JPS636462Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内燃機関の始動装置に関するもので
あり、特にオーバランニングクラツチを移送する
シフトレバーのシフト機構の新規な内燃機関の始
動装置に関するものである。

第１図は従来の内燃機関の始動装置を示す側断
面図である。第１図において、直流電動機１は始
動電動機を構成するもので、次の各構成要素から
なつている。界磁装置２は円筒状の継鉄３と、継
鉄３の内周面に固着された界磁磁極４と、界磁磁
極４に巻装された界磁コイル５とを備えている。
電機子６は界磁装置２内に回転可能に支承され、
電機子鉄心７と、電機子鉄心７に固定された回転
軸８と、電機子鉄心７に施された電機子コイル９
とを備えている。整流子１０は回転軸８に取付け
られ電機子コイル９に接続されている。ブラシ１
１は整流子１０に摺接して電機子コイル９に通電
するものであり、ブラシ保持器１２によつて保持
されリヤブラケツト１３に取付けられている。リ
ヤブラケツト１３は継鉄３の後端開口部を塞ぐよ
うに継鉄３に取付けられ、回転軸８の後端部８０
１をスリーブベアリング１４を介して回転可能に
支承する円筒容器状の中央突設部１３１を備えて
いる。フロントブラケツト１５は継鉄３の前端開
口部を塞ぐように継鉄３に取付けられ、ノーズ部
１５１に穿設された貫通孔１５２によつて回転軸
８の前端部８０２をスリーブベアリング１６を介
して回転可能に支承している。オーバランニング
クラツチ１７は回転軸８にスプライン係合され、
回転軸８に前後方向に摺動可能に取付けられてい
る。ピニオン１８はオーバランニングクラツチ１
７に一方向回転係合され、オーバランニングクラ
ツチ１７の前方（図中の右方向）への移送時に内
燃機関のリングギヤ（図示せず）に噛合するもの
である。ストツパ１９は回転軸８に係着され、ピ
ニオン１８の前方への移送を停止させるものであ
る。スラストワツシヤ２０はストツパ１９に摺動
係合して、ストツパ１９の衝撃力をフロントブラ
ケツト１５に伝えるものである。電磁スイツチ２
１はフロントブラケツト１５に取付けられ、その
通電付勢時にプランジヤ２２を電磁スイツチ２１
の筐体内に吸引すると共に、プランジヤ２２の吸
引によつて主接点（図示せず）を閉成させ、導体
２３を介して界磁コイル５に通電するものであ
る。シフトレバー２４はその回動支点部２４１が
ホルダ２５によつて回動可能に支承されており、
その一端部２４２はプランジヤ２２に係合され、
その他端部２４３はオーバランニングクラツチ１
７に係合している。レバースプリング２６はホル
ダ２５を弾性的に押圧するものであり、グロメツ
ト２７はレバースプリング２６の受圧面を構成す
るものである。

次に動作について説明する。電磁スイツチ２１
が通電付勢されプランジヤ２２が電磁スイツチ２
１の筐体内に吸引されると、シフトレバー２４が
その回動支点部２４１を中心に反時計方向に回動
する。このためオーバランニングクラツチ１７は
シフトレバー２４の他端部２４３によつて前方
（図中の右方向）に移送され、ピニオン１８が内
燃機関のリングギヤ（図示せず）に噛合する。ま
たこのとき、電磁スイツチ２１の主接点（図示せ
ず）がプランジヤ２２によつて閉成され、界磁コ
イル５に蓄電器（図示せず）から通電して電機子
６に回転力を発生させる。この回転力が回転軸
８、オーバランニングクラツチ１７及びピニオン
１８を介して内燃機関のリングギヤ（図示せず）
に伝達され、内燃機関が始動される。

従来の始動装置は以上のように構成され、オー
バランニングクラツチ１７を前方に移送するシフ
ト機構の推力を、高価で高重量の電磁スイツチ２
１によつて発生しているため、始動装置が高価か
つ高重量となる欠点があつた。

この考案は上記のような従来のものの欠点を除
去するためになされたもので、新規なシフト機構
を有する内燃機関の始動装置を提供することを目
的としている。以下図面によつてこの考案の一実
施例を説明する。

第２図はこの考案に係る内燃機関の始動装置の
主要部の一実施例を示す部分側断面図、第３図は
第２図の可動磁極部分のみの縦断面図、第４図は
第２図及び第３図に示す主要構成部品の電気結線
図である。図中第１図と同一部分もしくは相当部
分には同一符号もしくは同一符号にダツシユを付
している。第２図乃至第４図において、可動磁極
２８は直流電動機１の界磁磁極４の一つを構成す
るもので、その一端部がシフトレバー２４′の一
端部２４２に固定され、常時は第２図に示す如く
開放しており、第４図に示すキースイツチ３６の
閉成時に継鉄３の外周表面に穿設された開口部３
０１を塞ぐように閉成し、次の各構成部品から構
成されている。即ち継鉄３の開口部３０１を塞ぐ
継鉄片２９と、継鉄片２９の内周面に固定された
永久磁石部材からなり低保持力、高磁束密度特性
の界磁磁極３０と、界磁磁極３０の内周面に固定
された軟鉄部材からなるポールチツプ３１と、界
磁磁極３０及びポールチツプ３１に巻装され第４
図に示すように電流コイル３２１と電圧コイル３
２２とからなる界磁コイル３２と、ポールチツプ
３１に巻装された分巻コイル３３とから構成され
ている。主接点３４は継鉄３もしくはリヤブラケ
ツト１３に固定された第４図に示すような一対の
固定接点３４１，３４２と、可動磁極２８の他端
部に固定され第４図に示すように一対の固定接点
３４１，３４２間を閉成する可動接点３４３とか
らなつている。引張りばね３５はフロントブラケ
ツト１５とシフトレバー２４′間に張架され、常
時は可動磁極２８を第２図に示すように開放させ
るものである。キースイツチ３６は界磁コイル３
２の電流コイル３２１と電圧コイル３２２との接
続点と陰極が接地された蓄電池３７の陽極間に接
続されており、電圧コイル３２２の他端部は接地
されている。主接点３４の固定接点３４１は蓄電
池３７の陽極に、固定接点３４２は電流コイル３
２１の他端部に接続されている。分巻コイル３３
は固定接点３４２とアース間に接続され、電機子
６に並列接続されている。なお、電流コイル３２
１の巻装回数は電圧コイル３２２の巻装回数より
多くされている。

次に動作について説明する。今、第４図におい
てキースイツチ３６が閉成されると、電流コイル
３２１電圧コイル３２２及び分巻コイル３３に実
線の矢印方向に電流が流れて可動磁極２８に励磁
され、可動磁極２８は第２図に示す引張りばね３
５のばね力に打勝つて閉成する。このためシフト
レバー２４′は回動支点部２４１を中心に反時計
方向に回動し、オーバランニングクラツチ１７及
びピニオン１８を前方に移送して、ピニオン１８
を内燃機関のリングギヤ（図示せず）に噛合させ
る。またこの時主接点３４の可動接点３４３は一
対の固定接点３４１，３４２間に閉成され、電機
子６及び分巻コイル３３は通電されて電機子６は
回転する。この回転によつて内燃機関は始動され
る。内燃機関の始動後キースイツチ３６が開放さ
れると、主接点３４を介して蓄電池３７から界磁
コイル３２の電流コイル３２１には点線方向の逆
電流が流れる。電流コイル３２１の巻装回数は予
め電圧コイル３２２の巻装回数より多くされてい
るため、可動磁極２８が逆励磁され第２図に示す
引張りばね３５のばね力によつて可動磁極２８は
第２図に示す状態に開放し、主接点３４の可動接
点３４３は一対の固定接点３４１，３４２から開
放する。このため電機子６への通電はしや断され
電機子６の回転は停止する。またこのとき、可動
磁極２８の開放につれてシフトレバー２４′は、
その回動支点部２４１を中心に時計方向に回動し
て、オーバランニングクラツチ１７及びピニオン
１８を後方に移送して、ピニオン１８と内燃機関
のリングギヤ（図示せず）との噛合を解除する。

この考案は以上のように構成され、可動磁極２
８として低保磁力、高磁束密度性状を有した永久
磁石である界磁磁極３０と、軟鉄部材からなるポ
ールチツプ３１とで構成し、可動磁極２８に巻装
された電圧コイル３２２及び分巻コイル３３と軟
鉄部材からなるポールチツプ３１とにより得られ
る磁束と、電流コイル３２１及び電圧コイル３２
２によつて励磁された永久磁石材からなる界磁磁
極３０の磁束との合成された励磁力が、電機子６
の励磁力として作用している。このため、従来の
如く電磁スイツチ２１にプランジヤ２２を吸引す
るための無効消費電流を必要とせず、蓄電池３７
から電流コイル３２１、電圧コイル３２２及び分
巻コイル３３への励磁電流が無効消費されること
なく、始動電動機の出力を増加することができ
る。また可動磁極２８の内周面に固着されている
界磁磁極３０を低保磁力、高磁束密度の永久磁石
材で構成したため、電流コイル３２１による可動
磁極２８の消勢励磁力が少なくてすみ、主接点３
４の開離に対して優れた制御性が得られ、運転時
は安定した性能を得ることができ、且つ装置を小
型化できる。

第５図は第２図及び第３図に示す主要構成部品
の他の電気結線図である。第５図において、外部
抵抗３２２′はキースイツチ３６と電流コイル３
２１との接続点とアース間に接続されたものであ
る。即ち第４図に示す実施例の電圧コイル３２２
の代わりに外部抵抗３２２′を用いたものであり、
その動作は何ら変わることはない。

以上のようにこの考案によれば、効率よく且つ
安定した運転性能を得ることができ、優れた制御
性が得られ、装置を小型化できる等の諸効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の内燃機関の始動電動機を示す側
断面図、第２図はこの考案に係る内燃機関の始動
電動機の主要部の一実施例を示す部分側断面図、
第３図は第２図の可動磁極部分のみの縦断面図、
第４図は第２図及び第３図に示す主要構成部品の
電気結線図、第５図は第２図及び第３図に示す主
要構成部品の他の電気結線図である。 図において、各図中同一部分もしくは相当部分
には同一符号もしくは同一符号にダツシユを付し
ており、１は直流電動機、２は界磁装置、３は継
鉄、３０１は開口部、４は界磁磁極、６は電機
子、８は回転軸、１５はフロントブラケツト、１
７はオーバランニングクラツチ、１８はピニオ
ン、２４′はシフトレバー、２４１は回動支点部、
２４２は一端部、２４３は他端部、２８は可動磁
極、２９は継鉄片、３０は界磁磁極、３１はポー
ルチツプ、３２は界磁コイル、３２１は電流コイ
ル、３２２は電圧コイル、３２２′は外部抵抗、
３３は分巻コイル、３４は主接点、３４１，３４
２は一対の固定接点、３４３は可動接点、３５は
引張りばね、３６はキースイツチ、３７は蓄電池
である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 直流電動機の枠体を構成し、外周表面に開口
   部を有する継鉄、前記開口部を覆うように一端
   部が前記継鉄に回動可能に取付けられるととも
   に低保磁力で高磁束密度の永久磁石材からなる
   界磁磁極に界磁コイルを巻装して構成され、前
   記直流電動機の界磁磁極の一極を構成する可動
   磁極、前記可動磁極の他端部に前記継鉄もしく
   は固定物に設置された固定接点に相対して設け
   られ、前記界磁コイルの励磁時に前記固定接点
   に閉成して前記直流電動機の主電流回路を形成
   する可動接点、前記可動磁極に一端部が係止さ
   れ、他端部がオーバランニングクラツチを移送
   させるように前記オーバランニングクラツチ係
   合するシフトレバー、及び前記可動磁極を常時
   は開放させるばねを備えた内燃機関の始動装
   置。 (2) 可動磁極に巻装された界磁コイルは、キース
   イツチと直列接続され、主接点に並列接続され
   た電流コイルと、前記電流コイルおよび前記キ
   ースイツチの接続点とアース間に接続された電
   圧コイルとから構成され、前記可動磁極には前
   記主接点に直列接続され、且つ直流電動機の電
   機子に並列接続された分巻コイルが巻装されて
   いる実用新案登録請求の範囲第１項記載の内燃
   機関の始動装置。 (3) 電流コイルの巻装回数は電圧コイルの巻装回
   数よりも多い実用新案登録請求の範囲第(2)項記
   載の内燃機関の始動装置。 (4) 永久磁石材からなる界磁磁極の内周面には、
   軟鋼部材からなるポールチツプが固着されてい
   る実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の内燃機
   関の始動装置。