JPH031123Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、スローアウエイチツプに関する。

〔従来の技術〕

最近のフライス加工では、加工物形状の複雑化
や高精度化、材料の多様化に伴なつて、切れ味が
重視される傾向にあり、スローアウエイ式の正面
フライスやエンドミルでは、チツプをカツターボ
デイに対して軸方向・径方向の両方向共に正の大
きなすくい角を設けて取付け、切削抵抗を小さく
する設計が多くなつている。

これに対して、スローアウエイチツプでは、取
付けられるすくい角に対応して外周側面に大きな
逃げ角が形成されて、謂ゆるハイレーキ化が進行
している。この場合、、外周側面を全周にわたつ
て研摩加工を施すが、これはチツプ自体の切れ味
を高めると同時に、チツプ相互の寸法上のバラツ
キを小さく抑えて刃振れ精度の向上にも役立つて
いる。

ところで、スローアウエイチツプの外周側面部
分の研摩手段として、従来より第５図に示すよう
な外周半研摩品が知られている。

これはポジテイブチツプ２０のカツターボデイ
への取付けが、第６図に示すように、チツプ外側
面の上端部２１とカツターボデイのチツプ取付け
溝の側壁２２とが接触して位置決めされて行なわ
れるために、その位置決めに影響のない外側面の
中ほどから下面の一部にかけて内側にへこませて
段部２３を設けたものであり、これによつて寸法
精度に必要な研摩面の面積が大巾に減少して、作
業時間の短縮や製造コストの低減をはかることが
出来る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、外周半研摩品を前述したハイレーキ
チツプに用た場合、チツプ下面の端部から切刃ま
での距離が非常に長くなり、特にコーナー部にお
いては、側面を全面研摩したチツプや未研摩のチ
ツプに比べて切刃の突き出し量が著しく大きくな
つて、切刃が弱められた状態になる。

また、エンドミル加工等に広く用いられている
ノーズＲ付きのチツプの場合は、サライ刃を備え
るチツプ以上に切刃の突出し長さが大きくなり、
切刃強度は一層弱められる傾向にある。

このような切刃の弱体化は、チツプ形状がハイ
レーキになるほど、またコーナー角が小さくなる
ほど著しく、高硬度材料の加工や切込み量が大き
く変動する、或いは、著しい断続切削の伴う加工
では、切刃の大規模な欠損が頻発して使用に耐え
得ない場合が多く見られた。

このため、ハイレーキチツプには、従来より側
面全周に研摩を行なう全周研摩品が用いられてお
り、製造上、研削コストが高くつくという問題が
あつた。

〔考案の目的〕

この目的は、上記問題点をかんがみてなされた
ものであつて、ハイレーキチツプに外周半研摩方
法を出来るだけ応用して研摩コストを低く抑える
と共に、コーナー部においては、全周研摩品や未
研摩のチツプと同等の切刃強度を得ることが出来
るスローアウエイチツプを提供することを目的と
している。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、この考案において
は、各側面が上面から下面に向かつて後退する逃
げ角を有し、その側面を研摩加工して使用される
スローアウエイチツプにおいて、その各側面に、
独立した凹所を設け、この凹所の上辺は、側面の
中央部に達し、下辺は、チツプの下面に開放し、
両端部はコーナー部近傍に達するようにしたので
ある。

〔作 用〕

以上のように構成したスローアウエイチツプ
に、側面の全周にわたつて研摩加工を行なつた場
合、コーナー部近傍では凹所が設けられていない
ので側面の上下方向全域において加工されるが、
コーナー部近傍以外の大部分の側面では、上面と
接する部分だけが加工され、凹所の部分は黒皮
（焼結ハダ）のまま残される。

一方、コーナー部近傍では、凹所が無い分、下
面の端縁から切刃までの距離が狭くなつて刃先の
突き出し量が小さくなり、切刃を強化する効果が
得られる。

〔実施例〕

以下に、この考案を三角形のスローアウエイチ
ツプに適用した実施例を添付図面に基づいて説明
する。

第１図及び第２図に示すスローアウエイチツプ
１には、側面４の全周にわたつて、上面２から下
面３へいくに従い後退するように逃げ角を設けら
れている。

各辺の側面４には、第３図に示すように、中央
部から下面３にかけてチツプの中心方向に後退し
た凹所５が形成されており、この凹所５は、コー
ナー部近傍まで達して、各辺ごとに独立した形状
になつている。一方、コーナー部近傍の側面は、
第４図に示すように、上下にわたつて同一平面で
形成されている。

このスローアウエイチツプ１に、側面４全周に
わたつて研摩加工を行なつた場合、コーナー部近
傍を除いた各辺の側面４では、上面側の部分６だ
けが加工され、下側の凹所５の部分は焼結ハダの
状態で残される。

したがつて研摩面積が大きく減少して、研削コ
ストを低く抑えることが出来る。

一方、コーナー部近傍の側面は、上下方向の全
域にわたり研摩加工され、コーナー先端部には、
コーナー丸み９に隣接してサライ刃８が形成され
る。すなわち、コーナー部近傍では、下面３の端
縁７とサライ刃８との距離が、第５図に示すよう
な側面全周に段部を設けたチツプに比べて格段に
小さくなり、全周研摩品や未研摩チツプと同じ長
さになる。

また、側面４の上面側の部分６が全周にわたり
研摩加工が施こされるので、カツター本体のチッ
プ取付け溝に対して、常に、研摩面の部分が当接
して位置決めされることになり、全周研摩品と同
等の寸法精度を得ることが出来る。（第６図参照） なお、上述した切刃の強化方法は、チツプの外
周二番が15゜以上のハイレーキチツプ、または、
コーナー角が90゜以下のものに適用することによ
つて、より大きな効果を得ることが出来る。

〔効 果〕

以上説明したように、この考案においては、外
周各側面の底面と接する部分を、チツプの中心方
向に後退させて独立した凹所を設けると共に、コ
ーナー近傍ではその凹所を無くして上面・下面を
通して同一平面で形成したので、このチツプをハ
レーキチツプに用いた場合には、コーナー部にお
ける刃先の突出し量を小さく出来、全周加工品や
未研摩品と同等の切刃強度を得ることが出来る。

さらに、外側面の周囲に設けた凹所により、研
摩面積を大きく減少させることが出来るので、研
削コストを大巾に低減することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す斜視図、第２
図は同上の要部を示す斜視図、第３図及び第４図
は、それぞれ第２図におけるＸ−Ｘ線及びＹ−Ｙ
線に沿つた断面図、第５図は従来例を示す斜視
図、第６図は従来例の位置決め状態を説明する図
である。 １……スローアウエイチツプ、２……上面、３
……下面、４……側面、５……凹所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 各側面が上面から下面に向かつて後退する逃げ
   角を有し、その側面を研摩加工して使用されるス
   ローアウエイチツプにおいて、上記各側面に独立
   した凹所を設け、この凹所の上辺は、側面の中央
   部に達し、下辺は、チツプの下面に開放し、両端
   部は、コーナー部近傍に達していることを特徴と
   するスローアウエイチツプ。