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JPH10180118A - 固定化光触媒とその製造方法および有害物質の分解・除去方法 - Google Patents

固定化光触媒とその製造方法および有害物質の分解・除去方法

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Publication number
JPH10180118A
JPH10180118A JP23055397A JP23055397A JPH10180118A JP H10180118 A JPH10180118 A JP H10180118A JP 23055397 A JP23055397 A JP 23055397A JP 23055397 A JP23055397 A JP 23055397A JP H10180118 A JPH10180118 A JP H10180118A
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JP
Japan
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photocatalyst
titanium dioxide
immobilized
decomposition
zirconium
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Application number
JP23055397A
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Yasuhiro Masaki
康浩 正木
Tadashi Yao
正 矢尾
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Physical Water Treatments (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光触媒反応効率が高く、固体表面の汚れ(汚れ
付着物質)や、大気中あるいは排水中の有害物質の分解
等に対して優れた効果を示す固定化光触媒とその製造方
法およびその光触媒を用いた有害物質の分解・除去方法
を提供する。 【解決手段】平均結晶子サイズが5〜30nmのアナタ
ース型の結晶からなる二酸化チタンが基材表面に薄膜状
に固定されている固定化光触媒。この固定化光触媒に有
害物質を接触させた状態で高エネルギーの光を照射すれ
ば有害物質の分解・除去に効果的である。この固定化光
触媒は、チタニアゾルを基材に塗布した後、所定の焼成
温度(250〜800℃)まで加熱し、その温度で短時
間(30分以内)保持する焼成処理を施すことにより製
造することができる。二酸化ジルコニウムおよび/また
はジルコニウム塩を所定量添加したチタニアゾルを用い
れば、焼成条件を緩和することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防臭、防汚(固体
表面の汚れ防止)、殺菌等に効果があり、大気汚染物
質、あるいは排水中の汚染物質等の有害物質を分解・除
去する作用を有し、さらには光電気化学、有機合成等へ
の応用が可能な固定化光触媒とその製造方法およびその
光触媒を用いる有害物質の分解・除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体に光を照射すると、その照射面に
強い還元作用を有する電子と強い酸化作用を有する正孔
が生じ、半導体に接触した分子はその酸化還元作用によ
って分解される。
【0003】近年、半導体のこのような作用、すなわち
光触媒作用を、NOx 等の大気汚染物質の分解、防臭、
防汚、殺菌、水の浄化等の様々な環境浄化技術に応用す
る試みが精力的に行われている。しかし、現状では光触
媒反応の効率は低く、実用化されている例は極めて少な
い。
【0004】半導体光触媒は、従来から、粉末状で溶液
中に懸濁させた状態、あるいは基材上に薄膜状に固定し
た状態で使用されてきた。光触媒の活性を高く維持する
という観点からは表面積の大きい懸濁状態での使用が望
ましいが、実用面からは、取り扱いが容易で、幅広い応
用性を有する固定した状態での使用の方がはるかに有望
といえる。
【0005】そのため、光触媒作用を有する半導体を基
材に固定した光触媒(以下、これを「固定化光触媒」と
いう)の活性を高める種々の方法が提案されており、例
えば、特開平7−100378号公報には、アナタース
型の結晶からなる二酸化チタン固定化光触媒が開示され
ている。この光触媒は、基材上への塗布に用いる二酸化
チタンのゾルにアルコールアミンを添加し、600〜7
00℃の焼成温度までゆっくりと加熱昇温することによ
り製造される。しかしながら、この固定化光触媒では十
分な光触媒活性が得られず、アルコールアミンが飛散し
にくいため、製造時に多量のエネルギーを要するという
問題もある。
【0006】また、特開平6−293519号公報に
は、塗布に用いるチタニアゾルをあらかじめ水熱処理す
ることによって、それに含まれる二酸化チタンの微粒子
を結晶成長させる固定化光触媒の製造方法が開示されて
いる。この光触媒は比較的高い触媒活性を有している
が、結晶成長したチタニアゾルは基材に均一に塗布され
にくく、焼成後剥離しやすいという問題がある。さら
に、水熱処理は高温、高圧下での反応であるとともに、
溶液濃度、温度、圧力等に微妙なコントロールを要する
ため、光触媒の量産には適していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな状況下にあって、光触媒反応効率が高く、したがっ
て、防臭、防汚、抗菌、および大気中あるいは排水等に
含まれる有害物質(例えば、NOx 、農薬、有機ハロゲ
ン化合物等)の分解、無害化などに対して優れた効果を
示し、かつ、経済性、安定性、安全性などの面からも好
適な固定化光触媒とその製造方法、およびその光触媒を
用いる有害物質の分解・除去方法を提供することを課題
としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、二酸化チタ
ンを用いた、高い反応効率を示す固定化光触媒を開発す
べく検討を重ねた結果、チタニアゾルを基材に塗布した
後、焼成し、結晶成長させることにより、平均結晶子サ
イズが5〜30nmのアナタース型二酸化チタンとする
ことができ、固定化された二酸化チタンの比表面積が増
大し、また、配位不飽和点、格子欠陥等の反応活性サイ
トが増加し、さらには、量子サイズ効果発現時には酸化
還元力の増大効果も加わることによって、光触媒活性が
著しく向上することを見いだした。
【0009】また、このような特性を有する固定化光触
媒は、基材表面にチタニアゾルを塗布した後の焼成を短
時間とすることによって製造することができ、さらに、
塗布に用いるチタニアゾルに所定量の二酸化ジルコニウ
ムまたはジルコニウムの塩を添加することによって、一
層容易に製造することが可能であることを知見した。
【0010】本発明はこれらの知見に基づきなされたも
ので、その要旨は、下記(1)の固定化光触媒、(2)
および(3)のその製造方法、ならびに(4)のその固
定化光触媒を用いる有害物質の分解・除去方法にある。
【0011】(1)平均結晶子サイズが5〜30nmの
アナタース型二酸化チタンが基材表面に薄膜状に固定さ
れていることを特徴とする光触媒。
【0012】(2)基材にチタニアゾルを塗布した後、
250〜800℃まで加熱し、その温度で30分以内保
持する焼成処理を施すことを特徴とする上記(1)に記
載の固定化光触媒の製造方法。
【0013】(3)Zr/Ti(モル比)が0.3未満
となるように二酸化ジルコニウムおよびジルコニウム塩
のいずれか一方または両方が添加されたチタニアゾルを
基材に塗布した後、300〜1000℃で焼成処理を施
すことを特徴とする上記(1)に記載の固定化光触媒の
製造方法。
【0014】(4)上記(1)に記載の固定化光触媒と
有害物質とが接触した条件下で前記固定化光触媒にバン
ドギャップ以上のエネルギーの光を照射することを特徴
とする有害物質の分解・除去方法。
【0015】前記の「平均結晶子サイズ」とは、基本的
には透過型電子顕微鏡で直接観察した結晶粒径を意味す
るが、この値は、X線回折によるアナタース(d101
のピークからScherrerの式を用いて算出した結
晶子サイズと良く一致することから、本発明では、平均
結晶子サイズとしてこれらのいずれの値を採用してもよ
い。なお、「平均」に特別の意味(限定)はなく、5n
m未満のもの、あるいは30nmを若干超えるものがあ
ったとしても、複数の結晶子サイズの算術平均が5〜3
0nmの範囲内にあればよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明(上記(1)〜
(4)の発明)について詳細に説明する。
【0017】上記(1)の発明は、チタニアゾルを基材
表面に塗布した後、焼成により薄膜状の二酸化チタンを
結晶成長させた結果得られるもので、その結晶子サイズ
が平均で5〜30nmの範囲内にあることを特徴とする
固定化光触媒(これを、「本発明の固定化光触媒」とい
う)である。
【0018】本発明の固定化光触媒においては、まず、
二酸化チタンの結晶構造がアナタース型でなければなら
ない。後述する実施例で示すように、アナタース型でな
ければ光触媒活性の高い光触媒が得られないからであ
る。
【0019】さらに、その平均結晶子サイズ(以下、単
に「結晶子サイズ」という)が5〜30nmの範囲内に
あることが必要である。結晶子サイズが5nm未満であ
るということは、チタニアゾルに含まれる二酸化チタン
の平均粒子径が5nm程度であることであって、そのよ
うな微粒の二酸化チタンを製造することは実質的に困難
である。一方、結晶子サイズが30nmを超えると、光
触媒活性が著しく低下する。
【0020】二酸化チタンを固定する基材としては、ス
テンレス鋼、炭素鋼、亜鉛等のめっきを施した鋼板、あ
るいはアルミニウム板、チタン板等の各種の金属材料
や、セラミックス、陶磁器、ガラス等の無機材料、樹
脂、木材、活性炭等の有機材料から選択される任意の材
料、あるいはその中の2種以上からなる複合材料など、
広範囲にわたる材料が使用できる。既に塗装が施されて
いる部材を用いることもできる。また、基材の形状につ
いても何等限定はなく、厚板、薄板などの板状、ビーズ
のような球状、あるいはそのまま製品として供される複
雑な形状であってもよい。また、表面が多孔質でも緻密
質でもよい。
【0021】二酸化チタンの膜厚について特に限定はな
い。一般に、厚くなるほど高い光触媒活性を示す傾向が
ある。しかし、膜厚が2μmを超えると光触媒活性の向
上効果が認められず、膜の剥離などが起こりやすくなる
ので、2μm以下であることが好ましい。
【0022】この固定化光触媒は、太陽光や蛍光灯、ブ
ラックライト、水銀灯、キセノン灯等からの光によっ
て、光触媒作用を発現し、抗菌、防臭、防汚、ならびに
大気中あるいは排水などに含まれる有害物質等の分解、
無害化等に対して優れた効果を示す。また、この固定化
光触媒は、安定性、安全性(毒性がない)などにも優れ
ており、内装材、建材、ガラス、化粧板、タイル等とし
て好適に利用でき、使用するに際し何等エネルギーを必
要とせず(省エネルギー)、メンテナンスフリーである
という利点も有している。
【0023】前記(2)の発明は上記(1)の固定化光
触媒の製造方法で、チタニアゾルを基材に塗布した後、
250〜800℃(焼成温度)まで加熱し、その温度で
短時間(30分以内)保持する焼成処理を施す方法であ
る。
【0024】チタニアゾルの調製は、超微粒の二酸化チ
タン(5〜10nm)を水に懸濁させたり、チタンテト
ラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ
−n−プロポキシド、チタンテトラ−i−プロポキシ
ド、チタンテトラ−n−ブトキシド等のチタンテトラア
ルコキシドや、チタンアセチルアセトネート、四塩化チ
タン等を加水分解することによって行うことができる。
また、ゾルには、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミン等のアルコールアミン類や、1,3プロパンジオ
ール等の乾燥抑制剤を添加してもよい。
【0025】このようにして得られたチタニアゾルに含
まれる二酸化チタンの平均粒子径は5〜10nm程度で
あり、これを基材表面に塗布し、焼成し、結晶成長させ
ることによって所望の結晶子サイズ(5〜30nm)の
二酸化チタン固定化光触媒とする。
【0026】基材へのチタニアゾルの塗布は、スピンコ
ーティング、ディップコーティング、スプレーコーティ
ング、バーコーティング等によって行うことができる。
【0027】チタニアゾルを基材に塗布した後、焼成す
ることによって固定化光触媒が得られるが、基材表面に
薄膜状に固定化した二酸化チタン等の金属酸化物の焼結
は極めて速やかに起こり、結晶粒が大きくなるため、通
常の焼成条件では、上述した結晶子サイズが5〜30n
mの範囲にある二酸化チタンからなる本発明の固定化光
触媒は得られない。
【0028】そこで、焼成を前記の所定の条件で行う。
すなわち、チタニアゾルを基材に塗布した後、焼成温度
まで加熱し、その温度で所定時間保持した後、冷却する
焼成処理を行う。焼成は、塗布した状態(室温状態)の
まま行ってもよいし、あるいは塗布後100℃前後で乾
燥した状態から行ってもよい。
【0029】焼成温度は250〜800℃の温度域とす
る。焼成温度が250℃より低いと二酸化チタンはアモ
ルファスのままであり、一方、800℃を超えると結晶
粒が成長して大きくなりすぎ、あるいはルチル晶が現
れ、高い光触媒活性を有する固定化光触媒は得られな
い。
【0030】焼成温度までの加熱は急速に行うことが好
ましい。加熱が急速に行われない場合は、前記の焼成温
度に達するまでに二酸化チタンの焼結が進み過ぎ、結晶
粒が粗大化する場合がある。好ましい加熱速度は、30
℃/分以上である。なお、急速に加熱するには、熱処理
炉をあらかじめ所定の温度に加熱しておき、その中へチ
タニアゾルを塗布した基材を直接装入する方法等を用い
るのが好適である。
【0031】焼成温度に達した後の保持時間(焼成時
間)は30分以内とする。焼成温度に幅があるので、実
際には、焼成温度として前記の温度範囲内の低めの温度
に設定した場合は焼成時間を長くし、高めの温度に設定
した場合は短くする等、適宜調節する。なお、焼成温度
を400〜700℃の範囲とし、焼成時間を10分以内
とするのが、高い光触媒活性を有する固定化光触媒を得
る上で好ましい。
【0032】焼成後は冷却するが、冷却も急速に行うこ
とが望ましい。冷却速度が小さいと、加熱の場合と同様
に焼結が進み過ぎる場合があり、所望の結晶子サイズを
有するアナタース型の二酸化チタンからなる固定化光触
媒は得られない。冷却速度は、20℃/分以上とするこ
とが好ましい。なお、急速に冷却する方法としては、空
冷、水冷等の方法が利用できる。
【0033】前記の(3)の発明は、(2)の発明と同
じく上記(1)の固定化光触媒の製造方法で、Zr/T
i(モル比)が0.3未満となるように二酸化ジルコニ
ウムおよびジルコニウム塩のいずれか一方または両方が
添加されたチタニアゾルを基材に塗布した後、300〜
1000℃で焼成処理を施す方法である。
【0034】チタニアゾルに添加された二酸化ジルコニ
ウムは、二酸化チタンの結晶の内部(結晶粒内)あるい
は結晶粒界に分散して存在し、それによる一種のピン留
め効果によって、二酸化チタンの焼成時におけるアナタ
ース晶の粒成長が抑えられる。また、二酸化ジルコニウ
ムの添加は、800℃以上の高温焼成時に起こるアナタ
ースから光触媒活性の低いルチルへの転移の抑制にも有
効である。なお、ジルコニウム塩も、焼成時に容易に酸
化物になるので、二酸化ジルコニウムが添加された場合
と同様の作用効果を有している。
【0035】したがって、これら二酸化ジルコニウムお
よび/またはジルコニウム塩を添加することによって、
前記(2)の発明で規定する焼成温度、あるいは焼成時
間から若干外れる場合でも、結晶子サイズの小さい二酸
化チタンからなる固定化光触媒を製造することが可能と
なる。つまり、焼成条件を緩和することができ、本発明
の固定化光触媒を一層容易に製造することができる。
【0036】二酸化ジルコニウムは、超微粒の二酸化ジ
ルコニウム(5〜10nm)を水に懸濁させたり、ジル
コニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテト
ラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブト
キシド等のジルコニウムテトラアルコキシドや、四塩化
ジルコニウム等を加水分解することによってジルコニア
ゾルとして調製することができる。また、ジルコニウム
塩としては、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニル
等が利用できる。
【0037】塗布に用いる二酸化ジルコニウムおよび/
またはジルコニウム塩を添加したチタニアゾルの調製
は、別途調製したチタニアゾルに上記のジルコニアゾル
あるいはジルコニウム塩を添加してもよいが、チタニア
ゾルを調製する際、チタンテトラアルコキシド等にジル
コニウムテトラアルコキシドあるいはジルコニウム塩を
あらかじめ混合しておくことにより簡便に行うことがで
きる。
【0038】チタニアゾルに添加する二酸化ジルコニウ
ムおよび/またはジルコニウム塩の量はZr/Ti(モ
ル比)で0.3未満(ただし、0は含まない)とする。
Zr/Ti(モル比)が0.3(すなわち、Tiに対す
るZrの量が30mol%)以上になると、焼成によっ
てチタンとジルコニウムの複合酸化物、例えばZrTi
4 等の生成が優先しておこるため、光触媒活性は著し
く低下する。好ましくは1〜18mol%、さらに好ま
しくは12〜18mol%である。
【0039】焼成温度は300〜1000℃とする。焼
成温度がこの温度域の下限よりも低いと非晶質となり、
上限を超えるとルチル晶となるため、いずれの場合も光
触媒活性の高い固定化光触媒は得られない。
【0040】焼成温度までの加熱は、二酸化ジルコニウ
ムが二酸化チタンの焼成時におけるアナタース晶の粒成
長を効果的に抑制しているため、前記(2)の製造方法
での加熱条件よりもかなり穏和な条件で行ってもよい。
その条件に特に限定はないが、好ましい加熱速度は、3
℃/分以上である。
【0041】焼成温度に達した後の保持時間(焼成時
間)についても特に限定はない。しかし、過度に長時間
にわたると生産効率が低下し、コストアップの要因とな
るので、2時間以内とするのが好ましい。
【0042】焼成後の冷却についても、加熱と同様、
(2)の方法に比べて穏和な条件で行ってもよいが、好
ましい条件は、3℃/分以上である。
【0043】上記(2)および(3)の方法によれば、
本発明の固定化光触媒を特別の手段を必要とせずに、比
較的低コストで容易に製造することができる。
【0044】前記(4)の発明は、(1)の発明の固定
化光触媒を用いて、特に有害物質を分解・除去する方法
で、これらの固定化光触媒と有害物質とが接触した条件
下で前記光触媒にバンドギャップ以上のエネルギーの光
を照射する方法である。つまり、有害物質が固定化光触
媒の触媒作用を受け得る状態の下で前記光触媒を構成す
る結晶内の充満帯にある相当数の電子が禁止帯を越えて
空帯(伝導帯)へ移るに足るエネルギーの光を照射する
のである。
【0045】ここでいう「有害物質」とは、人体に悪影
響を及ぼす物質、あるいはその可能性がある物質のこと
であり、具体的には、NOx 、SOx 、フロン、アンモ
ニア、硫化水素等の排ガスあるいは大気中に含まれる物
質、アルデヒド類、アミン類、メルカプタン類、アルコ
ール類、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)、フ
ェノール類等の有機化合物、さらには、トリハロメタ
ン、トリクロロエチレン等の有機ハロゲン化合物、除草
剤、殺菌剤、殺虫剤等の種々の農薬、蛋白質やアミノ酸
をはじめ種々の生化学的酸素要求量(BOD)の高い物
質、界面活性剤、シアン化合物や硫黄化合物等の無機化
合物、種々の重金属イオン等、さらには、細菌、放線
菌、菌類、藻類などの微生物等、主として排水中に含ま
れるもの等が挙げられる。
【0046】さらに、上記「有害物質」には、光触媒あ
るいはそれを用いた多機能部材の表面に直接付着する
「付着物質」も含まれる。例えば、大腸菌、ブドウ球
菌、緑濃菌、カビ等の菌類の他、油、タバコのヤニ、指
紋、雨垂れ、泥などである。
【0047】また、前記の「固定化光触媒と有害物質と
が接触した条件下」とは、固定化光触媒に上記の有害物
質が直接付着している場合の他に、例えば上記の有害物
質が含まれる空気その他のガスや、水その他の液体中に
固定化光触媒が置かれ、有害物質が光触媒の触媒作用を
受け得る状態の下にある場合をいう。
【0048】このような条件下で(1)の発明の固定化
光触媒にバンドギャップ以上のエネルギーの光を照射す
ると、光触媒作用が発現して、有害物質が効果的に分解
・除去される。
【0049】バンドギャップ以上のエネルギーの光とし
ては、紫外線を含む光が好ましく、具体的には、太陽光
や、蛍光灯、ブラックライト、水銀灯、キセノン灯等か
らの光があり、これらを光源として用いることができ
る。特に、波長が300〜400nmの近紫外線を含む
光が好ましい。
【0050】光の照射量や照射時間などは、分解・除去
しようとする有害物質の量などによって適宜定めればよ
い。
【0051】
【実施例】
(実施例1)チタンテトラ−n−ブトキシド40.5g
(0.12mol)を脱水エタノール75ml(ミリリ
ットル)に加えた混合液を室温で30分間攪拌した後、
氷浴を用いて冷却した。その後、この混合液に、エタノ
ール(75ml)、水(2.6ml)、硝酸(2ml)
の混合液をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した後、氷浴
から取り出して室温まで戻し、12時間攪拌を続けて透
明なチタニアゾル液を得た。
【0052】さらに、このゾル液をスピンコータを用
い、回転数300rpm、保持時間1分として、鏡面研
磨したステンレス鋼製基材(SUS304:4cm×4
cm×厚さ1mm)上に塗布した。その後直ちに、この
基材を、炉内温度をあらかじめ550℃に設定した電熱
炉に入れ、3分間焼成した後取り出し、空気中で冷却し
た。このゾル液の塗布、焼成操作を4回繰り返すことに
よって、ステンレス鋼表面に二酸化チタンを薄膜状に形
成させた固定化光触媒を作製した。
【0053】なお、この光触媒の二酸化チタンは、X線
回折によって調べた結果、図1に示すようにアナタース
晶のパターンのみが認められた。また、Scherre
rの式から求めた結晶子サイズ(d101 )は15.5n
mであり、透過型電子顕微鏡で観察した結晶粒径(約1
5nm)とほぼ同じ値であった。表1に焼成温度、焼成
時間および結晶子サイズを示す。
【0054】この二酸化チタン固定化光触媒を試料とし
て酢酸の分解実験を行った。
【0055】まず、石英製反応セル(内容量100c
c)に、試料と濃度6.6mM(ミリモル)の酢酸水溶
液70ml(酢酸含有量462μmol)を入れ、酸素
を20分間送通した。次いで、25℃で磁器攪拌しなが
ら、250Wの超高圧水銀灯から、UVフィルター(東
芝製UV−31)を通して4時間光照射を行った。その
後、水溶液に含まれる酢酸の量をイオンクロマトグラフ
ィーにより分析した結果、酢酸の分解による減少量は8
0μmolであった(同表に表示)。
【0056】(実施例2)チタンテトラ−i−プロポキ
シド80gを50mlのイソプロパノールに加えた混合
液を激しく撹拌している蒸留水500mlに滴下し、そ
の後、硝酸(60%、以下、硝酸とは60%硝酸をい
う)5gを加えた。次いで、80℃で24時間撹拌し、
真空下で濃縮し、二酸化チタンを15重量%含むチタニ
アゾル液を得、さらに2倍量のエタノールを加えること
によって塗布用ゾル液とした。
【0057】このゾル液を実施例1の場合と同様にステ
ンレス鋼製基材(SUS304:4cm×4cm×厚さ
1mm)上に塗布した後、空気中で30分乾燥し、炉内
温度が250℃の電熱炉に入れ、30分間焼成した後取
り出し、空気中で冷却した。このゾル液の塗布、焼成操
作を4回繰り返すことによって、二酸化チタン固定化光
触媒を作製した。
【0058】なお、この光触媒の二酸化チタンは、X線
回折によって調べた結果、アナタース型であり、その結
晶子サイズ(d101 )はおよそ6.0nmであった。表
1に焼成温度、焼成時間および結晶子サイズを示す。
【0059】この二酸化チタン固定化光触媒を試料とし
て、実施例1におけると同様の方法で酢酸の分解実験を
行った。結果を表1に示したが、酢酸の分解による減少
量は54.5μmolであった。
【0060】(実施例3〜10)焼成条件(焼成温度お
よび焼成時間)を表1に示す条件とした以外はすべて実
施例1と同様の方法で二酸化チタン固定化光触媒を得、
同じく実施例1におけると同様の方法で酢酸の分解実験
を行った。結果は表1に示すとおりであった。
【0061】(比較例1)焼成時間を60分とした以外
は実施例1と同様の方法で二酸化チタン固定化光触媒を
作製した。この光触媒の二酸化チタンは、X線回折の結
果、図1に示すようにアナタース晶のピークのみが認め
られたが、Scherrerの式から求めた結晶子サイ
ズ(d101 )は32.5nm(透過型電子顕微鏡による
観察では、33.0nm)で、本発明で規定する範囲か
ら外れるものであった。
【0062】この二酸化チタン固定化光触媒を試料とし
て、実施例1におけると同様の方法で酢酸の分解実験を
行った。その結果は、表1に示したように、酢酸の分解
による減少量は0.3μmolで、上記の実施例1に比
べて著しく低かった。
【0063】(比較例2)焼成温度を850℃とした以
外は実施例1と同様の方法で二酸化チタン固定化光触媒
を得た。この光触媒は、X線回折の結果、結晶子サイズ
が35.5nmのアナタース晶と70〜80nmの結晶
粒径を有するルチル晶が混在した状態にあった。
【0064】この二酸化チタン固定化光触媒を試料とし
て、実施例1におけると同様の方法で酢酸の分解実験を
行った。その結果、表1に示したように、酢酸の分解量
は0であった。
【0065】(実施例11)チタンテトラ−n−ブトキ
シド40.5g(0.12mol)とジルコニウムテト
ラ−n−プロポキシドを含有(濃度70%)する2−プ
ロパノール溶液0.561g(1.2×10-3mol)
を脱水エタノール75mlに加えた混合液を室温で30
分間攪拌した後、氷浴を用いて冷却した。その後、この
混合液に、エタノール(75ml)、水(2.6m
l)、硝酸(2ml)の混合液をゆっくりと滴下し、1
時間攪拌した後、氷浴から取り出して室温まで戻し、1
2時間攪拌を続けてチタニアゾルとジルコニアゾルの混
合ゾル液(Zr/Ti=1mol%)を得た。
【0066】さらに、このゾル液を、実施例1における
と同様の方法で、ステンレス鋼製基材(SUS304:
4cm×4cm×厚さ1mm)上に塗布し、空気中55
0℃で60分間焼成した。このゾル液の塗布、焼成操作
を4回繰り返すことによって、ステンレス鋼を基材とす
る固定化光触媒を作製した。
【0067】図2に、この基材表面に形成された光触媒
(二酸化ジルコニウムを含有する二酸化チタン)のX線
回折図を示す。図示するように、二酸化チタンはアナタ
ース型であった。一方、二酸化ジルコニウムに基づく回
折パターンは認められなかった。また、Scherre
rの式から求めた二酸化チタンアナタース晶の結晶子サ
イズ(d101 )は20.1nmであった。この結晶子サ
イズは、同じ焼成条件で調製した前記の比較例1の試料
の結晶子サイズ(32.5nm)と比べて明らかに小さ
く、二酸化ジルコニウムの添加によって二酸化チタンの
焼結が抑制され、結晶粒の粗大化が防止されたことがわ
かる。
【0068】この固定化光触媒を試料として、実施例1
におけると同様の方法で酢酸の分解実験を行った。結果
は表1に示すとおりであった。
【0069】(実施例12)チタンテトラ−i−プロポ
キシド80gを50mlのイソプロパノールに加えた混
合液を激しく撹拌している蒸留水500mlに滴下し、
その後、硝酸(60%)5gを加えた。次いで、80℃
で24時間撹拌し、真空下で濃縮し、二酸化チタンを1
5重量%含むチタニアゾル液を得た。そのゾル液に、オ
キシ塩化ジルコニウムを2.73g加え(Zr/Ti=
3mol%)、十分撹拌した後、さらに2倍量のエタノ
ールを加えることによって塗布用ゾル液を得た。
【0070】このゾル液を実施例1の場合と同様にステ
ンレス鋼製基材(SUS304:4cm×4cm×厚さ
1mm)上に塗布し、空気中500℃で60分間焼成し
た。このゾル液の塗布、焼成操作を4回繰り返すことに
よって、固定化光触媒を作製した。この基材上の光触媒
はアナタース晶からなるものであり、その結晶子サイズ
(d101 )は19.5nmであった。
【0071】この固定化光触媒を試料として、実施例1
におけると同様の方法で酢酸の分解実験を行った。結果
は表1に示すとおりであった。
【0072】(実施例13〜17)ジルコニウムテトラ
−n−プロポキシドを含有(濃度70%)する2−プロ
パノール溶液の量を1.69g、3.37g、6.73
g、10.1g、13.48gおよび13.48gとし
た以外はすべて実施例11と同様の方法でステンレス鋼
を基材とする固定化光触媒を作製した。この基材表面に
形成された光触媒(二酸化ジルコニウムを含有する二酸
化チタン)は、X線回折の結果、図2に示すようにアナ
タース晶のピークのみが認められ、二酸化ジルコニウム
に基づく回折ピークは認められなかった。
【0073】これらの固定化光触媒を試料として、実施
例1におけると同様の方法で酢酸の分解実験を行った。
結果は表1に示すとおりで、酢酸の分解量は、次に示す
比較例3(二酸化ジルコニウムが本発明で規定する量を
超える固定化光触媒)に比べ大幅に上回った。
【0074】(比較例3)ジルコニウムテトラ−n−プ
ロポキシドを含有(濃度70%)する2−プロパノール
溶液の量を16.84gとした以外はすべて実施例11
と同様の方法でステンレス鋼を基材とする固定化光触媒
を作製した。この基材表面に形成された光触媒(二酸化
ジルコニウムを含有する二酸化チタン)は、X線回折の
結果、図2に示すようにアナタース晶に基づく回折パタ
ーンは全く認められなかった。
【0075】この固定化光触媒を試料として、実施例1
におけると同様の方法で酢酸の分解実験を行った。結果
は表1に示すとおりで、酢酸はほとんど分解されなかっ
た。これは、X線回折では観測されなかったが、チタン
とジルコニウムの複合酸化物(ZrTiO4 等)が主に
生成し、光触媒活性が著しく減少したことによるもので
ある。
【0076】(実施例18)実施例16で調製したゾル
液(Ti/Zr=18mol%)を用い、焼成温度を9
00℃、焼成時間を3分間とした以外はすべて実施例1
1と同様の方法でステンレス鋼を基材とする固定化光触
媒を作製した。この基材表面に形成された光触媒は、結
晶子サイズ25.5nmのアナタース晶からなってお
り、ルチル晶は含まれていなかった。
【0077】この固定化光触媒を試料として、実施例1
におけると同様の方法で酢酸の分解実験を行った。結果
は表1に示すとおりであった。
【0078】
【表1】
【0079】(実施例19)固定化光触媒の防臭効果を
確認するため、アセトアルデヒドを悪臭成分と想定して
その分解実験を行った。
【0080】石英製反応セル(内容積100cc)に実
施例16で作製した固定化光触媒を入れ、閉鎖循環ライ
ン(合計内容積350ml)に接続した。空気で希釈し
たアセトアルデヒド(5000ppm)を系内に導入
し、循環させながら250W超高圧水銀灯から、減光フ
ィルター、UVフィルター(東芝製UV−31)を通し
て光照射を行った(紫外線強度15mW/cm2 )。な
お、アセトアルデヒドの分解による減少量はラインに接
続されているガスクロマトグラフを用いて測定した。
【0081】その結果、図3に示すように、アセトアル
デヒドは経時的に減少し、120分後には、検出不能な
レベル(10ppm以下)になった。
【0082】(比較例4)比較例1で作製した固定化光
触媒を用いて、実施例19におけると同様の方法でアセ
トアルデヒドの分解実験を行った。
【0083】結果は図3に示すに示すように、120分
後のアセトアルデヒドの残存濃度は約3500ppm
で、実施例19に比べアセトアルデヒドの分解量ははる
かに少なかった。
【0084】(実施例20)固定化光触媒の抗菌効果を
確認するため、大腸菌(Escherichiacol
i W3110株)に対する殺菌効果を調査した。
【0085】実施例1で作製した固定化光触媒を試料と
して用い、その表面をあらかじめ70%エタノールで殺
菌した後、大腸菌を2.5×105 個/ml含む生理食
塩水0.2ml(大腸菌数:5×104 個)を、0.0
25mlずつ8滴に分けてその表面に滴下した。次い
で、相対湿度95%の条件下で、250W超高圧水銀灯
を用い、上部から、減光フィルター、UVフィルター
(東芝製UV−35)を通して15分間光照射を行った
(紫外線強度1mW/cm2 )。
【0086】その後、試料の上の菌液を生理食塩水9.
8mlで洗い流し、それを標準寒天培地に希釈塗沫し、
35℃で48時間培養した後、生育したコロニーを計数
することによって生菌数を測定した。抗菌性の評価は、
同じ条件で、大腸菌を含む生理食塩水を、二酸化チタン
を形成(コーティング)していない基材(SUS30
4)表面に滴下して15分間光照射したものと、実施例
1で作製した固定化光触媒の表面に滴下して15分間暗
所に保持したものについて、上記と同様に測定した生菌
数(それぞれ4.8×105 個および4.7×105
個)を基準として行った。
【0087】その結果、光照射することによって生存大
腸菌数は1.6×103 個となり、優れた抗菌性が認め
られた。
【0088】(実施例21)基材として石英板(4cm
×4cm×厚さ1mm)を用いた以外はすべて実施例1
と同様の方法で石英板表面に二酸化チタンを薄膜状に形
成させた固定化光触媒を作製した。この光触媒の結晶構
造をX線回折によって調べた結果、二酸化チタンはアナ
タース晶からな成るものであり、その結晶子サイズは1
4.5nmであった。
【0089】この二酸化チタン固定化光触媒を試料とし
て用い、テトラクロロエチレンの分解実験を行った。な
お、テトラクロロエチレンは、洗剤、脂肪、樹脂等の溶
剤として利用されており、地下水の汚染要因の一つとし
て問題視されている物質である。
【0090】まず、石英製反応セル(内容積100c
c)に30ppmの濃度のテトラクロロエチレンの水溶
液40mlを入れ、その中に試料を浸し、酸素を20分
間バブリングした後、250W超高圧水銀灯から、UV
フィルター(東芝製UV−29)を通して4時間光照射
を行った。その後、水溶液に含まれるテトラクロロエチ
レンの量をガスクロマトグラフを用いて定量した。その
結果、テトラクロロエチレンの濃度は3.2ppmに減
少していた。
【0091】(実施例22)基材として樹脂系の塗装鋼
板(5cm×5cm×厚さ1mm)を用い、焼成時間を
2分とした以外はすべえ実施例2と同様の方法で塗装鋼
板表面に二酸化チタンを薄膜状に形成させた固定化光触
媒を作製した。この光触媒の結晶構造をX線回折によっ
て調べた結果、二酸化チタンはアナタース晶からなるも
のであり、その結晶子サイズは5.8nmであった。
【0092】この光触媒を試料として用い、以下の要領
で試料表面に付着させたタバコのヤニの除去試験を行っ
た。
【0093】試料表面にタバコ1本分のヤニを強制的に
付着させた後、250W超高圧水銀灯から、減光フィル
ター、UVフィルター(東芝製UV−35)を通して光
照射(紫外線強度5mW/cm2 )を行いながら色差計
を用いて黄色の目安となるb値の変化を測定することに
より、ヤニの減少を評価した。
【0094】その結果、b値は、光照射前の16.5か
ら、2時間の光照射でほぼ0となり、見た目にも基材と
して用いた塗装の色(白色)が蘇ったことから、ヤニが
効果的に除去されていることが確認された。一方、上記
のような処理を行っていない塗装鋼板を用い、同様の試
験を行ったところ、b値は、光照射前の13.4から、
2時間の光照射では8.2にしかならず、ヤニは試料表
面上にかなり残っていた。
【0095】
【発明の効果】本発明の固定化光触媒は反応活性が高
く、大気中あるいは排水中の有害物質、汚れ付着物質等
の分解、除去に対して優れた効果を示す。したがって、
基材として金属、ガラス、セラミック等を用いれば、抗
菌、防臭、防泥、防かび、環境汚染物質の分解等の作用
効果が付与された内装材、建材等の部材を容易に提供す
ることができる。特に、本発明の有害物質の分解・除去
方法によれば、種々の付着物質も含め、人体に悪影響を
及ぼすかもしくはその可能性がある有害物質を効果的に
分解・除去することができる。
【0096】この光触媒は、本発明の製造方法によれ
ば、比較的安価な原料を用い、特別な設備および操作を
必要とせず、また、焼成時間が短くてよく、従来の固定
化光触媒に比べて低コストで製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1で用いた試料について
のX線回折図である。
【図2】実施例11、15および比較例3で用いた試料
についてのX線回折図である。
【図3】実施例19および比較例4の実験結果で、アセ
トアルデヒドの分解の経時変化を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均結晶子サイズが5〜30nmのアナタ
    ース型二酸化チタンが基材表面に薄膜状に固定されてい
    ることを特徴とする光触媒。
  2. 【請求項2】基材にチタニアゾルを塗布した後、250
    〜800℃まで加熱し、その温度で30分以内保持する
    焼成処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の固定
    化光触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】Zr/Ti(モル比)が0.3未満となる
    ように二酸化ジルコニウムおよびジルコニウム塩のいず
    れか一方または両方が添加されたチタニアゾルを基材に
    塗布した後、300〜1000℃で焼成処理を施すこと
    を特徴とする請求項1に記載の固定化光触媒の製造方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の固定化光触媒と有害物質
    とが接触した条件下で前記固定化光触媒にバンドギャッ
    プ以上のエネルギーの光を照射することを特徴とする有
    害物質の分解・除去方法。
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