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JPH1160927A - サーモトロピック液晶ポリマー組成物 - Google Patents

サーモトロピック液晶ポリマー組成物

Info

Publication number
JPH1160927A
JPH1160927A JP18136198A JP18136198A JPH1160927A JP H1160927 A JPH1160927 A JP H1160927A JP 18136198 A JP18136198 A JP 18136198A JP 18136198 A JP18136198 A JP 18136198A JP H1160927 A JPH1160927 A JP H1160927A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
terpene
resin
acid
liquid crystal
thermotropic liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18136198A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Inoue
敏夫 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Petrochemicals Co Ltd filed Critical Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority to JP18136198A priority Critical patent/JPH1160927A/ja
Publication of JPH1160927A publication Critical patent/JPH1160927A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型への充填圧力が低く、薄肉成形用および
電気、電子、光学等の分野の素子の封止材料用として使
用可能なサーモトロピック液晶ポリマー組成物を提供す
る。 【解決手段】 テルペン系樹脂0.5〜10重量%を含
有するサーモトロピック液晶ポリマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動性に優れ、低
圧で射出成形可能なサーモトロピック液晶ポリマー(以
下、「LCP」ということがある)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】エンジニアリングプラスチックとしては
非常に多種類のものが市販され、耐熱性や機械強度に優
れた樹脂がそれぞれの特性に応じて電気電子部品、自動
車部品、精密機械部品などに広く用いられている。しか
しながら、高性能化に対する要求はますます高まり、各
種の材料が検討されているが、なかでも特に剛直な分子
鎖からなるサーモトロピック液晶ポリマーは、射出成形
時の見かけ粘度が低く射出成形性が良好であり、しかも
優れた機械特性、耐薬品性、耐熱性、不燃性、低アウト
ガス汚染性などを有する点で注目されている。
【0003】近年、電気、電子、光学などの分野で素子
を封止する樹脂材料として使用されている熱硬化性樹脂
であるエポキシ樹脂をLCPに置き換えたいとの要望が
高まりつつある。封止部品の製造は、通常、射出成形機
の金型キャビティ内に素子を置き、残余の空隙部に溶融
LCPを射出注入することによって行う。しかし、多く
の場合、射出注入による金型充填に要求される圧力(以
下「充填圧力」と呼ぶことがある)が高圧であるため、
素子が変形、損傷、断線等を受けて製品欠陥が生じるこ
とがある。これを避けるためには、LCPの充填圧力を
低下させる必要がある。薄肉成形の場合においても、同
様に充填圧力の低下が要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、充填圧力を低下させることにより、薄肉成形用ある
いは電気、電子、光学などの分野の素子の封止材料用と
して使用可能なサーモトロピック液晶ポリマー組成物を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、テルペン系樹
脂を配合することによりサーモトロピック液晶ポリマー
の充填圧力を低減し得ることを見出して完成したもので
ある。すなわち、本発明は、テルペン系樹脂0.5〜1
0重量%を含有するサーモトロピック液晶ポリマー組成
物に関するものである。以下、本発明をさらに説明す
る。
【0006】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーとは、溶融状態で光学的異方性を示すポリマーであ
る。このようなポリマーは、溶融状態でポリマー分子鎖
が規則的な並行配列をとる性質を有している。溶融相が
光学的異方性を示すことは、直交偏光子を利用した通常
の偏光検査法により確認することができる。一般のポリ
マーでは溶融状態で等方性となるが、溶融過程において
異方性を示す場合には、ある温度領域で固相から異方性
の液晶相を経て等方相に変化する。また、サーモトロピ
ック液晶ポリマーには、機械的異方性も確認することが
できる。すなわち、射出成形した場合に成形品表面の剥
離やフィブリル化が著しくなることや、樹脂の流れ方向
とそれに直角な方向との物性の差が大きいことなどによ
り確認される。サーモトロピック液晶ポリマーは、一般
に細長く、偏平で、分子の長鎖に沿って剛性が高く、同
軸または並行の複数の連鎖伸長結合を有しているモノマ
ーから製造される。
【0007】上記サーモトロピック液晶ポリマーとして
は、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステル
イミド等、具体的には(全)芳香族ポリエステル、ポリ
エステルアミド、ポリエステルカーボネート等が挙げら
れる。好ましくは液晶性ポリエステルであり、分子内に
エステル結合を複数個含む限りポリエステルの範疇に含
まれる。好ましいポリエステルは、芳香族ポリエステル
である。
【0008】本発明において用いるサーモトロピック液
晶ポリマーには、一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相
を形成するポリマーのセグメントで構成され、残りの部
分が異方性溶融相を形成しないポリマーのセグメントか
ら構成されるポリマーも含まれる。また、複数のサーモ
トロピック液晶ポリマーを複合したものも含まれる。
【0009】サーモトロピック液晶ポリエステルを構成
するモノマーの代表例としては、(a)芳香族ジカルボ
ン酸の少なくとも1種、(b)芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸系化合物の少なくとも1種、(c)芳香族ジオール
系化合物の少なくとも1種、(d)(d1)芳香族ジチ
オール、(d2)芳香族チオフェノールおよび(d3)芳
香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも1種、
(e)芳香族ヒドロキシルアミンおよび芳香族ジアミン
系化合物の少なくとも1種、等が挙げられる。これらは
単独で用いられる場合もあるが、多くは(a)および
(c);(a)および(d);(a)、(b)および
(c);(a)、(b)および(e);または(a)、
(b)、(c)および(e)等のように組合せて構成さ
れる。
【0010】上記(a)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、4,4'−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ま
たはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロ
モテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフ
タル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、
エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0011】(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフト
エ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロ
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7
−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0012】(c)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4'−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、または
クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メト
キシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−
クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジ
オールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0013】(d1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレ
ン−ジチオール等が挙げられる。(d2)芳香族チオフ
ェノールとしては、4−メルカプトフェノール、3−メ
ルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙
げられる。(d3)芳香族チオールカルボン酸として
は、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0014】(e)芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳
香族ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノー
ル、N−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェ
ニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジア
ミン、N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミ
ン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフ
ェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−ア
ミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシ
ビフェニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル
エーテル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメ
タン、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド(チオジ
アニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、
2,5−ジアミノトルエン、4,4'−エチレンジアニリ
ン、4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4'−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリ
ン)等か挙げられる。
【0015】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステルは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やス
ラリー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造
することができる。本発明に用いる上で好適なサーモト
ロピック液晶ポリエステルの分子量は、約2,000〜
200,000、好ましくは約10,000〜100,0
00である。上記分子量の値は、例えば圧縮フィルムに
ついて赤外分光法により末端基を測定して求めることが
できる。また溶液状態で行う一般的な測定法であるGP
Cを用いることもできる。
【0016】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリマーのうち、下記一般式〔I〕で表され
るモノマー単位を必須成分として含む(共)重合体であ
る芳香族ポリエステルが好ましい。上記モノマー単位を
約5モル%以上含むものが好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】本発明に用いる上で特に好ましい芳香族ポ
リエステルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およ
びジヒドロキシビフェニルの3種の化合物からそれぞれ
誘導される構造の繰返し単位を有する下記一般式〔II〕
で表されるポリエステルである。このポリエステルにお
いて、ジヒドロキシビフェニルから誘導される構造の繰
り返し単位は、その一部または全部をジヒドロキシベン
ゼンから誘導される繰返し単位で置換することもでき
る。また、p−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナ
フタレンカルボン酸の2種の化合物からそれぞれ誘導さ
れる構造の繰返し単位を有する下記一般式〔III〕で表
されるポリエステルも好ましく用いられる。
【0019】
【化2】
【化3】
【0020】本発明において用いるテルペン系樹脂と
は、テルペン系化合物の単独重合体、または、テルペン
系化合物と極性化合物との共重合体であって、3〜20
個のモノマー分子からなる重合体を主成分とするものを
指す。またこれらの水素添加処理物も挙げられる。テル
ペン系化合物と共重合可能な極性化合物としては、芳香
族ビニルモノマー、フェノール系化合物、不飽和カルボ
ン酸などが挙げられる。これらテルペン系化合物の単独
重合体、またはテルペン系化合物と極性化合物との共重
合体は、有機溶媒中でフリーデル−クラフツ型触媒の存
在下に、テルペン系化合物単独、またはテルペン系化合
物と芳香族ビニルモノマー、フェノール系化合物、不飽
和カルボン酸もしくはこれらの混合物とを反応させるこ
とにより得られる。これらの水素添加処理物は、公知の
水素添加処理により製造することができる。
【0021】テルペン系化合物としては、α−ピネン、
β−ピネン、リモネン、α−テルピネン、β−テルピネ
ン、γ−テルピネン、ジペンテン等が例示される。芳香
族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン等が挙げられる。フェノール系化
合物としては、フェノール、クレゾール、ビスフェノー
ルA等を例示することができる。また、不飽和カルボン
酸としては、α,β―不飽和カルボン酸またはその無水
物、例えば無水マレイン酸などが挙げられる。テルペン
系化合物と不飽和カルボン酸との共重合体の場合には、
充填圧力を低下させるほか、金属との接着強度を向上さ
せるという効果を得ることもできる。
【0022】このようにして得られるテルペン系樹脂と
しては、例えば、ヤスハラケミカル(株)より、「YSレ
ジンPX」、「YSレジンTO」、「YSレジンT
R」、「クロアリン」、「YSポリスター」、「マイテ
ィエース」、「YP−90」、「TM−60」等の商品
名のものが市販されており、容易に入手することができ
る。
【0023】また、C9系石油樹脂の芳香族環を水素化
することにより得られる、脂環構造を有する石油樹脂
は、いわゆるテルペン樹脂と類似の構造を有し、同様の
効果が期待される。従って、本発明に用いるテルペン系
樹脂には水素添加C9系石油樹脂も含まれる。このよう
な石油樹脂としては、例えば荒川化学(株)製の、脂環族
飽和炭化水素樹脂である「アルコンP」(商品名、完全
水素化品)や「アルコンM」(商品名、部分水素化品)
を入手することができる。
【0024】これらの中で、テルペン系化合物とフェノ
ール系化合物とを反応させて得られる3〜10分子から
なる重合体を主成分とするものが好ましい。本発明で用
いるテルペン系樹脂の配合量は、組成物全体に対して
0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜3重量%で
ある。0.5重量%未満では、充填圧力を低下させる効
果に乏しく、10重量%を超える配合量では機械的特性
等の低下が著しい。
【0025】テルペン系樹脂を配合することにより本発
明の効果が得られる理由は明かでないが、テルペン系樹
脂が、テルペン構造、あるいは成分として含有するフェ
ノール系化合物の水酸基の親和性などによって容易にサ
ーモトロピック液晶ポリマー分子の間に入り込み、分子
間の滑りを向上させることによると考えられる。従っ
て、テルペン系樹脂の中でも、テルペン系化合物とフェ
ノール系化合物を反応させて得られる重合体を主成分と
するものが好ましい。
【0026】本発明の組成物に対しては、さらに他の樹
脂を配合することもできる。配合する他の樹脂として
は、熱可塑柱樹脂および熱硬化性樹脂のいずれでもよい
が、好ましくはポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、
ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポ
リエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹
脂などのいわゆる熱可塑性のエンジニアリングプラスチ
ックが例示される。上記他の熱可塑性樹脂の配合量は、
本発明に用いるLCP100重量部あたり1〜200重
量部、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは
1〜50重量部である。
【0027】さらに本発明の樹脂組成物に対して、耐熱
性や機械的性質を向上させるために強化剤または充填剤
を添加することができる。強化剤または充填剤の具体例
としては、繊維状、粉粒状および両者の混合物が挙げら
れる。繊維状の強化剤としてはガラス繊維、シラスガラ
ス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、セラミック繊
維、アスベスト繊維、石こう繊維、金属繊維(例えばス
テンレス鋼繊維など)等の無機質繊維および炭素繊維な
どが挙げられる。また粉粒状の強化剤としては、ウォラ
ストナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、
ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケー
トなどのケイ酸塩、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネ
シウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化
物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトな
どの炭酸塩、硫酸カルシウム、ピロ硫酸カルシウム、硫
酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ほう素、
炭化ケイ素、サロヤンなどが挙げられる。これらは中空
であってもよく、例えば、中空ガラス繊維、ガラスマイ
クロバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーンなど
が挙げられる。上記強化剤は、必要に応じシラン系また
はチタン系のカップリング剤で予備処理を行って使用す
ることもできる。強化剤および充填剤などは、組成物全
体に対して80重量%以下、好ましくは70重量%以下
を配合することができる。
【0028】また、本発明の樹脂組成物には、酸化防止
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、骨剤および離型剤、染料
や顔料を含む着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤など
の通常の添加剤を添加し、所定の特性を付与することが
できる。熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノ
ール、ヒドロキノン、フォスファイト類およびこれらの
置換体などが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例え
ば、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾー
ル、ベンゾフェノンなどが用いられる。また、染料とし
てはニトロシンなどが、顔料としては、硫化カドミウ
ム、フタロシアニン、カーボンブラックなどを添加する
ことができる。
【0029】本発明において、LCPとテルペン系樹脂
とを混合するには、従来公知の方法を用いることができ
る。例えば、押出機を用いて加熱溶融し混合する方法、
LCPを溶融合成する過程でテルペン系樹脂を混合する
方法などが挙げられる。本発明においては、押出機によ
り溶融混練する方法が簡便であり、しかも均一に混合す
ることができるので特に好ましい。このとき、適宜に少
量の溶剤を添加することも可能である。溶融混練を行う
装置としては、バンバリーミキサー、スタチックミキサ
ーローラー、ニーダー等を連続的にあるいは回分式に用
いることができるが、単軸押出機または二軸押出機を連
続で用いることが効果的である。
【0030】前記他の熱可塑性樹脂を混合する方法とし
ては、上記本発明の組成物の製造と同時に混合してもよ
いし、またはあらかじめ調製した本発明の組成物に混合
してもよい。あるいはLCPに他の樹脂をあらかじめ混
合した後、テルペン系樹脂を混合してもよい。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。ま
ず、実施例および比較例において使用した材料について
説明する。 <使用材料> (1)サーモトロピック液晶ポリマー(LCP) フタル酸、イソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸およ
び4,4−ジヒドロキシビフェニルから重合したLCP
の粉状物を用いた。上記各成分のモル比は0.75/0.
25/3/1である。ホットステージを装着した偏光顕
微鏡を用いて光学的異方性を観察したところ、340℃
以上の溶融状態において光学的異方性を示した。 (2)テルペン系樹脂 ・マイティエース G−150(商品名) テルペン系化合物とフェノールとのフリーデル−クラフ
ツ反応生成物の水添物 、ヤスハラケミカル(株)製。表中では「G−150」と
略す。・YP−90(商品名) テルペン−ジフェノール系樹脂、ヤスハラケミカル(株)
製。 ・TM−60(商品名) テルペン系化合物と無水マレイン酸とのディールス−ア
ルダー反応生成物、ヤスハラケミカル(株)製。
【0032】<最小充填圧力の測定法>特定の形状の試
験片を射出成形する際の最小充填圧力を求める。図1
(a)および(b)は、最小充填圧力測定のために成形
する試験片のそれぞれ側面図および正面図である。金型
のタブゲートから樹脂原料を注入して射出成形し、矩形
状の試験片1を作成する。なお、図示の試験片1は、金
型から取り出した状態のものであり、タブゲート部2を
有している。試験片の寸法は、a=100mmおよびb
=20mmであり、厚み(t)は0.5〜2mmの範囲
で可変とし各組成物に応じて表に示す値に設定した。な
お、最小充填圧力の値は、対応する比較例の値を100
とした相対値(%)で表す。
【0033】<実施例1〜11、比較例1〜3>二軸押
出機を用い、その混練部の温度を350℃に設定して、
表1および表2に示す原料を溶融混合して押出成形によ
りペレットを製造した。このペレットを用いて射出成形
を行い、最小充填圧力を求めた。以上の結果を表1およ
び表2に示す。最小充填圧力は、表1においては比較例
1の値を100とし、表2においては、実施例7および
8については比較例2の値を、実施例9から11につい
ては比較例3の値をそれぞれ100とした。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、LCPにテルペン系化
合物樹脂を含有させることにより、金型充填における最
小充填圧力を低下させることが可能であり、LCPの応
用範囲、特に封止材料としての応用範囲を拡大すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は最小充填圧力測定のために成形す
る試験片の側面図であり、図1(b)はその正面図であ
る。
【符号の説明】
1 試験片 2 タブゲート部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テルペン系樹脂0.5〜10重量%を含
    有するサーモトロピック液晶ポリマー組成物。
JP18136198A 1997-06-13 1998-06-15 サーモトロピック液晶ポリマー組成物 Pending JPH1160927A (ja)

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