JPH1125389A - 情報提供システム及びこれに用いる情報処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両から収集した情報の信頼度を確保して他
の車両に提供する。 【解決手段】 車両１０から衛星１２を介して種々の情
報（路面μ、旅行時間、渋滞情報、ＮＯｘ濃度等）をセ
ンタ１４に送信し、センタ１４で処理して他の車両１６
に情報を提供するシステム。センタ１４には、収集すべ
き情報と関連情報との統計的関係を記憶するデータベー
スが設けられる。センタ１４は、収集した情報の関連情
報を車両１０に要求し、得られた関連情報と統計的関係
に基づいて収集した情報の信頼度を評価する。例えば、
収集情報が路面μの場合、関連情報として気温を要求
し、路面μと気温との統計的関係から収集した路面μの
信頼度を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は情報提供システム及
び同システム用情報処理装置、特に車両からセンタ側に
情報を送信し、センタ側でその情報を適宜処理して情報
を必要とする他の車両に提供するシステムにおける信頼
性確保に関する。

【０００２】

【従来の技術】特開平６−１９５５３６号公報には、衛
星を介して入口料金所から出口料金所へ通過車両に関す
る情報を送信して料金課金に利用するシステムが開示さ
れている。このように、車両から送信される情報がセン
タ側の定めた固定情報である場合には、情報の信頼度に
大きな問題は生じない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車両に
搭載された個々のセンサで道路の種々の情報（渋滞情報
や旅行時間情報、路面摩擦係数μ情報、ＮＯx濃度情報
等）を取得し、センタでこれらの情報を収集して他の車
両に提供するシステムにおいては、各車両のセンサの計
測精度のバラツキや故障の可能性があるため、収集した
情報の信頼度をある程度確保しなければならない問題が
ある。

【０００４】もちろん、収集データ数が多数あれば平均
処理等で信頼度を確保することも可能であるが、車両が
少ない、あるいは計測できる車両が少ない等の理由によ
りデータ数を確保できない場合もある（例えば山岳路の
路面μ情報等）。また、収集された情報の種類によって
は平均処理することができない場合もあり（路面μの極
低μ地点情報等）、このような場合には他の方法でその
情報の信頼性を確保しなければならない。

【０００５】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みなされたものであり、その目的は、車両から収集した
情報の信頼度を確実に確保することで一層効率的な運用
を図ることができる情報提供システム及び同システム用
の情報処理装置を得ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第１の発明は、車両で収集した情報をセンタ側に送
信し、該センタ側では該情報を処理して他の車両に提供
する情報提供システムであって、前記センタ側には、収
集すべき情報と関連情報との統計的関係を予め記憶する
記憶手段と、前記関連情報の送信を前記車両に対して要
求する要求手段と、前記車両から前記要求に対して送信
された前記関連情報と前記統計的関係に基づいて前記収
集した情報の信頼度を評価する評価手段と、前記信頼度
に基づいて前記収集した情報を処理して前記他の車両に
提供する提供手段とを有し、前記車両側には、前記セン
タ側からの要求に応じて前記関連情報を送信する送信手
段を有することを特徴とする。

【０００７】また、第２の発明は、車両で収集した情報
をセンタ側に送信し、該センタ側では該情報を処理して
他の車両に提供する情報提供システム用の情報処理装置
であって、収集すべき情報の関連情報を前記車両に対し
て要求する要求手段と、前記収集すべき情報と前記関連
情報との統計的関係を記憶する記憶手段と、得られた前
記関連情報と前記統計的関係に基づいて前記収集すべき
情報の信頼度を評価する評価手段とを有することを特徴
とする。

【０００８】また、第３の発明は、第１、第２の発明に
おいて、前記要求手段は、前記収集した情報の値が所定
範囲外である場合に前記関連情報を要求することを特徴
とする。

【０００９】また、第４の発明は、第１〜第３の発明に
おいて、前記収集すべき情報数が所定値以下の場合に、
前記収集すべき情報の地理的範囲又は時間的範囲の少な
くとも一方を拡大変更して前記車両に対して要求する第
２要求手段をさらに有することを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
形態について説明する。

【００１１】図１には、本システムの構成が示されてい
る。車両１０には道路の種々の情報（路面μや旅行時
間、ＣＯ₂濃度、ＮＯx濃度等）を取得する各種センサ及
び制御装置、通信機器が搭載されており、センサで取得
した情報を通信機器を用いて衛星１２を介してセンタ１
４に送信する。センタ１４は、収集した情報を適宜処理
して衛星１２を介して他の車両１６に情報を提供するシ
ステムである。もちろん、衛星１２を介することなく車
両１０、１６とセンタ１４が直接通信を行うシステムも
可能である。

【００１２】図２には、センタ１４の構成ブロック図が
示されている。衛星１２を介して車両１０から送信され
た情報（データ）はデータ・コマンド送受部１４ａで受
信され、処理部１４ｂに供給される。車両１０から送信
されてくるデータには、そのデータの種別の他、そのデ
ータが取得された位置及び時間に関する情報が含まれて
おり、処理部１４ｂは受信したデータがどのエリアのい
つのデータかを認識することができる。処理部１４ｂは
具体的にはコンピュータで構成され、機能としては平均
化処理、データリクエスト処理、特異データ処理、デー
タ管理処理、統計比較処理がある。受信したデータはメ
モリ１４ｃに記憶され、読み出されて処理部１４ｂで処
理される。また、収集すべき情報（データ）と関連情報
（関連データ）との統計的関係を予め記憶するデータベ
ース１４ｄが設けられており、処理部１４は車両１０か
ら送信された関連情報（関連データ）と統計的関係に基
づいて収集情報の信頼度を評価する。なお、関連情報と
は、収集すべき情報と因果関係にある情報であり、収集
すべき情報が路面μである場合には、気温や雨量、雪
量、スリップ事故の有無等が関連情報となり、収集すべ
き情報が旅行時間である場合には、車速が関連情報とな
る。

【００１３】図３には、センタ１４の処理フローチャー
トが示されている。車両１０から路面μ等の情報（デー
タ）を受信すると（Ｓ１０１）、この受信データが所定
範囲外か否か、具体的には収集したデータの分布平均値
から一定値以上離れているか否かを判定する（Ｓ１０
２）。図４には、この判定処理が模式的に示されてお
り、時刻ｔで収集したデータｄ（ｔ）と過去に収集した
データの分布平均値ｄaveとの差分Δｄ＝｜ｄ（ｔ）−
ｄave｜が一定値ｄ0以上の場合には所定範囲外と判定さ
れる。そして、この場合には、処理部１４は関連データ
の送信を要求するリクエストコマンドを車両１０に対し
て送信する（Ｓ１０３）。なお、リクエストコマンドは
所定範囲外のデータが送信されてきたエリア周辺の車両
１０に対して送信され、コマンドフォーマットとして
は、リクエストデータコード、リクエスト中心地点（緯
度経度）、リクエストエリア半径、リクエスト時刻、リ
クエスト時間範囲が含まれていればよい。リクエストデ
ータコードは要求する関連データの種別であり（収集す
べき情報が路面μの場合の気温や雨量等）、リクエスト
中心地点とリクエスト半径は関連データを送信すべき車
両１０の存在するエリアを特定し、リクエスト時刻はセ
ンタ１４から車両１０に対して要求した時刻であり、リ
クエスト時間範囲はリクエスト時刻に対してどの程度過
去（あるいは未来）のデータの送信を許容するかを示す
ものである。通常はリクエスト時間範囲は０に設定さ
れ、現在の関連データ送信を要求することになるが、０
分から３０分程度の幅を持って設定してもよい。この幅
は収集すべき情報の変化特性に合致した幅に設定する。
例えば、μなら長め（〜３０分程度）に、旅行時間なら
短め（〜１０分程度）に設定する。

【００１４】以上のようにしてリクエストコマンドを車
両１０に対して送信すると、車両１０では制御装置がリ
クエストコマンドに含まれるリクエストエリアを解読し
て自車が該当するか否かを判定し、該当する場合には要
求された関連データをセンサで取得し、あるいは既に取
得済みでメモリに記憶している場合にはそれを読み出し
て、先にデータを送信した車載通信機器を用いてセンタ
１４に送信する。車両１０が送信するデータフォーマッ
トとしては、送信データコード（例えば気温の種別）、
センシング位置（緯度経度）、センシング時刻、センシ
ング精度、データ値が含まれていればよい。センタ１４
の処理部１４ｂは、車両１０から送信された関連データ
を受信すると（Ｓ１０４）、関連データ数が所定数Ｎを
越えたか否かを判定し（Ｓ１０５）、所定数Ｎを越えた
十分な数の関連データを収集した場合にデータベース１
４ｄに記憶されている統計的関係を用いてＳ１０１で受
信したデータの信頼度を評価する（Ｓ１０６）。例え
ば、収集すべき情報が路面μであり、関連情報が気温の
場合であって、統計的関係としてデータベース１４ｄに
は気温が０度を越える場合には路面μは高く、気温が０
度以下では路面μが著しく低下してスリップが生じやす
い関係が記憶されているとする。Ｓ１０１で収集した情
報が著しく低μであり、かつ関連情報が−３度である場
合には、統計的関係と比較して低μとなる可能性が高い
と判定できるので、収集した情報の信頼度は高いと評価
する。

【００１５】そして、データの信頼度が高く信頼性あり
と判定した場合には、その信頼度に応じたデータ加工を
行い、場合によっては警報を発生エリアを計算して（Ｓ
１０８）、データ・コマンド送受部１４ａから他の車両
に情報（データ）を提供する（Ｓ１０９）。信頼度に応
じたデータ加工とは、信頼度の高い場合には平均化処理
等を行うことなくそのデータ単独で有効とし、信頼度が
低い場合にはそのデータを採用しないことを意味する。
これにより、例えば局所的な凍結等より低μ路が存在す
る場合でも、その旨を確実に他の車両に提供することが
できる。また、Ｓ１０１で受信したデータが所定範囲内
の場合には、通常の平均化処理を行い（Ｓ１１０）、収
集データ数を確認し（Ｓ１１１）、一定値Ｎ1を越える
場合にはその平均化されたデータを他の車両に提供す
る。平均化の母数が一定値Ｎ1に達しない場合には、そ
のデータの信頼性が低いので他の車両に提供されること
はなく、また十分信頼性のある平均化されたデータ自体
が低μ路を示している場合には、局所的に低い場合と同
様にそのエリアに対して警報を発生する。

【００１６】このように、収集した情報の信頼度を、そ
の情報と関連情報との統計的関係に基づいて関連情報か
ら評価することで、収集した情報の信頼度を確保して他
の車両に的確な情報を提供することができる。

【００１７】また、上記では収集情報として路面μ、関
連情報として気温を例示したが、関連情報として雨量や
雪量を用いても同様に収集情報の信頼度を評価できる。
また、収集情報が旅行時間の場合には、車両１０に対し
て関連情報として車速データを要求し、そのエリアにお
ける旅行時間と車速との統計的関係に基づいて車速デー
タから旅行時間の信頼度を評価することも可能である。

【００１８】一方、上記例においてＳ１０１でデータを
受信する際に、時間やエリアの関係から多数のデータが
収集できない場合もあり得る。例えば比較的交通量の少
ない道路の早朝における路面μのデータは、その必要性
が高いもののその収集が困難である。このような場合、
センタ１４では車両１０に対する関連情報の要求に先立
って、収集すべき情報のエリア範囲又は時間範囲を拡大
して再度要求するのが好適である。

【００１９】図５には、一定時間経過しても収集すべき
情報を所定値以下しか受信できない場合（全く受信でき
ない場合も含む）に、収集すべき情報の時間範囲を拡大
して情報を再要求する処理フローチャートが示されてい
る。まず、処理部１４ｂは受信データ数が不足している
と判定すると、現在時刻から過去所定時間のデータを要
求するための時間範囲を算出する（Ｓ２０１）。この時
間範囲は、上述したリクエストコマンドにおけるリクエ
スト時間範囲であり、通常は０であるところを一定値Ｔ
（例えば１時間）に設定する。そして、処理部１４ｂは
過去データリクエストコマンドを発行しデータ・コマン
ド送受部１４ａから車両１０に対して送信する（Ｓ２０
２）。リクエストコマンドのフォーマットは、上述した
関連情報のリクエストコマンドのフォーマットとほぼ同
様であり、例えば路面μを再要求する場合には、路面μ
のコード、エリアの中心点の緯度経度、リクエストエリ
ア半径、現在時刻、時間範囲（有限値Ｔ）を含む。そし
て、車両１０からの情報を待つ（Ｓ２０３）。このリク
エストコマンドを受信した車両１０では、自車の位置が
要求されたエリアに該当するか否かを判定し、該当する
場合にはさらに現在の時刻ｔから指定された時間範囲Ｔ
を引いた時刻ｔ−Ｔから現在の時刻ｔまでに指定された
情報（路面μ）を取得しているか否かを判定する。そし
て、既に取得してメモリ内に保持されていれば、メモリ
から読み出してセンタ１４に送信する。一方、時間範囲
Ｔを指定しても、該当エリアの車両１０が情報を取得し
ていない場合もある。この場合には、さらに時間範囲Ｔ
を拡大して（例えば１時間から２時間に拡大）再度リク
エストコマンドを送信する（Ｓ２０４）。以上のように
して時間範囲を拡大し、車両１０から情報（データ）を
受信すると、受信データ数が所定値Ｎを越えたか否かを
確認し（Ｓ２０５）、収集した過去のデータを時間軸上
に並べて現在の値を外挿により算出する（Ｓ２０６）。
もちろん、外挿の結果、例えば低μ路であると判定され
た場合には、上記と同様にスリップ警報等を発行するエ
リアを特定し（Ｓ２０６）、他の車両に提供する（Ｓ２
０７）。これにより、データ受信待ちタイムアウトの場
合でも、信頼性のある情報を他の車両に提供することが
できる。

【００２０】なお、データ受信待ちタイムアウトの場合
に、リクエスト時間範囲を拡大するのではなく、リクエ
ストエリア範囲を拡大することもできる。具体的には、
リクエストコマンドのリクエストエリア半径の値を拡大
して車両１０に送信すればよい。但し、路面μのように
局地性が要求される情報の場合にはエリア範囲の拡大は
あまり有効ではなく、情報の種別に応じて決定すべきで
ある（ＣＯ₂濃度等の場合には有効であろう）。もちろ
ん、時間範囲とエリア範囲を共に拡大することも可能で
ある。

【００２１】また、時間範囲やエリア範囲を拡大しても
なお情報が収集できない場合には、関連情報のリクエス
トコマンドを送信し、収集すべき情報と関連情報の統計
的関係に基づいて、得られた関連情報から収集すべき情
報の値を類推することも可能である。すなわち、統計的
関係を信頼度評価のための指標として用いるのではな
く、収集すべき値を類推するためのテーブルとして用い
るのである。但し、この場合に用いる統計的関係は、多
数のデータから得られた高精度のものである必要があ
る。

【００２２】また、収集した情報の信頼度を評価するた
めに関連情報のリクエストコマンドを送信したが十分な
数の関連情報を受信できなかった場合には、収集すべき
情報の再要求の場合と同様にリクエスト時間範囲を有限
値に設定して過去の関連情報を収集し、これらのデータ
から現在の関連情報を外挿により算出し、この算出した
関連情報を用いて収集情報の信頼度を評価することも可
能である。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
車両から収集した情報の信頼度を確実に確保して他の車
両に提供することができ、システムの効率的な運用を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施形態のシステム構成図である。

【図２】 実施形態のセンタの構成ブロック図である。

【図３】 実施形態の全体処理フローチャートである。

【図４】 実施形態の受信データと分布平均値との関係
を示す説明図である。

【図５】 実施形態の時間範囲拡大処理フローチャート
である。

【符号の説明】

１０ 車両（情報送信車）、１２ 衛星、１４ セン
タ、１６ 車両（情報受信車）。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両で収集した情報をセンタ側に送信
   し、該センタ側では該情報を処理して他の車両に提供す
   る情報提供システムであって、 前記センタ側には、 収集すべき情報と関連情報との統計的関係を予め記憶す
   る記憶手段と、 前記関連情報の送信を前記車両に対して要求する要求手
   段と、 前記車両から前記要求に対して送信された前記関連情報
   と前記統計的関係に基づいて前記収集した情報の信頼度
   を評価する評価手段と、 前記信頼度に基づいて前記収集した情報を処理して前記
   他の車両に提供する提供手段と、 を有し、前記車両側には、 前記センタ側からの要求に応じて前記関連情報を送信す
   る送信手段を有することを特徴とする情報提供システ
   ム。
2. 【請求項２】 車両で収集した情報をセンタ側に送信
   し、該センタ側では該情報を処理して他の車両に提供す
   る情報提供システム用の情報処理装置であって、 収集すべき情報の関連情報を前記車両に対して要求する
   要求手段と、 前記収集すべき情報と前記関連情報との統計的関係を記
   憶する記憶手段と、 得られた前記関連情報と前記統計的関係に基づいて前記
   収集すべき情報の信頼度を評価する評価手段と、 を有することを特徴とする情報処理装置。
3. 【請求項３】 前記要求手段は、前記収集した情報の値
   が所定範囲外である場合に前記関連情報を要求すること
   を特徴とする請求項１、２のいずれかに記載の情報提供
   システム又は情報処理装置。
4. 【請求項４】 前記収集すべき情報数が所定値以下の場
   合に、前記収集すべき情報の地理的範囲又は時間的範囲
   の少なくとも一方を拡大変更して前記車両に対して要求
   する第２要求手段をさらに有することを特徴とする請求
   項１、２、３のいずれかに記載の情報提供システム又は
   情報処理装置。