このようなベクターの例としては、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Scriptなどが挙げられる。また、cDNAのサブクローニング、切り出しを目的とした場合、上記ベクターの他に、例えば、pGEM−T、pDIRECT、pT7などが挙げられる。
CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞等の動物細胞での発現を目的とした場合には、細胞内で発現させるために必要なプロモーターとして、例えばSV40プロモーター(Mulligan et al.,Nature(1979)277:108)、MMLVLTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al.,Nucleic Acids Res.(1990)18:5322)、CMVプロモーターなどを持っていることが不可欠である。さらに、細胞がベクターにより形質転換されたかどうかを判定するための遺伝子(例えば、薬剤(ネオマイシン、G418など)により判別できるような薬剤耐性遺伝子)を有すればさらに好ましい。このような特性を有するベクターとしては、例えば、pMAM、pDR2、pBK−RSV、pBK−CMV、pOPRSV、pOP13が挙げられる。
本発明により、上記3.のポリヌクレオチドまたは上記4.のベクターを保持する宿主細胞が提供される。ここで、宿主細胞は、特に制限されず、例えば、大腸菌や種々の動物細胞などを挙げることができる。宿主細胞は、例えば、本発明の抗体の製造や発現のための産生系として使用することができる。ポリペプチド製造のための産生系には、in vitroおよびin vivoの産生系がある。in vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系及び原核細胞を使用する産生系が挙げられる。
例えば、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを、ヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生されるポリペプチドをコードする遺伝子との融合遺伝子として調製する。次いで、この融合遺伝子を含むポリヌクレオチド断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ移植する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から、目的の抗体を得ることができる。トランスジェニックヤギから産生される抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに投与してもよい(Ebert et al.,Bio/Technology(1994)12:699−702)。
クロマトグラフィーとしては、例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.(1996)Cold Spring Harbor Laboratory Press)。これらのクロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えばHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラムが挙げられる。例えば、プロテインAを用いたカラムとして、Hyper D,POROS,Sepharose F.F.(Pharmacia製)等が挙げられる。
これらの受容体は3量体以上であれば特に限定されず、例えば、4量体、5量体、6量体、7量体などを挙げることができるが、好ましくは3量体又は4量体であり、特に好ましくは3量体である。
本発明は、上記1.または2.に記載の抗体を含む医薬組成物を提供する。抗体が、細胞にアポトーシスを誘起する抗体である場合には(例えば、抗TRAIL受容体抗体である場合には)、該抗体を含有する医薬組成物は、特に抗癌剤として有用である。例えば、大腸癌、肺癌、乳癌、黒色腫、結腸直腸癌、脳腫瘍、腎細胞癌、膀胱癌、白血病、リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肝臓癌、頭頚部扁平上皮癌、皮膚癌、尿路癌、前立腺癌、絨毛癌、咽頭癌、喉頭癌、きょう膜腫、男性胚腫、子宮内膜過形成、子宮内膜症、胚芽腫、線維肉腫、カポジ肉腫、血管腫、海面状血管腫、血管芽腫、網膜芽腫、星状細胞腫、神経線維腫、稀突起謬腫、髄芽腫、神経芽腫、神経謬腫、横紋筋肉腫、謬芽腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、甲状肉腫、ウィルムス腫瘍等において、腫瘍細胞のアポトーシスを誘起することにより抗癌活性を示すことが期待される。
注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬(例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウム)を含む等張液が挙げられる。適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80(TM)、HCO−50等)を併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル及び/またはベンジルアルコールを併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液及び酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカイン)、安定剤(例えば、ベンジルアルコール及びフェノール)、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填する。
投与方法は、患者の年齢、症状により適宜選択することができる。抗体または抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する医薬組成物の投与量は、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲に設定することが可能である。または、例えば、患者あたり0.001〜100000mgの投与量とすることもできるが、本発明はこれらの数値に必ずしも制限されるものではない。投与量及び投与方法は、患者の体重、年齢、症状などにより変動するが、当業者であればそれらの条件を考慮し適当な投与量及び投与方法を設定することが可能である。
さらに本発明は、本発明の抗体を用いることにより、細胞の細胞死を誘導する方法に関する。具体的には、本発明の抗体を細胞に接触させることにより、該細胞に細胞死を誘導する方法に関する。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
1.Diabody、Triabody、Tandem diabodyおよびWhole IgG発現ベクターの構築
1−1.Diabody発現ベクターの構築
抗体の細胞障害性活性を評価するDiabody抗体として、特許(WO 02/094880 A1)に記載の塩基配列に基づいて可変領域配列を決定したKMTR1抗体を作製した。
重鎖可変領域としては、WO 02/094880 A1中、配列番号:32の塩基配列81番目のアデニン(A)から497番目のアデニン(A)までの配列を採用した。これには重鎖シグナル配列が含まれる。軽鎖可変領域としては、WO 02/094880 A1中、配列番号:34の塩基配列123番目のグアニン(G)から443番目のアデニン(A)までの配列を採用した。これは、シグナル配列を含まない成熟体の配列である。
配列番号:14;S1、
配列番号:15;AS1、
配列番号:16;S2、
配列番号:17;AS2、
配列番号:18;S3、
配列番号:19;AS3、
配列番号:20;S4、
配列番号:21;AS4、
配列番号:22;S5、
配列番号:23;AS5、
配列番号:24;S6、および
配列番号:25;AS6。
1)チューブA:合成DNA S1およびAS1、
2)チューブB:合成DNA S2およびAS2、
3)チューブC:合成DNA S3およびAS3、
4)チューブD:合成DNA S4およびAS4、
5)チューブE:合成DNA S5およびAS5、並びに
6)チューブF:合成DNA S6およびAS6。
各チューブに、各合成DNAは40pmolずつ添加し、それぞれにdATP、dGTP、dTTP、dCTP各々を250μM含むdNTP mix、1×TaKaRa pyrobsetTMDNA Polymeraseバッファー、および1.25ユニットのTaKaRa pyrobsetTMDNA Polymeraseを含む25μLの反応溶液を調製した。各チューブをサーマルサイクラーGene Amp PCR System 2400(PERKIN ELMER)(以下のすべての反応においてこのサーマルサイクラーを使用)にセットした。94℃にて1分の変性の後、94℃、30秒;72℃、30秒からなるサイクルを5サイクル行った。第2段階アセンブリングはチューブを4本準備した:
1)チューブ1:チューブAおよびBの反応産物、
2)チューブ2:チューブBおよびCの反応産物、
3)チューブ3:チューブDおよびEの反応産物、並びに
4)チューブ4:チューブEおよびFの反応産物。
各チューブにおいて、各反応産物を10μLずつ混合し、サーマルサイクラーで94℃にて1分間の変性を行った後、94℃、30秒;72℃、30秒からなるサイクルを5サイクル行った。第3段階アセンブリングはチューブを2本準備した:
1)チューブ1+2:チューブ1および2の反応産物、並びに
2)チューブ3+4:チューブ3および4の反応産物。
各チューブにおいて各反応産物を20μLずつ混合し、サーマルサイクラーで94℃にて1分間の変性を行った後、94℃、30秒;72℃、30秒からなるサイクルを5サイクル行った。
scFvの構造において、リンカーの長さを適切にデザインすれば、scFvは3量体を形成し、これが3価の抗原結合部位を形成するTriabodyとして機能しうることが文献的に報告されている(J.Immunol.Methods(1999)231:177−89)。これを参考に、ここではリンカーアミノ酸Glyの個数を2、1または0個の3種類で構築し、各リンカーを持つTriabodyを評価した。各Triabodyを構成するscFvをScFvH2L、ScFvH1L、およびScFvH0Lと命名した。各Triabodyを製造するための発現ベクターを以下のように構築した。
Diabody発現ベクターpCXND3/KMTR1#33のリンカー部分(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser/配列番号:10)を含む領域を挟むように該ベクターにハイブリダイズし、かつこれらのプライマーを用いて増幅された断片中のリンカーがGly−Glyの2merになるようなプライマーScFv−2S(配列番号:30)およびScFv−2A(配列番号:31)を設計した。設計に際しては、pCXND3/KMTR1#33を鋳型として、KMTR1 H1(配列番号:26)とScFv−2Aとの組合わせ、及び、ScFv−2SとKMTR1 L2(配列番号:29)とでそれぞれPCRを行って得られる2つの断片が、互いの相補性によってアセンブルできるよう18塩基の重なりを互いに持たせるようなデザインとした。
チューブ2−1およびチューブ2−2から得たDNA断片を1μLずつ以下の反応溶液(以下1−2.の項目中、アセンブル溶液と呼ぶ)に添加した:dATP、dGTP、dTTP、dCTP各々を250μM含むdNTP mix、1×TaKaRa pyrobsetTMDNA Polymeraseバッファー、および5ユニットのTaKaRa pyrobsetTMDNA Polymeraseを含む最終容量50μLの反応溶液。この溶液を含むチューブ2をサーマルサイクラーで94℃にて1分変性した後、94℃、30秒;72℃、60秒からなるサイクルを5サイクル行いアセンブルした。さらに反応溶液に、各0.5μLの100μMのKMTR1 H1およびKMTR1 L2を添加し、94℃で1分の変性した後、94℃、60秒;72℃、60秒からなるサイクルを30サイクル行い増幅を行った。反応産物は1.2%アガロースゲル電気泳動で分離し、目的のサイズ800bpの断片をゲルから切り出し、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)で精製した。精製した断片は制限酵素EcoRIおよびNotIで消化し、予め制限酵素EcoRIおよびNotIで開裂した発現ベクターpCXND3に挿入し、断片の塩基配列を決定した。目的の配列をもつプラスミドをpCXND3/KMTR1ScFv2と命名した。
プライマーScFv−1S(配列番号:32)およびScFv−1A(配列番号:33)を、Diabody発現ベクターpCXND3/KMTR1#33のリンカー部分(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser/配列番号:10)を含む領域を挟むようにハイブリダイズし、かつこれらのプライマーを用いて増幅された断片のリンカー部分がGlyとなるよう設計した。pCXND3/KMTR1#33を鋳型として、KMTR1 H1(配列番号:26)とScFv−1A、及びScFv−1SとKMTR1 L2(配列番号:29)の2組のプライマーの組合わせそれぞれでPCRを行って得られる断片同士が、互いの相補性によるアセンブルを可能にする18塩基の重なりを持つように、プライマーをデザインした。
プライマーScFv−0S(配列番号:34)およびScFv−0A(配列番号:35)を、Diabody発現ベクターpCXND3/KMTR1#33のリンカー部分(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser/配列番号:10)を含む領域を挟むようにハイブリダイズし、かつこれらのプライマーを用いて増幅された断片にはリンカーが含まれないよう設計した。pCXND3/KMTR1#33を鋳型として、KMTR1 H1(配列番号:26)とScFv−0、及びScFv−0SとKMTR1 L2(配列番号:29)との各プライマーの組合わせでPCRを行った場合に得られる2つの断片同士が、互いの相補性によってアセンブルできるような18塩基の重なりをそれぞれ持つように、各プライマーをデザインした。
1−3−1.Tandem Diabodyのデザイン
重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを2つずつVH−VL−VH−VLの順でタンデムに連結したsc(Fv)2において、その可変領域間のリンカーを適切にデザインすればタンパクとして発現させた場合、2つのsc(Fv)2分子の間で組みになったVH−VLが互いに会合し、合計4つの抗原結合部位を持つTandem Diabodyを形成できることが報告されている(Cancer Research(2000)60:4336−41)。
ここでは、sc(Fv)2の可変領域間の3つのリンカーが、5mer、12mer及び5merの順に構成されるsc(Fv)2をデザインした。具体的には、12merのリンカー配列として、上記報告に記載のSL配列(Arg−Ala−Asp−Ala−Ala−Ala−Ala−Gly−Gly−Pro−Gly−Ser/配列番号:36)を採用し、5merのリンカーとしてGly−Gly−Gly−Gly−Ser(配列番号:10)を採用した。構築したベクターにコードされるアミノ酸配列はアミノ末端から順に(VHシグナル配列)−(VH)−(5merリンカー)−(VL)−(12merリンカー)−(VH)−(5merリンカー)−(VL)−(Flagタグ)−(終止コドン)である。
プライマーKMTR1tanA(配列番号:37)は、Diabody発現ベクターpCXND3/KMTR1#33のVHの末端にハイブリダイズする配列に続くSmaI認識配列を含む12merのリンカー配列をコードする配列からなるアンチセンス配列を持つ。プライマーKMTR1tanS(配列番号:38)はSmaI認識配列を含む12merのリンカー配列をコードする配列に続くDiabody発現ベクターpCXND3/KMTR1#33のVLの末端にハイブリダイズする配列からなるセンス配列を持つ。これらのプライマーを用いてフラグメント1および2を増幅した。
1−4−1.Whole IgG発現ベクターのデザイン
既に特許(WO 92/19759)で報告されているように、発現ベクターHEF−PMh−gγ1にシグナル配列およびVHからなる断片を挿入すると、ヒトEF1αプロモーターの制御下で、該VH断片にヒトH鎖定常領域が付加されたWhole IgGのH鎖を発現する。同様に、発現ベクターHEF−PM1k−gκは、シグナル配列およびVLとからなる断片の挿入により、ヒトEF1αプロモーターの制御下で、該VL断片にヒトL鎖定常領域が付加されたWhole IgGのL鎖を発現する。これらH鎖およびL鎖の発現ベクターを動物細胞COS−7等に共導入すればWhole IgGを発現させることができる。
センスプライマーKMTRVHsp(配列番号:39)をpCXND3/KMTR1#33のコード配列中、アミノ末端にハイブリダイズするよう設計した。KMTRVHspには、クローニングのためにHindIII制限酵素認識配列が付加されている。アンチセンスプライマーKMTRVHap(配列番号:40)はpCXND3/KMTR1#33のコード配列中、カルボキシ末端にハイブリダイズし、カルボキシ末端の直後にスプライスドナー配列を持つよう設計した。KMTRVHapには、クローニングのためにBamHI制限酵素認識配列が付加されている。センスプライマーKMTRVLsp(配列番号:41)は、特許(WO 02/094880)に記載のKMTR1 VLのシグナル配列をコードする配列を含み、その上流にKozakコンセンサス配列CCACCおよびBamHI制限酵素認識配列を持つよう設計した。KMTRVLspは、pCXND3/KMTR1#33のコード配列中、VLのアミノ末端にハイブリダイズするよう設計した。さらに、クローニングのためにHindIII制限酵素認識配列が付加されている。アンチセンスプライマーKMTRVLap(配列番号:42)はpCXND3/KMTR1#33のコード配列中、VLのカルボキシ末端にハイブリダイズし、カルボキシ末端の直後にスプライスドナー配列を持つよう設計した。KMTRVLapは、クローニングのためにBamHI制限酵素認識配列が付加されている。
1.において構築した各発現ベクター各10μgずつを、Gene Pulser装置を用いたエレクトロポレーション法によりCOS−7細胞に導入した。すなわち、各DNA(10μg)をPBS中に懸濁した1×107細胞の0.8mLのアリコートに加え、1500V、25μFの用量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、10%ウシ胎児血清(GIBCO BRL)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)30mLに播種した。これを37℃、5%CO2の条件下で終夜培養した後、培地除去後、PBSにて細胞を4回洗浄し、CHO−S−SFMII培地(GIBCO BRL)15mLを添加した。これを37℃、5%CO2の条件下で72時間培養し、遠心分離により細胞破砕物を除去した上清を得、さらに0.45μmのフィルターで処理して得たものを培養上清として細胞傷害活性の測定に用いた。
3−1.Diabody、TriabodyおよびTandem Diabodyの濃度測定
2.で発現させた培養上清中のDiabody、TriabodyおよびTandem Diabodyの濃度は、表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサーBIAcore2000(BIACORE)を用いて濃度測定した。これらの抗体にはFlagタグが付加されていた。そこで、抗Flag抗体M2(Sigma)を利用して解析を行った。より具体的には、該抗体をセンサーチップCM5(BIACORE)にアミンカップリング法で固相化し、このセンサーチップを用いた培養上清の解析により表面プラズモン共鳴シグナルを測定した。
2.で発現させた培養上清中のIgG濃度測定はELISAで行った。ELISA用96穴プレートMaxisorp(NUNC)の各穴にコーティングバッファー(0.1M NaHCO3、0.02% NaN3、pH9.6)により1μg/mLの濃度に調製したヤギ抗ヒトIgG抗体(BIOSOURCE)100μLを加え、室温で1時間のインキュベーションを行い固相化した。100μLの希釈バッファー(50mM Tris−HCl、1mM MgCl2、0.15M NaCl、0.05% Tween20、0.02% NaN3、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、pH8.1)でブロッキングした後、Whole IgGを発現させた培養上清を順次段階希釈して各穴に100μLずつ加え、室温で1時間のインキュベーションした。各穴を洗浄した後、アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG(BIOSOURCE)100μLを加えた。室温にて1時間のインキュベーションを行い、洗浄した後、基質バッファー(50mM NaHCO3、10mM MgCl2、pH9.8)に溶解した1mg/mLの基質溶液(Sigma104、p−ニトロフェニルリン酸、Sigma)100μLを加え、405nmでの吸光度をMICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad)を用いて測定した。濃度測定の標準品としてヒトIgG1κ(The Binding Site)を用いた。
2.で発現させた培養上清中のDiabody、TriabodyおよびTandem Diabodyの生物活性は細胞傷害活性で評価した。具体的には、実際にTRAIL受容体の発現が認められている大腸癌細胞株COLO 205(ATCC CCL−222)を細胞培養用96穴マイクロプレート(FALCON)に7.5×104細胞/ウエルで播種し、CHO−S−SFMII(GIBCO BRL)で順次段階希釈した各培養上清を各穴に添加した。必要に応じてクロスリンカーとして抗Flag抗体M2(Sigma)を10μg/mLの濃度で添加した。細胞傷害活性評価の陽性対照にはTRAIL天然リガンドApo2L組み換え体(Sigma)をCHO−S−SFMIIで希釈して用いた。こうして調製したマイクロプレートは37℃、5% CO2の条件で終夜培養し、翌日に細胞増殖/細胞毒性測定試薬Cell Counting Kit−8(WAKO)を添加して発色させた後、450nmでの吸光度をMicroplate Spectrophotometer Benchmark PlusTM(Bio−Rad)で測定した。
Claims (26)
- TNF関連アポトーシス誘導リガンド受容体(TRAIL受容体)を認識する抗体。
- 低分子化抗体である請求項1に記載の抗体。
- 抗原結合部位を3つ以上含むことを特徴とする請求項1及び2に記載の抗体。
- 抗原結合部位が3つである請求項3に記載の抗体。
- 3つのscFvが3量体を形成していることを特徴とする請求項4に記載の抗体。
- scFv中の2つの可変領域が0〜2アミノ酸のリンカーで結合されている請求項5に記載の抗体。
- リンカーが0アミノ酸である請求項6に記載の抗体。
- リンカーが1アミノ酸である請求項6に記載の抗体。
- 抗原結合部位が4つである請求項3に記載の抗体。
- 4つの可変領域を含むポリペプチドが2量体を形成している請求項9に記載の抗体。
- TRAIL受容体がTRAIL−R1又はTRAIL−R2である請求項1〜10のいずれかに記載の抗体。
- 細胞にアポトーシスを誘起することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の抗体。
- 細胞が腫瘍細胞である請求項12に記載の抗体。
- 配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有する抗体。
- 配列番号:4に記載のアミノ酸配列を有する抗体。
- 配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有する抗体。
- 配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有する抗体。
- 抗原結合部位を3つ以上含み、細胞にアポトーシスを誘起する抗体。
- 抗原結合部位が3つである請求項18に記載の抗体。
- 抗原結合部位が4つである請求項18に記載の抗体。
- 細胞が腫瘍細胞である請求項18〜20のいずれかに記載の抗体。
- 請求項1〜21のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
- 請求項22に記載のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ請求項1〜21のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体をコードするポリヌクレオチド。
- 請求項22または23に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
- 請求項22または23に記載のポリヌクレオチドまたは請求項24に記載のベクターを保持する宿主細胞。
- 請求項1〜21のいずれかに記載の抗体を含有する、医薬組成物。
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