JPH1028700A

JPH1028700A - 吸収性物品の表面シート

Info

Publication number: JPH1028700A
Application number: JP8186367A
Authority: JP
Inventors: Keiko Miyata; 桂子宮田; Yoshikazu Kimura; 美和木村; Daishirou Matsuda; 大志郎松田
Original assignee: Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd
Priority date: 1996-07-16
Filing date: 1996-07-16
Publication date: 1998-02-03

Abstract

(57)【要約】【課題】速やかに排泄物が通過し、さらにサラット感が
良好な効果を奏する表面シートの提供。【解決手段】親水性繊維を主体として形成された不織布
によってなり、さらに不織布は親水部と、撥水剤が塗布
又は印刷されることによってパターン形成される疎水部
が存在し、前記疎水部の面積が不織布の表面積に対して
２０〜７０％であることを特徴とする吸収性物品の表面
シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、吸収性物品の表面
シートに関し、おむつ、生理用ナプキン、失禁用パッド
等に好適な表面シートに関するものである。更に詳しく
述べれば、本発明は、親水性繊維を主体として構成さ
れ、特定の撥水部面積を有する不織布であり、速やかに
排泄物が通過し、サラット感が良好である吸収性物品の
表面シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、吸収性物品の表面シートは、排
泄物が速やかに通過し、液残りがなく排泄物を吸収体へ
移動させることが必要である。このようなサラット感向
上のために、様々な提案がされてきた。例えば、特開昭
５７−１３４０号公報、特開平１-２７７５５９号公報
に代表されるような有孔疎水性シートが多く提案されて
いる。しかし、いずれもシートは疎水性であるため、こ
れらのシートを吸収性物品の表面シートとして使用する
と、微量ではあるがシート上に水分が残留する。この現
象はかぶれの原因となる。また、親水性繊維を用いた湿
式不織布、スパンレース不織布等を吸収性物品の表面シ
ートに使用すると、繊維自身が水分を吸収するために、
サラット感が極端に劣る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
状況に鑑み、速やかに排泄物が通過し、さらにサラット
感の良好な吸収性物品の表面シートについて鋭意研究し
た。その結果、本発明者等は、吸収性物品の表面シート
が親水性繊維を主体としてなる不織布からなり、親水部
（撥水剤が塗布又は印刷されていない）と、撥水剤が塗
布又は印刷されることによってパターン形成される疎水
部とが存在し、さらに疎水部が特定の面積を有する表面
シートが、速やかに排泄物が通過し、サラット感が良好
であることを見いだし本発明を完成させるに至った。本
発明の目的は、速やかに排泄物が通過し、サラット感が
良好である吸収性物品の表面シートに関するものであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、親水性繊維を
主体とする不織布からなる吸収性物品の表面シートにお
いて、前記不織布には、親水部と、撥水剤が塗布又は印
刷されることによってパターン形成される疎水部が存在
し、前記疎水部の面積が不織布の表面積に対して２０〜
７０％であることを特徴とする吸収性物品の表面シート
に存する。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の吸収性物品の表面シート
は、親水性繊維を主体としている不織布より構成されて
いる。本発明で使用される親水性繊維は、親水性であれ
ば特に制限はなく、例えば、木材パルプ繊維、古紙パル
プ繊維、再生セルロース繊維、コットン等が挙げられ、
それぞれの併用であっても構わない。

【０００６】親水性繊維の長さは、連続性繊維であって
も非連続性繊維であっても良く、積層してシート状態に
なれば特に制限されない。又、親水性繊維の繊度は、
０.５〜１０デニールが好ましい。１０デニールを超え
ると繊維自体が硬くなるために、表面シートの柔軟性が
損なわれ、好ましくない。逆に繊度が０.５デニール未
満の繊維は、製造が困難となり適さない。

【０００７】本発明の表面シートは、親水性繊維を主体
とした不織布であるが、合成繊維を混合した不織布であ
ってもよい。合成繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリスチレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及び
これらのコポリマー等ポリエステル系繊維、ナイロン
６、ナイロン６６等のポリアミド系繊維、ポリビニルア
ルコール系繊維、アクリル繊維等のポリアクリロニトリ
ル系繊維、ポリ乳酸、脂肪酸ポリエステル等の生分解性
繊維等が挙げられ、これらの中から適宜選択して単独で
或いは混合して用いても良い。特に、熱接着性のある繊
維を配合することはシート強度が強くなり、好ましい。

【０００８】これらの繊維の形状はステープル状、パル
プ繊維のようにささくれだっているもの等、特に制限は
ない。繊維の断面形状は、円形だけでなく、Ｙ型、中空
円形型等、一般に異型断面といわれる繊維、分割性を有
する繊維、２成分以上を有する複合繊維等でも良く、特
に制限はない。但し、合成繊維の配合率が、不織布全体
の３０重量％より少ない方が好ましい。合成繊維の配合
率が３０重量％を越えて多くなると合成繊維自身には吸
水性がないため、シート表面に微量な水分が残留しやす
く、サラット感が劣るようになる。

【０００９】本発明の表面シートを作成するための親水
性繊維の積層方法は、湿式抄紙法、カード法、エアレイ
ド法、スパンボンド法等、特に制限はない。不織布の繊
維を固定しシート化する方法としては、熱エンボス法、
接着剤塗布法、高圧水ジェット処理法、ニードルパンチ
法等均一にシート化されていれば特に制限はない。

【００１０】不織布の坪量は、任意に決定しうる事項で
あるが、１５〜１００ｇ／ｍ²が好ましい。坪量が１５
ｇ／ｍ²未満では不織布が薄すぎるため、この不織布を
表面シートとして使用すると、下に配置されている吸収
体のべとつきがそのまま感じられサラット感に劣る。逆
に坪量が１００ｇ／ｍ²を超えると、得られた不織布は
硬くなり、吸収性物品の表面シートとしては適さない。

【００１１】本発明の表面シートは、さらに不織布に撥
水剤が塗布又は印刷される。撥水剤は、パラフィン系、
ピリジニウム塩型撥水剤、メチロールアミド型、エチレ
ンウレア型、シリコーン型、クロミッククロライド型、
フッ素化合物型等が挙げられ、特に制限はない。塗布又
は印刷方法は、スクリーン印刷法、グラビア塗工法が、
低塗布量と模様状パターン塗布が可能であることから好
ましい。このような方法によって撥水剤の塗布又は印刷
を行うことによって、１枚の不織布において、撥水剤処
理を施すことによって形成される疎水部と、撥水剤処理
をされていない親水部の両方がパターン状に存在する。
すなわち、上記撥水処理された不織布を表面シートとし
て使用すると、不織布の親水部において速やかに排泄物
が通過し、撥水部が存在するためにサラット感が良好に
なる。また、不織布の疎水部の裏面は親水性繊維の吸水
性能がわずかに残っているために、親水部だけでなく、
疎水部の裏面においても、表面シート上にわずかに残留
している水分をも吸引する働きをするため、サラット感
にさらに効果がある。

【００１２】疎水部の面積は、不織布の表面積に対し
て、２０〜７０％であることが好ましい。疎水部の面積
が不織布の表面積に対して、２０％より小さい不織布を
表面シートとして使用すると、吸収速度は速いがサラッ
ト感に劣り、かぶれにつながる。逆に、疎水部の面積が
７０％を越える不織布を表面シートとして使用すると、
サラット感は良好であるが、吸収速度が遅くなり、排泄
物が吸収性物品の外に漏れることになり、好ましくな
い。

【００１３】疎水部の形状は図１a〜dに示すように、縞
模様、波模様、格子模様、その他の幾何学模様等のパタ
ーン状の疎水部が上記面積割合の範囲以内であれば特に
限定はされない。但し疎水部と親水部は交互に複数存在
することが好ましい。例えば疎水部が、中央部や縁部に
一カ所に固まって存在する不織布を表面シートとして使
用すると、その部分のサラット感は良好であるが、排泄
物が下に通過しない。それ以外の親水部においては、排
泄物は下に通過するが、サラット感に劣る。それゆえ、
疎水部と親水部は、交互に複数存在することが好まし
い。

【００１４】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれらによって限定されるも
のではない。

【００１５】実施例１繊維長５１ｍｍ、繊度１.５デニールのレーヨン繊維８
５％と、繊維長５１ｍｍ、繊度１.５デニールのポリエ
チレン／ポリプロピレン複合繊維１５％からなる坪量３
５ｇ／ｍ²のウェブをカード法によって作成し、温度１
５０℃の熱エンボスにより熱圧着することによって不織
布を得た。得られた不織布にアミノシリコーン系撥水剤
を、固形分が１.０ｇ／ｍ²になるようにグラビアロール
を使用して塗布し、太さ０.６ｍｍ、ピッチ２.５ｍｍの
疎水部が親水部と交互に配置されているパターン化され
た横縞柄が形成され、この時、疎水部の面積が不織布の
表面積に対して２４％であった。得られた表面シートは
次に示す試験法により吸収速度、サラット感を測定し、
品質を評価した。

【００１６】試験法（１）吸収速度吸収性物品の作成綿状パルプを２００ｇ／ｍ²、及びポリアクリル酸ナト
リウムからなる高吸水性ポリマーを２００ｇ／ｍ²の割
合で用い、これを均一に分布させたものをティッシュで
包み、プレスロールで吸収体全体の緊度が０.１０ｇ／
ｃｍ³となるように調整し、吸収体を得た。ついで、上
述のようにして作成した表面シートとポリエステルから
なる裏面シートの間に上記吸収体を配置し、吸収性物品
を作成した。測定方法上記のとおり作成した吸収性物品を使用し、人工尿１０
０ｃｃが吸収性物品に吸収されるまでの時間を測定し
た。吸収速度が６０秒を越えると、大量の排泄物が排泄
された場合、吸収性物品の外へ漏れが生じることにな
り、好ましくない。ここで使用した人工尿は次の通りで
ある。人工尿組成（重量％）尿素１.９％ＮａＣｌ０.８％ＣａＣｌ₂ ０.１％ＭｇＳＯ₄ ０.１％残部は水（２）サラット感吸収速度を測定したサンプルを用い、手で表面シートを
さわり、おむつの乾燥状態の評価した。この時の判定は
以下の通り３段階とした。 ◎：非常に乾いている ○：やや乾いている △：やや湿っている ×：湿っている

【００１７】実施例２得られた不織布に撥水処理を行う際に、太さ３.０ｍ
ｍ、ピッチ４.５ｍｍの疎水部が親水部と交互に配置さ
れているパターン化された縦縞柄が形成される以外は実
施例１と同様にして表面シートを得た。この時、疎水部
の面積が不織布の表面積に対して６７％であった。得ら
れた表面シートは実施例１と同様にして、試験を行い、
品質を評価した。

【００１８】実施例３得られた不織布に撥水処理を行う際に、太さ１.０ｍ
ｍ、縦方向のピッチ３.０ｍｍ、横方向のピッチ３.０ｍ
ｍの疎水部が親水部と交互に配置されているパターン化
された格子縞柄が形成される以外は実施例１と同様にし
て表面シートを得た。この時、疎水部の面積が不織布の
表面積に対して５６％であった。得られた表面シートは
実施例１と同様にして、試験を行い、品質を評価した。

【００１９】実施例４得られた不織布に撥水処理を行う際に、縦２.０ｍｍ、
横２.０ｍｍの正方形で、縦方向のピッチ３.０ｍｍ、横
方向のピッチ３.０ｍｍで配置されている疎水部が親水
部と交互に配置されているパターン化された格子縞柄が
形成される以外は実施例１と同様にして表面シートを得
た。この時、疎水部の面積が不織布の表面積に対して４
４％であった。得られた表面シートは実施例１と同様に
して、試験を行い、品質を評価した。

【００２０】実施例５繊維長７ｍｍ、繊度１.５デニールのレーヨン繊維７０
％と、ろ水度４００ｍｌＣＳＦの針葉樹晒クラフトパル
プ繊維３０％を用い、湿式法により坪量３５ｇ／ｍ²の
ウェブを作製し、水分４％まで乾燥した。７６メッシュ
の平織プラスチックからなる移送コンベアー上に載置
し、ウェブを１５ｍ／分の速度で移送させながら、孔径
０．１ｍｍのノズル孔が０．６４ｍｍ間隔で千鳥状に並
んでいる高圧水ジェット流噴射装置を３列用いて、３５
ｋｇ／ｃｍ²の水圧で高圧水ジェット流を、ウェブの表
面から裏面へ水ジェット流が貫通するように噴射した。
その後、温度１５０℃の熱風乾燥機で乾燥させ、不織布
を得た。得られた不織布に撥水処理を行う際に、太さ
３.０ｍｍ、ピッチ４.５ｍｍの疎水部が親水部と交互に
配置されているパターン化された縦縞柄が形成される以
外は実施例１と同様にして表面シートを得た。この時、
疎水部の面積が不織布の表面積に対して６７％であっ
た。得られた表面シートは実施例１と同様にして、試験
を行い、品質を評価した。

【００２１】比較例１得られた不織布に撥水処理を行う際に、太さ１.０ｍ
ｍ、ピッチ７.０ｍｍの疎水部が親水部と交互に配置さ
れているパターン化された縦縞柄が形成される以外は実
施例１と同様にして表面シートを得た。この時、疎水部
の面積が不織布の表面積に対して１４％であった。得ら
れた表面シートは実施例１と同様にして、試験を行い、
品質を評価した。

【００２２】比較例２得られた不織布に撥水処理を行う際に、太さ２.０ｍ
ｍ、縦方向ピッチ３.０ｍｍ、横方向のピッチ３.０ｍｍ
の疎水部が親水部と交互に配置されているパターン化さ
れた縦縞柄が形成される以外は実施例１と同様にして表
面シートを得た。この時、疎水部の面積が不織布の表面
積に対して８９％であった。得られた表面シートは実施
例１と同様にして、試験を行い、品質を評価した。

【００２３】比較例３得られた不織布に撥水処理を行う際に、不織布前面に行
われる以外は実施例１と同様にして表面シートを得た。
得られた表面シートは実施例１と同様にして、試験を行
い、品質を評価した。

【００２４】比較例４得られた不織布に撥水処理を行わない以外は実施例１と
同様にして表面シートを得た。得られた表面シートは実
施例１と同様にして、試験を行い、品質を評価した。

【００２５】実施例１〜５及び比較例１〜４で得られた
結果を表１に示す。

【００２６】

【表１】

【００２７】表１から分かるように、本発明により得ら
れる表面シートは、速やかに排泄物が通過し、サラット
感が良好なものである。これに対し、疎水部の面積が不
織布の表面積に対して２０％より小さい（比較例１）
と、吸収速度は速いがサラット感に劣る。逆に疎水部の
面積が不織布の表面積に対して７０％より大きくなる
（比較例２）と、サラット感は良好であるが、吸収速度
が遅くなる。また、疎水部の面積が特定の割合を有して
いても、中央部に存在する（比較例３）と、疎水部では
排泄物が下に通過しないために、排泄物の流れが生じ、
漏れにつながる。逆に、撥水処理を行わない（比較例
４）と吸収速度は速いが、サラット感に劣る。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の吸収性物
品の表面シートが、親水性繊維を主体として形成された
不織布によってなり、さらに不織布は、親水部と、撥水
剤を塗布又は印刷することによってパターン形成される
疎水部が存在するとともに、疎水部が特定の割合の面積
を有することによって、不織布の親水部において速やか
に排泄物が通過し、撥水部が存在するためにサラット感
が良好になる。また、不織布の疎水部の裏面は親水性繊
維の吸水性能がわずかに残っているために、親水部だけ
でなく、疎水部の裏面においても、表面シート上にわず
かに残留している水分をも吸引する働きをするため、サ
ラット感にさらに効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の疎水部の形状を示す図

【符号の説明】

１：疎水部２：親水部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】親水性繊維を主体とする不織布からなる
吸収性物品の表面シートにおいて、前記不織布には、親水部と、撥水剤が塗布又は印刷され
ることによってパターン形成される疎水部とが存在し、
前記疎水部の面積が不織布の表面積に対して２０〜７０
％であることを特徴とする吸収性物品の表面シート。